サムエル前書

第一章

1エフライムの山地(やまち)のラマタイムゾビムにエルカナと(なづ)くる(ひと)ありエフライテ(びと)にしてエロハムの()なりエロハムはエリウの()エリウはトフの()トフはツフの()なり 2エルカナに二人(ふたり)(つま)ありてひとりの()をハンナといひひとりの()をペニンナといふペニンナには()ありたれどもハンナには()あらざりき 3(この)(ひと)毎歳(としごと)(その)(まち)をいで(のぼ)りてシロにおいて萬軍(ばんぐん)のヱホバを(をが)(これ)祭物(そなへもの)をささぐ其處(そこ)にエリの二人(ふたり)()ホフニとピネハスをりてヱホバに祭司(さいし)たり 4エルカナ祭物(そなへもの)をささぐる(とき)(その)(つま)ペニンナと(その)すべての息子(むすこ)女子(むすめ)にわかちあたへしが 5ハンナには(その)(ばい)をあたふ()はハンナを(あい)するが(ゆゑ)なりされどヱホバ(その)(はら)みをとどめたまふ 6(その)(てき)もまた(いた)くこれをなやましてヱホバが(その)はらみをとどめしを(いか)らせんとす 7歳々(としどし)ハンナ、ヱホバの(いへ)にのぼるごとにエルカナかくなせしかばペニンナかくのごとく(これ)をなやます是故(このゆえ)にハンナないてものくはざりき 8(その)(をつと)エルカナ(これ)にいひけるはハンナよ何故(なにゆゑ)になくや何故(なにゆゑ)にものくはざるや何故(なにゆゑ)(こころ)かなしむや(われ)(なんぢ)のためには十(にん)()よりもまさるにあらずや 9かくてシロにて(くひ)(のみ)せしのちハンナたちあがれり(とき)祭司(さいし)エリ、ヱホバの(みや)(はしら)(かたはら)にある(だん)()10ハンナ(こころ)にくるしみヱホバにいのりて(いた)()11(ちかひ)をなしていひけるは萬軍(ばんぐん)のヱホバよ()(まこと)(しもめ)(なやみ)をかへりみ(われ)(おも)(しもめ)(わす)れずして(しもめ)男子(をとこのこ)をあたへたまはば(われ)これを一(しやう)のあひだヱホバにささげ剃髮刀(かみそり)(その)(かうべ)にあつまじ 12ハンナ、ヱホバのまへに(なが)くいのりければエリ(その)(くち)()をとめたり 13ハンナ(こころ)(うち)にものいへば(ただ)(くちびる)うごくのみにて(こゑ)きこえず是故(このゆえ)にエリこれを(ゑひ)たる(もの)(おも)14(これ)にいひけるは何時(いつ)まで()ひをるか(なんぢ)(さけ)をされよ 15ハンナこたへていひけるは(しゆ)(しか)るにあらず(われ)()のわづらふ婦人(をんな)にして葡萄(ぶだう)(しゆ)をも()(さけ)をものまず(ただ)わが(こころ)をヱホバのまへに(あか)せるなり 16(しもめ)(よこしま)なる(をんな)となすなかれ(われ)はわが(うれひ)(かなし)みの(おほ)きよりして(いま)までかたれり 17エリ(こた)へていひけるは(たす)んじて()(ねがは)くはイスラエルの(かみ)(なんぢ)(もと)むる(ねが)ひを(ゆる)したまはんことを 18ハンナいひけるはねがはくは仕女(つかへめ)(なんぢ)のまへに(めぐみ)をえんことをと(かく)てこの(をんな)さりて(ものく)(その)(かほ)ふたたび(かな)しげならざりき 19(ここ)(おい)彼等(かれら)(あさ)はやくおきてヱホバの(まへ)(をがみ)をしかへりてラマの(いへ)にいたる(しか)してエルカナ(その)つまハンナとまじはるヱホバ(これ)をかへりみたまふ 20ハンナ(はら)みてのち(つき)みちて男子(をのこ)をうみ(われ)これをヱホバに(もと)めし(ゆゑ)なりとて(その)()をサムエル(ヱホバに(きか)る)となづく 21(ここ)其人(そのひと)エルカナ(およ)(その)家族(かぞく)みな(のぼ)りて年々(としどし)祭物(そなへもの)(およ)(その)(ちか)ひし(もの)をささぐ 22(しかれ)どもハンナは(のぼ)らず(その)(をつと)にいひけるは(われ)はこの()()ばなれするに(およ)びてのち(これ)をたづさへゆきヱホバのまへにあらはれしめ(つね)にかしこに()らしめん 23(その)(をつと)エルカナ(これ)にいひけるは(なんぢ)(よし)(おも)ふところを()(この)()()ばなすまでとどまるべし(ただ)ヱホバの(その)(ことば)確實(たしか)ならしめ(たまは)んことをねがふと()くこの(をんな)(とど)まりて(その)()(ちち)をのませ(その)ちばなれするをまちしが 24()ばなせしとき(うし)三頭(みつ)(こな)一斗(いつと)(さけ)一嚢(ひとふくろ)()(その)()をたづさへてシロにあるヱホバの(いへ)にいたる(その)()なほ幼稚(いとけな)25(ここ)(おい)(うし)をころしその()をエリの(もと)(たづさ)へゆきぬ 26ハンナいひけるは(しゆ)(なんぢ)のたましひは()くわれはかつてここにてなんぢの(かたはら)にたちヱホバにいのりし(をんな)なり 27われ(この)()のためにいのりしにヱホバわが(もと)めしものをあたへたまへり 28此故(このゆゑ)にわれまたこれをヱホバにささげん(その)一生(いつしやう)のあひだ(これ)をヱホバにささぐ(かく)てかしこにてヱホバををがめり

第二章

1ハンナ(いの)りて(いひ)けるは(わが)(こころ)はヱホバによりて(よろこ)(わが)(つの)はヱホバによりて(たか)(わが)(くち)はわが(てき)(うへ)にはりひらく()(われ)(なんぢ)救拯(すくひ)によりて(たのし)むが(ゆゑ)なり 2ヱホバのごとく(きよ)(もの)はあらず()(なんぢ)(ほか)()(もの)なければなり(また)われらの(かみ)のごとき(いは)はあることなし 3汝等(なんぢら)(かさ)ねて(いた)(たかぶ)りて(かた)るなかれ汝等(なんぢら)(くち)より(ほこり)(ごと)(いだ)すなかれヱホバは全知(ぜんち)(かみ)にして行爲(わざ)裁度(はか)りたまふなり 4勇者(ますらを)(ゆみ)()(たふ)るる(もの)勢力(ちから)()5(あき)(たれ)(もの)(しよく)のために()(やと)はせ(うゑ)たる(もの)(いこ)へり石女(うまずめ)は七(にん)()(おほ)くの()(もて)(もの)(おとろ)ふるにいたる 6ヱホバは(ころ)(また)(いか)したまひ陰府(よみ)(くだ)(また)(のぼ)らしめたまふ 7ヱホバは(まづし)からしめ(また)(とま)しめたまひ(ひく)くしまた(たか)くしたまふ 8荏弱(よわき)(もの)(ちり)(うち)より()窮乏(とぼしき)(もの)(あくた)(うち)より(のぼ)せて王公(きみたち)(うち)()せしめ榮光(さかえ)(くらゐ)をつがしめ(たま)()(はしら)はヱホバの所屬(もの)なりヱホバ(その)(うへ)世界(せかい)()きたまへり 9ヱホバ(その)聖徒(せいと)(あし)(まも)りたまはん(あし)(もの)黑暗(くらやみ)にありて(もだ)すべし()(ひと)(ちから)をもて()つべからざればなり 10ヱホバと(あらそ)(もの)破碎(くだ)かれんヱホバ(てん)より(いかづち)彼等(かれら)(うへ)にくだしヱホバは()(はて)(さば)(その)(わう)(ちから)(あた)(その)(あぶら)そそぎし(もの)(つの)(たか)くし(たま)はん 11エルカナ、ラマに(ゆき)(その)(いへ)にいたりしが稚子(をさなご)祭司(さいし)エリのまへにありてヱホバにつかふ 12さてエリの()(よこしま)なる(もの)にしてヱホバをしらざりき 13祭司(さいし)(たみ)(おけ)習慣(ならはし)(かく)のごとし(ひと)祭物(そなへもの)をささぐる(とき)(にく)()るあひだに祭司(さいし)(しもべ)(みつ)()ある肉叉(にくさし)()にとりて(きた)14(これ)(かま)あるひは(なべ)あるひは(かなへ)(また)炮烙(はうらく)()きいれ肉叉(にくさし)()きあぐるところの(にく)祭司(さいし)みなこれを(おのれ)にとる()くシロに(おい)(すべ)てそこに(きた)るイスラエル(びと)になせり 15(あぶら)をやく(まへ)にも(また)祭司(さいし)のしもべ(きた)祭物(そなへもの)をささぐる(ひと)にいふ祭司(さいし)のために()くべき(にく)をあたへよ祭司(さいし)(なんぢ)より()たる(にく)()けず生腥(なま)(にく)をこのむと 16もし其人(そのひと)これにむかひ(ただ)ちに(あぶら)をやくべければ(のち)(こころ)のこのむままに()れといはば(しもべ)(これ)にいふ(いな)(いま)あたへよ(しか)らずば(われ)(しひ)(とら)んと 17(ゆゑ)(その)(わかき)(もの)(つみ)ヱホバのまへに(はなは)(おほい)なりそは人々(ひとびと)ヱホバに祭物(そなへもの)をささぐることをいとひたればなり 18サムエルなほ(をさなく)して(ぬの)のエポデを()てヱホバのまへにつかふ 19また(その)(はは)これがために(ちひさ)明衣(うはぎ)をつくり(とし)(ごと)にその(をつと)とともに(とし)祭物(そなへもの)をささげにのぼる(とき)これをもちきたる 20エリ、エルカナとその(つま)(しゆく)していひけるは(なんぢ)がヱホバにささげたる(もの)のためにヱホバ(これ)(をんな)よりして(たね)(なんぢ)にあたへたまはんことをねがふと(かく)てかれら(その)(さと)にかへる 21しかしてヱホバ、ハンナをかへりみたまひければハンナ(はら)みて三(にん)男子(をとこのこ)二人(ふたり)女子(をんなのこ)をうめり童子(わらべ)サムエルはヱホバのまへにありて生育(そだ)てり 22ここにエリ(はなは)(おい)(その)()()がイスラエルの人々(ひとびと)になせし(もろもろ)(こと)()きまた(その)集會(しふくわい)幕屋(まくや)(もん)にいづる婦人(をんな)たちと(いね)たるを(きき)23これにいひけるは(なん)(かか)(こと)をなすや(われ)このすべての(たみ)より(なんぢ)らのあしき(おこなひ)をきく 24わが()(しか)すべからず(わが)きくところの風聞(ふうぶん)よからず(なんぢ)らヱホバの(たみ)をしてあやまたしむ 25(ひと)もし(ひと)にむかひて(つみ)ををかさば(かみ)(これ)をさばかんされど(ひと)もしヱホバに(むか)ひて(つみ)ををかさば(たれ)かこれがためにとりなしをなさんやとしかれども(その)()(ちち)のことばを(きか)ざりきそはヱホバかれらを(ころ)さんと(おも)ひたまへばなり 26童子(わらべ)サムエル生長(そだち)ゆきてヱホバと(ひと)とに(あい)せらる 27(ここ)(かみ)(ひと)エリの(もと)(きた)りこれにいひけるはヱホバ()くいひたまふ(なんぢ)父祖(ちち)(いへ)エジプトにおいてパロの(いへ)にありしとき(われ)(あきら)かに(これ)にあらはれしにあらずや 28(われ)これをイスラエルの(もろもろ)支派(わかれ)のうちより(えら)みてわが祭司(さいし)となしわが(だん)(うへ)祭物(そなへもの)をささげ(かう)をたかしめ(わが)(まへ)にエポデを()しめまたイスラエルの(ひと)(くわ)(さい)(ことごと)(なんぢ)(ちち)(いへ)にあたへたり 29なんぞわが(めい)ぜし犠牲(いけにへ)禮物(そなへもの)(なんぢ)(いへ)にてふみつくるや(なん)(われ)よりもなんぢの()をたふとみわが(たみ)イスラエルの(もろもろ)祭物(そなへもの)(もつと)()きところをもて(おのれ)(こや)すや 30(この)ゆゑにイスラエルの(かみ)ヱホバいひたまはく(われ)(まこと)(かつ)ていへり(なんぢ)(いへ)およびなんぢの父祖(ちち)(いへ)(なが)くわがまへにあゆまんと(しかれ)ども(いま)ヱホバいひたまふ(きは)めてしからず(われ)をたふとむ(もの)(われ)もこれをたふとむ(われ)(いや)しむる(もの)はかろんぜらるべし 31()(とき)いたらん(われ)(なんぢ)(うで)(なんぢ)父祖(ちち)(いへ)(うで)()(なんぢ)(いへ)(おい)たるもの(なか)らしめん 32(われ)(おほい)にイスラエルを(よく)すべけれど(なんぢ)家内(うち)には(わざはひ)()えん(なんぢ)(いへ)にはこののち(なが)(おゆ)るものなかるべし 33またわが(だん)より(たた)ざる(なんぢ)(やから)(もの)(なんぢ)()をそこなひ(なんぢ)(こころ)をいたましめん(また)(なんぢ)(いへ)にうまれいづるものは壯年(さかり)にして()なん 34(なんぢ)のふたりの()ホフニとピネスの(あふ)ところの(こと)(その)(しるし)とせよ(すなは)二人(ふたり)ともに(おな)()()なん 35(われ)はわがために忠信(ちうしん)なる祭司(さいし)をおこさん其人(そのひと)わが(こころ)とわが()にしたがひておこなはんわれその(いへ)をかたうせんかれわが(あぶら)そそぎし(もの)のまへに(つね)にあゆむべし 36しかして(なんぢ)(いへ)にのこれる(もの)(みな)きたりてこれに(かが)(いち)(りん)(かね)一片(ひときれ)のパンを()(かつ)いはんねがはくは(われ)祭司(さいし)(つとめ)(ひとつ)(にん)じて些少(すこし)のパンにても(くら)ふことをえせしめよと

第三章

1童子(わらべ)サムエル、エリのまへにありてヱホバにつかふ當時(そのころ)はヱホバの(ことば)まれにして默示(しめし)あること(つね)ならざりき 2(さて)エリ()(やうや)くくもりて()ることをえず此時(このとき)(その)(しつ)(いね)たり 3(かみ)(ともしび)なほきえずサムエル(かみ)(はこ)あるヱホバの(みや)()4(とき)にヱホバ、サムエルをよびたまふ(かれ)(われ)(ここ)にありといひて 5エリの(もと)(はせ)ゆきいひけるは(なんぢ)われをよぶ(われ)ここにありエリいひけるは(われ)よばず(かへ)りて(いね)よと(すなは)ちゆきていぬ 6ヱホバまたかさねてサムエルよとよびたまへばサムエルおきてエリのもとにいたりいひけるは(なんぢ)われをよぶ(われ)ここにありエリこたへけるは(われ)よばずわが()(かへ)りていねよ 7サムエルいまだヱホバをしらずまたヱホバのことばいまだかれにあらはれず 8ヱホバ、()たびめに(また)サムエルをよびたまへばサムエルおきてエリの(もと)にたりいひけるは(なんぢ)われをよぶ(われ)ここにありとエリ(すなは)ちヱホバの童子(わらべ)をよびたまひしをさとる 9(ゆゑ)にエリ、サムエルにいひけるはゆきて(いね)(かれ)()(なんぢ)をよばば(しもべ)()くヱホバ(かた)りたまへといへとサムエルゆきて(その)(しつ)にいねしに 10ヱホバ(きた)りて()ちまへの(ごと)くサムエル、サムエルとよびたまへばサムエル(しもべ)きく(かた)りたまへといふ 11ヱホバ、サムエルにいひ(たまひ)けるは()(われ)イスラエルのうちに(ひとつ)(こと)をなさんこれをきくものは(みな)(その)(みみ)ふたつながら(なら)12(その)()にはわれ(かつ)てエリの(いへ)について(いひ)しことを(はじめ)より(をはり)までことごとくエリになすべし 13われかつてエリに(その)惡事(あくじ)のために(なが)くその(いへ)をさばかんとしめせりそは(その)()(のろ)ふべきことをなすをしりて(これ)をとどめざればなり 14是故(このゆえ)(われ)エリのいへに(ちか)ひてエリの(いへ)(あく)犠牲(いけにへ)あるひは禮物(そなへもの)をもて(なが)くあがなふ(あた)はずといへり 15サムエル(あさ)までいねてヱホバの(いへ)()(ひら)きしが(その)異象(まぼろし)をエリにしめすことをおそる 16エリ、サムエルをよびていひけるはわが()サムエルよ(こた)へけるはわれここにあり 17エリいひけるは何事(なにごと)(なんぢ)につげたまひしや()(われ)にかくすなかれ(なんぢ)もし(その)(なんぢ)()げたまひしところを(ひとつ)にてもかくすときは(かみ)(なんぢ)にかくなし(また)かさねてかくなしたまヘ 18サムエル(その)(こと)をことごとくしめして(かれ)(かく)すことなかりきエリいひけるは()はヱホバなり(その)よしと()たまふことをなしたまへと 19サムエルそだちぬヱホバこれとともにいましてそのことばをして(ひとつ)()におちざらしめたまふ 20ダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルの(ひと)みなサムエルがヱホバの預言者(よげんしや)とさだまれるをしれり 21ヱホバふたたびシロにてあらはれたまふヱホバ、シロにおいてヱホバの(ことば)によりてサムエルにおのれをしめしたまふなりサムエルの(ことば)あまねくイスラエル(びと)におよぶ

第四章

1イスラエル(びと)ペリシテ(びと)にいであひて(たたか)はんとしエベネゼルの(ほとり)(ぢん)をとりペリシテ(びと)はアベクに(ぢん)をとる 2ペリシテ(びと)イスラエル(びと)にむかひて陣列(そなへ)をなせり(たたか)ふにおよびてイスラエル(びと)ペリシテ(びと)のまへにやぶるペリシテ(びと)(いくさ)()において(その)(ぐん)(せん)(にん)ばかりを(ころ)せり 3(たみ)(ぢん)(えい)にいたるにイスラエルの長老(としより)(いひ)けるはヱホバ何故(なにゆゑ)今日(けふ)我等(われら)をペリシテ(びと)のまへにやぶりたまひしやヱホバの契約(けいやく)(はこ)をシロより(ここ)にたづさへ(きた)らん(その)(はこ)われらのうちに(きた)らば(われ)らを(てき)()よりすくひいだすことあらんと 4かくて(たみ)(ひと)をシロにつかはしてケルビムの(うへ)()したまふ萬軍(ばんぐん)のヱホバの契約(けいやく)(はこ)其處(そこ)よりたづさへきたらしむ(とき)にエリの二人(ふたり)()ホフニとピネハス(かみ)契約(けいやく)のはことともに彼處(かしこ)にありき 5ヱホバの契約(けいやく)(はこ)(ぢん)(えい)にいたりしときイスラエル(びと)(みな)(おほい)によばはりさけびければ()なりひびけり 6ペリシテ(びと)喊呼(さけび)(こゑ)(きき)ていひけるはヘブル(びと)(ぢん)(えい)(おこ)れる(この)(おほい)なるさけびの(こゑ)(なん)ぞやと(つひ)にヱホバの(はこ)(その)(ぢん)(えい)にいたれるを()7ペリシテ(びと)おそれていひけるは(かみ)(ぢん)(えい)にいたる(また)いひけるは鳴呼(ああ)われら(わざはひ)なるかな(いま)にいたるまで(かか)ることなかりき 8ああ我等(われら)(わざはひ)なるかな(たれ)かわれらを(これ)らの(つよ)(かみ)()よりすくひいださんや(これ)()(かみ)(むか)(もろもろ)(わざはひ)()てエジプト(びと)曠野(あらの)(うち)(もの)なり 9ペリシテ(びと)(つよ)くなり豪傑(をとこ)のごとく()せヘブル(びと)がかつて(なんぢ)らに(つか)へしごとく(なんぢ)らこれに(つか)ふるなかれ豪傑(をとこ)のごとく()して(たたか)へよ 10かくてペリシテ(びと)(たたか)ひしかばイスラエル(びと)やぶれて各々(おのおの)(その)(てん)(まく)(にげ)かへる戰死(うちじに)はなはだ(おほ)くイスラエルの()(へい)(たふ)れし(もの)萬人(まんにん)なりき 11(また)(かみ)(はこ)(うば)はれエリの二人(ふたり)()ホフニとピネハス(ころ)さる 12(この)()ベニヤミンの一人(ひとり)(ぐん)(ちう)より(はせ)(きた)(その)(ころも)()(つち)をかむりてシロにいたる 13(その)いたれる(とき)エリ(みち)(かたはら)(だん)()して觀望(うかがひ)()たり其心(そのこころ)(かみ)(はこ)のことを(おも)(わづ)らひたればなり其人(そのひと)いたり(まち)にて人々(ひとびと)(つげ)ければ(まち)こぞりてさけびたり 14エリ(この)呼號(さけび)(こゑ)をききていひけるは(この)喧嘩(さわぎ)(こゑ)(なに)なるやと其人(そのひと)いそぎきたりてエリにつぐ 15(とき)にエリ九十八(さい)にして(その)()かたまりて()ることあたはず 16其人(そのひと)エリにいひけるは(われ)(ぐん)(ちう)より(きた)れるもの(われ)今日(けふ)(ぐん)(ちう)より(のが)れたりエリいひけるは(わが)()(こと)いかん 17使人(つかひ)(こた)へていひけるはイスラエル(びと)ペリシテ(びと)(まへ)()(かつ)(たみ)(うち)(おほい)なる戰死(うちじに)ありまた(なんぢ)二人(ふたり)()ホフニとピネハスは(ころ)され(かみ)(はこ)(うば)はれたり 18(かみ)(はこ)のことを(のべ)しときエリ(その)(だん)より(あふむ)けに(もん)(かたはら)におち(くび)をれて()ねり(これ)はかれ(おい)()(おも)かりければなり(その)イスラエルを(さばき)しは四十(ねん)なりき 19エリの(よめ)ピネハスの(つま)(はら)みて()(うま)(とき)ちかかりしが(かみ)(はこ)(うば)はれしと(しうと)(をつと)()にしとの傳言(うはさ)(きき)しかば(その)(いた)みおこりきたり()をかがめて()(うめ)20(その)()なんとする(とき)(かたはら)にたてる婦人(をんな)これにいひけるは(おそ)るるなかれ(なんぢ)男子(をのこ)(うめ)りと(しかれ)ども(こた)へず(また)かへりみず 21(ただ)榮光(さかえ)イスラエルをさりぬといひて(その)()をイカボデ((さかえ)なし)と(なづ)(これ)(かみ)(はこ)(うば)はれしによりまた(しうと)(をつと)(ゆゑ)()るなり 22またいひけるは榮光(さかえ)イスラエルをさりぬ(かみ)(はこ)うばはれたればなり

