詩篇
第一篇
1惡きものの謀略にあゆまず つみびとの途にたたず 嘲るものの座にすわらぬ者はさいはひなり
2かかる人はヱホバの法をよろこびて日も夜もこれをおもふ
3かかる人は水流のほとりにうゑし樹の期にいたりて實をむすび 葉もまた凋まざるごとく その作ところ皆さかえん
4あしき人はしからず 風のふきさる粃糠のごとし
5然ばあしきものは審判にたへず罪人は義きものの會にたつことを得ざるなり
6そはヱホバはただしきものの途をしりたまふ されど惡きものの途はほろびん
第二篇
1何なればもろもろの國人はさわぎたち諸民はむなしきことを謀るや
2地のもろもろの王はたちかまへ群伯はともに議り ヱホバとその受膏者とにさからひていふ
3われらその械をこぼち その繩をすてんと
4天に坐するもの笑ひたまはん 主かれらを嘲りたまふべし
5かくて主は忿恚をもてものいひ大なる怒をもてかれらを怖まどはしめて宣給ふ
6しかれども我わが王をわがきよきシオンの山にたてたりと
7われ詔命をのべんヱホバわれに宣まへり なんぢはわが子なり今日われなんぢを生り
8われに求めよ さらば汝にもろもろの國を嗣業としてあたへ地の極をなんぢの有としてあたへん
9汝くろがねの杖をもて彼等をうちやぶり陶工のうつはもののごとくに打碎かんと
10されば汝等もろもろの王よ さとかれ地の審士輩をしへをうけよ
11畏をもてヱホバにつかへ戰慄をもてよろこべ
12子にくちつけせよ おそらくはかれ怒をはなちなんぢら途にほろびんその忿恚はすみやかに燃べければなり すべてかれに依賴むものは福ひなり
第三篇
ダビデその子アブサロムを避しときのうた
1ヱホバよ我にあたする者のいかに蔓延れるや 我にさからひて起りたつもの多し
2わが霊魂をあげつらひて かれは神にすくはるることなしといふ者ぞおほきセラ
3されどヱホバよ なんぢは我をかこめる盾わが榮わが首をもたげ給ふものなり
4われ聲をあげてヱホバによばはればその聖山より我にこたへたまふセラ
5われ臥していね また目さめたり ヱホバわれを支へたまへばなり
6われをかこみて立かまへたる千萬の人をも我はおそれじ
7ヱホバよねがはくは起たまへ わが神よわれを救ひたまへ なんぢ曩にわがすべての仇の頬骨をうち惡きものの歯ををりたまへり
8救はヱホバにあり ねがはくは恩惠なんぢの民のうへに在んことをセラ
第四篇
琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
1わが義をまもりたまふ神よ ねがはくはわが呼るときに答へたまへ わがなやみたる時なんぢ我をくつろがせたまへり ねがはくは我をあはれみ わが祈をききたまへ
2人の子よなんぢらわが榮をはぢしめて幾何時をへんとするか なんぢらむなしき事をこのみ虚偽をしたひていくそのときを經んとするかセラ
3然どなんぢら知れ ヱホバは神をうやまふ人をわかちて己につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば聽たまはん
4なんぢら愼みをののきて罪ををかすなかれ 臥床にておのが心にかたりて默せセラ
5なんぢら義のそなへものを献てヱホバに依賴め
6おほくの人はいふたれか嘉事をわれらに見するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖顔の光をわれらの上にのぼらせたまへ
7なんぢのわが心にあたへたまひし歓喜はかれらの穀物と酒との豊かなる時にまさりき
8われ安然にして臥またねぶらん ヱホバよわれを獨にて坦然にをらしむるものは汝なり
第五篇
簫にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよねがはくは我がことばに耳をかたむけ わが思にみこころを注たまへ
2わが王よわが神よ わが號呼のこゑをききたまへ われ汝にいのればなり
3ヱホバよ朝になんぢわが聲をききたまはん 我あしたになんぢの爲にそなへして俟望むべし
4なんぢは惡きことをよろこびたまふ神にあらず 惡人はなんぢの賓客たるを得ざるなり
5たかぶる者はなんぢの目前にたつをえず なんぢはすべて邪曲をおこなふものを憎みたまふ
6なんぢは虚偽をいふ者をほろぼしたまふ 血をながすものと詭計をなすものとは ヱホバ憎みたまふなり
7然どわれは豊かなる仁慈によりてなんぢの家にいらん われ汝をおそれつつ聖宮にむかひて拝まん
8ヱホバよ願くはわが仇のゆゑになんぢの義をもて我をみちびき なんぢの途をわが前になほくしたまへ
9かれらの口には眞實なく その衷はよこしま その喉はあばける墓 その舌はへつらひをいへばなり
10神よねがはくはかれらを刑なひ その謀略によりてみづから仆れしめ その愆のおほきによりて之をおひいだしたまへ かれらは汝にそむきたればなり
11されど凡てなんぢに依賴む者をよろこばせ永遠によろこびよばはらせたまへ なんぢ斯る人をまもりたまふなり 名をいつくしむ者にもなんぢによりて歓喜をえしめたまへ
12ヱホバよなんぢに義者にさいはひし盾のごとく恩惠をもて之をかこみたまはん
第六篇
八音ある琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ烈しき怒をもて我をこらしめたまふなかれ
2ヱホバよわれを憐みたまへ われ萎みおとろふなり ヱホバよ我を醫したまへ わが骨わななきふるふ
3わが霊魂さへも甚くふるひわななく ヱホバよかくて幾何時をへたまふや
4ヱホバよ歸りたまへ わがたましひを救ひたまへ なんぢの仁慈の故をもて我をたすけたまへ
5そは死にありては汝をおもひいづることなし 陰府にありては誰かなんぢに感謝せん
6われ歎息にてつかれたり 我よなよな床をただよはせ涙をもてわが衾をひたせり
7わが目うれへによりておとろへ もろもろの仇ゆゑに老ぬ
8なんぢら邪曲をおこなふ者ことごとく我をはなれよ ヱホバはわが泣こゑをききたまひたり
9ヱホバわが懇求をききたまへり ヱホバわが祈をうけたまはん
10わがもろもろの仇ははぢて大におぢまどひ あわただしく恥てしりぞきぬ
第七篇
ベニヤミンの人クシの言につきダビデ、ヱホバに對ひてうたへるシガヨンの歌
1わが神ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはすべての逐せまるものより我をすくひ我をたすけたまへ
2おそらくはかれ獅の如くわが霊魂をかきやぶり援るものなき間にさきてずたずたに爲ん
3わが神ヱホバよ もしわれ此事をなししならんには わが手によこしまの纏りをらんには
4故なく仇ずるものをさへ助けしに禍害をもてわが友にむくいしならんには
5よし仇人わがたましひを逐とらへ わが生命をつちにふみにじりわが榮を塵におくとも その作にまかせよセラ
6ヱホバよなんぢの怒をもて起わが仇のいきどほりにむかひて立たまへ わがために目をさましたまへ なんぢは審判をおほせ出したまへり
7もろもろの國人の會がなんぢのまはりに集はしめ 其上なる高座にかへりたまへ
8ヱホバはもろもろの民にさばきを行ひたまふ ヱホバよわが正義とわが衷なる完全とにしたがひて我をさばきたまへ
9ねがはくは惡きものの曲事をたちて義しきものを堅くしたまへ ただしき神は人のこころと腎とをさぐり知たまふ
10わが盾をとるものは心のなほきものをすくふ神なり
11神はただしき審士ひごとに忿恚をおこしたまふ神なり
12人もしかへらずば神はその劍をとぎ その弓をはりてかまへ
13これに死の器をそなへ その矢に火をそへたまはん
14視よその人はよこしまを產んとしてくるしむ 殘害をはらみ虚偽をうむなり
15また坑をほりてふかくし己がつくれるその溝におちいれり
16その殘害はおのが首にかへり その強暴はおのが頭上にくだらん
17われその義によりてヱホバに感謝し いとたかきヱホバの名をほめうたはん
第八篇
ギデトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
1われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな その榮光を天におきたまへり
2なんぢは嬰兒ちのみごの口により力の基をおきて敵にそなへたまへり こは仇人とうらみを報るものを鎭靜めんがためなり
3我なんぢの指のわざなる天を觀なんぢの設けたまへる月と星とをみるに
4世人はいかなるものなればこれを聖念にとめたまふや 人の子はいかなるものなればこれを顧みたまふや
5只すこしく人を神よりも卑つくりて榮と尊貴とをかうぶらせ
6またこれに手のわざを治めしめ萬物をその足下におきたまへり
7すべての羊うしまた野の獣
8そらの鳥うみの魚もろもろの海路をかよふものをまで皆しかなせり
9われらの主ヱホバよなんぢの名は地にあまねくして尊きかな
第九篇
ムツラベン(調子の名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
1われ心をつくしてヱホバに感謝し そのもろもろの奇しき事迹をのべつたへん
2われ汝によりてたのしみ且よろこばん 至上者よなんぢの名をほめうたはん
3わが仇しりぞくとき躓きたふれて御前にほろぶ
4なんぢわが義とわが訟とをまもりたまへばなり なんぢはだしき審判をしつつ寳座にすわりたまへり
5またもろもろの國をせめ惡きものをほろぼし 世々かぎりなくかれらが名をけしたまへり
6仇はたえはてて世々あれすたれたり 汝のくつがへしたまへるもろもろの邑はうせてその跡だにもなし
7ヱホバはとこしへに聖位にすわりたまふ 審判のためにその寳座をまうけたまひたり
8ヱホバは公義をもて世をさばき 直をもてもろもろの民に審判をおこなひたまはん
9ヱホバは虐げらるるものの城また難みのときの城なり
10聖名をしるものはなんぢに依賴ん そはヱホバよなんぢを尋るものの棄られしこと斷てなければなり
11シオンに住たまふヱホバに對ひてほめうたへ その事迹をもろもろの民のなかにのべつたへよ
12血を問糺したまふものは苦しむものを心にとめてその號呼をわすれたまはず
13ヱホバよ我をあはれみたまへ われを死の門よりすくひいだしたまへる者よ ねがはくは仇人のわれを難むるを視たまへ
14さらば我なんぢのすべての頌美をのぶるを得またシオンのむすめの門にてなんぢの救をよろこばん
15もろもろの國民はおのがつくれる阱におちいり そのかくしまうけたる網におのが足をとらへらる
16ヱホバは己をしらしめ審判をおこなひたまへり あしき人はおのが手のわざなる羂にかかれり ヒガイオン セラ
17あしき人は陰府にかへるべし 神をわするるもろもろの國民もまたしからん
18貧者はつねに忘らるるにあらず苦しむものの望はとこしへに滅ぶるにあらず
19ヱホバよ起たまへ ねがはくは勝を人にえしめたまふなかれ御前にてもろもろのくにびとに審判をうけしめたまヘ
20ヱホバよ願くはかれらに懼をおこさしめたまへ もろもろの國民におのれただ人なることを知しめたまヘセラ
第十篇
1ああヱホバよ何ぞはるかに立たまふや なんぞ患難のときに匿れたまふや
2あしき人はたかぶりて苦しむものを甚だしくせむ かれらをそのくはだての謀略にとらはれしめたまへ
3あしきひとは己がこころの欲望をほこり貪るものを祝してヱホバをかろしむ
4あしき人はほこりかにいふ 神はさぐりもとむることをせざるなりと 凡てそのおもひに神なしとせり
5かれの途はつねに堅く なんぢの審判はその眼よりはなれてたかし 彼はそのもろもろの敵をくちさきらにて吹く
6かくて己がこころの中にいふ 我うごかさるることなく世々われに禍害なかるべしと
7その口にはのろひと虚偽としへたげとみち その舌のしたには殘害とよこしまとあり
8かれは村里のかくれたる處にをり隠やかなるところにて罪なきものをころす その眼はひそかに倚仗なきものをうかがひ
9窟にをる獅のごとく潜みまち苦しむものをとらへんために伏ねらひ 貧しきものをその網にひきいれてとらふ
10また身をかがめて蹲まるその強勁によりて依仗なきものは仆る
11かれ心のうちにいふ 神はわすれたり神はその面をかくせり神はみることなかるべしと
12ヱホバよ起たまへ 神よ手をあげたまへ 苦しむものを忘れたまふなかれ
13いかなれば惡きもの神をいやしめて心中になんぢ探求むることをせじといふや
14なんぢは鍳たまへりその殘害と怨恨とを見てこれに手をくだしたまへり 倚仗なきものは身をなんぢに委ぬ なんぢは昔しより孤子をたすけたまふ者なり
15ねがはくは惡きものの臂ををりたまへあしきものの惡事を一つだにのこらぬまでに探究したまへ
16ヱホバはいやとほながに王なり もろもろの國民はほろびて神の國より跡をたちたり
17ヱホバよ汝はくるしむものの懇求をききたまへり その心をかたくしたまはん なんぢは耳をかたぶけてきき
18孤子と虐げらる者とのために審判をなし地につける人にふたたび恐嚇をもちひざらしめ給はん
第十一篇
うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
1われヱホバに依賴めり なんぢら何ぞわが霊魂にむかひて鳥のごとくなんぢの山にのがれよといふや
2視よあしきものは暗處にかくれ心なほきものを射んとて弓をはり絃に矢をつがふ
3基みなやぶれたらんには義者なにをなさんや
4ヱホバはその聖宮にいます ヱホバの寳座は天にありその目はひとのこを鑒 その眼瞼はかれらをこころみたまふ
5ヱホバは義者をこころむ そのみこころは惡きものと強暴をこのむ者とをにくみ
6羂をあしきもののうへに降したまはん火と硫磺ともゆる風とはかれらの酒杯にうくべきものなり
7ヱホバはただしき者にして義きことを愛したまへばなり 直きものはその聖顔をあふぎみん
第十二篇
八音にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ああヱホバよ助けたまへ そは神をうやまふ人はたえ誠あるものは人の子のなかより消失るなり
2人はみな虚偽をもてその隣とあひかたり滑なるくちびると貳心とをもてものいふ
3ヱホバはすべての滑なるくちびると大なる言をかたる舌とをほろぼし給はん
4かれらはいふ われら舌をもて勝をえん この口唇はわがものなり誰かわれらに主たらんやと
5ヱホバのたまはく 苦しむもの掠められ貧しきもの歎くがゆゑに我いま起てこれをその慕ひもとむる平安におかん
6ヱホバの言はきよきことばなり 地にまうけたる爐にてねり七次きよめたる白銀のごとし
7ヱホバよ汝はかれらをまもり之をたすけてとこしへにこの類より免れしめたまはん
8人の子のなかに穢しきことの崇めらるるときは惡者ここやかしこにあるくなり
第十三篇
伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ああヱホバよ かくて幾何時をへたまふや 汝とこしへに我をわすれたまふや 聖顔をかくしていくそのときを歴たまふや
2われ心のうちに終日かなしみをいだき籌畫をたましひに用ひて幾何時をふべきか わが仇はわがうへに崇められて幾何時をふべきか
3わが神ヱホバよ我をかへりみて答をなしたまへ わが目をあきらかにしたまへ 恐らくはわれ死の睡につかん
4おそらくはわが仇いはん 我かれに勝りと おそらくはわが敵わがうごかさるるによりて喜ばん
5されど我はなんぢの憐憫によりたのみ わが心はなんぢの救によりてよろこばん
6ヱホバはゆたかに我をあしらひたまひたれば われヱホバに對ひてうたはん
第十四篇
うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
1愚なるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたり かれらは憎むべき事をなせり 善をおこなふ者なし
2ヱホバ天より人の子をのぞみみて悟るもの神をたづぬる者ありやと見たまひしに
3みな逆きいでてことごとく腐れたり 善をなすものなし一人だになし
4不義をおこなふ者はみな智覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ またヱホバをよぶことをせざるなり
5視よかかる時かれらは大におそれたり 神はただしきものの類のなかに在せばなり
6なんぢらは苦しめるものの謀略をあなどり辱かしむ されどヱホバはその避所なり
7ねがはくはシオンよりイスラエルの救のいでんことを ヱホバその民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
第十五篇
ダビデのうた
1ヱホバよなんぢの帷幄のうちにやどらん者はたれぞ なんぢの聖山にすまはんものは誰ぞ
2直くあゆみ義をおこなひ そのこころに眞實をいふものぞその人なる
3かかる人は舌をもてそしらず その友をそこなはず またその隣をはぢしむる言をあげもちひず
4惡にしづめるものを見ていとひかろしめ ヱホバをおそるるものをたふとび 誓ひしことはおのれに禍害となるも變ることなし
5貨をかして過たる利をむさぼらず 賄賂をいれて無辜をそこなはざるなり 斯ることどもを行ふものは永遠にうごかさるることなかるべし
第十六篇
ダビデがミクタムの歌
1神よねがはくは我を護りたまへ 我なんぢに依賴む
2われヱホバにいへらくなんぢはわが主なり なんぢのほかにわが福祉はなしと
3地にある聖徒はわが極めてよろこぶ勝れしものなり
4ヱホバにかへて他神をとるものの悲哀はいやまさん 我かれらがささぐる血の御酒をそそがず その名を口にとなふることをせじ
5ヱホバはわが嗣業またわが酒杯にうくべき有なり なんぢはわが所領をまもりたまはん
6準繩はわがために樂しき地におちたり 宜われよき嗣業をえたるかな
7われは訓諭をさづけたまふヱホバをほめまつらん 夜はわが心われををしふ
8われ常にヱホバをわが前におけり ヱホバわが右にいませばわれ動かさるることなかるべし
9このゆゑにわが心はたのしみ わが榮はよろこぶ わが身もまた平安にをらん
10そは汝わがたましひを陰府にすておきたまはず なんぢの聖者を墓のなかに朽しめたまはざる可ればなり
11なんぢ生命の道をわれに示したまはん なんぢの前には充足るよろこびあり なんぢの右にはもろもろの快樂とこしへにあり
第十七篇
ダビデの祈祷
1ああヱホバよ公義をききたまへ わが哭聲にみこころをとめたまへ いつはりなき口唇よりいづる我がいのりに耳をかたぶけたまへ
2ねがはくはわが宣告みまへよりいでてなんぢの目公平をみたまはんことを
3なんぢわが心をこころみ また夜われにのぞみたまへり 斯てわれを糺したまへど我になにの惡念あるをも見出たまはざりき わが口はつみを犯すことなからん
4人の行爲のことをいはば我なんぢのくちびるの言によりて暴るものの途をさけたり
5わが歩はかたくなんぢの途にたちわが足はよろめくことなかりき
6神よなんぢ我にこたへたまふ 我なんぢをよべり ねがはくは汝の耳をかたぶけてわが陳るところをききたまへ
