サムエル後書

第一章

1サウルの(しに)(のち)ダビデ、アマレク(びと)(うち)てかへりチクラグに二日(ふつか)とどまりけるが 2第三日(みつか)(およ)びて一個(ひとり)(ひと)(その)(ころも)()(かしら)(つち)をかむりて(ぢん)(えい)より(すなは)ちサウルの(ところ)より(きた)りダビデの(もと)にいたり()にふして(はい)せり 3ダビデかれにいひけるは(なんぢ)いづくより(きた)れるやかれダビデにいひけるはイスラエルの(ぢん)(えい)より(のが)れきたれり 4ダビデかれにいひけるは(こと)いかん()(われ)につげよかれこたへけるは(たみ)(たたかひ)(やぶ)れて()(たみ)おほく(たふ)れて(しね)りまたサウルと(その)()ヨナタンも(しね)5ダビデ(その)おのれにつぐる少者(わかきもの)にいひけるは(なんぢ)いかにしてサウルと(その)()ヨナタンの(しに)たるをしるや 6ダビデにつぐる少者(わかきもの)いひけるは(われ)はからずもギルボア(やま)にのぼり()しにサウル(その)(やり)(より)かかりをりて戰車(いくさぐるま)騎兵(きへい)かれにせめよらんとせり 7(かれ)うしろにふりむきて(われ)()(われ)をよびたれば(われ)こたへて(われ)ここにありといふ 8かれ(われ)(なんぢ)(たれ)なるやといひければ(われ)かれにこたへて(われ)はアマレク(びと)なりといふ 9かれまた(われ)にいひけるはわが()いたく(つれ)()(わが)うへにのりて(われ)をころせわが生命(いのち)なほわれの(うち)にまつたければなりと 10(われ)すなはちかれの(うへ)にのりてかれを(ころ)したり()(われ)かれが(すで)(たふれ)(いく)ることをえざるをしりたればなりしかして(われ)その(かうべ)にありし(かんむり)とその(うで)にありし(うでわ)()りてこれをわが(しゆ)(たづさ)へきたれり 11(ここ)においてダビデおのれの(ころも)(とり)てこれを()けりまた(かれ)とともにある(もの)(みな)しかせり 12彼等(かれら)サウルのためまた(その)()ヨナタンのためまたヱホバの(たみ)のためイスラエルの(いへ)のために()きかなしみて(よひ)まで(しよく)(たて)()(かれ)(かたな)にたふれたればなり 13ダビデおのれに(つげ)少者(わかきもの)にいひけるは(なんぢ)何處(いづく)(もの)なるやかれこたへけるは(われ)他國(たこく)(ひと)すなはちアマレク(びと)なりと 14ダビデかれにいひけるは(なんぢ)なんぞ()をのばしてヱホバの(あぶら)そそぎし(もの)をころすことを(おそれ)ざりしやと 15ダビデ一人(ひとり)少者(わかもの)をよびていひけるは(ちか)よりてかれをころせとすなはちかれをうちければ(しね)16ダビデかれにいひけるは(なんぢ)()(なんぢ)(かうべ)()せよ()(なんぢ)(くち)づから(われ)ヱホバのあぶらそそぎし(もの)をころせりといひて(おのれ)にむかひて(あかし)をたつればなり 17ダビデ(かなしみの)(うた)をもてサウルと(その)()ヨナタンを(とむら)18ダビデ(めい)じてこれをユダの(ひとびと)にをしへしむ(すなは)(ゆみ)(うた)(これ)なり(これ)はヤシル(しよ)(しる)さる 19イスラエルよ(なんぢ)榮耀(かがやき)(なんぢ)崇邱(たかきところ)(ころ)さる嗚呼(ああ)勇士(ますらを)(たふ)れたるかな 20此事(このこと)をガテに(つぐ)るなかれアシケロンの(まち)(つたふ)るなかれ(おそら)くはペリシテ(びと)女等(むすめら)(よろこ)ばん(おそら)くは割禮(かつれい)(うけ)ざる(もの)女等(むすめら)(たのし)(いは)はん 21ギルボアの(やま)(ねが)(なんぢ)(うへ)雨露(つゆ)(くだ)ることあらざれ(また)供物(そなへもの)田園(はたけ)もあらざれ()彼處(かしこ)勇士(ますらを)(たて)(すて)らるればなり(すなは)ちサウルの(たて)(あぶら)(そそ)がずして彼處(かしこ)(すて)らる 22(ころ)せし(もの)()をのまずしてヨナタンの(ゆみ)退(しりぞ)かず勇士(ますらを)(あぶら)(くは)ずしてサウルの(つるぎ)(むなし)(かへ)らず 23サウルとヨナタンは(あい)らしく(たのし)げにして(いき)(しに)ともに(はな)れず二人(ふたり)(わし)よりも(はや)獅子(しし)よりも(つよ)かりき 24イスラエルの女等(むすめら)よサウルのために(なげ)けサウルは(あか)(ころも)をもて汝等(なんぢら)華麗(はなやか)(よそほ)(こがね)(かざり)汝等(なんぢら)(ころも)(つけ)たり 25嗚呼(ああ)勇士(ますらを)(たたかひ)(なか)(たふれ)たるかなヨナタン(なんぢ)崇邱(たかきところ)(ころ)されぬ 26兄弟(きやうだい)ヨナタンよ(われ)(なんぢ)のために悲慟(かなしみ)(なんぢ)(おほい)(われ)(たのし)(もの)なりき(なんぢ)(われ)をいつくしめる(あい)尋常(よのつね)ならず(をんな)(あい)にも(まさ)りたり 27嗚呼(ああ)勇士(ますらを)(たふれ)たるかな(たたかひ)(うつは)(うせ)たるかな

第二章

1(この)のちダビデ、ヱホバに(とひ)ていひけるは(われ)ユダのひとつの(まち)にのぼるべきやヱホバかれにいひたまひけるはのぼれダビデいひけるは何處(いづく)にのぼるべきやヱホバいひたまひけるはヘブロンにのぼるべしと 2ダビデすなはち彼處(かしこ)にのぼれりその二人(ふたり)(つま)ヱズレル(びと)アヒノアムおよびカルメル(びと)ナバルの(つま)なりしアビガルもともにのぼれり 3ダビデ(その)おのれとともにありし從者(じふしや)(その)家族(かぞく)をことごとく(ひきゐ)のぼりければ(みな)ヘブロンの諸巴(まちまち)にすめり 4(とき)にユダの人々(ひとびと)きたり彼處(かしこ)にてダビデに(あぶら)をそそぎてユダの(いへ)(わう)となせり 人々(ひとびと)ダビデにつげてサウルを(はうむ)りしはヤベシギレアデの(ひと)なりといひければ 5ダビデ使者(つかひ)をヤベシギレアデの(ひと)におくりてこれにいひけるは(なんぢ)らこの(あつき)(こころ)(なんぢ)らの(しゆ)サウルにあらはしてかれを(はうむ)りたればねがはくは(なんぢ)らヱホバより福祉(さいはひ)をえよ 6ねがはくはヱホバ恩寵(めぐみ)眞實(まこと)汝等(なんぢら)にしめしたまへ(なんぢ)らこの(こと)をなしたるにより(われ)(また)(なんぢ)らに(この)恩惠(めぐみ)をしめすなり 7されば(なんぢ)()をつよくして(いさ)ましくなれ(なんぢ)らの(しゆ)サウルは(しに)たり(また)ユダの(いへ)(われ)(あぶら)をそそぎて(われ)をかれらの(わう)となしたればなりと 8(ここ)にサウルの(ぐん)(かしら)ネルの()アブネル、サウルの()イシボセテを()りてこれをマナイムにみちびきわたり 9ギレアデとアシユリ(びと)とヱズレルとエフライムとベニヤミンとイスラエルの(ひとびと)(わう)となせり 10サウルの()イシボセテはイスラエルの(わう)となりし(とき)四十(さい)にして二(ねん)のあひだ(くらゐ)にありしがユダの(いへ)はダビデにしたがへり 11ダビデのヘブロンにありてユダの(いへ)(わう)たりし()(かず)は七(ねん)と六ヶ(げつ)なりき 12ネルの()アブネル(およ)びサウルの()なるイシボセテの臣僕(けらい)(たち)マハナイムを(いで)てギベオンに(いた)れり 13セルヤの()ヨアブとダビデの臣僕(けらい)もいでゆけり(かれ)らギベオンの(いけ)(かたはら)にて出會(いであひ)一方(いつぱう)(いけ)此畔(こなた)一方(いつぱう)(いけ)彼畔(かなた)()14アブネル、ヨアブにいひけるはいざ少者(わかもの)をして(たち)(われ)らのまへに(たはむ)れしめんヨアブいひけるは(たた)しめんと 15サウルの()イシボセテに(ぞく)するベニヤミンの(ひと)(その)(かず)十二(にん)(およ)びダビデの臣僕(けらい)十二(にん)(たち)(すす)16おのおの(その)敵手(あひて)(くび)(とら)へて(かたな)(その)敵手(あひて)(わきばら)()(かく)して彼等(かれら)(とも)(たふ)れたり是故(このゆえ)(その)(ところ)はヘルカテハヅリム(利劍(つるぎ)())と(となへ)らる(すなは)ちギベオンにあり 17(これ)()(たたかひ)(はなは)(はげ)しくしてアブネルとイスラエルの人々(ひとびと)ダビデの臣僕(けらい)のまへに(やぶ)18其處(そこ)にゼルヤの三(にん)()ヨアブ、アビシヤイ、アサヘル()たりしがアサヘルは疾足(あしばや)なること()にをる(しか)のごとくなりき 19アサヘル、アブネルの(あと)()ひけるが(あゆ)右左(みぎひだり)にまがらずアブネルの(うしろ)をしたふ 20アブネル(うしろ)(かへり)みていふ(なんぢ)はアサヘルなるか(かれ)しかりと(こた)21アブネルかれにいひけるは(なんぢ)(みぎ)(ひだり)轉向(むかひ)少者(わかもの)一人(ひとり)(とら)へて(その)戎服(よろひ)()れと(され)どアサヘル、アブネルをおふことを(やめ)(ほか)(むか)ふを(がへん)ぜず 22アブネルふたたびアサヘルにいふ(なんぢ)(われ)(おふ)ことをやめて(ほか)(むか)(われ)なんぞ(なんぢ)()()(たふ)すべけんや(しか)せば(われ)いかでかわが(かほ)(なんぢ)(あに)ヨアブにむくべけんと 23(しかれ)どもかれ(ほか)にむかふことをいなむによりアブネル(やり)後銛(いしづき)をもてかれの(はら)()しければ(やり)その背後(うしろ)にいでたりかれ其處(そこ)にたふれて立時(たちどころ)(しね)(かかり)しかばアサヘルの(たふ)れて(しね)るところに(きた)(もの)(みな)たちどまれり 24されどヨアブとアビシヤイはアブネルの(あと)(おひ)きたりしがギベオンの()(みち)(ばた)にギアの(まへ)にあるアンマの(やま)にいたれる(とき)()(くれ)25ベニヤミンの子孫(ひとびと)アブネルにしたがひて(あつ)まり一隊(いつたい)となりてひとつの(やま)(いただき)にたてり 26(ここ)にアブネル、ヨアブをよびていひけるは刀劍(かたな)(あに)永久(とこしへ)にほろぼさんや(なんぢ)(その)(をは)りには怨恨(うらみ)(むす)ぶにいたるをしらざるや(なんぢ)何時(いつ)まで(たみ)(その)兄弟(きやうだい)()ふことをやめてかへることを(めい)ぜざるや 27ヨアブいひけるは(かみ)()()(なんぢ)(いひ)(いだ)さざりしならば(たみ)はおのおの(その)兄弟(きやうだい)()はずして今晨(あさ)のうちにさりゆきしならんと 28かくてヨアブ喇叭(らつぱ)()きければ(たみ)(みな)たちどまりて(ふたたび)イスラエルの(あと)()はずまたかさねて(たたか)はざりき 29アブネルと(その)從者(じふしや)終夜(よもすがら)アラバを()ゆきてヨルダンを(わた)りビテロンを(とほ)りてマハナイムに(いた)れり 30ヨアブ、アブネルを(おふ)ことをやめて(かへ)(たみ)をことごとく(あつ)めたるにダビデの臣僕(けらい)十九(にん)とアサヘル(かけ)てをらざりき 31されどダビデの臣僕(けらい)はベニヤミンとアブネルの從者(じふしや)(びやく)六十(にん)()(ころ)せり 32人々(ひとびと)アサヘルを()りあげてベテレヘムにある(その)(ちち)(はか)(はうむ)るヨアブと(その)從者(じふしや)終夜(よもすがら)ゆきて黎明(よあけ)にヘブロンにいたれり

第三章

1サウルの(いへ)とダビデの(いへ)(あひだ)戰爭(いくさ)(ひさ)しかりしがダビデは(ますます)(つよ)くなりサウルの(いへ)はますます(よわ)くなれり 2ヘブロンにてダビデに男子等(をとこのこども)(うま)(その)首出(はじめ)()はアムノンといひてヱズレル(びと)アヒノアムより(うま)3(その)(つぎ)はギレアブといひてカルメル(びと)ナバルの(つま)なりしアビガルより(うま)(だい)三はアブサロムといひてゲシユルの(わう)タルマイの女子(むすめ)マアカの()なり 4(だい)四はアドニヤといひてハギテの()なり(だい)五はシバテヤといひてアビタルの()なり 5(だい)六はイテレヤムといひてダビデの(つま)エグラの()なり是等(これら)()ヘブロンにてダビデに(うま)6サウルの(いへ)とダビデの(いへ)(なか)戰爭(いくさ)ありし(あひだ)アブネルは(かた)くサウルの(いへ)荷擔(つけ)7(さき)にサウル一人(ひとり)(めかけ)(もて)(その)()をリヅパといふアヤの(むすめ)なり(ここ)にイシボセテ、アブネルにいひけるは(なんぢ)(なん)ぞわが(ちち)(めかけ)(つう)じたるや 8アブネル(はなはだ)しくイシボセテの(ことば)(いか)りていひけるは(われ)今日(けふ)(なんぢ)(ちち)サウルの(いへ)とその兄弟(きやうだい)とその朋友(とも)(あつき)(こころ)をあらはし(なんぢ)をダビデの()にわたさざるに(なんぢ)今日(けふ)婦人(をんな)(あやまち)(あげ)(われ)()(われ)あに(いぬ)(くび)ならんやユダにくみする(もの)ならんや 9(かみ)アブネルに(かく)なしまたかさねて(かく)なしたまへヱホバのダビデに(ちか)ひたまひしごとく(われ)かれに(しか)なすべし 10(すなは)(くに)をサウルの(いへ)より(うつ)しダビデの(くらゐ)をダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルとユダの(うへ)にたてん 11イシボセテ、アブネルを(おそ)れたればかさねて一言(ひとこと)(これ)にこたふるをえざりき 12アブネルおのれの(かはり)使者(つかひ)をダビデにつかはしていひけるは此地(このち)(たれ)所有(もの)なるや(また)いひけるは(なんぢ)(われ)契約(けいやく)()(われ)(ちから)(なんぢ)()へてイスラエルを(ことごと)(なんぢ)()せしめん 13ダビデいひけるは()(われ)(なんぢ)契約(けいやく)をなさん(ただ)(われ)(ひとつ)(こと)(なんぢ)(もと)(すなは)(なんぢ)(きた)りてわが(かほ)覿()(とき)()づサウルの(むすめ)ミカルを(つれ)きたらざれば(われ)(かほ)覿()るを()じと 14ダビデ使者(つかひ)をサウルの()イシボセテに(つかは)していひけるはわがペリシテ(びと)陽皮(まへのかは)一百(いつぴやく)()(めと)たるわが(つま)ミカルを(われ)(わた)すべし 15イシボセテ(ひと)をつかはしてかれを(その)(をつと)ライシの()パルテより(とり)しかば 16(その)(をつと)(なき)つつ(あゆ)みて(その)(うしろ)にしたがひて(とも)にバホリムにいたりしがアブネルかれに(かへ)()けといひければすなはち(かへ)りぬ 17アブネル、イスラエルの長老等(としよりたち)(かた)りていひけるは(なんぢ)(さき)よりダビデを(なんぢ)らの(わう)となさんことを(もと)()たり 18されば(いま)これをなすべし()はヱホバ、ダビデに(つい)(かた)りて(われ)わが(しもべ)ダビデの()()てわが(たみ)イスラエルをペリシテ(びと)()よりまたその(もろもろ)(てき)()より(すく)ひいださんといひたまひたればなりと 19アブネル(また)ベニヤミンの(みみ)(かた)れりしかしてアブネル(みづか)らイスラエルおよびベニヤミンの全家(ぜんか)(よし)とおもふ(ところ)をヘブロンにてダビデの(みみ)(つげ)んとて(ゆけ)20すなはちアブネル二十(にん)をしたがへてヘブロンにゆきてダビデの(もと)にいたりければダビデ、アブネルと(その)したがへる從者(じふしや)のために酒宴(ふるまひ)(まう)けたり 21アブネル、ダビデにいひけるは(われ)(たち)てゆきイスラエルをことごとくわが(しゆ)(わう)(ところ)(あつ)めて彼等(かれら)(なんぢ)契約(けいやく)(たて)しめ(なんぢ)をして(こころ)(のぞ)(ところ)(もの)をことごとく(をさ)むるにいたらしめんと(ここ)においてダビデ、アブネルを(かへ)してかれ安然(やすらか)(され)22(とき)にダビデの臣僕(けらい)およびヨアブ(ひと)(くに)(をか)して(かへ)(おほい)なる掠取物(ぶんどりもの)(たづさ)へきたれり(され)どアブネルはタビデとともにヘブロンにはをらざりき()はダビデかれを(かへ)してかれ安然(やすらか)()りたればなり 23ヨアブおよびともにありし軍兵(ぐんぴやう)(みな)かへりきたりしとき人々(ひとびと)ヨアブに(つげ)ていひけるはネルの()アブネル(わう)(ところ)にきたりしが(わう)かれを(かへ)してかれ安然(やすらか)にされりと 24ヨアブ(わう)(いた)りていひけるは(なんぢ)(なに)()したるやアブネル(なんぢ)(ところ)にきたりしに(なんぢ)何故(なにゆゑ)にかれを(かへ)して(さり)ゆかしめしや 25(なんぢ)ネルの()アブネルが(なんぢ)(たぶら)かさんとてきたり(なんぢ)()(いり)()りまた(なんぢ)のすべて()(ところ)(しら)んために(きた)りしを()ると 26かくてヨアブ、ダビデの(ところ)より(いで)(きた)使者(つかひ)をつかはしてアブネルを(おひ)しめたれば使者(つかひ)シラの(ゐど)よりかれを(ひき)(かへ)れりされどダビデは(しら)ざりき 27アブネル、ヘブロンに(かへ)りしかばヨアブ(かれ)(ひそか)(かた)らんとてかれを(もん)(うち)()きゆき其處(そこ)にてその(はら)(さし)てこれを(ころ)(おのれ)兄弟(きやうだい)アサヘルの()をむくいたり 28(その)(のち)ダビデ(きき)ていひけるは(われ)(わが)(くに)はネルの()アブネルの()につきてヱホバのまへに(なが)(つみ)あることなし 29(その)(つみ)はヨアブの(かうべ)(その)(ちち)全家(ぜんか)()せよねがはくはヨアブの(いへ)には(はく)(だく)(やむ)ものか(らい)(びやう)(にん)(つゑ)(よる)ものか(つるぎ)(たふ)るものか食物(しよくもつ)(とぼ)しき(もの)()ゆることあらざれと 30ヨアブとその(おとうと)アビシヤイのアブネルを(ころ)したるは(かれ)がギベオンにて戰陣(たたかひ)のうちにおのれの兄弟(きやうだい)アサヘルをころせしによれり 31ダビデ、ヨアブおよびおのれとともにある(たみ)にいひけるは(なんぢ)らの衣服(ころも)()(あさ)(ころも)()てアブネルのために哀哭(なげ)くべしとダビデ(わう)(その)(くわん)にしたがふ 32人衆(ひとびと)アブネルをヘブロンに(はうむ)れり(わう)(こゑ)をあげてアブネルの(はか)()(また)(たみ)みな()けり 33(わう)アブネルの(ため)(かなしみ)(うた)(つく)りて(いは)くアブネル如何(いか)にして(おろか)なる(ひと)(ごと)くに(しに)けん 34(なんぢ)()(しばり)もあらず(なんぢ)(あし)(くさり)にも(つなが)れざりしものを嗚呼(ああ)(なんぢ)惡人(あしきひと)のために(たふ)(ひと)のごとくにたふれたり(かく)(たみ)(みな)(ふたた)びかれのために()けり 35(たみ)みな()のあるうちにダビデにパンを(くら)はしめんとて(きた)りしにダビデ(ちか)ひていひけるは()()(いる)まへに(われ)パンにても(なに)にても(あじは)ひなば(かみ)(われ)にかくなし(また)(かさ)ねて(かく)なしたまへと 36(たみ)(みな)()(これ)(その)()()しとせり(すべ)(わう)()すところの(こと)(みな)(たみ)()(よし)()えたり 37(その)()(たみ)すなはちイスラエル(みな)ネルの()アブネルを(ころし)たるは(わう)所爲(わざ)にあらざるを()れり 38(わう)その臣僕(けらい)にいひけるは今日(けふ)一人(ひとり)(たい)(しやう)(たい)(じん)イスラエルに(たふ)(なんぢ)らこれをしらざるや 39(われ)(あぶら)そそがれし(わう)なれども今日(けふ)(なほ)(よわ)しゼルヤの子等(こども)なる(これ)()(ひと)(われ)には(せい)しがたしヱホバ(あく)をおこな(もの)(その)(あく)(したが)ひて(むく)いたまはん