第五章

1ペリシテ(びと)(かみ)(はこ)をとりて(これ)をエベネゼルよりアシドドにもちきたる 2(すなは)ちペリシテ(びと)(かみ)(はこ)をとりて(これ)をダゴンの(いへ)にもちきたりダゴンの(かたはら)(おき)3アシドド(びと)(つぎ)()(はや)()きヱホバの(はこ)のまへにダゴンの俯伏(うつむき)()にたふれをるをみ(すなは)ちダゴンをとりて(ふたた)びこれを(もと)(ところ)におく 4また翌朝(つぐあさ)(はや)()きヱホバの(はこ)のまへにダゴン俯伏(うつむき)()にたふれをるを()るダゴンの(かうべ)(その)(ふたつの)()門閾(しきゐ)のうへに()()れをり(ただ)ダゴンの(からだ)のみのこれり 5(これ)をもてダゴンの祭司(さいし)およびダゴンの(いへ)にいるもの今日(けふ)にいたるまでアシドドにあるダゴンの(しきゐ)をふまず 6かくてヱホバの()おもくアシドド(びと)にくははりヱホバこれをほろぼし腫物(はれもの)をもてアシドドおよび(その)四周(まはり)(ひと)をくるしめたまふ 7アシドド(びと)その(かか)るを()ていひけるはイスラエルの(かみ)(はこ)(われ)らのうちにとどむべからず()(その)()いたくわれらおよび(われ)らの(かみ)ダゴンにくははればなり 8是故(このゆえ)(ひと)をつかはしてペリシテ(びと)諸君主(きみたち)(あつ)めていひけるはイスラエルの(かみ)(はこ)をいかにすべきや(かれ)らいひけるはイスラエルの(かみ)のはこはガテに(うつ)さんと(つひ)にイスラエルの(かみ)のはこをうつす 9(これ)をうつせるのち(かみ)()(その)(まち)にくははりて滅亡(ほろぶ)るもの(はなは)だおほし(すなは)(おい)たると(いとけなき)とをいはず(まち)(ひと)をうちたまひて腫物(はれもの)人々(ひとびと)におこれり 10(ここ)において(かみ)のはこをエクロンにおくりたるに(かみ)(はこ)エクロンにいたりしときエクロン(びと)さけびていひけるは我等(われら)とわが(たみ)をころさんとてイスラエルの(かみ)のはこを我等(われら)にうつすと 11かくて(ひと)(つかは)してペリシテ(びと)諸君主(きみたち)をあつめていひけるはイスラエルの(かみ)(はこ)をおくりて(もと)のところにかへさん(しか)らば我等(われら)とわが(たみ)をころすことなからん()(まち)(ぢう)(おそ)ろしき滅亡(ほろび)おこり(かみ)()(はなは)だおもく其處(そこ)にくははればなり 12()なざる(もの)腫物(はれもの)にくるしめられ(まち)號呼(さけび)(てん)(たつ)せり

第六章

1ヱホバの(はこ)(なな)(つき)のあひだペリシテ(びと)(くに)にあり 2ペリシテ(びと)祭司(さいし)卜筮師(うらなひし)をよびていひけるは(われ)らヱホバの(はこ)をいかがせんや如何(いか)にして(これ)をもとの(ところ)にかへすべきか(われ)らにつげよ 3(こた)へけるはイスラエルの(かみ)(はこ)をかへすときはこれを(むな)しくかへすなかれ(かな)らず(かれ)(とがの)(そなへもの)をなすべし(しか)なさば(なんぢ)(いゆる)ことをえ(かつ)(かれ)()(なんぢ)らをはなれざる(ゆゑ)(しる)にいたらん 4人々(ひとびと)いひけるは如何(いか)なる(とがの)(そなへもの)(かれ)になすべきや(こた)へけるはペリシテ(びと)諸君主(きみたち)(かず)にしたがひて(いつつ)(きん)腫物(はれもの)(いつつ)(きん)(ねづみ)をつくれ()(なんぢ)(みな)(なんぢ)らの諸伯(きみたち)におよべる(わざはひ)(ひとつ)なるによる 5(なんぢ)らの腫物(はれもの)(かたち)および()をあらす(ねづみ)(かたち)をつくりイスラエルの(かみ)榮光(さかえ)()すべし庶幾(こひねがはく)はその()汝等(なんぢら)およびなんぢらの(かみ)汝等(なんぢら)()にくはふることを(かろ)くせん 6(なんぢ)らなんぞエジプト(びと)とパロの其心(そのこころ)(かたくな)にせしごとくおのれの(こころ)をかたくなにするや(かみ)かれらの(うち)(あまた)(たび)(その)(ちから)をしめせしのち(かれ)(たみ)をゆかしめ(たみ)つひにさりしにあらずや 7されば(いま)あたらしき(くるま)一輛(ひとつ)をつくり(ちち)(うし)のいまだ(くびき)をつけざるもの二頭(ふたつ)をとり(その)(うし)(くるま)(つな)(その)()をはなして(いへ)につれゆき 8ヱホバの(はこ)をとりて(これ)(その)(くるま)()(なんぢ)らが(とがの)(そなへもの)として(かれ)になす(きん)製作物(つくりもの)(ひつ)にをさめて(その)(かたはら)におき(これ)をおくりて()らしめ 9しかして()()(その)(さかひ)のみちよりベテシメシにのぼらばこの(おほい)なる(わざはひ)(われ)らになせるものは(かれ)なり()ししかせずば我等(われら)をうちしは(かれ)()にあらずしてそのことの偶然(ぐうぜん)なりしをしるべし 10人々(ひとびと)つひに(かく)なし(ふた)つの(ちち)(うし)をとりて(これ)(くるま)につなぎその()(いへ)にとぢこめ 11ヱホバの(はこ)および(きん)(ねづみ)(その)腫物(はれもの)(かたち)ををさめたる(ひつ)(くるま)()12牝牛(うし)(すぐ)にあゆみてベテシメシの(みち)をゆき(なき)つつ大路(おほぢ)をすすみゆきて右左(みぎひだり)にまがらずペリシテ(びと)君主(きみたち)ベテシメシの(さかひ)まで(その)うしろにしたがひゆけり 13(とき)にベテシメシ(びと)(たに)(むぎ)(かり)()たりしが()をあげて(その)(はこ)をみ(これ)()るをよろこべり 14(くるま)ベテシメシ(びと)ヨシユアの(はた)にいりて其處(そこ)にとどまる(ここ)(おほい)なる(いし)あり人々(ひとびと)(くるま)()()(その)牝牛(うし)燔祭(はんさい)としてヱホバにささげたり 15レビの(ひと)ヱホバの(はこ)とこれとともなる(ひつ)(きん)製作物(つくりもの)ををさめたる(もの)をとりおろし(これ)(その)(おほ)(いし)のうへにおくしかしてベテシメシ(びと)(この)()ヱホバに燔祭(はんさい)をそなへ犠牲(いけにへ)をささげたり 16ペリシテ(びと)の五(にん)君主(きみたち)これを()(おな)()にエクロンにかへれり 17さてペリシテ(びと)(とがの)(そなへもの)としてヱホバにたせし(きん)腫物(はれもの)はこれなり(すなは)ちアシドドのために(ひとつ)ガザのために(ひとつ)アシケロンのために(ひとつ)ガテのために(ひとつ)エクロンのために(ひとつ)なりき 18また(きん)(ねづみ)城邑(しろ)郷里(むらざと)をいはず(すべ)て五(にん)君主(きみ)(ぞく)するペリシテ(びと)(まち)(かず)にしたがひて(つく)れりヱホバの(はこ)をおろせし(おほ)(いし)今日(こんにち)にいたるまでベテシメシ(びと)ヨシユアの(はたけ)にあり 19ベテシメシの人々(ひとびと)ヱホバの(はこ)をうかがひしによりヱホバこれをうちたまふ(すなは)(たみ)(うち)七十(にん)をうてりヱホバ(たみ)をうちて(おほい)にこれをころしたまひしかば(たみ)なきさけべり 20ベテシメシ(びと)いひけるは(たれ)かこの(きよ)(かみ)たるヱホバのまへに()つことをえんヱホバ(われ)らをはなれて何人(たれ)のところにのぼりゆきたまふべきや 21かくて使者(つかひ)をキリアテヤリムの(ひと)(つか)はしていひけるはペリシテ(びと)ヱホバの(はこ)をかへしたれば(なんぢ)らくだりて(これ)(なんぢ)らの(ところ)(たづさ)へのぼるべし

第七章

1キリアテヤリムの(ひと)(きた)りヱホバのはこを(たづさ)へのぼりこれを(やま)のうへなるアビナダブの(いへ)にもちきたり(その)()エレアザルを(きよめ)てヱホバの(はこ)をまもらしむ 2(その)(はこ)キリアテヤリムにとどまること(ひさ)しくして二十(ねん)をへたりイスラエルの全家(ぜんか)ヱホバをしたひて(なげ)けり 3(とき)にサムエル、イスラエルの全家(ぜんか)(つげ)ていひけるは(なんぢ)らもし一心(いつしん)()てヱホバにかへり(ことな)(かみ)とアシタロテを(なんぢ)らの(うち)より()(なんぢ)らの(こころ)をヱホバに(さだ)(これ)にのみ(つか)へなばヱホバ(なんぢ)らをペリシテ(びと)の手より(すく)ひださん 4ここにおいてイスラエルの人々(ひとびと)バアルとアシタロテをすててヱホバにのみ(つか)5サムエルいひけるはイスラエル(びと)をことごとくミズパにあつめよ(われ)(なんぢ)らのためにヱホバにいのらん 6かれらミズパに(あつま)(みづ)(くみ)(これ)をヱホバのまへに(そそ)(その)()斷食(だんじき)して彼處(かしこ)にいひけるは我等(われら)ヱホバに(つみ)ををかしたりとサムエル、ミズパに(おい)てイスラエルの(ひと)(さば)7ペリシテ(びと)イスラエルの人々(ひとびと)のミズパに(あつま)れるを(きき)しかばペリシテ(びと)諸君主(きみたち)イスラエルにせめのぼれりイスラエル(びと)これを(きき)てペリシテ(びと)をおそれたり 8イスラエルの人々(ひとびと)サムエルに(いひ)けるは(われ)らのために(われ)らの(かみ)ヱホバに(いの)ることをやむるなかれ(しか)らばヱホバ(われ)らをペリシテ(びと)()よりすくひいださん 9サムエル哺乳(ちちのむ)(こひつじ)をとり燔祭(はんさい)となしてこれをまつたくヱホバにささぐまたサムエル、イスラエルのためにヱホバにいのりければヱホバこれにこたへたまふ 10サムエル燔祭(はんさい)をささげ(をり)(とき)ペリシテ(びと)イスラエル(びと)(たたか)はんとて(ちか)づきぬ(この)()ヱホバ(おほい)なる(いかづち)をくだしペリシテ(びと)をうちて(これ)(みだ)(たまひ)ければペリシテ(びと)イスラエル(びと)のまへに(やぶ)れたり 11イスラエル(びと)ミズパをいでてペリシテ(びと)をおひ(これ)をうちてベテカルの(しも)にいたる 12サムエル(ひとつ)(いし)をとりてミズパとセンの(あひだ)におきヱホバ(これ)まで(われ)らを(たす)けたまへりといひて(その)()をエベネゼル((たす)けの(いし))と()13ペリシテ(びと)攻伏(せめふせ)られて(ふたた)びイスラエルの(さかひ)にいらずサムエルの一生(いつしやう)のあひだヱホバの()ペリシテ(びと)をふせげり 14ペリシテ(びと)のイスラエルより(とり)たる邑々(まちまち)はエクロンよりガテまでイスラエルにかへりぬまた(その)周圍(まはり)()はイスラエル(びと)これをペリシテ(びと)()よりとりかへせりまたイスラエル(びと)とアモリ(びと)(よしみ)をむすべり 15サムエル一生(いつしやう)のあひだイスラエルをさばき 16歳々(としどし)ベテルとギルガルおよびミズパをめぐりて(その)處々(ところどころ)にてイスラエル(びと)をさばき 17またラマにかへれり此處(ここ)(その)(いへ)あり(ここ)にてイスラエルをさばき(また)(ここ)にてヱホバに(だん)をきづけり

第八章

1サムエル(とし)(おい)(その)()をイスラエルの士師(さばきつかさ)となす 2(あに)()をヨエルといひ(おとうと)()をアビヤといふベエルシバにありて士師(さばきつかさ)たり 3(その)()(ちち)(みち)をあゆまずして()にむかひ賄賂(まひなひ)をとりて審判(さばき)()4(ここ)においてイスラエルの長老(としより)みなあつまりてラマにゆきサムエルの(もと)(いた)りて 5これにいひけるは()(なんぢ)()(なんぢ)()(なんぢ)(みち)をあゆまずさればわれらに(わう)をたててわれらを(さば)かしめ(ほか)國々(くにぐに)のごとくならしめよと 6その(われ)らに(わう)をあたへて(われ)らを(さば)かしめよといふを(きき)てサムエルよろこばず(しか)してサムエル、ヱホバにいのりしかば 7ヱホバ、サムエルにいひたまひけるは(たみ)のすべて(なんぢ)にいふところのことばを()()(なんぢ)(すつ)るにあらず(われ)()(われ)をして(その)(わう)とならざらしめんとするなり 8かれらはわがエジプトより(すく)ひいだせし()より今日(こんにち)にいたるまで(われ)をすてて(ほか)(かみ)につかへて種々(さまざま)所行(わざ)をなせしごとく(なんぢ)にもまた(しか)9(しか)れどもいま(その)(ことば)をきけ(ただ)(ふか)くいさめて(その)(をさ)むべき(わう)常例(ならはし)をしめすべし 10サムエル(わう)(もと)むる(たみ)にヱホバのことばをことごとく(つげ)11いひけるは汝等(なんぢら)ををさむる(わう)常例(ならはし)(かく)のごとし(なんぢ)らの男子(むすこ)をとり(おのれ)れのために(これ)をたてて(くるま)御者(ぎよしや)となし騎兵(きへい)となしまた(その)(くるま)前驅(さきばしり)となさん 12また(これ)をおのれの(ため)千夫(せんにんの)(かしら)五十夫(ごじふにんの)(かしら)となしまた(その)()をたがへし(その)(さく)(もつ)()らしめまた武器(ぶき)(しや)()とを(つく)らしめん 13また(なんぢ)らの女子(むすめ)をとりて製香者(かをりづくり)となし厨婢(くりやびと)となし灸麺者(ぱんやき)となさん 14(また)(なんぢ)らの田畝(たはた)葡萄園(ぶだうばたけ)橄欖(かんらん)(ばたけ)(もつと)()きところを(とり)(その)臣僕(けらい)にあたへ 15(なんぢ)らの穀物(こくもつ)(なんぢ)らの葡萄(ぶだう)什分(じふぶ)(いち)をとりて(その)官吏(くわんり)臣僕(けらい)にあたへ 16また(なんぢ)らの(しもべ)(しもめ)および(なんぢ)らの(もつと)()(うし)(なんぢ)らの驢馬(ろば)(とり)ておのれのために(はたら)かしめ 17(また)(なんぢ)らの(ひつじ)十分(じふぶ)(いち)をとり(また)(なんぢ)らを(その)(しもべ)となさん 18(その)()において汝等(なんぢら)(おのれ)のために(えら)みし(わう)のことによりて呼號(よばは)らんされどヱホバ(その)()(なんぢ)らに(きき)たまはざるべしと 19(しか)るに(たみ)サムエルの(ことば)にしたがふことをせずしていひけるは(いな)われらに(わう)なかるべからず 20(われ)らも(ほか)國々(くにぐに)(ごと)くになり(われ)らの(わう)われらを(さば)きわれらを(ひきゐ)(われ)らの(いくさ)にたたかはん 21サムエル(たみ)のことばを(ことごと)(きき)(これ)をヱホバの(みみ)()22ヱホバ、サムエルにいひたまひけるはかれらのことばを()きかれらのために(わう)をたてよサムエル、イスラエルの人々(ひとびと)にいひけるは(なんぢ)らおのおの(その)(まち)にかへるべし

第九章

1(ここ)にベニヤミンの(ひと)にてキシと(なづ)くる(ちから)(おほい)なるものありキシはアビエルの()アビニルはゼロンの()ゼロンはベコラテの()ベコラテはアビヤの()アビヤはベニヤミンの()なり 2キシにサウルと(なづ)くる()あり(さかり)にして(うる)はしイスラエルの子孫(ひとびと)(うち)(かれ)より(うる)はしき(もの)たく(かた)より(うへ)(たみ)のいづれの(ひと)よりも(たか)3サウルの(ちち)キシの驢馬(ろば)(うせ)ぬキシ(その)()サウルにいひけるは一人(ひとり)(わかもの)をともなひ()ちてゆき驢馬(ろば)(たづ)ねよ 4サウル、ニフライムの山地(やまち)(とほ)()ぎシヤリシヤの()(とほ)りすぐれども()あたらずシヤリムの()(とほ)りすぐれども()らずベニヤミンの()をとほりすぐれども()あたらず 5かれらツフの()にいたれる(とき)サウル(その)ともなへる(わかもの)にいひけるはいざ(かへ)らん(おそ)らくはわが(ちち)驢馬(ろば)(こと)(おき)我等(われら)(こと)(おも)(わづら)はん 6(わかもの)これにいひけるは(この)(まち)(かみ)(ひと)あり(たふと)(ひと)にして(その)()ふところは(みな)(かな)らず()(われ)らかしこにいたらんかれ(われ)らがゆくべき(みち)をわれらにしめすことあらん 7サウル(わかもの)にいひけるは(われ)らもしゆかば(なに)其人(そのひと)におくらんか(うつは)のパンは(すで)(つき)(かみ)(ひと)におくるべき禮物(もの)あらず(なに)かあるや 8(わかもの)またサウルにこたへていひけるは()よわが()(ぎん)一シケルの四(ぶん)の一あり(われ)これを(かみ)(ひと)にあたへて(われ)らに(みち)をしめさしめんと 9(むか)しイスラエルにおいては(ひと)(かみ)にとはんとてゆく(とき)はいざ先見者(せんけんしや)にゆかんといへり()(いま)預言者(よげんしや)(むか)しは先見者(せんけんしや)とよばれたればなり 10サウル(わかもの)にいひけるは()くいへりいざゆかんとて(かみ)(ひと)のをる(まち)におもむけり 11かれら(まち)にいる(さか)をのぼれる(とき)(わかき)(をんな)數人(すにん)(みづ)くみにいづるにあひ(これ)にいひけるは先見者(せんけんしや)(ここ)にをるや 12(こたへ)ていひけるはをる()(なんぢ)のまへにをる(いそ)ぎゆけ今日(けふ)(たみ)崇邱(たかをか)にて(まつり)をなすにより(かれ)けふ(まち)にきたれり 13(なんぢ)(まち)にる(とき)かれが崇邱(たかをか)にのぼりて(しよく)()くまへに(ただち)ちにかれにあはん()(かれ)まづ祭品(そなへもの)(しゆく)してしかるのち(まね)かれたる(もの)(くら)ふべきに()りかれが(きた)るまでは(たみ)(くら)はざるなり(ゆゑ)(なんぢ)らのぼれ(いま)かれにあはんと 14かれら(まち)にのぼりて(まち)のなかにいるとき()よサムエル崇邱(たかをか)にのぼらんとてかれらにむかひて(いで)きたりぬ 15ヱホバ、サウルのきたる一日(いちにち)まへにサムエルの(みみ)につげていひたまひけるは 16明日(あくるひ)いまごろ(われ)ベニヤミンの()より一箇(ひとり)(ひと)(なんぢ)につかはさん(なんぢ)かれに(あぶら)(そそ)ぎてわが(たみ)イスラエルの(かしら)となせかれわが(たみ)をペリシテ(びと)()より(すく)ひいださんわが(たみ)のさけび(われ)に達せしにより(われ)(これ)をかへりみるなり 17サムエル、サウルを()るときヱホバこれにいひたまひけるは()よわが(なんぢ)につげしは此人(このひと)なり(この)(ひと)わが(たみ)ををさむべし 18サウル(もん)(なか)にてサムエルにちかづきいひけるは先見者(せんけんしや)(いへ)はいづくにあるや()(われ)につげよ 19サムエル、サウルにこたへていひけるは(われ)はすなはち先見者(せんけんしや)なり(なんぢ)わがまへにゆきて崇邱(たかをか)にのぼれ(なんぢ)今日(けふ)(われ)とともに(しよく)()明日(あくるひ)われ(なんぢ)をさらしめ(なんぢ)(こころ)にあることを(ことごと)(なんぢ)にしめさん 20三日(みつか)まへに(うせ)たる(なんぢ)驢馬(ろば)(すで)()あたりたれば(これ)をおもふなかれ(そもそ)もイスラエルの(すべ)ての(たから)(たれ)(もの)なるや(すなは)(なんぢ)(なんぢ)(ちち)(いへ)のものならずや 21サウルこたへていひけるは(われ)はイスラエルの支派(わかれ)(もつと)(ちひさ)支派(わかれ)なるベニヤミンの(ひと)にしてわが(やから)はベニヤミンの支派(わかれ)(もろもろ)(やから)(もつと)(ちひさ)(もの)(あらず)やなんぞ(かか)(こと)(われ)にかたるや 22サムエル、サウルと(その)(わかもの)をみちびきて(だう)にいり(まね)かれたる三十(にん)ばかりの(もの)(うち)(もつと)(かみ)()せしむ 23サムエル庖人(くりやびと)にいひけるはわが(なんぢ)にわたして(なんぢ)(もと)におけといひし(ぶん)をもちきたれ 24庖人(くりやびと)(かた)(かた)(つけ)(もの)をとりあげて(これ)をサウルのまへに()くサムエルいひけるは()(これ)(たくは)へおきたる(もの)なり(なんぢ)のまへにおきて(くら)()はわれ(たみ)をまねきし(とき)よりこれを(なんぢ)(ため)にたくはへおきたればなりかくてサウル(この)()サムエルとともに(しよく)せり 25崇邱(たかをか)をくだりて(まち)にいりし(とき)サムエル、サウルとともに屋背(やね)(うへ)にてものがたる 26かれら(はや)くおく(すなは)ちサムエル(あけぼの)屋背(やね)(うへ)なるサウルをよびていけるは(おき)よわれ(なんぢ)をかへさんとサウルすなはちおきあがるサウルとサムエルともに(そと)にいで 27(まち)極處(はて)にくだれるときサムエル、サウルにいひけるは(わかもの)(めい)じて我等(われら)(さき)にゆかしめよ((わかもの)(さき)にゆく)しかして(なんぢ)(しばら)くとどまれ(われ)(なんぢ)(かみ)(ことば)をしめさん

