私は本書の著者であるペン-ルイス夫人をよく知っており、また本書の主題に心から共感します。ですから、私は喜んで最善を尽くし、本書をわが国のクリスチャンに推薦します。
神の御言葉は十字架の二つの面を示しています。一つは、私たちの救いの土台である十字架の贖いです。十字架は、罪の呪いを取り去り、私たちに罪の赦しを与え、キリストの血による神との完全な平和の知らせを私たちにもたらします。もう一つは十字架の交わりを強調します。それは、「十字架を負って私に従いなさい」というキリストの御言葉や、「私はキリストと共に十字架につけられています」、「私はこの世に対して十字架につけられています」、「あなたがたはキリストにあって罪に対して死んでいるのです」という聖パウロの言葉を示します。
第一の面は私たちの義認のために必要です。それは神と和解するための、私たちの信仰の唯一の確固たる土台です。第二の面は私たちの聖化と関係があり、罪とこの世に対する死の中で私たちを主イエスに似た者とし、私たちに満ちあふれる力を啓示します。彼はその力で、私たちの内にある罪の力を打ち砕き、征服されます。
言うまでもありませんが、第一の視点が説かれている所では、それを理解して信じることは、第二よりも容易です。そのため多くのクリスチャンは、罪の赦しのための十字架を信じる信仰から先に決して進みません。彼らは自己否定を理解しませんし、それについて聞くとき恐れます。この自己否定は、主の死に同形化されて全く従うよう、彼らを召します。
ペン-ルイス夫人は、ウェールズのリバイバルでの彼女の経験に関して、数編の宗教論文を書いてこられました。それらの論文からわかるように、彼女は十字架の交わりの思想に深くとらえられています。また彼女は、「これこそ、神がご自分の教会を整えて、この世に打ち勝たせる道である」という強い感覚を持っておられます。
霊の目を開かれて、(十字架の二重のメッセージの)この特別なメッセージを受け入れる時、それと同時に人は次のことを学ぶでしょう。すなわち、私たちが私たちの贖いをいっそう高く評価することを学び、その力を今まで以上に理解するのは、まさにこの経験によるのです。
主は私たちに知恵の御霊と照らされたまなこを与え、十字架の栄光を知らせて下さいます。どうか主が、「主の民が十字架を負うキリストの真の従者になりますように」という祈りの中で、私たちを強めて下さいますように。また主が、著者と翻訳・印刷責任兄弟と私の切なる願いを、恵み深くかなえて下さいますように。
ウェリントンにて 千九百九年十一月四日
A.M.
* "Het Kruis Van Golgotha" (ゴルゴタの十字架)。G. F. Marais と F. Zoon による訳。千九百九年に南アフリカのウェリントンで出版された。
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