第四章

1サウルの()はアブネルのヘブロンにて(しに)たるを(きく)きしかば(その)()(よわ)くなりてイスラエルみな(うれ)へたり 2サウルの()(たい)(ちやう)二人(ふたり)()てり(その)一人(ひとり)をバアナといひ一人(ひとり)をレカブといふベニヤミンの支派(わかれ)なるベロテ(びと)リンモンの子等(こども)なり()はベロテも(また)ベニヤミンの(うち)(かぞへ)らるればなり 3(さき)にペロテ(びと)ギツタイムに逃遁(のが)れて今日(こんにち)にいたるまで彼處(かしこ)旅人(たびびと)となりて(とど)まる 4サウルの()ヨナタンに跛足(あしなへ)()一人(ひとり)ありヱズレルよりサウルとヨナタンの(こと)(きこえ)いたりし(とき)には五(さい)なりき(その)乳媼(うば)かれを(いだ)きて(のが)れたりしが(いそ)(にぐ)(とき)(その)()(おち)跛者(あしなへ)となれり(その)()をメピボセテといふ 5ベロテ(びと)リンモンの()レカブとバアナゆきて()(あつ)(ころ)イシボセテの(いへ)にいたるにイシボセテ午睡(ひるね)()たり 6かれら(むぎ)()らんといひて(いへ)(なか)にいりきたりかれの(はら)(させ)りしかしてレカブと(その)兄弟(きやうだい)バアナ()げさりぬ 7彼等(かれら)(いへ)にいりしときイシボセテは(その)寝室(ねや)にありて(とこ)(うへ)(いね)たりかれら(すなは)ちこれをうちころしこれを(くびき)りて(その)首級(くび)をとり終夜(よもすがら)アラバの(みち)をゆきて 8イシボセテの首級(くび)をヘブロンにダビデの(もと)(たづさ)へいたりて(わう)にいひけるは(なんぢ)生命(いのち)(もと)めたる(なんぢ)(てき)サウルの()イシボセテの(くび)()よヱホバ今日(こんにち)(わが)(しゆ)なる(わう)(あた)をサウルと(その)(すゑ)(むく)いたまへりと 9ダビデ、ベロテ(びと)リンモンの()レカブと(その)兄弟(きやうだい)バアナに(こた)へていひけるはわが生命(いのち)(もろもろ)艱難(かんんあん)(うち)(すく)ひたまひしヱホバは()10(われ)(かつ)(ひと)(われ)(つげ)()よサウルは(しね)りと()ひて(みづか)(われ)()(こと)(つた)ふる(もの)(おも)ひをりしを(とらへ)てこれをチクラグに(ころ)(その)消息(たより)(むく)いたり 11(いはん)惡人(あしきひと)義人(ただしきひと)(その)(いへ)(とこ)(うへ)(ころ)したるをやされば(われ)(かれ)()をながせる(つみ)(なんぢ)らに(むく)(なんぢ)らをこの()より(たた)ざるべけんやと 12ダビデ少者(わかきもの)(めい)じければ少者(わかきもの)かれらを(ころ)して(その)()(あし)(きり)(はな)しヘブロンの(いけ)(うへ)(かけ)たり(また)イシボセテの(くび)()りてヘブロンにあるアブネルの(はか)(はうむ)れり

第五章

1(ここ)にイスラエルの支派(わかれ)(ことごと)くヘブロンにきたりダビデにいたりていひけるは()我儕(われら)(なんぢ)(こつ)(にく)なり 2(さき)にサウルが我儕(われら)(わう)たりし(とき)にも(なんぢ)はイスラエルを(ひき)ゐて()(いり)する(もの)なりきしかしてヱホバ(なんぢ)(なんぢ)わが(たみ)イスラエルを牧養(やしな)はん(なんぢ)イスラエルの君長(きみ)とならんといひたまへりと 3()くイスラエルの長老(としより)(みな)ヘブロンにきたり(わう)(いた)りければダビデ(わう)ヘブロンにてヱホバのまへにかれらと契約(けいやく)をたてたり(かれ)らすなはちダビデに(あぶら)(そそい)でイスラエルの(わう)となす 4ダビデは(わう)となりし(とき)三十(さい)にして四十(ねん)(あひだ)(くらゐ)(あり)5(すなは)ちヘブロンにてユダを(をさ)むること七(ねん)と六()(げつ)またエルサレムにてイスラエルとユダを(まつた)(をさ)むること三十三(ねん)なり 6(ここ)(わう)(その)從者(じふしや)とともにエルサレムに()(その)()居民(たみ)ヱブス(びと)(せめ)んとすヱブス(びと)ダビデに(かた)りていひけるは(なんぢ)(ここ)()ること(あた)はざるべし(かへつ)盲者(めくら)跛者(あしなへ)(なんぢ)(おひ)はらはんと(これ)(かれ)らダビデ(ここ)()るあたはずと(おも)へるなり 7(しか)るにダビデ、シオンの要害(えうがい)(とれ)(これ)(すなは)ちダビデの城邑(まち)なり 8ダビデ(その)()いひけるは(たれ)にても(すゐ)(だう)にいたりてヱブス(びと)()ちまたダビデの(こころ)(にく)める跛者(あしなへ)盲者(めくら)()(もの)は((かしら)となし(ちやう)となさん)と(これ)によりて人々(ひとびと)盲者(めくら)跛者(あしなへ)(いへ)()るべからずといひなせり 9ダビデ(その)要害(えうがい)(すみ)(これ)をダビデの城邑(まち)(なづ)けたりまたダビデ、ミロ(城塞(とりで))より(うち)四方(しはう)建築(たてもの)をなせり 10かくてダビデはますます(おほい)()りゆき(かつ)萬軍(ばんぐん)(かみ)ヱホバこれと(とも)にいませり 11ツロの(わう)ヒラム使者(つかひ)をダビデに(つか)はして香柏(かうはく)および木匠(たくみ)石工(せきこう)をおくれり(かれ)らダビデの(ため)(いへ)()12ダビデ、ヱホバのかたく(おのれ)をたててイスラエルの(わう)となしたまへるを(さと)りまたヱホバの(その)(たみ)イスラエルのために(その)(くに)(おこ)したまひしを(さと)れり 13ダビデ、ヘブロンより(きた)りし(のち)エルサレムの(うち)よりまた(めかけ)(つま)(いれ)たれば男子(むすこ)女子(むすめ)またダビデに(うま)14ヱルサレムにて(かれ)(うま)れたる(もの)()はかくのごとしシヤンマ、シヨバブ、ナタン、ソロモン 15イブハル、エリシユア、ネペグ、ヤピア 16エリシヤマ、エリアダ、エリバレテ 17(ここ)(あぶら)(そそ)いでダビデをイスラエルの(わう)(なせ)(こと)ペリシテ(びと)(きこ)えければペリシテ(びと)(みな)ダビデを()んとて(のぼ)るダビデ(きき)要害(えうがい)(くだ)れり 18ペリシテ(びと)(いた)りてレバイムの(たに)()(そなへ)たり 19ダビデ、ヱホバに(とふ)ていひけるは(われ)ペリシテ(びと)にむかひて(のぼ)るべきや(なんぢ)かれらをわが()(わた)したまふやヱホバ、ダビデにいひたまひけるは(のぼ)(われ)(かな)らずペリシテ(びと)(なんぢ)()にわたさん 20ダビデ、バアルペラジムに(いた)りかれらを其所(そこ)(うち)ていひけるはヱホバ(みづ)破壞(やぶ)(いづ)るごとく(わが)(てき)をわが(まへ)破壞(やぶ)りたまへりと是故(このゆえ)其所(そのところ)()をバアルペラジム(破壞(やぶれ)(ところ))と()21彼處(かしこ)彼等(かれら)(その)偶像(ぐうざう)(すて)たればダビデと(その)從者(じふしや)これを(とり)あげたり 22ペリシテ(びと)(ふたた)(のぼ)りてレバイムの(たに)()(そな)へたれば 23ダビデ、ヱホバに(とふ)にヱホバいひたまひけるは(のぼ)るべからず彼等(かれら)(うしろ)にまはりベカの()(かた)より彼等(かれら)(おそ)24(なんぢ)ベカの()(うへ)進行(あゆみ)(おと)(きか)ばすなけち(つき)()づべし其時(そのとき)にはヱホバ(なんぢ)のまへにいでてペリシテ(びと)(ぐん)(うち)たまふべければなりと 25ダビデ、ヱホバのおのれに(めい)じたまひしごとくなしペリシテ(びと)(うち)てゲバよりガゼルにいたる

第六章

1ダビデ(ふたた)びイスラエルの選抜(えりぬき)兵士(つはもの)萬人(まんにん)(ことごと)(あつ)2ダビデ(たち)ておのれと(とも)にをる(たみ)とともにバアレユダに(ゆき)(かみ)(はこ)其處(そこ)より(かき)(のぼ)らんとす(その)(はこ)はケルビムの(うへ)()したまふ萬軍(ばんぐん)のヱホバの()をもて(よば)3すなはち(かみ)(はこ)(あたら)しき(くるま)(のせ)せて(やま)にあるアビナダブの(いへ)より(かき)だせり 4アビナダブの()ウザとアヒオ(かみ)(はこ)(のせ)たる(その)(あたら)しき(くるま)(ぎよ)しアヒオは(はこ)のまへにゆけり 5ダビデおよびイスラエルの全家(ぜんか)(こと)(しつ)(つづみ)(すず)鐃鈸(ねうはち)をもちて(ちから)(きは)(うた)(うた)ひてヱホバのまへに躍踴(をど)れり 6彼等(かれら)がナコンの禾場(うちば)にいたれる(とき)ウザ()(かみ)(はこ)(のば)してこれを(おさ)へたり()(うし)(ふり)たればなり 7ヱホバ、ウザにむかひて(いか)りを(はつ)(その)誤謬(あやまり)のために(かれ)其處(そこ)()ちたまひければ(かれ)そこに(かみ)(はこ)(かたはら)()ねり 8ヱホバ、ウザを()ちたまひしによりてダビデ(いか)其處(そのところ)をペレヅウザ(ウザ(うち))と(よべ)(その)()今日(こんにち)にいたる 9(その)()ダビデ、ヱホバを(おそ)れていひけるはヱホバの(はこ)いかで我所(わがところ)にいたるべけんやと 10ダビデ、ヱホバの(はこ)(おのれ)(うつ)してダビデの城邑(まち)にいらしむるを(この)まず(これ)(めぐら)してガテ(びと)オベデエドムの(いへ)にいたらしむ 11ヱホバの(はこ)ガテ(びと)オベデエドムの(いへ)()ること三月(みつき)なりきヱホバ、オベデエドムと(その)全家(ぜんか)(めぐ)みたまふ 12ヱホバ(かみ)(はこ)のためにオベデエドムの(いへ)(その)所有(もちもの)(みな)(めぐ)みたまふといふ(こと)ダビデ(わう)(きこ)えけれぼダビデゆきて喜樂(よろこび)をもて(かみ)(はこ)をオベデエドムの(いへ)よりダビデの城邑(まち)(かき)(のぼ)れり 13ヱホバの(はこ)(かく)(もの)六歩(むあし)行](ゆき)}たる(とき)ダビデ(うし)(こえ)たる(もの)(ささ)げたり 14ダビデ(ちから)(きは)めてヱホバの(まへ)踊躍(をど)れり(とき)にダビデ(ぬの)のエポデを()()たり 15ダビデおよびイスラエルの全家(ぜんか)歓呼(よばはり)喇叭(らつぱ)(おと)をもてヱホバの(はこ)(かき)のぼれり 16(かみ)(はこ)ダビデの城邑(まち)にいりし(とき)サウルの(むすめ)ミカル(まど)より(うかが)ひてダビデ(わう)のヱホバのまへに(まひ)(をど)るを()其心(そのこころ)にダビデを蔑視(いやし)17人々(ひとびと)ヱホバの(はこ)(かき)(いれ)てこれをダビデが(その)(ため)(はり)たる(てん)(まく)(なか)なる(その)(ところ)(おけ)りしかしてダビデ燔祭(はんさい)酬恩祭(しうおんさい)をヱホバのまへに(ささ)げたり 18ダビデ燔祭(はんさい)酬恩祭(しうおんさい)(ささ)ぐることを(をへ)(とき)萬軍(ばんぐん)のヱホバの()()(たみ)(しゆく)せり 19また(たみ)(うち)(すなは)ちイスラエルの衆庶(ひとびと)(うち)(をとこ)にも(をんな)にも(とも)にパン一箇(ひとつ) (にく)一斤(ひときれ) 乾葡萄(ほしぶだう)(ひと)(かたまり)(わか)ちあたへたり(かく)(たみ)(みな)おのおの(その)(いへ)にかへりぬ 20(ここ)にダビデ(その)家族(かぞく)(しゆく)せんとて(かへ)りしかばサウルの(むすめ)ミカル、ダビデをいでむかへていひけるはイスラエルの(わう)今日(けふ)如何(いか)威光(ゐくわう)ありしや(みづか)遊蕩者(いたづらもの)(その)()(あらは)すがごとく今日(けふ)(その)臣僕(けらい)(しもめ)(をんな)のまへに(その)()(あらは)したまへりと 21ダビデ、ミカルにいふ(われ)はヱホバのまへに(すなは)(なんぢ)(ちち)よりもまたその全家(ぜんか)よりも(われ)(えら)みて(われ)をヱホバの(たみ)イスラエルの首長(きみ)(めい)じたまへるヱホバのまへに(をど)れり 22(われ)(これ)よりも(なほ)(かろ)からんまたみづから(いや)しと(おも)はん(なんぢ)(いへ)(しもめ)(をんな)()とともにありて(われ)尊榮(ほまれ)をえんと 23是故(このゆえ)にサウルの(むすめ)ミカルは()ぬる()まで()あらざりき

第七章

1(わう)(その)(いへ)(すむ)にいたり(かつ)ヱホバ(その)四方(よも)(てき)(やぶり)てかれを(やす)らかならしめたまひし(とき) 2(わう)預言者(よげんしや)ナタンに(いひ)けるは()(われ)香柏(かうはく)(いへ)()(しかれ)ども(かみ)(はこ)幔幕(まく)(うち)にあり 3ナタン(わう)(いひ)けるはヱホバ(なんぢ)(とも)(いま)せば(ゆき)(すべ)(なんぢ)(こころ)にあるところを()4(その)()ヱホバの(ことば)ナタンに(のぞ)みていはく 5(ゆき)てわが(しもべ)ダビデに()へヱホバ()()(なんぢ)わがために(われ)()むべき(いへ)(たて)んとするや 6(われ)はイスラエルの子孫(ひとびと)をエジプトより(みちび)(いだ)せし(とき)より今日(こんにち)にいたるまで(いへ)(すみ)しことなくして(ただ)(てん)(まく)幕屋(まくや)(うち)(あゆ)()たり 7(われ)イスラエルの子孫(ひとびと)(とも)(すべ)(あゆ)める(ところ)にて(なんぢ)何故(なにゆゑ)(われ)香柏(かうはく)(いへ)(たて)ざるやとわが(めい)じてわが(たみ)イスラエルを牧養(やしなは)しめしイスラエルの士師(さばきつかさ)一人(ひとり)(ひと)(こと)(かた)りしことあるや 8(され)(なんぢ)わが(しもべ)ダビデに()()ふべし萬軍(ばんぐん)のヱホバ()()(われ)(なんぢ)牧場(まきば)より()(ひつじ)(したが)(ところ)より()りてわが(たみ)イスラエルの首長(きみ)となし 9(なんぢ)がすべて()くところにて(なんぢ)(とも)にあり(なんぢ)(もろもろ)(てき)(なんぢ)(まへ)より(たち)さりて()(うへ)(おほい)なる(もの)()のごとく(なんぢ)(おほい)なる()()さしめたり 10(また)(われ)わが(たみ)イスラエルのために(ところ)(さだ)めてかれらを(うゑ)つけかれらをして自己(おのれ)(ところ)(すみ)(かさね)(うご)くことなからしめたり 11また惡人(あくにん)(むかし)のごとくまたわが(たみ)イスラエルの(うへ)士師(さばきつかさ)()てたる(とき)よりの(ごと)くふたたび(これ)(なや)ますことなかるべし(われ)(なんぢ)(もろもろ)(てき)をやぶりて(なんぢ)(やすら)かならしめたり(また)ヱホバ(なんぢ)()ぐヱホバ(なんぢ)のために(いへ)をたてん 12(なんぢ)()滿(みち)(なんぢ)(なんぢ)父祖(せんぞ)(たち)(とも)(ねむ)らん(とき)(われ)(なんぢ)()より(いづ)(なんぢ)種子()(なんぢ)(あと)にたてて(その)(くに)(かた)うせん 13(かれ)わが()のために(いへ)(たて)(われ)(なが)(その)(くに)(くらゐ)(かた)うせん 14(われ)はかれの(ちち)となり(かれ)はわが()となるべし(かれ)もし(まよ)はば(われ)(ひと)(つゑ)(ひと)()(むち)()(これ)(こら)さん 15されど(われ)恩惠(めぐみ)はわが(なんぢ)のまへより(のぞ)きしサウルより(はな)れたるごとくに(かれ)よりは(はな)るることあらじ 16(なんぢ)(いへ)(なんぢ)(くに)(なんぢ)のまへに(なが)(たも)つべし(なんぢ)(くらゐ)(なが)(かた)うせらるべし 17ナタン(すべ)是等(これら)(ことば)のごとくまたすべてこの異象(まぼろし)のごとくダビデに(かた)りければ 18ダビデ(わう)()りてヱホバの(まへ)()していひけるは(しゆ)ヱホバよ(われ)(たれ)わが(いへ)(なに)なればか(なんぢ)(これ)まで(われ)(みちび)きたまひしや 19(しゆ)ヱホバよ(これ)はなほ(なんぢ)()には(ちひさ)(こと)なり(なんぢ)また(しもべ)(いへ)(はる)(のち)(こと)(かた)りたまへり(しゆ)ヱホバよ(これ)(ひと)(おきて)なり 20ダビデ(この)(うへ)(なに)(なんぢ)()ふを()()(しゆ)ヱホバ(なんぢ)(しもべ)(しり)たまへばなり 21(なんぢ)(ことば)のためまた(なんぢ)(こころ)(したが)ひて(なんぢ)(この)(もろもろ)(おほい)なることを()(しもべ)(これ)をしらしめたまふ 22(ゆゑ)(かみ)ヱホバよ(なんぢ)(おほい)なり()(われ)らが(すべ)(みみ)(きけ)(ところ)(よれ)(なんぢ)(ごと)(もの)なくまた(なんぢ)(ほか)(かみ)なければなり 23()(いづ)れの(くに)(なんぢ)(たみ)イスラエルの(ごと)くなる()(かみ)ゆきてかれらを(あがな)(おのれ)(たみ)となして(おほい)なる()()たまひまた(かれ)らの(ため)(おほい)なる(おそ)るべき(こと)()したまへばなり(すなは)(なんぢ)がエジプトより(あがな)(とり)たまひし(たみ)(まへ)より國々(くにぐに)(ひと)(その)(もろもろ)(かみ)(おひ)(はら)ひたまへり 24(なんぢ)(なんぢ)(たみ)イスラエルをかぎりなく(なんぢ)(たみ)として(なんぢ)(さだ)めたまへりヱホバよ(なんぢ)はかれの(かみ)となりたまふ 25されば(かみ)ヱホバよ(なんぢ)(しもべ)(その)(いへ)につきて(かた)りたまひし(ことば)(なが)(かた)うして(なんぢ)のいひしごとく(なし)たまへ 26ねがはくは永久(とこしなへ)(なんぢ)()(あが)めて萬軍(ばんぐん)のヱホバはイスラエルの(かみ)なりと(いは)しめたまへねがはくは(しもべ)ダビデの(いへ)をして(なんぢ)のまへに(かた)(たた)しめたまへ 27()萬軍(ばんぐん)のヱホバ、イスラエルの(かみ)(なんぢ)(しもべ)(みみ)(しめ)して(われ)(なんぢ)(いへ)をたてんと(いひ)たまひたればなり 是故(このゆえ)(しもべ)(この)祈祷(いのり)(なんぢ)()(みち)(こころ)(うち)()たり 28(しゆ)ヱホバよ(なんぢ)(かみ)なり(なんぢ)(ことば)(まこと)なり(なんぢ)この(めぐみ)(しもべ)(かた)りたまへり 29(ねがは)くは(しもべ)(いへ)祝福(みぐみ)(なんぢ)のまへに(なが)(つづ)くことを()さしめたまへ()(しゆ)ヱホバ(なんぢ)これを(かた)りたまへばなりねがはくは(なんぢ)祝福(めぐみ)によりて(しもべ)(いへ)(なが)祝福(めぐみ)(かうむ)らしめたまへ