第十章

1サムエルすなはち(あぶら)(びん)をとりてサウルの(かうべ)(そそ)(くち)(つけ)して(いひ)けるはヱホバ(なんぢ)をたてて(その)產業(さんげふ)(かしら)となしたまふにあらずや 2(なんぢ)今日(けふ)(われ)をはなれて()りゆく(とき)ベニヤミンの(さかひ)のゼルザにあるラケルの(はか)のかたはらにて二人(ふたり)(ひと)にあふべしかれら(なんぢ)にいはん(なんぢ)がたづねにゆきし驢馬(ろば)()あたりぬ(なんぢ)(ちち)驢馬(ろば)のことをすてて(なんぢ)らのことをおもひわづらひわが()(こと)をいかがすべきやといへりと 3其處(そこ)より(なんぢ)(なほ)すすみてタボルの(かし)()のところにいたらんに彼處(かしこ)にてベテルにのぼり(かみ)にまうでんとする三(にん)(もの)(なんぢ)にあはん一人(ひとり)三頭(みつ)山羊羔(やぎのこ)(たづさ)一人(ひとり)三團(みつ)のパンをたづさへ一人(ひとり)一嚢(ひとふくろ)(さけ)をたづさふ 4かれら(なんぢ)安否(あんぴ)をとひ二團(ふたつ)のパンを(なんぢ)にあたへん(なんぢ)(これ)(その)()よりうくべし 5(その)(のち)(なんぢ)(かみ)のギベアにいたらん其處(そこ)にペリシテ(びと)(だい)(くわん)あり(なんぢ)彼處(かしこ)にゆきて(まち)にいるとき一群(ひとくみ)預言者(よげんしや)(しつ)(つづみ)(ふえ)(こと)(まへ)()らせて預言(よげん)しつつ崇邱(たかをか)をくだるにあはん 6(その)(とき)(かみ)のみたま(なんぢ)にのぞみて(なんぢ)かれらとともに預言(よげん)(かは)りて(あたら)しき(ひと)とならん 7(これ)らの(しるし)(なんぢ)()におこらば()のあたるにまかせて(こと)()すべし(かみ)(なんぢ)とともにいませばなり 8(なんぢ)(われ)にさきだちてギルガルにくだるべし(われ)(なんぢ)(もと)にくだりて燔祭(はんさい)(そな)酬恩祭(しうおんさい)(ささ)げんわが(なんぢ)のもとに(いた)(なんぢ)()すべきことを(しめ)すまで(なんぢ)七日(なぬか)のあひだ()つべし 9サケウル()をかへしてサムエルを(はな)れし(とき)(かみ)(これ)(あたら)しき(こころ)をあたへたまふしかして(この)しるし(みな)(その)()におこれり 10ふたり彼處(かしこ)にゆきてギベアにいたれるときみよ一群(ひとくみ)預言者(よげんしや)これにあふしかして(かみ)(みたま)サウルにのぞみてサウルかれらの(うち)にありて預言(よげん)せり 11(もと)よりサウルを()人々(ひとびと)サウルの預言(よげん)(しや)(とも)預言(よげん)するを()(たが)ひにいひけるはキシの()サウル(いま)何事(なにごと)にあふやサウルも預言者(よげんしや)(うち)にあるやと 12(その)(ところ)(ひと)ひとり(こた)へて彼等(かれら)(ちち)(たれ)ぞやといふ是故(このゆえ)にサウルも預言者(よげんしや)(うち)にあるやといふは(ことわざ)となれり 13サウル預言(よげん)(をへ)崇邱(たかをか)にいたるに 14サウルの叔父(をぢ)サウルと(わかもの)にいひけるは(なんぢ)何處(いづく)にゆきしやサウルいひけるは驢馬(ろば)(たづ)ねに(いで)しが何處(いづく)にもをらざるを()てサムエルの(もと)にいたれり 15サウルの叔父(をぢ)いひけるはサムエルは(なんぢ)(なに)をいひしか()(われ)につげよ 16サウル叔父(をぢ)にいひけるは(あきら)かに驢馬(ろば)()あたりしを()げたりと(しか)れどもサムエルが(いへ)(こく)(わう)(こと)はこれにつげざりき 17サムエル(たみ)をミヅパにてヱホバのまへに(あつ)18イスラエルの子孫(ひとびと)にいひけるはイスラエルの(かみ)ヱホバ()くいひたまふ(われ)イスラエルをみちびきてエジプトより(いだ)(なんぢ)らをエジプト(びと)()および(すべ)(なんぢ)らを虐遇(しへたぐ)國人(くにびと)()より(すく)ひいだせり 19(しか)るに(なんぢ)らおのれを患難(なやみ)難苦(くるしみ)のうちより(すく)ひいだしたる(なんぢ)らの(かみ)()(かつ)(いな)われらに(わう)をたてよといへり是故(このゆえ)にいま汝等(なんぢら)支派(わかれ)(ぐん)にしたがひてヱホバのまへに(いで)20サムエル、イスラエルの(もろもろ)支派(わかれ)(よび)よせし(とき)ベニヤミンの支派(わかれ)(くじ)にあたりぬ 21またベニヤミンの支派(わかれ)(その)(やから)のかずにしたがひて(よび)よせしときマテリの(やから)(くじ)にあたりキシの()サウル(くじ)にあたれり人々(ひとびと)かれを(たづ)ねしかども()(いださ)ざれば 22またヱホバに其人(そのひと)(ここ)(きた)るや(いな)やを(とひ)しにヱホバ(こたへ)たまはく()(かれ)行李()のあひだにかくると 23人々(ひとびと)はせゆきて(かれ)其處(そこ)よりつれきたれり(かれ)(たみ)(うち)にたつに(かた)より以上(うへ)(たみ)(いづれ)(ひと)よりも(たか)かりき 24サムエル(たみ)にいひけるは(なんぢ)らヱホバの(えら)みたまひし(ひと)()るか(たみ)のうちに(この)(ひと)(ごと)(もの)とし(たみ)みなよばはりいひけるは(ねがは)くは(わう)いのちながかれ 25(とき)にサムエル(わう)(こく)典章(のり)(たみ)にしめして(これ)(しよ)にしるし(これ)をヱホバのまへに(をさ)めたりしかしてサムエル(たみ)をことごとく(その)(いへ)にかへらしむ 26サウルもまたギベアの(いへ)にかへるに(かみ)(こころ)(かん)ぜられたる勇士(ゆうし)()これとともにゆけり 27(しか)れども(よこしま)なる人々(ひとびと)彼人(かのひと)いかで(われ)らを(すく)はんやといひて(これ)蔑視(あなど)(これ)禮物(れいもつ)をおくらざりしかどサウルは(あふし)のごとくせり

第十一章

1アンモニ(びと)ナハシ、ギレアデのヤベシにのぼりて(これ)(かこ)むヤベシの人々(ひとびと)ナハシにいひけるは(われ)らと(やく)をなせ(しか)らば(なんぢ)につかへん 2アンモニ(びと)ナハシこれに(こた)へけるは(われ)かくして(なんぢ)らと(やく)をなさん(すなは)(われ)(なんぢ)らの(みぎ)()(くじ)りてイスラエルの全地(ぜんち)恥辱(はぢ)をあたへん 3ヤベシの長老(としより)これにいひけるは(われ)らに七日(なぬか)猶予(ひま)をあたへて使(つかひ)をイスラエルの四方(よも)(さかひ)におくることを()さしめよ(しか)して()(われ)らを(すく)(もの)なくば(われ)(なんぢ)にくだらん 4(かく)使(つかひ)サウルのギベアにいたり此事(このこと)(たみ)(みみ)(つげ)しかば(たみ)(みな)(こゑ)をあげて()きぬ 5(ここ)にサウル(はた)より(うし)にしたがひて(きた)るサウルいひけるは(たみ)(なに)によりて()くやと人々(ひとびと)これにヤベシ(びと)(こと)()6サウル(これ)(きけ)るとき(かみ)(みたま)これに(のぞ)みてその(いかり)(はなは)だしく()えたち 7(ひと)(くびき)(うし)をころしてこれを()()使(つかひ)()をもてこれをイスラエルの四方(よも)(さかひ)にあまねくおくりていはしめけるは(たれ)にてもサウルとサムエルにしたがひて(いで)ざる(もの)(その)(うし)かくのごとくせらるべしと(たみ)ヱホバを(かしこ)一人(ひとり)のごとく(ひとし)くいでたり 8サウル、ベゼクにてこれを(かぞ)ふるにイスラエルの子孫(ひとびと)三十(まん)ユダの(ひと)(まん)ありき 9(かく)人々(ひとびと)(きた)れる使(つかひ)にいひけるはギレアデのヤベシの(ひと)にかくいへ明日(あす)()(あつ)(とき)(なんぢ)(たすけ)()んと使(つかひ)かへりてヤベシ(びと)()げければ(みな)よろこびぬ 10(ここ)をもてヤベシの(ひと)(いひ)けるは明日(あす)(なんぢ)らに(くだ)らん(なんぢ)らの(よし)(おも)ふところを()11明日(あくるひ)サウル(たみ)三隊(みくみ)にわかち暁更(あかつき)(てき)(ぐん)(なか)にいりて()(あつ)くなる(とき)までアンモニ(びと)をころしければ(のこ)れる(もの)(みな)ちりぢりになりて二人(ふたり)(とも)にあるものなかりき 12(たみ)サムエルにいひけるはサウル(いかで)(われ)らの(わう)となるべけんやと(いひ)しは(たれ)ぞや其人(そのひと)()(きた)(われ)(これ)をころさん 13サウルいひけるは今日(けふ)ヱホバ(すくひ)をイスラエルに(ほどこ)したまひたれば今日(けふ)(ひと)をころすべからず 14(ここ)にサムエル(たみ)にいひけるはいざギルガルに(ゆき)彼處(かしこ)にて(わう)(こく)(あらた)にせんと 15(たみ)みなギルガルにゆきて彼處(かしこ)にてヱホバのまへにサウルを(わう)となし彼處(かしこ)にて酬恩祭(しうおんさい)をヱホバのまへに(ささ)げサウルとイスラエルの人々(ひとびと)(みな)かしこにて(おほい)(いは)へり

第十二章

1サムエル、イスラエルの人々(ひとびと)にいひけるは()(われ)(なんぢ)らが(われ)にいひし(ことば)をことごとく(きき)(なんぢ)らに(わう)(たて)たり 2()(いま)(わう)(なんぢ)らのまへにあゆむ(われ)(おい)(かみ)しろし()よわが()ども(なんぢ)らと(とも)にあり(われ)幼稚時(いとけなきとき)より今日(こんにち)にいたるまで汝等(なんぢら)のまへにあゆめり 3()(われ)ここにありヱホバのまへと(その)(あぶら)そそぎし(もの)のまへに(われ)(うつた)へよ(われ)(たれ)(うし)()りしや(たれ)驢馬(ろば)をとりしや(たれ)(かす)めしや(たれ)虐遇(くるしめ)しや(たれ)()より賄賂(まひなひ)をとりてわが()(くらま)せしや(あら)(われ)これを(なんぢ)らにかへさん 4(かれ)らいひけるは(なんぢ)(われ)らをかすめずくるしめず(また)(なに)をも(ひと)()より()りしことなし 5サムエルかれらにいひけるは(なんぢ)らが(わが)()のうちに(なに)をも()いださざるをヱホバ(なんぢ)らに(あかし)したまふ(その)(あぶら)そそぎし(もの)今日(こんにち)(あかし)(かれ)(こた)へけるは(あかし)したまふ 6サムエル(たみ)にいひけるはヱホバはモーセとアロンをたてし(もの)(なんぢ)らの先祖(せんぞ)をエジプトの()より(みちび)きいだせしものなり 7()ちあがれヱホバが(なんぢ)らおよび(なんぢ)らの先祖(せんぞ)になしたまひし(もろもろ)(ただ)しき行爲(わざ)につきて(われ)ヱホバのまへに(なんぢ)らと(ろん)ぜん 8ヤコブのエジプトにいたるにおよびて(なんぢ)らの先祖(せんぞ)のヱホバに(よば)はりし(とき)ヱホバ、モーセとアロンを(つか)はしたまひて(この)二人(ふたり)(なんぢ)らの先祖(せんぞ)をエジプトより(みちび)きいだして此處(このところ)にすましめたり 9しかるに(かれ)(その)(かみ)ヱホバを(わす)れしかばヱホバこれをハゾルの(ぐん)(かしら)シセラの()とペリシテ(びと)()およびモアブ(わう)()にわたしたまへり(かく)(かれ)らこれを(せめ)ければ 10(たみ)ヱホバに(よば)はりていひけるは(われ)らヱホバを(すて)てバアルとアシタロテに(つか)へてヱホバに(つみ)(をか)したりされど(いま)(われ)らを(てき)()より(すく)ひいだしたまへ(われ)(なんぢ)につかへんと 11(ここ)においてヱホバ、ヱルバアルとバラクとエフタとサムエルを(つか)はして(なんぢ)らを四方(よも)(てき)()より(すく)ひいだしたまひて(なんぢ)(やす)らかに()めり 12しかるに(なんぢ)らアンモンの子孫(ひとびと)(わう)ナハシの(なんぢ)らを(せめ)んとて(きた)るを()(なんぢ)らの(かみ)ヱホバ(なんぢ)らの(わう)なるに(なんぢ)(われ)にいふ(いな)(われ)らををさむる(わう)なかるべからずと 13(いま)(なんぢ)らが(えら)みし(わう)(なんぢ)らがねがひし(わう)()()よヱホバ(なんぢ)らに(わう)をたてたまへり 14(なんぢ)らもしヱホバを(かしこ)みて(これ)につかへ(その)(ことば)にしたがひてヱホバの(めい)にそむかずまた(なんぢ)らと(なんぢ)らををさむる(わう)(つね)(なんぢ)らの(かみ)ヱホバに(したが)はば()15しかれども(なんぢ)らもしヱホバの(ことば)にしたがはずしてヱホバの(めい)にそむかばヱホバの()(なんぢ)らの先祖(せんぞ)をせめしごとく(なんぢ)らをせむべし 16(なんぢ)(いま)たちてヱホバが(なんぢ)らの()のまへになしたまふ(この)(おほい)なる(こと)()17今日(けふ)(むぎ)(かり)(どき)にあらずや(われ)ヱホバを(よば)んヱホバ(いかづち)(あめ)をくだして(なんぢ)らが(わう)をもとめてヱホバのまへに()したる(つみ)(おほい)なるを(しめ)しらしめたまはん 18かくてサムエル、ヱホバをよびければヱホバ(その)()(いかづち)(あめ)をくだしたまへり(たみ)みな(おほい)にヱホバとサムエルを(おそ)19(たみ)みなサムエルにいひけるは(しもべ)らのために(なんぢ)(かみ)ヱホバにいのりて(われ)らを()なざらしめよ(われ)(もろもろ)(つみ)にまた(わう)(もと)むるの(あく)をくはへたればなり 20サムエル(たみ)にいひけるは(おそ)るなかれ(なんぢ)らこの(すべ)ての(あく)をなしたりされどヱホバに(したが)ふことを(やめ)(こころ)をつくしてヱホバに(つか)21(むな)しき(もの)(まよ)ひゆくなかれ(これ)(むな)しき(もの)なれば(なんぢ)らを(たす)くることも(すく)ふことも()ざるなり 22ヱホバ(その)(おほい)なる()のために(この)(たみ)をすてたまはざるべし()はヱホバ(なんぢ)らをおのれの(たみ)となすことを(よし)としたまへばなり 23また(われ)(なんぢ)らのために(いの)ることをやめてヱホバに(つみ)ををかすことは(きはめ)てせざるべし(かつ)われ()(ただ)しき(みち)をもて(なんぢ)らををしへん 24(なんぢ)(ただ)ヱホバをかしこみ(こころ)をつくして(まこと)にこれにつかへよ(しか)して如何(いか)(おほい)なることをヱホバ(なんぢ)らになしたまひしかを(おも)()25しかれども(なんぢ)らもしなほ(あく)をなさば(なんぢ)らと(なんぢ)らの(わう)ともにほろぼさるべし

第十三章

1サウル三十(さい)にて(わう)(くらゐ)()(かれ)(ねん)イスラエルををさめたり 2(ここ)にサウル、イスラエル(びと)(せん)(えら)(その)(せん)はサウルとともにミクマシおよびベテルの山地(やまち)にあり(その)(せん)はヨナタンとともにベニヤミンのギベアにあり(その)()(たみ)はサウルおのおの(その)幕屋(まくや)にかへらしむ 3ヨナタン、ゲバにあるペリシテ(びと)(だい)(くわん)をころせりペリシテ(びと)()れをきく(ここ)においてサウル(こく)(ちう)にあまねくラツパを(ふい)ていはしめけるはヘブル(びと)()くべし 4イスラエル(びと)(みな)()けるに(いは)くサウル、ペリシテ(びと)(だい)(くわん)(うて)りしかしてイスラエル、ペリシテ(びと)(うち)(にく)まると(かく)(たみ)めされてサウルにしたがひギルガルにいたる 5ペリシテ(びと)イスラエルと(たたか)はんとて(あつま)りけるが(いくさ)(ぐるま)(びやく)騎兵(きへい)(せん)にして(たみ)(はま)(いさご)(おほ)きがごとくなりき(かれ)らのぼりてベテアベンにむかへるミクマシに(ぢん)をとれり 6イスラエルの(ひと)(くるし)められ(その)(あやふ)きを()(みな)巖穴(ほら)林叢(やぶ)崗巒(いは)高塔(たふ)坎阱(あな)にかくれたり 7また(ある)るヘブル(びと)はヨルダンを(わた)りてガドとギレアデの()にいたる(しか)るにサウルは(なほ)ギルガルにあり(たみ)(みな)戰慄(ふるひ)(これ)にしたがふ 8サウル、サムエルの(さだ)めし()にしたがひて七日(なぬか)とどまりしがサムエル、ギルガルに(きた)らず(たみ)はなれて(ちり)ければ 9サウルいひけるは燔祭(はんさい)酬恩祭(しうおんさい)(われ)にもちきたれと(つひ)燔祭(はんさい)をささげたり 10燔祭(はんさい)をささぐることを(をへ)しときに()よサムエルいたるサウル安否(あんぴ)()はんとてこれをいで(むか)ふに 11サムエルいひけるは(なんぢ)(なに)をなせしやサウルいひけるは我民(わがたみ)(われ)をはなれてちりまた(なんぢ)(さだ)まれる()のうちに(きた)らずしてペリシテ(びと)のミクマシに(あつ)まれるを()しかば 12ペリシテ(びと)ギルガルに(くだ)りて(われ)をおそはんに(われ)いまだヱホバをなごめずといひて(つとめ)燔祭(はんさい)をささげたり 13サムエル、サウルにいひけるは(なんぢ)おろかなることをなせり(なんぢ)その(かみ)ヱホバのなんぢに(めい)じたまひし命令(めいれい)(まも)らざりしなり()(まも)りしならばヱホバ、イスラエルををさむる(くらゐ)(なが)(なんぢ)(さだ)めたまひしならん 14(しかれ)どもいま(なんぢ)(くらゐ)たもたざるべしヱホバ其心(そのこころ)(かな)(ひと)(もと)めてヱホバ(これ)(その)(たみ)(かしら)(めい)じたまへり(なんぢ)がヱホバの(めい)ぜしことを(まも)らざるによる 15かくてサムエルたちてギルガルよりベニヤミンのギベアにのぼりいたる 16サウルおのれとともにある(たみ)をかぞふるに(およ)そ六(ぴやく)(にん)ありき 17サウルおよび(その)()ヨナタン(ならび)にこれとともにある(たみ)はベニヤミンのゲバに()りペリシテ(びと)はミクマシに(ぢん)()18劫掠(ぶんどり)(びと)三隊(みくみ)にわかれてペリシテ(びと)(ぢん)よりいで一隊(ひとくみ)はオフラの(みち)にむかひてシユアルの()にいたり 19一隊(ひとくみ)はベテホロンの(みち)(むか)一隊(ひとくみ)曠野(あらの)(かた)にあるゼボイムの(たに)をのぞむ(さかひ)(みち)にむかふ 20(とき)にイスラエルの()のうち何處(いづこ)にも鐵工(かぢ)なかりき()はペリシテ(びと)ヘブル(びと)(かたな)あるひは(やり)(つく)ることを(おそ)れたればなり 21イスラエル(びと)(みな)(その)(すき)(くは)(をの)(からすき)(すなは)(すき)(くは)三歯(みつば)(ぐは)(をの)()(かけ)ありてこれを(きた)(なほ)さんとする(とき)(また)(むち)(とが)らさんとする(とき)(つね)にペリシテ(びと)(ところ)にくだれり 22(ここ)をもて(たたかひ)()にサウルおよびヨナタンとともにある(たみ)()には(かたな)(やり)()えず(ただ)サウルと(その)()ヨナクンのみ(もて)23(ここ)にペリシテ(びと)先陣(さきぞなへ)ミクマシの渡口(わたり)(すす)