7なんぢに依賴むものを右手をもて仇するものより救ひたまふ者よ ねがはくはなんぢの妙なる仁慈をあらはしたまへ
8願くはわれを瞳のごとくにまもり汝のつばさの蔭にかくし
9我をなやむるあしき者また我をかこみてわが命をそこなはんとする仇よりのがれしめ給へ
10かれらはおのが心をふさぎ その口をもて誇かにものいへり
11いづこにまれ往ところにてわれらを打圍み われらを地にたふさんと目をとむ
12かれは抓裂んといらだつ獅のごとく隠やかなるところに潜みまつ壯獅のごとし
13ヱホバよ起たまへ ねがはくはかれに立對ひてこれをたふし御劍をもて惡きものよりわが霊魂をすくひたまへ
14ヱホバよ手をもて人より我をたすけいだしたまへ おのがうくべき有をこの世にてうけ 汝のたからにてその腹をみたさるる世人より我をたすけいだし給へ かれらはおほくの子にあきたり その富ををさなごに遺す
15されどわれは義にありて聖顔をみ目さむるとき容光をもて飽足ることをえん
第十八篇
伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデの歌、このうたの詞はもろもろの仇およびサウルの手より救れしときヱホバに對ひてうたへるなり 云く
1ヱホバわれの力よ われ切になんぢを愛しむ
2ヱホバはわが巌 わが城 われをすくふ者 わがよりたのむ神 わが堅固なるいはほ わが盾 わがすくひの角 わがたかき櫓なり
3われ讃稱ふべきヱホバをよびて仇人よりすくはるることをえん
4死のつな我をめぐり惡のみなぎる流われをおそれしめたり
5陰間のなは我をかこみ死のわな我にたちむかへり
6われ窮苦のうちにありてヱホバをよび又わが神にさけびたり ヱホバはその宮よりわが聲をききたまふ その前にてわがよびし聲はその耳にいれり
7このときヱホバ怒りたまひたれば地はふるひうごき山の基はゆるぎうごきたり
8烟その鼻よりたち火その口よりいでてやきつくし炭はこれがために燃あがれり
9ヱホバは天をたれて臨りたまふ その足の下はくらきこと甚だし
10かくてケルブに乗りてとび風のつばさにて翔り
11闇をおほひとなし水のくらきとそらの密雲とをそのまはりの幕となしたまへり
12そのみまへの光輝よりくろくもをへて雹ともえたる炭とふりきたれり
13ヱホバは天に雷鳴をとどろかせたまへり 至上者のこゑいでて雹ともえたる炭とふりきたり
14ヱホバ矢をとばせてかれらを打ちらし數しげき電光をはなちてかれらをうち敗りたまへり
15ヱホバよ斯るときになんぢの叱咤となんぢの鼻のいぶきとによりて水の底みえ地の基あらはれいでたり
16ヱホバはたかきより手をのべ我をとりて大水よりひきあげ
17わがつよき仇とわれを憎むものとより我をたすけいだしたまへり かれらは我にまさりて最強かりき
18かれらはわが災害の日にせまりきたれり 然どヱホバはわが支柱となりたまひき
19ヱホバはわれを悦びたまふがゆゑにわれをたづさへ廣處にだして助けたまへり
20ヱホバはわが正義にしたがひて恩賜をたまひ わが手のきよきにしたがひて報賞をたれたまへり
21われヱホバの道をまもり惡をなしてわが神よりはなれしことなければなり
22そのすべての審判はわがまへにありて われその律法をすてしことなければなり
23われ神にむかひて缺るところなく己をまもりて不義をはなれたり
24この故にヱホバはわがただしきとその目前にわが手のきよきとにしたがひて我にむくいをなし給へり
25なんぢ憐憫あるものには憐みあるものとなり完全ものには全きものとなり
26きよきものには潔きものとなり僻むものにはひがむ者となりたまふ
27そは汝くるしめる民をすくひたまへど高ぶる目をひくくしたまふ可ればなり
28なんぢわが燈火をともし給ふべければなり わが神ヱホバわが暗をてらしたまはん
29我なんぢによりて軍の中をはせとほり わが神によりて垣ををどりこゆ
30神はしもその途またくヱホバの言はきよし ヱホバはすべて依賴むものの盾なり
31そはヱホバのほかに神はたれぞや われらの神のほかに巌はたれぞや
32神はちからをわれに帶しめ わが途を全きものとなしたまふ
33神はわが足を麀のあしのごとくし我をわが高處にたたせたまふ
34神はわが手をたたかひにならはせてわが臂に銅弓をひくことを得しめたまふ
35又なんぢの救の盾をわれにあたへたまへり なんぢの右手われをささへなんぢの謙卑われを大ならしめたまへり
36なんぢわが歩むところを寛濶ならしめたまひたれば わが足ふるはざりき
37われ仇をおひてこれに追及かれらのほろぶるまでは歸ることをせじ
38われかれらを撃てたつことを得ざらしめん かれらはわが足の下にたふるべし
39そはなんぢ戰爭のために力をわれに帶しめ われにさからひておこりたつ者をわが下にかがませたまひたればなり
40我をにくむ者をわが滅しえんがために汝またわが仇の背をわれにむけしめ給へり
41かれら叫びたれども救ふものなく ヱホバに對ひてさけびたれども答へたまはざりき
42我かれらを風のまへの塵のごとくに搗碎き ちまたの坭のごとくに打棄たり
43なんぢわれを民のあらそひより助けいだし我をたててもろもろの國の長となしたまへり わがしらざる民われにつかへん
44かれらわが事をききて立刻われにしたがひ異邦人はきたりて佞りつかへん
45ことくにびとは衰へてその城よりをののきいでん
46ヱホバは活ていませり わが磐はほむべきかな わがすくひの神はあがむべきかな
47わがために讎をむくい異邦人をわれに服はせたまふはこの神なり
48神はわれを仇よりすくひたまふ實になんぢは我にさからひて起りたつ者のうへに我をあげ あらぶる人より我をたすけいだし給ふ
49この故にヱホバよ われもろもろの國人のなかにてなんぢに感謝し なんぢの名をほめうたはん
50ヱホバはおほいなる救をその王にあたへ その受膏者ダビデとその裔とに世々かぎりなく憐憫をたれたまふ
第十九篇
うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
1もろもろの天は神のえいくわうをあらはし 穹蒼はその手のわざをしめす
2この日ことばをかの日につたへこのよ知識をかの夜におくる
3語らずいはずその聲きこえざるに
4そのひびきは全地にあまねく そのことばは地のはてにまでおよぶ 神はかしこに帷幄を日のためにまうけたまへり
5日は新婿がいはひの殿をいづるごとく勇士がきそひはしるをよろこぶに似たり
6そのいでたつや天の涯よりし その運りゆくや天のはてにいたる 物としてその和喣をかうぶらざるはなし
7ヱホバの法はまたくして霊魂をいきかへらしめ ヱホバの證詞はかたくして愚なるものを智からしむ
8ヱホバの訓諭はなほくして心をよろこばしめ ヱホバの誡命はきよくして眼をあきらかならしむ
9ヱホバを惶みおそるる道はきよくして世々にたゆることなく ヱホバのさばきは眞實にしてことごとく正し
10これを黄金にくらぶるもおほくの純精金にくらぶるも 彌増りてしたふべく これを蜜にくらぶるも蜂のすの滴瀝にくらぶるもいやまさりて甘し
11なんぢの僕はこれらによりて儆戒をうく これらをまもらば大なる報賞あらん
12たれかおのれの過失をしりえんや ねがはくは我をかくれたる愆より解放ちたまへ
13願くはなんぢの僕をひきとめて故意なる罪ををかさしめず それをわが主たらしめ給ふなかれ さればわれ玷なきものとなりて大なる愆をまぬかるるをえん
14ヱホバわが磐わが贖主よ わがくちの言わがこころの思念なんぢのまへに悦ばるることを得しめたまへ
第二十篇
伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ねがはくはヱホバなやみの日になんぢにこたヘヤユブのかみの名なんぢを高にあげ
2聖所より援助をなんぢにおくりシオンより能力をなんぢにあたへ
3汝のもろもろの献物をみこころにとめ なんぢの燔祭をうけたまはんことをセラ
4ねがはくはなんちがこころの願望をゆるし なんぢの謀略をことごとく遂しめたまはんことを
5我儕なんぢの救によりて歓びうたひ われらの神の名によりて旗をたてん ねがはくはヱホバ汝のもろもろの求をとげしめたまはんことを
6われ今ヱホバその受膏者をすくひたまふを知る ヱホバそのきよき天より右手なるすくひの力にてかれに應へたまはん
7あるひは車をたのみあるひは馬をたのみとする者あり されどわれらはわが神ヱホバの名をとなへん
8かれらは屈みまた仆るわれらは起てかたくたてり
9ヱホバよ王をすくひたまへ われらがよぶとき應へたまへ
第二十一篇
伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよ王はなんぢの力によりてたのしみ汝のすくひによりて奈何におほいなる歓喜をなさん
2なんぢ彼がこころの願望をゆるし そのくちびるの求をいなみ給はざりきセラ
3そはよきたまものの惠をもてかれを迎へ まじりなきこがねの冕弁をもてかれの首にいただかせ給ひたり
4かれ生命をもとめしに汝これをあたへてその齢の日を世々かぎりなからしめ給へり
5なんぢの救によりてその榮光おほいなり なんぢは尊貴と稜威とをかれに衣せたまふ
6そは之をとこしへに福ひなるものとなし聖顔のまへの歓喜をもて樂しませたまへばなり
7王はヱホバに依賴み いとたかき者のいつくしみを蒙るがゆゑに動かさるることなからん
8なんぢの手はそのもろもろの仇をたづねいだし 汝のみぎの手はおのれを憎むものを探ねいだすべし
9なんぢ怒るときは彼等をもゆる爐のごとくにせんヱホバはげしき怒によりてかれらを呑たまはん 火はかれらを食つくさん
10汝かれらの裔を地よりほろぼし かれらの種を人の子のなかよりほろぼさん
11かれらは汝にむかひて惡事をくはだて遂がたき謀略をおもひまはせばなり
12汝かれらをして背をむけしめ その面にむかひて弓絃をひかん
13ヱホバよ能力をあらはしてみづからを高くしたまへ 我儕はなんぢの稜威をうたひ且ほめたたへん
第二十二篇
あけぼのの鹿の調にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの歌
1わが神わが神なんぞ我をすてたまふや 何なれば遠くはなれて我をすくはず わが歎きのこゑをきき給はざるか
2ああわが神われ晝よばはれども汝こたへたまはず 夜よばはれどもわれ平安をえず
3然はあれイスラエルの讃美のなかに住たまふものよ汝はきよし
4われらの列祖はなんぢに依賴めり かれら依賴みたればこれを助けたまへり
5かれら汝をよびて援をえ汝によりたのみて恥をおへることなかりき
6然はあれどわれは蟲にして人にあらず 世にそしられ民にいやしめらる
7すべてわれを見るものはわれをあざみわらひ 口唇をそらし首をふりていふ
8かれはヱホバによりたのめりヱホバ助くべし ヱホバかれを悦びたまふが故にたすくべしと
9されど汝はわれを胎内よりいだし給へるものなり わが母のふところにありしとき旣になんぢに依賴ましめたまへり
10我うまれいでしより汝にゆだねられたり わが母われを生しときより汝はわが神なり
11われに遠ざかりたまふなかれ 患難ちかづき又すくふものなければなり
12おほくの牡牛われをめぐりバサンの力つよき牡牛われをかこめり
13かれらは口をあけて我にむかひ物をかきさき吼うだく獅のごとし
14われ水のごとくそそぎいだされ わがもろもろの骨ははづれ わが心は蝋のごとくなりて腹のうちに鎔たり
15わが力はかわきて陶器のくだけのごとく わが舌は齶にひたつけり なんぢわれを死の塵にふさせたまへり
16そは犬われをめぐり惡きものの群われをかこみてわが手およびわが足をさしつらぬけり
17わが骨はことごとく數ふるばかりになりぬ 惡きものの目をとめて我をみる
18かれらたがひにわが衣をわかち我がしたぎを鬮にす
19ヱホバよ遠くはなれ居たまふなかれ わが力よねがはくは速きたりてわれを授けたまへ
20わがたましひを劍より助けいだし わが生命を犬のたけきいきほひより脱れしめたまへ
21われを獅の口また野牛のつのより救ひいだしたまへ なんぢ我にこたへたまへり
22われなんぢの名をわが兄弟にのべつたへ なんぢを會のなかにて讃たたへん
23ヱホバを懼るるものよヱホバをほめたたへよ ヤコブのもろもろの裔よヱホバをあがめよ イスラエルのもろもろのすゑよヱホバを畏め
24ヱホバはなやむものの辛苦をかろしめ棄たまはず これに聖顔をおほふことなくしてその叫ぶときにききたまへばなり
25大なる會のなかにてわが汝をほめたたふるは汝よりいづるなり わが誓ひしことはヱホバをおそるる者のまへにてことごとく償はん
26謙遜者はくらひて飽ことをえ ヱホバをたづねもとむるものはヱホバをほめたたへん 願くはなんぢらの心とこしへに生んことを
27地のはては皆おもひいだしてヱホバに歸りもろもろの國の族はみな前にふしをがむべし
28國はヱホバのものなればなり ヱホバはもろもろの國人をすべをさめたまふ
29地のこえたるものは皆くらひてヱホバををがみ塵にくだるものと己がたましひを存ふること能はざるものと皆そのみまへに拝跪かん
30たみの裔のうちにヱホバにつかる者あらん 主のことは代々にかたりつたへらるべし
31かれら來りて此はヱホバの行爲なりとてその義を後にうまるる民にのべつたへん
第二十三篇
ダビデのうた
1ヱホバは我が牧者なり われ乏しきことあらじ
2ヱホバは我をみどりの野にふさせ いこひの水濱にともなひたまふ
3ヱホバはわが霊魂をいかし名のゆゑをもて我をただしき路にみちびき給ふ
4たとひわれ死のかげの谷をあゆむとも禍害をおそれじ なんぢ我とともに在せばなり なんぢの笞なんぢの杖われを慰む
5なんぢわが仇のまへに我がために筵をまうけ わが首にあぶらをそそぎたまふ わが酒杯はあふるるなり
6わが世にあらん限りはかならず恩惠と憐憫とわれにそひきたらん 我はとこしへにヱホバの宮にすまん
第二十四篇
ダビデのうた
1地とそれに充るもの世界とその中にすむものとは皆ヱホバのものなり
2ヱホバはそのもとゐを大海のうへに置これを大川のうへに定めたまへり
3ヱホバの山にのぼるべきものは誰ぞ その聖所にたつべき者はたれぞ
4手きよく心いさぎよき者そのたましひ虚きことを仰ぎのぞまず偽りの誓をせざるものぞ その人なる
5かかる人はヱホバより福祉をうけ そのすくひの神より義をうけん
6斯のごとき者は神をしたふものの族類なり ヤコブの神よなんぢの聖顔をもとむる者なりセラ
7門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん
8えいくわうの王はたれなるか ちからをもちたまふ猛きヱホバなり 戰闘にたけきヱホバなり
9門よなんぢらの首をあげよ とこしへの戸よあがれ 榮光の王いりたまはん
10この榮光の王はたれなるか 萬軍のヱホバ是ぞえいくわうの王なるセラ
第二十五篇
ダビデのうた
1ああヱホバよ わがたましひは汝をあふぎ望む
2わが神よわれなんぢに依賴めり ねがはくはわれに愧をおはしめたまふなかれ わが仇のわれに勝誇ることなからしめたまへ
3實になんぢを俟望むものははぢしめられず 故なくして信をうしなふものは愧をうけん
4ヱホバよなんぢの大路をわれにしめし なんぢの徑をわれにをしへたまへ
5我をなんぢの眞理にみちびき我ををしへたまへ 汝はわがすくひの神なり われ終日なんぢを俟望む
6なんぢのあはれみと仁慈とはいにしへより絶ずあり ヱホバよこれを思ひいだしたまへ
7わがわかきときの罪とわが愆とはおもひいでたまふなかれ ヱホバよ汝のめぐみの故になんぢの仁慈にしたがひて我をおもひいでたまへ
8ヱホバはめぐみ深くして直くましませり 斯るがゆゑに道をつみびとにをしへ
9謙だるものを正義にみちびきたまはん その道をへりくだる者にしめしたまはん
10ヱホバのもろもろの道はそのけいやくと證詞とをまもるものには仁慈なり眞理なり
11わが不義はおほいなり ヱホバよ名のために之をゆるしたまへ
12ヱホバをおそるる者はたれなるか 之にそのえらぶべき道をしめしたまはん
13かかる人のたましひは平安にすまひ その裔はくにをつぐべし
14ヱホバの親愛はヱホバをおそるる者とともにあり ヱホバはその契約をかれらに示したまはん
15わが目はつねにヱホバにむかふ ヱホバわがあしを網よりとりいだしたまふ可ればなり
16ねがはくは歸りきたりて我をあはれみたまへ われ獨わびしくまた苦しみをるなり
17願くはわが心のうれへをゆるめ我をわざはひより脱かれしめたまへ
18わが患難わが辛苦をかへりみ わがすべての罪をゆるしたまへ
19わが仇をみたまへ かれらの數はおほし情なき憾をもてわれをにくめり
20わがたましひをまもり我をたすけたまへ われに愧をおはしめたまふなかれ 我なんぢに依賴めばなり
21われなんぢを挨望むねがはくは完全と正直とわれをまもれかし
22神よすべての憂よりイスラエルを贖ひいだしたまへ
第二十六篇
ダビデの歌
1ヱホバよねがはくはわれを鞫きたまへわれわが完全によりてあゆみたり 然のみならず我たゆたはずヱホバに依賴めり
2ヱホバよわれを糺しまた試みたまへ わが腎とこころとを錬きよめたまへ
3そは汝のいつくしみわが眼前にあり 我はなんぢの眞理によりてあゆめり
4われは虚しき人とともに座らざりき 惡をいつはりかざる者とともにはゆかじ
5惡をなすものの會をにくみ惡者とともにすわることをせじ
6われ手をあらひて罪なきをあらはす ヱホバよ斯てなんぢの祭壇をめぐり
7感謝のこゑを聞えしめ すべてなんぢの奇しき事をのべつたへん
8ヱホバよ我なんぢのまします家となんぢが榮光のとどまる處とをいつくしむ
9願くはわがたましひを罪人とともに わが生命を血をながす者とともに取收めたまふなかれ
10かかる人の手にはあしきくはだてあり その右の手は賄賂にてみつ
11されどわれはわが完全によりてあゆまん願くはわれをあがなひ我をあはれみたまへ
12わがあしは平坦なるところにたつ われもろもろの會のなかにてヱホバを讃まつらん
第二十七篇
ダビデの歌
1ヱホバはわが光わが救なり われ誰をかおそれん ヱホバはわが生命のちからなり わが懼るべきものはたれぞや
2われの敵われの仇なるあしきもの襲ひきたりてわが肉をくらはんとせしが蹶きかつ仆れたり
3縦ひいくさびと營をつらねて我をせむるともわが心おそれじ たとひ戰ひおこりて我をせむるとも我になほ恃あり
4われ一事をヱホバにこへり我これをもとむ われヱホバの美しきを仰ぎその宮をみんがためにわが世にあらん限りはヱホバの家にすまんとこそ願ふなれ
5ヱホバはなやみの日にその行宮のうちに我をひそませその幕屋のおくにわれをかくし巌のうへに我をたかく置たまふべければなり
6今わが首はわれをめぐれる仇のうへに高くあげらるべし この故にわれヱホバのまくやにて歓喜のそなへものを献ん われうたひてヱホバをほめたたへん
7わが聲をあげてさけぶときヱホバよきき給へ また憐みてわれに應へたまへ