第八章

1(この)(のち)ダビデ、ペリシテ(びと)(うち)てこれを(ふく)すダビデまたペリシテ(びと)()よりメテグアンマをとれり 2ダビデまたモアブを()(かれ)らをして()(ふさ)しめ(なは)をもてかれらを(はか)れり(すなは)二條(ふたすぢ)(なは)をもて(ころ)(もの)(はか)一條(ひとすぢ)(なは)をもて(いか)しおく(もの)量度(はか)るモアブ(びと)貢物(みつぎ)(いれ)てダビデの臣僕(しもべ)となれり 3ダビデまたレホブの()なるゾバの(わう)ハダデゼルがユフラテ(がは)(ほとり)にて(その)(せい)(あらた)にせんとて(ゆけ)るを(うて)4しかしてダビデ(かれ)より騎兵(きへい)(せん)(ひやく)(にん)()(へい)萬人(まんにん)()りまたダビデ(いつ)(ぴやく)(くるま)(うま)(のこ)して(その)(ほか)(くるま)(うま)(みな)(その)(すぢ)切斷(きれ)5ダマスコのスリア(びと)ゾバの(わう)ハダデゼルを(たすけ)んとて(きた)りければダビデ、スリア(びと)(まん)(せん)(ころ)せり 6しかしてダビデ、ダマスコのスリアに(だい)(くわん)()きぬスリア(びと)貢物(みつぎ)()てダビデの臣僕(しもべ)となれりヱホバ、ダビデを(すべ)(その)()(ところ)にて(たす)けたまへり 7ダビデ、ハダデゼルの臣僕(けらい)(ども)(もて)(きん)(たて)(うば)ひてこれをエルサレムに(もち)きたる 8ダビデ(わう)(また)ハダデゼルの(まち)ベタとベロタより(はなは)(おほ)くの(あかがね)(とれ)9(とき)にハマテの(わう)トイ、ダビデがハダデゼルの(すべて)(ぐん)撃破(うちやぶ)りしを(きき)10トイ(その)()ヨラムをダビデ(わう)につかはし安否(あんぴ)()ひかつ(いはひ)(のべ)しむ()はハダデゼル(かつ)てトイと(たたかひ)()したるにダビデ、ハダデゼルとたたかひてこれを(うち)やぶりたればなりヨラム(ぎん)(うつは)(きん)(うつは)(あかがね)(うつは)(たづさ)(きた)りければ 11ダビデ(わう)(その)()()せたる(もろもろ)國民(くにたみ)(うち)より()りて(をさ)めたる金銀(きんぎん)(とも)是等(これら)をもヱホバに(をさ)めたり 12(すなは)ちエドムよりモアブよりアンモンの子孫(ひとびと)よりペリシテ(びと)よりアマレクよりえたる(もの)およびゾバの(わう)レホブの()ハダデゼルより()たる掠取物(ぶんどりもの)とともにこれを(をさ)めたり 13ダビデ(しほの)(たに)にてエドム(びと)(まん)(せん)(うち)(かへり)名譽(ほまれ)()たり 14ダビデ、エドムに(だい)(くわん)(おけ)(すなは)ちエドムの全地(ぜんち)(あまね)(だい)(くわん)(おき)てエドム(びと)(みな)ダビデの臣僕(しもべ)となれりヱホバ、ダビデを(すべ)(その)()くところにて(たす)(たま)へり 15ダビデ、イスラエルの全地(ぜんち)(をさ)(その)(たみ)公道(おほやけ)正義(ただしき)(おこな)16ゼルヤの()ヨアブは(ぐん)(かしら)アヒルデの()ヨシヤバテは()(くわん) 17アヒトブの()ザドクとアビヤタルの()アヒメレクは祭司(さいし)セラヤは書記(しよき)(くわん) 18ヱホヤダの()ベナヤはケレテ(びと)およびペレテ(びと)(かしら)ダビデの子等(こたち)大臣(だいじん)なりき

第九章

1(ここ)にダビデいひけるはサウルの(いへ)遺存(のこ)れる(もの)(なほ)あるや(われ)ヨナタンの(ため)其人(そのひと)恩惠(めぐみ)をほどこさんと 2サウルの(いへ)(しもべ)なるヂバと(なづ)くる(もの)ありければかれをダビデの(もと)(めし)きたるに(わう)かれにいひけるは(なんぢ)はヂバなるか(かれ)いふ(しもべ)(これ)なり 3(わう)いひけるは(なほ)サウルの(いへ)(もの)あるか(われ)其人(そのひと)(かみ)恩惠(めぐみ)をほどこさんとすヂバ(わう)にいひけるはヨナタンの()(なほ)あり跛足(あしなへ)なり 4(わう)かれにいひけるは其人(そのひと)何處(いづく)にをるやヂバ(わう)にいひけるはロデバルにてアンミエルの()マキルの(いへ)にをる 5ダビデ(わう)(ひと)(つか)はしてロデバルより(すなは)ちアンミエルの()マキルの(いへ)よりかれを(つれ)(きた)らしむ 6サウルの()ヨナタンの()なるメピボセテ、ダビデの(ところ)(きた)(ふし)(はい)せりダビデ、メピボセテよといひければ(こたへ)(しもべ)(ここ)にありと()7ダビデかれにいひけるは(おそ)るるなかれ(われ)(かなら)(なんぢ)(ちち)ヨナタンの(ため)恩惠(めぐみ)(なんぢ)にしめさん(われ)(なんぢ)(ちち)サウルの()(ことごと)(なんぢ)(かへ)すべし(また)(なんぢ)(つね)(わが)(せき)において(くら)ふべしと 8かれ(はい)して(いひ)けるは(しもべ)(なに)なればか(なんぢ)(しに)たる(いぬ)のごとき(われ)眷顧(かへりみ)たまふ 9(わう)サウルの(しもべ)ヂバを(よび)てこれにいひけるは(すべ)てサウルとその(いへ)(もの)(われ)(みな)(なんぢ)主人(しゆじん)()にあたへたり 10(なんぢ)(なんぢ)子等(こども)(なんぢ)(けらい)かれのために()(たが)へして(なんぢ)主人(しゆじん)()(くら)ふべき食物(しよくもつ)()りきたるべし(ただ)(なんぢ)主人(しゆじん)()メピボセテは(つね)(わが)(せき)において(くら)ふべしとヂバは十五(にん)()と二十(にん)(けらい)あり 11ヂバ(わう)にいひけるは(すべ)(わう)わが(しゆ)(しもべ)(めい)じたまひしごとく(しもべ)なすべしとメピボセテは(わう)()一人(ひとり)のごとくダビデの(せき)にて(くら)へり 12メピボセテに一人(ひとり)(わか)()あり(その)()をミカといふヂバの(いへ)(すめ)(もの)(みな)メピボセテの(けらい)なりき 13メピボセテはエルサレムに()みたり()はかれ(つね)(わう)(せき)にて(くら)ひたればなりかれは(ふたつ)(あし)ともに(なへ)たる(もの)なり

第十章

1(この)(のち)アンモンの子孫(ひとびと)(わう)(しに)(その)()ハヌン(これ)(かは)りて(くらゐ)()2ダビデ(われ)ナハシの()ハヌンにその(ちち)(われ)恩惠(めぐみ)(しめ)せしごとく恩惠(めぐみ)(しめ)さんといひてダビデかれを(その)(ちち)(ゆゑ)によりて(なぐさ)めんとて(その)(けらい)(つかは)せりダビデの(けらい)アンモンの子孫(ひとびと)()にいたるに 3アンモンの子孫(ひとびと)諸伯(きみたち)(その)(しゆ)ハヌンにいひけるはダビデ(なぐさむる)(もの)(なんぢ)(つか)はしたるによりて(かれ)(なんぢ)(ちち)(たふと)むと(なんぢ)()()ゆるやダビデ(この)城邑(まち)(うかが)ひこれを(さぐ)りて(おとし)いれんために(その)(けらい)(なんぢ)(つか)はせるにあらずや 4(ここ)においてハヌン、ダビデの(しもべ)(とら)(その)(ひげ)(なかば)()(おと)(その)衣服(ころも)(なか)より(たち)(もも)までにしてこれを(かへ)せり 5人々(ひとびと)これをダビデに(つげ)たればダビデ(ひと)(つか)はしてかれらを(むか)へしむ(その)人々(ひとびと)(おほい)(はぢ)たればなり(すなは)(わう)いふ(なんぢ)(ひげ)(のび)るまでヱリコに(とど)まりて(しか)るのち(かへ)るべしと 6アンモンの子孫(ひとびと)自己(おのれ)のダビデに(にく)まるるを()しかばアンモンの子孫(ひとびと)(ひと)(つか)はしてベテレホブのスリア(びと)とゾバのスリア(びと)()(へい)萬人(まんにん)およびマアカの(わう)より(いつ)(せん)(にん)トブの(ひと)より一(まん)(せん)(にん)(やとひ)いれたり 7ダビデ(きき)てヨアブと勇士(ゆうし)惣軍(そうぐん)(つか)はせり 8アンモンの子孫(ひとびと)(いで)(もん)(いり)(くち)(いくさ)陣列(そなへ)をなしたりゾバとレホブのスリア(びと)およびトブの(ひと)とマアカの(ひと)(べつ)()()9ヨアブ(たたかひ)(ぜん)()より(おのれ)(むか)ふを()てイスラエルの選抜(えりぬき)(つはもの)(うち)(えら)みてこれをスリア(びと)(むか)ひて(そな)へしめ 10(その)(ほか)(たみ)をば(その)兄弟(きやうだい)アビシヤイの()(わた)してアンモンの子孫(ひとびと)(むかひ)(そな)へしめて 11いひけるは(もし)スリア(びと)(われ)()(ごは)からば(なんぢ)(われ)(たす)けよ(もし)アンモンの子孫(ひとびと)(なんぢ)()(ごは)からば(われ)ゆきて(なんぢ)をたすけん 12(なんぢ)(いさ)ましくなれよ(われ)(たみ)のためとわれらの(かみ)諸邑(まちまち)のために(いさま)しく(なさ)んねがはくはヱホバ(その)()によしと()ゆるところをなしたまへ 13ヨアブ(おのれ)(とも)()(たみ)(とも)にスリア(びと)にむかひて(たたかは)んとて(ちか)づきければスリア(びと)(かれ)のまへより(にげ)たり 14アンモンの子孫(ひとびと)スリア(びと)(にげ)たるを()(また)自己(おのれ)()もアビシヤイのまへより(にげ)城邑(まち)にいりぬヨアブすなはちアンモンの子孫(ひとびと)(ところ)より(かへ)りてエルサレムにいたる 15スリア(びと)(その)イスラエルのまへに(やぶ)れたるを()(とも)にあつまれり 16ハダデゼル(ひと)をやりて(かは)前岸(むかふ)にをるスリア(びと)(ひき)(いだ)して(みな)ヘラムにきたらしむハダデゼルの(ぐん)(かしら)シヨバクかれらを(ひき)ゐたり 17(その)(こと)ダビデに(きこ)えければ(かれ)イスラエルを(ことごと)(あつ)めてヨルダンを(わた)りてヘラムに(きた)れりスリア(びと)ダビデに(むか)ひて(そな)(これ)(たたか)18スリア(びと)イスラエルのまへより(にげ)ければダビデ、スリアの兵車(いくさぐるま)(ひと)(ひやく)騎兵(きへい)(まん)(ころ)(また)(その)(ぐん)(かしら)シヨバクを(うち)てこれを其所(そこ)(しな)しめたり 19ハダデゼルの(しん)なる王等(わうたち)(その)イスラエルのまへに(やぶ)れたるを()てイスラエルと平和(やはらぎ)をなして(これ)(つか)へたり(かく)スリア(びと)(おそ)れて(ふたた)びアンモンの子孫(ひとびと)(たす)くることをせざりき

第十一章

1(とし)(かへ)りて王等(わうたち)(たたかひ)(いづ)(とき)におよびてダビデ、ヨアブおよび自己(おのれ)臣僕(けらい)(ならび)にイスラエルの(ぜん)(ぐん)(つか)はせり彼等(かれら)アンモンの子孫(ひとびと)(ほろ)ぼしてラバを(かこ)めりされどダビデはエルサレムに(とどま)りぬ 2(ここ)(ゆふ)(ぐれ)にダビデ(その)(とこ)より()きいでて(わう)(いへ)屋蓋(やね)のうへに(あゆ)みしが屋蓋(やね)より一人(ひとり)婦人(をんな)(からだ)をあらふを()たり(その)(をんな)()るに(はなは)(うつく)3ダビデ(ひと)(つかは)して婦人(をんな)(さぐ)らしめしに(ある)(ひと)いふ(これ)はエリアムの(むすめ)ハテシバにてヘテ(びと)ウリヤの(つま)なるにあらずやと 4ダビデ(すなは)使者(つかひ)(つか)はして(その)(をんな)()(をんな)(かれ)(きた)りて(かれ)(をんな)(いね)たりしかして(をんな)(その)不潔(けがれ)(きよ)めて(いへ)(かへ)りぬ 5かくて(をんな)(はら)みければ(ひと)をつかはしてダビデに(つげ)ていひけるは(わが)()(はら)めりと 6(ここ)においてダビデ(ひと)をヨアブにつかはしてヘテ(びと)ウリヤを(われ)(つか)はせといひければヨアブ、ウリヤをダビデに(つか)はせり 7ウリヤ、ダビデにいたりしかばダビデこれにヨアブの如何(いか)なると(たみ)如何(いか)なると戰爭(たたかひ)如何(いか)なるを()8しかしてダビデ、ウリヤにいひけるは(なんぢ)(いへ)(くだ)りて(あし)(あら)へとウリヤ(わう)(いへ)(いづ)るに(わう)贈物(おくりもの)(その)(うしろ)(したが)ひてきたる 9(され)どウリヤは(わう)(いへ)(もん)(その)(しゆ)(しもべ)()とともに(いね)ておのれの(いへ)にくだりいたらず 10人々(ひとびと)ダビデに(つげ)てウリヤ(その)(いへ)にくだり(いた)らずといひければダビデ、ウリヤにいひけるは(なんぢ)(たび)()をなして(きた)れるにあらずや何故(なにゆゑ)自己(おのれ)(いへ)にくだらざるや 11ウリヤ、ダビデにいひけるは(はこ)とイスラエルとユダは小屋(こや)(うち)(とど)まりわが(しゆ)ヨアブとわが(しゆ)(けらい)()(おもて)(ぢん)()るに(われ)いかでわが(いへ)にゆきて(くら)(のみ)しまた(つま)(いね)べけけんや(なんぢ)(いく)また(なんぢ)霊魂(たましひ)()(われ)此事(このこと)をなさじ 12ダビデ、ウリヤにいふ今日(けふ)(ここ)にとどまれ明日(あす)(われ)(なんぢ)(さら)しめんとウリヤ(その)()(つぎ)()エルサレムにとどまりしが 13ダビデかれを(めし)(その)まへに()(のみ)せしめダビデかれを(ゑは)しめたり(よひ)にいたりて(かれ)(いで)(その)(とこ)(その)(しゆ)(しもべ)(とも)(いね)たりされどおのれの(いへ)にはくだりゆかざりき 14(あさ)におよびてダビデ、ヨアブヘの(ふみ)(したた)めて(これ)をウリヤの()によりて(おく)れり 15ダビデ(その)(ふみ)(しるし)ていはく(なんぢ)らウリヤを(はげ)しき(たたかひ)先鉾(さき)にいだしてかれの(うしろ)より退(しりぞ)きて(かれ)をして戰死(うちじに)せしめよ 16(ここ)においてヨアブ城邑(まち)(うかが)ひてウリヤをば(その)勇士(ゆうし)()ると()(ところ)(おけ)17城邑(まち)(ひと)(いで)てヨアブと(たたか)ひしかばダビデの(けらい)(うち)數人(すうにん)(たふ)れヘテ(びと)ウリヤも()18ヨアブ(ひと)をつかはして(いくさ)(こと)(ことごと)くダビデに()げしむ 19ヨアブ(その)使者(つかひ)(めい)じていひけるは(なんぢ)(いくさ)(こと)(みな)(わう)(かた)(をへ)しとき 20(わう)もし(いか)りを(おこ)して(なんぢ)(なんぢ)らなんぞ(たたか)はんとて城邑(まち)(ちか)づきしや(なんぢ)らは(かれ)らが石墻(いしがき)(うへ)より()ることを()らざりしや 21ヱルベセテの()アビメレクを(うち)(もの)(たれ)なるや一人(ひとり)(をんな)石垣(いしがき)(うへ)より(うす)(うは)(いし)(なげ)(かれ)をテベツに(ころ)せしにあらずや(なん)(なんぢ)城垣(いじがき)(ちか)づきしやと()はば(なんぢ)(いふ)べし(なんぢ)(けらい)ヘテ(びと)ウリヤもまた(しね)りと 22使者(つかひ)ゆきてダビデにいたりヨアブが(つか)はしたるところのことをことごとく()げたり 23使者(つかひ)ダビデにいひけるは(てき)我儕(われら)()(ごは)かりしが城外(そと)にいでて我儕(われら)にいたりしかば我儕(われら)これに(せま)りて(もん)(いり)(くち)にまでいたれり 24(とき)射手(いて)(もの)城垣(いしがき)(うへ)より(なんぢ)(けらい)()たりければ(わう)(けらい)(ある)(もの)()(また)(なんぢ)(けらい)ヘテ(びと)ウリヤも(しね)りと 25ダビデ使者(つかひ)にいひけるは(かく)(なんぢ)ヨアブに(いふ)べし此事(このこと)(うれ)ふるなかれ刀劍(かたな)(これ)をも(かれ)をも(おな)じく(ころ)すなり(つよ)城邑(まち)(せめ)(たたか)(これ)(おとし)いるべしと(なんぢ)かくヨアブを(はげ)ますべし 26ウリヤの(つま)(その)(をつと)ウリヤの(しに)たるを(きき)(をつと)のために悲哀(かなしめ)27(その)()(すぎ)(とき)ダビデ(ひと)(つか)はしてかれをおのれの(いへ)(めし)いる(かれ)すなはちその(つま)となりて男子(をとこのこ)(うめ)(ただ)しダビデの(なし)たる此事(このこと)はヱホバの()(あし)かりき