第十四章

1其時(そのとき)サウルの()ヨナタン武器(ぶき)()(わか)(もの)にいひけるはいざ對面(むかふ)にあるペリシテ(びと)(さき)(ぞなへ)(わた)りゆかんと(され)(その)(ちち)には(つげ)ざりき 2サウル、ギベアの(はて)においてミグロンにある石榴(じやくろ)()(した)(とど)まりしが(とも)にある(たみ)はおよそ六(ぴやく)(にん)なりき 3(また)アヒヤ、エポデを()てともにをるアヒヤはアヒトブの()アヒトブはイカボデの兄弟(きやうだい)イカボデばピネハスの()ピネハスはシロにありてヱホバの祭司(さいし)たりしエリの()なり(たみ)ヨナタンの()けるをしらざりき 4ヨナタンの(わた)りてペリシテ(びと)(さき)(ぞなへ)にいたらんとする渡口(わたり)(あひだ)此傍(こなた)巉巌(いはほ)あり彼傍(かなた)にも巉巌(いはほ)あり(ひとつ)()をボゼツといひ(ひとつ)()をセネといふ 5(その)(ひとつ)(きた)(むか)ひてミクマシに(たい)(ひとつ)(みなみ)にむかひてゲバに(たい)6ヨナタン武器(ぶき)()少者(わかもの)にいふいざ(われ)(この)割禮(かつれい)なき(もの)どもの(さき)(ぞなへ)にわたらんヱホバ(われ)らのためにはたらきたまことあらん(おほ)くの(ひと)をもて(すく)ふも(すくな)(ひと)をもてすくふもヱホバにおいては(さまた)げなし 7武器(ぶき)をとるもの(これ)にいひけるは(すべ)(なんぢ)(こころ)にあるところをなせ(すす)めよ(われ)(なんぢ)(こころ)にしたがひて(なんぢ)とともにあり 8ヨナタンいひけるは()(われ)らかの人々(ひとびと)のところにわたり()をかれらにあらはさん 9かれら(もし)(われ)らが(なんぢ)らにいたるまでとどまれと()(われ)らにいはば(われ)らはこのままとどまりてかれらの(ところ)にのぼらじ 10されど()(われ)らのところにのぼれとかくいはば(われ)らのぼらんヱホバかれらを(われ)らの()にわたしたまふなり(これ)(しるし)となさんと 11(かく)二人(ふたり)(その)()をペリシテ(びと)(さき)(ぞなへ)にあらはしければペリシテ(びと)いひけるは()よヘブル(びと)(その)かくれたる(あな)よりいで(きた)ると 12すなはち(さき)(ぞなへ)(ひと)ヨナタンと(その)武器(ぶき)()(もの)にこたへて我等(われら)(ところ)(のぼ)りきたれ()(もの)()せんといひしかばヨナタン武器(ぶき)()(もの)にいひけるは(われ)にしたがひてのぼれヱホバ(かれ)らをイスラエルの()にわたしたまふなり 13ヨナタン(よぢ)のぼり(その)武器(ぶき)()るもの(これ)にしたがふペリシテ(びと)ヨナタンのまへに(たふ)武器(ぶき)をとる(もの)(うしろ)にしたがひて(これ)をころす 14ヨナタンと(その)武器(ぶき)()るもの()はじめに(ころ)せし(もの)およそ二十(にん)此事(このこと)田畑(はたけ)(はん)(だん)(うち)になれり 15しかして()にある(ぢん)のものおよび(すべ)ての(たみ)(うち)戰慄(おののき)おこり先陣(さきぞなへ)(ひと)および劫掠(ぶんどり)(びと)もまたおののき()ふるひ(うご)けり()(かみ)よりの戰慄(をののき)なりき 16ベニヤミンのギベアにあるサウルの戌卒(ものみ)(のぞみ)()しに()よペリシテ(びと)群衆(ぐんしう)くづれて此彼(ここかしこ)にちらばる 17(とき)にサウルおのれとともなる(たみ)にいひけるは(なんぢ)點驗(しらべ)()(われ)らの(うち)よりゆきしかを()よとすなはちしらべたるにヨナタンとその武器(ぶき)()るもの()らざりき 18サウル、アヒヤにエポデを(もち)きたれといふ()はかれ此時(このとき)イスラエルのまへにエポデを()たれば(なり) 19サウル祭司(さいし)にかたれる(とき)ペリシテ(びと)(ぐん)(さはぎ)いよいよましたりければサウル祭司(さいし)にいふ(しばら)(なんぢ)()()けと 20かくてサウルおよびサウルと(とも)にある(たみ)(みな)(よば)はりて(たたか)ひに(いた)るにペリシテ(びと)おのおの(かたな)()(たがひ)(あひ)()ちければその敗績(やぶれ)はなはだ(おほい)なりき 21また此時(このとき)よりまへにペリシテ(びと)とともにありてペリシテ(びと)(とも)(のぼ)りて(ぢん)(きたれ)るところのヘブル(びと)もまた(ひるが)へりてサウルおよびヨナタンと(とも)にあるイスラエル(びと)(がつ)せり 22(また)エフライムの山地(やまち)にかくれたるイスラエル(びと)(みな)ペリシテ(びと)(にぐ)るを(きき)てまた(たたか)ひに(いで)(これ)追撃(おひうて)23(かく)(ごと)くヱホバ(この)()イスラエルをすくひたまふ(しか)して(たたかひ)はベテアベンにうつれり 24されど(この)()イスラエル(びと)(くるし)めり()はサウル(たみ)(ちか)はせて(よひ)まで(すなは)ちわが(てき)(あだ)をむくゆるまでに食物(しよくもつ)(くら)(もの)呪詛(のろは)れんと(いひ)たればなり是故(このゆえ)(たみ)(うち)食物(しよくもつ)(あじは)ひし(もの)なし 25(ここ)(たみ)みな林森(もり)(いたる)()(おもて)(みつ)あり 26(すなは)(たみ)(もり)にいたりて(みつ)のながるるをみる(しかれ)ども(たみ)(ちかひ)(おそ)るれば(たれ)()(くち)につくる(もの)なし 27(しかる)にヨナタンは(その)(ちち)(たみ)をちかはせしを(きか)ざりければ()にある(つゑ)(さき)をのばして(みつ)にひたし()(くち)につけたり(これ)(より)(その)()あきらかになりぬ 28(とき)(たみ)のひとり(こたへ)(いひ)けるは(なんぢ)(ちち)かたく(たみ)をちかはせて今日(けふ)食物(しよくもつ)をくらふ(ひと)呪詛(のろ)はれんと(いへ)(これ)(より)(たみ)つかれたり 29ヨナタンいひけるはわが(ちち)(くに)(わづらは)せり()(わが)この(みつ)をすこしく(なめ)しによりて如何(いか)にわが()(あきら)かになりしかを()30ましてや(たみ)今日(けふ)(てき)よりうばひし(もの)十分(じふぶん)(くらひ)しならばペリシテ(びと)をころすこと(さら)におほかるべきにあらずや 31イスラエル(びと)かの()ペリシテ(びと)(うち)てミクマシよりアヤロンにいたる(しか)して(たみ)はなはだ(つかれ)たり 32(ここ)において(たみ)劫掠(ぶんどり)(もの)(はせ)かかり(ひつじ)(うし)(こうし)とを()りて(これ)()のうへにころし()のままに(これ)をくらふ 33人々(ひとびと)サウルにつげていひけるは(たみ)(にく)()のままに(くら)ひて(つみ)をヱホバにをかすとサウルいひけるは(なんぢ)(そむ)けり(ただ)ちにわがもとに(おほ)(いし)をまろばしきたれ 34サウルまたいひけるは(なんぢ)らわかれて(たみ)のうちにいりていへ(ひと)(おのおの)(その)(うし)(おのおの)(その)(ひつじ)をわがもとに()ききたり此處(ここ)にてころしくらへ()のままにくらひて(つみ)をヱホバに(をか)すなかれと(ここ)において(たみ)おのおのこの()(その)(うし)()にひききたりて(これ)をかしこにころせり 35しかしてサウル、ヱホバに一つの(だん)をきづく(これ)はサウルのヱホバに(だん)(きづ)ける(はじめ)なり 36(かく)てサウルいひけるは(われ)()のうちにペリシテ(びと)(おひ)くだり夜明(よあけ)までかれらを(かす)めて一人(ひとり)をも(のこ)すまじ(みな)いひけるは(すべ)(なんぢ)()(よし)とみゆる(ところ)をなせと(とき)祭司(さいし)いひけるは(われ)(ここ)にちかより(かみ)にもとめんと 37サウル(かみ)(われ)ペリシテ(びと)をおひくだるべきか(なんぢ)かれらをイスラエルの()にわたしたまふやと(とひ)けれど(この)()はこたへたまはざりき 38(ここ)においてサウルいひけるは(たみ)(かしら)たちよ(みな)(ここ)にちかよれ(なんぢ)らみて今日(けふ)のこの(つみ)のいづくにあるを()39イスラエルを(すく)ひたまへるヱホバはいく假令(たとひ)わが()ヨナタンにもあれ(かなら)()なざるべからずとされど(たみ)のうち一人(ひとり)もこれにこたへざりき 40サウル、イスラエルの人々(ひとびと)にいひけるはなんぢらは彼處(かなた)にをれ(われ)とわが()ヨナタンは此處(こなた)にをらんと(たみ)いひけるは(なんぢ)()によしとみゆるところをなせ 41サウル、イスラエルの(かみ)ヱホバにいひけるはねがはくは眞實(まこと)をしめしたまへとかくてヨナタンとサウル(くじ)にあたり(たみ)はのがれたり 42サウルいひけるは(われ)とわが()のあひだの(くじ)()けと(すなは)ちヨナタンこれにあたれり 43サウル、ヨナタンにいひけるは(なんぢ)がなせしところを(われ)(つげ)よヨナタンつげていひけるは(われ)(ただ)わが()(つゑ)(さき)をもて少許(すこし)(みつ)をなめしのみなるが(われ)しなざるをえず 44サウルこたへけるは(かみ)かくなしまたかさねてかくなしたまヘヨナタンよ(なんぢ)(しな)ざるべからず 45(たみ)サウルにいひけるはイスラエルの(うち)(この)(おほい)なるすくひをなせるヨナタン()ぬべけんや(きは)めてしからずヱホバは()くヨナタンの(かみ)()ひとすぢも()におつべからず()はかれ(かみ)とともに今日(けふ)はたらきたればなりとかく(たみ)ヨナタンをすくひて()なざらしむ 46サウル、ペリシテ(びと)(おふ)ことを(やめ)てのぼりぬペリシテ(びと)(その)(くに)にかへれり 47かくてサウル、イスラエルの(わう)(くらゐ)につきて四方(よも)(てき)()(すなは)ちモアブ、アンモンの子孫(ひとびと)エドム、ゾバの(わう)たちおよびペリシテ(びと)をせめけるに(すべ)てむかふところにて勝利(かち)()たり 48サウル(ちから)をえアマレク(びと)をうちてイスラエルを(その)劫掠(あらす)(ひと)()よりすくひいだせり 49サウルの男子(むすこ)はヨナタン、ヱスイおよびマルキシユアなり(その)二人(ふたり)女子(むすめ)()(あね)はメラブといひ(いもうと)はミカルといふ 50サウルの(つま)()はアヒノアムといひてアヒマアズの女子(むすめ)なり(その)(ぐん)(かしら)()はアブネルといひてサウルの叔父(をぢ)なるネルの()なり 51サウルの(ちち)キシとアブネルの(ちち)ネルはアビエルの()なり 52サウルの一生(いつしやう)のあひだ(つね)にペリシテ(びと)(はげ)しき(たたかひ)ありサウルは(ちから)ある(ひと)または(ゆう)ある(ひと)()るごとにこれをかかへたり

第十五章

1(ここ)にサムエル、サウルにいひけるはヱホバ(われ)をつかはし(なんぢ)(あぶら)(そそ)ぎて(その)(たみ)イスラエルの(わう)となさしめたりさればヱホバの(ことば)(こゑ)をきけ 2萬軍(ばんぐん)のヱホバかくいひたまふ(われ)アマレクがイスラエルになせし(こと)すなはちエジプトよりのぼれる(とき)(その)(みち)(さへぎ)りしをかへりみる 3(いま)ゆきてアマレクを()(その)(もて)(もの)をことごとく(ほろぼ)しつくし(かれ)らを(あはれ)むなかれ(をとこ)(をんな)童稚(をさなご)哺乳兒(ちのみご)(うし)(ひつじ)駱駝(らくだ)驢馬(ろば)(みな)(ころ)4サウル(たみ)をよびあつめてこれをテライムに(かぞ)歩兵(ほへい)二十(まん)ユダの(ひと)(まん)あり 5しかしてサウル、アマレクの(まち)にいたりて(たに)(へい)(ふせ)たり 6サウル、ケニ(びと)にいひけるは(なんぢ)らゆきてさりアマレク(びと)をはなれくだるべし(おそ)らくはかれらとともに(なんぢ)らをほろぼすにいたらんイスラエルの子孫(ひとびと)のエジプトよりのぼれる(とき)(なんぢ)らこれに(めぐ)みをほどこしたりと(すなは)ちケニ(びと)アマレク(びと)をはなれてさりぬ 7サウル、アマレク(びと)をうちてハビラよりエジプトの東面(まへ)なるシユルにいたる 8サウル、アマレク(びと)(わう)アガグを(いけ)()(やいば)をもて(その)(たみ)をことごとくほろぼせり 9(しかれ)ども、サウルと(たみ)アガグをゆるしまた(ひつじ)(うし)(もつと)()きもの(およ)(こえ)たる(もの)(ならび)(こひつじ)(すべ)()(もの)(のこ)して(これ)をほろぼしつくすをこのまず(ただ)(あし)(よわ)(もの)をほろぼしつくせり 10(とき)にヱホバの(ことば)サムエルにのぞみていはく 11(われ)サウルを(わう)となせしを()()(かれ)(そむ)きて(われ)にしたがはずわが(めい)をおこなはざればなりとサムエル(うれへ)終夜(よもすがら)ヱホバによばはれり 12かくてサムエル、サウルにあはんとて(はや)()きけるにサムエルにつぐるものありていふサウル、カルメルにいたり勝利(しやうり)(しるし)()(まは)(すす)みてギルガルにくだれりと 13サムエル、サウルの(もと)(いた)りければサウルこれにいひけるは(なんぢ)がヱホバより福祉(さいはひ)()んことをねがふ(われ)ヱホバの(めい)(おこな)へりと 14サムエルいひけるは(しか)らばわが(みみ)にいる(この)(ひつじ)(こゑ)およびわがきく(うし)のこゑは(なん)ぞや 15サウルいひけるは人々(ひとびと)これをアマレク(びと)のところより()ききたれり()(たみ)(なんぢ)(かみ)ヱホバにささげんために(ひつじ)(うし)(もつと)()きものをのこせばなり(その)ほかは(われ)らほろぼしつくせり 16サムエル、サウルにいけるは(とど)まれ昨夜(さくや)ヱホバの(われ)にかたりたまひしことを(なんぢ)につげんサウルいひけるはいへ 17サムエルいひけるはさきに(なんぢ)(ちひさ)(もの)とみづから(おも)へる(とき)(なんぢ)イスラエルの支派(わかれ)(かしら)となりしに(あら)ずや(すなは)ちヱホバ(なんぢ)(あぶら)(そそ)いでイスラエルの(わう)となせり 18ヱホバ(なんぢ)(みち)(つか)はしていひたまはく(ゆき)惡人(あくにん)なるアマレク(びと)をほろぼし(その)(つく)るまで(たたか)へよと 19何故(なにゆゑ)(なんぢ)ヱホバの(ことば)をきかずして(てき)所有物(もの)にはせかかりヱホバの()のまへに(あく)をなせしや 20サウル、サムエルにひけるは(われ)(まこと)にヱホバの(ことば)にしたがひてヱホバのつかはしたまふ(みち)にゆきアマレクの(わう)アガグを(とり)きたりアマレクをほろぼしつくせり 21ただ(たみ)(その)ほろぼしつくすべき(もの)最初(はつ)としてギルガルにて(なんぢ)(かみ)ヱホバにささげんとて(てき)(もの)(うち)より(ひつじ)(うし)をとれり 22サムエルいひけるはヱホバはその(ことば)にしたがふ(こと)(よみ)したまふごとく燔祭(はんさい)犠牲(いけにへ)(よみ)したまふや()(したが)(こと)犠牲(いけにへ)にまさり()(こと)牡羔(をひつじ)(あぶら)にまさるなり 23()違逆(そむくこと)魔術(まじゆつ)(つみ)のごとく抗戻(さからふこと)(むな)しき(もの)につかふる(ごと)偶像(ぐうざう)につかふるがごとし(なんぢ)ヱホバの(ことば)(すて)たるによりヱホバもまた(なんぢ)をすてて(わう)たらざらしめたまふ 24サウル、サムエルにいひけるに(われ)ヱホバの(めい)(なんぢ)(ことば)をやぶりて(つみ)ををかしたり()(たみ)をおそれて(その)(ことば)にしたがひたるによりてなり 25されば(いま)ねがはくはわがつみをゆるし(われ)とともにかへりて(われ)をしてヱホバを(はい)することをえさしめよ 26サムエル、サウルにいひけるは(われ)(なんぢ)とともにかへらじ(なんぢ)ヱホバの(ことば)(すて)たるによりヱホバ(なんぢ)をすててイスラエルに(わう)たらしめたまはざればなり 27サムエル()らんとて(ふり)(かへり)しときサウルその明衣(うはぎ)(すそ)(とら)へしかば(さけ)たり 28サムエルかれにいひけるは今日(けふ)ヱホバ、イスラエルの(くに)(さき)(なんぢ)よりはなし(なんぢ)(となり)なる(なんぢ)より()きものにこれをあたへたまふ 29またイスラエルの能力(ちから)たる(もの)(いつは)らず(くい)()はかれは(ひと)にあらざればくゆることなし 30サウルいひけるは(われ)(つみ)ををかしたれどねがはくはわが(たみ)長老(としより)のまへおよびイスラエルのまへにて(われ)をたふとみて(われ)とともにかへり(われ)をして(なんぢ)(かみ)ヱホバを(をが)むことをえさしめよ 31ここにおいてサムエル、サウルにしたがひてかへるしかしてサウル、ヱホバを(をが)32(とき)にサムエルいひけるは(なんぢ)らわが(もと)にアマレクの(わう)アガグをひききたれとアガグ(よろこ)ばしげにサムエルの(もと)にきたりアガグいひけるは()(くるし)みは(かなら)(すぎ)さりぬ 33サムエルいひけるに(なんぢ)(つるぎ)はおほくの婦人(をんな)()なき(もの)となせりかくのごとく(なんぢ)(はは)婦人(をんな)(うち)(もつと)()なき(もの)となるべしとサムエル、ギルガルにてヱホバのまへにおいてアガグを(きれ)34かくてサムエルはラマにゆきサウルはサウルのギベアにのぼりてその(いへ)にいたる 35サムエル(その)しぬる()までふたたびきたりてサウルをみざりきしかれどもサムエル、サウルのためにかなしめりまたヱホバはサウルをイスラエルの(わう)となせしを(くい)たまへり

第十六章

1(ここ)にヱホバ、サムエルにいひたまひけるは(われ)すでにサウルを(すて)てイスラエルに(わう)たらしめざるに(なんぢ)いつまでかれのために(なげ)くや(なんぢ)(つの)膏油(あぶら)滿(みた)してゆけ(われ)(なんぢ)をベテレヘム(びと)ヱサイの(もと)につかはさん()(われ)(その)()(うち)にひとりの(わう)(たづ)ねえたればなり 2サムエルいひけるは(われ)いかで()くことをえんサウル(きい)(われ)をころさんヱホバいひたまひけるは(なんぢ)一犢(こうし)(たづさ)へゆきて()へヱホバに犠牲(いけにへ)をささげんために(きた)ると 3しかしてヱサイを犠牲(いけにへ)()によべ(われ)(なんぢ)()すべき(こと)をしめさん(わが)(なんぢ)(つぐ)るところの(ひと)(あぶら)をそそぐ()4サムエル、ヱホバの(いひ)たまひしごとくなしてベテレヘムにいたる(まち)長老(としより)おそれて(これ)をむかへいひけるは(なんぢ)平康(おだやか)なる(こと)のためにきたるや 5サムエルいひけるは平康(おだやか)なることのためなり(われ)はヱホバに犠牲(いけにへ)をささげんとてきたる(なんぢ)()をきよめて(われ)とともに犠牲(いけにへ)()にきたれと(かく)てヱサイと(その)諸子(こどもら)(きよ)めて犠牲(いけにへ)()によびきたる 6かれらが(いた)れる(とき)サムエル、エリアブを()ておもへらくヱホバの(あぶら)そそぐものは(かなら)此人(このひと)ならんと 7しかるにヱホバ、サムエルにいひたまひけるは(その)容貌(かたち)(みの)(たけ)()るなかれ(われ)すでにかれをすてたりわが()るところは(ひと)(こと)なり(ひと)(そと)(かたち)()ヱホバは(こころ)をみるなり 8ヱサイ、ヘアビナダブをよびてサムエルのまへを(すぎ)しむサムエルいひけるは此人(このひと)もまたヱホバ(えら)みたまはず 9ヱサイ、シヤンマを(すぎ)しむサムエルいひけるは此人(このひと)もまたヱホバえらみたまはず 10ヱサイ(その)(にん)()をしてサムエルの(まへ)をすぎしむサムエル、ヱサイにいふヱホバ是等(これら)をえらみたまはず 11サムエル、ヱサイにいひけるは(なんぢ)男子(むすこ)(みな)(ここ)にをるやヱサイいひけるは(なほ)季子(すゑのこ)のこれり(かれ)(ひつじ)(かひ)をるなりとサムエル、ヱサイにいひけるは(かれ)(むか)へきたらしめよかれが(ここ)にいたるまでは(われ)(しよく)()かざるべし 12(ここ)において(ひと)をつかはしてかれをつれきたらしむ其人(そのひと)(いろ)(あか)()(うるは)しくして(その)(かたち)(うつく)しヱホバいひたまひけるは(たち)てこれにあぶらを(そそ)(これ)其人(そのひと)なり 13サムエル(あぶら)(つの)をとりて(その)兄弟(きやうだい)(なか)にてこれに(あぶら)をそそげり(この)()よりのちヱホバの(みたま)ダビデにのぞむサムエルはたちてラマにゆけり 14かくてヱホバの(みたま)サウルをはなれヱホバより(きた)(あく)()これを(なやま)せり 15サウルの臣僕(しもべ)これにいひけるは()(かみ)より(きた)れる(あく)()(なんぢ)をなやます 16ねがはくはわれらの(しゆ)(なんぢ)のまへにつかふる臣僕(しもべ)(めい)じて()(こと)()(もの)一人(ひとり)(もと)めしめよ(かみ)よりきたれる(あく)()(なんぢ)(のぞ)(とき)(かれ)()をもて(こと)(ひい)(なんぢ)いゆることをえん 17サウル臣僕(しもべ)にいひけるはわがために(たくみ)鼓琴(ことひく)(もの)をたづねてわがもとにつれきたれ 18(とき)一人(ひとり)少者(わかもの)こたへていひけるは(われ)ベテレヘム(びと)ヱサイの()()しが(こと)(たくみ)にしてまた豪氣(たけく)して()くたたかふ辯舌(ことば)さはやかなる(うるは)しき(ひと)なりかつヱホバこれとともにいます 19サウルすなはち使者(つかひ)をヱサイにつかはしていひけるは(ひつじ)をかふ(なんぢ)()ダビデをわがもとに(つか)はせと 20ヱサイすなはち驢馬(ろば)にパンを(おは)(ひと)(ふくろ)(さけ)山羊(やぎ)()()りてこれを(その)()ダビデの()によりてサウルにおくれり 21ダビデ、サウルの(もと)にいたりて(その)まへに(つか)ふサウル(おほい)にこれを(あい)(その)武器(ぶき)()(もの)となす 22サウル(ひと)をヱサイにつかはしていひけるはねがはくはダビデをしてわが(まへ)(つか)へしめよ(かれ)はわが(こころ)にかなへりと 23(かみ)より(いで)たる(あく)()サウルに(のぞ)めるときダビデ(こと)()()をもてこれを(ひく)にサウル(なぐ)さみて()(あく)()かれをはなる

