ヘブル人への書

第一章

1(かみ)むかしは預言者(よげんしゃ)(たち)により、(おほ)くに(わか)ち、(おほ)くの方法(はうはふ)をもて先祖(せんぞ)たちに(かた)(たま)ひしが、 2この(すゑ)()には御子(みこ)によりて、(われ)らに(かた)(たま)へり。(かみ)(かつ)御子(みこ)()てて(よろづ)(もの)世嗣(よつぎ)となし、また御子(みこ)によりて諸般(もろもろ)世界(せかい)(つく)(たま)へり。 3御子(みこ)(かみ)榮光(えいくわう)のかがやき、(かみ)本質(ほんしつ)(かた)にして、(おの)權能(ちから)(ことば)をもて(よろづ)(もの)(たも)ちたまふ。また(つみ)(きよめ)をなして、(たか)(ところ)にある稜威(みいつ)(みぎ)()(たま)へり。 4その()(たま)ひし()御使(みつかひ)()(まさ)れるごとく、御使(みつかひ)よりは(さら)(まさ)(もの)となり(たま)へり。 5(かみ)(いづれ)御使(みつかひ)(かつ)()くは()(たま)ひしぞ
『なんぢは()()なり、
われ今日(けふ)なんぢを()めり』
と。また
『われ(かれ)(ちち)となり、
(かれ)わが()とならん』
と。 6また初子(うひご)(ふたた)()()(たま)ふとき
(かみ)(すべ)ての使(つかひ)(これ)(はい)すべし』
()(たま)ふ。 7また御使(みつかひ)たちに()きては
(かみ)は、その使(つかひ)たちを(かぜ)となし、
その(つか)ふる(もの)(ほのほ)となす』
()(たま)ふ。 8されど御子(みこ)()きては
(かみ)よ、なんじの御座(みくら)世々(よよ)(かぎ)りなく、
(なんぢ)(くに)(つゑ)(ただ)しき(つゑ)なり。
9なんぢは()(あい)し、不法(ふはふ)をにくむ。
この(ゆゑ)(かみ)なんぢの(かみ)歡喜(よろこび)(あぶら)を、
(なんぢ)(とも)(まさ)りて(なんぢ)にそそぎ(たま)へり』
と。 10また
(しゅ)よ、なんぢ太初(はじめ)()(もとゐ)()きたまへり、
(てん)御手(みて)(わざ)なり。
11これらは(ほろ)びん、されど(なんぢ)(つね)(ながら)へたまはん。
これらはみな(ころも)のごとく(ふる)びん。
12(しか)して(なんぢ)これらを(うはぎ)のごとく(たた)(たま)はん、
これらは(ころも)のごとく(かは)らん。
されど(なんぢ)はかはり(たま)ふことなく
(なんぢ)(よはひ)(をは)らざるなり』
()ひたまふ。 13(また)いづれの御使(みつかひ)(かつ)()くは()(たま)ひしぞ
『われ(なんぢ)(あた)(なんぢ)足臺(あしだい)となすまでは、
()(みぎ)()せよ』
と。 14御使(みつかひ)はみな(つか)へまつる(れい)にして、(すくひ)()がんとする(もの)のために(つとめ)()るべく(つかは)されたる(もの)にあらずや。

第二章

1この(ゆゑ)(われ)()きし(ところ)をいよいよ(あつ)(つつし)むべし、(おそ)らくは(なが)()ぐる(こと)あらん。 2()御使(みつかひ)によりて(かた)(たま)ひし(ことば)すら(かた)くせられて、(とが)()從順(じゅうじゅん)とみな(ただ)しき(むくい)()けたらんには、 3(われ)()くのごとき(おほい)なる(すくひ)等閑(なほざり)にして(いか)でか(のが)るることを()ん。この(すくひ)(はじ)(しゅ)によりて(かた)(たま)ひしものにして、()きし(もの)ども(これ)(われ)らに(かた)うし、 4(かみ)また(しるし)不思議(ふしぎ)とさまざまの能力(ちから)ある(わざ)と、御旨(みむね)のままに(わか)(あた)ふる(せい)(れい)とをもて(あかし)(くは)へたまへり。
5それ(かみ)(われ)らの(かた)るところの(きた)らんとする世界(せかい)を、御使(みつかひ)たちには(したが)はせ(たま)はざりき。 6(ある)(へん)(ひと)(あかし)して()
(ひと)如何(いか)なる(もの)なれば、
(これ)御心(みこころ)にとめ(たま)ふか。
(ひと)()如何(いか)なる(もの)なれば、
(これ)(かへり)(たま)ふか。
7(なんぢ)これを御使(みつかひ)よりも()しく(ひく)うし、
光榮(くわうえい)尊貴(たふとき)とを(かむ)らせ、
8(よろづ)(もの)をその(あし)(した)(したが)はせ(たま)へり』
と。(すで)(よろづ)(もの)(これ)(したが)はせ(たま)ひたれば、(したが)はぬものは(ひと)つだに(のこ)さるる(こと)なし。されど(いま)もなほ(われ)らは(よろづ)(もの)(これ)(したが)ひたるを()ず。 9ただ御使(みつかひ)よりも()しく(ひく)くせられしイエスの、()苦難(くるしみ)()くるによりて榮光(えいくわう)尊貴(たふとき)とを(かむ)らせられ(たま)へるを()る。これ(かみ)恩惠(めぐみ)によりて萬民(ばんみん)のために()(あぢは)(たま)はんとてなり。 10それ(おほ)くの()光榮(くわうえい)(みちび)くに、その(すくひ)(きみ)苦難(くるしみ)によりて(まった)うし(たま)ふは、(よろづ)(もの)()するところ、(よろづ)(もの)(つく)りたまふ(ところ)(もの)相應(ふさは)しき(こと)なり。 11(きよ)めたまふ(もの)も、(きよ)めらるる(もの)も、(みな)ただ(ひと)つより()づ。この(ゆゑ)(かれ)らを兄弟(きゃうだい)(とな)ふるを(はぢ)とせずして()(たま)ふ、
12『われ御名(みな)()兄弟(きゃうだい)たちに()げ、
集會(つどひ)(うち)にて(なんぢ)()(うた)はん』
13また
『われ(かれ)依頼(よりたの)まん』
(また)
()よ、(われ)(かみ)(われ)(たま)ひし()()とは……』
と。 14()()はともに血肉(けつにく)(そな)ふれば、(しゅ)もまた(おな)じく(これ)(そな)(たま)ひしなり。これは()權力(ちから)()つもの、(すなは)惡魔(あくま)()によりて(ほろぼ)し、 15かつ()(おそれ)によりて生涯(しゃうがい)奴隷(どれい)となりし(もの)どもを解放(ときはな)(たま)はんためなり。 16()(しゅ)御使(みつかひ)(たす)けずしてアブラハムの(すゑ)(たす)けたまふ。 17この(ゆゑ)(かみ)(こと)につきて憐憫(あはれみ)ある忠實(ちゅうじつ)なる(だい)祭司(さいし)となりて、(たみ)(つみ)(あがな)はんために、(すべ)ての(こと)において兄弟(きゃうだい)(ごと)くなり(たま)ひしは(うべ)なり。 18(しゅ)(みづか)(こころ)みられて(くる)しみ(たま)ひたれば、(こころ)みられるる(もの)(たす)()るなり。