第十二章

1ヱホバ、ナタンをダビデに(つか)はしたまへば(かれ)ダビデに(いた)りてこれにいひけるは(ひとつ)(まち)二箇(ふたり)(ひと)あり(ひとり)(とみ)(ひとり)(まづ)2(その)富者(とめるもの)(はなは)(おほ)くの(ひつじ)(うし)(もて)3されど貧者(まづしきもの)(ただ)自己(おのれ)(かひ)(そだ)てたる(ひとつ)(ちひさ)()(ひつじ)(ほか)(なに)をも(もた)ざりき(その)()(ひつじ)(かれ)およびかれの子女(こども)とともに生長(そだ)ちかれの食物(くひもの)(くら)ひかれの(わん)()みまた(かれ)(ふところ)(いね)(かれ)には女子(むすめ)のごとくなりき 4(とき)一人(ひとり)旅人(たびびと)(その)(とめ)(ひと)(もと)(きた)りけるが(かれ)おのれの(ひつじ)(うし)(うち)()りてそのおのれに(きた)れる旅人(たびびと)のために(にる)(をし)みてかの(まづし)(ひと)()(ひつじ)()りて(これ)をおのれに(きた)れる(ひと)のために()たり 5ダビデ其人(そのひと)(こと)(おほい)(いか)りてナタンにいひけるはヱホバは()(まこと)(これ)をなしたる(ひと)(しぬ)べきなり 6(かつ)(かれ)此事(このこと)をなしたるに()りまた憐憫(あはれ)まざりしによりて(その)()(ひつじ)()(ばい)になして(つくな)ふべし 7ナタン、ダビデにいひけるは(なんぢ)其人(そのひと)なりイスラエルの(かみ)ヱホバ(かく)いひたまふ(われ)(なんぢ)(あぶら)(そそ)いでイスラエルの(わう)となし(われ)(なんぢ)をサウルの()より(すく)ひいだし 8(なんぢ)(なんぢ)主人(しゆじん)(いへ)をあたへ(なんぢ)主人(しゆじん)諸妻(つまたち)(なんぢ)(ふところ)(あた)へまたイスラエルとユダの(いへ)(なんぢ)(あた)へたり()(すくな)からば(われ)(なんぢ)種々(いろいろ)(もの)(まし)くはへしならん 9(なん)(なんぢ)ヱホバの(ことば)藐視(かろん)じて(その)()のまへに(あく)をなせしや(なんぢ)刃劍(かたな)をもてヘテ(びと)ウリヤを(ころ)(その)(つま)をとりて(なんぢ)(つま)となせり(すなは)ちアンモンの子孫(ひとびと)(かたな)をもて(かれ)(きり)(ころ)せり 10(なんぢ)(われ)(かろ)んじてヘテ(びと)ウリヤの(つま)をとり(なんぢ)(つま)となしたるに(より)(かたな)何時(いつ)までも(なんぢ)(いへ)(はな)るることなかるべし 11ヱホバ(かく)いひたまふ()(われ)(なんぢ)(いへ)(うち)より(なんぢ)(うへ)(わざはひ)(おこ)すべし(われ)(なんぢ)諸妻(つまら)(なんぢ)()のまへに(とり)(なんぢ)隣人(となり)(あた)へん其人(そのひと)(この)()のまへにて(なんぢ)諸妻(つまら)とともに(いね)12()(なんぢ)(ひそか)(こと)をなしたれど(われ)はイスラエルの(ひとびと)のまへと()のまへに此事(このこと)をなすべければなりと 13ダビデ、ナタンにいふ(われ)ヱホバに(つみ)(をか)したりナタン、ダビデにいひけるはヱホバまた(なんぢ)(つみ)(のぞ)きたまへり(なんぢ)(しな)ざるべし 14されど(なんぢ)(この)所行(わざ)によりてヱホバの(てき)(おほい)なる(ののし)機會(をり)(あた)へたれば(なんぢ)(うま)れし(その)()(かなら)(しぬ)べしと 15かくてナタン(その)(いへ)にかへれり (ここ)にヱホバ、ウリヤの(つま)がダビデに(うめ)()(うち)たまひければ(いた)()めり 16ダビデ(その)()のために(かみ)(こひ)(もと)(すなは)ちダビデ斷食(だんじき)して()終夜(よもすがら)()()したり 17ダビデの(いへ)(とし)(より)(たち)(かれ)(かたはら)()ちてかれを()より(たた)しめんとせしかども(かれ)(がへん)ぜず(また)かれらとともに(しよく)(なさ)ざりき 18第七日(なぬかめ)(その)()(しね)りダビデの(しもべ)(その)()(しに)たることをダビデに(つぐ)ることを(おそ)れたりかれらいひけるは()(なほ)(いけ)(あひだ)我儕(われら)(かれ)(いひ)たりしに(かれ)我儕(われら)(ことば)(きき)いれざりき如何(いかん)(かれ)(その)()(しに)たるを()ぐべけんや(かれ)(がい)(なさ)んと 19(しかる)にダビデ(その)(しもべ)私語(ささや)くを()てダビデ(その)()(しに)たるを(さと)れりダビデ(すなは)(その)(しもべ)()(しに)たるやといひければかれら(しね)りといふ 20(ここ)においてダビデ()よりおきあがり()(あら)(あぶら)をぬり(その)衣服(ころも)(かへ)てヱホバの(いへ)にいりて(はい)自己(おのれ)(いへ)(いた)(もと)めておのれのために(しよく)(そな)へしめて(くら)へり 21(しもべ)()(かれ)にいひけるは()(なんぢ)がなせる(ところ)何事(なにごと)なるや(なんぢ)()(いけ)るあひだはこれがために斷食(だんじき)して()きながら()(しね)(とき)(なんぢ)(おき)(しよく)()すと 22ダビデいひけるは嬰孩()(なほ)(いけ)るあひだにわが斷食(だんじき)して()きたるは(われ)(たれ)かヱホバの(われ)(あはれ)れみて(この)()(いか)しめたまふを(しら)んと(おも)ひたればなり 23されど(いま)(しに)たれば(われ)なんぞ斷食(だんじき)すべけんや(われ)(ふたた)びかれをかへらしむるを()んや(われ)かれの(ところ)(ゆく)べけれど(かれ)(われ)(ところ)にかへらざるべし 24ダビデ(その)(つま)バテシバを(なぐさ)めかれの(ところ)にいりてかれとともに(いね)たりければ(かれ)男子(をとこのこ)(うめ)りダビデ(その)()をソロモンと()ぶヱホバこれを(あい)したまひて 25預言者(よげんしや)ナタンを(つか)はし(その)()をヱホバの(ゆゑ)によりてヱデデア(ヱホバの(あい)する(もの))と(なづ)けしめたまふ 26(ここ)にヨアブ、アンモンの子孫(ひとびと)のラバを()めて王城(みやこ)()れり 27ヨアブ使者(つかひ)をダビデにつかはしていひけるは(われ)ラバを(せめ)(みづ)(まち)()れり 28されば(なんぢ)(いま)(のこり)(たみ)(あつ)(この)(まち)(むかひ)(ぢん)どりて(これ)()(おそ)らくは(われ)(この)(まち)(とり)(ひと)(わが)()をもて(これ)(よぶ)にいたらんと 29(ここ)においてダビデ(たみ)(ことごと)くあつめてラバにゆき(せめ)(これ)(とれ)30しかしてダビデ、アンモン(わう)(かんむり)(その)(かうべ)より(とり)はなしたり(その)(きん)(おもさ)(いち)タラントなりまた(はう)(せき)(いれ)たりこれをダビデの(かうべ)(おく)ダビデ(その)(まち)掠取物(ぶんどりもの)(はなは)(おほ)(もち)(いだ)せり 31かくてダビデ(その)(うち)(たみ)(ひき)いだしてこれを(のこぎり)(てつ)千歯(せんば)(てつ)(をの)にて()りまた瓦陶(かはらやきがま)(なか)通行(とほら)しめたり(かれ)(かく)のごとくアンモンの子孫(ひとびと)(すべ)ての城邑(まち)になせりしかしてタビデと(たみ)(みな)エルサレムに(かへ)りぬ

第十三章

1(この)(のち)ダビデの()アブサロムにタマルと(なづ)くる(うつく)しき(いもうと)ありしがダビデの()アムノンこれを()ひたり 2アムノン(こころ)(くる)しめて(つひ)(その)姉妹(しまい)タマルのためにわづらへり()はタマルは處女(をとめ)なりければアムノンかれに何事(なにごと)をも()しがたしと(おも)ひたればなり 3(しか)るにアムノンに一人(ひとり)朋友(とも)ありダビデの兄弟(きやうだい)シメアの()にして(その)()をヨナダブといふヨナダブに(はなは)有智(かしこ)(ひと)なり 4(かれ)アムノンにいひけるは(なんぢ)(わう)()なんぞ()()()(やせ)ゆくや(なんぢ)(われ)(つげ)ざるやアムノン(かれ)にいひけるは(われ)わが兄弟(きやうだい)アブサロムの(いもうと)タマルを()5ヨナダブかれにいひけるは(とこ)(ふし)(やまひ)(いつは)(なんぢ)(ちち)(きた)りて(なんぢ)()(とき)これにいへ()ふわが(いもうと)タマルをして(きた)りて(われ)(しよく)(あた)へしめわが()(かれ)()より(くら)ふことをうる(やう)にわが()のまへにて食物(しよくもつ)調理(ととのへ)しめよと 6アムノンすなはち()して(やまひ)(いつは)りしが(わう)(きた)りておのれを()(とき)アムノン(わう)にいひけるは()(わが)(いもうと)タマルをして(きた)りてわが()のまへにて(ふたつ)(くわ)()(こしら)へしめて(われ)にかれの()より(くら)ふことを()さしめよと 7(ここ)においてダビデ、タマルの(いへ)にいひつかはしけるは(なんぢ)(あに)アムノンの(いへ)にゆきてかれのために食物(しよくもつ)調理(ととのへ)よと 8タマル(その)(あに)アムノンの(いへ)にいたるにアムノンは()()たりタマル(すなは)(こな)をとりて(これ)(こね)てかれの()のまへにて菓子(くわし)(こしら)(その)菓子(くわし)()9(なべ)(とり)(かれ)のまへに傾出(あけ)たりしかれども(かれ)(くら)ふことを(いな)めりしかしてアムノンいひけるは(なんぢ)(みな)(われ)(はな)れていでよと(みな)かれをはなれていでたり 10アムノン、タマルにいひけるは食物(しよくもつ)寝室(ねや)(もち)きたれ(われ)(なんぢ)()より(くら)はんとタマル(すなは)(おのれ)(つく)りたる菓子(くわし)()りて寝室(ねや)(もち)ゆきて(その)(あに)アムノンにいたる 11タマル(かれ)(くらは)しめんとて(ちか)(もち)いたれる(とき)(かれ)タマルを(とら)へて(これ)にいひけるは(いもうと)(きた)りて(われ)(いね)12タマルかれにいひける(いな)(あに)(うへ)(われ)(はづか)しむるなかれ(かく)のごとき(こと)はイスラエルに(おこな)はれず(なんぢ)(この)(おろか)なる(こと)をなすべからず 13(われ)何處(いづく)にわが恥辱(はぢ)(すて)んか(なんぢ)はイスラエルの()(じん)一人(ひとり)となるべしされば()(わう)(かた)(かれ)(われ)(なんぢ)(あたへ)ざることなかるべしと 14(しかれ)どもアムノン(その)(ことば)(きか)ずしてタマルよりも(ちから)ありければタマルを(はづか)しめてこれと(とも)(いね)たりしが 15(つひ)にアムノン(はなは)(ふか)くタマルを(にく)むにいたる(その)かれを(にく)(ところ)(にく)みはかれを()ひたるところの(こひ)よりも(おほい)なり(すなは)ちアムノンかれにいひけるは(たち)()けよ 16かれアムノンにいひけるは(われ)(かへ)して(この)(あく)(つく)るなかれ()(なんぢ)がさきに(われ)になしたる(ところ)(あく)よりも(おほい)なりとしかれども(きき)いれず 17(その)(そば)(つか)ふる少者(わかもの)(よび)ていひけるは(なんぢ)(この)(をんな)をわが(もと)より(おく)りいだして(その)(あと)()(とざ)せと 18タマル(ふり)(そで)()ゐたり(わう)女等(ひめたち)處女(をとめ)なるものは(かく)のごとき衣服(ころも)をもて(よそほ)ひたりアムノンの侍者(そばづかへ)かれを(そと)にいだして(その)(あと)()(とざ)せり 19タマル(はひ)(その)(かうべ)(かむ)()たる(ふり)(そで)()()(かうべ)にのせて(よば)はりつつ(さり)ゆけり 20(その)(あに)アブサロムかれにいひけるは(なんぢ)(あに)アムノン(なんぢ)(とも)(あり)しや(され)(いもうと)(もく)せよ(かれ)(なんぢ)(あに)なり此事(このこと)(こころ)(とむ)るなかれとかくてタマルは(その)(あに)アブサロムの(いへ)(さみ)しく()()れり 21ダビデ(わう)是等(これら)(こと)(ことごと)(きき)(はなは)(いか)れり 22アブサロムはアムノンにむかひて(よき)(あし)きも(いは)ざりき()はアブサロム、アムノンを(にく)みたればたり()はかれがおのれの(いもうと)タマルを(はづか)しめたるに(よれ)23(まる)(ねん)(のち)アブサロム、エフライムの(ほとり)なるバアルハゾルにて(ひつじ)()(きら)しめ()(わう)諸子(こたち)(ことごと)(まね)けり 24アブサロム(わう)(もと)にいりていひけるは()(しもべ)(ひつじ)()(きら)しめをるねがはくは(わう)(わう)(しもべ)(たち)(しもべ)とともに(きた)りたまへ 25(わう)アブサロムに(いひ)けるは(いな)わが()我儕(われら)(みな)いたらしむるなかれおそらくは(なんぢ)(つひえ)(おほ)くせんアブサロム、ダビデを()ふしかれどもダビデ(ゆく)ことを(がへん)ぜずして(かれ)(しゆく)せり 26アブサロムいひけるは(もし)しからずば()ふわが(あに)アムノンをして(われ)らとともに(きた)らしめよ(わう)かれにいひけるは(かれ)なんぞ(なんぢ)とともにゆくべけんやと 27されどアブサロムかれを(しひ)ければアムノンと(わう)諸子(こたち)(みな)アブサロムとともにゆかしめたり 28(ここ)にアブサロム(その)少者(わかもの)()(めい)じていひけるは()(なんぢ)らアムノンの(こころ)(さけ)によりて(たのし)(とき)()すましてわが汝等(なんぢら)にアムノンを()てと()(とき)(かれ)(ころ)(おそ)るるなかれ汝等(なんぢら)(これ)(めい)じたるは(われ)にあらずや(なんぢ)(いさま)しく(たけ)くなれと 29アブサロムの少者(わかもの)()アブサロムの(めい)ぜしごとくアムノンになしければ(わう)諸子(こたち)(みな)(たち)(おのおの)(その)騾馬(うま)(のり)(にげ)たり 30彼等(かれら)(みち)にある(とき)(ふう)(ぶん)ダビデにいたりていはくアブサロム(わう)諸子(こたち)(ことごと)(ころ)して一人(ひとり)(のこ)るものなしと 31(わう)(すなは)()(その)(ころも)()きて()()(その)臣僕(しもべ)(みな)(ころも)()(その)(そば)にたてり 32ダビデの兄弟(きやうだい)シメアの()ヨナダブ(こた)へていひけるは(わが)(しゆ)(わう)御子(みこ)(たち)なる少年(せうねん)(みな)(ころ)したりと(おもひ)たまふなかれアムノン(ひと)(しね)るのみ(かれ)がアブサロムの(いもうと)タマルを(はづ)かしめたる()よりアブサロム此事(このこと)をさだめおきたるなり 33されば(わが)(しゆ)(わう)(わう)御子(みこ)(たち)(みな)(しね)りといひて此事(このこと)をおもひ(わづら)ひたまふなかれアムノン(ひとり)(しに)たるなればなりと 34(かく)てアブサロムは(のが)れたり(ここ)守望(うかがひ)ゐたる少者(わかもの)()をあげて()たるに()(やま)(わき)よりして(おのれ)(うしろ)(みち)より(おほ)くの(ひと)(きた)れり 35ヨナダブ(わう)にいひけるは()(わう)御子(みこ)(たち)(きた)(しもべ)のいへるがごとくしかりと 36(かれ)(かた)ることを(をへ)(とき)()(わう)子等(こたち)(きた)(こゑ)をあげて(なけ)(わう)(その)(しもべ)()(みな)(おほい)(いた)(なけ)37(さて)アブサロムは(にげ)てゲシユルの(わう)アミホデの()タルマイにいたるダビデは日々(ひび)(その)()のために(かなし)めり 38アブサロム(にげ)てゲシユルにゆき三(ねん)彼處(かしこ)()たり 39ダビデ(わう)アブサロムに(あは)んと(おも)(わづ)らふ()はアムノンは(しに)たるによりてダビデかれの(こと)はあきらめたればなり