第十七章

1(ここ)にペリシテ(びと)(その)(ぐん)(あつ)めて(たたか)はんとしユダに(ぞく)するシヨコにあつまりシヨコとアゼカの(あひだ)なるバスダミムに(ぢん)をとる 2サウルとイスラエルの人々(ひとびと)(あつ)まりてエラの(たに)(ぢん)をとりペリシテ(びと)にむかひて(いくさ)陣列(そなへ)をたつ 3ペリシテ(びと)此方(こなた)(やま)にたちイスラエルは彼方(かなた)(やま)にたつ(たに)(その)あひだにあり 4(とき)にペリシテ(びと)(ぢん)よりガテのゴリアテと(なづ)くる挑戰(たたかひをいどむ)(もの)いできたる(その)()(たけ)六キユビト(はん) 5(かうべ)(あかがね)(かぶと)(いただ)()鱗綴(うろことぢ)鎧甲(よろひ)()たり(その)よろひの(あかがね)のおもさは五(せん)シケルなり 6また(あし)には(あかがね)(すね)(あて)()(かた)(あひだ)(あかがね)矛戟(ほこ)()7(その)(やり)()(はた)(はり)のごとく(やり)鋒刃()(てつ)は六(ぴやく)シケルなり(たて)()(もの)(その)(まへ)にゆく 8ゴリアテ(たち)てイスラエルの諸行伍(そなへぞなへ)によばはり(いひ)けるは(なんぢ)らはなんぞ陣列(そなへ)をなして(いで)きたるや(われ)はペリシテ(びと)にして(なんぢ)らはサウルの臣下(しもべ)にあらずや(なんぢ)一人(ひとり)をえらみて(わが)ところにくだせ 9其人(そのひと)もし(われ)とたたかひて(われ)をころすことをえば(われ)(なんぢ)らの臣僕(しもべ)とならんされど()(われ)かちてこれを(ころ)さば(なんぢ)(われ)らの(しもべ)となりて(われ)らに(つか)()10かくて(この)ペリシテ(びと)いひけるは(われ)今日(こんにち)イスラエルの諸行伍(そなへぞなへ)(いど)一人(ひとり)をいだして(われ)(たたか)はしめよと 11サウルおよびイスラエルみなペリシテ(びと)のこの(ことば)()(おどろ)きて(おほい)(おそ)れたり 12(そもそも)ダビデはかのベテレヘムユダのエフラタ(びと)ヱサイとなづくる(もの)()なり此人(このひと)(にん)()ありしがサウルの()には年邁(としすす)みてすでに(おい)たり 13ヱサイの長子(しやうし)(にん)ゆきてサウルにしたがひて戰爭(いくさ)にいづ(その)(いくさ)にいでし三(にん)()()(あに)をエリアブといひ(つぎ)をアビナダブといひ(だい)三をシヤンマといふ 14ダビデは季子(すゑのこ)にして(その)(あに)(にん)はサウルにしたがへり 15ダビデはサウルに往來(ゆきき)してベテレヘムにて(その)(ちち)(ひつじ)()16(かの)ペリシテ(びと)四十(にち)のあひだ朝夕(あさゆふ)(ちか)づきて(まへ)にたてり 17(とき)にヱサイ(その)()ダビデにいひけるは(いま)(なんぢ)(あに)のために(この)烘麥(やきむぎ)()(この)(とを)のパンを()りて(ぢん)(えい)にをる(あに)のところにいそぎゆけ 18また(この)(とを)乾酪(かんらく)をとりて(その)千夫(せんにん)(かしら)におくり(あに)安否(あんぴ)()(その)(かへり)(ごと)をもちきたれと 19サウルと彼等(かれら)およびイスラエルの(ひと)(みな)ペリシテ(びと)とたたかひてエラの(たに)にありき 20ダビデ(あさ)(はや)くおきて(ひつじ)をひとりの牧者(ぼくしや)にあづけヱサイの(めい)ぜしごとく(たづさ)へゆきて(くるま)(がこひ)にいたるに軍勢(ぐんぜい)いでて行伍(そなへ)をなし鯨波(ときのこゑ)をあげたり 21しかしてイスラエルとペリシテ(びと)陣列(そなへ)をたてて行伍(そなへ)行伍(そなへ)(あひ)むかはせたり 22ダビデ(その)()をおろして()をまもる(もの)()にわたし行伍(そなへ)(うち)にはせゆきて(あに)安否(あんぴ)()23ダビデ彼等(かれら)(とも)(かた)れる(とき)()よペリシテ(びと)行伍(そなへ)よりガテのペリシテのゴリアテとなづくる()挑戰(たたかひをいどむ)(もの)のぼりきたり(さき)のことばのごとく(いひ)しかばダビデ(これ)()けり 24イスラエルの(ひと)其人(そのひと)()(みな)(にげ)(これ)をはなれ(いたみ)(おそ)れたり 25イスラエルの(ひと)いひけるは(なんぢ)らこののぼり(きた)(ひと)()しや(まこと)にイスラエルを(いどま)んとて(のぼ)りきたるなり(かれ)をころす(ひと)(わう)(おほい)なる(とみ)()てこれをとまし(その)女子(むすめ)をこれにあたへて(その)(ちち)(いへ)にはイスラエルの(うち)にて租税(そぜい)をまぬかれしめん 26ダビデ(その)(かたはら)にたてる人々(ひとびと)にかたりていひけるは(この)ペリシテ(びと)をころしイスラエルの耻辱(はぢ)(すす)(ひと)には如何(いか)なることをなすや(この)割禮(かつれい)なきペリシテ(びと)(たれ)なればか(いけ)(かみ)(ぐん)(いど)27(たみ)まへのごとく(こた)へていひけるはかれを(ころ)(ひと)には(かく)のごとくせらるべしと 28(あに)エリアブ、ダビデが人々(ひとびと)とかたるを(きき)しかばエリアブ、ダビデにむかひて(いか)りを(はつ)しいひけるは(なんぢ)なにのために(ここ)(くだ)りしや()()にあるわづかの(ひつじ)(たれ)にあづけしや(われ)(なんぢ)傲慢(ほこり)(あし)(こころ)()()(なんぢ)戰爭(いくさ)()んとて(くだ)ればなり 29ダビデいひけるは(われ)(いま)なにをなしたるや(ただ)一言(ひとこと)にあらずやと 30(また)ふりむきて(ほか)(ひと)にむかひ(まへ)のごとく(かた)れるに(たみ)まへのごとく(こたへ)たり 31人々(ひとびと)ダビデが(かた)れる(ことば)をききてこれをサウルのまへにつげければサウルかれを()32ダビデ、サウルにいひけるは人々(ひとびと)かれがために()をおとすべからず(しもべ)ゆきてかのペリシテ(びと)とたたかはん 33サウル、ダビデにいひけるは(なんぢ)はかのペリシテ(びと)をむかへてたたかふに(たへ)()(なんぢ)少年(わかきもの)なるにかれは(わか)(とき)よりの(いくさ)(びと)なればなり 34ダビデ、サウルにいひけるは(しもべ)さきに(ちち)(ひつじ)(かへ)るに獅子(しし)(くま)(きた)りて(その)(むれ)(つつが)(とり)たれば 35(その)(あと)をおひて(これ)()(こひつじ)(その)(くち)より(すく)ひいだせりしかして(その)(けもの)(われ)(たけ)りかかりたれば(その)(ひげ)をとらへてこれを()ちころせり 36(しもべ)(すで)獅子(しし)(くま)とを(ころ)せり(この)割禮(かつれい)なきペリシテ(びと)(いけ)(かみ)(ぐん)をいどみたれば(また)かの(けもの)(ひとつ)のごとくなるべし 37ダビデまたいひけるはヱホバ(われ)獅子(しし)(つめ)(くま)(つめ)より(すく)ひいだしたまひたれば(この)ペリシテ(びと)()よりも(すく)ひいだしたまはんとサウル、ダビデにいふ()けねがはくはヱホバ(なんぢ)とともにいませ 38(ここ)においてサウルおのれの(いくさ)(ごろも)をダビデに()(あかがね)(かぶと)(その)(かうべ)にかむらせ(また)鱗綴(うろことぢ)(よろひ)をこれにきせたり 39ダビデ(いくさ)(ごろも)のうへに(かたな)(おび)()かんことを(こころ)(いま)(ため)せしことなければなりしかしてダビデ、サウルにいひけるは(われ)いまだ(ため)せしことなければ(これ)()ては()くあたはずと 40ダビデこれを()ぎすて()(つゑ)をとり谿間(たにま)より(いつつ)光滑(なめらか)なる(いし)(ひろ)ひて(これ)(その)()てる牧羊者(ひつじかひ)()なる(ふくろ)()()投石索(いしなげ)()りて(かの)ペリシテ(びと)にちかづく 41ペリシテ(びと)(すす)みきてダビデに(ちか)づけり(たて)()るもの(その)まへにあり 42ペリシテ(びと)環視(みまはし)てダビデを()(これ)藐視(あなど)()(わか)くして(あか)くまた(うるは)しき(かたち)なればなり 43ペリシテ(びと)ダビデにいひけるは(なんぢ)(つゑ)(もち)てきたる(われ)(あに)(いぬ)ならんやとペリシテ(びと)(その)(かみ)()をもってダビデを呪詛(のろ)44しかしてペリシテ(びと)ダビデにいひけるは()がもとに(きた)(なんぢ)(にく)(そら)(とり)()(けもの)にあたへんと 45ダビデ、ペリシテ(びと)にいひけるは(なんぢ)(かたな)(やり)矛戟(ほこ)をもて(われ)にきたる(され)(われ)萬軍(ばんぐん)のヱホバの()すなはち(なんぢ)(いど)みたるイスラエルの(ぐん)(かみ)()をもて(なんぢ)にゆく 46今日(けふ)ヱホバ(なんぢ)をわが()(わた)したまはんわれ(なんぢ)をうちて(なんぢ)首級(くび)()りペリシテ(びと)軍勢(ぐんぜい)尸體(しかばね)今日(けふ)(そら)(とり)()()(けもの)にあたへて全地(ぜんち)をしてイスラエルに(かみ)あることをしらしめん 47(かつ)(また)この群衆(ぐんしう)みなヱホバは(すく)ふに(かたな)(やり)(もち)ひたまはざることをしるにいたらん()(たたか)はヱホバによれば(なんぢ)らを(われ)らの()にわたしたまはんと 48ペリシテ(びと)すなはち(たち)あがり(すす)みちかづきてダビデをむかへしかばダビデいそぎ(ぢん)にはせゆきてペリシテ(びと)をむかふ 49ダビデ()(ふくろ)にいれて(その)(うち)より一つの(いし)をとり(なげ)てペリシテ(びと)(ひたひ)(うち)ければ(いし)(その)(ひたひ)()きいりて俯伏(うちぶせ)()にたふれたり 50かくダビデ投石索(いしなげ)(いし)をもてペリシテ(びと)にかちペリシテ(びと)をうちて(これ)をころせり(され)どダビデの()には(かたな)なかりしかば 51ダビデはしりてペリシテ(びと)(うへ)にのり(その)(かたな)(とり)(これ)(さや)より()きはなしこれをもて(かれ)をころし(その)首級(くび)()りたり(ここ)にペリシテの人々(ひとびと)(その)勇士(ゆうし)(しぬ)るを()てにげしかば 52イスラエルとユダの(ひと)おこり喊呼(とき)をあげてペリシテ(びと)をおひガテの(いり)(くち)およびエクロンの(もん)にいたるペリシテ(びと)負傷人(ておひ)シヤライムの(みち)(たふ)れてガテおよびエクロンにおよぶ 53イスラエルの子孫(ひとびと)ペリシテ(びと)をおふてかへり(その)(ぢん)(かす)54ダビデかのペリシテ(びと)(くび)()りて(これ)をエルサレムにたづさへきたりしが(その)甲冑(かつちう)はおのれの(てん)(まく)におけり 55サウル、ダビデがペリシテ(びと)にむかひて(いづ)るを()軍長(ぐんのかしら)アブネルにいひけるはアブネル(この)少者(わかきもの)はたれの()なるやアブネルいひけるは(わう)(なんぢ)霊魂(たましひ)()くわれしらざるなり 56(わう)いひけるはこの少年(せうねん)はたれの()なるかを(たづ)ねよ 57ダビデかのペリシテ(びと)(ころ)してかへれる(とき)アブネルこれをひきて(その)ペリシテ(びと)首級(くび)()にもてるままサウルのまへにつれゆきければ 58サウルかれにいひけるは(わか)(ひと)(なんぢ)はたれの()なるやダビデこたへけるは(なんぢ)(しもべ)ベテレヘム(びと)ヱサイの()なり

第十八章

1ダビデ、サウルにかたることを(をへ)しときヨナタンの(こころ)ダビデの(こころ)にむすびつきてヨナタンおのれの(いのち)のごとくダビデを(あい)せり 2(この)()サウル、ダビデをかかへて(ちち)(いへ)にかへらしめず 3ヨナタンおのれの(いのち)のごとくダビデを(あい)せしかばヨナタンとダビデ契約(けいやく)をむすべり 4ヨナタンおのれの()たる明衣(うはぎ)(ぬぎ)てダビデにあたふ(その)戎衣(いくさごろも)および(その)(かたな)(ゆみ)(おび)もまたしかせり 5ダビデは(すべ)てサウルが(つか)はすところにいでゆきて(こう)をあらはしければサウルかれを兵隊(つはもの)(かしら)となせりしかしてダビデ(たみ)(こころ)にかなひ(また)サウルの(しもべ)(こころ)にもかなふ 6衆人(ひとびと)かへりきたれる(とき)すなはちダビデ、ペリシテ(びと)をころして(かへ)れる(とき)婦女(をんな)イスラエルの邑々(まちまち)よりいできたり(つづみ)(いはひ)(うた)(けい)をもちて(うた)ひまひつつサウル(わう)(むか)7婦人(をんな)踊躍(をどり)つつ(あひ)こたへて(うた)ひけるはサウルは(せん)をうち(ころ)しダビデは(まん)をうちころすと 8サウル(はなは)(いか)りこの(ことば)をよろこばずしていひけるは(まん)をダビデに()(せん)をわれに()(この)(うへ)かれにあたふべき(もの)(ただ)(くに)のみと 9サウルこの()より(のち)ダビデを()がけたり 10(つぎ)()(かみ)より(いで)たる(あく)()サウルにのぞみてサウル(いへ)のなかにて預言(よげん)したりしかばダビデ(もと)のごとく()をもつて(こと)をひけり(とき)にサウルの()(なげ)(やり)ありければ 11サウル(われ)ダビデを(かべ)(さし)とほさんといひて(その)(なげ)(やり)をさしあげしがダビデ二度(ふたたび)()をかはしてサウルをさけたり 12ヱホバ、サウルをはなれてダビデと(とも)にいますによりてサウル(かれ)をおそれたり 13是故(このゆえ)にサウル(かれ)(とほ)ざけて千夫(せんにんの)(かしら)となせりダビデすなはち(たみ)のまへに()(いり)14またダビデすべて(その)ゆくところにて(こう)をあらはし(かつ)ヱホバかれとともにいませり 15サウル、ダビデが(おほい)(こう)をあらはすをみてこれを(おそ)れたり 16しかれどもイスラエルとユダの(ひと)はみなダビデを(あい)せり(かれ)(その)(まへ)()(いり)するによりてなり 17サウル、ダビデにいひけるはわれわが長女(あねむすめ)メラブを(なんぢ)(めあは)さん(なんぢ)ただわがために(いさ)みヱホバの(いくさ)(たたか)ふべしと()はサウルわが()にてかれを(ころ)さでペリシテ(びと)()にてころさんとおもひたればなり 18ダビデ、サウルにいひけるは(われ)(たれ)ぞわが(いのち)はなんぞわが(ちち)(いへ)はイスラエルにおいて(いか)なる(もの)ぞや(われ)いかでか(わう)婿(むこ)となるべけんと 19(しか)るにサウルの女子(むすめ)メラブはダビデに(とつ)ぐべき(とき)におよびてメホラ(びと)アデリエルに(めあは)されたり 20サウルの(むすめ)ミカル、ダビデを(あい)(ひと)これを(わう)(つげ)ければサウル(その)(こと)()しとせり 21サウルいひけるは(われ)ミカルをかれにあたへて(かれ)(はか)手段(てだて)となしペリシテ(びと)()にてかれを(ころ)さんといひてサウル、ダビデにいひけるは(なんぢ)今日(こんにち)ふたたびわが婿(むこ)となるべし 22かくてサウル(その)(しもべ)(めい)じけるは(なんぢ)(ひそか)にダビデにかたりて()()(わう)(なんぢ)(よろこ)(わう)(しもべ)みな(なんぢ)(あい)すされば(なんぢ)(わう)婿(むこ)となるべしと 23サウルの(しもべ)(この)(ことば)をダビデの(みみ)(かた)りしかばダビデいひけるは(わう)婿(むこ)となること(なんぢ)らの()には(やす)(こと)とみゆるや(かつ)われは(まづ)しく(いや)しき(もの)なりと 24サウルの(しもべ)サウルにつげてダビデ(かく)(ごと)くかたれりといへり 25サウルいひけるはなんぢらかくダビデにいへ(わう)聘禮(おくりもの)(のぞ)まずただペリシテ(びと)(まへの)(かは)(ひやく)をえて(わう)(あだ)をむくいんことを(のぞ)むと()はサウル、ダビデをペリシテ(びと)()殞沒(たふれ)しめんとおもへるなり 26サウルの(しもべ)(この)(ことば)をダビデにつげしかばダビデは(わう)婿(むこ)となることを(よし)とせり(かく)其時(そのとき)いまだ滿(みた)ざるあひだに 27ダビデ(たち)(その)從者(じふしや)とともにゆきペリシテ(びと)二百(にん)をころして(その)(まへの)(かは)をたづさへきたり(これ)(ことごと)(わう)にささげて(わう)婿(むこ)とならんとすサウル(すな)はち(その)(むすめ)ミカルをダビデに(めあは)せたり 28サウル()てヱホバのダビデとともにいますを()りぬまたサウルの(むすめ)ミカルはダビデを(あい)せり 29サウルさらにますますダビデを(おそ)れサウル一生(いつしやう)のあひだダビデの(てき)となれり 30(ここ)にペリシテ(びと)諸伯(きみたち)(せめ)きたりしがダビデかれらが()めきたるごとにサウルの(もろもろ)臣僕(しもべ)よりは(おほく)(こう)をたてしかば(その)()はなはだ(たふと)まる

第十九章

1サウル(その)()ヨナタンおよび(もろもろ)臣僕(しもべ)にダビデをころさんとすることを(かた)れり 2されどサウルの()ヨナタン(ふか)くダビデを(あい)せしかばヨナタン、ダビデにつげていひけるはわが(ちち)サウル(なんぢ)をころさんことを(もと)むこのゆゑに(いま)ねがはくは(なんぢ)翌朝(あくるあさ)謹恪(つつしん)(ひそ)みをりて()(かく)3(われ)いでゆきて(なんぢ)がをる()にてわが(ちち)(かたはら)にたちわが(ちち)とともに(なんぢ)(こと)(かたら)はんしかして(われ)(その)(こと)如何(いか)なるを()(なんぢ)()ぐべし 4ヨナタン(その)(ちち)サウルに(むか)ひダビデを褒揚(ほめ)ていひけるは(ねがは)くは(わう)(その)(しもべ)ダビデにむかひて(つみ)ををかすなかれ(かれ)(なんぢ)(つみ)ををかさずまた(かれ)(なんぢ)になす行爲(わざ)ははなはだ()5またかれは生命(いのち)をかけてかのペリシテ(びと)をころしたりしかしてヱホバ、イスラエルの人々(ひとびと)のためにおほいなる(すくひ)をほどこしたまふ(なんぢ)()てよろこべりしかるに(なん)ぞゆゑなくしてダビデをころし無辜者(つみなきもの)()をながして(つみ)ををかさんとするや 6サウル、ヨナタンの(ことば)(きき)いれサウル(ちか)ひけるはヱホバはいくわれかならずかれをころさじ 7ヨナタン、ダビデをよびてヨナタン(その)(こと)をみなダビデにつげ(つひ)にダビデをサウルの(もと)につれきたりければダビデさきのごとくサウルの(まへ)にをる 8(ここ)(ふたた)戰爭(いくさ)おこりぬダビデすなはちいでてペリシテ(びと)とたたかひ(おほい)にかれらを(ころ)せしかばかれら(その)まへを()げされり 9サウル()(なげ)(やり)(とり)(いへ)()する(とき)ヱホバより(いで)たる(あく)()これにのりうつれり其時(そのとき)ダビデ(すなは)()をもて(こと)()10サウル(なげ)(やり)をもてダビデを(かべ)(さし)とほさんとしたりしがダビデ、サウルのまへを(さけ)ければ(なげ)(やり)(かべ)(つき)たてたりダビデ(その)()(にげ)さりぬ 11サウル使者(つかひ)をダビデの(いへ)につかはしてかれを(まも)らしめ(あさ)におよびてかれをころさしめんとすダビデの(つま)ミカル、ダビデにつげていひけるは()今夜(こんや)(なんぢ)(いのち)(すくは)ずば(あくる)(あさ)(なんぢ)(ころ)されんと 12ミカル(すなは)(まど)よりダビデを(つり)おろしければ(ゆき)(のがれ)されり 13(かく)てミカル(ざう)をとりて(その)(とこ)()山羊(やぎ)()編物(あみもの)(その)(あたま)におき衣服(ころも)をもて(これ)をおほへり 14サウル、ダビデを(とら)ふる使者(つかひ)をつかはしければミカルいふかれは(やまひ)ありと 15サウル使者(つかひ)をつかはしダビデを()させんとていひけるはかれを(とこ)のまま(われ)にたづさきたれ(われ)これをころさん 16使者(つかひ)いりて()たるに(とこ)には(かたち)ありて(その)(あたま)山羊(やぎ)()編物(あみもの)ありき 17サウル、ミカルにいひけるはなんぞかく(われ)をあざむきてわが(てき)(にが)しやりしやミカル、サウルにこたへけるは(かれ)(われ)にいへり(われ)をはなちてさらしめよ(しか)らずば(われ)(なんぢ)をころさんと 18ダビデにげさりてラマにゆきサムエルの(もと)にいたりてサウルがおのれになせしことをことごとくつげたりしかしてダビデとサムエルはゆきてナヨテにすめり 19サウルに(つぐ)(もの)ありていふ()よダビデはラマのナヨテにをると 20サウル(すなは)ちダビデを(とら)ふる使者(つかひ)をつかはせしが彼等(かれら)預言者(よげんしや)一群(くみ)預言(よげん)しをりてサムエルが(その)(うち)(かしら)となりて()てるを()るにおよび(かみ)(みたま)サウルの使者(つかひ)にのぞみて彼等(かれら)もまた預言(よげん)せり 21人々(ひとびと)これを(つぐ)ければサウル(ほか)使者(つかひ)(つかは)しけるにかれらも(また)預言(よげん)せしかばサウルまた三度(みたび)使者(つかひ)(つか)はしけるが彼等(かれら)もまた預言(よげん)せり 22(ここ)においてサウルもまたラマにゆきけるがセクの(おほ)(ゐど)にいたれる(とき)(とふ)ていひけるはサムエルとダビデは何處(いづく)にをるや(こたへ)ていふラマのナヨテにをる 23サウルかしこにゆきてラマのナヨテに(いた)りけるに(かみ)(みたま)また(かれ)にのぞみて(かれ)ラマのナヨテにいたるまで(ある)きつつ預言(よげん)せり 24(かれ)もまた(その)衣服(ころも)をぬぎすて(おなじ)くサムエルのまへに預言(よげん)(その)一日(いちにち)一夜(いちや)裸體(はだか)にて(たふれ)(ふし)たり是故(このゆえ)人々(ひとびと)サウルもまた預言者(よげんしや)のうちにあるかといふ