第三章

1されば(とも)(てん)(めし)(かうむ)れる(せい)なる兄弟(きゃうだい)よ、(われ)らが()ひあらはす信仰(しんかう)使徒(しと)たり(だい)祭司(さいし)たるイエスを(おも)()よ。 2(かれ)(おのれ)()(たま)ひし(もの)忠實(ちゅうじつ)なるは、モーセが(かみ)全家(ぜんか)忠實(ちゅうじつ)なりしが(ごと)し。 3(いへ)(つく)(もの)(いへ)より(まさ)りて(たふと)ばるる(ごと)く、(かれ)もモーセに(まさ)りて(おほい)なる榮光(えいくわう)()くるに相應(ふさは)しき(もの)とせられ(たま)へり。 4(いへ)(すべ)(これ)(つく)(もの)あり、(よろづ)(もの)(つく)(たま)ひし(もの)(かみ)なり。 5モーセは(のち)(かた)(つた)へられんと()ることの(あかし)をせんために、(しもべ)として(かみ)全家(ぜんか)忠實(ちゅうじつ)なりしが、 6キリストは()として(かみ)(いへ)忠實(ちゅうじつ)(つかさ)どり(たま)へり。我等(われら)もし確信(かくしん)希望(のぞみ)(ほこり)とを(をはり)まで(かた)(たも)たば、(かみ)(いへ)なり。 7この(ゆゑ)(せい)(れい)()(たま)ふごとく
今日(けふ)なんぢら(かみ)(こゑ)()かば、
8その(いかり)()きし(とき)のごとく、
荒野(あらの)嘗試(こころみ)()のごとく、
こころを頑固(かたくな)にするなかれ。
9彼處(かしこ)にて(なんぢ)らの先祖(せんぞ)たちは
(われ)をこころみて(ため)し、
かつ四十(しじふ)(ねん)(あひだ)わが(わざ)()たり。
10この(ゆゑ)(われ)この()(ひと)(いきど)ほりて()へり、
(かれ)らは(つね)(こころ)まよい、
わが(みち)()らざりき」と。
11われ(いかり)をもて「(かれ)らは、
()(やすみ)()るべからず」と(ちか)へり』
12兄弟(きゃうだい)よ、(こころ)せよ、(おそ)らくは(なんぢ)()のうち()ける(かみ)(はな)れんとする()信仰(しんかう)()しき(こころ)(いだ)(もの)あらん。 13(なんぢ)()のうち(たれ)(つみ)誘惑(まどはし)によりて頑固(かたくな)にならぬやう、今日(けふ)(とな)ふる(うち)日々(ひび)(たがひ)(あひ)(すす)めよ。 14もし(はじめ)確信(かくしん)(をはり)まで(かた)(たも)たば、(われ)らはキリストに(あづか)(もの)となるなり。 15それ
今日(けふ)なんじら(かみ)(こゑ)()かば、
その(いかり)()きし(とき)のごとく、
こころを頑固(かたくな)にするなかれ』
()へ。 16()れば()きてなほ(いかり)()きし(もの)(たれ)なるか、モーセによりてエジプトを()でし(すべ)ての(ひと)にあらずや。 17また四十(しじふ)(ねん)のあひだ、(かみ)(たれ)(たい)して(いきど)ほり(たま)ひしか、(つみ)(をか)してその死屍(しかばね)荒野(あらの)(よこ)たへし人々(ひとびと)にあらずや。 18(また)かれらは()安息(やすみ)()るべからずとは、(たれ)(たい)して(ちか)(たま)ひしか、()從順(じゅうじゅん)なる(もの)にあらずや。 19(これ)によりて()れば、(かれ)らの()ること(あた)はざりしは、()信仰(しんかう)によりてなり。

第四章

1()れば(われ)(おそ)るべし、その安息(やすみ)()るべき約束(やくそく)はなほ(のこ)れども、(おそ)らくは(なんぢ)らの(うち)これに(たっ)せざる(もの)あらん。 2それは(かれ)らのごとく(われ)らも()音信(おとづれ)(つた)へられたり、()れど(かれ)らには()きし(ところ)(ことば)(えき)なかりき。()くもの(これ)信仰(しんかう)をまじへざりしに()る。 3われら(しん)じたる(もの)は、かの(やすみ)()ることを()るなり。
『われ(いかり)をもて「(かれ)らは、
わが(やすみ)()るべからず」と(ちか)へり』
()(たま)ひしが(ごと)し。されど()(はじめ)より御業(みわざ)(すで)()れるなり。 4(ある)(へん)七日(なぬか)めに()きて()()へり『七日(なぬか)めに(かみ)その(すべ)ての(わざ)(やす)みたまへり』と。 5また(ここ)
『かれらは、
()(やすみ)()るべからず』
()へり。 6()れば(これ)()るべき(もの)なほ()り、(さき)()音信(おとづれ)(つた)へられし(もの)らは、()從順(じゅうじゅん)によりて()ることを()ざりしなれば、 7(ひさ)しきを()てのち(また)()(さだ)めダビデによりて『今日(けふ)』と()(たま)ふ。(さき)(しる)したるが(ごと)し。(いは)
今日(けふ)なんじら(かみ)(こゑ)()かば、
こころを頑固(かたくな)にするなかれ』
8()しヨシュア(すで)(やすみ)(かれ)らに()しめしならば、(かみ)はその(のち)、ほかの()につきて(かた)(たま)はざりしならん。 9()れば(かみ)(たみ)(ため)になほ安息(あんそく)(のこ)れり。 10(すで)(かみ)(やすみ)()りたる(もの)は、(かみ)のその(わざ)(やす)(たま)ひしごとく、(おの)(わざ)(やす)めり。 11されば我等(われら)はこの(やすみ)()らんことを(つと)むべし、(これ)かの()從順(じゅうじゅん)(れい)にならひて(たれ)()つることなからん(ため)なり。 12(かみ)(ことば)生命(いのち)あり、能力(ちから)あり、兩刃(もろは)(つるぎ)よりも()くして、精神(せいしん)靈魂(たましひ)關節(ふしぶし)骨髓(こつずゐ)(とほ)して(これ)(わか)ち、(こころ)(おもひ)志望(こころざし)とを(ため)すなり。 13また(つく)られたる(もの)(ひと)つとして(かみ)(まへ)(あらは)れぬはなし、(よろづ)(もの)(われ)らが(かかは)れる(かみ)()のまへに(はだか)にて(あらは)るるなり。
14我等(われら)には、もろもろの(てん)(とほ)(たま)ひし(おほひ)なる(だい)祭司(さいし)(かみ)()イエスあり。()れば(われ)らが()ひあらはす信仰(しんかう)(かた)(たも)つべし。 15(われ)らの(だい)祭司(さいし)(われ)らの(よわき)(おも)()ること(あた)はぬ(もの)にあらず、(つみ)(ほか)にして(すべ)ての(こと)、われらと(ひと)しく(こころ)みられ(たま)へり。 16この(ゆゑ)(われ)らは憐憫(あはれみ)()けんが(ため)、また(をり)()(たすけ)となる(めぐみ)()んがために、(はばか)らずして(めぐみ)御座(みくら)(きた)るべし。