第十四章

1ゼルヤの()ヨアブ(わう)(こころ)のアブサロムに(おもむ)くを()れり 2ヨアブ(すなは)ちテコアに(ひと)()りて彼處(かしこ)より一人(ひとり)(かしこき)(をんな)(よび)きたらしめて(その)(をんな)にいひけるは()(なんぢ)()にある眞似(まね)して()(ころも)()(あぶら)()にぬらず(しにたる)(もの)のために(ひさ)しく(かな)しめる(をんな)のごとく()りて 3(わう)(ところ)にいたり(かく)のごとくかれに(かた)るべしとヨアブ(その)語言(ことば)をかれの(くち)(さづ)けたり 4テコアの(をんな)(わう)にいたり()(ふし)(はい)(わう)にいひけるは(わう)(たす)けたまへ 5(わう)(をんな)にひけるは何事(なにごと)なるや(をんな)いひけるは(われ)(まこと)(やもめ)(をんな)にしてわが(をつと)(しね)6仕女(つかへめ)二人(ふたり)()あり(とも)()(あらそ)ひしが(たれ)もかれらを(ひき)(わくる)ものなきにより(これ)(つひ)(かれ)(うち)(ころ)せり 7(ここ)において()全家(ぜんか)仕女(つかへめ)(せま)りていふ(その)兄弟(きやうだい)(うち)(ころ)したる(もの)(わた)(われ)らかれをその(ころ)したる兄弟(きやうだい)生命(いのち)のために(ころ)さんと()嗣子(よつぎ)をも(ほろ)ぼし(のこ)れるわが炭火()(けし)てわが(をつと)()をも遺存(あと)をも()(おもて)(なか)らしめんとす 8(わう)(をんな)にいひけるは(なんぢ)(いへ)()(われ)(なんぢ)(こと)につきて命令(めいれい)(くだ)さん 9テコアの(をんな)(わう)にいひけるは(わう)わが(しゆ)よねがはくは(その)(つみ)(われ)とわが(ちち)(いへ)(かへ)して(わう)(わう)(くらゐ)には(つみ)あらざれ 10(わう)いひけるは(たれ)にても(なんぢ)(かた)(もの)をば(われ)(ひき)(きた)れしかせば(かれ)かさねて(なんぢ)(ふる)ること(なか)るべし 11(をんな)いひけるは(ねがは)くは(わう)(なんぢ)(かみ)ヱホバを(おぼ)えてかの(あた)(むく)ゆる(もの)をして(かさね)(ほろぼ)すことを(なさ)しめず(わが)()(たつ)ことなからしめたまへと(わう)いひけるはヱホバは()(なんぢ)()髮毛()(ひと)すぢも()(おつ)ることなかるべし 12(をんな)いひけるは()仕女(つかへめ)をして(ひと)(こと)わが(しゆ)(わう)(いは)しめたまヘダビデいひけるは()ふべし 13(をんな)いひけるは(なんぢ)なんぞ(かか)(こと)(かみ)(たみ)にむかひて(おも)ひたるや(わう)(この)(ことば)()ふにより(わう)(つみ)ある(もの)のごとし()(わう)その(はなた)れたる(もの)(かへ)らしめざればなり 14(そもそも)我儕(われら)(しな)ざるべからず我儕(われら)()(こぼ)れたる(みづ)(ふたた)(あつま)(あた)はざるがごとし(かみ)生命(いのち)()りたまはず方法(てだて)(まう)けて(その)(はなた)れたる(もの)をして(おのれ)(ところ)より(はな)たれをることなからしむ 15(わが)此事(このこと)(わう)(わが)(しゆ)(いは)んとて(きた)れるは(たみ)(われ)(おそ)れしめたればなり(ゆゑ)仕女(つかへめ)(おもへ)らく(わう)(いは)(わう)(しもめ)(ことば)(おこな)ひたまふならんと 16()(わう)(きき)(われ)とわが()(とも)(ほろぼ)して(かみ)產業(さんげふ)(はな)れしめんとする(ひと)()より(しもめ)(すく)ひいだしたまふべければなり 17仕女(つかへめ)また(おもへ)(わう)わが(しゆ)()(なぐさめ)となるべしと()(かみ)使(つかひ)のごとく(わう)わが(しゆ)(ぜん)(あく)(きき)たまへばなりねがはくは(なんぢ)(かみ)ヱホバ(なんぢ)(とも)(いま)せと 18(わう)こたへて(をんな)にいひけるは()ふわが(なんぢ)(とは)んところの(こと)(われ)(かく)すなかれ(をんな)いふ()(わう)わが(しゆ)(いひ)たまへ 19(わう)いひけるは(この)すべての(こと)においてはヨアブの()(なんぢ)とともにあるや(をんな)(こた)へていひけるは(なんぢ)霊魂(たましひ)()(わう)わが(しゆ)(すべ)(わう)わが(しゆ)(いひ)たまひしところは(みぎ)にも(ひだり)にもまがらず(みな)(なんぢ)(しもべ)ヨアブ(われ)(めい)是等(これら)(ことば)(ことごと)仕女(つかへめ)(くち)(さづ)けたり 20(その)(こと)()ゆるとこるを(かへ)んとて(なんぢ)(しもべ)ヨアブ此事(このこと)をなしたるなり(され)どわが(しゆ)(かみ)使(つかひ)智慧(ちゑ)のごとく智慧(ちゑ)ありて()にある(こと)(ことごと)(しり)たまふと 21(ここ)において(わう)ヨアブにいひけるは()(われ)此事(このこと)()すされば(ゆき)少年(せうねん)アブサロムを(つれ)(かへ)るべし 22ヨアブ()()(はい)(わう)(しゆく)せりしかしてヨアブいひけるは(わう)わが(しゆ)(わう)(しもべ)(ことば)(おこな)ひたまへば今日(けふ)(しもべ)わが(なんぢ)(めぐま)るるを()ると 23ヨアブ(すなは)(たち)てゲシユルに()きアブサロムをエルサレムに(つれ)きたれり 24(わう)いひけるは(かれ)(その)(いへ)退(しりぞ)くべしわが(かほ)()るべからずと(ゆゑ)にアブサロム(おのれ)(いへ)退(しりぞ)きて(わう)(かほ)()ざりき 25(さて)イスラエルの(うち)にアブサロムのごとく(その)美貌(うつくしき)のために(ほめ)られたる(ひと)はなかりき(その)(あし)(うら)より(あたま)(いただき)にいたるまで(かれ)には瑕疵(きず)あることなし 26アブサロム(その)(あたま)()(とき)(その)(あたま)(かみ)(はか)るに(わう)權衡(はかり)の二(ひやく)シケルあり(まい)(ねん)(をはり)にアブサロム(その)(あたま)()(これ)(おのれ)(おもさ)によりて(かり)たるなり 27アブサロムに三(にん)男子(むすこ)一人(ひとり)のタマルといふ女子(むすめ)(うま)れたりタマルは(かほよき)(をんな)なり 28アブサロム二(ねん)のあひだエルサレムにをりたれども(わう)(かほ)()ざりき 29(これ)によりてアブサロム(わう)(つかは)さんとてヨアブを(よび)(つか)はしけるが(かれ)(きた)ることを(がへん)ぜず(ふたた)(つかは)せしかども(きた)ることを(がへん)ぜざりき 30アブサロム(その)(しもべ)にいひけるは()よヨアブの田地(はたけ)(われ)(ちか)くにありて其處(そこ)(おほ)(むぎ)あり(ゆき)(それ)()(はな)てとアブサロムの(しもべ)()田地(はたけ)()(はな)てり 31ヨアブ(たち)てアブサロムの(いへ)(きた)りてこれにいひけるは何故(なにゆゑ)(なんぢ)(しもべ)()田地(はたけ)()(はなち)たるや 32アブサロム、ヨアブにいひけるは(われ)(ひと)(なんぢ)(つか)はして(ここ)(きた)(われ)(なんぢ)(わう)につかはさんと(いへ)(すなは)(なんぢ)をして(わう)(われ)(なん)のためにゲシユルよりきたりしや彼處(かしこ)(なほ)あらば(わが)ためには(かへつ)()しと(いは)しめんとせり(され)(われ)(いま)(わう)(かほ)()()(われ)(つみ)あらば(わう)(われ)(ころ)すべし 33ヨアブ(わう)にいたりてこれに(つげ)たれば(わう)アブサロムを()(かれ)(わう)にいたりて(わう)のまへに()(ふし)(はい)せり(わう)アブサロムに接吻(くちつけ)

第十五章

1(この)(のち)アブサロム(おのれ)のために戰車(いくさぐるま)(うま)ならびに(おのれ)のまへに(かけ)(もの)五十(にん)(そなへ)たり 2アブサロム(はや)()きて(もん)(みち)(かたはら)にたち(ひと)訴訟(うつたへ)ありて(わう)裁判(さばき)(もと)めんとて(きた)(とき)はアブサロム其人(そのひと)(よび)ていふ(なんぢ)(いづれ)(まち)(もの)なるやと其人(そのひと)(しもべ)はイスラエルの(それ)支派(わかれ)(もの)なりといへば 3アブサロム其人(そのひと)にいふ()(なんぢ)(こと)()くまた(ただ)(され)(なんぢ)()くべき(ひと)(わう)いまだ(たて)ずと 4アブサロム(また)嗚呼(ああ)(われ)此地(このち)士師(さばきびと)となす(もの)もがな(さす)れば(すべ)訴訟(うつたへ)公事(くじ)ある(もの)(われ)(きた)りて(われ)(これ)公義(こうぎ)()しあたへんといふ 5また(ひと)(かれ)(はい)せんとて(ちか)づく(とき)(かれ)()をのばして其人(そのひと)(たす)(これ)接吻(くちつけ)6アブサロム(すべ)(わう)裁判(さばき)(もと)めんとて(きた)るイスラエル(びと)(かく)のごとくなせり(かく)アブサロムはイスラエルの人々(ひとびと)(こころ)(とれ)7(かく)()(ねん)(のち)アブサロム(わう)にいひけるは()(われ)をして(ゆき)てヘブロンにてヱホバに(われ)(かつ)(たて)(ぐわん)(はた)さしめよ 8()(しもべ)スリアのゲシユルに(をり)(とき)(ぐわん)(たて)()しヱホバ(まこと)(われ)をエルサレムに(つれ)(かへ)りたまはば(われ)ヱホバに(つか)へんと(いひ)たればなりと 9(わう)かれにいひけるは安然(やすらか)()けと(かれ)すなはち(たち)てヘブロンに(ゆけ)10しかしてアブサロム(うかが)(もの)をイスラエルの支派(わかれ)(うち)(あまね)(つか)はして(いは)せけるは爾等(なんぢら)喇叭(らつぱ)(おと)(きか)ばアブサロム、ヘブロンにて(わう)となれりと(おも)ふべしと 11(ひやく)(にん)(まね)かれたる(もの)エルサレムよりアブサロムとともにゆけり(かれ)らは(なに)(ごころ)なくゆきて何事(なにごと)をもしらざりき 12アブサロム犠牲(いけにへ)をささぐる(とき)にダビデの議官(ぎくわん)ギロ(びと)アヒトペルを(その)(まち)ギロより(よび)よせたり()(たう)(つよ)くして(たみ)次第(しだい)にアブサロムに(くは)はりぬ 13(ここ)使者(つかひ)ダビデに(きた)りてイスラエルの(ひと)(こころ)アブサロムにしたがふといふ 14ダビデおのれと(とも)にエルサレムに()(すべ)ての(しもべ)にいひけるは()てよ(われ)(にげ)(しか)らずば(われ)らアブサロムより(のが)るるあたはざるべし(いそ)()(おそ)らくは(かれ)(いそ)ぎて(われ)らに()ひつき我儕(われら)(がい)(かうむ)らせ(やいば)をもて(まち)(うた)15(わう)(しもべ)()(わう)にいひけるは()(しもべ)()(わう)わが(しゆ)(えら)むところを(すべ)(なさ)16(わう)いでゆき(その)全家(ぜんか)これにしたがふ(わう)(じふ)(にん)(めかけ)なる(をんな)(のこ)して(いへ)をまもらしむ 17(わう)いでゆき(たみ)みな(これ)にしたがふ彼等(かれら)(とほく)(いへ)(やす)めり 18かれの(しもべ)()みな(その)(かたはら)(すす)みケレテ(びと)とペレテ(びと)および(かれ)にしたがひてガテよりきたれる六(ぴやく)(にん)のガテ(びと)みな(わう)のまへに(すす)めり 19(とき)(わう)がガテ(びと)イツタイにいひけるは(なに)ゆゑに(なんぢ)もまた(われ)らとともにゆくや(なんぢ)かへりて(わう)とともにをれ(なんぢ)外國人(ことくにびと)にして移住(うつり)(ところ)をもとむる(もの)なり 20(なんぢ)昨日(きのふ)(きた)れり(われ)今日(こんにち)わが()るところに()くなれば(いかで)(なんぢ)をして(われ)らとともにさまよはしむべけんや(なんぢ)(かへ)(なんぢ)兄弟(きやうだい)をも(つれ)(かへ)るべしねがはくは(めぐみ)眞實(まこと)(なんぢ)とともにあれ 21イツタイ(わう)(こた)へていひけるはヱホバは()(わう)わが(しゆ)()(まこと)(わう)わが(しゆ)いかなる(ところ)(いま)すとも(いき)(しに)ともに(しもべ)もまた其處(そこ)()るべし 22ダビデ、イツタイにいひけるは(すす)みゆけガテ(びと)イツタイ(すなは)(すす)みかれのすべての從者(じふしや)およびかれとともにある(つま)()(みな)(すす)めり 23(こく)(ちう)(みな)(おほ)(ごゑ)をあげて()(たみ)(みな)(すす)(わう)もまたキデロン(がは)(わた)りて(すす)(たみ)(みな)(すす)みて()(みち)におもむけり 24()よザドクおよび(とも)にあるレビ(びと)もまた(みな)(かみ)契約(けいやく)(はこ)(かき)ていたり(かみ)(はこ)をおろして(たみ)(ことごと)(まち)よりいづるをまてりアビヤタルもまたのぼれり 25ここに(わう)ザドクにいひけるは(かみ)(はこ)(まち)(かき)もどせ()(われ)ヱホバのまへに(めぐみ)をうるならばヱホバ(われ)(ひき)かへりて(われ)にこれを(しめ)(その)往處(すみか)(しめ)したまはん 26されどヱホバもし(なんぢ)(よろこ)ばずと(かく)いひたまはば()(われ)(ここ)にあり(その)()(よし)()ゆるところを(われ)になしたまへ 27(わう)また祭司(さいし)ザドクにいひけるは(なんぢ)先見者(せんけんしや)(なんぢ)らの二人(ふたり)()(すなは)(なんぢ)()アヒマアズとアビヤタルの()ヨナタンを(ともな)ひて安然(やすらか)城邑(まち)(かへ)28()(われ)(なんぢ)より(ことば)のきたりて(われ)(つぐ)るまで()(わたり)()(とど)まらんと 29ザドクとアビヤタルすなはち(かみ)(はこ)をエルサレムに(かき)もどりて彼處(かしこ)(とど)まれり 30ここにダビデ橄欖山(かんらんざん)(みち)(のぼ)りしが(のぼ)るときに()(その)(かうべ)(つつ)みて跣足(はだし)にて(ゆけ)りかれと(とも)にある(たみ)(みな)(おのおの)(その)(かうべ)(つつ)みてのぼり(なき)つつのぼれり 31(とき)にアヒトペルがアブサロムに(くみ)せる(もの)(うち)にあることダビデに(きこ)えければダビデいふヱホバねがはくはアヒトペルの計策(はかりごと)(おろか)ならしめたまへと 32ダビデ(いただき)にある(かみ)(はい)する(ところ)(いた)れる(とき)()よアルキ(ひと)ホシヤイ(ころも)()(つち)(あたま)にかむりてきたりてダビデを(むか)33ダビデかれにいひけるは(なんぢ)()(われ)とともに(すす)まば(われ)()となるべし 34されど(なんぢ)もし城邑(まち)にかへりてアブサロムにむかひ(わう)(われ)(なんぢ)(しもべ)となるべし(これ)まで(なんぢ)(ちち)(しもべ)たりしごとく(いま)また(なんぢ)(しもべ)となるべしといはば(なんぢ)はわがためにアヒトペルの計策(はかりごと)(やぶ)るにいたらん 35祭司(さいし)ザドクとアビヤタル(なんぢ)とともに彼處(かしこ)にあるにあらずや是故(このゆえ)(なんぢ)(わう)(いへ)より(きき)たる(こと)はことごとく祭司(さいし)ザドクとアビヤタルに(つぐ)べし 36()よかれらとともに彼處(かしこ)にはその二人(ふたり)()(すなは)ちザドクの()アヒマアズとアビヤタルの()ヨナタンをるなり(なんぢ)(その)(きき)たる(こと)をことごとく彼等(かれら)()によりて(われ)(つう)ずべし 37ダビデの(とも)ホシヤイすなはち城邑(まち)にいたりぬ(とき)にアブサロムはエルサレムに(いり)()たり

第十六章

1ダビデ(すこ)しく(いただき)(すぎ)ゆける(とき)()よメピボセテの(しもべ)ヂバ(くら)おける二頭(ふたつ)驢馬(ろば)()(その)(うへ)にパン二(ひやく)乾葡萄(ほしぶだう)(いつ)(ぴやく)(ふさ)()(なつめ)團塊(かたまり)(いつ)(ぴやく)(さけ)(ひと)(ふくろ)(のせ)きたりてダビデを(むか)2(わう)ヂバにいひけるは(これ)()(なに)なるかヂバいひけるは驢馬(ろば)(わう)家族(かぞく)()るためパンと()(なつめ)少者(わかもの)(くら)ふため(さけ)()困憊(つかれ)たる(もの)()むためなり 3(わう)いひけるは(なんぢ)主人(しゆじん)()何處(いづこ)にあるやヂバ(わう)にいひけるはかれはエルサレムに(とど)まる()(かれ)イスラエルの(いへ)今日(こんにち)(わが)(ちち)(くに)(われ)にかへさんと(いひ)をればなり 4(わう)ヂバにいひけるは()よメピボセテの所有(もの)(ことごと)(なんぢ)所有(もの)となるべしヂバいひけるは(われ)(はい)(わう)わが(しゆ)(われ)をして(なんぢ)のまへに(めぐみ)(かう)むらしめたまへ 5(かく)てダビデ(わう)バホリムにいたるに()彼處(かしこ)よりサウルの(いへ)(やから)(もの)一人(ひとり)(いで)きたる(その)()をシメイといふゲラの()なり(かれ)(いで)きたりて(きた)りつつ(のろ)へり 6(また)(かれ)ダビデとダビデ(わう)(もろもろ)臣僕(けらい)にむかひて(いし)(なげ)たり(とき)(たみ)勇士(ゆうし)(みな)(わう)()(いう)にあり 7シメイ(のろひ)(うち)(かく)いへり(なんぢ)()(なが)(ひと)(なんぢ)(よこしま)なる(ひと)(いで)され(いで)され 8(なんぢ)(かは)りて(くらゐ)(のぼ)りしサウルの(いへ)()(すべ)てヱホバ(なんぢ)()したまへりヱホバ(くに)(なんぢ)()アブサロムの()(わた)したまへり()(なんぢ)()(なが)(ひと)なるによりて禍患(わざはひ)(うち)にあるなり 9ゼルヤの()アビシヤイ(わう)にいひけるは(この)(しに)たる(いぬ)なんぞ(わう)わが(しゆ)(のろ)ふべけんや()(われ)をして(わた)りゆきてかれの(くび)(とら)しめよ 10(わう)いひけるはゼルヤの子等(こら)(なんぢ)らの(あづか)るところにあらず(かれ)(のろ)ふはヱホバ(かれ)にダビデを(のろ)へと(いひ)たまひたるによるなれば(たれ)(なんぢ)なんぞ(しか)するやと(いふ)べけんや 11ダビデ(また)アビシヤイおよび(おのれ)(すべて)臣僕(けらい)にいひけるは()よわが()より(いで)たるわが()わが生命(いのち)(もと)(いはん)(この)ベニヤミン(びと)をや(かれ)(ゆる)して(のろ)はしめよヱホバ(かれ)(めい)じたまへるなり 12ヱホバわが艱難(かんなん)俯視(かへり)みたまふことあらん(また)ヱホバ今日(こんにち)(かれ)(のろひ)のために(われ)(ぜん)(むく)いたまふことあらんと 13(かく)てダビデと(その)從者(じふしや)(みち)(ゆき)けるにシメイはダビデに(むか)へる(やま)(かたはら)(ゆき)(ゆき)つつ(のろ)ひまた(かれ)にむかひて(いし)()(ちり)(あげ)たり 14(わう)および(とも)にある(たみ)(みな)アエピムに(きた)りて彼處(かしこ)(いき)をつげり 15(さて)アブサロムと(すべ)ての(たみ)イスラエルの人々(ひとびと)エルサレムに(いた)れりアヒトペルもアブサロムとともにいたる 16ダビデの(とも)なるアルキ(ひと)ホシヤイ、アブサロムの(もと)(きた)りし(とき)アブサロムにいふ(ねがは)くは(わう)(いのちなが)かれ(ねがは)くは(わう)(いのちなが)かれ 17アブサロム、ホシヤイにいひけるは(これ)(なんぢ)(その)(とも)(しめ)(あつき)(こころ)なるや(なんぢ)なんぞ(なんぢ)(とも)(ゆか)ざるやと 18ホシヤイ、アブサロムにいひけるは(しか)らずヱホバと(この)(たみ)とイスラエルの(すべて)人々(ひとびと)(えら)(もの)(われ)(ぞく)(かつ)其人(そのひと)とともに()るべし 19(かつ)(また)(われ)(たれ)(つか)ふべきか(その)()(まへ)(つかふ)べきにあらずや(われ)(なんぢ)(ちち)のまへに(つかへ)しごとく(なんぢ)のまへに(つかふ)べし 20(ここ)にアブサロム、アヒトベルにいひけるは我儕(われら)如何(いか)(なす)べきか爾等(なんぢら)(はかりごと)()すべしと 21アヒトペル、アブサロムにいひけるは(なんぢ)(ちち)(のこ)して(いへ)(まも)らしむる妾等(めかけたち)(ところ)()(しから)ばイスラエル(みな)(なんぢ)(その)(ちち)(にく)まるるを(きか)(しか)して(なんぢ)とともにをる(すべて)(もの)()(つよ)くなるべしと 22(ここ)において屋脊(やね)にアブサロムのために(てん)(まく)(はり)ければアブサロム、イスラエルの()のまへにて(その)(ちち)妾等(めかけたち)(ところ)()りぬ 23當時(そのころ)アヒトペルが(はか)れる謀計(はかりごと)(かみ)(ことば)(とひ)たるごとくなりきアヒトペルの謀計(はかりごと)(みな)ダビデとアブサロムとに(とも)(かく)のごとく()えたりき