第二十章

1ダビデ、ラマのナヨテより(にげ)きたりてヨナタンにいひけるは(われ)(なに)をなし(なに)のあしき(こと)あり(なんぢ)(ちち)のまへに(なに)(つみ)()てか(かれ)わが(いのち)(もと)むる 2ヨナタンかれにいひけるは(なんぢ)(きはめ)(ころ)さるることあらじ()よわが(ちち)(こと)(おほい)なるも(ちひさ)なるも(われ)につげずしてなすことなしわが(ちち)なんぞこの(こと)(われ)にかくさんやこの(こと)しからず 3ダビデまた(ちか)ひていひけるは(なんぢ)(ちち)(かなら)ずわが(なんぢ)のまへに恩惠(めぐみ)をうるを()(ここ)をもてかれ(おも)へらく(おそ)らくはヨナタン(かなし)むべければこの(こと)をかれにしらしむべからずとしかれどもヱホバはいくまたなんぢの霊魂(たましひ)はいくわれは()をさること(ただ)一歩(ひとあし)のみ 4ヨナタン、ダビデにいひけるはなんぢの(こころ)なにをねがふか(われ)(なんぢ)のために(これ)をなさんと 5ダビデ、ヨナタンにいひけるは明日(あす)月朔(ついたち)なれば(われ)(わう)とともに(しよく)につかざるべからず(しかれ)ども(われ)をゆるして()らしめ三日(みつか)(よひ)まで()(かく)るることをえさしめよ 6(もし)(なんぢ)(ちち)まことに(われ)をもとめなば其時(そのとき)()へダビデ(せつ)(その)(まち)ベテレヘムにはせゆかんことを(われ)(こへ)()彼處(かしこ)全家(ぜんか)(とし)(まつり)あればなりと 7(かれ)もし()しといはば(しもべ)やすからんされど(かれ)もし(はばはだ)しく(いか)らば(かれ)(がい)をくはへんと(さだめ)しを()8(なんぢ)ヱホバのまへに(しもべ)契約(けいやく)をむすびたれば(ねがは)くは(しもべ)(めぐみ)をほどこせ(され)(もし)(われ)(あし)(こと)あらば(なんぢ)(みづか)(われ)をころせ(なん)(われ)(なんぢ)(ちち)(ひき)ゆくべけんや 9ヨナタンいひけるは(かか)(こと)かならず(なんぢ)にあらざれ(われ)わが(ちち)(がい)(なんぢ)にくはへんと(きはむ)るをしらば(かなら)(これ)(なんぢ)につげん 10ダビデ、ヨナタンにいひけるは()(なんぢ)(ちち)荒々(あらあら)しく(なんぢ)にこたふる(とき)(たれ)(その)(こと)(われ)()ぐべきや 11ヨナタン、ダビデにいひけるは(きた)(われ)()にいでゆかんと(とも)()にいでゆけり 12しかしてヨナタン、ダビデにいひけるはイスラエルの(かみ)ヱホバよ明日(あす)明後日(あさて)(いま)ごろ(われ)わが(ちち)(うかが)ひて(こと)のダビデのために()きを()ながら(ひと)(なんぢ)(つか)はして(つげ)しらさずばヱホバ、ヨナタンに(かく)なしまた(かさね)(かく)くなしたまへ 13されど()しわが(ちち)(なんぢ)(がい)をくはへんと(ほつ)せば(われ)これを()げしらせて(なんぢ)をにがし(なんぢ)(やす)らかにさらしめん(ねがは)くはヱホバわが(ちち)とともに(いま)せしごとく(なんぢ)とともにいませ 14(なんぢ)(ただ)わが(いけ)るあひだヱホバの(めぐみ)(われ)にしめして(しな)ざらしむるのみならず 15ヱホバがダビデの(てき)(ことごと)()(おもて)より()ちさりたまふ(とき)にもまた(なんぢ)わが(いへ)(なが)(なんぢ)(めぐみ)にはなれしむるなかれ 16かくヨナタン、ダビデの(いへ)契約(けいやく)をむすぶヱホバ(これ)(つき)てダビデの(てき)(ただ)したまへり 17しかしてヨナタンふたたびダビデに(ちか)はしむかれを(あい)すればなり(すなは)ちおのれの生命(いのち)(あい)するごとく(かれ)(あい)せり 18またヨナタン、ダビデにいひけるは明日(あす)月朔(ついたち)なるが(なんぢ)()(むなし)かるべければ(なんぢ)(もと)めらるべし 19(なんぢ)三日(みつか)とどまりて(すみや)かに(くだ)(かつ)てかの(こと)()(かく)れたるところに(いた)りてエゼルの(いし)(かたはら)()るべし 20(われ)(まと)()るごとくして(その)(いし)(そば)三本(みすぢ)()をはなたん 21しかしてゆきて()をたづねよといひて僮子(わらべ)をつかはすべし(われ)もし(ことさら)僮子(わらべ)()()(なんぢ)此旁(こなた)にあり(それ)(とれ)(いは)ばなんぢきたるべしヱホバは()(なんぢ)(やす)くして(なに)もなかるべければなり 22されど()(われ)少年(せうねん)()()(なんぢ)彼旁(さき)にありといはば(なんぢ)さるべしヱホバ(なんぢ)をさらしめたまふなり 23(なんぢ)(われ)とかたれることについては(ねが)はくはヱホバ(つね)(なんぢ)(われ)との(あひだ)にいませと 24ダビデ(すなは)()にかくれぬ(さて)月朔(ついたち)になりければ(わう)()して(しよく)()25(すなは)(わう)(つね)のごとく(かべ)によりて()()むヨナタン(たち)あがりアブネル、サウルの(そば)()すダビデの()はなむし 26されど(その)()にはサウル(なに)をも(いは)ざりき()何事(なにごと)(かれ)におこりしならん(かれ)きよからず(さだめ)(きよ)からずと(おも)ひたればなり 27明日(あくるひ)すなはち(つき)二日(ふつか)におよびてダビデの()なほ(むな)しサウル(その)()ヨナタンにいひけるは(なに)ゆゑにヱサイの()昨日(きのふ)今日(けふ)(しよく)(きた)らざるや 28ヨナタン、サウルにこたへけるはダビデ(せつ)にベテレヘムにゆかんことを(われ)にこひて(いひ)けるは 29ねがはくは(われ)をゆるしてゆかしめよわが(いへ)(まち)にて(まつり)をなすによりわが(あに)(われ)にきたることを(めい)ぜり(ゆゑ)(われ)もし(なんぢ)のまへにめぐみをえたるならばねがはくは(われ)をゆるして(さら)しめ兄弟(きやうだい)をみることを()さしめよと是故(このゆえ)にかれは(わう)(せき)(きた)らざるなり 30サウル、ヨナタンにむかひて(いか)りを(いだ)しかれにいひけるは(なんぢ)(まが)(かつ)(もと)れる(をんな)()なり(われ)あに(なんぢ)がヱサイの()(えら)みて(なんぢ)()をはづかしめまた(なんぢ)(はは)(はだへ)(はづか)しむることを(しら)ざらんや 31ヱサイの()(この)()にながらふるあひだは(なんぢ)(なんぢ)(くらゐ)(かた)くたつを()是故(このゆえ)(いま)(ひと)をつかはして(かれ)をわが(もと)(ひき)きたれ(かれ)()ぬべき(もの)なり 32ヨナタン(ちち)サウルに(こた)へていひけるは(かれ)なにによりて(ころ)さるべきか(なに)をなしたるやと 33ここにおいてサウル、ヨナタンを(うた)んとて(なげ)(やり)をさしあげたりヨナタンすなはち(その)(ちち)のダビデを(ころ)さんと(きはめ)しをしれり 34かくてヨナタン(はげ)しく(いか)りて(せき)()(つき)二日(ふつか)には(しよく)をなさざりき()(その)(ちち)のダビデをはづかしめしによりてダビデのために(うれ)へたればなり 35翌朝(つぐあさ)ヨナタン(ひとりの)()童子(わらべ)(した)がヘダビデと(やく)せし時刻(じこく)()にいでゆき 36(わらべ)にいひけるは(はし)りて(わが)はなつ()をたづねよと童子(わらべ)はしる(とき)ヨナタン()(かれ)のさきに(はな)てり 37童子(わらべ)がヨナタンの(はな)ちたる()のところにいたれる(とき)ヨナタン童子(わらべ)のうしろに(よば)はりていふ()(なんぢ)のさきにあるにあらずや 38ヨナタンまた童子(わらべ)のうしろによばはりていひけるは(すみや)かにせよ(いそ)(とど)まるなかれとヨナタンの童子(わらべ)()をひろひあつめて(その)主人(あるじ)のもとにかへる 39されど童子(わらべ)(なに)をも(しら)ざりき(ただ)ヨナタンとダビデ(その)(こと)をしりたるのみ 40かくてヨナタン(その)武器(ぶき)童子(わらべ)(わたし)ていひけるは()けこれを(まち)(たづさ)へよと 41童子(わらべ)すなはち()けり(とき)にダビデ(いし)(かたはら)より()ちあがり()にふして三たび(はい)せりしかしてふたり(たがひ)接吻(くちつけ)してたがひに()くダビデ(こと)にはなはだし 42ヨナタン、ダビデにいひけるは(やすん)じて()(われ)二人(ふたり)ともにヱホバの()(ちか)ひて(ねがは)くはヱホバ(つね)(われ)(なんぢ)のあひだに(いま)()子孫(しそん)(なんぢ)子孫(しそん)のあひだにいませといへりとダビデすなはちたちて()るヨナタン(まち)にいりぬ

第二十一章

1ダビデ、ノブにゆきて祭司(さいし)アヒメレクにいたるアヒメレク(おそ)れてダビデを(むか)へこれにいひけるは(なんぢ)なんぞ(ひとり)にして(たれ)(なんぢ)とともならざるや 2ダビデ祭司(さいし)アヒメレクにいふ(わう)(われ)(ひとつ)(こと)(めい)じて(われ)にいふ()(なんぢ)(つか)はすところの(こと)およびわが(なんぢ)(めい)じたる(ところ)については(なに)をも(ひと)にしらするなかれと(われ)(それの)(ところ)(わが)少者(わかもの)(いだし)おけり 3いま(なに)(なんぢ)()にあるや(わが)()(いつつ)のパンか(あるひ)はなににてもある(ところ)(あたへ)4祭司(さいし)ダビデに(こたへ)ていひけるは(つね)のパンはわが()になしされど()少者(わかきもの)婦女(をんな)をだに(つつし)みてありしならば(きよ)きパンあるなりと 5ダビデ祭司(さいし)(こた)へていひけるは(まこと)にわがいでしより(これ)三日(みつか)婦女(をんな)われらにちかづかず(かつ)少者(わかきもの)()(うつは)(きよ)(また)パンは(つね)(もの)のごとし今日(こんにち)(うつは)(きよ)きパンあれば(こと)(しかり)6祭司(さいし)かれに(きよ)きパンを(あたへ)たり()はかしこに供前(そなへ)のパンの(ほか)はパン(なか)りければなり(すなは)(その)パンは(さげ)()(あつ)きパンをささげんとて(これ)をヱホバのまへより(とり)されるなり 7(その)()かしこにサウルの(しもべ)一人(ひとり)(とど)められてヱホバのまへにあり(その)()をドエグといふエドミ(びと)にしてサウルの牧者(ぼくしや)(かしら)なり 8ダビデまたアヒメレクにいふ(ここ)(なんぢ)()(やり)(かたな)あらぬか(わう)(こと)(きふ)なるによりて(われ)(かたな)武器(ぶき)(たづさ)へざりしと 9祭司(さいし)いひけるは(なんぢ)がエラの(たに)にて(ころ)したるペリシテ(びと)ゴリアテの(かたな)(ぬの)(つつ)みてエポデの(うしろ)にあり(なんぢ)もし(これ)をとらんとおもはば()(ここ)にはほかの(かたな)なしダビデいひけるはそれにまさるものなし(われ)にあたへよと 10ダビデ(その)()サウルをおそれて(たち)てガテの(わう)アキシのところに()げゆきぬ 11アキシの臣僕(しもべ)アキシに(いひ)けるは(これ)(その)()(わう)ダビデにあらずや人々(ひとびと)舞踏(をどり)のうちにこの(ひと)のことを(うた)ひあひてサウルは(せん)をうちころしダビデは(まん)をうちころすといひしにあらずや 12ダビデこの(ことば)(こころ)(をさ)(ふか)くガテの(わう)アキシをおそれ 13人々(ひとびと)のまへに(いつはり)(その)()(へん)(とら)はれて(きやう)(じん)のさまをなし(もん)(とびら)(ものか)(その)涎沫(よだれ)(ひげ)にながれくだらしむ 14アキシ(しもべ)(いひ)けるは(なんぢ)らの()るごとく此人(このひと)(きやう)(じん)なり(なん)ぞかれを(われ)にひき(きた)るや 15(われ)なんぞ(きやう)(じん)(もち)ひんや(なんぢ)(この)(もの)(ひき)きたりてわがまへに(くるは)しめんとするや(この)(もの)なんぞ()(いへ)にいるべけんや

第二十二章

1是故(このゆえ)にダビデ其處(そこ)をいでたちてアドラムの洞穴(ほらあな)にのがる(その)兄弟(きやうだい)および(ちち)(いへ)みな()きおよびて彼處(かしこ)にくだり(かれ)(もと)(いた)2また(なや)める(ひと)負債(おひめある)(もの)(こころ)(あきたら)(もの)(みな)かれの(もと)にあつまりて(かれ)(その)(かしら)となれりかれとともにある(もの)はおよそ四(ひやく)(にん)なり 3ダビデ其處(そこ)よりモアブのミヅパにいたりモアブの(わう)にいひけるは(かみ)(われ)をいかがなしたまふかを()るまでねがはくはわが父母(ちちはは)をして(いで)(なんぢ)らとともにをらしめよと 4(つひ)にかれらをモアブの(わう)のまへにつれきたるかれらはダビデが要害(えうがい)にをる(あひだ)(わう)とともにありき 5預言者(よげんしや)ガデ、ダビデに(いひ)けるは要害(えうがい)(とどま)るなかれゆきてユダの()にいたれとダビデゆきてハレテの叢林(もり)にいたる 6(ここ)にサウル、ダビデおよびかれとともなる人々(ひとびと)()(あらは)されしを()けり(とき)にサウルはギベアにあり()(やり)(とり)岡巒(をか)(やなぎ)()(もと)にをり臣僕(けらい)ども(みな)(その)(かたはら)にたてり 7サウル(そば)にたてる(けらい)にいひけるは(なんぢ)らベニヤミン(びと)()けよヱサイの()(なんぢ)らおのおのに(はたけ)葡萄園(ぶだうばたけ)をあたへ(なんぢ)らおのおのを千夫(せんにんの)(かしら)百夫(ひやくにんの)(かしら)となすことあらんや 8(なんぢ)(みな)(われ)(てき)して(はか)一人(ひとり)もわが()のヱサイの()契約(けいやく)(むす)びしを(われ)につげしらする(もの)なしまた(なんぢ)一人(ひとり)もわがために(うれ)へずわが()今日(けふ)のごとくわが(しもべ)をはげまして(みち)(ふし)(われ)をおそはしめんとするを(われ)につげしらす(もの)なし 9(とき)にエドミ(びと)ドエグ、サウルの(けらい)(うち)にたち()りしが(こた)へていひけるは(われ)ヱサイの()のノブにゆきてアヒトブの()アヒメレクに(いた)るを()しが 10アヒメレクかれのためにヱホバに()ひまたかれに食物(しよくもつ)をあたへペリシテ(びと)ゴリアテの(かたな)をあたへたりと 11(わう)すなはち(ひと)をつかはしてアヒトブの()祭司(さいし)アヒメレクなよびその(ちち)(いへ)すなはちノブの祭司(さいし)たる人々(ひとびと)()したればみな(わう)(もと)にきたる 12サウルいひけるは(なんぢ)アヒトブの()(きけ)(こた)へけるは(しゆ)(われ)ここにあり 13サウルかれにいふ(なんぢ)なんぞヱサイの()とともに(われ)(てき)して(はか)(なんぢ)かれにパンと(かたな)をあたへ(かれ)(ため)(かみ)()ひかれをして今日(けふ)のごとく(みち)(ふし)(われ)をおそはしめんとするや 14アヒメレク(わう)にこたへていひけるは(なんぢ)臣僕(しもべ)のうち(たれ)かダビデのごとく忠義(ちゆうぎ)なる(かれ)(わう)婿(むこ)にして(した)しく(なんぢ)(まみ)ゆるもの(なんぢ)(いへ)(たふと)まるる(もの)にあらずや 15(われ)其時(そのとき)かれのために(かみ)(とふ)ことを(はじ)めしや(きはめ)てしからずねがはくは(わう)(しもべ)およびわが(ちち)全家(ぜんか)(なに)をも()するなかれ()(しもべ)この(こと)については多少(たせう)をいはず(なに)をもしらざればなり 16(わう)いひけるはアヒメレク(なんぢ)(かなら)()ぬべし(なんぢ)(ちち)全家(ぜんか)もしかりと 17(わう)(かたはら)にたてる前驅(さきばしり)人々(ひとびと)にいひけるは()をひるがへしてヱホバの祭司(さいし)(ころ)せかれらもダビデと(ちから)(あは)するが(ゆゑ)またかれらダビデの(にげ)たるをしりて(われ)(つげ)ざりし(ゆゑ)なりと(され)(わう)(けらい)()をいだしてヱホバの祭司(さいし)(うつ)ことを(この)まざれば 18(わう)ドエグにいふ(なんぢ)()をひるがへして祭司(さいし)をころせとエドミ(びと)ドエグ(すなは)()をひるがへして祭司(さいし)をうち(その)()(ぬの)のエポデを()たる(もの)八十五(にん)をころせり 19かれまた(やいば)()祭司(さいし)(まち)ノブを()(やいば)をもて(をとこ)(をんな)童稚(こども)嬰孩(ちのみご)(うし)驢馬(ろば)(ひつじ)(ころ)せり 20アヒトブの()アヒメレクの一人(ひとり)()アビヤタルとなづくる(もの)(のが)れてダビデにはしり(した)がふ 21アビヤタル、サウルがヱホバの祭司(さいし)(ころ)したることをダビデに(つげ)しかば 22ダビデ、アビヤタルにいふかの()エドミ(びと)ドエグ彼處(かしこ)にをりしかば(われ)かれが(かな)らずサウルにつげんことを()れり(われ)(なんぢ)(ちち)(いへ)人々(ひとびと)生命(いのち)(うしな)へる源由(もと)となれり 23(なんぢ)(われ)とともに()(おそ)るるなかれわが生命(いのち)(もと)むる(もの)(なんぢ)生命(いのち)をも(もと)むるなり(なんぢ)(われ)とともにあらば安全(あんぜん)なるべし

第二十三章

1人々(ひとびと)ダビデにつげていひけるは()よペリシテ(びと)ケイラを()穀場(うちば)(かす)むと 2ダビデ、ヱホバに(とふ)ていひけるは(われ)ゆきて()のペリシテ(びと)()つべきかとヱホバ、ダビデにいひたまひけるは(ゆき)てペリシテ(びと)をうちてケイラを(すく)3ダビデの從者(じふしや)かれにいひけるは()よわれら(ここ)にユダにあるすら()ほおそる(いはん)やケイラにゆきてペリシテ(びと)(ぐん)にあたるをやと 4ダビデふたたびヱホバに()ひけるにヱホバ(こたへ)ていひたまひけるは(たち)てケイラにくだれ(われ)ペリシテ(びと)(なんぢ)()にわたすべし 5ダビデとその從者(じふしや)ケイラにゆきてペリシテ(びと)とたたかひ(かれ)らの家畜(かちく)(うば)ひとり(おほい)にかれらをうちころせりかくダビデ、ケイラの居民(ひとびと)をすくふ 6アヒメレクの()アビヤタル、ケイラにのがれてダビデにいたれる(とき)(その)()にエポデを(とり)てくだれり 7(ここ)にダビデのケイラに(いた)れる(こと)サウルに(きこ)えければサウルいふ(かみ)かれを(わが)()にわたしたまへり()はかれ(もん)あり(くわん)ある(まち)にいりたれば(とぢ)こめらるればなり 8サウルすなはち(たみ)をことごとく(いくさ)によびあつめてケイラにくだりてダビデと(その)從者(じふしや)(かこま)んとす 9ダビデはサウルのおのれを(がい)せんと(はか)るを()りて祭司(さいし)アビヤタルにいひけるはエポデを()ちきたれと 10しかしてダビデいひけるはイスラエルの(かみ)ヱホバよ(しもべ)たしかにサウルがケイラにきたりてわがために(この)(まち)をほろぼさんと(もと)むるを(きけ)11ケイラの人々(ひとびと)(われ)をかれの()にわたすならんか(しもべ)のきけるごとくサウル(くだ)るならんかイスラエルの(かみ)ヱホバよ()(しもべ)につげたまへとヱホバいひたまひけるは(かれ)(くだ)るべしと 12ダビデいひけるはケイラの人々(ひとびと)われとわが從者(じふしや)をサウルの()にわたすならんかヱホバいひたまひけるは(かれ)らわたすべし 13(ここ)においてダビデと(その)(ぴやく)(にん)ばかりの從者(じふしや)(たち)てケイラをいで(その)ゆきうる(ところ)にゆけりダビデのケイラをにげはなれしことサウルに(きこ)えければサウルいづることを(やめ)たり 14ダビデは曠野(あらの)にをり要害(えうがい)()にをりまたジフの()にある(やま)()るサウル(つね)にかれを(たづ)ねたれども(かみ)かれを(その)()にわたしたまはざりき 15ダビデ、サウルがおのれの生命(いのち)(もと)めんために(いで)たるを()(とき)にダビデはジフの()叢林(もり)にをりしが 16サウルの()ヨナタンたちて叢林(もり)にいりてダビデにいたり(かみ)によりて(その)(ちから)(つよ)うせしめたり 17(すなは)ちヨナタンかれにいひけるに(おそ)るるなかれわが(ちち)サウルの()(なんぢ)にとどくことあらじ(なんぢ)はイスラエルの(わう)とならん(われ)(なんぢ)(つぎ)なるべし此事(このこと)はわが(ちち)サウルもしれりと 18かくて(かれ)二人(ふたり)ヱホバのまへに契約(けいやく)をむすびダビデは叢林(もり)にとどまりヨナタンは(その)(いへ)にかへれり 19(とき)にジフ(びと)ギベアにのぼりサウルの(もと)にいたりていひけるはダビデは曠野(あらの)(みなみ)にあるハキラの(やま)叢林(もり)(うち)なる要害(えうがい)(かく)れて(われ)らとともにをるにあらずや 20(いま)(わう)(なんぢ)のくだらんとする(のぞみ)のごとく(くだ)りたまへ(われ)らはかれを(わう)()にわたさんと 21サウルいひけるは(なんぢ)(われ)をあはれめば(ねがは)くは汝等(なんぢら)ヱホバより福祉(さいはひ)をえよ 22()ふゆきて()(こころ)(もち)(かれ)踪跡(あと)ある(ところ)()がかれを()たるかを()きはめよ()(ひと)(われ)にかれが(はなは)機巧(かしこ)(こと)()すを(つげ)たれば(なり) 23されば(なんぢ)(かれ)(かく)るる逃躱處(かくれが)(みな)たしかに()きはめて(ふたた)(われ)にきたれ(われ)(なんぢ)らとともにゆかん(かれ)もし(その)()にあらば(われ)ユダの郡中(ぐんちう)をあまねく(たづ)ねて(かれ)()んと 24かれらたちてサウルに(さきだち)てジフにゆけりダビデと(その)從者(じふしや)曠野(あらの)(みなみ)のアラバにあるマオンの()にをる 25(かく)てサウルと(その)從者(じふしや)ゆきて(かれ)(たづ)人々(ひとびと)これをダビデに(つげ)ければダビデ(いは)(くだり)てマオンの()にをるサウル(これ)(きき)てマオンの()(いらり)てダビデを()26サウルは(やま)此旁(こなた)(ゆき)ダビデと(その)從者(じふしや)(やま)彼旁(かなた)(ゆく)ダビデは周章(あはて)てサウルの(まへ)(さけ)んとしサウルと(その)從者(じふしや)はダビデと(その)從者(じふしや)(かこ)んで(これ)(とらへ)んとす 27(とき)使者(つかひ)サウルに(きたり)(いひ)けるはペリシテ(びと)(くに)ををかす(いそ)ぎきたりたまへと 28(ゆゑ)にサウル、ダビデを(おふ)ことを(やめ)てかへり(ゆき)てペリシテ(びと)にあたるここをもて人々(ひとびと)その(ところ)をセラマレコテ((のがれ)(いは))となづく 29ダビデ其處(そこ)よりのぼりてエンゲデの要害(えうがい)にをる