8なんぢらわが面をたづねもとめよと(斯る聖言のありしとき)わが心なんぢにむかひてヱホバよ我なんぢの聖顔をたづねんといへり
9ねがはくは聖顔をかくしたまふなかれ 怒りてなんぢの僕をとほざけたまふなかれ汝はわれの助なり 噫わがすくひの神よ われをおひいだし我をすてたまふなかれ
10わが父母われをすつるともヱホバわれを迎へたまはん
11ヱホバよなんぢの途をわれにをしへ わが仇のゆゑに我をたひらかなる途にみちびきたまへ
12いつはりの證をなすもの暴厲を吐もの我にさからひて起りたてり 願くはわれを仇にわたしてその心のままに爲しめたまふなかれ
13われもしヱホバの恩寵をいけるものの地にて見るの侍なからましかば奈何ぞや
14ヱホバを俟望ぞめ雄々しかれ汝のこころを堅うせよ 必ずやヱホバをまちのぞめ
第二十八篇
ダビデの歌
1ああヱホバよわれ汝をよばん わが磐よねがはくは我にむかひて暗唖となりたまふなかれ なんぢ默したまはば恐らくはわれ墓にいるものとひとしからん
2われ汝にむかひてさけび聖所の奧にむかひて手をあぐるときわが懇求のこゑをききたまへ
3あしき人また邪曲をおこなふ者とともに我をとらへてひきゆき給ふなかれ かれらはその隣にやはらぎをかたれども心には殘害をいだけり
4その事にしたがひそのなす惡にしたがひて彼等にあたへ その手の行爲にしたがひて與へこれにその受べきものを報いたまへ
5かれらはヱホバのもろもろの事とその手のなしわざとをかへりみず この故にヱホバかれらを毀ちて建たまふことなからん
6ヱホバは讃べきかな わが祈のこゑをききたまひたり
7ヱホバはわが力わが盾なり わがこころこれに依賴みたれば我たすけをえたり 然るゆゑにわが心いたくよろこぶ われ歌をもてほめまつらん
8ヱホバはその民のちからなり その受膏者のすくひの城なり
9なんぢの民をすくひなんぢの嗣業をさきはひ且これをやしなひ之をとこしなへに懐きたすけたまへ
第二十九篇
ダビデの歌
1なんぢら神の子らよ ヱホバに獻げまつれ榮と能とをヱホバにささげまつれ
2その名にふさはしき榮光をヱホバにささげ奉れ きよき衣をつけてヱホバを拝みまつれ
3ヱホバのみこゑは水のうへにあり えいくわうの神は雷をとどろかせたまふ ヱホバは大水のうへにいませり
4ヱホバの聲はちからあり ヱホバのみこゑは稜威あり
5ヱホバのみこゑは香柏ををりくだく ヱホバ、レバノンのかうはくを折くだきたまふ
6これを犢のごとくをどらせレバノンとシリオンとをわかき野牛のごとくをどらせたまふ
7ヱホバのみこゑは火焔をわかつ
8ヱホバのみこゑは野をふるはせヱホバはカデシの野をふるはせたまふ
9ヱホバのみこゑは鹿に子をうませ また林木をはだかにす その宮にあるすべてのもの呼はりて榮光なるかなといふ
10ヱホバは洪水のうへに坐したまへり ヱホバは寳座にざして永遠に王なり
11ヱホバはその民にちからをあたへたまふ 平安をもてその民をさきはひたまはん
第三十篇
殿をささぐるときに謳へるダビデのうた
1ヱホバよわれ汝をあがめん なんぢ我をおこしてわが仇のわがことによりて喜ぶをゆるし給はざればなり
2わが神ヱホバよわれ汝によばはれば汝我をいやしたまへり
3ヱホバよ汝わがたましひを陰府よりあげ我をながらへしめて墓にくだらせたまはざりき
4ヱホバの聖徒よ ヱホバをほめうたへ奉れ きよき名に感謝せよ
5その怒はただしばしにてその惠はいのちとともにながし 夜はよもすがら泣かなしむとも朝にはよろこびうたはん
6われ安けかりしときに謂く とこしへに動かさるることなからんと
7ヱホバよなんぢ惠をもてわが山をかたく立せたまひき 然はあれどなんぢ面をかくしたまひたれば我おぢまどひたり
8ヱホバよわれ汝によばはれり 我ひたすらヱホバにねがへり
9われ墓にくだらばわが血なにの益あらん 塵はなんぢを讃たたへんや なんぢの眞理をのべつたへんや
10ヱホバよ聽たまへ われを憐みたまへ ヱホバよ願くはわが助となりたまへ
11なんぢ踴躍をもてわが哀哭にかへわが麁服をとき歓喜をもてわが帶としたまへり
12われ榮をもてほめうたひつつ默すことなからんためなり わが神ヱホバよわれ永遠になんぢに感謝せん
第三十一篇
伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよわれ汝によりたのむ 願くはいづれの日までも愧をおはしめたまふなかれ なんぢの義をもてわれを助けたまへ
2なんぢの耳をかたぶけて速かにわれをすくひたまへ 願くはわがためにかたき磐となり我をすくふ保障の家となりたまへ
3なんぢはわが磐わが城なり されば名のゆゑをもてわれを引われを導きたまへ
4なんぢ我をかれらが密かにまうけたる網よりひきいだしたまへ なんぢはわが保砦なり
5われ霊魂をなんぢの手にゆだぬ ヱホバまことの神よなんぢはわれを贖ひたまへり
6われはいつはりの虚きことに心をよする者をにくむ われは獨ヱホバによりたのむなり
7我はなんぢの憐憫をよろこびたのしまん なんぢわが艱難をかへりみ わがたましひの禍害をしり
8われを仇の手にとぢこめしめたまはず わが足をひろきところに立たまへばなり
9われ迫りくるしめり ヱホバよ我をあはれみたまへ わが目はうれひによりておとろふ 霊魂も身もまた衰へぬ
10わが生命はかなしみによりて消えゆき わが年華はなげきによりて消ゆけばなり わが力はわが不義によりておとろへ わが骨はかれはてたり
11われもろもろの仇ゆゑにそしらる わが隣にはわけて甚だし相識ものには忌憚られ衢にてわれを見るもの避てのがる
12われは死たるもののごとく忘られて人のこころに置れず われはやぶれたる器もののごとくなれり
13そは我おほくの人のそしりをきい到るところに懼あり かれら我にさからひて互にはかりしが わが生命をさへとらんと企てたり
14されどヱホバよわれ汝によりたのめり また汝はわが神なりといへり
15わが時はすべてなんぢの手にあり ねがはくはわれを仇の手よりたすけ われに追迫るものより助けいだしたまへ
16なんぢの僕のうへに聖顔をかがやかせ なんぢの仁慈をもて我をすくひたまへ
17ヱホバよわれに愧をおはしめ給ふなかれ そは我なんぢをよべばなり 願くはあしきものに恥をうけしめ陰府にありて口をつぐましめ給へ
18傲慢と軽侮とをもて義きものにむかひ妄りにののしるいつはりの口唇をつぐましめたまへ
19汝をおそるる者のためにたくはへ なんぢに依賴むもののために人の子のまへにてほどこしたまへる汝のいつくしみは大なるかな
20汝かれらを御前なるひそかなる所にかくして人の謀略よりまぬかれしめ また行宮のうちにひそませて舌のあらそひをさけしめたまはん
21讃べきかなヱホバは堅固なる城のなかにて奇しまるるばかりの仁慈をわれに顯したまへり
22われ驚きあわてていへらく なんぢの目のまへより絶れたりと 然どわれ汝によびもとめしとき汝わがねがひの聲をききたまへり
23なんぢらもろもろの聖徒よヱホバをいつくしめ ヱホバは眞實あるものをまもり傲慢者におもく報をほどこしたまふ
24すべてヱホバを俟望むものよ雄々しかれ なんぢら心をかたうせよ
第三十二篇
ダビデの訓諭のうた
1その愆をゆるされその罪をおほはれしものは福ひなり
2不義をヱホバに負せられざるもの心にいつはりなき者はさいはひなり
3我いひあらはさざりしときは終日かなしみさけびたるが故にわが骨ふるびおとろへたり
4なんぢの手はよるも晝もわがうへにありて重し わが身の潤澤はかはりて夏の旱のごとくなれりセラ
5斯てわれなんぢの前にわが罪をあらはしわが不義をおほはざりき 我いへらくわが愆をヱホバにいひあらはさんと 斯るときしも汝わがつみの邪曲をゆるしたまへりセラ
6されば神をうやまふ者はなんぢに遇ことをうべき間になんぢに祈らん 大水あふれ流るるともかならずその身におよばじ
7汝はわがかくるべき所なり なんぢ患難をふせぎて我をまもり救のうたをもて我をかこみたまはんセラ
8われ汝ををしへ汝をあゆむべき途にみちびき わが目をなんぢに注てさとさん
9汝等わきまへなき馬のごとく驢馬のごとくなるなかれ かれらは鑣たづなのごとき具をもてひきとめずば近づききたることなし
10惡者はかなしみ多かれどヱホバに依賴むものは憐憫にてかこまれん
11ただしき者よヱホバを喜びたのしめ 凡てこころの直きものよ喜びよばふべし
第三十三篇
1ただしき者よヱホバによりてよろこべ 讃美はなほきものに適はしきなり
2琴をもてヱホバに感謝せよ 十絃のことをもてヱホバをほめうたへ
3あたらしき歌をヱホバにむかひてうたひ歓喜の聲をあげてたくみに琴をかきならせ
4ヱホバのことばは直く そのすべて行ひたまふところ眞實なればなり
5ヱホバは義と公平とをこのみたまふ その仁慈はあまねく地にみつ
6もろもろの天はヱホバのみことばによりて成り てんの萬軍はヱホバの口の氣によりてつくられたり
7ヱホバはうみの水をあつめてうづだかくし深淵を庫にをさめたまふ
8全地はヱホバをおそれ世にすめるもろもろの人はヱホバをおぢかしこむべし
9そはヱホバ言たまへば成り おほせたまへば立るがゆゑなり
10ヱホバはもろもろの國のはかりごとを虚くし もろもろの民のおもひを徒勞にしたまふ
11ヱホバの謀略はとこしへに立ち そのみこころのおもひは世々にたつ
12ヱホバをおのが神とする國はさいはひなり ヱホバ嗣業にせんとて撰びたまへるその民はさいはひなり
13ヱホバ天よりうかがひてすべての人の子を見
14その在すところより地にすむもろもろの人をみたまふ
15ヱホバはすべてかれらの心をつくり その作ところをことごとく鑒みたまふ
16王者いくさびと多をもて救をえず勇士ちから大なるをもて助をえざるなり
17馬はすくひに益なく その大なるちからも人をたすくることなからん
18視よヱホバの目はヱホバをおそるるもの並その憐憫をのぞむもののうへにあり
19此はかれらのたましひを死よりすくひ饑饉たるときにも世にながらへしめんがためなり
20われらのたましひはヱホバを侯望めり ヱホバはわれらの援われらの盾なり
21われらはきよき名にりたのめり 斯てぞわれらの心はヱホバにありてよろこばん
22ヱホバよわれら汝をまちのぞめり これに循ひて憐憫をわれらのうへに垂たまへ
第三十四篇
ダビデ、アビメレクのまへにて狂へる状をなし逐れていでさりしときに作れるうた
1われつねにヱホバを祝ひまつらんその頌詞はわが口にたえじ
2わがたましひはヱホバによりて誇らん 謙だるものは之をききてよろこばん
3われとともにヱホバを崇めよ われらともにその名をあげたたへん
4われヱホバを尋ねたればヱホバわれにこたへ我をもろもろの畏懼よりたすけいだしたまへり
5かれらヱホバを仰ぎのぞみて光をかうぶれり かれらの面ははぢあからむことなし
6この苦しむもの叫びたればヱホバこれをきき そのすべての患難よりすくひいだしたまへり
7ヱホバの使者はヱホバをおそるる者のまはりに營をつらねてこれを援く
8なんぢらヱホバの恩惠ふかきを嘗ひしれ ヱホバによりたのむ者はさいはひなり
9ヱホバの聖徒よヱホバを畏れよヱホバをおそるるものには乏しきことなければなり
10わかき獅はともしくして饑ることあり されどヱホバをたづぬるものは嘉物にかくることあらじ
11子よきたりて我にきけ われヱホバを畏るべきことを汝等にをしへん
12福祉をみんがために生命をしたひ存へんことをこのむ者はたれぞや
13なんぢの舌をおさへて惡につかしめず なんぢの口唇をおさへて虚偽をいはざらしめよ
14惡をはなれて善をおこなひ和睦をもとめて切にこのことを勉めよ
15ヱホバの目はただしきものをかへりみ その耳はかれらの號呼にかたぶく
16ヱホバの聖顔はあくをなす者にむかひてその跡を地より斷滅したまふ
17義者さけびたればヱホバ之をききてそのすべての患難よりたすけいだしたまへり
18ヱホバは心のいたみかなしめる者にちかく在してたましひの悔頽れたるものをすくひたまふ
19ただしきものは患難おほし されどヱホバはみなその中よりたすけいだしたまふ
20ヱホバはかれがすべての骨をまもりたまふ その一つだに折らるることなし
21惡はあしきものをころさん 義人をにくむものは刑なはるべし
22ヱホバはその僕等のたましひを贖ひたまふ ヱホバに依賴むものは一人だにつみなはるることなからん
第三十五篇
ダビデのうた
1ヱホバよねがはくは我にあらそふ者とあらそひ我とたたかふものと戰ひたまへ
2干と大盾とをとりてわが援にたちいでたまへ
3戟をぬきいだしたまひて我におひせまるものの途をふさぎ且わが霊魂にわれはなんぢの救なりといひたまへ
4願くはわが霊魂をたづぬるものの恥をえていやしめられ 我をそこなはんと謀るものの退けられて惶てふためかんことを
5ねがはくはかれらが風のまへなる粃糠のごとくなりヱホバの使者におひやられんことを
6願くはかれらの途をくらくし滑らかにしヱホバの使者にかれらを追ゆかしめたまはんことを
7かれらは故なく我をとらへんとて網をあなにふせ 故なくわが霊魂をそこなはんとて阱をうがちたればなり
8願くはかれらが思ひよらぬ間にほろびきたり己がふせたる網にとらへられ自らその滅におちいらんことを
9然ときわが霊魂はヱホバによりてよろこび その救をもて樂しまん
10わがすべての骨はいはん ヱホバよ汝はくるしむものを之にまさりて力つよきものより並くるしむもの貧しきものを掠めうばふ者よりたすけいだし給ふ 誰かなんぢに比ふべき者あらんと
11こころあしき證人おこりてわが知ざることを詰りとふ
12かれらは惡をもてわが善にむくい我がたましひを依仗なきものとせり
13然どわれかれらが病しときには麁服をつけ糧をたちてわが霊魂をくるしめたり わが祈はふところにかへれり
14わがかれに作ることはわが友わが兄弟にことならず母の喪にありて痛哭がごとく哀しみうなたれたり
15然どかれらはわが倒れんとせしとき喜びつどひわが知ざりしとき匪類あつまりきたりて我をせめ われを裂てやめざりき
16かれらは洒宴にて穢きことをのぶる嘲笑者のごとく我にむかひて歯をかみならせり
17主よいたづらに見るのみにして幾何時をへたまふや 願くはわがたましひの彼等にほろぼさるるを脱れしめ わが生命をわかき獅よりまぬかれしめたまへ
18われ大なる會にありてなんぢに感謝し おほくの民のなかにて汝をほめたたへん
19虚偽をもてわれに仇するもののわが故によろこぶことを容したまなかれ 故なくして我をにくむ者のたがひに眴せすることなからしめたまへ
20かれらは平安をかたらず あざむきの言をつくりまうけて國内におだやかにすまふ者をそこなはんと謀る
21然のみならず我にむかひて口をあけひろげ ああ視よや視よやわれらの眼これをみたりといへり
22ヱホバよ汝すでにこれを視たまへり ねがはくは默したまふなかれ主よわれに遠ざかりたまふなかれ
23わが神よわが主よ おきたまへ醒たまへ ねがはくはわがために審判をなしわが訟ををさめたまへ
24わが神ヱホバよなんぢの義にしたがひて我をさばきたまへ わが事によりてかれらに歓喜をえしめたまふなかれ
25かれらにその心裡にて ああここちよきかな觀よこれわが願ひしところなりといはしめたまふなかれ 又われらかれを呑つくせりといはしめたまふなかれ
26願くはわが害なはるるを喜ぶもの皆はぢて惶てふためき 我にむかひてはこりかに高ぶるものの愧とはづかしめとを衣んことを
27わが義をよみする者をばよろこび謳はしめ大なるかなヱホバその僕のさいはひを悦びたまふと恒にいはしめたまへ
28わが舌は終日なんぢの義となんぢの譽とをかたらん
第三十六篇
伶長にうたはしめたるヱホバの僕ダビデのうた
1あしきものの愆はわが心のうちにかたりて その目のまへに神をおそるるの畏あることなしといふ
2かれはおのが邪曲のあらはるることなく憎まるることなからんとて自からその目にて謟る
3その口のことばは邪曲と虚偽となり智をこばみ善をおこなふことを息たり
4かつその寝床にてよこしまなる事をはかり よからぬ途にたちとまりて惡をきらはず
5ヱホバよなんぢの仁慈は天にあり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ
6汝のただしきは神の山のごとく なんぢの審判はおほいなる淵なり ヱホバよなんぢは人とけものとを護りたまふ
7神よなんぢの仁慈はたふときかな 人の子はなんぢの翼の蔭にさけどころを得
8なんぢの屋のゆたかなるによりてことごとく飽ことをえん なんぢはその歓樂のかはの水をかれらに飮しめたまはん
9そはいのちの泉はなんぢに在り われらはなんぢの光によりて光をみん
10ねがはくはなんぢを知るものにたえず憐憫をほどこし心なほき者にたえず正義をほどこしたまへ
11たかぶるものの足われをふみ惡きものの手われを逐去ふをゆるし給ふなかれ
12邪曲をおこなふ者はかしこに仆れたり かれら打伏られてまた起ことあたはざるべし
第三十七篇
ダビデのうた
1惡をなすものの故をもて心をなやめ 不義をおこなふ者にむかひて嫉をおこすなかれ
2かれらはやがて草のごとくかりとられ靑菜のごとく打萎るべければなり
3ヱホバによりたのみて善をおこなへ この國にとどまり眞實をもて糧とせよ
4ヱホバによりて歓喜をなせ ヱホバはなんぢが心のねがひを汝にあたへたまはん
5なんぢの途をヱホバにゆだねよ 彼によりたのまば之をなしとげ
6光のごとくなんぢの義をあきらかにし午日のごとくなんぢの訟をあきらかにしたまはん
7なんぢヱホバのまへに口をつぐみ忍びてこれを俟望め おのが途をあゆみて榮るものの故をもて あしき謀略をとぐる人の故をもて心をなやむるなかれ
8怒をやめ忿恚をすてよ 心をなやむるなかれ これ惡をおこなふ方にうつらん
9そは惡をおこなふものは斷滅され ヱホバを俟望むものは國をつぐべければなり
10あしきものは久しからずしてうせん なんぢ細密にその處をおもひみるともあることなからん
11されど謙だるものは國をつぎ また平安のゆたかなるを樂まん
12惡きものは義きものにさからはんとて謀略をめぐらし之にむかひて切歯す
13主はあしきものを笑ひたまはん かれが日のきたるを見たまへばなり
14あしきものは劍をぬき弓をはりて苦しむものと貧しきものとをたふし行ひなほきものを殺さんとせり
15されどその劍はおのが胸をさしその弓はをらるべし
16義人のもてるもののすくなきは多くの惡きものの豊かなるにまされり
17そは惡きものの臂はをらるれどヱホバは義きものを扶持たまへばなり
18ヱホバは完全もののもろもろの日をしりたまふ かれらの嗣業はかぎりなく久しからん
19かれらは禍害にあふとき愧をおはず饑饉の日にもあくことを得ん
20あしき者ははろびヱホバのあたは牧場のさかえの枯るがごとくうせ烟のごとく消ゆかん
21あしき者はものかりて償はず 義きものは惠ありて施しあたふ
22神のことほぎたまふ人は國をつぎ 神ののろひたまふ人は斷滅さるべし
23人のあゆみはヱホバによりて定めらる そのゆく途をヱホバよろこびたまへり
24縦ひその人たふるることありとも全くうちふせらるることなし ヱホバかれが手をたすけ支へたまへばなり