第十七章

1(とき)にアヒトペル、アブサロムにいひけるは()(われ)に一(まん)(せん)(ひと)(えら)(いだ)さしめよ(われ)(たち)今夜(こんや)ダビデの(あと)()2(かれ)(つか)れて手弱(たよわく)なりし(ところ)(おそ)ふて(かれ)をおびえしめん(しか)して(かれ)とともにをる(たみ)(にげ)(とき)(われ)(わう)一人(ひとり)(うち)とり 3(すべて)(たみ)(なんぢ)()せしむべし(それ)(みな)()するは(なんぢ)(もと)むる此人(このひと)(よる)なれば(たみ)みな平穩(おだやか)になるべし 4(この)(ことば)アブサロムの()とイスラエルの(すべて)長老(としより)()的當(よし)()えたり 5アブサロムいひけるはアルキ(びと)ホシヤイをも(めし)きたれ我等(われら)(かれ)()(ところ)をも(きか)んと 6ホシヤイ(すなは)ちアブサロムに(いた)るにアブサロムかれにかたりていひけるはアヒトペル(かく)のごとく(いへ)我等(われら)(その)(ことば)(なす)べきか()(よから)ずば(なんぢ)()ふべし 7ホシヤイ、アブサロムにいひけるは此時(このとき)にあたりてアヒトペルが(さづ)けし計略(はかりごと)(よか)らず 8ホシヤイまたいひけるは(なんぢ)()るごとく(なんぢ)(ちち)(その)從者(じふしや)勇士(ゆうし)なり(かつ)彼等(かれら)()にて(その)()(うばは)れたる(くま)(ごと)(その)(いき)激怒(いらだち)をれり(また)(なんぢ)(ちち)(いくさ)(びと)なれば(たみ)(とも)宿(やど)らざるべし 9(かれ)(いま)(いづれ)(あな)にか(いづれ)(ところ)にか(かく)れをる()數人(すうにん)(もの)()(はじめ)(たふれ)なば(それ)()(もの)(みな)アブサロムに(したが)(もの)(うち)(やぶれ)ありと()はん 10しからば獅子(しし)(こころ)のごとき(こころ)ある勇猛(たけ)(ひと)といふとも(まつた)挫碎(くぢけ)()はイスラエル(みな)(なんぢ)(ちち)勇士(ゆうし)にして(かれ)とともにある(もの)勇猛(たけ)(ひと)なるをしればなり 11(われ)計議(はか)るイスラエルをダンよりベエルシバにいたるまで海濱(はま)(いさご)(おほ)きが(ごと)くに(ことごと)(なんぢ)(ところ)につどへ(あつ)めて(なんぢ)(みづか)戰陣(たたかひ)(のぞ)むべし 12我等(われら)(かれ)()(いだ)さるる(ところ)にて(かれ)(おそ)(つゆ)()(おり)るがごとく(かれ)のうへに(くだ)らんしかして(かれ)および(かれ)とともにあるすべての人々(ひとびと)一人(ひとり)(のこ)さざるべし 13()(かれ)(いづれ)かの城邑(まち)(あつま)らばイスラエル(みな)(なは)(その)城邑(まち)にかけ我等(われら)これを(かは)()きたふして其處(そこ)(ひとつ)()(いし)()えざらしむべしと 14アブサロムとイスラエルの人々(ひとびと)(みな)アルキ(びと)ホシヤイの謀計(はかりごと)はアヒトペルの謀計(はかりごと)よりも()しといふ()はヱホバ、アブサロムに(わざはひ)(くだ)さんとてヱホバ、アヒトペルの()謀計(はかりごと)(やぶ)ることを(さだ)めたまひたればなり 15(ここ)にホシヤイ祭司(さいし)ザドクとアビヤタルにいひけるはアヒトペル、アブサロムとイスラエルの長老等(としよりたち)のために斯々(しかじか)(はか)れりきた(われ)斯々(しかじか)(はか)れり 16されば(なんぢ)(すみやか)(ひと)(つかは)してダビデに(つげ)今夜(こんや)()(わたり)()宿(やど)ることなく(すみやか)(わた)りゆけといへおそらくは(わう)および(とも)にある(たみ)(みな)(のみ)つくされん 17(とき)にヨナタンとアヒマアズはエンロゲルに(まち)()たり(これ)城邑(まち)にいるを()られざらんとてなり(ここ)一人(ひとり)仕女(つかへめ)ゆきて彼等(かれら)()げければ(かれ)らダビデ(わう)(つげ)んとて()18しかるに一人(ひとり)少者(わかもの)かれらを()てアブザロムにつげたりされど彼等(かれら)二人(ふたり)(いそ)ぎさりてバホリムの(ある)(ひと)(いへ)にいたる其人(そのひと)(には)(ゐど)ありてかれら其處(そこ)にくだりければ 19(をんな)(おひ)をとりて(ゐど)(くち)のうへに()(その)(うへ)(つき)たる(むぎ)をひろげたり(ゆゑ)(こと)()れざりき 20(とき)にアブサロムの(しもべ)()(その)(をんな)(いへ)(きた)りていひけるはアヒマアズとヨナタンは何處(いづく)にをるや(をんな)かれらに(かの)人々(ひとびと)()(がは)(わた)れりといふかれら(たづ)ねたれども()(あたら)ざればエルサレムに(かへ)れり 21彼等(かれら)(さり)(とき)かの二人(ふたり)(ゐど)よりのぼりて(ゆき)てダビデ(わう)()げたり(すなは)ちダビデに(いひ)けるは(たち)(すみや)かに(みづ)(わた)()はアヒトベル(かく)爾等(なんぢら)について謀計(はかりごと)()したればなりと 22ダビデ(たち)(おのれ)とともにある(すべ)ての(たみ)とともにヨルダンを(わた)れり(あけぼの)には一人(ひとり)もヨルダンを(わた)らざる(もの)はなかりき 23アヒトベルは(その)謀計(はかりごと)(おこなは)れざるを()(その)驢馬(ろば)(くら)おき(たち)(その)(まち)(ゆき)(その)(いへ)にいたり(いへ)(ひと)(ゆゐ)(ごん)して(みづか)(くび)(しに)(その)(ちち)(はか)(はうむ)らる 24(ここ)にダビデ、マナハイムに(いた)(また)アブサロムは(おのれ)とともにあるイスラエルの(すべて)人々(ひとびと)とともにヨルダンを(わた)れり 25アブサロム、アマサをヨアブの(かは)りに(ぐん)(かしら)(なせ)りアマサは()のナハシの(むすめ)にてヨアブの(はは)ゼルヤの(いもうと)なるアビガルに(つう)じたるイシマエル(びと)()はヱテルといふ(ひと)()なり 26かくてイスラエルとアブサロムはギレアデの()(ぢん)どれり 27ダビデ、マハナイムにいたれる(とき)アンモンの子孫(ひとびと)(うち)なるラバのナハシの()シヨビとロデバルのアンミエルの()マキルおよびロゲリムのギレアデ(びと)バルジライ 28臥床(とこ)(なべ)(かま)(やきものの)(うつは)小麥(こむぎ)(おほ)(むぎ)(こな)烘麥(いりむぎ)(まめ)小豆(あづき)(いり)たる(もの)29(みつ)牛酪(ぎうらく)(ひつじ)(こうし)をダビデおよび(とも)にある(たみ)(くら)ふために(もち)(きた)れり()彼等(かれら)(たみ)()にて(うゑ)(つか)(かわ)くならんと(いひ)たればなり

第十八章

1(ここ)にダビデ(おのれ)とともにある(たみ)(しら)べて(その)(うへ)千夫(せんにん)(かしら)百夫(ひやくにん)(かしら)(たて)たり 2しかしてダビデ(たみ)(みつ)(わか)ちて(その)(ひとつ)をヨアブの()(あづ)(ひとつ)をゼルヤの()ヨアブの兄弟(きやうだい)アビシヤイの()(あづ)(ひとつ)をガテ(びと)イツタイの()(あづ)けたりかくして(わう)(たみ)にいひけるは(われ)もまた(かなら)(なんぢ)らとともに(いで)んと 3されど(たみ)いふ(なんぢ)(いづ)べからず我儕(われら)如何(いか)(にぐ)るとも彼等(かれら)我儕(われら)(こころ)をとめじ(また)我儕(われら)(なかば)(しぬ)とも我儕(われら)(こころ)をとめざるべしされど(なんぢ)我儕(われら)の一(まん)(ひと)(ゆゑ)(なんぢ)城邑(まち)(うち)より我儕(われら)(たす)けなば()4(わう)かれらにいひけるは汝等(なんぢら)()(よし)()ゆるところを()すべしとかくて(わう)(もん)(かたはら)()(たみ)(みな)(あるひ)(ひやく)(にん)(あるひ)(せん)(にん)となりて()5(わう)ヨアブ、アビシヤイおよびイツタイに(めい)じてわがために少年(せうねん)アブサロムを(やはらか)(あしら)へよといふ(わう)のアブサロムの(こと)について(すべて)將官(かしら)(めい)(くだ)せる(とき)(たみ)(みな)(きけ)6(ここ)(たみ)イスラエルにむかひて()()でエフライムの叢林(もり)(たたか)ひしが 7イスラエルの(たみ)其處(そこ)にてダビデの臣僕(けらい)のまへに(やぶ)(その)()彼處(かしこ)戰死(うちじに)(おほい)にして二(まん)にいたれり 8しかして(たたかひ)(あまね)(その)()(おもて)(ひろ)がりぬ(この)()叢林(もり)(ほろ)ぼせる(もの)刀劒(かたな)(ほろ)ぼせる(もの)よりも(おほ)かりき 9(ここ)にアブサロム、ダビデの臣僕(けらい)()(あへ)(とき)にアブサロム騾馬(むま)(のり)()たりしが騾馬(むま)(おほい)なる橡樹(かしのき)(しげ)(えだ)(した)(すぎ)ければアブサロムの(あたま)(その)(かし)(かか)りて(かれ)天地(てんち)のあひだにあがれり騾馬(むま)はかれの(した)より(ゆき)(すぎ)たり 10一箇(ひとり)(ひと)()てヨアブに(つげ)ていひけるは(われ)アブサロムが橡樹(かしのき)(かか)りをるを()たりと 11ヨアブ(その)(つげ)たる(ひと)にいひけるはさらば(なんぢ)()何故(なにゆゑ)(かれ)其處(そこ)にて()(うち)(おと)さざりしや(われ)(なんぢ)(ぎん)(まい)一本(ひとすじ)(おび)(あた)へんものを 12其人(そのひと)ヨアブにいひけるは假令(たとひ)わが()(ぎん)(せん)(まい)(うく)べきも(われ)()をいだして(わう)()(てき)せじ()(わう)我儕(われら)(きけ)るまへにて(なんぢ)とアビシヤイとイツタイに(めい)じて(なんぢ)(おのおの)少年(せうねん)アブサロムを(がい)するなかれといひたまひたればなり 13(われ)()(そむ)いてかれの生命(いのち)戕賊(そこな)はば何事(なにごと)(わう)(かく)るる(ところ)なければ(なんぢ)(みづか)(たち)(われ)(せめ)んと 14(とき)にヨアブ(われ)かく(なんぢ)とともに(とどま)るべからずといひて()三本(みすぢ)(やり)(たづさ)へゆきて()橡樹(かしのき)(なか)(なほ)(いき)をるアブサロムの(むね)(これ)(つき)(とほ)せり 15ヨアブの武器(ぶき)()る十(にん)少者(わかもの)(とりま)きてアブサロムを()(これ)(しな)しめたり 16かくてヨアブ喇叭(らつぱ)(ふき)ければ(たみ)イスラエルの(あと)()ふことを(やめ)てかへれりヨアブ(たみ)(とど)めたればなり 17(ひとびと)アブサロムを(とり)叢林(もり)(なか)なる(おほい)なる(あな)()げいれ(その)(うへ)(はなは)(おほ)きく(いし)(つみ)あげたり(ここ)においてイスラエル(みな)おのおの(その)(てん)(まく)(にげ)かへれり 18アブサロム(われ)はわが()(つた)ふべき()なしと(いひ)(その)(いけ)(あひだ)(おのれ)のために(ひとつ)表柱(はしら)(たて)たり(わう)(たに)にあり(かれ)おのれの()(その)表柱(はしら)(つけ)たり(その)表柱(はしら)今日(こんにち)にいたるまでアブサロムの()(となへ)らる 19(ここ)にザドクの()アヒマアズいひけるは()(われ)をして(はし)りて(わう)にヱホバの(わう)をまもりて(その)(てき)()(まぬ)かれしめたまひし音信(おとづれ)(つた)へしめよと 20ヨアブかれにいひけるは(なんぢ)今日(けふ)音信(おとづれ)(つた)ふるものとなるべからず(ほかの)()音信(おとづれ)(つた)ふべし今日(けふ)(わう)()(しに)たれば(なんぢ)音信(おとづれ)(つた)ふべからず 21ヨアブ、クシ(びと)にいひけるは(ゆき)(なんぢ)()たる(ところ)(わう)(つげ)よクシ(びと)ヨアブに(れい)をなして(はし)れり 22ザドクの()アヒマアズ(ふたた)びヨアブにいひけるは()(いづれ)にもあれ(われ)をも(また)クシ(びと)(あと)より(はせ)ゆかしめよヨアブいひけるは(わが)()(なんぢ)(じう)(ぶん)音信(おとづれ)(もた)ざるに何故(なにゆゑ)(はし)りゆかんとするや 23かれいふ(いづ)れにもあれ(われ)をして(はし)りゆかしめよとヨアブかれにいふ(はし)るべし(ここ)においてアヒマアズ低地(くぼち)(みち)をはしりてクシ(びと)(はせ)(こえ)たり 24(とき)にダビデは(ふたつ)(もん)(あひだ)()しゐたり(ここ)守望(うかがふ)(もの)(もん)蓋上(やね)にのぼり石墻(いしがき)にのぼりて(その)()(あげ)()るに()(ただ)一人(ひとり)にて(はせ)きたる(もの)あり 25守望(うかがふ)(もの)(よば)はりて(わう)(つげ)ければ(わう)いふ()(ひとり)ならば(くち)音信(おとづれ)()つならんと其人(そのひと)(すす)(きた)りて(ちか)づけり 26守望(うかがふ)(もの)(また)一人(ひとり)(はし)りきたるを()しかば守望(うかがふ)(もの)守門(もんをまもる)(もの)(よば)はりて()(ただ)一人(ひとり)にて(はせ)きたる(もの)あり(わう)いふ其人(そのひと)もまた音信(おとづれ)(もつ)ものなり 27守望(うかがふ)(もの)()(われ)(さきだつ)(もの)(はしる)()るにザドクの()アヒマアズの(はし)るが(ごと)しと(わう)いひけるは(かれ)(よき)(ひと)なり()音信(おとづれ)(もち)(きた)るならん 28アヒマアズ(よば)はりて(わう)にいひけるはねがはくは平安(やすらか)なれとかくて(わう)のまへに()()していふ(なんぢ)(かみ)ヱホバは(ほむ)べきかなヱホバかの()をあげて(わう)わが(しゆ)(てき)したる人々(ひとびと)(わた)したまへり 29(わう)いひけるは少年(せうねん)アブサロムは平安(やすらか)なるやアヒマアズこたへけるは(わう)(しもべ)ヨアブ(しもべ)(つか)はせし(とき)(われ)(おほい)なる(さわぎ)()たれども(なに)をも()らざるなり 30(わう)いひけるは(わき)にいたりて其處(そこ)(たて)よと(すなは)(わき)にいたりて()31(とき)()よクシ(びと)(きた)れりクシ(びと)いひけるはねがはくは(わう)音信(おとづれ)(うけ)たまへヱホバ今日(こんにち)(なんぢ)をまもりて(すべ)(なんぢ)にたち(さから)(もの)()(まぬ)かれしめたまへり 32(わう)クシ(びと)にいひけるは少年(せうねん)アブサロムは平安(やすらか)なるやクシ(びと)いひけるはねがはくは(わう)わが(しゆ)(てき)および(すべ)(なんぢ)()(さから)ひて(がい)をなさんとする(もの)(かの)少年(せうねん)のごとくなれと 33(わう)(おほい)(いた)(もん)(にかい)にのぼりて(なけ)(かれ)(ゆき)ながらかくいへりわが()アブサロムよわが()わが()アブサロムよ鳴呼(ああ)われ(なんぢ)(かは)りて(しに)たらん(もの)をアブサロムわが()よわが()