第五章

1(おほよ)(だい)祭司(さいし)(ひと)(うち)より(えら)ばれ、(つみ)のために供物(そなへもの)犧牲(いけにへ)とを(ささ)げんとて、(ひと)にかはりて(かみ)(つか)ふることを(にん)ぜらる。 2(かれ)(みづか)らも(よわき)(まと)はるるが(ゆゑ)に、無知(むち)なるもの、(まよ)へる(もの)(おも)()ることを()るなり。 3(これ)によりて(たみ)のために()すごとく、また(おのれ)のためにも(つみ)()きて献物(ささげもの)をなさざるべからず。 4(また)この(たふと)(くらゐ)はアロンのごとく(かみ)()さるるにあらずば、(たれ)(みづか)(これ)()(もの)なし。 5()くの(ごと)くキリストも(おのれ)(あが)めて(みづか)(だい)祭司(さいし)となり(たま)はず。(これ)(むか)ひて
『なんじは()()なり、
われ今日(けふ)なんじを()めり』
(かた)(たま)ひし(もの)、これを()てたり。 6また(ほか)(へん)
『なんじは永遠(とこしへ)にメルキゼデクの(くらゐ)(ひと)しき祭司(さいし)たり』
()(たま)へるが(ごと)し。 7キリストは肉體(にくたい)にて(いま)ししとき、(おほい)なる(さけび)(なみだ)とをもて、(おのれ)()より(すく)()(もの)(いのり)(ねがひ)とを(ささ)げ、その恭敬(うやうやしき)によりて()かれ(たま)へり。 8(かれ)御子(みこ)なれど、()けし(ところ)苦難(くるしみ)によりて從順(じゅうじゅん)(まな)び、 9かつ(まった)うせられたれば、(すべ)(おのれ)(したが)(もの)のために永遠(とこしへ)(すくひ)(もと)となりて、 10(かみ)よりメルキゼデクの(くらゐ)(ひと)しき(だい)祭司(さいし)(とな)へられ(たま)へり。
11(これ)()きて(われ)(おほ)くの()ふべき(こと)あれど、(なんぢ)()くに(にぶ)くなりたれば()(かた)し。 12なんじら(とき)()ること(ひさ)しければ、教師(けうし)となるべき(もの)なるに、(いま)また(かみ)(ことば)初歩(しょほ)(ひと)より(をし)へられざるを()ず、(なんぢ)らは(かた)食物(しょくもつ)ならで(ちち)(えう)する(もの)となれり。 13おほよそ(ちち)(もち)ふる(もの)幼兒(をさなご)なれば、(いま)()(ことば)(じゅく)せず、 14(かた)食物(しょくもつ)智力(ちりょく)練習(れんしふ)して善惡(ぜんあく)(わきま)ふる成人(おとな)(もち)ふるものなり。

第六章

1この(ゆゑ)(われ)らはキリストの(をしへ)初歩(しょほ)(とどま)ることなく、(ふたた)()にたる行爲(おこなひ)悔改(くいあらため)(かみ)(たい)する信仰(しんかう)との(もとゐ)2また各樣(さまざま)のバプテスマと按手(あんしゅ)と、死人(しにん)復活(よみがへり)永遠(とこしへ)審判(さばき)との(をしへ)(もとゐ)()かずして完全(まったき)(すす)むべし。 3(かみ)もし(ゆる)(たま)はば、(われ)(これ)をなさん。 4(ひと)たび(てら)されて(てん)よりの賜物(たまもの)(あぢは)ひ、(せい)(れい)(あづか)(もの)となり、 5(かみ)()(ことば)來世(らいせい)能力(ちから)とを(あぢは)ひて(のち)6墮落(だらく)する(もの)(さら)にまた(みづか)(かみ)()十字架(じふじか)()けて(さら)(もの)とする(ゆゑ)に、(ふたた)びこれを悔改(くいあらため)立返(たちかへ)らすること(あた)はざるなり。 7それ()しばしば()(うへ)()(あめ)()()れて(たがや)(もの)(えき)となるべき作物(さくもつ)(しゃう)ぜば、(かみ)より祝福(しくふく)()く。 8されど(いばら)(あざみ)とを(しゃう)ぜば、()てられ、かつ(のろひ)(ちか)く、その()ては()かるるなり。
9(あい)する(もの)よ、われら()くは(かた)れど、(なんぢ)らには(さら)()きこと、(すなは)(すくひ)にかかはる(こと)あるを(ふか)(しん)ず。 10(かみ)不義(ふぎ)(いま)さねば、(なんぢ)らの勤勞(はたらき)と、(さき)聖徒(せいと)につかへ、(いま)もなほ(これ)(つか)へて御名(みな)のために(あらは)したる(あい)とを(わす)(たま)ふことなし。 11(われ)らは(なんぢ)()がおのおの(をはり)まで(まへ)(おな)(はげみ)をあらはして(まった)(のぞみ)(たも)ち、 12(おこた)ることなく、信仰(しんかう)耐忍(しのび)とをもて約束(やくそく)()人々(ひとびと)(なら)はんことを(もと)む。
13それ(かみ)はアブラハムに(やく)(たま)ふとき、()して(ちか)ふべき(おのれ)より(おほい)なる(もの)なき(ゆゑ)に、(おのれ)()して(ちか)ひて()(たま)へり、 14『われ(かなら)ず、なんぢを(めぐ)(めぐ)まん、なんぢを(ふや)(ふや)さん』と、 15()くの(ごと)くアブラハムは()(しの)びて約束(やくそく)のものを()たり。 16おほよそ(ひと)(おのれ)より(おほい)なる(もの)()して(ちか)ふ、その(ちかひ)はすべての爭論(あらそひ)()むる保證(ほしょう)たり。 17この(ゆゑ)(かみ)約束(やくそく)()(もの)御旨(みむね)(かは)らぬことを充分(じゅうぶん)(しめ)さんと(ほっ)して(ちかひ)(くは)(たま)へり。 18これ(かみ)(いつは)ること(あた)はぬ(ふた)つの(かは)らぬものによりて、(おのれ)(まへ)()かれたる希望(のぞみ)(とら)へんとて(のが)れたる(われ)らに(つよ)奨勵(しゃうれい)(あた)へん(ため)なり。 19この希望(のぞみ)(われ)らの靈魂(たましひ)(いかり)のごとく安全(あんぜん)にして(うご)かず、かつ(まく)(うち)()る。 20イエス我等(われら)のために前驅(さきがけ)し、永遠(とこしへ)にメルキゼデクの(くらゐ)(ひと)しき(だい)祭司(さいし)となりて、その(ところ)()(たま)へり。