25われむかし年わかくして今おいたれど 義者のすてられ或はその裔の糧こひありくを見しことなし
26ただしきものは終日めぐみありて貸あたふ その裔はさいはひなり
27惡をはなれて善をなせ 然ばなんぢの住居とこしへならん
28ヱホバは公平をこのみ その聖徒をすてたまはざればなり かれらは永遠にまもりたすけらるれど惡きもののすゑは斷滅さるべし
29ただしきものは國をつぎ その中にすまひてとこしへに及ばん
30ただしきものの口は智慧をかたり その舌は公平をのぶ
31かれが神の法はそのこころにあり そのあゆみは一歩だにすべることあらじ
32あしきものは義者をひそみうかがひて之をころさんとはかる
33ヱホバは義者をあしきものの手にのこしおきたまはず 審判のときに罰ひたまふことなし
34ヱホバを俟望みてその途をまもれ さらば汝をあげて國をつがせたまはん なんぢ惡者のたちほろぼさるる時にこれをみん
35我あしきものの猛くしてはびこれるを見るに生立たる地にさかえしげれる樹のごとし
36然れどもかれは逝ゆけり 視よたちまちに無なりぬ われ之をたづねしかど邁ことをえざりき
37完人に目をそそぎ直人をみよ 和平なる人には後あれど
38罪ををかすものらは共にほろぼされ惡きものの後はかならず斷るべければなり
39ただしきものの救はヱホバよりいづ ヱホバはかれらが辛苦のときの保砦なり
40ヱホバはかれらを助け かれらを解脱ちたまふ ヱホバはかれらを惡者よりときはなちて救ひたまふ かれらはヱホバをその避所とすればなり
第三十八篇
記念のためにつくれるダビデのうた
1ヱホバよねがはくは忿恚をもて我をせめ はげしき怒をもて我をこらしめ給ふなかれ
2なんぢの矢われにあたり なんぢの手わがうへを壓へたり
3なんぢの怒によりてわが肉には全きところなく わが罪によりてわが骨には健かなるところなし
4わが不義は首をすぎてたかく重荷のごとく負がたければなり
5われ愚なるによりてわが傷あしき臭をはなちて腐れただれたり
6われ折屈みていたくなげきうなたれたり われ終日かなしみありく
7わが腰はことごとく燒るがごとく肉に全きところなければなり
8我おとろへはて甚くきずつけられわが心のやすからざるによりて欷歔さけべり
9ああ主よわがすべての願望はなんぢの前にあり わが嘆息はなんぢに隠るることなし
10わが胸をどりわが力おとろへ わが眼のひかりも亦われをはなれたり
11わが友わが親めるものはわが痍をみて遥にたち わが隣もまた遠かりてたてり
12わが生命をたづぬるものは羂をまうけ我をそこなはんとするものは惡言をいひ また終日たばかりを謀る
13然はあれどわれは聾者のごとくきかず われは口をひらかぬ唖者のごとし
14如此われはきかざる人のごとく口にことあげせぬ人のごときなり
15ヱホバよ我なんぢを俟望めり 主わが神よなんぢかならず答へたまふべければなり
16われ曩にいふ おそらくはかれらわが事によりて喜び わが足のすべらんとき我にむかひて誇りかにたかぶらんと
17われ仆るるばかりになりぬ わが悲哀はたえずわが前にあり
18そは我みづから不義をいひあらはし わが罪のためにかなしめばなり
19わが仇はいきはたらきてたけく故なくして我をうらむるものおほし
20惡をもて善にむくゆるものはわれ善事にしたがふが故にわが仇となれり
21ヱホバよねがはくは我をはなれたたまふなかれ わが神よわれに遠かりたまふなかれ
22主わがすくひよ速きたりて我をたすけたまへ
第三十九篇
伶長エドトンにうたはしめたるダビデのうた
1われ曩にいへり われ舌をもて罪ををかさざらんために我すべての途をつつしみ惡者のわがまへに在るあひだはわが口に衝をかけんと
2われ默して唖となり善言すらことばにいださず わが憂なほおこれり
3わが心わがうちに熱し おもひつづくるほどに火もえぬればわれ舌をもていへらく
4ヱホバよ願くはわが終とわが日の數のいくばくなるとを知しめたまへ わが無常をしらしめたまへ
5觀よなんぢわがすべての日を一掌にすぎさらしめたまふ わがかいのち主前にてはなきにことならず 實にすべての人は皆その盛時だにもむなしからざるはなしセラ
6人の世にあるは影にことならず その思ひなやむことはむなしからざるなし その積蓄ふるものはたが手にをさまるをしらず
7主よわれ今なにをかまたん わが望はなんぢにあり
8ねがはくは我ぞすべて愆より助けいだしたまへ 愚なるものに誹らるることなからしめたまへ
9われは默して口をひらかず 此はなんぢの成したまふ者なればなり
10願くはなんぢの責をわれよりはなちたまへ 我なんぢの手にうちこらさるるによりて亡ぶるばかりになりぬ
11なんぢ罪をせめて人をこらし その慕ひよろこぶところのものを蠧のくらふがごとく消うせしめたまふ 實にもろもろの人はむなしからざるなしセラ
12ああヱホバよねがはくはわが祈をきき わが號呼に耳をかたぶけたまへ わが涙をみて默したまふなかれ われはなんぢに寄る旅客すべてわが列祖のごとく宿れるものなり
13我ここを去てうせざる先になんぢ面をそむけてわれを爽快ならしめたまへ
第四十篇
伶長にうたはしめたるダビデのうた
1我たへしのびてヱホバを俟望みたり ヱホバ我にむかひてわが號呼をききたまへり
2また我をほろびの阱より泥のなかよりとりいだしてわが足を磐のうへにおきわが歩をかたくしたまへり
3ヱホバはあたらしき歌をわが口にいれたまへり此はわれらの神にささぐる讃美なり おほくの人はこれを見ておそれ かつヱホバによりたのまん
4ヱホバをおのが賴となし高るものによらず虚偽にかたぶく者によらざる人はさいはひなり
5わが神ヱホバよなんぢの作たまへる奇しき迹と われらにむかふ念とは甚おほくして汝のみまへにつらねいふことあたはず 我これをいひのべんとすれどその數かぞふることあたはず
6なんぢ犠牲と祭物とをよろこびたまはず汝わが耳をひらきたまへり なんぢ燔祭と罪祭とをもとめたまはず
7そのとき我いへらく 觀よわれきたらんわがことを書の巻にしるしたり
8わが神よわれは聖意にしたがふことを樂む なんぢの法はわが心のうちにありと
9われ大なる會にて義をつげしめせり 視よわれ口唇をとぢず ヱホバよなんぢ之をしりたまふ
10われなんぢの義をわが心のうちにひめおかず なんぢの眞實となんぢの拯救とをのべつたへたり 我なんぢの仁慈となんぢの眞理とをおほいなる會にかくさざりき
11ヱホバよなんぢ憐憫をわれにをしみたまふなかれ 仁慈と眞理とをもて恒にわれをまもりたまへ
12そはかぞへがたき禍害われをかこみ わが不義われに追及てあふぎみること能はぬまでになりぬ その多きことわが首の髮にもまさり わが心きえうするばかりなればなり
13ヱホバよ願くはわれをすくひたまへ ヱホバよ急ぎきたりて我をたすけたまへ
14願くはわが霊魂をたづねほろぼさんとするものの皆はぢあわてんことを わが害はるるをよろこぶもののみな後にしりぞきて恥をおはんことを
15われにむかひて ああ視よや視よやといふ者おのが恥によりておどろきおそれんことを
16願くはなんぢを尋求むるものの皆なんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふものの恒にヱホバは大なるかなととなへんことを
17われはくるしみ且ともし 主われをねんごろに念ひたまふ なんぢはわが助なり われをすくひたまふ者なり ああわが神よねがはくはためらひたまふなかれ
第四十一篇
うたのかみに謳はしめたるダビデのうた
1よわき人をかへりみる者はさいはひなり ヱホバ斯るものを禍ひの日にたすけたまはん
2ヱホバ之をまもり之をながらへしめたまはん かれはこの地にありて福祉をえん なんぢ彼をその仇ののぞみにまかせて付したまふなかれ
3ヱホバは彼がわづらひの床にあるをたすけ給はん なんぢかれが病るときその衾裯をしきかへたまはん
4我いへらくヱホバよわれを憐みわがたましひを醫したまへ われ汝にむかひて罪ををかしたりと
5わが仇われをそしりていへり 彼いづれのときに死いづれのときにその名ほろびんと
6かれ又われを見んとてきたるときは虚偽をかたり邪曲をその心にあつめ 外にいでてはこれを述ぶ
7すべてわれをにくむもの互ひにささやき我をそこなはんとて相謀る
8かつ云 かれに一のわざはひつきまとひたれば仆れふしてふたたび起ることなからんと
9わが恃みしところ わが糧をくらひしところのわが親しき友さへも我にそむきてその踵をあげたり
10然はあれどヱホバよ汝ねがはくは我をあはれみ我をたすけて起したまへ されば我かれらに報ることをえん
11わが仇われに打勝てよろこぶこと能はざるをもて汝がわれを愛いつくしみたまふを我しりぬ
12わが事をいはば なんぢ我をわが完全うちにてたもち我をとこしへに面のまへに置たまふ
13イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな アーメン アーメン
第四十二篇
伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌
1ああ神よしかの渓水をしたひ喘ぐがごとく わが霊魂もなんぢをしたひあへぐなり
2わがたましひは渇けるごとくに神をしたふ 活神をぞしたふ 何れのときにか我ゆきて神のみまへにいでん
3かれらが終日われにむかひて なんぢの神はいづくにありやとののしる間はただわが涙のみ晝夜そそぎてわが糧なりき
4われむかし群をなして祭日をまもる衆人とともにゆき歓喜と讃美のこゑをあげてかれらを神の家にともなへり 今これらのことを追想してわが衷よりたましひを注ぎいだすなり
5ああわが霊魂よ なんぢ何ぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われに聖顔のたすけありて我なほわが神をほめたたふべければなり
6わが神よわがたましひはわが衷にうなたる 然ばわれヨルダンの地よりヘルモンよりミザルの山より汝をおもひいづ
7なんぢの大瀑のひびきによりて淵々よびこたへ なんぢの波なんぢの猛浪ことごとくわが上をこえゆけり
8然はあれど晝はヱホバその憐憫をほどこしたまふ 夜はその歌われとともにあり 此うたはわがいのちの神にささぐる祈なり
9われわが磐なる神にいはん なんぞわれを忘れたまひしや なんぞわれは仇のしへたげによりて悲しみありくや
10わが骨もくだくるばかりにわがてきはひねもす我にむかひて なんぢの神はいづくにありやといひののしりつつ我をそしれり
11ああわがたましひよ 汝なんぞうなたるるや 何ぞわがうちに思ひみだるるや なんぢ神をまちのぞめ われ尚わがかほの助なるわが神をほめたたふべければなり
第四十三篇
1神よねがはくは我をさばき 情しらぬ民にむかひてわが訟をあげつらひ詭計おほきよこしまなる人より我をたすけいだし給へ
2なんぢはわが力の神なり なんぞ我をすてたまひしや 何ぞわれは仇の暴虐によりてかなしみありくや
3願くはなんぢの光となんぢの眞理とをはなち我をみちびきてその聖山とその帷幄とにゆかしめたまへ
4さらばわれ神の祭壇にゆき又わがよろこびよろこぶ神にゆかん ああ神よわが神よわれ琴をもてなんぢを讃たたへん
5ああわが霊魂よなんぢなんぞうなたるるや なんぞわが衷におもひみだるるや なんぢ神によりて望をいだけ 我なほわが面のたすけなるわが神をほめたたふべければなり
第四十四篇
伶長にうたはしめたるコラの子のをしへの歌
1ああ神よむかしわれらの列祖の日になんぢがなしたまひし事迹をわれら耳にきけり 列祖われらに語れり
2なんぢ手をもてもろもろの國人をおひしりぞけ われらの列祖をうゑ並もろもろの民をなやましてわれらの列祖をはびこらせたまひき
3かれらはおのが劍によりて國をえしにあらず おのが臂によりて勝をえしにあらず 只なんぢの右の手なんぢの臂なんぢの面のひかりによれり 汝かれらを惠みたまひたればなり
4神よなんぢはわが王なり ねがはくはヤコブのために救をほどこしたまへ
5われらは汝によりて敵をたふし また我儕にさからひて起りたつものをなんぢの名によりて踐壓ふべし
6そはわれわが弓によりたのまず わが劍もまた我をすくふことあたはざればなり
7なんぢわれらを敵よりすくひ またわれらを惡むものを辱かしめたまへり
8われらはひねもす神によりてほこり われらは永遠になんぢの名に感謝せんセラ
9しかるに今はわれらをすてて恥をおはせたまへり われらの軍人とともに出ゆきたまはず
10われらを敵のまへより退かしめたまへり われらを惡むものその任意にわれらを掠めうばへり
11なんぢわれらを食にそなへらるる羊のごとくにあたへ斯てわれらをもろもろの國人のなかにちらし
12得るところなくしてなんぢの民をうり その價によりてなんぢの富をましたまはざりき
13汝われらを隣人にそしらしめ われらを環るものにあなどらしめ 嘲けらしめたまへり
14又もろもろの國のなかにわれらを談柄となし もろもろの民のなかにわれらを頭ふらるる者となしたまへり
15わが凌辱ひねもす我がまへにあり わがかほの恥われをおほへり
16こは我をそしり我をののしるものの聲により我にあだし我にうらみを報るものの故によるなり
17これらのこと皆われらに臨みきつれどわれらなほ汝をわすれず なんぢの契約をいつはりまもらざりき
18われらの心しりぞかずわれらの歩履なんぢの道をはなれず
19然どなんぢは野犬のすみかにてわれらをきずつけ死蔭をもてわれらをおほひ給へり
20われらもしおのれの神の名をわすれ或はわれらの手を異神にのべしことあらんには
21神はこれを糺したまはざらんや 神はこころの隠れたることをも知たまふ
22われらは終日なんぢのために死にわたされ屠られんとする羊の如くせられたり
23主よさめたまへ何なればねぶりたまふや起たまへ われらをとこしへに棄たまふなかれ
24いかなれば聖顔をかくしてわれらがうくる苦難と虐待とをわすれたまふや
25われらのたましひはかがみて塵にふし われらの腹は土につきたり
26ねがはくは起てわれらをたすけたまへ なんぢの仁慈のゆゑをもてわれらを贖ひたまへ
第四十五篇
百合花のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のをしへのうた 愛のうた
1わが心はうるはしき事にてあふる われは王のために詠たるものをいひいでん わが舌はすみやけく寫字人の筆なり
2なんぢは人の子輩にまさりて美しく文雅そのくちびるにそそがる このゆゑに神はとこしへに汝をさいはひしたまへり
3英雄よなんぢその劍その榮その威をこしに佩べし
4なんぢ眞理と柔和とただしきとのために威をたくましくし勝をえて乗すすめ なんぢの右手なんぢに畏るべきことををしへん
5なんぢの矢は鋭して王のあたの胸をつらぬき もろもろの民はなんぢの下にたふる
6神よなんぢの寳座はいやとほ永くなんぢの國のつゑは公平のつゑなり
7なんぢは義をいつくしみ惡をにくむ このゆゑに神なんぢの神はよろこびの膏をなんぢの侶よりまさりて汝にそそぎたまへり
8なんぢの衣はみな沒薬蘆薈肉桂のかをりあり 琴瑟の音ざうげの諸殿よりいでて汝をよろこばしめたり
9なんぢがたふとき婦のなかにはもろもろの王のむすめあり 皇后はオフルの金をかざりてなんぢの右にたつ
10女よきけ目をそそげ なんぢの耳をかたぶけよ なんぢの民となんぢが父の家とをわすれよ
11さらば王はなんぢの美麗をしたはん 王はなんぢの主なりこれを伏拝め
12ツロの女は贈物をもてきたり民間のとめるものも亦なんぢの惠をこひもとめん
13王のむすめは殿のうちにていとど榮えかがやき そのころもは金をもて織なせり
14かれは鍼繍せる衣をきて王のもとにいざなはる 之にともなへる處女もそのあとにしたがひて汝のもとにみちびかれゆかん
15かれらは歓喜と快樂とをもていざなはれ斯して王の殿にいらん
16なんぢの子らは列祖にかはりてたち なんぢはこれを全地に君となさん
17我なんぢの名をよろづ代にしらしめん この故にもろもろの民はいやとほ永くなんぢに感謝すべし
第四十六篇
女音のしらべにしたがひて伶長にうたはしめたるコラの子のうた
1神はわれらの避所また力なり なやめるときの最ちかき助なり
2さればたとひ地はかはり山はうみの中央にうつるとも我儕はおそれじ
3よしその水はなりとどろきてさわぐとも その溢れきたるによりて山はゆるぐとも何かあらんセラ
4河ありそのながれは神のみやこをよろこばしめ至上者のすみたまふ聖所をよろこばしむ
5神そのなかにいませば都はうごかじ 神は朝つとにこれを助けたまはん
6もろもろの民はさわぎたち もろもろの國はうごきたり 神その聲をいだしたまへば地はやがてとけぬ
7萬軍のヱホバはわれらとともなり ヤコブの神はわれらのたかき櫓なりセラ
8きたりてヱホバの事跡をみよ ヱホバはおほくの懼るべきことを地になしたまへり
9ヱホバは地のはてまでも戰闘をやめしめ弓ををり戈をたち戰車を火にてやきたまふ
10汝等しづまりて我の神たるをしれ われはもろもろの國のうちに崇められ全地にあがめらるべし
11萬軍のヱホバはわれらと偕なり ヤコブの神はわれらの高きやぐらなりセラ
第四十七篇
伶長にうたはしめたるコラの子のうた
1もろもろのたみよ手をうち歓喜のこゑをあげ神にむかひてさけべ
2いとたかきヱホバはおそるべく また地をあまねく治しめす大なる王にてましませばなり
3ヱホバはもろもろの民をわれらに服はせ もろもろの國をわれらの足下にまつろはせたまふ
4又そのいつくしみたまふヤコブが譽とする嗣業をわれらのために選びたまはんセラ
5神はよろこびさけぶ聲とともにのぼり ヱホバはラッパの聲とともにのぼりたまへり
6ほめうたへ神をほめうたへ 頌歌へわれらの王をほめうたへ
7かみは地にあまねく王なればなり 敎訓のうたをうたひてほめよ
8神はもろもろの國をすべをさめたまふ 神はそのきよき寳座にすわりたまふ
9もろもろのたみの諸侯はつどひきたりてアブラハムの神の民となれり 地のもろもろの盾は神のものなり神はいとたふとし
第四十八篇
コラの子のうたなり讃美なり
1ヱホバは大なり われらの神の都そのきよき山のうへにて甚くほめたたへられたまふべし
2シオンの山はきたの端たかくしてうるはしく喜悦を地にあまねくあたふ ここは大なる王のみやこなり
3そのもろもろの殿のうちに神はおのれをたかき櫓としてあらはしたまへり
4みよ王等はつどひあつまりて偕にすぎゆきぬ
5かれらは都をみてあやしみ且おそれて忽ちのがれされり
6戰慄はかれらにのぞみ その苦痛は子をうまんとする婦のごとし
7なんぢは東風をおこしてタルシシの舟をやぶりたまふ
8曩にわれらが聞しごとく今われらは萬軍のヱホバの都われらの神のみやこにて之をみることをえたり 神はこの都をとこしへまで固くしたまはんセラ
9神よ我らはなんぢの宮のうちにて仁慈をおもへり
10神よなんぢの譽はその名のごとく地の極にまでおよべり なんぢの右手はただしきにて充り
11なんぢのもろもろの審判によりてシオンの山はよろこびユダの女輩はたのしむべし