第二十四章

1サウル、ペリシテ(びと)()ふことをやめて(かへ)りし(とき)人々(ひとびと)かれにつげていひけるは()よダビデはエンゲデの()にありと 2サウル、イスラエルの(うち)より(えら)みたる三(ぜん)(ひと)(ひき)ゐゆきて野羊(やぎ)(いは)にダビデと(その)從者(じふしや)(たづ)3(みち)にて(ひつじ)(をり)にいたるに其處(そこ)洞穴(ほらあな)ありサウル(その)(あし)(おほは)んとていりぬ(とき)にダビデと(その)從者(じふしや)(ほら)(すみ)()たり 4ダビデの從者(じふしや)これにいひけるはヱホバが(なんぢ)(つげ)()(われ)(なんぢ)(てき)(なんぢ)()にわたし(なんぢ)をして(よし)()るところを(かれ)になさしめんといひたまひし()(いま)なりとダビデすなはち(たち)てひそかにサウルの(ころも)(すそ)をきれり 5ダビデ、サウルの(ころも)(すそ)をきりしによりて()其心(そのこころ)みづから()6ダビデ(その)從者(じふしや)にいひけるはヱホバの(あぶら)そそぎし(もの)なるわが(しゆ)にわが此事(このこと)をなすをヱホバ(きん)じたまふかれはヱホバの(あぶら)そそぎし(もの)なればかれに(てき)してわが()をのぶるは(よか)らず 7ダビデ(この)ことばをもって(その)從者(じふしや)(とど)めサウルに()ちかかる(こと)(ゆる)さずサウルたちて(ほら)(いで)(その)(みち)にゆく 8ダビデもまた(あと)よりたちて(ほら)をいでサウルのうしろに(よば)はりて(われ)(しゆ)(わう)よといふサウル(うしろ)をかへりみる(とき)ダビデ()にふして(はい)9ダビデ、サウルにいひけるは(なんぢ)なんぞダビデ(なんぢ)(がい)せん(こと)(もと)むといふ(ひと)(ことば)()くや 10()今日(けふ)(なんぢ)()ヱホバの(なんぢ)(ほら)のうちにて今日(けふ)わが()にわたしたまひしことを()たり人々(ひとびと)(われ)(なんぢ)をころさんことを(すす)めたれども(われ)(なんぢ)(をし)めり(われ)いひけらくわが(しゆ)はヱホバの(あぶら)そそぎし(もの)なればこれに(てき)してわが()をのぶべからずと 11わが(ちち)()よわが()にある(なんぢ)(ころも)(すそ)()よわが(なんぢ)(ころも)(すそ)をきりて(なんぢ)(ころ)さざるを()ばわが()には(あく)罪過(とが)もなきことを(なんぢ)()()るべし(われ)(なんぢ)(つみ)ををかせしことなし(しか)るに(なんぢ)わが生命(いのち)をとらんとねらふ 12ヱホバ(われ)(なんぢ)(あひだ)(さば)きたまはんヱホバわがために(なんぢ)(むく)いたまふべし(され)どわが()(なんぢ)(くは)へざるべし 13(いにし)への(ことわざ)にいふごとく(あく)惡人(あくにん)よりいづされどわが()(なんぢ)にくはへざるべし 14イスラエルの(わう)(たれ)(おは)んとて(いで)たるや(なんぢ)たれを()ふや(しに)たる(いぬ)をおひ(ひとつ)(のみ)をおふなり 15ねがはくはヱホバ審判(さばき)()となりて(われ)(なんぢ)のあひだをさばきかつ()てわが(うつたへ)(ただ)(われ)(なんぢ)()よりすくひいだしたまはんことを 16ダビデこれらの(ことば)をサウルに(かた)りをへしときサウルいひけるはわが()ダビデよ(これ)(なんぢ)(こゑ)なるかとサウル(こゑ)をあげて()きぬ 17しかしてダビデにいひけるは(なんぢ)(われ)よりも(ただ)(われ)(なんぢ)(あく)をむくゆるに(なんぢ)(われ)(ぜん)をむくゆ 18(なんぢ)今日(けふ)いかに(なんぢ)(われ)()くなすかを(あきら)かにせりヱホバ(われ)(なんぢ)()にわたしたまひしに(なんぢ)(われ)をころさざりしなり 19(ひと)もし(その)(てき)にあはばこれを(やす)らかに(さら)しむべけんや(なんぢ)今日(けふ)(われ)になしたる(こと)のためにヱホバ(なんぢ)(ぜん)をむくいたまふべし 20()(われ)(なんぢ)(かなら)(わう)とならんことを()りまたイスラエルの(わう)(くに)(なんぢ)()によりて(かた)くたたんことをしる 21(いま)(なんぢ)ヱホバをさして(われ)にわが(あと)にてわが子孫(しそん)(たた)ずわが()をわが(ちち)(いへ)(めつ)せざらんことを(ちか)へと 22ダビデすなはちサウルにちかふ(ここ)においてサウルは(いへ)にかへりダビデと(その)從者(じふしや)要害(えうがい)にのぼれり

第二十五章

1(ここ)にサムエル()にしかばイスラエル(びと)(みな)あつまりて(これ)をかなしみラマにあるその(いへ)にてこれを(はう)むれりダビデたちてバランの()にくだる 2マオンに一箇(ひとり)(ひと)あり(その)所有(もちもの)はカルメルにあり其人(そのひと)(はなは)(おほい)なる(もの)にして三(ぜん)(ひつじ)と一(せん)山羊(やぎ)をもちしがカルメルにて(ひつじ)()()()たり 3其人(そのひと)()はナバルといひ(その)(つま)()はアビガルといふアビガルは(かしこ)(かほ)()(をんな)なりされど(その)(をつと)剛愎(かたくな)にして(その)()すところ(あし)かりきかれはカレブの(ひと)なり 4ダビデ()にありてナバルが(その)(ひつじ)()()りをるを()5ダビデ(じふ)(にん)少者(わかもの)(つか)はすダビデ(その)少者(わかもの)にいひけるはカルメルにのぼりナバルにいたりわが()をもてかれに安否(あんぴ)をとひ 6かくのごとくいへ(ねがは)くは(いのち)ながかれ(なんぢ)平安(やすらか)なれ(なんぢ)(いへ)やすらかなれ(なんぢ)(もつ)ところの(もの)みなやすらかなれ 7(われ)(なんぢ)羊毛(ひつじのけ)(きら)せをるを(きけ)(なんぢ)牧羊者(ひつじかひ)(われ)らとともにありしが(われ)らこれを(がい)せざりきまたかれらがカルメルにありしあひだかれらの(もの)(なに)(うせ)たることなし 8(なんぢ)少者(わかもの)()へかれら(なんぢ)につげん(ねがは)くは少者(わかもの)をして(なんぢ)のまへに(めぐみ)をえせしめよ(われ)(よき)()(きた)()(なんぢ)()にあるところの(もの)(なんぢ)(しもべ)らおよび(なんぢ)()ダビデにあたへよ 9ダビデの少者(わかもの)いたりダビデの()をもって(これ)らのことばの(ごと)くナバルに(かた)りてやめり 10ナバル、ダビデの(しもべ)にこたへていひけるはダビデは(たれ)なるヱサイの()(たれ)なる(この)(ごろ)主人(しゆじん)をすてて遁逃(のが)るる(しもべ)おほし 11(われ)あにわがパンと(みづ)およびわが羊毛(ひつじのけ)をきる(もの)のために(ころ)したる(にく)をとりて何處(いづく)よりか()れざるところの人々(ひとびと)にあたふべけんや 12ダビデの少者(わかもの)ふりかへりて(その)(みち)()(かへ)りきたりて(これ)()(ことば)のごとくダビデに()13(ここ)においてダビデ(その)從者(じふしや)(なんぢ)らおのおの(かたな)(おび)よと(いひ)ければ(おのおの)(かたな)をおぶダビデもまた(かたな)をおぶ(しか)して()(ひやく)(にん)ばかりダビデにしたがひて(のぼ)()(ひやく)(にん)輜重()のところに(とどま)れり 14(とき)にひとりの少者(わかもの)ナバルの(つま)アビガルに(つげ)ていひけるは()よダビデ()より使者(つかひ)をおくりて(われ)らの主人(しゆじん)(しゆく)したるに主人(しゆじん)かれらを(ののし)れり 15されどかの人々(ひとびと)はわれらに(はなは)()くなし(われ)らは(がい)をかうむらず(また)われら()にありし(とき)かれらとともにをるあひだはなにをも(うし)なはざりき 16(われ)らが(ひつじ)をかひて(かれ)らとともにありしあひだ(かれ)らは日夜(ひるよる)われらの(かき)となれり 17されば(なんぢ)(いま)しりてなにをなさんかを(かんが)ふべし()はわれらの主人(しゆじん)および主人(しゆじん)全家(ぜんか)(さだ)めて(がい)きたるべければなり主人(しゆじん)邪魔(よこしま)なる(もの)にして(かた)ることをえずと 18アビガルいそぎパン()(ひやく)(さけ)革嚢(かはぶくろ)(ふたつ)(すで)調(ととの)へたる(ひつじ)(いつつ)烘麥(やきむぎ)()セア乾葡萄(ほしぶだう)(ひやく)(ふさ)(ほし)無花果(いちじく)團塊(かたまり)()(ひやく)(とり)驢馬(ろば)にのせ 19(その)少者(わかもの)にいひけるは(わが)(さき)(すす)()(われ)(なんぢ)らの(うしろ)にゆくと(され)(その)(をつと)ナバルには()げざりき 20アビガル驢馬(ろば)にのりて(やま)僻處(くぼみ)にくだれる(とき)()よダビデと(その)從者(じふしや)かれにむかひてくだりければかれ(その)人々(ひとびと)にあふ 21ダビデかつていひけるは(まこと)にわれ(いたづら)此人(このひと)()にて(もて)(もの)をみなまもりてその(もの)をして(いか)もうせざらしめたりかれは(あく)をもてわが(ぜん)にむくゆ 22ねがはくは(かみ)ダビデの(てき)にかくなしまた(かさ)ねてかくなしたまへ(あくる)(あさ)までに(われ)はナバルに(ぞく)する(すべ)ての(もの)(うち)ひとりの(をとこ)をものこさざるべし 23アビガル、ダビデを()しとき(いそ)驢馬(ろば)よりおりダビデのまへに()()して(はい)24(その)(あし)もとにふしていひけるはわが(しゆ)(この)(とが)(われ)()したまへ(ただ)(しもめ)をして(なんぢ)(みみ)にいふことを()さしめ(しもめ)のことばを(きき)たまへ 25ねがはくは(われ)(きみ)この(よこしま)なる(ひと)ナバル((おろか))の(こと)(こころ)(さしはさ)むなかれ()はかれは(その)()(ごと)くなればなりかれの()はナバルにしてかれは(おろか)なりわれなんぢの(しもめ)はわが(しゆ)のつかはせし(わか)ものを()ざりき 26さればわがしゆよヱホバはいくまたなんぢのたましひはいくヱホバなんぢのきたりて()をながしまた(なんぢ)がみづから(あた)をむくゆるを(とど)めたまへりねがはくは(なんぢ)(てき)たるものおよびわが(しゆ)(がい)をくはへんとする(もの)はナバルのごとくなれ 27さて仕女(つかへめ)がわが(しゆ)にもちきたりしこの禮物(れいもつ)をねがはくはわが(しゆ)(あし)(あと)にあゆむ少者(わかもの)にたてまつらしめたまへ 28()(しもめ)(あやまち)をゆるしたまへヱホバ(かなら)ずわが(しゆ)のために(かた)(いへ)(たて)たまはん()はわが(しゆ)ヱホバの(いくさ)(たたか)ふにより(また)()にいでてよりこのかた(なんぢ)()(あし)きこと()えざるによりてなり 29(ひと)たちて(なんぢ)()(なんぢ)生命(いのち)(もと)むれどもわが(しゆ)生命(いのち)(なんぢ)(かみ)ヱホバとともに生命(いのち)包裏(つつみ)(うち)(つつ)みあり(なんぢ)(てき)生命(いのち)投石器(いしなげ)のうちより(なげ)すつる(ごと)くヱホバこれをなげすてたまはん 30ヱホバその(なんぢ)につきて(かた)りたまひし(もろもろ)()(こと)をわが(しゆ)になして(なんぢ)をイスラエルの主宰(つかさ)(めい)じたまはん(とき)にいたりて 31(なんぢ)(ゆゑ)なくして()をながしたることも(また)わが(しゆ)のみづから(その)(あだ)をむくいし(こと)(なんぢ)(うれへ)となることなくまたわが(しゆ)(こころ)(せめ)となることなかるべし(ただ)しヱホバのわが(しゆ)()くなしたまふ(とき)にいたらばねがはくは(しもめ)(おもひ)たまへ 32ダビデ、アビガルにいふ今日(けふ)(なんぢ)をつかはして(われ)をむかへしめたまふイスラエルの(かみ)ヱホバは頌美(ほむ)べきかな 33また(なんぢ)智慧(ちゑ)はほむべきかな(また)(なんぢ)はほむべきかな(なんぢ)今日(けふ)わがきたりて()をながし(みづか)(あだ)をむくゆるを(とど)めたり 34わが(なんぢ)(がい)するを(とど)めたまひしイスラエルの(かみ)ヱホバは()(まこと)にもし(なんぢ)いそぎて(われ)(きた)(むかへ)ずば(かなら)翌朝(あくるあさ)までにナバルの(ところ)にひとりの(をとこ)ものこらざりしならんと 35ダビデ、アビガルの(たづさ)へきたりし(もの)(その)()より(うけ)てかれにいひけるは(やすら)かに(なんぢ)(いへ)にかへりのぼれ()よわれ(なんぢ)(ことば)をききいれて(なんぢ)(かほ)(たて)たり 36かくてアビガル、ナバルにいたりて(みる)にかれは(いへ)酒宴(しゆえん)(まう)()たり(わう)酒宴(しゆえん)のごとしナバルの(こころ)これがために(たのし)みて(はなは)だしく(ゑひ)たればアビガル多少(たせう)をいはず(なに)をも翌朝(あくるあさ)までかれにつげざりき 37(あさ)にいたりナバルの(さけ)のさめたる(とき)(つま)かれに是等(これら)(こと)をつげたるに(かれ)(こころ)そのうちに(しし)(その)()(いし)のごとくなりぬ 38(とを)()ばかりありてヱホバ、ナバルを()ちたまひければ(しね)39ダビデ、ナバルの(しに)たるを(きき)ていひけるはヱホバは頌美(ほむ)べきかなヱホバわが(かう)むりたる恥辱(はぢ)(うつたへ)(ただ)してナバルにむくい(しもべ)(とど)めて(あく)をおこなはざらしめたまふ()はヱホバ、ナバルの(あく)(その)(かうべ)()(たま)へばなりと(ここ)にダビデ、アビガルを(つま)にめとらんとて(ひと)(つか)はしてこれとかたらはしむ 40ダビデの(しもべ)カルメルにをるアビガルの(もと)にいたりてこれにかたりいひけるはダビデ(なんぢ)(つま)にめとらんとて(われ)らを(なんぢ)(つか)はすと 41アビガルたちて()にふして(はい)しいひけるは()(しもめ)はわが(しゆ)(しもべ)(たち)(あし)(あら)仕女(つかへめ)なりと 42アビガルいそぎたちて驢馬(ろば)()()(にん)侍女(こしもと)とともにダビデの使者(つかひ)にしたがひゆきてダビデの(つま)となる 43ダビデまたヱズレルのアヒノアムを(めと)れり(かれ)二人(ふたり)ダビデの(つま)となる 44(ただ)しサウルはダビデの(つま)なりし(その)(むすめ)ミカルをガリムの(ひと)なるライシの()パルテにあたへたり

第二十六章

1ジフ(びと)ギベアにきたりサウルの(もと)にいたりてひけるはダビデは曠野(あらの)のまへなるハキラの(やま)にかくれをるにあらずやと 2サウルすなはち()ちジフの()にダビデを(たづ)ねんとイスラエルの(うち)より(えら)みたる三(ぜん)(ひと)をしたがへてジフの()にくだる 3サウルは曠野(あらの)のまへなるハキラの(やま)において(みち)のほとりに(ぢん)()るダビデは曠野(あらの)(をり)てサウルのおのれをおふて曠野(あらの)にきたるをさとりければ 4ダビデ斥候(ものみ)(いだ)してサウルの(まこと)(きたり)しをしれり 5ここにおいてダビデたちてサウルの(ぢん)をとれるところにいたりサウルおよび(その)(ぐん)(かしら)ネルの()アブネルの(いね)たるところを()たりすなはちサウルは(くるま)(がこひ)(うち)()(たみ)(その)まはりに(ぢん)をはれり 6ダビデ(こた)へてヘテ(びと)アヒメレクおよびゼルヤの()にしてヨアブの兄弟(きやうだい)なるアビシヤイにいひけるは(たれ)(われ)とともにサウルの(ぢん)にくだらんかとアビシヤイいふ(われ)(なんぢ)とともに(くだ)らん 7ダビデとアビシヤイすなはち()にいりて(たみ)(ところ)にいたるに()よサウルは(くるま)(がこひ)のうちに()()(その)(やり)()にさして(まくら)(もと)にありアブネルと(たみ)(その)まはりに(いね)たり 8アビシヤイ、ダビデにいひけるは(かみ)今日(けふ)(なんぢ)(てき)(なんぢ)()にわたしたまふ()ふいま(われ)(やり)をもてかれを一度(ひとたび)()にさしとほさしめよ(ふたた)びするにおよばじ 9ダビデ、アビシヤイにいふ(かれ)をころすなかれ(たれ)かヱホバの(あぶら)そそぎし(もの)(てき)して(その)()をのべて(つみ)なからんや 10ダビデまたいひけるはヱホバは()くヱホバかれを(うち)たまはんあるひはその()ぬる()(きた)らんあるひは(たたか)ひにくだりて(しに)うせん 11わがヱホバのあぶらそそぎしものに(てき)して()をのぶることはきはめて(よか)らずヱホバ(きん)じたまふされどいま()(なんぢ)そのまくらもとの(やり)(みづ)(びん)をとれしかして(われ)らさりゆかんと 12ダビデ、サウルの(まくら)(もと)より(やり)(みづ)(びん)()りてかれらさりゆきしが(たれ)()(たれ)もしらず(たれ)()(さま)さざりき()はかれら(みな)(ねむ)()たればなり(すなは)ちヱホバかれらをふかく(ねむ)らしめたまふ 13かくてダビデは彼旁(かなた)にわたりて(はるか)(やま)(いただき)にたてり(かれ)(これ)とのへだたり(おほい)なり 14ダビデ(たみ)とネルの()アブネルによばはりいひけるはアブネルよ(なんぢ)こたへざるかアブネルこたへていふ(わう)をよぶ(なんぢ)はたれなるや 15ダビデ、アブネルにいひけるは(なんぢ)勇士(をとこ)ならずやイスラエルの(うち)にて(たれ)(なんぢ)(しく)ものあらんしかるに(なんぢ)なんぞ(なんぢ)(しゆ)なる(わう)をまもらざるや(たみ)のひとり(なんぢ)(しゆ)なる(わう)(ころ)さんとていりぬ 16(なんぢ)がなせる此事(このこと)よからずヱホバは()くなんぢらの(つみ)()にあたれり(なんぢ)らヱホバの(あぶら)そそぎし(なんぢ)らの(しゆ)をまもらざればなり(いま)(わう)(やり)(わう)(まくら)(もと)にありし(みづ)(びん)はいづくにあるかを()17サウル、ダビデの(こゑ)をしりていひけるはわが()ダビデよ(これ)(なんぢ)(こゑ)なるかダビデいひけるは(わう)わが(しゆ)よわが(こゑ)なり 18ダビデまたいひけるはわが(しゆ)なにゆゑに()くその(しもべ)をおふや(われ)なにをなせしや(なん)(あし)(こと)わが()にあるや 19(わう)わが(しゆ)()ふいま(しもべ)(ことば)()きたまへ()しヱホバ(なんぢ)(われ)(てき)せしめたまふならばねがはくはヱホバ禮物(そなへもの)をうけたまへされど()(ひと)ならばねがはくは(その)人々(ひとびと)ヱホバのまへにのろはれよ()彼等(かれら)(なんぢ)ゆきて(ほか)(かみ)につかへよといひて今日(こんにち)(われ)()ひヱホバの產業(さんげふ)(つら)なることをえざらしむるが(ゆゑ)なり 20ねがはくは(わが)()をしてヱホバのまへをはなれて()におちしむるなかれそは(ひと)(やま)にて鷓鴣(しやこ)をおふがごとくイスラエルの(わう)(ひとつ)(のみ)をたづねにいでたればなり 21サウルいひけるは(われ)(つみ)ををかせりわが()ダビデよ(かへ)れわが生命(いのち)今日(けふ)(なんぢ)()(たから)()なされたる(ゆゑ)により我々(われ)かさねて(なんぢ)(がい)(くは)へざるべし嗚呼(ああ)われ(おろか)なることをなして(はなは)だしく(あやま)てり 22ダビデこたへていひけるは(わう)(やり)()()ひとりの少者(わかもの)をしてわたりてこれを(とら)しめよ 23ねがはくはヱホバおのおのに(その)()眞實(しんじつ)とにしたがひて(むく)いたまへ(とも)はヱホバ今日(けふ)(なんぢ)をわが()にわたしたまひしに(われ)ヱホバの受膏(あぶらそそぎし)(もの)(てき)してわが()をのぶることをせざればなり 24(なんぢ)生命(いのち)今日(けふ)わがおもんぜしごとくねがはくはヱホバわが生命(いのち)をおもんじて(もろもろ)艱難(かんなん)のうちより(われ)をすくひいだしたまへ 25サウル、ダビデにいひけるはわが()ダビデよ(なんぢ)はほむべきかな(なんぢ)(おほい)なる(こと)()さん(また)かならず(かち)をえんとしかしてダビデは(その)(みち)にさりサウルはおのれの(ところ)にかへれり