第七章

1()のメルキゼデクはサレムの(わう)にて至高(いとたか)(かみ)祭司(さいし)たりしが、(わう)たちを(やぶ)りて(かへ)るアブラハムを(むか)へて祝福(しくふく)せり。 2アブラハムは(かれ)(すべ)ての(もの)十分(じふぶん)(いち)()(あた)へたり。その()()けば第一(だいいち)()(わう)(つぎ)にサレムの(わう)、すなはち平和(へいわ)(わう)なり。 3(ちち)なく、(はは)なく、系圖(けいづ)なく、(よはひ)(はじめ)なく、生命(いのち)(をはり)なく、(かみ)()(ごと)くにして(かぎ)りなく祭司(さいし)たり。
4先祖(せんぞ)アブラハム分捕物(ぶんどりもの)のうち十分(じふぶん)(いち)(もっと)()(もの)(これ)(あた)へたれば、その(ひと)如何(いか)(たふと)きかを(おも)ふべし。 5レビの()()のうち祭司(さいし)(つとめ)()くる(もの)は、律法(おきて)によりて、(たみ)すなはちアブラハムの(こし)より()でたる(おの)兄弟(きゃうだい)より、十分(じふぶん)(いち)()ることを(めい)ぜらる。 6されど()血脈(ちすぢ)にあらぬ(かれ)は、アブラハムより十分(じふぶん)(いち)()りて約束(やくそく)()けし(もの)祝福(しくふく)せり。 7それ(せう)なる(もの)(だい)なる(もの)祝福(しくふく)せらるるは(ろん)なき(こと)なり。 8かつ此所(ここ)にては()ぬべき(もの)十分(じふぶん)(いち)()くれども、彼處(かしこ)にては『()くるなり』と(あかし)せられた(もの)これを()く。 9また十分(じふぶん)(いち)()くるレビすら、アブラハムに()りて十分(じふぶん)(いち)(をさ)めたりと()ふも()なり。 10そはメルキゼデクのアブラハムを(むか)へし(とき)に、レビはなほ(ちち)(こし)()りたればなり。
11もしレビの(すぢ)なる祭司(さいし)によりて(まった)うせらるる(こと)ありしならば((たみ)(これ)によりて律法(おきて)()けたり)(なに)ぞなほ(ほか)にアロンの(くらゐ)(ひと)しからぬメルキゼデクの(くらゐ)(ひと)しき祭司(さいし)(おこ)必要(ひつえう)あらんや。 12祭司(さいし)(かは)(とき)には律法(おきて)(また)(かなら)(かは)るべきなり。 13(これ)()のことは(かつ)祭壇(さいだん)(つか)へたることなき(ほか)(やから)(ぞく)する(もの)をさして()へるなり。 14それ(われ)らの(しゅ)のユダより()(たま)へるは(あきら)かにして、()(やから)につき、モーセは(いささ)かも祭司(さいし)(かかは)ることを()はざりき。 15 7:16(また)メルキゼデクのごとき(ほか)祭司(さいし)おこり、(にく)誡命(いましめ)(のり)()らず、()ちざる生命(いのち)能力(ちから)によりて()てられたれば、()()(ところ)いよいよ(あきら)かなり。 17そは『なんぢは永遠(とこしへ)にメルキゼデクの(くらゐ)(ひと)しき祭司(さいし)たり』と(あかし)せられ(たま)へばなり。 18(さき)誡命(いましめ)(よわ)く、かつ(えき)なき(ゆゑ)(はい)せられ、 19律法(おきて)(なに)をも(まった)うせざりしなり)(さら)(すぐ)れたる希望(のぞみ)()かれたり、この希望(のぞみ)によりて(われ)らは(かみ)(ちか)づくなり。 20かの人々(ひとびと)(ちかひ)なくして祭司(さいし)とせられたれども、 21(かれ)(ちかひ)なくしては()られず、(ちかひ)をもて祭司(さいし)とせられ(たま)へり。(すなは)(かれ)()きて
(しゅ)ちかひて()(たま)はず、
「なんじは永遠(とこしへ)祭司(さいし)たり」』
()(たま)ひしが(ごと)し。 22イエスは()くも(すぐ)れたる契約(けいやく)保證(ほしょう)となり(たま)へり。 23かの人々(ひとびと)()によりて(なが)くその(つとめ)(とどま)ることを()ざる(ゆゑ)に、祭司(さいし)となりし(もの)(かず)(おほ)かりき。 24されど(かれ)永遠(とこしへ)(いま)せば(かは)ることなき祭司(さいし)(つとめ)(たも)ちたまふ。 25この(ゆゑ)(かれ)(おのれ)()りて(かみ)にきたる(もの)のために執成(とりなし)をなさんとて(つね)()くれば、(これ)(まった)(すく)ふこと得給(えたま)ふなり。
26()くのごとき(だい)祭司(さいし)こそ(われ)らに相應(ふさは)しき(もの)なれ、(すなは)(せい)にして(あく)なく、(けがれ)なく、罪人(つみびと)より(とほ)ざかり、諸般(もろもろ)(てん)よりも(たか)くせられ(たま)へり。 27(ほか)(だい)祭司(さいし)のごとく()(おのれ)(つみ)のため、(つぎ)(たみ)(つみ)のために日々(ひび)犧牲(いけにへ)(ささ)ぐるを(えう)(たま)はず、その(ひと)たび(おのれ)(ささ)げて(これ)()(たま)ひたればなり。 28律法(おきて)(よわき)みある人々(ひとびと)()てて(だい)祭司(さいし)とすれども、律法(おきて)(のち)なる(ちかひ)御言(みことば)は、永遠(とこしへ)(まった)うせられ(たま)へる御子(みこ)(だい)祭司(さいし)となせり。

第八章

1(いま)いふ(ところ)要點(やうてん)()くのごとき(だい)祭司(さいし)(われ)らにある(こと)なり。(かれ)(てん)にては稜威(みいつ)御座(みくら)(みぎ)()し、 2聖所(せいじょ)および(まこと)幕屋(まくや)(つか)へたまふ。この幕屋(まくや)(ひと)(まう)くるものにあらず、(しゅ)(まう)けたまふ(ところ)なり。 3おおよそ(だい)祭司(さいし)()てらるるは供物(そなへもの)犧牲(いけにへ)とを(ささ)げん(ため)なり、この(ゆゑ)(かれ)もまた(ささ)ぐべき(もの)あるべきなり。 4(しか)るに()()(いま)さば、(すで)律法(おきて)(したが)ひて供物(そなへもの)(ささ)ぐる祭司(さいし)()あるによりて祭司(さいし)とはなり(たま)はざるべし。 5(かれ)らの(つか)ふるは、(てん)にある(もの)(かた)(かげ)となり。モーセが幕屋(まくや)()てんとする(とき)に『(つつし)め、(やま)にて(なんぢ)(しめ)されたる(かた)(なら)ひて(すべ)ての(もの)(つく)れ』との御告(みつげ)()けしが(ごと)し。 6されどキリストは(さら)(まさ)れる約束(やくそく)(もとづ)きて()てられし(まさ)れる契約(けいやく)中保(なかだち)となりたれば、(さら)(まさ)(つとめ)()(たま)へり。 7かつ(はじめ)契約(けいやく)もし()くる(ところ)なくば、第二(だいに)契約(けいやく)(もと)むる(こと)なかりしならん。 8(しか)るに(かれ)らを(とが)めて()(たま)
(しゅ)いひ(たま)ふ「()よ、
(われ)イスラエルの(いへ)とユダの(いへ)とに、
(あたら)しき契約(けいやく)(まう)くる()(きた)らん。
9この契約(けいやく)(われ)かれらの先祖(せんぞ)()()りて、
エジプトの()より(みちび)(いだ)しし(とき)
()てし(ところ)(ごと)きにあらず、
(かれ)らは()契約(けいやく)にとどまらず、
(われ)(かれ)らを(かへり)みざりしなり」
(しゅ)いひ(たま)ふ。
10「されば、かの()(のち)()がイスラエルの(いへ)()つる契約(けいやく)(これ)なり」
(しゅ)いひ(たま)ふ。
「われ()律法(おきて)(かれ)らの(おもひ)()き、
そのこころに(これ)(しる)さん、
また(われ)かれらの(かみ)となり、
(かれ)らは()(たみ)とならん。
11(かれ)らはまた各人(おのおの)その國人(くにびと)に、
その兄弟(きゃうだい)(をし)へて、
なんじ(しゅ)()れと()はざるべし。
そは(せう)より(だい)(いた)るまで、
(みな)われを()らん。
12(われ)もその不義(ふぎ)(あはれ)み、
この(のち)また()(つみ)(おも)()でざるべし』
と。 13(すで)に『(あたら)し』と()(たま)へば、(はじめ)のものを(ふる)しとし(たま)へるなり、(ふる)びて(おとろ)ふるものは、消失(きえう)せんとするなり。