12シオンの周圍をありき徧くめぐりてその櫓をかぞへよ
13その石垣に目をとめよ そのもろもろの殿をみよ なんぢらこれを後代にかたりつたへんが爲なり
14そはこの神はいや遠長にわれらの神にましましてわれらを死るまでみちびきたまはん
第四十九篇
伶長にうたはしめたるコラの子のうた
1 49:2もろもろの民よきけ賤きも貴きも富るも貧きもすべて地にすめる者よ なんぢらともに耳をそばだてよ
3わが口はかしこきことをかたり わが心はさときことを思はん
4われ耳を喩言にかたぶけ琴をならしてわが幽玄なる語をときあらはさん
5わが踵にちかかる不義のわれを打圍むわざはひの日もいかで懼るることあらんや
6おのが富をたのみ財おほきを誇るもの
7たれ一人おのが兄弟をあがなふことあたはず之がために贖價を神にささげ
8 49:9之をとこしへに生存へしめて朽ざらしむることあたはず(霊魂をあがなふには費いとおほくして此事をとこしへに捨置ざるを得ざればなり)
10そは智きものも死 おろかものも獣心者もひとしくほろびてその富を他人にのこすことは常にみるところなり
11かれら竊におもふ わが家はとこしへに存りわがすまひは世々にいたらんと かれらはその地におのが名をおはせたり
12されど人は譽のなかに永くとどまらず亡びうする獣のごとし
13斯のごときは愚かなるものの途なり 然はあれど後人はその言をよしとせんセラ
14かれらは羊のむれのごとくに陰府のものと定めらる 死これが牧者とならん直きもの朝にかれらををさめん その美容は陰府にほろぼされて宿るところなかるべし
15されど神われを接たまふべければわが霊魂をあがなひて陰府のちからより脱かれしめたまはんセラ
16人のとみてその家のさかえくははらんとき汝おそるるなかれ
17かれの死るときは何一つたづさへゆくことあたはず その榮はこれにしたがひて下ることをせざればなり
18かかる人はいきながらふるほどに己がたましひを祝するとも みづからを厚うするがゆゑに人々なんぢをほむるとも
19なんぢ列祖の世にゆかん かれらはたえて光をみざるべし
20尊貴なかにありて暁らざる人はほろびうする獣のごとし
第五十篇
アサフのうた
1ぜんのうの神ヱホバ詔命して日のいづるところより日のいるところまであまねく地をよびたまへり
2かみは美麗の極なるシオンより光をはなちたまへり
3われらの神はきたりて默したまはじ火その前にものをやきつくし暴風その四周にふきあれん
4神はその民をさばかんとて上なる天および地をよびたまへり
5いはく祭物をもて我とけいやくをたてしわが聖徒をわがもとに集めよと
6もろもろの天は神の義をあらはせり 神はみづから審士たればなりセラ
7わが民よきけ我ものいはんイスラエルよきけ我なんぢにむかひて證をなさん われは神なんぢの神なり
8わがなんぢを責るは祭物のゆゑにあらず なんぢの燔祭はつねにわが前にあり
9我はなんぢの家より牡牛をとらず なんぢの牢より牡山羊をとらず
10林のもろもろのけもの山のうへの千々の牲畜はみなわが有なり
11われは山のすべての鳥をしる 野のたけき獣はみなわがものなり
12世界とそのなかに充るものとはわが有なれば縦ひわれ饑るともなんぢに告じ
13われいかで牡牛の肉をくらひ牡山羊の血をのまんや
14感謝のそなへものを神にささげよ なんぢのちかひを至上者につくのへ
15なやみの日にわれをよべ我なんぢを援けん而してなんぢ我をあがむべし
16 50:17然はあれど神あしきものに言給く なんぢは敎をにくみ わが言をその後にすつるものなるに何のかかはりありてわが律法をのべ わがけいやくを口にとりしや
18なんぢ盗人をみれば之をよしとし姦淫をおこなふものの伴侶となれり
19なんぢその口を惡にわたす なんぢの舌は詭計をくみなせり
20なんぢ坐りて兄弟をそしり己がははの子を誣ののしれり
21汝これらの事をなししをわれ默しぬれば なんぢ我をおのれに恰にたるものとおもへり されど我なんぢを責めてその罪をなんぢの目前につらぬべし
22神をわするるものよ今このことを念へ おそらくは我なんぢを抓さかんとき助るものあらじ
23感謝のそなへものを献るものは我をあがむ おのれの行爲をつつしむ者にはわれ神の救をあらはさん
第五十一篇
ダビデがバテセバにかよひしのち預言者ナタンの來れるときよみて伶長にうたはしめたる歌
1ああ神よねがはくはなんぢの仁慈によりて我をあはれみ なんぢの憐憫のおほきによりてわがもろもろの愆をけしたまへ
2わが不義をことごとくあらひさり我をわが罪よりきよめたまへ
3われはわが愆をしる わが罪はつねにわが前にあり
4我はなんぢにむかひて獨なんぢに罪ををかし聖前にあしきことを行へり されば汝ものいふときは義とせられ なんぢ鞫くときは咎めなしとせられ給ふ
5視よわれ邪曲のなかにうまれ罪ありてわが母われをはらみたりき
6なんぢ眞實をこころの衷にまでのぞみ わが隠れたるところに智慧をしらしめ給はん
7なんぢヒソブをもて我をきよめたまへ さらばわれ淨まらん 我をあらひたまへ さらばわれ雪よりも白からん
8なんぢ我によろこびと快樂とをきかせ なんぢが碎きし骨をよろこばせたまへ
9ねがはくは聖顔をわがすべての罪よりそむけ わがすべての不義をけしたまへ
10ああ神よわがために清心をつくり わが衷になほき霊をあらたにおこしたまへ
11われを聖前より棄たまふなかれ 汝のきよき霊をわれより取りたまふなかれ
12なんぢの救のよろこびを我にかへし自由の霊をあたへて我をたもちたまへ
13さらばわれ愆ををかせる者になんぢの途ををしへん罪人はなんぢに歸りきたるべし
14神よわが救のかみよ血をながしし罪より我をたすけいだしたまへ わが舌は聲たからかになんぢの義をうたはん
15主よわが口唇をひらきたまへ 然ばわが口なんぢの頌美をあらはさん
16なんぢは祭物をこのみたまはず もし然らずば我これをささげん なんぢまた燔祭をも悦びたまはず
17神のもとめたまふ祭物はくだけたる霊魂なり 神よなんぢは碎けたる悔しこころを藐しめたまふまじ
18ねがはくは聖意にしたがひてシオンにさいはひし ヱルサレムの石垣をきづきたまへ
19その時なんぢ義のそなへものと燔祭と全きはんさいとを悦びたまはん かくて人々なんぢの祭壇に牡牛をささぐべし
第五十二篇
エドム人ドエグ、サウルにきたりてダビデはアビメレクの家にきぬと告しときダビデがよみて伶長にうたはしめたる敎訓のうた
1猛者よなんぢ何なればあしき企圖をもて自らほこるや神のあはれみは恒にたえざるなり
2なんぢの舌はあしきことをはかり利き剃刀のごとくいつはりをおこなふ
3なんぢは善よりも惡をこのみ正義をいふよりも虚偽をいふをこのむセラ
4たばかりの舌よなんぢはすべての物をくひほろぼす言をこのむ
5されば神とこしへまでも汝をくだき また汝をとらへてその幕屋よりぬきいだし生るものの地よりなんぢの根をたやしたまはんセラ
6義者はこれを見ておそれ彼をわらひていはん
7神をおのが力となさず その富のゆたかなるをたのみ その惡をもて己をかたくせんとする人をみよと
8然はあれどわれは神の家にあるあをき橄欖の樹のごとし 我はいやとほながに神のあはれみに依賴まん
9なんぢこの事をおこなひ給ひしによりて我とこしへになんぢに感謝し なんぢの聖徒のまへにて聖名をまちのぞまん こは宜しきことなればなり
第五十三篇
マハラツ(樂器の名、あるひはいふ調べの名)にあはせて伶長にうたはしめたるダビデの敎訓のうた
1愚かなるものは心のうちに神なしといへり かれらは腐れたりかれらは憎むべき不義をおこなへり善をおこなふ者なし
2神は天より人の子をのぞみて悟るものと神をたづぬる者とありやなしやを見たまひしに
3みな退ぞきてことごとく汚れたり善をなすものなし一人だになし
4不義をおこなふものは知覺なきか かれらは物くふごとくわが民をくらひ また神をよばふことをせざるなり
5かれらは懼るべきことのなきときに大におそれたり 神はなんぢにむかひて營をつらぬるものの骨をちらしたまへばなり 神かれらを棄たまひしによりて汝かれらを辱かしめたり
6願くはシオンよりイスラエルの救のいでんことを 神その民のとらはれたるを返したまふときヤコブはよろこびイスラエルは樂まん
第五十四篇
ジフ人のサウルにきたりてダビデはわれらの處にかくれをるにあらずやといひたりしとき ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる敎訓のうた
1神よねがはくは汝の名によりて我をすくひ なんぢの力をもて我をさばきたまへ
2神よわが祈をききたまへ わが口のことばに耳をかたぶけたまへ
3そは外人はわれにさからひて起りたち強暴人はわがたましひを索むるなり かれらは神をおのが前におかざりきセラ
4みよ神はわれをたすくるものなり 主はわがたましひを保つものとともに在せり
5主はわが仇にそのあしきことの報をなしたまはん 願くはなんぢの眞實によりて彼等をほろぼしたまへ
6我よろこびて祭物をなんぢに献ん ヱホバよ我なんぢの名にむかひて感謝せん こは宜しきことなればなり
7そはヱホバはすべての患難より我をすくひたまへり わが目はわが仇につきての願望をみたり
第五十五篇
ダビデうたのかみに琴にてうたはしめたる敎訓のうた
1神よねがはくは耳をわが祈にかたぶけたまへ わが懇求をさけて身をかくしたまふなかれ
2われに聖意をとめ 我にこたへたまへ われ歎息によりてやすからず悲みうめくなり
3これ仇のこゑと惡きものの暴虐とのゆゑなり そはかれら不義をわれに負せ いきどほりて我におひせまるなり
4わが心わがうちに憂ひいたみ死のもろもろの恐懼わがうへにおちたり
5おそれと戰慄とわれにのぞみ甚だしき恐懼われをおほへり
6われ云ねがはくは鴿のごとく羽翼のあらんことを さらば我とびさりて平安をえん
7みよ我はるかにのがれさりて野にすまんセラ
8われ速かにのがれて暴風と狂風とをはなれん
9われ都のうちに強暴とあらそひとをみたり 主よねがはくは彼等をほろぼしたまへ かれらの舌をわかれしめたまへ
10彼等はひるもよるも石垣のうへをあるきて邑をめぐる 邑のうちには邪曲とあしき企圖とあり
11また惡きこと邑のうちにあり しへたげと欺詐とはその街衢をはなるることなし
12われを謗れるものは仇たりしものにあらず もし然りしならば尚しのばれしなるべし 我にむかひて己をたかくせし者はわれを恨たりしものにあらず若しかりしならば身をかくして彼をさけしなるべし
13されどこれ汝なり われとおなじきもの わが友われと親しきものなり
14われら互にしたしき語らひをなし また會衆のなかに在てともに神の家にのぼりたりき
15死は忽然かれらにのぞみ その生るままにて陰府にくだらんことを そは惡事その住處にありその中にあればなり
16されど我はただ神をよばんヱホバわれを救ひたまふべし
17夕にあしたに晝にわれなげき且かなしみうめかん ヱホバわが聲をききたまふべし
18ヱホバは我をせむる戰闘よりわが霊魂をあがなひいだして平安をえしめたまへり そはわれを攻るもの多かりければなり
19太古よりいます者なる神はわが聲をききてかれらを惱めたまべしセラ かれらには變ることなく神をおそるることなし
20かの人はおのれと睦みをりしものに手をのべてその契約をけがしたり
21その口はなめらかにして乳酥のごとくなれどもその心はたたかひなり その言はあぶらに勝りてやはらかなれどもぬきたる劍にことならず
22なんぢの荷をヱホバにゆだねよさらば汝をささへたまはん ただしき人のうごかさるることを常にゆるしたまふまじ
23かくて神よなんぢはかれらを亡の坑におとしいれたまはん血をながすものと詭計おほきものとは生ておのが日の半にもいたらざるべし 然はあれどわれは汝によりたのまん
第五十六篇
ダビデがガテにてペリシテ人にとらへられしとき詠て「遠きところにをる音をたてぬ鴿」のしらべにあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
1ああ神よねがはくは我をあはれみたまへ 人いきまきて我をのまんとし終日たたかひて我をしへたぐ
2わが仇ひねもす急喘てわれをのまんとす誇りたかぶりて我とたたかふものおほし
3われおそるるときは汝によりたのまん
4われ神によりてその聖言をほめまつらん われ神に依賴みたればおそるることあらじ肉體われになにをなし得んや
5かれらは終日わがことばを曲るなり その思念はことごとくわれにわざはひをなす
6かれらは群つどひて身をひそめ わが歩に目をとめてわが霊魂をうかがひもとむ
7かれらは不義をもてのがれんとおもへり 神よねがはくは憤ほりてもろもろの民をたふしたまへ
8汝わがあまた土の流離をかぞへたまへり なんぢの革嚢にわが涙をたくはへたまへ こは皆なんぢの冊にしるしあるにあらずや
9わがよびもとむる日にはわが仇しりぞかん われ神のわれを守りたまふことを知る
10われ神によりてその聖言をはめまつらん 我ヱホバによりてそのみことばを讃まつらん
11われ神によりたのみたれば懼るることあらじ 人はわれに何をなしえんや
12神よわがなんぢにたてし誓はわれをまとへり われ感謝のささげものを汝にささげん
13汝わがたましひを死よりすくひたまへばなり なんぢ我をたふさじとわが足をまもり生命の光のうちにて神のまへに我をあゆませ給ひしにあらずや
第五十七篇
ダビデが洞にいりてサウルの手をのがれしとき詠て「ほろぼすなかれ」にといふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた
1我をあはれみたまへ神よわれをあはれみたまへ わが霊魂はなんぢを避所とす われ禍害のすぎさるまではなんぢの翼のかげを避所とせん
2我はいとたかき神によばはん わがために百事をなしをへたまふ神によばはん
3神はたすけを天よりおくりて我をのまんとする者のそしるときに我を救ひたまはんセラ 神はその憐憫その眞實をおくりたまはん
4わがたましひは群ゐる獅のなかにあり 火のごとくもゆる者 その歯は戈のごとく矢のごとくその舌はとき劍のごとき人の子のなかに我ふしぬ
5神よねがはくはみづからを天よりも高くしみさかえを全地のうへに擧たまへ
6かれらはわが足をとらへんとて網をまうく わが霊魂はうなたる かれらはわがまへに阱をほりたり而してみづからその中におちいれりセラ
7わが心さだまれり神よわがこころ定まれり われ謳ひまつらん頌まつらん
8わが榮よさめよ 筝よ琴よさめよ われ黎明をよびさまさん
9主よわれもろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにて汝をほめうたはん
10そは汝のあはれみは大にして天にまでいたり なんぢの眞實は雲にまでいたる
11神よねがはくは自からを天よりも高くし光榮をあまねく地のうへに擧たまへ
第五十八篇
ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムのうた
1なんぢら默しゐて義をのべうるか 人の子よなんぢらなほき審判をおこなふや
2否なんぢらは心のうちに惡事をおこなひ その手の強暴をこの地にはかりいだすなり
3あしきものは胎をはなるるより背きとほざかり生れいづるより迷ひていつはりをいふ
4 58:5かれらの毒は蛇のどくのごとし かれらは蠱術をおこなふものの甚たくみにまじなふその聲をだにきかざる耳ふさぐ聾ひの蝮のごとし
6神よかれらの口の歯ををりたまヘ ヱホバよ壯獅の牙をぬきくだきたまへ
7願くはかれらを流れゆく水のごとくに消失しめ その矢をはなつときは折れたるごとくなし給はんことを
8また融てきえゆく蝸牛のごとく婦のときならず產たる目をみぬ嬰のごとくならしめ給へ
9なんぢらの釜いまだ荊蕀の火をうけざるさきに靑をも燃たるをもともに狂風にて吹さりたまはん
10義者はかれらが讎かへさるるを見てよろこび その足をあしきものの血のなかにてあらはん
11かくて人はいふべし實にただしきものに報賞あり實にさばきをほどこしたまふ神はましますなりと
第五十九篇
サウル、ダビデを殺さんとし人をおくりてその家をうかがはしめし時ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
1わが神よねがはくは我をわが仇よりたすけいだし われを高處におきて我にさからひ起立つものより脱かれしめたまへ
2邪曲をおこなふものより我をたすけいだし血をながす人より我をすくひたまへ
3視よかれらは潜みかくれてわが霊魂をうかがひ猛者むれつどひて我をせむ ヱホバよ此はわれに愆あるにあらず われに罪あるにあらず
4かれら趨りまはりて過失なきに我をそこなはんとて備をなす ねがはくは我をたすくるために目をさまして見たまへ
5なんぢヱホバ萬軍の神イスラエルの神よ ねがはくは目をさましてもろもろの國にのぞみたまへ あしき罪人にあはれみを加へたまふなかれセラ
6かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありく
7視よかれらは口より惡をはく そのくちびるに劍あり かれらおもへらく誰ありてこの言をきかんやと
8されどヱホバよ汝はかれらをわらひ もろもろの國をあざわらひたまはん
9わが力よわれ汝をまちのぞまん 神はわがたかき櫓なり
10憐憫をたまふ神はわれを迎へたまはん 神はわが仇につきての願望をわれに見させたまはん
11願くはかれらを殺したまふなかれ わが民つひに忘れやはせん 主われらの盾よ 大能をもてかれらを散し また卑したまへ
12かれらがくちびるの言はその口のつみなり かれらは詛と虚偽とをいひいづるによりてその傲慢のためにとらへられしめたまへ
13忿恚をもてかれらをほろぼしたまへ 再びながらふることなきまでに彼等をほろぼしたまへ ヤコブのなかに神いまして統治めたまふことをかれらに知しめて地の極にまでおよぼしたまへセラ
14かれらは夕にかへりきたり犬のごとくほえて邑をへありくべし
15かれらはゆききして食物をあさり もし飽ことなくば終夜とどまれり
16されど我はなんぢの大能をうたひ清晨にこゑをあげてなんぢの憐憫をうたひまつらん なんぢわが迫りくるしみたる日にたかき櫓となり わが避所となりたまひたればなり
17わがちからよ我なんぢにむかひて頌辭をうたひまつらん 神はわがたかき櫓われにあはれみをたまふ神なればなり
第六十篇
ダビデ、ナハライムのアラムおよびゾバのアラムとたたかひをりしがヨアブかへりゆき鹽谷にてエドム人一萬二千をころししとき敎訓をなさんとてダビデがよみて「證詞の百合花」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるミクタムの歌
1神よなんぢわれらを棄われらをちらし給へり なんぢは憤ほりたまへり ねがはくは再びわれらを歸したまへ
2なんぢ國をふるはせてこれを裂たまへり ねがはくはその多くの隙をおぎなひたまへ そは國ゆりうごくなり
3なんぢはその民にたへがたきことをしめし 人をよろめかする酒をわれらに飮しめ給へり