第十九章

1(とき)にヨアブに(つぐ)(もの)ありていふ()(わう)はアブサロムの(ため)()(かな)しむと 2(その)()勝利(かち)(すべて)(たみ)悲哀(かなしみ)となれり()(たみ)(その)()(わう)(その)()のために(うれ)ふと()ふを(きき)たればなり 3(その)()(たみ)戰爭(たたかひ)(にげ)(はぢ)たる(たみ)(しのび)(さる)がごとく(しのび)城邑(まち)にいりぬ 4(わう)(その)(かほ)(おほ)へり(わう)(おほ)(ごゑ)(さけび)てわが()アブサロムよアブサロムわが()よわが()よといふ 5ここにヨアブ(いへ)にいり(わう)(もと)にいたりていひけるは(なんぢ)今日(こんにち)(なんぢ)生命(いのち)(なんぢ)男子(むすこ)(なんぢ)女子(むすめ)生命(いのち)および(なんぢ)(つま)(たち)生命(いのち)(なんぢ)妾等(めかけたち)生命(いのち)(すく)ひたる(なんぢ)(すべて)臣僕(けらい)(かほ)(はぢ)させたり 6()(なんぢ)おのれを(にく)(もの)(あい)しおのれを(あい)する(もの)(にく)むなり(なんぢ)今日(けふ)(なんぢ)諸侯伯(つかさ)をも諸僕(けらい)をも(かへり)みざるを(しめ)せり今日(けふ)(われ)さとる()しアブサロム(いき)をりて我儕(われら)(みな)(しに)たらば(なんぢ)()(かな)ひしならん 7されど(いま)(たち)()(なんぢ)諸僕(けらいたち)(なぐさ)めてかたるべし(われ)ヱホバを(さし)(ちか)(なんぢ)()(いで)ずば今夜(こんや)一人(ひとり)(なんぢ)とともに(とどま)るものなかるべし(これ)(なんぢ)(わか)(とき)より(いま)にいたるまでに(かうむ)りたる(もろもろ)災禍(わざはひ)よりも(なんぢ)(あし)かるべし 8(ここ)(おい)(わう)たちて(もん)()人々(ひとびと)(すべて)(たみ)(つげ)()(わう)(もん)()()るといひければ(たみ)(みな)(わう)のまへにいたる(され)どイスラエルはおのむの(その)(てん)(まく)(にげ)かへれり 9イスラエルの(もろもろ)支派(わかれ)(うち)(たみ)(みな)(あらそ)ひていひけるは(わう)我儕(われら)(てき)()より(すく)ひいだしまた我儕(われら)をペリシテ(びと)()より(たす)けいだせりされど(いま)はアブサロムのために(くに)(にげ)いでたり 10また我儕(われら)(あぶら)そそぎて我儕(われら)(うへ)にかきしアブサロムは戰爭(いくさ)()ねりされば(なんぢ)(なん)(わう)(みちび)きかへらんことと(いは)ざるや 11ダビデ(わう)祭司(さいし)ザドクとアビヤタルに(いひ)つかはしけるはユダの長老等(としよりたち)(つげ)()ヘイスラエルの全家(ぜんか)言語(ことば)(わう)(いへ)(たつ)せしに(なんぢ)(なん)(わう)(その)(いへ)(みちび)きかへる最後(いやはて)となるや 12爾等(なんぢら)はわが兄弟(きやうだい)(なんぢ)らはわが(こつ)(にく)なりしかるになんぞ爾等(なんぢら)(わう)(みちび)(かへ)最後(いやはて)となるやと 13(また)アマサに(いふ)べし(なんぢ)はわが(こつ)(にく)にあらずや(なんぢ)ヨアブにかはりて(つね)にわがまへにて軍長(ぐんのかしら)たるべし()しからずば(かみ)(われ)(かく)なし(また)(かさ)ねてかくなしたまへと 14かくダビデ、ユダの(すべて)(ひと)をして其心(そのこころ)(かたむ)けて(いち)(にん)のごとくにならしめければかれら(わう)にねがはくは(なんぢ)および(なんぢ)(すべて)臣僕(けらい)(かへ)りたまへといひおくれり 15(ここ)において(わう)(かへ)りてヨルダンにいたるにユダの人々(ひとびと)(わう)(むか)へんとて(きた)りてギルガルにいたり(わう)(おく)りてヨルダンを(わた)らんとす 16(とき)にバホリムのベニヤミン(びと)ゲラの()シメイ(いそ)ぎてユダの人々(ひとびと)とともに(くだ)りダビデ(わう)(むか)17(いつ)(せん)のベニヤミン(びと)(かれ)とともにあり(また)サウルの(いへ)(しもべ)ヂバも(その)十五(にん)男子(むすこ)と二十(にん)(しもべ)をしたがへて(とも)()たりしが(みな)(わう)のまへにむかひてヨルダンをこぎ(わたり)れり 18(とき)(わう)家族(かぞく)(わた)しまた(わう)()(よし)()ゆるところを(なさ)んとて濟舟(わたしぶね)(わた)せり(ここ)にゲラの()シメイ、ヨルダンを(わた)れる(とき)(わう)のまへに()して 19(わう)にいひけるはわが(しゆ)よねがはくは(つみ)(われ)()するなかれまた(わう)わが(しゆ)のエルサレムより(いで)たまへる()(しもべ)(なし)たる(あし)(こと)記憶(おぼ)えたまふなかれねがはくは(わう)これを(こころ)(おき)たまふなかれ 20()(しもべ)(わが)(つみ)(をか)したるを()ればなり(ゆゑ)()(われ)今日(こんにち)ヨセフの全家(ぜんか)最初(いやさき)(くだ)(きた)りて(わう)わが(しゆ)(むか)ふと 21(しかる)にゼルヤの()アビシヤイ(こた)へていひけるはシメイはヱホバの(あぶら)そそぎし(もの)(のろひ)たるに(より)(それ)がために(ころ)さるべきにあらずやと 22ダビデいひけるは(なんぢ)らゼルヤの()(なんぢ)らのあづかるところにあらず爾等(なんぢら)今日(けふ)(われ)(てき)となる今日(けふ)(あに)イスラエルの(うち)にて(ひと)(ころ)すべけんや(われ)(あに)わが今日(けふ)イスラエルの(わう)となりたるをしらざらんやと 23(ここ)をもて(わう)はシメイに(なんぢ)(ころ)されじといひて(わう)かれに(ちか)へり 24(ここ)にサウルの()メピボセテ(くだ)りて(わう)をむかふ(かれ)(わう)(さり)()より(やすら)かに(かへ)れる()まで(その)(あし)(かざ)らず(その)(ひげ)(かざ)らず(また)(その)(ころも)(あらは)ざりき 26(かれ)エルサレムよりきたりて(わう)(むか)ふる(とき)(わう)かれにいひけるはメビボセテ(なんぢ)なんぞ(われ)とともに(ゆか)ざりしや 26(かれ)こたへけるはわが(しゆ)(わう)よわが(けらい)(われ)(あざむ)けり(しもべ)はわれ驢馬(ろば)(くら)おきて(それ)(のり)(わう)(ところ)にゆかんといへり(しもべ)跛者(あしなへ)なればなり 27しかるに(かれ)(しもべ)(わう)わが(しゆ)讒言(ざんげん)せり(しかれ)ども(わう)わが(しゆ)(かみ)使(つかひ)のごとし(ゆゑ)(なんぢ)()(よし)(みゆ)るところを(なし)たまへ 28わが(ちち)全家(ぜんか)(わう)わが(しゆ)のまへには(しにたる)(ひと)なるのみなるに(なんぢ)(しもべ)(なんぢ)(せき)にて(くら)(もの)(うち)(おき)たまへりされば(われ)(なに)(ことはり)ありてか(かさ)ねて(わう)哀訴(うつたふ)ることをえん 29(わう)かれにいひけるは(なんぢ)なんぞ(かさ)ねて(なんぢ)(こと)(いふ)(われ)いふ(なんぢ)とヂバ(その)()(わか)つべし 30メピボセテ(わう)にいひけるは(わう)わが(しゆ)安然(やすらか)(その)(いへ)(かへ)りたまひたればかれに(これ)(ことごと)くとらしめたまへと 31(ここ)にギレアデ(びと)バルジライ、ロゲリムより(くだ)(わう)(おく)りてヨルダンを(わた)らんとて(わう)とともにヨルダンを(わた)れり 32バルジライは(はなは)(おい)たる(ひと)にて八十(さい)なりきかれは(はなは)(おほい)なる(ひと)なれば(わう)のマハナイムに(とどま)れる(あひだ)(わう)(やしな)へり 33(わう)バルジライにいひけるは(なんぢ)(われ)とともに(わた)(きた)(われ)エルサレムにて(なんぢ)(われ)とともに(やしな)はん 34バルジライ(わう)にいひけるはわが生命(いのち)(とし)()(なほ)幾何(いくばく)ありてか(われ)(わう)とともにエルサレムに(のぼ)らんや 35(われ)今日(こんにち)八十(さい)なり()きと(あし)きとを(わきま)へるをえんや(しもべ)(その)(くら)ふところと(のむ)ところを(あじは)ふをえんや(われ)(ふたた)謳歌之(うたうたふ)(をとこ)謳歌之(うたうたふ)(をんな)(こゑ)(きき)えんや(しもべ)なんぞ(なほ)(わう)わが(しゆ)(わづらひ)となるべけんや 36(しもべ)(わう)とともにヨルダンを(わた)りて(ただ)(すこ)しくゆかん(わう)なんぞこの報賞(むくい)(われ)(むく)ゆるに(およ)ばんや 37()(しもべ)(かへ)らしめよ(われ)自己(おのれ)(まち)にてわが父母(ちちはは)(はか)(そば)(しな)(ただ)(しもべ)キムハムを()たまへかれを(わう)わが(しゆ)とともに(わた)(ゆか)しめたまへ(また)(なんぢ)()(よし)()(ところ)(かれ)になしたまへ 38(わう)いひけるはキムハム(われ)とともに(わた)()くべし(われ)(なんぢ)()(よし)()ゆる(ところ)をかれに(なさ)(また)(なんぢ)(のぞ)みて(われ)(もと)むる(ところ)(みな)(われ)(なんぢ)のために()すべしと 39(たみ)(みな)ヨルダンを(わた)れり(わう)(わたり)りし(とき)(わう)バルジライに接吻(くちつけ)してこれを(しゆく)(かれ)(つひ)(おのれ)(ところ)(かへ)れり 40かくて(わう)ギルガルに(すす)むにキムハムかれとともに(すす)めりユダの(たみ)(みな)(わう)(おく)れりイスラエルの(たみ)(なかば)(また)しかり 41(ここ)にイスラエルの人々(ひとびと)(みな)(わう)(ところ)にいたりて(わう)にいひけるは我儕(われら)兄弟(きやうだい)なるユダの人々(ひとびと)何故(なにゆゑ)(なんぢ)(ぬす)みさり(わう)(その)家族(かぞく)およびダビデとともなる(その)(すべて)從者(じふしや)(おく)りてヨルダンを(わた)りしやと 42ユダの人々(ひとびと)(みな)イスラエルの人々(ひとびと)(こた)へていふ(わう)(われ)(ちか)きが(ゆゑ)なり(なんぢ)なんぞ此事(このこと)について(いか)るや我儕(われら)(わう)(もの)(くら)ひしことあるや(わう)我儕(われら)賜物(たまもの)(あた)へたることあるや 43イスラエルの(ひと)ユダの(ひと)(こたへ)ていひけるは(われ)(わう)のうちに(とを)(ぶん)()(また)ダビデのうちにも(われ)(なんぢ)よりも(おほく)()つなりしかるに(なんぢ)なんぞ(われ)らを(かろん)じたるやわが(わう)(みちび)きかへらんと(いひ)しは(われ)最初(いやさき)なるにあらずやとされどユダの人々(ひとびと)(ことば)はイスラエルの人々(ひとびと)(ことば)よりも(はげ)しかりき

第二十章

1(ここ)一人(ひとり)(よこしま)なる(ひと)あり(その)()をシバといビクリの()にしてベニヤミン(びと)なり(かれ)喇叭(らつぱ)(ふき)ていひけるは我儕(われら)はダビデの(うち)(ぶん)なし(また)ヱサイの()のうちに產業(さんげふ)なしイスラエルよ各人(おのおの)(その)(てん)(まく)(かへ)れよと 2(これ)によりてイスラエルの(ひと)(みな)ダビデに(したが)ふことを(やめ)てのぼりビクリの()シバにしたがへり(され)どユダの人々(ひとびと)(その)(わう)(つき)てヨルダンよりエルサレムにいたれり 3ダビデ、エルサレムにある(おのれ)(いへ)にいたり(わう)(その)(のこ)して(いへ)(まも)らせたる(めかけ)なる十(にん)(をんな)をとりてこれを(ひとつ)(いへ)(まも)(おき)(やしな)へりされどかれらの(ところ)には(いら)ざりき(かく)かれらは(しぬ)()まで(とぢ)こめられて生涯(しやうがい)嫠婦(やもめ)にてすごせり 4(ここ)(わう)アマサにいひけるは(われ)ために三日(みつか)のうちにユダの人々(ひとびと)(よび)きたれしかして(なんぢ)此處(ここ)にをれ 5アマサ(すなは)ちユダを(よび)あつめんとて(ゆき)たりしが(かれ)ダビデが(さだ)めたる(とき)よりも(なが)(とどま)れり 6(ここ)においてダビデ、アビシヤイにいひけるはビクリの()シバ(いま)我儕(われら)にアブサロムよりもおほくの(がい)をなさんとす(なんぢ)(しゆ)臣僕(けらい)(ひき)ゐて(かれ)(あと)()(おそ)らくは(かれ)堅固(けんご)なる城邑(まち)()我儕(われら)()(のが)れんと 7(これ)によりてヨアブの從者(じふしや)とケレテ(びと)とペレテ(びと)および(すべて)勇士(いうし)(かれ)にしたがびて(いで)たり(すなは)彼等(かれら)エルサレムより(いで)てビクリの()シバの(あと)()8彼等(かれら)がギベオンにある(おほ)(いし)(かたはら)()りし(とき)アマサかれらにむかひ(きた)れり(とき)にヨアブ(いくさ)(ごろも)(おび)(しめ)衣服(ころも)となし(その)(うへ)(かたな)(さや)にをさめ(こし)(むす)びて()()たりしが(その)(かたな)()()ちたり 9ヨアブ、アマサにわが兄弟(きやうだい)(なんぢ)平康(やすらか)なるやといひて(みぎ)()をもてアマサの(ひげ)(とらへ)(かれ)接吻(くちつけ)せんとせしが 10アマサはヨアブの()にある(かたな)(こころ)(とめ)ざりければヨアブ(それ)をもてアマサの(はら)()して(その)(はらわた)()(なが)しいだし(かさ)ねて(うつ)(およ)ばざらしめてこれをころせり かくてヨアブと(その)兄弟(きやうだい)アビシヤイ、ビクリの()シバの(あと)(おへ)11(とき)にヨアブの少者(わかもの)一人(ひとり)アマサの(そば)にたちていふヨアブを(たす)くる(もの)とダビデに附從(つく)ものはヨアブの(あと)(したが)へと 12アマサは()(そみ)大路(おほぢ)(なか)(まろ)()たり(この)人民(たみ)(みな)(たち)どまるを()てアマサを大路(おほぢ)より(はたけ)(うつ)したるが(その)(かたはら)にいたれる(もの)(みな)()()ちとまりければ(ころも)(その)(うへ)にかけたり 13アマサ大路(おほぢ)より(うつ)されければ(ひと)(みな)ヨアブにしたがひ(すす)みてビクリの()シバの(あと)()14(かれ)イスラエルの(すべて)支派(わかれ)(うち)(ゆき)てアベルとベテマアカに(いた)るに少年(せうねん)(みな)(あつま)りて(また)かれにしたがひゆけり 15かくて彼等(かれら)(きた)りて(かれ)をアベル、ベテマアカに(かこ)城邑(まち)にむかひて(るゐ)(きづ)けり(これ)(ほり)(なか)にたてりかくしてヨアブとともにある(たみ)(みな)石垣(いしがき)(くづ)さんとてこれを(うち)()りしが 16一箇(ひとり)(かしこ)(をんな)城邑(まち)より(よば)はりていふ(なんぢ)(きけ)(なんぢ)(きけ)()(なんぢ)らヨアブに(ここ)(ちかづ)よれ(われ)(なんぢ)(ものいは)んと()へと 17かれ(その)(をんな)にちかよるに(をんな)いひけるは(なんぢ)はヨアブなるやかれ(しか)りといひければ(をんな)(かれ)にいふ(しもめ)(ことば)()けかれ(われ)()くといふ 18(をんな)(すなは)(かた)りていひけるは(むかし)人々(ひとびと)(まこと)(かた)りて(ひと)(かなら)ずアベルにおいて索問(たづぬ)べしといひて(こと)()19(われ)はイスラエルの(うち)平和(おだやか)なる忠義(ちうぎ)なる(もの)なりしかるに(なんぢ)はイスラルの(うち)にて(はは)ともいふべき城邑(まち)(ほろぼ)さんことを(もと)(いか)ゆゑに(なんぢ)ヱホバの產業(さんげふ)()(つく)さんとするや 20ヨアブ(こた)へていひけるは(きは)めてしからず(きは)めてしからずわれ()(つく)(あるひ)(ほろ)ぼさんとすることなし 21(その)(こと)しからずエフライムの山地(やまち)(ひと)ビクリの()()はシバといふ(もの)()(あげ)(わう)ダビデに(てき)せり(なんぢ)(ただ)(かれ)一人(ひとり)(わた)(しか)らば(われ)(この)(まち)をさらんと(をんな)ヨアブにいひけるは()(かれ)首級(くび)石垣(いしがき)(うへ)より(なんぢ)(なげ)いだすべし 22かくて(をんな)(その)智慧(ちゑ)をもて(すべて)(たみ)(ところ)にいたりければかれらビクリの()シバの首級(くび)(はね)てヨアブの(ところ)(なげ)(いだ)せり(ここ)においてヨアブ喇叭(らつぱ)(ふき)ならしければ人々(ひとびと)(ちり)(まち)より退(しりぞ)きておのおの(その)(てん)(まく)(かへ)りぬヨアブはエルサレムにかへりて(わう)(ところ)にいたれり 23ヨアブはイスラエルの(ぜん)(ぐん)(かしら)なりヱホヤダの()ベナヤはケレテ(びと)とペレテ(びと)(かしら)なり 24アドラムは徴募(ちやうぼの)(かしら)なりアヒルデの()ヨシヤパテは史官(しくわん)なり 25シワは書記(しよき)(くわん)なりザドクとアビヤタルは祭司(さいし)なり 26(また)ヤイル(びと)イラはダビデの大臣(だいじん)なり

第二十一章

1ダビデの()(とし)(また)(とし)(さん)(ねん)饑饉(ききん)ありければダビデ、ヱホバに(とふ)にヱホバ(いひ)たまひけるは(これ)はサウルと()(なが)せる(その)(いへ)のためなり()(かれ)(かつ)てギベオン(びと)(ころ)したればなりと 2(ここ)において(わう)ギベオン(びと)(めし)てかれらにいへりギベオン(びと)はイスラエルの子孫(しそん)にあらずアモリ(びと)殘餘(のこり)なりしがイスラエルの子孫(ひとびと)(むかし)彼等(かれら)(ちかひ)をなしたり(しか)るにサウル、イスラエルとユダの子孫(ひとびと)熱心(ねつしん)なるよりして彼等(かれら)(ころ)さんと(もと)めたり 3(すなは)ちダビデ、ギベオン(びと)にいひけるは(われ)汝等(なんぢら)のために(なに)()すべきか(われ)(なん)賠償(つくのひ)()さば汝等(なんぢら)ヱホバの產業(さんげふ)(しゆく)するや 4ギベオン(びと)(かれ)にいひけるは我儕(われら)はサウルと(その)(いへ)金銀(きんぎん)(とら)(また)(なんぢ)(われ)らのためにイスラエルの(うち)(ひと)一人(ひとり)をも(ころ)すなかれダビデいひけるは汝等(なんぢら)()(ところ)(われ)(なんぢ)らのために(なさ)5彼等(かれら)(わう)にいひけるは我儕(われら)(ほろぼ)したる(ひと)我儕(われら)(たや)してイスラエルの(さかひ)(うち)居留(とどまら)ざらしめんとて我儕(われら)にむかひて(はかりごと)(まう)けし(ひと) 6()其人(そのひと)子孫(しそん)(にん)我儕(われら)(あた)へよ我儕(われら)ヱホバの(えら)みたるサウルのギベアにて彼等(かれら)をヱホバのまへに(かけ)(わう)いふ(われ)(あた)ふべしと 7されど(わう)サウルの()ヨナタンの()なるメピボセテを(をし)めり()(かれ)()のあひだ(すなは)ちダビデとサウルの()ヨナタンとの(あひだ)にヱホバを()して(なせ)(ちかひ)あるに(よれ)8されど(わう)アヤの(むすめ)リヅパがサウルに(うみ)二人(ふたり)()アルモニとメピボセテおよびサウルの(むすめ)メラブがメホラ(びと)バルジライの()アデリエルに(うみ)し五(にん)()()りて 9かれらをギベオン(びと)()(あた)へければギベオン(びと)かれらを(やま)(うへ)にてヱホバの(まへ)(かけ)たり彼等(かれら)(にん)(とも)(たふ)れて刈穫(かりいれ)(はつの)()(すなは)(おほ)(むぎ)(かり)初時(はじめ)(しね)10アヤの(むすめ)リヅパ麻布(あさぬの)()りて刈穫(かりいれ)初時(はじめ)より(その)(しかばねの)(うへ)(てん)より(あめ)ふるまでこれをおのれのために(いは)(うへ)()きおきて(ひる)(そら)(とり)(しかばね)(うへ)(とどま)らしめず(よる)()(けもの)をちかよらしめざりき 11(ここ)にアヤの(むすめ)サウルの(めかけ)リヅパの(なせ)しことダビデに(きこ)えければ 12ダビデ(ゆき)てサウルの(ほね)(その)()ヨナタンの(ほね)をヤベシギレアデの人々(ひとびと)(ところ)より(とれ)(これ)はペリシテ(びと)がサウルをギルボアに(ころ)してベテシヤンの(ちまた)(かけ)たるをかれらが(ぬす)みさりたるものなり 13ダビデ其處(そこ)よりサウルの(ほね)(その)()ヨナタンの(ほね)(たづさ)(のぼ)れりまた人々(ひとびと)(その)(かけ)られたる者等(ものども)(ほね)(あつめ)たり 14かくてサウルと(その)()ヨナタンの(ほね)をベニヤミンの()のゼラにて(その)(ちち)キシの(はか)(はうむ)(すべ)(わう)(めい)じたる(ところ)(なせ)(これ)より(のち)(かみ)(その)()のため祈祷(いのり)(きき)たまへり 15ペリシテ(びと)(また)イスラエルと戰爭(いくさ)()すダビデ(その)臣僕(けらい)とともに(くだ)りてペリシテ(びと)(たたか)ひけるがダビデ困憊(つかれ)()りければ 16イシビベノブ、ダビデを(ころ)さんと(おも)へり(イシビベノブは巨人(おほをとこ)子等(こども)一人(ひとり)にて(その)(やり)(あかがね)(おもさ)は三(びやく)シケルあり(かれ)(あたら)しき(かたな)(おび)たり) 17しかれどもゼルヤの()アビシヤイ、ダビデを(たす)けて(その)ペリシテ(びと)()(ころ)せり(ここ)においてダビデの從者(じふしや)かれに(ちか)ひていひけるは(なんぢ)(ふたたび)我儕(われら)(とも)戰爭(いくさ)(いづ)べからず(おそ)らくは(なんぢ)イスラエルの燈光(あかり)()さんと 18(この)(のち)(ふたた)びゴブにおいてペリシテ(びと)(たたかひ)あり(とき)にホシヤ(びと)シベカイ巨人(おほをとこ)子等(こども)一人(ひとり)なるサフを(ころ)せり 19(ここ)(また)ゴブにてペリシテ(びと)(たたかひ)あり其處(そこ)にてベテレヘム(びと)ヤレオレギムの()エルハナン、ガテのゴリアテの兄弟(きやうだい)ラミを(ころ)せり(その)(やり)()(はた)(はり)(ごと)くなりき 20(また)ガテに(たたかひ)ありしが其處(そこ)一人(ひとり)(たけ)(たか)(ひと)あり()には(おのおの)(むつ)(ゆび)あり(あし)には(おのおの)(むつ)(ゆび)ありて(その)(かず)(あは)せて二十四なり(かれ)もまた巨人(おほをとこ)(うめ)(もの)なり 21(かれ)イスラエルを(いど)みしかばダビデに兄弟(きやうだい)シメアの()ヨナタン(かれ)(ころ)せり 22(これ)らの()(にん)はガテにて巨人(おほをとこ)(うめ)るものなりしがダビデの()(その)臣僕(けらい)()(たふ)れたり