第九章

1(はじめ)契約(けいやく)には禮拜(れいはい)(さだめ)()(ぞく)する聖所(せいじょ)とありき。 2(まう)けられたる幕屋(まくや)あり、(まへ)なるを聖所(せいじょ)(とな)へ、その(うち)燈臺(とうだい)(つくゑ)(そなへ)のパンとあり。 3また第二(だいに)(まく)(うしろ)()聖所(せいじょ)(とな)ふる幕屋(まくや)あり。 4その(うち)(きん)香壇(かうだん)(きん)にて(あまね)(おほ)ひたる契約(けいやく)(ひつ)とあり、この(うち)にマナを()れたる(きん)(つぼ)(めざ)したるアロンの(つゑ)契約(けいやく)石碑(いしぶみ)とあり、 5(ひつ)(うへ)榮光(えいくわう)のケルビムありて贖罪所(しょくざいしょ)(おほ)ふ。これらの(もの)()きては、(いま)一々(いちいち)()ふこと(あた)はず、 6(これ)()のもの()(そなは)りたれば、祭司(さいし)たちは(つね)(まへ)なる幕屋(まくや)()りて禮拜(れいはい)をおこなふ。 7されど(おく)なる幕屋(まくや)には、(だい)祭司(さいし)のみ(とし)一度(ひとたび)おのれと(たみ)との過失(あやまち)のために(ささ)ぐる()(たづさ)へて()るなり。 8(これ)によりて(せい)(れい)(まへ)なる幕屋(まくや)のなほ(そん)するあひだ、()聖所(せいじょ)()(みち)(いま)(あらは)れざるを(しめ)(たま)ふ。 9この幕屋(まくや)はその(とき)のために(まう)けられたる比喩(たとへ)なり、(これ)(したが)ひて(ささ)げたる供物(そなへもの)犧牲(いけにへ)とは、禮拜(れいはい)をなす(もの)良心(りゃうしん)(まった)うすること(あた)はざりき。 10(これ)()はただ食物(くひもの)飮物(のみもの)さまざまの濯事(すすぎごと)などに(かかは)り、(にく)(ぞく)する(さだめ)にして、改革(かいかく)(とき)まで(おは)せられたるのみ。
11()れどキリストは(きた)らんとする()(こと)(だい)祭司(さいし)として(きた)り、()にて(つく)らぬ()()(ぞく)せぬ(さら)(おほい)なる(まった)幕屋(まくや)()て、 12山羊(やぎ)(こうし)との()(もち)ひず、(おの)()をもて(ただ)(ひと)たび()聖所(せいじょ)()りて、永遠(とこしへ)贖罪(あがなひ)()へたまへり。 13もし山羊(やぎ)および牡牛(をうし)()牝牛(めうし)(はひ)などを(けが)れし(もの)にそそぎて()肉體(にくたい)(きよ)むることを()ば、 14まして永遠(とこしへ)御靈(みたま)により(きず)なくして(おのれ)(かみ)(ささ)(たま)ひしキリストの()は、(われ)らの良心(りゃうしん)()にたる行爲(おこなひ)より(きよ)めて()ける(かみ)(つか)へしめざらんや。 15この(ゆゑ)(かれ)(あたら)しき契約(けいやく)中保(なかだち)なり。これ(はじめ)契約(けいやく)(した)(をか)したる(とが)(あがな)ふべき()あるによりて、()されたる(もの)約束(やくそく)永遠(とこしへ)嗣業(しげふ)()けさせん(ため)なり。 16それ遺言(ゆゐごん)(かなら)遺言(ゆゐごん)(しゃ)()(えう)す。 17遺言(ゆゐごん)遺言(ゆゐごん)(しゃ)()にてのち(はじ)めて(かう)あり、遺言(ゆゐごん)(しゃ)()くる(うち)(かう)なきなり。 18この(ゆゑ)(はじめ)契約(けいやく)()なくして()てしにあらず。 19モーセ律法(おきて)(したが)ひて諸般(もろもろ)誡命(いましめ)をすべての(たみ)()げてのち、(こうし)山羊(やぎ)との()また(みづ)緋色(ひいろ)()とヒソプとをとりて、(ふみ)および(すべ)ての(たみ)にそそぎて()ふ、 20『これ(かみ)(なんぢ)らに(めい)じたまふ契約(けいやく)()なり』と。 21また(おな)じく幕屋(まくや)(まつり)のすべての(うつは)とに()をそそげり。 22おほよそ律法(おきて)によれば、(よろづ)のもの()をもて(きよ)めらる。もし()(なが)すことなくば、(ゆる)さるることなし。
23この(ゆゑ)(てん)()るものに(かたど)りたる(もの)(これ)()にて(きよ)められ、(てん)にある(もの)(これ)()(まさ)りたる犧牲(いけにへ)をもて(きよ)めらるべきなり。 24キリストは(まこと)のものに(かたど)れる、()にて(つく)りたる聖所(せいじょ)()らず、(まこと)(てん)()りて(いま)より我等(われら)のために(かみ)(まへ)にあらはれ(たま)ふ。 25これ(だい)祭司(さいし)(とし)ごとに(ほか)(もの)()をもて聖所(せいじょ)()るごとく、屡次(しばしば)おのれを(ささ)ぐる(ため)にあらず。 26もし(しか)らずば()(はじめ)より以來(このかた)しばしば苦難(くるしみ)()(たま)ふべきなり。()れど(いま)()(すゑ)にいたり(おのれ)犧牲(いけにへ)となして(つみ)(のぞ)かんために(ひと)たび(あらは)れたまへり。 27(ひと)たび()ぬることと()にてのち審判(さばき)()くることとの(ひと)(さだま)りたる(ごと)く、 28キリストも(また)おほくの(ひと)(つみ)()はんが(ため)(ひと)たび(ささ)げられ、(また)(つみ)()ふことなく、(おのれ)(まち)(のぞ)(もの)(ふたた)(あらは)れて(すくひ)()させ(たま)ふべし。