4なんぢ眞理のために擧しめんとて汝をおそるるものに一つの旗をあたへたまへりセラ
5ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ
6神はその聖をもていひたまへり われ甚くよろこばん われシケムをわかちスコテの谷をはからん
7ギレアデはわがもの マナセはわが有なり エフライムも亦わが首のまもりなり ユダはわが杖
8モアブはわが足盥なり エドムにはわが履をなげん ベリシテよわが故によりて聲をあげよと
9たれかわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきたるか
10神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともにいでゆきたまはず
11ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空しければなり
12われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をみたまふものは神なればなり
第六十一篇
琴にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ああ神よねがはくはわが哭聲をききたまへ わが祈にみこころをとめたまへ
2わが心くづほるるとき地のはてより汝をよばん なんぢ我をみちびきてわが及びがたきほどの高き磐にのぼらせたまへ
3なんぢはわが避所われを仇よりのがれしむる堅固なる櫓なればなり
4われ永遠になんぢの帷幄にすまはん我なんぢの翼の下にのがれんセラ
5神よなんぢはわがもろもろの誓をきき名をおそるるものにたまふ嗣業をわれにあたへたまへり
6なんぢは王の生命をのばし その年を幾代にもいたらせたまはん
7王はとこしへに神のみまへにとどまらん ねがはくは仁慈と眞實とをそなへて彼をまもりたまへ
8さらば我とこしへに名をほめうたひて日ごとにわがもろもろの誓をつくのひ果さん
第六十二篇
エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるダビデのうた
1わがたましひは默してただ神をまつ わがすくひは神よりいづるなり
2神こそはわが磐わがすくひなれ またわが高き櫓にしあれば我いたくは動かされじ
3なんぢらは何のときまで人におしせまるや なんぢら相共にかたぶける石垣のごとく搖ぎうごける籬のごとくに人をたふさんとするか
4かれらは人をたふとき位よりおとさんとのみ謀り いつはりをよろこびまたその口にてはいはひその心にてはのろふセラ
5わがたましひよ默してただ神をまて そはわがのぞみは神よりいづ
6神こそはわが磐わがすくひなれ 又わがたかき櫓にしあれば我はうごかされじ
7わが救とわが榮とは神にあり わがちからの磐わがさけどころは神にあり
8民よいかなる時にも神によりたのめ その前になんぢらの心をそそぎいだせ 神はわれらの避所なりセラ
9實にひくき人はむなしくたかき人はいつはりなり すべてかれらを權衡におかば上にあがりて虚しきものよりも軽きなり
10暴虐をもて恃とするなかれ 掠奪ふをもてほこるなかれ 富のましくははる時はこれに心をかくるなかれ
11ちからは神にあり神ひとたび之をのたまへり われ二次これをきけり
12ああ主よあはれみも亦なんぢにあり なんぢは人おのおのの作にしたがひて報をなしたまへばなり
第六十三篇
ユダの野にありしときに詠るダビデのうた
1ああ神よなんぢはわが神なり われ切になんぢをたづねもとむ 水なき燥きおとろへたる地にあるごとくわが霊魂はかわきて汝をのぞみ わが肉體はなんぢを戀したふ
2曩にも我かくのごとく大權と榮光とをみんことをねがひ聖所にありて目をなんぢより離れしめざりき
3なんぢの仁慈はいのちにも勝れるゆゑにわが口唇はなんぢを讃まつらん
4斯われはわが生るあひだ汝をいはひ名によりてわが手をあげん
5 63:6われ床にありて汝をおもひいで夜の更るままになんぢを深くおもはん時 わがたましひは髓と脂とにて饗さるるごとく飽ことをえ わが口はよろこびの口唇をもてなんぢを讃たたへん
7そはなんぢわが助となりたまひたれば 我なんぢの翼のかげに入てよろこびたのしまん
8わがたましひはなんぢを慕追ふ みぎの手はわれを支ふるなり
9然どわがたましひを滅さんとて尋ねもとむるものは地のふかきところにゆき
10又つるぎの刃にわたされ野犬の獲るところとなるべし
11しかれども王は神をよろこばん 神によりて誓をたつるものはみな誇ることをえん 虚偽をいふものの口はふさがるべければなり
第六十四篇
伶長にうたはしめたるダビデのうた
1神よわがなげくときわが聲をききたまへ わが生命をまもりて仇のおそれより脱かれしめたまへ
2ねがはくは汝われをかくして惡をなすものの陰かなる謀略よりまぬかれしめ不義をおこなふものの喧嘩よりまぬかれしめ給へ
3かれらは劍のごとくおのが舌をとぎ その弓をはり矢をつがへるごとく苦言をはなち
4隠れたるところにて全者を射んとす俄かにこれを射ておそるることなし
5また彼此にあしき企圖をはげまし共にはかりてひそかに羂をまうく 斯ていふ誰かわれらを見んと
6かれらはさまざまの不義をたづねいだして云われらは懇ろにたづね終れりと おのおのの衷のおもひと心とはふかし
7然はあれど神は矢にてかれらを射たまふべし かれらは俄かに傷をうけん
8斯てかれらの舌は其身にさからふがゆゑに遂にかれらは蹟かん これを見るものみな逃れさるべし
9もろもろの人はおそれん而して神のみわざをのべつたへ その作たまへることを考ふべし
10義者はヱホバをよろこびて之によりたのまん すべて心のなほきものは皆ほこることを得ん
第六十五篇
伶長にうたはしめたる歌ダビデの讃美なり
1ああ神よさんびはシオンにて汝をまつ 人はみまへにて誓をはたさん
2祈をききたまふものよ諸人こぞりて汝にきたらん
3不義のことば我にかてり なんぢ我儕のもろもろの愆をきよめたまはん
4汝にえらばれ汝にちかづけられて大庭にすまふ者はさいはひなり われらはなんぢの家なんぢの宮のきよき處のめぐみにて飽ことをえん
5われらが救のかみよ 地と海とのもろもろの極なるきはめて遠ものの恃とするなんぢは公義によりて畏るべきことをもて我儕にこたへたまはん
6かみは大能をおび その權力によりてもろもろの山をかたくたたしめ
7海のひびき狂瀾のひびき もろもろの民のかしがましきを鎮めたまへり
8されば極遠にすめる人々もなんぢのくさぐさの豫兆をみておそる なんぢ朝夕のいづる處をよろこび謳はしめたまふ
9なんぢ地にのぞみて漑そぎおほいに之をゆたかにしたまへり 神のかはに水みちたり なんぢ如此そなへをなして穀物をかれらにあたへたまへり
10なんぢ畎をおほいにうるほし畝をたひらにし白雨にてこれをやはらかにし その萌芽るを祝し
11また恩惠をもて年の冕弁としたまへり なんぢの途には膏したたれり
12その恩滴は野の牧場をうるほし小山はみな歓びにかこまる
13牧場はみな羊のむれを衣もろもろの谷は穀物におほはれたり かれらは皆よろこびてよばはりまた謳ふ
第六十六篇
伶長にうたはしめたる讃美なり 歌なり
1全地よ神にむかひて歓びよばはれ
2その名の榮光をうたへその頌美をさかえしめよ
3かみに告まつれ 汝のもろもろの功用はおそるべきかな大なる力によりてなんぢの仇はなんぢに畏れしたがひ
4全地はなんぢを拝みてうたひ名をほめうたはんとセラ
5來りて神のみわざをみよ 人の子輩にむかひて作たまふことはおそるべきかな
6神はうみをかへて乾ける地となしたまへり ひとびと歩行にて河をわたりき その處にてわれらは神をよろこべり
7神はその大能をもてとこしへに統治め その目は諸國をみたまふ そむく者みづからを崇むべからずセラ
8もろもろの民よ われらの神をほめまつれ神をほめたたふる聲をきこえしめよ
9神はわれらの霊魂をながらへしめ われらの足のうごかさるることをゆるしたまはず
10神よなんぢはわれらを試みて白銀をねるごとくにわれらを錬たまひたればなり
11汝われらを網にひきいれ われらの腰におもき荷をおき
12人々をわれらの首のうへに騎こえしめたまひき われらは火のなか水のなかをすぎゆけり されど汝その中よりわれらをひきいたし豊盛なる處にいたらしめたまへり
13 66:14われ燔祭をもてなんぢの家にゆかん 迫りくるしみたるときにわが口唇のいひいでわが口ののべし誓をなんぢに償はん
15われ肥たるものを燔祭とし牡羊を馨香として汝にささげ牡牛と牡山羊とをそなへまつらんセラ
16神をおそるる人よ みな來りてきけ われ神のわがたましひのために作たまへることをのべん
17われわが口をもて神によばはり また舌をもてあがむ
18然るにわが心にしれる不義あらば主はわれにききたまふまじ
19されどまことに神はききたまへり聖意をわがいのりの聲にとめたまへり
20神はほむべきかな わが祈をしりぞけず その憐憫をわれよりとりのぞきたまはざりき
第六十七篇
琴にあはせて伶長にうたはしめたる歌なり 讃美なり
1ねがはくは神われらをあはれみ われらをさきはひてその聖顔をわれらのうへに照したまはんことをセラ
2此はなんぢの途のあまねく地にしられ なんぢの救のもろもろの國のうちに知れんがためなり
3かみよ庶民はなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん
4もろもろの國はたのしみ又よろこびうたふべし なんぢ直をもて庶民をさばき地のうへなる萬の國ををさめたまべければなりセラ
5神よたみらはなんぢに感謝し もろもろの民はみな汝をほめたたへん
6地は產物をいだせり 神わが神はわれらを福ひたまはん
7神われらをさきはひたまふべし かくて地のもろもろの極ことごとく神をおそれん
第六十八篇
伶長にうたはしめたるダビデのうたなり 讃美なり
1ねがはくは神おきたまへ その仇はことごとくちり 神をにくむものは前よりにげさらんことを
2烟のおひやらるるごとくかれらを驅逐たまへ 惡きものは火のまへに蝋のとくるごとく 神のみまへにてほろぶべし
3されど義きものには歓喜あり かれら神の前にてよろこびをどらん實にたのしみて喜ばん
4神のみまへにうたへ その名をほめたたへよ 乗て野をすぐる者のために大道をきづけ かれの名をヤハとよぶ その前によろこびをどれ
5きよき住居にまします神はみなしごの父やもめの審士なり
6神はよるべなきものを家族の中にをらしめ囚人をとき福祉にみちびきたまふ されど悖逆者はうるほひなき地にすめり
7神よなんぢは民にさきだちいでて野をすすみゆきたまひきセラ
8そのとき地ふるひ天かみのみまへに漏る シナイの山すら神イスラエルの神の前にふるひうごけり
9神よなんぢの嗣業の地のつかれおとろへたるとき豊かなる雨をふらせて之をかたくしたまへり
10曩になんぢの公會はその中にとどまれり 神よなんぢは惠をもて貧きもののために預備をなしたまひき
11主みことばを賜ふ その佳音をのぶる婦女はおほくして群をなせり
12もろもろの軍旅の王たちはにげさる 逃去りたれば家なる婦女はその掠物をわかつ
13なんぢら羊の牢のうちにふすときは鴿のつばさの白銀におほはれその毛の黄金におほはるるがごとし
14全能者かしこにて列王をちらし給へるときはサルモンの山に雪ふりたるがごとくなりき
15バシャンのやまは神の山なりバシャンのやまは峰かさなれる山なり
16峰かさなれるもろもろの山よ なんぢら何なれば神の住所にえらびたまへる山をねたみ見るや 然れヱホバは永遠にこの山にすみたまはん
17神の戰車はよろづに萬をかさね千にちぢをくはふ 主その中にいませり 聖所にいますがごとくシナイの山にいまししがごとし
18なんぢ高處にのぼり虜者をとりこにしてひきゐ禮物を人のなかよりも叛逆者のなかよりも受たまへり ヤハの神ここに住たまはんが爲なり
19日々にわれらの荷をおひたまふ主われらのすくひの神はほむべきかなセラ
20神はしばしばわれらを助けたまへる神なり 死よりのがれうるは主ヱホバに由る
21神はその仇のかうべを撃やぶりたまはん 愆のなかにとどまるものの髮おほき顱頂をうちやぶりたまはん
22主いへらく我バシャンよりかれらを携へかへり海のふかき所よりたづさへ歸らん
23斯てなんぢの足をそのあたの血にひたし之をなんぢの犬の舌になめしめん
24神よすべての人はなんぢの進行きたまふをみたり わが神わが王の聖所にすすみゆきたまふを見たり
25鼗うつ童女のなかにありて謳ふものは前にゆき琴ひくものは後にしたがへり
26なんぢらすべての會にて神をほめよイスラエルのみなもとより出るなんぢらよ 主をほめまつれ
27彼處にかれらを統るとしわかきベニヤミンあり ユダの諸侯とその群衆とありまたゼブルンのきみたちナフタリの諸侯あり
28なんぢの神はなんぢの力をたてたまへり 神よなんぢ我儕のためになしたまひし事をかたくしたまヘ
29ヱルサレムなるなんぢの宮のために列王なんぢに禮物をささげん
30ねがはくは葦間の獣むらがれる牯犢のごときもろもろの民をいましめてかれらに白銀をたづさへきたり みづから服ふことを爲しめたまへ 神はたたかひを好むもろもろの民をちらしたまへり
31諸侯はエジプトよりきたり エテオピアはあわただしく神にむかひて手をのべん
32地のもろもろのくによ神のまへにうたへ主をほめうたへセラ
33上古よりの天の天にのりたま者にむかひてうたへ みよ主はみこゑを發したまふ勢力ある聲をいだしたまふ
34なんぢらちからを神に歸せよその稜威はイスラエルの上にとどまり その大能は雲のなかにあり
35神のおそるべき状はきよき所よりあらはる イスラエルの神はその民にちからと勢力とをあたへたまふ 神はほむべきかな
第六十九篇
百合花にあはせて伶長にうたはしめたるダビデのうた
1神よねがはくは我をすくひたまへ 大水ながれきたりて我がたましひにまでおよべり
2われ立止なきふかき泥の中にしづめり われ深水におちいるおほみづわが上をあふれすぐ
3われ歎息によりてつかれたり わが喉はかわき わが目はわが神をまちわびておとろへぬ
4故なくしてわれをにくむ者わがかしらの髮よりもおほく謂なくしてわが仇となり我をほろぼさんとするものの勢力つよし われ掠めざりしものをも償はせらる
5神よなんぢはわが愚なるをしりたまふ わがもろもろの罪はなんぢにかくれざるなり
6萬軍のヱホバ主よ ねがはくは汝をまちのぞむ者をわが故によりて辱かしめらるることなからしめたまへ イスラエルの神よねがはくはなんぢを求むる者をわが故によりて恥をおはしめらるることなからしめたまへ
7我はなんぢのために謗をおひ恥はわが面をおほひたればなり
8われわが兄弟には旅人のごとく わが母の子には外人のごとくなれり
9そはなんぢの家をおもふ熱心われをくらひ汝をそしるものの謗われにおよべり
10われ涙をながして食をたち わが霊魂をなげかすれば反てこれによりて謗をうく
11われ麁布をころもとなししにかれらが諺語となりぬ
12門にすわる者はわがうへをかたる われは酔狂たるものに謳ひはやされたり
13然はあれどヱホバよわれは惠のときに汝にいのる ねがはくは神よなんぢの憐憫のおほきによりて汝のすくひの眞實をもて我にこたへたまへ
14ねがはくは泥のなかより我をたすけいだして沈ざらしめたまへ 我をにくむものより深水よりたすけいだしたまへ
15大水われを淹ふことなく淵われをのむことなく坑その口をわがうへに閉ることなからしめたまへ
16ヱホバよねがはくは我にこたへたまへ なんぢの仁慈うるはしければなり なんぢの憐憫はおほしわれに歸りきたりたまへ
17面をなんぢの僕にかくしたまふなかれ われ迫りくるしめり ねがはくは速かに我にこたへたまへ
18わがたましひに近くよりて之をあがなひわが仇のゆゑに我をすくひたまへ
19汝はわがうくる謗とはぢと侮辱とをしりたまへり わが敵はみな汝のみまへにあり
20譭謗わが心をくだきぬれば我いたくわづらへり われ憐憫をあたふる者をまちたれど一人だになく慰むるものを俟たれど一人をもみざりき
21かれら苦草をわがくひものにあたへ わが渇けるときに醋をのませたり
22ねがはくは彼等のまへなる筵は網となり そのたのむ安逸はつひに羂となれ
23その目をくらくして見しめず その腰をつねにふるはしめたまへ
24願くはなんぢの忿恚をかれらのうへにそそぎ汝のいかりの猛烈をかれらに追及せたまへ
25かれらの屋をむなしくせよ その幕屋に人をすまはするなかれ
26かれらはなんぢが撃たまひたる者をせめ なんぢが傷けたまひたるものの痛をかたりふるればなり
27ねがはくはれらの不義に不義をくはへてなんぢの義にあづからせ給ふなかれ
28かれらを生命の册よりけして義きものとともに記さるることなからしめたまへ
29斯てわれはくるしみ且うれひあり 神よねがはくはなんぢの救われを高處におかんことを
30われ歌をもて神の名をほめたたへ 感謝をもて神をあがめまつらん
31此はをうしまたは角と蹄とある力つよき牡牛にまさりてヱホバよろこびたまはん
32謙遜者はこれを見てよろこべり 神をしたふ者よなんぢらの心はいくべし
33ヱホバは乏しきものの聲をきき その俘囚をかろしめたまはざればなり
34天地はヱホバをほめ蒼海とその中にうごくあらゆるものとはヱホバを讃まつるべし
35神はシオンをすくひユダのもろもろの邑を建たまふべければなり かれらは其處にすみ且これをおのが有とせん
36その僕のすゑも亦これを嗣その名をいつくしむ者その中にすまん
第七十篇
伶長にうたはしめたるダビデが記念のうた
1神よねがはくは我をすくひたまヘ ヱホバよ速きたりて我をたすけたまへ
2わが霊魂をたづぬるものの恥あわてんことを わが害はるるをよろこぶものの後にしりぞきて恥をおはんことを
3ああ視よや視よやといふもののおのが恥によりて後にしりぞかんことを
4すべて汝をたづねもとむる者のなんぢによりて樂みよろこばんことを なんぢの救をしたふもののつねに神は大なるかなととなへんことを
5われは苦しみ且ともし神よいそぎて我にきたりたまへ 汝はわが助われを救ふものなり ヱホバよねがはくは猶豫たまふなかれ
第七十一篇
1ヱホバよ我なんぢに依賴む ねがはくは何の日までも恥うくることなからしめ給へ
2なんぢの義をもて我をたすけ我をまぬかれしめたまへ なんぢの耳をわれに傾けて我をすくひたまへ
3ねがはくは汝わがすまひの磐となりたまへ われ恒にそのところに往ことを得ん なんぢ我をすくはんとて勅命をいだしたまへり そは汝はわが磐わが城なり
4わが神よあしきものの手より不義殘忍なる人のてより 我をまぬかれしめたまへ
5主ヱホバよなんぢはわが望なり わが幼少よりの恃なり
6われ胎をはなるるより汝にまもられ母の腹にありしときより汝にめぐまれたり 我つねに汝をほめたたへん
7我おほくの人にあやしまるるごとき者となれり 然どなんぢはわが堅固なる避所なり
8なんぢの頌辭となんぢの頌美とは終日わが口にみちん