第二十二章

1ダビデ、ヱホバが(おのれ)(もろもろ)(てき)()とサウルの()より(すく)ひいだしたまへる()(この)(うた)(ことば)をヱホバに(のべ)たり(いは)2ヱホバはわが(いはほ)わが要害(えうがい)(われ)(すく)(もの) 3わが(いは)(かみ)なりわれ(かれ)倚賴(よりたの)むヱホバはわが(たて)わが(すくひ)(つの)わが(たか)(やぐら)わが逃躱處(のがれば)わが救主(すくひぬし)なり(なんぢ)(われ)をすくひて(あら)(こと)(まぬか)れしめたまふ 4(われ)ほめまつるべきヱホバに(よば)はりてわが(てき)より(すく)はる 5()波涛(なみ)われを(かこ)邪曲(よこしま)なる(もの)(かは)われをおそれしむ 6冥府(よみ)(なは)われをとりまき()機檻(わな)われにのぞめり 7われ艱難(なやみ)のうちにヱホバをよびまたわが(かみ)(よばは)れりヱホバ(その)殿(みや)よりわが(こゑ)をききたまひわが喊呼(さけび)(その)(みみ)にいりぬ 8(ここ)()(ふる)(うご)(てん)(もとゐ)(うご)(ふる)へりそは(かれ)(いか)りたまへばなり 9(けむり)(その)(はな)より(いで)てのぽり()その(くち)より(いで)()きつくしおこれる(すみ)かれより(もえ)いづ 10(かれ)(てん)(かたむ)けて(くだ)りたまふ黑雲(くろくも)その(あし)(した)にあり 11ケルブに(のり)()(かぜ)(つばさ)(うへ)にあらはれ 12(その)周圍(まはり)黑暗(やみ)をおき(あつ)まれる(みづ)密雲(あつきくも)(まく)としたまふ 13そのまへの(ひかり)より(すみ)()(もえ)いづ 14ヱホバ(てん)より(いかづち)をくだし(いと)(たかき)(もの)(こゑ)をいだし 15(また)()をはなちて彼等(かれら)をちらし(いなびかり)をはなちて彼等(かれら)をうちやぶりたまへり 16ヱホバの叱咤(せめ)とその(はな)氣吹(いぶき)(かぜ)によりて(うみ)(そこ)あらはれいで()(もとゐ)あらはになりぬ 17ヱホバ(うへ)より()をたれて(われ)をとり洪水(おほみづ)(うち)より(われ)(ひき)あげ 18またわが(つよ)(てき)および(われ)をにくむ(もの)より(われ)をすくひたまへり彼等(かれら)(われ)よりも(つよ)かりければなり 19彼等(かれら)はわが菑災(わざはひ)()にわれに(のぞ)めりされどヱホバわが支柱(ささへ)となり 20(われ)(ひろ)(ところ)にひきいだしわれを(よろこ)ぶがゆゑに(われ)をすくひたまへり 21ヱホバわが(ただしき)にしたがひて(われ)(むく)(わが)()清潔(きよき)にしたがひて(われ)(かへ)したまへり 22()はわれヱホバの(みち)をまもり(あしき)をなしてわが(かみ)(はなれ)しことなければなり 23その律例(さだめ)(みな)わがまへにあり(その)法憲(のり)(われ)これを(はな)れざるなり 24われ(かみ)にむかひて完全(まつた)かり(また)()(まも)りて(あく)(さけ)たり 25(ゆゑ)にヱホバわが(ただしき)にしたがひ(その)()のまへにわが潔白(きよく)あるに(したが)ひてわれに(むく)いたまへり 26矜恤(めぐみある)(もの)には(なんぢ)矜恤(めぐみ)ある(もの)のごとくし完全(まつたき)(ひと)には(なんぢ)完全(まつたき)(もの)のごとくし 27潔白(きよき)(もの)には(なんぢ)潔白(きよき)もののごとくし邪曲(まがれる)(もの)には(なんぢ)嚴刻(きびしき)(もの)のごとくしたまふ 28(なやめ)(たみ)(なんぢ)これを(すくひ)たまふ(され)矜高(たかぶる)(もの)(なんぢ)()()(これ)(ひくく)したまふ 29ヱホバ(なんぢ)はわが燈火(ともしび)なりヱホバわが(くらき)をてらしたまふ 30われ(なんぢ)によりて軍隊(いくさ)(なか)(かけ)とほりわが(かみ)(より)石垣(いしがき)(とび)こゆ 31(かみ)(その)(みち)まつたしヱホバの(ことば)純粋(まじり)なし(かれ)(すべ)(おのれ)倚賴(よりたの)(もの)(たて)となりたまふ 32(それ)ヱホバのほか(たれ)(かみ)たらん我儕(われら)(かみ)のほか(たれ)(いは)たらん 33(かみ)はわが(つよ)堅衆(しう)にてわが(みち)(まつた)うし 34わが(あし)(めじか)(ごと)くなし(われ)をわが崇邱(たかきところ)(たた)しめたまふ 35(かみ)わが()(たたかひ)(をし)へたまへばわが(うで)(あかがね)(ゆみ)をも(ひく)() 36(なんぢ)(われ)(なんぢ)(すくひ)(たて)(あた)(なんぢ)慈悲(じひ)われを(おほい)ならしめたまふ 37(なんぢ)わが()(した)(あゆみ)恢廓(ひろから)しめたまへば(われ)(くるぶし)ふるへず 38われわが(てき)(おふ)(これ)をほろぼし(これ)(たや)すまではかへらず 39われ彼等(かれら)(たや)彼等(かれら)破碎(くだけ)彼等(かれら)たちえずわが(あし)(した)にたふる 40(なんぢ)(たたかひ)のために(ちから)をもて(われ)(おび)しめ(また)われに(さから)(もの)をわが(した)拝跪(ひざまづか)しめたまふ 41(なんぢ)わが(てき)をして(われ)(うしろ)()せしめたまふ(われ)(にく)(もの)はわれ(これ)をほろぼさん 42彼等(かれら)環視(みまは)せど(すく)(もの)なしヱホバを仰視(あふげ)彼等(かれら)(こたへ)たまはず 43()(ちり)(ごと)くわれ彼等(かれら)をうちくだき(また)衢間(ちまた)(どろ)のごとくわれ彼等(かれら)をふみにぢる 44(なんぢ)われをわが(たみ)爭闘(あらそひ)より(すく)(また)われをまもりて異邦人(ことくにびと)()首長(かしら)となしたまふわが(しら)ざる(たみ)(われ)につかふ 45異邦人(ことくにびと)()(われ)()(みみ)(きく)(ひと)しく(われ)にしたがふ 46異邦人(ことくにびと)()(おとろ)(その)衛所(かため)より戰慄(ふるひ)()47ヱホバは(いけ)(もの)なりわが(いは)(ほむ)べきかなわが(すくひ)(いは)(かみ)はあがめまつるべし 48(この)(かみ)われに(あた)(むく)いしめ國々(くにぐに)(たみ)をわが(した)にくだらしめたまひ 49(また)わが(てき)(うち)よりわれを(いだ)(われ)にさからふ(もの)(うへ)(われ)をあげまた強暴人(あらきひと)(もと)よりわれを(すく)ひいだしたまふ 50是故(このゆえ)にヱホバよわれ異邦人(ことくにびと)()のうちに(なんぢ)をほめ(なんぢ)()(たた)へん 51ヱホバその(わう)(すくひ)をおほいにしその受膏者(あぶらそそぎしもの)なるダビデと(その)(すゑ)永久(とこしなへ)(めぐみ)(ほどこ)したまふなり

第二十三章

1ダビデの最後(をはり)(ことば)(これ)なりヱサイの()ダビデの詔言(のりごと)(すなは)(たか)(あげ)られし(ひと)ヤコブの(かみ)(あぶら)をそそがれし(もの)イスラエルの()(うた)(びと)詔言(のりごと) 2ヱホバの(みたま)わが(うち)にありて(いひ)たまふ(その)諭言(さとし)わが(した)にあり 3イスラエルの(かみ)いひたまふイスラエルの(いは)われに(つげ)たまふ(ひと)(ただし)(をさ)むる(もの)(かみ)(おそ)れて(をさ)むる(もの)4()()(あさ)(ひかり)のごとく(くも)なき(あさ)のごとく(また)(あめ)(のち)()光明(かがやき)によりて()(もえ)いづる(わか)(くさ)ごとし 5わが(いへ)かく(かみ)とともにあるにあらずや(かみ)(よろづ)具備(そなは)りて鞏固(たしか)なる永久(とこしなへ)契約(けいやく)(われ)になしたまへり()(すくひ)(よろこび)(みな)いかで(しやう)ぜしめたまはざらんや 6しかれども(よこしま)なる(もの)荊棘(いばら)のごとくにして()をもて(とり)がたければ(みな)ともにすてられん 7(これ)にふるる(ひと)(てつ)(やり)()とを(その)()(そな)ふべし(これ)()にやけて(やけ)たゆるにいたらん 8是等(これら)はダビデの勇士(ゆうし)()なりタクモニ(びと)ヤシヨベアムは(さん)(にん)(しう)(かしら)なりしが(いち)()(ぴやく)(にん)にむかひて(やり)(ふる)ひて(これ)(ころ)せり 9(かれ)(つぎ)はアホア(びと)ドドの()エルアザルにして(さん)勇士(ゆうし)(うち)(もの)なり(かれ)其處(そこ)(たたか)はんとて(あつ)まれるペリシテ(びと)にむかひて(たたかひ)(いど)みイスラエルの人々(ひとびと)(すす)みのぼれる(とき)にダビデとともに()たりしが 10たちてペリシテ(びと)()(つひ)(その)()(つかれ)(その)()(かたな)固着(つき)(はな)れざるにいたれり(この)()ヱホバ(おほい)なる救拯(すくひ)(おこな)ひたまふ(たみ)(かれ)(あと)にしたがひゆきて(ただ)褫取(はぎとる)而巳(のみ)なりき 11(かれ)(つぎ)はハラリ(びと)アゲの()シヤンマなり(ある)(とき)ペリシテ(びと)一隊(いつたい)となりて(あつ)まれり彼處(かしこ)扁豆(あぢまめ)滿(みち)たる()(ところ)あり(たみ)ペリシテ(びと)のまへより(にげ)たるに 12(かれ)(その)()(なか)(たち)(ふせ)ぎペリシテ(びと)(ころ)せりしかしてヱホバ(おほい)なる救拯(すくひ)(おこな)ひたまふ 13刈穫(かりいれ)(とき)に三十(にん)(しう)首長(かしら)なる(さん)(にん)(くだ)りてアドラムの洞穴(ほらあな)(ゆき)てダビデに(いた)れり(とき)にペリシテ(びと)(たい)レパイムの(たに)(ぢん)どれり 14其時(そのとき)ダビデは要害(えうがい)()りペリシテ(びと)先陣(さきぞなへ)はベテレヘムにあり 15ダビデ(した)ひていひけるは(たれ)かベテレヘムの(もん)にある(ゐど)(みづ)(われ)にのましめんかと 16(さん)勇士(ゆうし)(すなは)ちペリシテ(びと)(ぢん)()(とほり)てベテレヘムの(もん)にある(ゐど)(みづ)(くみ)(とり)てダビデの(もと)(たづさ)(きた)れり(され)どダビデ(これ)をのむことをせずこれをヱホバのまへに(そそ)ぎて 17いひけるはヱホバよ(われ)(きはめ)てこれを(なさ)(これ)生命(いのち)をかけて(ゆき)(ひと)()なりと(かれ)これを(のむ)ことを(この)まざりき(さん)勇士(ゆうし)是等(これら)(こと)(なせ)18ゼルヤの()ヨアブの兄弟(きやうだい)アビシヤイは三十(にん)(しう)(かしら)たり(かれ)(びやく)(にん)にむかひて(やり)(ふる)ひて(ころ)せり(かれ)(その)三十(にん)(しう)(うち)()()たり 19(かれ)は三十(にん)(しう)(うち)(もつと)(たふと)(もの)にして彼等(かれら)(ちやう)とたれり(しかれ)ども(さん)(にん)(しう)には(およ)ばざりき 20ヱホヤダの()カブジエルのベナヤは勇氣(ゆうき)あり(おほ)くの功績(いさほ)ありし(もの)なり(かれ)モアブの(ひと)獅子(しし)(ごと)きもの二人(ふたり)(うち)(ころ)せり(かれ)(また)(ゆき)(とき)(くだ)りて(あな)(なか)にて獅子(しし)(うち)(ころ)せり 21(かれ)また容貌(かたち)魁偉(すぐれ)たるエジプト(びと)(うち)(ころ)せり(その)エジプト(びと)()(やり)(もち)たるに(かれ)(つゑ)(とり)(くだ)りエジプト(びと)()より(やり)(もぎ)とりて(その)(やり)をもてこれを(ころ)せり 22ヱホヤダの()ベナヤ是等(これら)(こと)()し三十勇士(ゆうし)(うち)()()たり 23(かれ)は三十(にん)(しう)(うち)(たふと)かりしかども三(にん)(しう)には(およ)ばざりきダビデかれを參議(さんぎ)(うち)(つらなら)しむ 24三十(にん)(しう)(うち)にはヨアブの兄弟(きやうだい)アサヘル、ベテレヘムのドドの()エルハナン 25ハロデ(びと)シヤンマ、ハロデ(びと)エリカ 26パルデ(びと)ヘレヅ、テコア(びと)イツケシの()イラ 27アネトテ(びと)アビエゼル、ホシヤ(びと)メブンナイ 28アホア(びと)ザルモン、ネトバ(びと)マハライ 29ネトパ(びと)バアナの()ヘレブ、ベニヤミンの子孫(ひとびと)のギベアより(いで)たるリバイの()イツタイ 30ヒラトン(びと)ベナヤ、ガアシの(たに)のヒダイ 31アルパテ(びと)アビアルボン、バホリム(びと)アズマウテ 32シヤルボニ(ひと)エリヤバ、キゾニ(ひと)ヤセン 33ハラリ(びと)シヤンマの()ヨナタン、アラリ(びと)シヤラルの()アヒアム 34ウルの()エリパレテ、マアカ(びと)へペル、ギロ(びと)アヒトペルの()エリアム 35カルメル(びと)ヘヅライ、アルバ(びと)パアライ 36ゾバのナタンの()イガル、ガド(びと)バニ 37アンモニ(びと)ゼレク、ゼルヤの()ヨアブの武器(ぶき)()(もの)ベエロデ(びと)ナハライ 38ヱテリ(びと)イラ、ヱテリ(びと)ガレブ 39ヘテ(びと)ウリヤあり(すべて)三十七(にん)

第二十四章

1ヱホバ(また)イスラエルにむかひて(いかり)(はつ)しダビデを感動(かんどう)して彼等(かれら)敵對(むかは)しめ(ゆき)てイスラエルとユダを(かぞ)へよと(いは)しめたまふ 2(わう)(すなは)ちヨアブおよびヨアブとともにある軍長(ぐんのかしら)(たち)にいひけるは()ふイスラエルの(すべて)支派(わかれ)(うち)をダンよりベエルシバに(いた)るまで(ゆき)めぐりて(たみ)(しら)(われ)をして(たみ)(かず)(しら)しめよ 3ヨアブ(わう)にいひけるは幾何(いくばく)あるともねがはくは(なんぢ)(かみ)ヱホバ(たみ)(ひやく)(ばい)(まし)たまへ(しか)して(わう)わが(しゆ)()それを()るにいたれ(しか)りといへども(わう)わが(しゆ)此事(このこと)(よろこ)びたまふは何故(なにゆゑ)ぞやと 4されど(わう)(ことば)ヨアブと軍長(ぐんのかしら)(たち)(かち)ければヨアブと軍長(ぐんのかしら)(たち)(わう)(まへ)退(しりぞ)きてイスラエルの(たみ)(しら)べに(ゆけ)5かれらヨルダンを(わた)りアロエルより(すなは)(かは)(なか)(まち)より(はじ)めてガドにいたりヤゼルにいたり 6ギレアデにいたりタテムホデシの()にいたり(また)ダニヤンにいたりてシドンに(めぐ)7またツロの(しろ)にいたりヒビ(びと)とカナン(びと)(すべて)(まち)にいたりユダの(みなみ)(いで)てベエルシバにいたれり 8彼等(かれら)(くに)(あまね)(ゆき)めぐり(ここの)(つき)廿日(はつか)()てルサレムに(いた)りぬ 9ヨアブ人口(じんこう)(かず)(わう)(つげ)たり(すなは)ちイスラエルに(かたな)()壯士(つはもの)八十(まん)ありき(また)ユダの(ひと)は五十(まん)ありき 10ダビデ(たみ)(かず)(かき)(のち)其心(そのこころ)(みづか)()(ここ)においてダビデ、ヱホバにいふ(われ)これを()して(おほい)(つみ)(をか)したりねがはくはヱホバよ(しもべ)(つみ)(のぞ)きたまへ(われ)(はなは)(おろか)なる(こと)(なせ)りと 11ダビデ(あさ)(おき)(とき)ヱホバの(ことば)ダビデの先見者(せんけんしや)なる預言(よげん)(しや)ガデに(のぞ)みて(いは)12(ゆき)てダビデに()へヱホバ(かく)いふ(われ)(なんぢ)(みつ)(しめ)(なんぢ)(その)(ひとつ)(えら)(われ)(それ)(なんぢ)(なさ)んと 13ガデ、ダビデの(もと)にいたりこれに(つげ)てこれにいひけるは(なんぢ)(くに)に七(ねん)饑饉(ききん)いたらんか(あるひ)(なんぢ)(てき)(おは)れて三月(みつき)(その)(まへ)(にげ)んか(あるひ)(なんぢ)(くに)三日(みつか)疫病(やくびやう)あらんか(なんぢ)(かんが)へてわが如何(いか)なる(こたへ)(われ)(つか)はせし(もの)(なす)べきかを(さだ)めよ 14ダビデ、ガデにいひけるは(われ)(おほい)(くる)しむ()我儕(われら)をしてヱホバの()(おちい)らしめよ(その)憐憫(あはれみ)(おほい)なればなり(われ)をして(ひと)()(おちい)らしむるなかれ 15(ここ)においてヱホバ(あさ)より集會(あつまり)(とき)まで疫病(やくびやう)をイスラエルに(くだ)したまふダンよりベエルシバまでに(たみ)(しね)(もの)萬人(まんにん)なり 16(てん)使(つかひ)(その)()をエルサレムに(のべ)てこれを(ほろぼ)さんとしたりしがヱホバ(これ)(がい)(あく)(くい)(たみ)(ほろぼ)天使(てんのつかひ)にいひたまひけるは(たれ)(いま)(なんぢ)()(とど)めよと(とき)にヱホバの使(つかひ)はヱブス(びと)アラウナの禾場(うちば)(かたはら)にあり 17ダビデ(たみ)()天使(てんのつかひ)()(とき)ヱホバに(まう)していひけるは嗚呼(ああ)(われ)(つみ)(をか)したり(われ)(あし)(こと)(なし)たり(しかれ)ども是等(これら)羊群(ひつじ)(なに)(なし)たるや()(なんぢ)()(われ)とわが(ちち)(いへ)(むけ)たまへと 18(この)()ガデ、ダビデの(ところ)にいたりてかれにいひけるは(のぼ)りてヱブス(びと)アラウナの禾場(うちば)にてヱホバに(だん)(たて)19ダビデ、ガデの(ことば)(したが)ひヱホバの(めい)じたまひしごとくのぼれり 20アラウナ觀望(のぞみ)(わう)(その)臣僕(しもべ)(おのれ)(かた)(すす)(きた)るを()アラウナ(いで)(わう)のまへに()(ふし)(はい)せり 21かくてアラウナいひけるは(なに)(より)てか(わう)わが(しゆ)(しもべ)(ところ)にきませるやダビデひけるは(なんぢ)より禾場(うちば)()ひとりヱホバに(だん)(きづ)きて(たみ)(くだ)(わざはひ)をとどめんとてなり 22アラウナ、ダビデにいひけるはねがはくは(わう)わが(しゆ)(その)()(よし)()ゆるものを(とり)(ささ)げたまへ燔祭(はんさい)には(うし)あり(たきぎ)には打禾車(うちぐるま)(うし)(うつは)ありと 23アラリナこれを(ことごと)(わう)奉呈(ささ)ぐアラウナ(また)(わう)にねがはくは(なんぢ)(かみ)ヱホバ(なんぢ)受納(うけいれ)たまはんことをといふ 24(わう)アラウナにいひけるは(かく)すべからず(われ)(かなら)(あたひ)をはらひて(なんぢ)より(かひ)とらん(われ)(つひえ)なしに燔祭(はんさい)をわが(かみ)ヱホバに(ささ)ぐることをせじとダビデ(ぎん)五十(ごじふ)シケルにて禾場(うちば)(うし)(かひ)とれり 25ダビデ其處(そこ)にてヱホバに(だん)(きづ)燔祭(はんさい)酬恩祭(しうおんさい)(ささ)げたり(ここ)においてヱホバ(その)()のために祈祷(いのり)(きき)たまひて(わざはひ)のイスラエルに(くだ)ること(とどま)りぬ