第十章

1それ律法(おきて)(きた)らんとする()(こと)(かげ)にして(まこと)(かたち)にあらねば、年毎(としごと)にたえず(ささ)ぐる(おな)犧牲(いけにへ)にて、(かみ)にきたる(もの)何時(いつ)までも(まった)うすることを()ざるなり。 2もし(これ)()ば、禮拜(れいはい)をなす(もの)(ひと)たび(きよ)められて(また)(こころ)(つみ)(おぼ)えねば、(ささ)ぐることを()めしならん。 3()れど犧牲(いけにへ)によりて、(とし)ごとに(つみ)(おぼ)ゆるなり。 4これ牡牛(をうし)山羊(やぎ)との()(つみ)(のぞ)くこと(あた)はざるに()る。 5この(ゆゑ)にキリスト()(きた)るとき()(たま)
『なんぢ犧牲(いけにへ)供物(そなへもの)とを(ほっ)せず、
(ただ)わが(ため)(からだ)(そな)へたまへり。
6なんぢ燔祭(はんさい)罪祭(ざいさい)とを(よろこ)(たま)はず、
7その(とき)われ()ふ「(かみ)よ、(われ)なんぢの
御意(みこころ)(おこな)はんとて(きた)る」
(われ)につきて(ふみ)(まき)(しる)されたるが(ごと)し』
と。 8(さき)には『(なんぢ)いけにへと供物(そなへもの)燔祭(はんさい)罪祭(ざいさい)と((すなは)律法(おきて)(したが)ひて(ささ)ぐる(もの))を(ほっ)せず、また(よろこ)ばず』と()ひ、 9(のち)に『()よ、(われ)なんぢの御意(みこころ)(おこな)はんとて(きた)る』と()(たま)へり。その(のち)なる(もの)()てん(ため)に、その(さき)なる(もの)(のぞ)(たま)ふなり。 10この御意(みこころ)(かな)ひてイエス・キリストの(からだ)(ひと)たび(ささ)げられしに()りて(われ)らは(きよ)められたり。 11すべての祭司(さいし)日毎(ひごと)()ちて(つか)へ、いつまでも(つみ)(のぞ)くこと(あた)はぬ(おな)犧牲(いけにへ)をしばしば(ささ)ぐ。 12()れどキリストは(つみ)のために(ひと)つの犧牲(いけにへ)(ささ)げて(かぎ)りなく(かみ)(みぎ)()し、 13()くて(おの)(あた)(おの)足臺(あしだい)とせられん(とき)()ちたまふ。 14そは(きよ)めらるる(もの)(ひと)つの供物(そなへもの)にて(かぎ)りなく(まった)うし(たま)ふなり。 15(せい)(れい)(また)われらに(これ)(あかし)して
16『「この()(のち)、われ(かれ)らと()つる契約(けいやく)(これ)なり」
(しゅ)いひ(たま)ふ。また
「わが律法(おきて)をその(こころ)()き、その(おもひ)(しる)さん」』
()(たま)ひて、
17『この(のち)また(かれ)らの(つみ)不法(ふはふ)とを(おも)()でざるべし』
()ひたまふ。 18かかる(ゆるし)ある(うへ)は、もはや(つみ)のために献物(ささげもの)をなす(えう)なし。
19()れば兄弟(きゃうだい)よ、(われ)らイエスの()により、 20その肉體(にくたい)たる(まく)()(われ)らに(ひら)(たま)へる(あたら)しき()ける(みち)より(はばか)らずして()聖所(せいじょ)()ることを()21かつ(かみ)(いへ)(をさ)むる(おほい)なる祭司(さいし)()たれば、 22(こころ)(すす)がれて良心(りゃうしん)(とが)をさり、()(きよ)(みづ)にて(あら)はれ、(まこと)(こころ)(まった)信仰(しんかう)とをもて(かみ)(ちか)づくべし。 23また約束(やくそく)(たま)ひし(もの)忠實(ちゅうじつ)なれば、(われ)()ひあらはす(ところ)(のぞみ)(うご)かさずして(かた)(まも)り、 24(たがひ)(あひ)(かへり)み、(あい)()(わざ)とを(はげ)まし、 25集會(あつまり)をやむる(ある)(ひと)習慣(ならはし)(ごと)くせず、(たがひ)(すす)()ひ、かの()のいよいよ(ちか)づくを()て、ますます()くの(ごと)くすべし。
26我等(われら)もし眞理(しんり)()知識(ちしき)をうけたる(のち)、ことさらに(つみ)(をか)して()めずば、(つみ)のために犧牲(いけにへ)、もはや()し。 27ただ(おそ)れつつ審判(さばき)()つことと、(さから)(もの)()きつくす(はげ)しき()とのみ(のこ)るなり。 28モーセの律法(おきて)(なみ)する(もの)慈悲(じひ)()くることなく、二三人(にさんにん)證人(しょうにん)によりて()(いた)る。 29まして(かみ)()()みつけ、(おの)(きよ)められし契約(けいやく)()(きよ)からずとなし、恩惠(めぐみ)御靈(みたま)(あなど)(もの)()くべき(ばつ)(おも)きこと如何許(いかばかり)とおもふか。 30(あた)(かへ)すは(われ)()り、われ(これ)(むく)いん』と()ひ、また『(しゅ)その(たみ)(さば)かん』と()(たま)ひし(もの)(われ)らは()るなり。 31()ける(かみ)御手(みて)(おちい)るは(おそ)るべきかな。
32なんぢら御光(みひかり)()けしのち苦難(くるしみ)(おほい)なる戰鬪(たたかひ)()へし(さき)()(おも)()でよ。 33(あるひ)誹謗(そしり)患難(なやみ)とに()ひて觀物(みもの)にせられ、(あるひ)()かることに()(ひと)(とも)となれり。 34また囚人(めしうど)となれる(もの)(おも)ひやり、(なが)(そん)する(もっと)(まさ)れる所有(もちもの)(おのれ)にあるを()りて、()所有(もちもの)(うば)はるるをも(よろこ)びて(しの)びたり。 35されば(おほい)なる(むくい)()くべき(なんぢ)らの確信(かくしん)()げすつな。 36なんぢら(かみ)御意(みこころ)(おこな)ひて約束(やくそく)のものを()けん(ため)必要(ひつえう)なるは忍耐(にんたい)なり。
37『いま(しばら)くせば、
(きた)るべき(もの)きたらん、
(おそ)からじ。 38(われ)()ける義人(ぎじん)は、信仰(しんかう)によりて()くべし。
もし退(しりぞ)かば、わが(こころ)これを(よろこ)ばじ』
39()れど(われ)らは退(しりぞ)きて滅亡(ほろび)(いた)(もの)にあらず、靈魂(たましひ)()るに(いた)信仰(しんかう)(たも)(もの)なり。