9わが年老ぬるとき我をすてたまふなかれ わが力おとろふるとき我をはなれたまなかれ
10わが仇はわがことを論ひ ひわが霊魂をうかがふ者はたがひに議ていふ
11神かれを離れたり彼をたすくる者なし かれを追てとらへよと
12神よわれに遠ざかりたまふなかれ わが神よとく來りて我をたすけたまへ
13わがたましひの敵ははぢ且おとろへ我をそこなはんとするものは謗と辱とにおほはれよ
14されど我はたえず望をいだきていやますます汝をほめたたへん
15わが口はひねもす汝の義となんぢの救とをかたらん われその數をしらざればなり
16われは主ヱホバの大能の事跡をたづさへゆかん われは只なんぢの義のみをかたらん
17神よなんぢわれを幼少より敎へたまへり われ今にいたるまで汝のくすしき事跡をのべつたへたり
18神よねがはくはわれ老て頭髮しろくなるとも我がなんぢの力を次代にのべつたへ なんぢの大能を世にうまれいづる凡のものに宣傳ふるまで我をはなれ給ふなかれ
19神よなんぢの義もまた甚たかし なんぢは大なることをなしたまへり 神よたれか汝にひとしき者あらんや
20汝われらを多のおもき苦難にあはせたまへり なんぢ再びわれらを活しわれらを地の深所よりあげたまはん
21ねがはくは我をいよいよ大ならしめ歸りきたりて我をなぐさめ給へ
22わが神よさらばわれ筝をもて汝をほめ なんぢの眞實をほめたたへん イスラエルの聖者よわれ琴をもてなんぢを讃うたはん
23われ聖前にうたときわが口唇よろこびなんぢの贖ひたまへるわが霊魂おほいに喜ばん
24わが舌もまた終日なんぢの義をかたらん われを害はんとするもの愧惶つればなり
第七十二篇
ソロモンのうた
1神よねがはくは汝のもろもろの審判を王にあたへ なんぢの義をわうの子にあたへたまへ
2かれは義をもてなんぢの民をさばき公平をもて苦しむものを鞫かん
3義によりて山と岡とは民に平康をあたふべし
4かれは民のくるしむ者のために審判をなし乏しきものの子輩をすくひ虐ぐるものを壞きたまはん
5かれらは日と月とのあらんかぎり世々おしなべて汝をおそるべし
6かれは苅とれる牧にふる雨のごとく地をうるほす白雨のごとくのぞまん
7かれの世にただしき者はさかえ平和は月のうするまで豊かならん
8またその政治は海より海にいたり河より地のはてにおよぶべし
9野にをる者はそのまへに屈み そり仇は塵をなめん
10タルシシおよび島々の王たちは貢ををさめ シバとセバの王たちは禮物をささげん
11もろもろの王はそのまへに俯伏し もろもろの國はかれにつかへん
12かれは乏しき者をその叫ぶときにすくひ 助けなき苦しむ者をたすけ
13弱きものと乏しき者とをあはれみ乏しきものの霊魂をすくひ
14かれらのたましひを暴虐と強暴とよりあがなひたまふ その血はみまへに貴かるべし
15かれらは存ふべし 人はシバの黄金をささげてかれのために恒にいのり終日かれをいははん
16國のうち五穀ゆたかにしてその實はレバノンのごとく山のいただきにそよぎ 邑の人々は地の草のごとく榮ゆべし
17かれの名はつねにたえず かれの名は日の久しきごとくに絶ることなし 人はかれによりて福祉をえん もろもろの國はかれをさいはひなる者ととなへん
18ただイスラエルの神のみ奇しき事跡をなしたまへり 神ヱホバはほむべきかな
19その榮光の名はよよにほむべきかな全地はその榮光にて滿べしアーメン アーメン
20ヱッサイの子ダビデの祈はをはりぬ
第七十三篇
アサフのうた
1神はイスラエルにむかひ心のきよきものに對ひてまことに惠あり
2然はあれどわれはわが足つまづくばかりわが歩すべるばかりにてありき
3こはわれ惡きものの榮ゆるを見てその誇れる者をねたみしによる
4かれらは死るに苦しみなくそのちからは反てかたし
5かれらは人のごとく憂にをらず人のごとく患難にあふことなし
6このゆゑに傲慢は妝飾のごとくその頸をめぐり強暴はころものごとく彼等をおほへり
7かれら肥ふとりてその目とびいで心の欲にまさりて物をうるなり
8また嘲笑をなし惡をもて暴虐のことばをいだし高ぶりてものいふ
9その口を天におきその舌を地にあまねく往しむ
10このゆゑにかれの民はここにかへり水のみちたる杯をしぼりいだして
11いへらく神いかで知たまはんや至上者に知識あらんやと
12視よかれらは惡きものなるに常にやすらかにしてその富ましくははれり
13誠に我はいたづらに心をきよめ罪ををかさずして手をあらひたり
14そはわれ終日なやみにあひ朝ごとに責をうけしなり
15われもし斯ることを述んといひしならば我なんぢが子輩の代をあやまらせしならん
16われこれらの道理をしらんとして思ひめぐらししにわが眼いたく痛たり
17われ神の聖所にゆきてかれらの結局をふかく思へるまでは然りき
18誠になんぢはかれらを滑かなるところにおきかれらを滅亡におとしいれ給ふ
19かれらは瞬間にやぶれたるかな彼等は恐怖をもてことごとく滅びたり
20主よなんぢ目をさましてかれらが像をかろしめたまはんときは夢みし人の目さめたるがごとし
21わが心はうれへ わが腎はさされたり
22われおろかにして知覺なし聖前にありて獣にひとしかりき
23されど我つねになんぢとともにあり汝わが右手をたもちたまへり
24なんぢその訓諭をもて我をみちびき後またわれをうけて榮光のうちに入たまはん
25汝のほかに我たれをか天にもたん地にはなんぢの他にわが慕ふものなし
26わが身とわが心とはおとろふ されど神はわがこころの磐わがとこしへの嗣業なり
27視よなんぢに遠きものは滅びん 汝をはなれて姦淫をおこなふ者はみななんぢ之をほろぼしたまひたり
28神にちかづき奉るは我によきことなり われは主ヱホバを避所としてそのもろもろの事跡をのべつたへん
第七十四篇
アサフの敎訓のうた
1神よいかなれば汝われらをかぎりなく棄たまひしや 奈何ばなんぢの草苑の羊にみかいかりの煙あがれるや
2ねがはくは往昔なんぢが買求めたまへる公會ゆづりの支派となさんとて贖ひたまへるものを思ひいでたまへ又なんぢが住たまふシオンの山をおもひいで給へ
3とこしへの滅亡の跡にみあしを向たまへ仇は聖所にてもろもろの惡きわざをおこなへり
4なんぢの敵はなんぢの集のなかに吼たけびおのが旗をたてて誌とせり
5かれらは林のしげみにて斧をあぐる人の状にみゆ
6いま鉞と鎚とをもて聖所のなかなる彫刻めるものをことごとく毀ちおとせり
7かれらはなんぢの聖所に火をかけ名の居所をけがして地におとしたり
8かれら心のうちにいふ われらことごとく之をこぼちあらさんと かくて國内なる神のもろもろの會堂をやきつくせり
9われらの誌はみえず預言者も今はなし 斯ていくその時をかふべき われらのうちに知るものなし
10神よ敵はいくその時をふるまでそしるや 仇はなんぢの名をとこしへに汚すならんか
11いかなれば汝その手みぎの手をひきたまふや ねがはくは手をふところよりいだしてかれらを滅したまへ
12神はいにしへよりわが王なり すくひを世の中におこなひたまへり
13なんぢその力をもて海をわかち水のなかなる龍の首をくだき
14鰐のかうべをうちくだき野にすめる民にあたへて食となしたまへり
15なんぢは泉と水流とをひらき又もろもろの大河をからしたまへり
16晝はなんぢのもの夜も又汝のものなり なんぢは光と日とをそなへ
17あまねく地のもろもろの界をたて夏と冬とをつくりたまへり
18ヱホバよ仇はなんぢをそしり愚かなる民はなんぢの名をけがせり この事をおもひいでたまへ
19願くはなんぢの鴿のたましひを野のあらき獣にわたしたまふなかれ 苦しむものに命をとこしへに忘れたまふなかれ
20契約をかへりみたまへ地のくらきところは強暴の宅にて充たればなり
21ねがはくは虐げらるるものを慚退かしめ給ふなかれ 惱るものと苦しむものとに聖名をほめたたへしめたまへ
22神よおきてなんぢの訟をあげつらひ愚かなるものの終日なんぢを謗れるをみこころに記たまへ
23なんぢの敵の聲をわすれたまふなかれ 汝にさからひて起りたつ者のかしがましき聲はたえずあがれり
第七十五篇
「滅すなかれ」といふ調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり讃美なり
1神よわれら汝にかんしやす われら感謝すなんぢの名はちかく坐せばなり もろもろの人はなんぢの奇しき事跡をかたりあへり
2定りたる期いたらば我なほき審判をなさん
3地とすべての之にすむものと消去しとき我そのもろもろの柱をたてたりセラ
4われ誇れるものに誇りかにおこなふなかれといひ 惡きものに角をあぐるなかれといへり
5なんぢらの角をたかく擧るなかれ頸をかたくして高りいふなかれ
6擧ることは東よりにあらず西よりにあらずまた南よりにもあらざるなり
7ただ神のみ審士にましませば此をさげ彼をあげたまふ
8ヱホバの手にさかづきありて酒あわだてり その中にものまじりてみつ 神これをそそぎいだせり 誠にその滓は地のすべてのあしき者しぼりて飮むべし
9されど我はヤコブの神をのべつたへん とこしへに讃うたはん
10われ惡きもののすべての角をきりはなたん 義きものの角はあげらるべし
第七十六篇
琴にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌なり讃美なり
1神はユダにしられたまへり その名はイスラエルに大なり
2またサレムの中にその幕屋あり その居所はシオンにあり
3彼所にてかれは弓の火矢ををり盾と劍と戰陣とをやぶりたまひきセラ
4なんぢ榮光あり掠めうばふ山よりもたふとし
5心のつよきものは掠めらる かれらは睡にしづみ勇ましきものは皆その手を見うしなへり
6ヤコブの神よなんぢの叱咤によりて戰車と馬とともに深睡につけり
7神よなんぢこそ懼るべきものなれ 一たび怒りたまふときは誰かみまへに立えんや
8 76:9なんぢ天より宣告をのりたまへり 地のへりくだる者をみなすくはんとて神のさばきに立たまへるとき地はおそれて默したりセラ
10實に人のいかりは汝をほむべし 怒のあまりは汝おのれの帶としたまはん
11なんぢの神ヱホバにちかひをたてて償へ そのまはりなるすべての者はおそるべきヱホバに禮物をささぐべし
12ヱホバはもろもろの諸侯のたましひを絶たまはん ヱホバは地の王たちのおそるべき者なり
第七十七篇
エドトンの體にしたがひて伶長にうたはしめたるアサフのうた
1我わがこゑをあげて神によばはん われ聲を神にあげなばその耳をわれにかたぶけたまはん
2わがなやみの日にわれ主をたづねまつれり 夜わが手をのべてゆるむることなかりき わがたましひは慰めらるるをいなみたり
3われ神をおもひいでて打なやむ われ思ひなげきてわが霊魂おとろへぬセラ
4なんぢはわが眼をささへて閉がしめたまはず 我はものいふこと能はぬほどに惱みたり
5われむかしの日いにしへの年をおもへり
6われ夜わが歌をむもひいづ 我わが心にてふかくおもひわが霊魂はねもころに尋ねもとむ
7主はとこしへに棄たまふや 再びめぐみを垂たまはざるや
8その憐憫はのこりなく永遠にさり そのちかひは世々ながく廢れたるや
9神は恩をほどこすことを忘れたまふや 怒をもてそのあはれみを絨たまふやセラ
10斯るときに我いへらく此はただわが弱きがゆゑのみいで至上者のみぎの手のもろもろの年をおもひいでん
11われヤハの作爲をのべとなへん われ往古よりありし汝がくすしきみわざを思ひいたさん
12また我なんぢのすべての作爲をおもひいで汝のなしたまへることを深くおもはん
13神よなんぢの途はいときよし 神のごとく大なる神はたれぞや
14なんぢは奇きみわざをなしたまへる神なり もろもろの民のあひだにその大能をしめし
15その臂をもてヤコブ、ヨセフの子輩なんぢの民をあがなひたまへりセラ
16かみよ大水なんぢを見たり おほみづ汝をみてをののき淵もまたふるへり
17雲はみづをそそぎいだし空はひびきをいだし なんぢの矢ははしりいでたり
18なんぢの雷鳴のこゑは暴風のうちにありき 電光は世をてらし地はふるひうごけり
19なんぢの大道は海のなかにあり なんぢの徑はおほみづの中にあり なんぢの蹤跡はたづねがたかりき
20なんぢその民をモーセとアロンとの手によりて羊の群のごとくみちびきたまへり
第七十八篇
アサフの敎訓のうた
1わが民よわが敎訓をきき、わが口のことばになんぢらの耳をかたぶけよ
2われ口をひらきて譬喩をまうけ いにしへの玄幽なる語をかたりいでん
3是われらが曩にききしところ知しところ又われらが列祖のかたりつたへし所なり
4われら之をその子孫にかくさずヱホバのもろもろの頌美と能力とそのなしたまへる奇しき事跡とをきたらんとする世につげん
5そはヱホバ證詞をヤコブのうちにたて律法をイスラエルのうちに定めてその子孫にしらすべきことをわれらの列祖におほせたまひたればなり
6これ來らんとする代のちに生るる子孫がこれを知みづから起りてそのまた子孫につたへ
7かれらをして神によりたのみ神のみわざを忘れずその誡命をまもらしめん爲なり
8またその列祖のごとく頑固にしてそむくものの類となり そのこころ修まらず そのたましひ神に忠ならざる類とならざらん爲なり
9エフライムのこらは武具ととのへ弓をたづさへしに戰ひの日にうしろをそむけたり
10かれら神のちかひをまもらず そのおきてを履ことをいなみ
11ヱホバのなしたまへることとかれらに示したまへる奇しき事跡とをわすれたり
12神はエジプトの國にてゾアンの野にて妙なる事をかれらの列祖のまへになしたまへり
13すなはち海をさきてかれらを過ぎしめ水をつみて堆かくしたまへり
14ひるは雲をもてかれらをみちびき夜はよもすがら火の光をもてこれを導きたまへり
15神はあれのにて磐をさき大なる淵より汲がごとくにかれらに飮しめ
16また磐より流をひきて河のごとくに水をながれしめたまへり
17然るにかれら尚たえまなく罪ををかして神にさからひ荒野にて至上者にそむき
18またおのが慾のために食をもとめてその心のうちに神をこころみたり
19然のみならずかれらは神にさからひていへり 神は荒野にて筵をまうけたまふを得んや
20みよ神いはを撃たまへば水ほどばしりいで流あぶれたり 糧をもあたへたまふを得んや神はその民のために肉をそなへたまはんやと
21この故にヱホバこれを聞ていきどほりたまひき 火はヤコブにむかひてもえあがり怒はイスラエルにむかひて立騰れり
22こはかれら神を信ぜずその救にたのまざりし故なり
23されどなほ神はうへなる雲に命じて天の戸をひらき
24彼等のうへにマナをふらせて食はしめ天の穀物をあたへたまへり
25人みな勇士の糧をくらへり 神はかれらに食物をおくりて飽足らしめたまふ
26神は天に東風をふかせ大能もて南の風をみちびきたまへり
27神はかれらのうへに塵のごとく肉をふらせ海の沙のごとく翼ある鳥をふらせて
28その營のなかその住所のまはりに落したまへり
29斯てかれらは食ひて飽たりぬ 神はこれにその欲みしものを與へたまへり
30かれらが未だその慾をはなれず食物のなほ口のうちにあるほどに
31神のいかり旣にかれらに對ひてたちのぼり彼等のうちにて最もこえたる者をころしイスラエルのわかき男をうちたふしたまへり
32これらの事ありしかど彼等はなほ罪ををかしてその奇しきみわざを信ぜざりしかば
33神はかれらの日を空しくすぐさせ その年をおそれつつ過させたまへり
34神かれらを殺したまへる時かれら神をたづね歸りきたりて懇ろに神をもとめたり
35かくて神はおのれの磐いとたかき神はおのれの贖主なることをおもひいでたり
36然はあれど彼等はただその口をもて神にへつらひその舌をもて神にいつはりをいひたりしのみ
37そはかれらのこころは神にむかひて堅からず その契約をまもるに忠信ならざりき
38されど神はあはれみに充たまへばかれらの不義をゆるして亡したまはず屡ばそのみいかりを轉してことごとくは忿恚をふりおこし給はざりき
39又かれがただ肉にして過去ばふたたび歸りこぬ風なるをおもひいで給へり
40かれらは野にて神にそむき荒野にて神をうれへしめしこと幾次ぞや
41かれらかへすがへす神をこころみイスラエルの聖者をはづかしめたり
42かれらは神の手をも敵より贖ひたまひし日をもおもひいでざりき
43神はそのもろもろの豫兆をエジプトにあらはしその奇しき事をゾアンの野にあらはし
44かれらの河を血にかはらせてその流を飮あたはざらしめ
45また蝿の群をおくりてかれらをくはしめ蛙をおくりてかれらを亡させたまへり
46神はかれらの田產を蟊賊にわたし かれらの勤勞を蝗にあたへたまへり
47神は雹をもてかれらの葡萄の樹をからし霜をもてかれらの桑の樹をからし
48その家畜をへうにわたしその群をもゆる閃電にわたし
49かれらの上にはげしき怒といきどほりと怨恨となやみと禍害のつかひの群とをなげいだし給へり
50神はその怒をもらす道をまうけ かれらのたましひを死よりまぬかれしめず そのいのちを疫癘にわたし
51エジプトにてすべての初子をうちハムの幕屋にてかれらの力の始をうちたまへり
52されどおのれの民を羊のごとくに引いだし かれらを曠野にてけだものの群のごとくにみちびき
53かれらをともなひておそれなく安けからしめ給へり されど海はかれらの仇をおほへり
54神はその聖所のさかひ その右の手にて購たまへるこの山に彼らを携へたまへり
55又かれらの前にてもろもろの國人をおもひいだし準縄をもちゐ その地をわかちて嗣業となし イスラエルの族をかれらの幕屋にすまはせたまへり
56然はあれど彼等はいとたかき神をこころみ之にそむきてそのもろもろの證詞をまもらず
57叛きしりぞきてその列祖の如く眞實をうしなひ くるへる弓のごとくひるがへりて逸ゆけり
58高處をまうけて神のいきどほりをひき刻める像にて神の嫉妬をおこしたり
59神ききたまひて甚だしくいかり大にイスラエルを憎みたまひしかば
60人々の間におきたまひし幕屋なるシロのあげばりを棄さり
61その力をとりことならしめ その榮光を敵の手にわたし
62その民を劍にあたへ その嗣業にむかひて甚だしく怒りたまへり
63火はかれらのわかき男をやきつくし かれらの處女はその婚姻の歌によりて譽らるることなく
64かれらの祭司はつるぎにて仆れ かれらの寡婦は喪のなげきだにせざりき
65斯るときに主はねぶりし者のさめしごとく勇士の酒によりてさけぶがごとく目さめたまひて
66その敵をうちしりぞけ とこしへの辱をかれらに負せたまへり
67またヨセフの幕屋をいなみエフライムの族をえらばず
68ユダの族そのいつくしみたまふシオンの山をえらびたまへり
69その聖所を山のごとく永遠にさだめたまへる地のごとくに立たまへり
70またその僕ダビデをえらびて羊の牢のなかよりとり
71乳をあたふる牝羊にしたがひゆく勤のうちより携へきたりてその民ヤコブその嗣業イスラエルを牧はせたまへり
72斯てダビデはそのこころの完全にしたがひてかれらを牧ひ その手のたくみをもて之をみちびけり
第七十九篇
アサフのうた
1ああ神よもろもろの異邦人はなんぢの嗣業の地ををかし なんぢの聖宮をけがしヱルサレムをこぼちて礫堆となし
