八、フランシスの祈り

訳者 金井為一郎

おお主よ、汝の愛の火の如く且つ喜ばしい御力が私の霊魂を天が下の凡ゆるものより離して汝に集注せしめ給う。忝じけなくも私如きものを愛してそのために死に給うたように私にも愛のために死ぬる心を深くさせ給え。

全能にして、最も聖く、最も高く、最高善にして、全ての善、凡ゆる善の源なる神よ、汝のみただ一人善にて在し給う。

全能にして、永遠なる、義にして、憐み深き神よ、哀れなる我々に汝を知り、常に汝の喜び給うところを知って常に志し且つ行うことを得させ給え。その時我らの内心は潔められ、内より照らされ、聖霊の火を以て燃やされ、御子、我らの主イエス・キリストの御足の跡を踏むことを得ましょう。また汝の御恵みのみが三にして全き一に在し、とこしえよりとこしえに活き治め栄え給う大能の神に来らしめ給う。

主イエスよ、汝は使徒達を教えて十二として選び給いました。その中一人は汝を裏切りましたが、他の者は留って汝と結びつき汝の聖き福音を宣べ伝え、一つにして同じ霊の感動を受けました。今も昔の日を覚え、汝が信仰を保ち兄弟たる教を高め汝の福音の神秘を彼らによって達成させるために立て給いました。彼らの使命を果し、全ての教に輝く模範となることなしに暗きの業に身を委ねることを見らるる者はどうして、その位置を占めることが出来ましょう。このような人々は主よ汝によって、呪われよ、天の審きの座において、また私によって呪われよ。彼ら悪しき僕の悪例は、初めに汝の為し給い、この集団の聖い兄弟達が続けて為し給うたことを覆えすものだからであります。

全能にして、いとも聖く、いと高く、また最高なる神、聖く且つ義なる父よ、天地の王にいます主よ、汝の聖なる御意みこころのためにまた汝の独子のために感謝いたします。汝は聖霊を以て、霊的なもの形あるものの全てを造り、汝の御姿に似せて我々を造り。パラダイスに置き給いましたのに、我らの過誤によってそこから落ちてしまいました。それだのに真にして聖き愛を以て我らを新しく造るために真の神にして真の人なる御子を産れしめ給いました……また我らは御子が彼の威厳ある栄光を以て再び来り給うことを感謝いたします……汝を知り、汝を崇め、悔い改めて汝に仕える全ての者に向って「私の父に祝福された人たちよ、さあ、世の初めからあなたがたのための用意されている御国を受けつなぎなさい」といい給うために……我ら全ての哀れな罪人は汝の御名を呼び奉るに足りませんから、謙って願います。汝の喜び給う愛子、我らの主イエス・キリストのゆえに、また助主なる聖霊と共に、御名に感謝を捧げしめ給え。彼は常に汝に対して、我ら全てのために全くあり、我らのためにかくも多くのことをなし給うたからであります。

(※ 編者の所持している原本では最後の2ページが欠落しているため、そこに収録されていると思われるフランシスコのいわゆる「平和の祈り」を以下に掲載します。)

神よ、わたしをあなたの平和の道具としてお使いください。

憎しみのあるところに愛を、
いさかいのあるところにゆるしを、
分裂のあるところに一致を、
疑惑のあるところに信仰を、
誤っているところに真理を、
絶望のあるところに希望を、
闇に光を、
悲しみのあるところに喜びをもたらすものとしてください。

慰められるよりは慰めることを、
理解されるよりは理解することを、
愛されるよりは愛することを、わたしが求めますように。

わたしたちは、与えるから受け、ゆるすからゆるされ、
自分を捨てて死に、
永遠のいのちをいただくのですから。