「分裂」とは不調和である!

ロバート・ガボット

「それはからだの中に分裂がないようにするためです」(一コリント十二章)

神は共に「混ぜ合わせ」、「調和させて」くださった――このたとえは、二つ以上の成分が一つになる事例から取られている。例えばワインと水の場合、この両者はそれぞれ相手の性質を受け入れ、自分の性質を相手に分け与える。

二五節は分裂の問題を取り扱っており、その節の後半は前の部分を掘り下げているように見える。肢体たちが互いにいたわり合っていない所には「分裂」が生じる。みながだれもいたわらないのは無関心である。一組の人々が一方をさげすみ、他方につぶやくとき、分裂が生じる。愛によって維持されるべき一つを壊すものは何であれ、分裂の性質を帯びている。「分裂」という言葉を自由に訳すと「反抗」と訳せる。反抗心は分裂の始まりである。公の反抗は分裂の行いである。私たちの学びによると、分裂とは「からだの中」に起きる問題である。「それはからだの中に分裂がないようにするためです」。分裂は外側の行動に関する問題である以上に、キリストの各肢体の間の内なる感覚に関する問題である。コリント人たちは分裂のゆえに責められたが、それは彼らが兄弟たちから離れて別の交わりの食卓を設けたからではない。無秩序はその水準には達していなかった。しかし、彼らの間には異なる指導者を仰ぐいくつかの党派があり、こうして不調和が生じていたのである。自分の属する党派の方に、彼らの愛は流れた。他の党派はであり、それらに対する愛の感覚は完全に失われていたわけではなかったが、妨げられていた。

さて、これは麻痺した体の事例に相当する。半身は激しく痙攣しているが、反対側は動かない。この体には感覚の連続性がない。一方が他方に働きかける自由がない。今日のキリスト教会もそうである。感覚が一つではないのである。キリスト教会のある部分が福音を宣べ伝えることによって増し加わり、主が多くの救われる人を加えてくださる時、キリスト教会の他の部分は妬みの目で見つめ、陰口を言うかもしれないのである。だれかが失敗する時、それを喜ぶ邪悪な喜びがしばしば湧き起こり、その不名誉な出来事を大声で言いふらそうとする。しかし、キリスト教会は、その目に見える部分について言うと、使徒の時代より遙かにひどい分裂に陥っている。当時、コリント人たちはつぶやき、高ぶり、党派間で争っていたが、それでも彼らの一つは見かけ上保たれていた。今では、分離した交わりは公のものとなり、それらの交わりを通してバラバラな感覚が表現されている。自分の党派の利益は他の党派の利益と相容れない、と皆が思っている。

それゆえ、分裂の内的性質は教会組織の問題ではない。分裂はの状態の問題であり、本来愛の感覚しかあってはならない所に自己中心的な性質が生じることである。キリストのものである人たちを愛する普遍的な愛があるところには、分裂は存在しえない。分裂は党派心である。分裂は一方を過大評価し、他方を過小評価することである。分裂は、その結果どうなるのかに注意を払わずに、特定のクリスチャンをうらやむことである。

分裂の反対のものとして、喜びや苦しみに対するからだ全体の完全な共鳴を聖霊は示しておられる。足に火がついたらどうなるか?痛みが体の隅々まで走ることになる。両手は伝わってきた刺激で堅く握りしめられ、心臓は猛烈に痛み、体の調子は一変し、喜ばしい感覚は去る。他方、手が口に食物の供給を与えるとき、体全体に喜びと力が生じる。

このように、天然の体は霊的な学課を与えるよう設計されている。人の体の各部分には必然的に異なる機能があり、優った所にある部分もあれば、劣った所にある部分もある。しかしそれでも、すべての部分が和合しており、完全に調和している。一つの部分が誉れを受ける時、他の部分は妬まずに喜ぶ。一つの部分が弱くなって機能しなくなる時、他の部分は喜ばずに共に苦しむ。こうして、環境がどう変化しても、それを通して構造的機械的一つだけでなく、霊的一つも現される。天然の体のある部分が除かれたり、他の部分から分離したりするのは神のなさることだが、それはこのようなことが霊的なからだ――教会――にとっていかに憎むべきことかを示すよう意図されているのである。

ガボット 一八五〇年

注記――スポルジョン氏は「剣と楯」誌の一八八一年九月号でガボット氏の書物についてこう書き記しています――
「本誌の読者の中には、人を教える教師でありながら、自分自身もよく教わる必要のある方がおられますが、そのような方々に私たちはこの深遠なる著者、健全なる教師を紹介できたらと願います。ガボットの書物を勤勉に読むことができ、読もうとする人は、大した神学者です。彼の書物が精金のように尊重される日がいつか来るでしょう。」
 ガボットと同時代の別の人は「彼の書き物は百年先を行っている」と言いました。
D. M. パントン