第十一章

1それ信仰(しんかう)(のぞ)むところを確信(かくしん)し、()(もの)眞實(まこと)とするなり。 2(いにし)への(ひと)(これ)によりて(あかし)せられたり。 3信仰(しんかう)によりて我等(われら)は、もろもろの世界(せかい)(かみ)(ことば)にて(つく)られ、()ゆる(もの)(あらは)るる(もの)より()らざるを(さと)る。 4信仰(しんかう)()りてアベルはカインよりも(まさ)れる犧牲(いけにへ)(かみ)(ささ)げ、(これ)によりて(ただ)しと(あかし)せられたり。(かみ)その供物(そなへもの)につきて(あかし)(たま)へばなり。(かれ)()ぬれども、信仰(しんかう)によりて(いま)なほ(かた)る。 5信仰(しんかう)()りてエノクは()()ぬように(うつ)されたり。(かみ)これを(うつ)(たま)ひたれば見出(みいだ)されざりき。その(うつ)さるる(さき)(かみ)(よろこ)ばるることを(あかし)せられたり。 6信仰(しんかう)なくしては(かみ)(よろこ)ばるること(あた)はず、そは(かみ)(きた)(もの)は、(かみ)(いま)すことと(かみ)(おのれ)(もと)むる(もの)(むく)(たま)ふこととを、(かなら)(しん)ずべければなり。 7信仰(しんかう)()りてノアは、(いま)()ざる(こと)につきて御告(みつげ)(かうむ)り、(おそれ)みてその(いへ)(もの)(すく)はん(ため)方舟(はこぶね)(つく)り、かつ(これ)によりて()(つみ)(さだ)め、また信仰(しんかう)()()世嗣(よつぎ)となれり。 8信仰(しんかう)()りてアブラハムは()されしとき嗣業(しげふ)として()くべき()()()けとの(めい)(したが)ひ、その()(ところ)()らずして()()けり。 9信仰(しんかう)により異國(ことくに)()るごとく約束(やくそく)()(やど)り、(おな)約束(やくそく)()ぐべきイサクとヤコブと(とも)幕屋(まくや)()めり、 10これ(かみ)(いとな)(つく)りたまふ基礎(もとゐ)ある(みやこ)(のぞ)めばなり。 11信仰(しんかう)()りてサラも約束(やくそく)したまふ(もの)忠實(ちゅうじつ)なるを(おも)ひし(ゆゑ)に、(とし)()ぎたれど(たね)をやどす(ちから)()けたり。 12この(ゆゑ)()にたる(もの)のごとき一人(ひとり)より(てん)(ほし)のごとく、また海邊(うみべ)(かぞ)へがたき(すな)のごとく夥多(おびただ)しく(うま)()でたり。
13(かれ)()はみな信仰(しんかう)(いだ)きて()にたり、(いま)約束(やくそく)(もの)()けざりしが、(はるか)にこれを()(むか)へ、()にては旅人(たびびと)また(やど)れる(もの)なるを()ひあらはせり。 14()()ふは、(おの)故郷(ふるさと)(もと)むることを(あらは)すなり。 15()しその()でし(ところ)(おも)はば、(かへ)るべき(をり)ありしなるべし。 16されど(かれ)らの(した)(ところ)(てん)にある(さら)(まさ)りたる(ところ)なり。この(ゆゑ)(かみ)(かれ)らの(かみ)(とな)へらるるを(はぢ)とし(たま)はず、そは(かれ)()のために(みやこ)(そな)(たま)へばなり。
17信仰(しんかう)()りてアブラハムは(こころ)みられし(とき)イサクを(ささ)げたり、(かれ)約束(やくそく)(よろこ)()けし(もの)なるに、その獨子(ひとりご)(ささ)げたり。 18(かれ)(たい)しては『イサクより()づる(もの)なんぢの(すゑ)(とな)へらるべし』と()(たま)ひしなり。 19かれ(おも)へらく、(かみ)死人(しにん)(うち)より(これ)(よみが)へらすることを得給(えたま)ふと、(すなは)()より(これ)()けしが(ごと)くなりき。 20信仰(しんかう)()りてイサクは(きた)らんとする(こと)につきヤコブとエサウとを祝福(しくふく)せり。 21信仰(しんかう)()りてヤコブは()ぬる(とき)ヨセフの()()をおのおの祝福(しくふく)し、その(つゑ)(かしら)によりて禮拜(れいはい)せり。 22信仰(しんかう)()りてヨセフは生命(いのち)(をは)らんとする(とき)、イスラエルの()らの()()つことに()きて(かた)り、(また)おのが(ほね)のことを(めい)じたり。 23信仰(しんかう)()りて兩親(ふたおや)はモーセの(うま)れたる(とき)、その(うるわ)しき()なるを()て、(わう)(めい)をも(おそ)れずして三月(みつき)(あひだ)これを(かく)したり。 24信仰(しんかう)()りてモーセは(ひと)()りしときパロの(むすめ)()(とな)へらるるを(いな)み、 25(つみ)のはかなき歡樂(たのしみ)()けんよりは、(むし)(かみ)(たみ)とともに(くる)しまんことを()しとし、 26キリストに()(そしり)はエジプトの財寶(たから)にまさる(おほい)なる(とみ)(おも)へり、これ(むくい)(のぞ)めばなり。 27信仰(しんかう)()りて(かれ)(わう)憤恚(いきどほり)(おそ)れずしてエジプトを()れり。これ()えざる(もの)()るがごとく()ふる(こと)をすればなり。 28信仰(しんかう)()りて(かれ)過越(すぎこし)()(そそ)ぐこととを(おこな)へり、これ初子(うひご)(ほろび)(もの)(かれ)らに()れざらん(ため)なり。 29信仰(しんかう)()りてイスラエル(ひと)紅海(こうかい)(かわ)ける()のごとく(わた)りしが、エジプト(ひと)(しか)せんと(こころ)みて(おぼ)()にたり。 30信仰(しんかう)()りて七日(なぬか)のあいだ(まは)りたればエリコの石垣(いしがき)(くづ)れたり。 31信仰(しんかう)()りて遊女(あそびめ)ラハブは平和(へいわ)をもて間者(かんじゃ)()けたれば、()從順(じゅうじゅん)(もの)とともに(ほろ)びざりき。 32この(ほか)なにを()ふべきか、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル(およ)預言者(よげんしゃ)たちに()きて(かた)らば、(とき)()らざるべし。 33(かれ)らは信仰(しんかう)によりて國々(くにぐに)(したが)へ、()をおこなひ、約束(やくそく)のものを()獅子(しし)(くち)をふさぎ、 34()勢力(いきほひ)()し、(つるぎ)()をのがれ、(よわき)よりして(つよ)くせられ、戰爭(いくさ)(いさ)ましくなり、異國人(ことくにびと)軍勢(ぐんぜい)退(しりぞ)かせたり。 35(をんな)()にたる(もの)復活(よみがへり)()、ある(ひと)(さら)(まさ)りたる復活(よみがへり)()んために、(ゆる)さるることを(ねが)はずして極刑(きょくけい)(あま)んじたり。 36その(ほか)(もの)嘲笑(あざけり)(むち)と、また縲絏(なはめ)牢獄(ひとや)との試錬(こころみ)()け、 37(ある)(もの)(いし)にて()たれ、(こころ)みられ、鐵鋸(のこぎり)にて()かれ、(つるぎ)にて(ころ)され、(ひつじ)山羊(やぎ)(かは)(まと)ひて()あるき、(とも)しくなり、(なやま)され、(くる)しめられ、 38()(かれ)らを()くに()へず)荒野(あらの)(やま)(ほら)()(あな)とに(さまよ)へり。 39(かれ)()はみな信仰(しんかう)()りて(あかし)せられたれども約束(やくそく)のものを()ざりき。 40これ(かみ)(われ)らの(ため)(まさ)りたるものを(そな)(たま)ひし(ゆゑ)に、(かれ)らも(われ)らと(とも)ならざれば、(まった)うせらるる(こと)なきなり。

第十二章

1この(ゆゑ)(われ)らは()(おほ)くの證人(しょうにん)(くも)のごとく(かこ)まれたれば、(すべ)ての重荷(おもに)(まと)へる(つみ)とを(のぞ)け、忍耐(にんたい)をもて(われ)らの(まへ)()かれたる馳場(はせば)をはしり、 2信仰(しんかう)導師(みちびきて)また(これ)(まった)うする(もの)なるイエスを(あふ)()るべし。(かれ)はその(まへ)()かれたる歡喜(よろこび)のために、(はぢ)をも(いと)はずして十字架(じふじか)をしのび、(つひ)(かみ)御座(みくら)(みぎ)()(たま)へり。 3なんじら()(つか)れて(こころ)(うしな)ふこと(なか)らんために、罪人(つみびと)らの()(おのれ)(さから)ひしことを(しの)(たま)へる(もの)をおもへ。 4(なんぢ)らは(つみ)(たたか)ひて(いま)()(なが)すまで抵抗(てむかひ)しことなし。 5また()()ぐるごとく(なんぢ)らに()(たま)ひし勸言(すすめ)(わす)れたり。(いは)
『わが()よ、(しゅ)懲戒(こらしめ)(かろ)んずるなかれ、
(しゅ)(いまし)めらるるとき()むなかれ。
6そは(しゅ)、その(あい)する(もの)(こら)しめ、
(すべ)てその()(たま)()(むち)うち(たま)へばなり』
と。 7(なんぢ)らの(しの)ぶは懲戒(こらしめ)(ため)なり、(かみ)(なんぢ)らを()のごとく(あしら)ひたまふ、(たれ)(ちち)(こら)しめぬ()あらんや。 8(すべ)ての(ひと)()くる懲戒(こらしめ)、もし(なんぢ)らに()くば、それは私生兒(かくしご)にして(まこと)()にあらず、 9また(われ)らの肉體(にくたい)(ちち)は、(われ)らを(こら)しめし(もの)なるに(なほ)これを(うやま)へり、()して靈魂(たましひ)(ちち)(したが)ひて()くることを()ざらんや。 10そは肉體(にくたい)(ちち)(しばら)くの(あひだ)その(こころ)のままに(こら)しむることを()しが、靈魂(たましひ)(ちち)(われ)らを(えき)するために、その聖潔(きよき)(あづか)らせんとて(こら)しめ(たま)へばなり。 11(すべ)ての懲戒(こらしめ)(いま)(よろこ)ばしと()えず、(かへ)つて(かな)しと()ゆ、されど(のち)これに()りて練習(れんしふ)する(もの)に、()平安(へいあん)なる()(むす)ばしむ。 12されば(おとろ)へたる()(よわ)りたる(ひざ)(つよ)くし、 13足蹇(あしな)へたる(もの)(あゆ)(はづ)すことなく、(かへ)つて(いや)されんために(なんぢ)らの(あし)(すぐ)なる(みち)(そな)へよ。
14(つと)めて(すべ)ての(ひと)(やはら)ぎ、(みづか)(きよ)からんことを(もと)めよ。もし(きよ)からずば、(しゅ)()ること(あた)はず。 15なんじら(つつし)め、(おそ)らくは(かみ)恩惠(めぐみ)(いた)らぬ(もの)あらん。(おそ)らくは(にが)()はえいでて(なんぢ)らを(なやみ)し、(おほ)くの(ひと)これに()りて(けが)されん。 16(おそ)らくは淫行(いんかう)のもの、(あるひ)一飯(いっぱん)のために長子(ちゃうし)特權(とくけん)()りしエサウの(ごと)(みだり)なるもの(おこ)らん。 17(なんぢ)らの()るごとく、(かれ)はそののち祝福(しくふく)()けんと(ほっ)したれども()てられ、(なみだ)(なが)して(これ)(もと)めたれど囘復(くわいふく)(をり)()ざりき。
18(なんぢ)らの(ちか)づきたるは、()()ゆる(さは)()べき(やま)(くろ)(くも)黒闇(くらやみ)(あらし)19ラッパの(おと)(ことば)(こゑ)にあらず、この(こゑ)()きし(もの)()(うへ)(ことば)(くは)へられざらんことを(ねが)へり。 20これ『(けもの)すら(やま)()れなば、(いし)にて(うた)るべし』と(めい)ぜられしを、(かれ)らは(しの)ぶこと(あた)はざりし(ゆゑ)なり。 21その(あらは)れしところ(きは)めて(おそろ)しかりしかば、モーセは『われ(いた)(おそ)(おのの)けり』と()へり。 22されど(なんぢ)らの(ちか)づきたるはシオンの(やま)()ける(かみ)(みやこ)なる(てん)のエルサレム、千萬(ちよろづ)御使(みつかひ)集會(あつまり)23(てん)(しる)されたる長子(ちゃうし)どもの教會(けうくわい)萬民(ばんみん)審判(さばき)(ぬし)なる(かみ)(まった)うせられたる義人(ぎじん)靈魂(たましひ)24新約(しんやく)仲保(なかだち)なるイエス(およ)びアベルの()(まさ)りて(もの)()(そそぎ)()なり、 25なんじら(こころ)して(かた)りたまふ(もの)(こば)むな、もし()にて(しめ)(たま)ひし(とき)これを(こば)みし(もの)ども(のが)るる(こと)なかりしならば、()して(てん)より(しめ)(たま)ふとき、(われ)(これ)退(しりぞ)けて(のが)るることを()んや。 26その(とき)、その(こゑ)()(ふる)へり、されど(いま)(ちか)ひて()ひたまふ『(われ)なほ(ひと)たび()のみならず、(てん)をも(ふる)はん』と。 27()の『なほ一度(ひとたび)』とは(ふる)はれぬ(もの)(のこ)らんために、(ふる)はるる(もの)すなはち(つく)られたる(もの)()(のぞ)かるることを(あらは)すなり。 28この(ゆゑ)(われ)らは(ふる)はれぬ(くに)()けたれば、感謝(かんしゃ)して恭敬(うやうやしき)畏懼(おそれ)とをもて御心(みこころ)にかなふ奉仕(つとめ)(かみ)になすべし。 29(われ)らの(かみ)()(つく)()なればなり。

