第九章 聖い生活

ガイオン夫人

このようにして、私たちは容易に、確実に、徳を身につけます。なぜなら、神こそあらゆる徳の本質だからです。私たちは、主を得る時、すべてを受け継ぎます。主を得れば得るほど、私たちは最高に卓越した徳を受けます。内側からのものでない徳は、たんなる外側の見せかけにすぎず、衣のように取りかえることができます。内側から生じた徳は、純粋であり、本質的であり、永続的です。ダビデは、「王の娘は内にいて、全く栄光に満たされている」(詩篇四五篇十三節)と言いました。彼らは自分の徳についてなにも話しませんが、他の人々以上に最高の徳を実践します。彼らは神に結合されています。そして、神が彼らを徹底的な徳の実践に導かれます。神は彼らをねたむほど慕っておられるので、彼らがご自身以外の楽しみを持つことを許されません。

このように神聖な愛で燃えている人々は、苦難に飢え乾きます。また、彼らは苦難を望んで、過度の自己否定を実践しようとします。彼らは、愛する主を喜ばせること以外なにも考えません。そして、自分を無視し、自分を忘れます。神への愛が大きくなるにつれて、彼らはますます自己を忌み嫌い、被造物を気にしなくなります。

この簡単な方法は、だれでも実行できます。学者だけでなく、鈍い無知な人でも実行できます。おお、人々がこの簡単な方法を身につけられれば、神の全教会はたやすく刷新されるでしょう!ただ愛だけが必要です。聖アウグスチヌスは、「愛しなさい。それからあなたの望むことを行いなさい」と言いました。なぜなら、真に愛する時、私たちは愛する方の御旨に逆らえないからです。