第二十七章

1ダビデ(こころ)(うち)にいひけるは(かく)のごとくば(われ)早晩(いつか)サウルの()にほろびん(すみやか)にペリシテ(びと)()にのがるるにまさることあらず(しか)らばサウルかさねて(われ)をイスラエルの四方(よも)(さかひ)にたづぬることをやめて(われ)かれの()をのがれんと 2ダビデたちておのれとともな六(ぴやく)(にん)のものとともにわたりてガテの(わう)マオクの()アキシにいたる 3ダビデと(その)從者(じふしや)ガテにてアキシとともに(すみ)ておのおの(その)家族(かぞく)とともにをるダビデはその二人(ふたり)(つま)すなはちヱズレル(びと)アヒノアムとカルメル(びと)ナバルの(つま)なりしアビガルとともにあり 4ダビデのガテににげしことサウルにきこえければサウルかさねてかれをたづねざりき 5ここにダビデ、アキシにいひけるは(われ)もし(なんぢ)のまへに(めぐみ)()たるならばねがはくは郷里(ゐなか)にある(まち)のうちにて(ひとつ)のところを(われ)にあたへて其處(そこ)にすむことを()さしめよ(しもべ)なんぞ(なんぢ)とともに王城(みやこ)にすむべけんやと 6アキシ(その)()チクラグをかれにあたへたり是故(このゆえ)にヂクラグは今日(こんにち)にいたるまでユダの(わう)(ぞく)7タビデのペリシテ(びと)(くに)にをりし()(かず)(いち)(ねん)四箇(しか)(げつ)なりき 8ダビデ(その)從者(じふしや)(とも)にのぼりゲシユル(びと)ゲゼリ(びと)アマレク(びと)(おそ)ふたり(むかし)より是等(これら)はシユルにいたる()にすみてエジプトの()にまでおよべり 9ダビデ(その)()をうちて(をとこ)をも(をんな)をも(いか)(のこ)さず(ひつじ)(うし)駱駝(らくだ)衣服(いふく)をとりて(かへ)りてアキシに(いた)10アキシいひけるは(なんぢ)今日(けふ)何地(いづく)(おそ)ひしやダビデいひけるはユダの(みなみ)とヱラメルの(みなみ)とケニ(びと)(みなみ)ををかせりと 11ダビデ(をとこ)(をんな)生存(いきのこ)らしめずして一人(ひとり)をもガテにひきゆかざりき()はダビデ(おそら)くは(かれ)らダビデかくなせりといひて我儕(われら)(こと)(つげ)んといひたればなりダビデ、ペリシテ(びと)()にすめるあひだは(その)なすところ(つね)にかくのごとくなりき 12アキシ、ダビデを(しん)じていひけるは(かれ)(その)(たみ)イスラエルをして(まつた)くおのれを(にく)ましむされば(なが)くわが(しもべ)となるべし

第二十八章

1(その)(ころ)ペリシテ(びと)イスラエルと(たたか)はんとて(いくさ)のために軍勢(ぐんぜい)(あつ)めたればアキシ、ダビデにいひけるは(なんぢ)(あきら)かにこれをしれ(なんぢ)(なんぢ)從者(じふしや)(われ)とともに(いで)(いくさ)にくははるべし 2ダビデ、アキシにいひけるはされば(なんぢ)(しもべ)のなさんところをしるべしとアキシ、ダビデにさらば(われ)(なんぢ)(なが)(わが)()をまもる(もの)となさんといへり 3サムエルすでに(しに)たればイスラエルみなこれをかなしみてこれをそのまちラマにはうむれりまたサウルは口寄者(くちよせ)卜筮師(うらなひし)(その)()よりおひいだせり 4ペリシテ(びと)あつまりきたりてシユネムに(ぢん)をとりければサウル、イスラエルを(ことごと)くあつめてギルボアに(ぢん)をとれり 5サウル、ペリシテ(びと)(ぐん)()しときおそれて其心(そのこころ)(おほい)にふるへたり 6サウル、ヱホバに()ひけるにヱホバ(こたへ)たまはず(ゆめ)(より)てもウリムによりても預言者(よげんしや)によりてもこたへたまはず 7サウル(しもべ)()にいひけるは(くち)(よせ)(をんな)(もと)めよわれそのところにゆきてこれに(たづ)ねんと(しもべ)()かれにいひけるは()よエンドルに(くち)(よせ)(をんな)あり 8サウル(かたち)()へて(ほか)衣服(きもの)()二人(ふたり)(ひと)をともなひてゆき彼等(かれら)()(ま`)(その)(をんな)(ところ)にいたるサウルいひけるは()ふわがために(くち)(よせ)(じゆつ)をおこなひてわが(なんぢ)()(ひと)をわれに(よび)おこせ 9(をんな)かれにいひけるはなんぢサウルのなしたる(こと)すなはち如何(いか)にかれが口寄者(くちよせ)卜筮師(うらなひし)(くに)より(たち)さりたるを()(なんぢ)なんぞ(われ)(しな)しめんとてわが生命(いのち)(ほろぼ)謀計(はかりごと)をなすや 10サウル、ヱホバを(さし)てかれに(ちか)ひいひけるはヱホバは()(この)(こと)のためになんぢ(つみ)にあふことあらじ 11(をんな)いひけるは(たれ)(われ)なんぢに(よび)(おこ)すべきかサウルいふサムエルをよびおこせ 12(をんな)サムエルを()(おほい)なる(こゑ)にてさけびいだせりしかして(をんな)サウルにいひけるは(なんぢ)なにゆゑに(われ)(あざむ)きしや(なんぢ)はすなはちサウルなり 13(わう)かれにいひけるは(おそ)るるなかれ(なんぢ)なにを()しや(をんな)サウルにいひけるは(われ)(かみ)()よりのぼるを()たり 14サウルかれにいひけるは(その)形容(かたち)如何(いかん)(かれ)いひけるは一人(ひとり)老翁(おきない)のぼる其人(そのひと)明衣(うはぎ)()たりサウル其人(そのひと)のサムエルなるをしりて()にふして(はい)せり 15サムエル、サウルにいひけるは(なんぢ)なんぞ(われ)をよびおこして(われ)をわづらはすやサウルこたへけるは(われ)いたく(なや)むペリシテ(びと)(われ)にむかひて(いくさ)をおこし(また)(かみ)(われ)をはなれて預言者(よげんしや)によりても(また)(ゆめ)によりてもふたたび(われ)にこたへたまはずこのゆゑに(われ)なすべき(こと)(なんぢ)にまなばんとて(なんぢ)(よべ)16サムエルいひけるはヱホバ(なんぢ)をはなれて(なんぢ)(てき)となりたまふに(なんぢ)なんぞ(われ)にとふや 17ヱホバわれをもて(かた)りたまひしことをみづから(おこな)ひてヱホバ(くに)(なんぢ)()より()きはなち(なんぢ)隣人(となりびと)ダビデにあたへたまふ 18(なんぢ)ヱホバの(ことば)にしたがはず(その)(はげ)しき(いかり)をアマレクにもらさざりしによりてヱホバ此事(このこと)今日(こんにち)(なんぢ)になしたまふ 19ヱホバ、イスラエルをも(なんぢ)とともにペリシテ(びと)()にわたしたまふべし明日(あす)(なんぢ)(なんぢ)子等(こら)(われ)とともなるべしまたイスラエルの(ぢん)(えい)をもヱホバ、ペリシテ(びと)()にわたしたまはんと 20サウル(ただ)ちに()()びたふれサムエルの(ことば)のために(いた)くおそれ(また)(その)(ちから)(うしな)へり()はかれ(その)一日(いちにち)一夜(いちや)(もの)(くは)ざりければなり 21かの(をんな)サウルにいたり(その)(いた)(をのの)くを()てこれにいひけるは()仕女(つかへめ)(なんぢ)(ことば)をききわが生命(いのち)をかけて(なんぢ)(われ)にいひし(ことば)にしたがへり 22されば()(なんぢ)仕女(つかへめ)(ことば)(きき)(われ)をして(ひと)(くち)のパンを(なんぢ)のまへにそなへしめよしかして(なんぢ)くらひて(みち)()(とき)(ちから)()23されどサウル(いな)みて(われ)(くら)はじといひしを(その)(しもべ)および(をんな)(しひ)ければ(その)(ことば)をききいれて()より(たち)あがり(とこ)のうへに()せり 24(をんな)(いへ)(こえ)たる(こうし)ありしかば(いそ)ぎて(これ)(ころ)しまた(こな)をとり(こね)(たね)いれぬパンを()25サウルのまへと(その)(しもべ)()のまへに()ちきたりければ彼等(かれら)くらひて()ちあがり(その)()のうちにされり

第二十九章

1(ここ)にペリシテ(びと)(その)(ぐん)をことごとくアペクにあつむイスラエルはヱズレルにある泉水(いづみ)(かたはら)(ぢん)をとる 2ペリシテ(びと)君等(きみたち)あるひは(ひやく)(にん)(あるひ)(せん)(にん)をひきゐて(すす)みダビデと(その)從者(じふしや)はアキシとともに(その)(うしろ)にすすむ 3ペリシテ(びと)諸伯(きみたち)いひけるは是等(これら)のヘブル(びと)(なに)なるやアキシ、ペリシテ(びと)諸伯(きみたち)にいひけるは(これ)はイスラエルの(わう)サウルの(しもべ)ダビデにあらずやかれ(この)()ごろ(この)(とし)ごろ(われ)とともにをりしがその()げおちし()より今日(けふ)にいたるまで(われ)かれの()(とが)あるを()ずと 4ペリシテ(びと)諸伯(きみたち)これを(いか)(すなは)ちペリシテ(びと)諸伯(きみたち)(かれ)にいひけるは此人(このひと)をかへらしめて(なんぢ)(これ)をおきし(その)(ところ)にふたたびいたらしめよ(かれ)(われ)らとともに(たたか)ひにくだるべからず(さら)(かれ)戰爭(たたかひ)においてわれらの(てき)とならざるべしかれ(その)(しゆ)(やはら)がんとせば(なに)をもてすべきやこの人々(ひとびと)首級(くび)をもてすべきにあらずや 5(これ)はかつて人々(ひとびと)舞踏(をどり)(うち)にて(うた)ひあひサウルは(せん)をうちころしダビデは(まん)をうちころすといひたるダビデにあらずや 6アキシ、ダビデをよびてこれにいひけるはヱホバは()くまことになんぢは(ただ)(なんぢ)(われ)とともに(ぢん)(えい)()(いり)するはわが()には(よし)()()(なんぢ)(われ)(きた)りし()より今日(けふ)にいたるまで(われ)(なんぢ)()(あし)(こと)あるを()ざればなり(され)諸伯(きみたち)()には(なんぢ)よからず 7されば(いま)かへりて(やすら)かにゆきペリシテ(びと)諸伯(きみたち)()(あし)()ゆることをなすなかれ 8ダビデ、アキシにいひけるは(われ)(なに)をなせしやわが(なんぢ)のまへに(いで)()より今日(けふ)までに(なんぢ)(なに)(しもべ)()()たればか(われ)ゆきてわが(しゆ)なるわうの(てき)とたたかふことをえざると 9アキシこたへてダビデにいひけるは(われ)(なんぢ)のわが()には(かみ)使(つかひ)のごとく()きをしるされどペリシテ(びと)諸伯(きみたち)かれは(われ)らとともに(たたか)ひにのぼるべからずといへり 10されば(なんぢ)および(なんぢ)(しゆ)(しもべ)(なんぢ)とともにきたれる(もの)(あくる)(あさ)(はや)(おき)(なんぢ)(あさ)はやくおきて()のあくるに(およ)ばばさるべし 11(これ)をもてダビデと(その)從者(じふしや)ペリシテ(びと)()にかへらんと(あさ)はやく(おき)てされりしかしてペリシテ(びと)はヱズレルにのぼれり

第三十章

1ダビデと(その)從者(じふしや)第三日(みつかめ)にチクラグにいたるにアマレク(びと)すでに(みなみ)()とチクラグを(をか)したりかれらチクラグを()()をもて(これ)()2(その)(うち)()りし婦女(をんな)(とりこ)にし(おい)たるをも(わか)きをも一人(ひとり)(ころ)さずして(これ)をひきて(その)(みち)におもむけり 3ダビデと(その)從者(じふしや)(まち)にいたりて(みる)(まち)()()けその(つま)男子(むすこ)女子(むすめ)(とりこ)にせられたり 4ダビデおよびこれとともにある(たみ)(こゑ)をあげて()(つひ)()(ちから)もなきにいたれり 5ダビデのふたりの(つま)すなはちヱズレル(びと)アヒノアムとカルメル(びと)ナバルの(つま)なりしアビガルも(とりこ)にせられたり 6(とき)にダビデ(おほい)(こころ)(くるし)めたり()(たみ)おのおの(その)男子(むすこ)女子(むすめ)のために()をいらだてダビデを(いし)にて(うた)んといひたればなりされどダビデ(その)(かみ)ヱホバによりておのれをはげませり 7ダビデ、アヒメレクの()祭司(さいし)アビヤタルにいひけるは()ふエポデを(われ)にもちきたれとアビヤタル、エポデをダビデにもちきたる 8ダビデ、ヱホバに(とふ)ていひけるは(われ)(この)(ぐん)(あと)()ふべきや(われ)これに(おひ)つくことをえんかとヱホバかれにこたへたまはく()ふべし(なんぢ)かならず(おひ)つきてたしかに(とり)もどすことをえん 9ダビデおよびこれとともなる六(ぴやく)(にん)(もの)ゆきてベソル(がは)にいたれり(あと)にのこれる(もの)はここにとどまる 10(すなは)ちダビデ四(ひやく)(にん)をひきゐて(おひ)ゆきしが(つか)れてベソル(がは)をわたることあたはざる(もの)(ひやく)(にん)はとどまれり 11衆人(ひとびと)()にて一人(ひとり)のエジプト(びと)()これをダビデにひききたりてこれに食物(くひもの)をあたへければ(くら)へりまたこれに(みづ)をのませたり 12すなはち一段(ひときれ)(ほし)無花果(いちじく)(ふた)(ふさ)乾葡萄(ほしぶだう)をこれにあたへたり(かれ)くらひて(その)()ふたたび(さはや)かになれりかれは三日三夜(みつかみよ)(もの)をもくはず(みづ)をものまざりしなり 13ダビデかれにいひけるは(なんぢ)(たれ)(ひと)なる(なんぢ)はいづくの(もの)なるやかれいひけるは(われ)はエジプトの少者(わかもの)にて一人(ひとり)のアマレク(びと)(しもべ)なり三日(みつか)まへに(われ)(やまひ)にかかりしゆゑにわが主人(あるじ)(われ)をすてたり 14(われ)らケレテ(びと)(みなみ)とユダの()とカレブの(みなみ)ををかしまた()をもてチクラグをやけり 15ダビデかれにいひけるは(なんぢ)(われ)(この)(ぐん)にみちびきくだるやかれいひけるは(なんぢ)(われ)をころさずまた(われ)をわが主人(しゆじん)()にわたさざるを(かみ)をさして(われ)(ちか)(われ)(なんぢ)(この)(ぐん)にみちびきくだらん 16かれダビデをみちびきくだりしが()彼等(かれら)はペリシテ(びと)()とユダの()より(うば)ひたる(もろもろ)(おほい)なる掠取物(ぶんどりもの)のためによろこびて(のみ)(くひ)(をど)りつつ()にあまねく(ちり)ひろがりて()17ダビデ(くれ)あひより(つぐ)()(よひ)にいたるまでかれらを(うち)しかば駱駝(らくだ)にのりて()げたる四(ひやく)(にん)少者(わかきもの)(ほか)一人(ひとり)ものがれたるもの(なか)りき 18ダビデはすべてアマレク(びと)(うば)ひたる(もの)()りもどせり(その)二人(ふたり)(つま)もダビデとりもどせり 19(ちひさ)きも(おほい)なるも男子(むすこ)女子(むすめ)掠取物(ぶんどりもの)もすべてアマレク(びと)(うばひ)さりし(もの)(ひとつ)(うしな)はずダビデことごとく(とり)かへせり 20ダビデまた(すべて)(ひつじ)(うし)をとれり人々(ひとびと)この家畜(かちく)をそのまへに(おひ)きたり(これ)はダビデの掠取物(ぶんどりもの)なりといへり 21かくてダビデかの(つか)れてダビデにしたがひ()ずしてベソル(がは)のほとりに(とど)まりし二(ひやく)(にん)(もの)のところにいたるに(かれ)らダビデをいでむかへまたダビデとともなる(たみ)をいでむかふダビデかの(たみ)にちかづきてその安否(あんぴ)をたづぬ 22ダビデとともにゆきし人々(ひとびと)(うち)(あし)(よこしま)なる(もの)みなこたへていひけるは彼等(かれら)(われ)らとともにゆかざりければ(われ)らこれに()りもどしたる掠取物(ぶんどりもの)をわけあたふべからず(ただ)おのおのにその(つま)()をあたへてこれをみちびきさらしめん 23ダビデ(いひ)けるはわが兄弟(きやうだい)よヱホバ(われ)らをまもり(われ)らにせめきたりし(ぐん)(われ)らの()にわたしたまひたれば(なんぢ)らヱホバのわれらにたまひし(もの)をしかするは(よろし)からず 24(たれ)(なんぢ)らにかかることをゆるさんや(たたか)ひにくだりし(もの)()(ぶん)のごとく輜重()のかたはらに(とど)まりし(もの)()(ぶん)もまた(しか)あるべし(とも)にひとしく()るべし 25この()よりのちダビデこれをイスラエルの(おきて)となし(のり)となせり(その)(こと)今日(こんにち)にいたる 26ダビデ、チクラグにいたりて(その)掠取(ぶんどり)(もの)をユダの長老(としより)なる(その)朋友(ともだち)にわかちおくりて(いは)しめけるは(これ)はヱホバの(てき)よりとりて(なんぢ)らにおくる饋物(おくりもの)なり 27ベテルにをるもの(みなみ)のラモテにをるものヤツテルにをる(もの) 28アロエルにをる(もの)シフモテにをるものエシテモにをるもの 29ラカルにをるものヱラメル(びと)(まち)にをるものケニ(びと)(まち)にをるもの 30ホルマにをるものコラシヤンにをるものアタクにをるもの 31ヘブロンにをるものおよびすべてダビデが(その)從者(じふしや)とともに(つね)にゆきし(ところ)にこれをわかちおくれり

第三十一章

1ペリシテ(びと)イスラエルと(たたか)ふイスラエルの人々(ひとびと)ペリシテ(びと)のまへより()負傷者(ておひ)ギルボア(やま)(たふ)れたり 2ペリシテ(びと)サウルと(その)子等(こら)(せめ)よりペリシテ(びと)サウルの()ヨナタン、アビナダブおよびマルキシユアを(ころ)したり 3(たたかひ)はげしくサウルにせまりて射手(いて)(もの)サウルを()とめければ(かれ)(いた)射手(いて)(もの)のために(くる)しめり 4サウル武器(ぶき)()(もの)にいひけるは(なんぢ)(かたな)()(それ)をもて(われ)(さし)とほせ(おそ)らくは是等(これら)割禮(かつれい)なき(もの)きたりて(われ)()(われ)をはづかしめんと(しかれ)ども武器(ぶき)をとるもの(いた)くおそれて(がえhん)ぜざればサウル(かたな)をとりて(その)(うへ)(ふし)したり 5武器(ぶき)()るものサウルの(しに)たるを()ておのれも(かたな)(うへ)にふしてかれとともに(しね)6かくサウルと(その)(さん)(にん)()およびサウルの武器(ぶき)をとるもの(ならび)(その)從者(じふしや)みな(この)()(とも)(しね)7イスラエルの人々(ひとびと)(たに)對向(むかひ)にをるもの(およ)びヨルダンの對面(むかひ)にをるものイスラエルの人々(ひとびと)(にぐ)るを()サウルと(その)子等(こら)(しぬ)るをみて諸邑(まちまち)(すて)(にげ)ければペリシテ(びと)きたりて(その)(うち)にをる 8明日(あくるひ)ペリシテ(びと)戰沒(うちじに)せる(もの)(はが)んとてきたりサウルと(その)(さん)(にん)()のギルボア(やま)にたふれをるを()たり 9彼等(かれら)すなはちサウルの(くび)()(その)鎧甲(よろひ)をはぎとりペリシテ(びと)()四方(しはう)につかはして(この)(よき)(たより)(その)偶像(ぐうざう)(いへ)および(たみ)(うち)につげしむ 10またかれら(その)鎧甲(よろひ)をアシタロテの(いへ)におき(その)(からだ)をベテシヤンの城垣(いしがき)(うちつ)けたり 11ヤベシギレアデの人々(ひとびと)ペリシテ(びと)のサウルになしたる(こと)()きしかば 12勇士(ゆうし)みなおこり終夜(よもすがら)ゆきてサウルの(からだ)(その)子等(こども)(からだ)をベテシヤンの城垣(いしがき)よりとりおろしヤベシにいたりて(これ)其處(そこ)()13(その)(ほね)をとりてヤベシの(やなぎの)()(もと)にはうむり七日(なぬか)のあひだ斷食(だんじき)せり