第十三章

1兄弟(きゃうだい)(あい)(つね)(たも)つべし。 2旅人(たびびと)接待(せったい)(わす)るな、(ある)(ひと)これに()り、()らずして御使(みつかひ)(やど)したり。 3(おのれ)(とも)(つな)がるるごとく囚人(めしうど)(おも)へ、また(おのれ)肉體(にくたい)()れば、(くる)しむ(もの)(おも)へ。 4(すべ)ての(ひと)婚姻(こんいん)のことを(たふと)べ、また寢床(ねどこ)(けが)すな。(かみ)淫行(いんかう)のもの、姦淫(かんいん)(もの)(さば)(たま)ふべければなり。 5(かね)(あい)することなく、()てるものを(もっ)()れりとせよ。(しゅ)みづから『われ(さら)(なんぢ)()らず、(なんぢ)()てじ』と()(たま)ひたればなり。 6()れば(われ)(こころ)(つよ)くして()()はん
(しゅ)わが助主(たすけぬし)なり、(われ)おそれじ。
(ひと)われに(なに)をなさん』
と。 7(かみ)(ことば)(なんぢ)らに(かた)りて(なんぢ)らを(みちび)きし(もの)どもを(おも)へ、その行状(ぎゃうじゃう)(をはり)()てその信仰(しんかう)(なら)へ。 8イエス・キリストは昨日(きのふ)今日(けふ)永遠(とこしへ)までも(かは)(たま)ふことなし。 9各樣(さまざま)(こと)なる(をしへ)のために(まどは)さるな。飮食(いんしょく)によらず、恩惠(めぐみ)によりて(こころ)(かた)うするは()し、飮食(いんしょく)によりて(あゆ)みたる(もの)(えき)()ざりき。 10(われ)らに祭壇(さいだん)あり、幕屋(まくや)(つか)ふる(もの)(これ)より(しょく)する(けん)()たず。 11(だい)祭司(さいし)(つみ)のために活物(いきもの)()(たづさ)へて()聖所(せいじょ)()り、その活物(いきもの)(からだ)陣營(ぢんえい)(そと)にて()かるるなり。 12この(ゆゑ)にイエスも(おの)()をもて(たみ)(きよ)めんが(ため)に、(もん)(そと)にて苦難(くるしみ)()(たま)へり。 13されば(われ)らは(かれ)(はぢ)()ひ、陣營(ぢんえい)より()でてその御許(みもと)()くべし。 14われら此處(ここ)には永遠(とこしへ)(みやこ)なくして、ただ(きた)らんとする(もの)(もと)むればなり。 15()(ゆゑ)(われ)らイエスによりて(つね)讃美(さんび)供物(そなへもの)(かみ)(ささ)ぐべし、(すなは)ちその御名(みな)()むる口唇(くちびる)()なり。 16かつ仁慈(なさけ)施濟(ほどこし)とを(わす)るな、(かみ)()くのごとき供物(そなへもの)(よろこ)びたまふ。 17(なんぢ)らを(みちび)(もの)(したが)(これ)(ふく)せよ。(かれ)らは(おの)(こと)(かみ)()ぶべき(もの)なれば、(なんぢ)らの靈魂(たましひ)のために()(さま)しをるなり。(かれ)らを(なげ)かせず、(よろこ)びて()()さしめよ、(しか)らずば(なんぢ)らに(えき)なかるべし。
18(われ)らの(ため)(いの)れ、(われ)らは()良心(りゃうしん)ありて(すべ)てのこと(ただ)しく(おこな)はんと(ほっ)するを(しん)ずるなり。 19われ(すみや)かに(なんぢ)らに(かへ)ることを()んために、(なんぢ)らの(いの)らんことを(こと)(もと)む。
20(ねが)はくは永遠(とこしへ)契約(けいやく)()によりて、(ひつじ)大牧者(だいぼくしゃ)となれる(われ)らの(しゅ)イエスを、死人(しにん)(うち)より引上(ひきあ)(たま)ひし平和(へいわ)(かみ)21その(よろこ)びたまふ(ところ)を、イエス・キリストに()りて(われ)らの(うち)(おこな)ひ、御意(みこころ)(おこな)はしめん(ため)(すべ)ての()(こと)につきて、(なんぢ)らを(まった)うし(たま)はんことを。世々(よよ)(かぎ)りなく榮光(えいくわう)、かれに()れ、アァメン。
22兄弟(きゃうだい)よ、()()(すすめ)(ことば)()れよ、(われ)なんじらに手短(てみじか)()(おく)りたるなり。 23なんじら()れ、(われ)らの兄弟(きゃうだい)テモテは(ゆる)されたり。(かれ)もし(すみや)かに(きた)らば、(われ)かれと(とも)(なんぢ)らを()ん。
24(なんぢ)らの(すべ)ての(みちび)(もの)、および(すべ)ての聖徒(せいと)安否(あんぴ)()へ。イタリヤの人々(ひとびと)、なんぢらに安否(あんぴ)()ふ。
25(ねが)はくは恩惠(めぐみ)なんぢら(すべて)(とも)()らんことを。