三二.真の癒し

ブルームハルト父子

真理とへりくだりと正義のために、威厳をもって乗り進め。あなたの右手におそるべきわざをなさせよ。(詩篇四五・四)

真理と正義のまっすぐな刃を神が用いられる時、地は数々の奇跡でひび割れを生じる。神の奇跡は常に真理と正義に関係している。これが理由で、神の御業は決して、「これは一体どういう意味だろう?」と私たちを困惑させるような奇妙なものではないのである。神の奇跡には常に光があり、常に意味がある。常に道徳的価値がある。それゆえ、奇跡を乞い求めるかわりに、祈ろうではないか、「愛する神よ、どうか私たちの家の中で、そうです、私たちの心の中で、あなたの真理と正義が治めるようにして下さい――私たちを大目に見ずに、まっすぐ前に進んで下さい」。そうするなら、奇跡に事欠かないだろう。なされる必要のあることがなされるだろう。

困難に直面して、ジレンマに陥り、どうすればいいのかわからない時、その困難が生じている所でその問題に取り組んで、そこでその問題を解決しようとしてはならない。それではだめである。その問題の背後を見て、どこが間違っているのかを理解し、「この間違いを正して下さい」と主に祈らなければならない。間違っているもの、自分の力ではどうにもできないものを、私たちは発見するかもしれない。神だけがそれを行うことができる。この真理を堅く握りしめよ。そうすれば、あなたの傷は癒されるだろう。そして、あなたの生活の中にある外面的な間違いもなくなるだろう。

不信実さがどれだけなおも私たちの内側に隠れたまま横たわっていることか!自己の幻想や欺きが、どれほどあることか!表面上、物事は極めて順調のように見える。しかし、肉体的苦しみは、つまるところ、私たちの生活の誤りの結果である。「問題や病はみな、罪の直接的結果である」ということではない。そうではなく、苦しみや病は全体と関係しているのである。私たちは一本の鎖のようである。個々の罪が実を結ぶように、私たちの共通の悪弊も実を結ぶ。もし私たちが真に真理と正義にしたがって生きていれば、状況は違っていただろう。

誰もが医学的助けを望んでおり、癒されることを望んでいる。しかし、誰が真に神に関心を寄せているだろう?真に清めてもらうことを、私たちは望んでいないのである。私はというと、もしそれが内なる回復という結果にならない限り、誰かに奇跡が起きるのを見たいとは決して思わない。

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これまでの人生で、私はしばしば重病にかかった。そのたびに、まさに病の状況の中で、主は私に語ることを望まれた。私が苦しみを喜びをもって抱きしめ、そのことで主に感謝して、神聖な恵みの光線が流れるのを許せるようになった瞬間、神の賜物と祝福が信仰の中で絶えず私に降り注いだ。苦しみはたちまち拠り所を失い、私は自由に主に集中できるようになった。私は幸福で喜びに満ち、苦難は太陽の前の雲のように過ぎ去った。言い換えると、何年ものあいだ、私は病のおかげで言いようのない祝福を受けてきたのである。私の家に立ち寄った病人の多くも、これと同じ経験をした。

数年前、私は腕を折った。その時は、腕が折れたことに気づかなかったが、痛みが酷くなったので、床に就かなければならなかった。ふたたび静まった時、私は良い方の手を悪い方の手にのせ、丸二時間主に本当に感謝し、神の力と祝福を溢れ流れさせた。一人っきりで何の妨げもなく、命の御言葉を受け入れて、再び神を中心とすることを許して下さったことのゆえに、私は神に感謝した。そうした時、私の召しが霊的に強められるのを私は感じた。そして同時に、感じていた痛みがますます引いていったのである。この二時間の間、私は言葉では表現できないほど多くの力と癒しを神から受けたのである。

数週間後、外科医が私たちの家にやって来た。彼はたまたま私の腕を見て、「この腕は二箇所折れていましたが、明らかに治っています。まるで四週間ギブスをしていたかのように、良くなっています」と論評した。このことから私はますます確信した。この祈りの二時間の間――その間、私は神に感謝する以外に何もしなかったのだが――主ご自身が私の腕を癒して下さったのである、と。

それから、およそ三十四年たったが、これが病に対する私の姿勢だった。喜びと感謝をもって、病を抱きしめてきたのである。重病にかかるたびに、主は大切なことを私に教えて下さった。痛みは必ずしも重荷ではないことを、私は学んだ。むしろ、病は私に教えてくれたのである。静かにしていることを、魂をしずめることを、主に向かって、「主よ、あなたは今、私に何をお望みですか?」と尋ねることを。依然として何を手放さなければならないのか、いかなる罪から去らなければならないのか、そして、どれほど心を尽くして悔い改めなければならないのかを、神はいつも明らかにして下さるのである。

クリストフ・フリードリヒ・ブルームハルト