2なんぢの僕のしかばねをそらの鳥に與へて餌となし なんぢの聖徒の肉を地のけものにあたへ
3その血をヱルサレムのめぐりに水のごとく流したりされど之をはうむる人なし
4われらは隣人にそしられ四周のひとびとに侮られ嘲けらるるものとなれり
5ヱホバよ斯て幾何時をへたまふや 汝とこしへに怒たまふや なんぢのねたみは火のごとく燃るか
6願くはなんぢを識ざることくにびと聖名をよばざるもろもろの國のうへに烈怒をそそぎたまへ
7かれらはヤコブを呑その住處をあらしたればなり
8われらにむかひて先祖のよこしまなるわざを記念したまふなかれ願くはなんぢの憐憫をもて速かにわれらを迎へたまへ われらは貶されて甚だしく卑くなりたればなり
9われらのすくひの神よ名のえいくわうのために我儕をたすけ名のためにわれらを救ひ われらの罪をのぞきたまへ
10いかなれば異邦人はいふ かれらの神はいづくにありやと 願くはなんぢの僕等がながされし血の報をわれらの目前になして異邦人にしらしめたまへ
11ねがはくは汝のみまへにとらはれびとの嘆息のとどかんことを なんぢの大なる能力により死にさだめられし者をまもりて存へしめたまへ
12主よわれらの隣人のなんぢをそしりたる謗を七倍ましてその懐にむくいかへしたまへ
13然ばわれらなんぢの民なんぢの草苑のひつじは永遠になんぢに感謝しその頌辭を世々あらはさん
第八十篇
證詞の百合花といへる調にあはせて伶長にうたはしめたるアサフの歌
1イスラエルの牧者よひつじの群のごとくヨセフを導きたまものよ 耳をかたぶけたまへ ケルビムのうへに坐したまふものよ 光をはなちたまへ
2エフライム、ベニヤミン、マナセの前になんぢの力をふりおこし來りてわれらを救ひたまへ
3神よふたたびわれらを復し なんぢの聖顔のひかりをてらしたまへ 然ばわれら救をえん
4ばんぐんの神ヱホバよなんぢその民の祈にむかひて何のときまで怒りたまふや
5汝かれらになみだの糧をくらはせ涙を量器にみちみつるほどあたへて飮しめ給へり
6汝われらを隣人のあひあらそふ種料となしたまふ われらの仇はたがひにあざわらへり
7萬軍の神よふたたびわれらを復したまへ 汝のみかほの光をてらしたまへ さらばわれら救をえん
8なんぢ葡萄の樹をエジプトより携へいだしもろもろの國人をおひしりぞけて之をうゑたまへり
9汝そのまへに地をまうけたまひしかば深く根して國にはびこれり
10その影はもろもろの山をおほひ そのえだは神の香柏のごとくにてありき
11その樹はえだを海にまでのべ その若枝を河にまでのべたり
12汝いかなればその垣をくづして路ゆくすべての人に嫡取らせたまふや
13はやしの猪はこれをあらし野のあらき獣はこれをくらふ
14ああ萬軍の神よねがはくは歸りたまへ 天より俯視てこの葡萄の樹をかへりみ
15なんぢが右の手にてうゑたまへるもの自己のために強くなしたまへる枝をまもりたまへ
16その樹は火にて燒れまた斫たふさる かれらは聖顔のいかりにて亡ぶ
17ねがはくはなんぢの手をその右の手の人のうへにおき自己のためにつよくなしたまへる人の子のうへにおきたまへ
18さらばわれら汝をしりぞき離るることなからん 願くはわれらを活したまへ われら名をよばん
19ああ萬軍の神ヱホバよふたたび我儕をかへしたまへ なんぢの聖顔のひかりを照したまへ 然ばわれら救をえん
第八十一篇
ギテトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるアサフのうた
1われらの力なる神にむかひて高らかにうたひヤコブの神にむかひてよろこびの聲をあげよ
2歌をうたひ鼓とよき音のことと筝とをもちきたれ
3新月と滿月とわれらの節會の日とにラッパをふきならせ
4これイスラエルの律法ヤコブのかみの格なり
5神さきにエジプトを攻たまひしときヨセフのなかに之をたてて證となしたまへり 我かしこにて未だしらざりし方言をきけり
6われかれの肩より重荷をのぞき かれの手を籃よりまぬかれしめたり
7汝なやめるとき呼しかば我なんぢをすくへり われ雷鳴のかくれたるところにて汝にこたへメリバの水のほとりにて汝をこころみたりセラ
8わが民よきけ我なんぢに證せん イスラエルよ汝がわれに從はんことをもとむ
9汝のうちに他神あるべからず なんぢ他神ををがむべからず
10われはエジプトの國よりなんぢを携へいでたる汝の神ヱホバなり なんぢの口をひろくあけよ われ物をみたしめん
11されどわが民はわか聲にしたがはず イスラエルは我をこのまず
12このゆゑに我かれらが心のかたくななるにまかせ彼等がその任意にゆくにまかせたり
13われはわが民のわれに從ひイスフルのわが道にあゆまんことを求む
14さらば我すみやかにかれらの仇をしたがへ わが手をかれらの敵にむけん
15斯てヱホバをにくみし者もかれらに從ひ かれらの時はとこしへにつづかん
16神はむぎの最嘉をもてかれらをやしなひ 磐よりいでたる蜜をもて汝をあかしむべし
第八十二篇
アサフのうた
1かみは神のつどひの中にたちたまふ 神はもろもろの神のなかに審判をなしたまふ
2なんぢらは正からざる審判をなし あしきものの身をかたよりみて幾何時をへんとするやセラ
3よわきものと孤兒とのためにさばき苦しむものと乏しきものとのために公平をほどこせ
4弱きものと貧しきものとをすくひ彼等をあしきものの手よりたすけいだせ
5かれらは知ることなく悟ることなくして暗中をゆきめぐりぬ 地のもろもろの基はうごきたり
6我いへらく なんぢらは神なりなんぢらはみな至上者の子なりと
7然どなんぢらは人のごとくに死もろもろの侯のなかの一人のごとく仆れん
8神よおきて全地をさばきたまへ 汝もろもろの國を嗣たまふべければなり
第八十三篇
アサフの歌なり讃美なり
1神よもだしたまふなかれ神よものいはで寂靜たまふなかれ
2視よなんぢの仇はかしがきしき聲をあげ汝をにくむものは首をあげたり
3かれらはたくみなる謀略をもてなんぢの民にむかひ相共にはかりて汝のかくれたる者にむかふ
4かれらいひたりき 來かれらを斷滅してふたたび國をたつることを得ざらしめイスラエルの名をふたたび人にしられざらしめんと
5かれらは心を一つにしてともにはかり互にちかひをなしてなんぢに逆ふ
6こはエドムの幕屋にすめる人イシマエル人モアブ、ハガル人
7ゲバル、アンモン、アマレク、ペリシテおよびツロの民などなり
8アッスリヤも亦かれらにくみせり 斯てロトの子輩のたすけをなせりセラ
9なんぢ曩にミデアンになしたまへる如くキションの河にてシセラとヤビンとに作たまへるごとく彼等にもなしたまへ
10かれらはエンドルにてほろび地のために肥料となれり
11かれらの貴人をオレブ、ゼエブのごとくそのもろもろの侯をゼバ、ザルムンナのごとくなしたまへ
12かれらはいへり われら神の草苑をえてわが有とすべしと
13わが神よかれらをまきあげらるる塵のごとく風のまへの藁のごとくならしめたまへ
14林をやく火のごとく山をもやす熖のごとく
15なんぢの暴風をもてかれらを追ひなんぢの旋風をもてかれらを怖れしめたまへ
16かれらの面に恥をみたしめたまへ ヱホバよ然ばかれらなんぢの名をもとめん
17かれらをとこしへに恥おそれしめ惶てまどひて亡びうせしめたまへ
18然ばかれらはヱホバてふ名をもちたまふ汝のみ全地をしろしめす至上者なることを知るべし
第八十四篇
ギテトの琴にあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のうた
1萬軍のヱホバよなんぢの帷幄はいかに愛すべきかな
2わが霊魂はたえいるばかりにヱホバの大庭をしたひ わが心わが身はいける神にむかひて呼ふ
3誠やすずめは窩をえ燕子はその雛をいるる巣をえたり萬軍のヱホバわが王わが神よ これなんぢの祭壇なり
4なんぢの家にすむものは福ひなり かかるひとはつねに汝をたたへまつらんセラ
5その力なんぢにあり その心シオンの大路にある者はさいはひなり
6かれらは涙の谷をすぐれども其處をおほくの泉あるところとなす また前の雨はもろもろの惠をもて之をおほへり
7かれらは力より力にすすみ遂におのおのシオンにいたりて神にまみゆ
8ばんぐんの神ヱホバよわが祈をききたまへ ヤコブの神よ耳をかたぶけたまへセラ
9われらの盾なる神よ みそなはして なんぢの受膏者の顔をかへりみたまへ
10なんぢの大庭にすまふ一日は千日にもまされり われ惡の幕屋にをらんよりは 寧ろわが神のいへの門守とならんことを欲ふなり
11そは神ヱホバは日なり盾なり ヱホバは恩とえいくわうとをあたへ直くあゆむものに善物をこばみたまふことなし
12萬軍のヱホバよなんぢに依賴むものはさいはひなり
第八十五篇
伶長にうたはしめたるコラの子のうた
1ヱホバよなんぢは御國にめぐみをそそぎたまへり なんぢヤコブの俘囚をかへしたまひき
2なんぢおのが民の不義をゆるしそのもろもろの罪をおほひたまひきセラ
3汝すべての怒をすてその烈しきいきどほりを遠けたまへり
4われらのすくひの神よかへりきたり我儕にむかひて忿怒をやめたまへ
5なんぢ永遠にわれらをいかり萬世にみいかりをひきのべたまふや
6汝によりてなんぢの民の喜悦をえんが爲に我儕を活したまはざるか
7ヱホバよなんぢの憐憫をわれらにしめし汝のすくひを我儕にあたへたまへ
8わが神ヱホバのいたりたまふ事をきかん ヱホバはその民その聖徒に平和をかたりたまへばなり さればかれらは愚かなる行爲にふたたび歸るなかれ
9實にそのすくひは神をおそるる者にちかし かくて榮光はわれらの國にとどまらん
10あはれみと眞實とともにあひ義と平和とたがひに接吻せり
11まことは地よりはえ義は天よりみおろせり
12ヱホバ善物をあたへたまへばわれらの國は物產をいださん
13義はヱホバのまへにゆきヱホバのあゆみたまふ跡をわれに踏しめん
第八十六篇
ダビデの祈祷
1ヱホバよなんぢ耳をかたぶけて我にこたへたまへ 我はくるしみかつ乏しければなり
2ねがはくはわが霊魂をまもりたまへ われ神をうやまふ者なればなり わが神よなんぢに依賴める汝のしもべを救ひ給へ
3主よわれを憐みたまへ われ終日なんぢによばふ
4なんぢの僕のたましひを悦ばせたまへ 主よわが霊魂はなんぢを仰ぎのぞむ
5主よなんぢは惠ふかくまた赦をこのみたまふ 汝によばふ凡てのものを豊かにあはれみたまふ
6ヱホバよわがいのりに耳をかたぶけ わが懇求のこゑをききたまへ
7われわが患難の日になんぢに呼はん なんぢは我にこたへたまふべし
8主よもろもろの神のなかに汝にひとしきものはなく汝のみわざに侔しきものはなし
9主よなんぢの造れるもろもろの國はなんぢの前にきたりて伏拝まん かれらは聖名をあがむべし
10なんぢは大なり奇しき事跡をなしたまふ 唯なんぢのみ神にましませり
11ヱホバよなんぢの道をわれに敎へたまへ我なんぢの眞理をあゆまん ねがはくは我をして心ひとつに聖名をおそれしめたまへ
12主わが神よ我心をつくして汝をほめたたへ とこしへに聖名をあがめまつらん
13そはなんぢの憐憫はわれに大なり わがたましひを陰府のふかき處より助けいだしたまへり
14神よたかぶれるものは我にさからひて起りたち暴ぶる人の會はわがたましひをもとめ 斯てなんぢを己がまへに置ざりき
15されど主よなんぢは憐憫とめぐみとにとみ怒をおそくし愛しみと眞實とにゆたかなる神にましませり
16我をかへりみ我をあはれみたまへ ねがはくは汝のしもべに能力を與へ汝のはしための子をすくひたまへ
17我にめぐみの憑據をあらはしたまへ 然ばわれをにくむ者これをみて恥をいだかん そはヱホバよなんぢ我をたすけ我をなぐさめたまへばなり
第八十七篇
コラの子のうたなり讃美なり
1ヱホバの基はきよき山にあり
2ヱホバはヤコブのすべての住居にまさりてシオンのもろもろの門を愛したまふ
3神の都よなんぢにつきておほくの榮光のことを語りはやせりセラ
4われはラハブ、バビロンをも我をしるものの中にあげん ペリシテ、ツロ、エテオピアを視よこの人はかしこに生れたりといはん
5シオンにつきては如此いはん 此もの彼ものその中にうまれたり至上者みづからシオンを立たまはんと
6ヱホバもろもろの民をしるしたまふ時このものは彼處にうまれたりと算へあげたまはんセラ
7うたふもの踊るもの皆いはん わがもろもろの泉はなんぢの中にありと
第八十八篇
マハラテ、レアノテの調にあはせて伶長にうたはしめたるコラの子のうたなり 讃美なり、エズフ人ヘマンのをしへの歌なり
1わがすくひの神ヱホバよわれ晝も夜もなんぢの前にさけべり
2願くはわが祈をみまへにいたらせ汝のみみをわが號呼のこゑにかたぶけたまへ
3わがたましひは患難にてみち我がいのちは陰府にちかづけり
4われは穴にいるものとともにかぞへられ依仗なき人のごとくなれり
5われ墓のうちなる殺されしもののごとく死者のうちにすてらる汝かれらを再びこころに記たまはず かれらは御手より斷滅されしものなり
6なんぢ我をいとふかき穴 くらき處 ふかき淵におきたまひき
7なんぢの怒はいたくわれにせまれり なんぢそのもろもろの浪をもて我をくるしめ給へりセラ
8わが相識ものを我よりとほざけ我をかれらに憎ませたまへり われは錮閉されていづることあたはず
9わが眼はなやみの故をもておとろへぬ われ日ごとに汝をよべり ヱホバよなんぢに向ひてわが兩手をのべたり
10なんぢ死者にくすしき事跡をあらはしたまはんや 亡にしもの立てなんぢを讃たたへんやセラ
11汝のいつくしみは墓のうちに汝のまことは滅亡のなかに宣傳へられんや
12汝のくすしきみわざは幽暗になんぢの義は忘失のくにに知るることあらんや
13されどヱホバよ我なんぢに向ひてさけべり わがいのりは朝にみまへに達らん
14ヱホバよなんぢ何なればわが霊魂をすてたまふや何なればわれに面をかくしたまふや
15われ幼稚よりなやみて死るばかりなり我なんぢの恐嚇にあひてくるしみまどへり
16汝のはげしき怒わがうへをすぐ汝のおびやかし我をほろぼせり
17これらの事ひねもす大水のごとく我をめぐり ことごとく來りて我をかこみふさげり
18なんぢ我をいつくしむ者とわが友とをとほざけ わが相識るものを幽暗にいれたまへり
第八十九篇
エズラ人エタンのをしへの歌
1われヱホバの憐憫をとこしへにうたはん われ口もてヱホバの眞實をよろづ代につげしらせん
2われいふ あはれみは永遠にたてらる 汝はその眞實をかたく天にさだめたまはんと
3われわが撰びたるものと契約をむすびわが僕ダビデにちかひたり
4われなんぢの裔をとこしへに固うしなんぢの座位をたてて代々におよばしめんセラ
5ヱホバよもろもろの天はなんぢの奇しき事跡をほめん なんぢの眞實もまた潔きものの會にてほめらるべし
6蒼天にてたれかヱホバに類ふものあらんや 神の子のなかに誰かヱホバのごとき者あらんや
7神はきよきものの公會のなかにて畏むべきものなり その四周にあるすべての者にまさりて懼るべきものなり
8萬軍の神ヱホバよヤハよ汝のごとく大能あるものは誰ぞや なんぢの眞實はなんぢをめぐりたり
9なんぢ海のあるるををさめ その浪のたちあがらんときは之をしづめたまふなり
10なんぢラハブを殺されしもののごとく撃碎きおのれの仇どもを力ある腕をもて打散したまへり
11もろもろの天はなんぢのもの地もまた汝のものなり世界とその中にみつるものとはなんぢの基したまへるなり
12北と南はなんぢ造りたまへり タボル、ヘルモンはなんぢの名によりて歓びよばふ
13なんぢは大能のみうでをもちたまふ なんぢの手はつよく汝のみぎの手はたかし
14義と公平はなんぢの寳座のもとゐなり あはれみと眞實とは聖顔のまへにあらはれゆく
15よろこびの音をしる民はさいはひなり ヱホバよかれらはみかほの光のなかをあゆめり
16かれらは名によりて終日よろこび 汝の義によりて高くあげられたり
17かれらの力の榮光はなんぢなり 汝の惠によりてわれらの角はたかくあげられん
18そはわれらの盾はヱホバに屬われらの王はイスラエルの聖者につけり
19そのとき異象をもてなんぢの聖徒につげたまはく われ佑助をちからあるものに委ねたり わが民のなかより一人をえらびて高くあげたり
20われわが僕ダビデをえて之にわが聖膏をそそげり
21わが手はかれとともに堅くわが臂はかれを強くせん
22仇かれをしへたぐることなし惡の子かれを苦しむることなからん
23われかれの前にそのもろもろの敵をたふし彼をにくめるものを撃ん
24されどわが眞實とわが憐憫とはダビデとともに居り わが名によりてその角はたかくあげられん
25われ亦かれの手を海のうへにおき そのみぎの手を河のうへにおかん
26ダビデ我にむかひて汝はわが父わが神わがすくひの岩なりとよばん
27われまた彼をわが初子となし地の王たちのうち最もたかき者となさん
28われとこしへに憐憫をかれがためにたもち 之とたてし契約はかはることなかるべし
29われまたその裔をとこしへに存へ そのくらゐを天の日數のごとくながらへしめん
30もしその子わが法をはなれ わが審判にしたがひて歩まず
31わが律法をやぶりわが誡命をまもらずば
32われ杖をもてかれらの愆をただし鞭をもてその邪曲をただすべし
33されど彼よりわが憐憫をことごとくはとりさらず わが眞實をおとろへしむることなからん
34われおのれの契約をやぶらず己のくちびるより出しことをかへじ
35われ曩にわが聖をさして誓へり われダビデに虚偽をいはじ
36その裔はとこしへにつづきその座位は日のごとく恒にわが前にあらん
37また月のごとく永遠にたてられん空にある證人はまことなりセラ
38されどその受膏者をとほざけて棄たまへり なんぢ之をいきどほりたまへり
39なんぢ己がしもべの契約をいみ 其かんむりをけがして地にまでおとし給へり
40またその垣をことごとく倒し その保砦をあれすたれしめたまへり
41その道をすぐるすべての者にかすめられ隣人にののしらる
42なんぢかれが敵のみぎの手をたかく擧そのもろもろの仇をよろこばしめたまへり
43なんぢかれの劍の刃をふりかへして戰闘にたつに堪へざらしめたまひき
44またその光輝をけしその座位を地になげおとし
45その年若き日をちぢめ恥をそのうへに覆たまへりセラ
46ヱホバよかくて幾何時をへたまふや自己をとこしへに隠したまふや忿怒は火のもゆるごとくなるべきか
47ねがはくはわが時のいかに短かきかを思ひたまへ 汝いたづらにすべての人の子をつくりたまはんや
48誰かいきて死をみず又おのがたましひを陰府より救ひうるものあらんやセラ
49主よなんぢが眞實をもてダビデに誓ひたまへる昔日のあはれみはいづこにありや
50 89:51主よねがはくはなんぢの僕のうくる謗をみこころにとめたまへ ヱホバよ汝のもろもろの仇はわれをそしりなんぢの受膏者のあしあとをそしれり 我もろもろの民のそしりをわが懐中にいだく
52ヱホバは永遠にほむべきかな アーメン アーメン
第九十篇
神の人モーセの祈祷
1主よなんぢは往古より世々われらの居所にてましませり
2山いまだ生いでず汝いまだ地と世界とをつくりたまはざりしとき 永遠よりとこしへまでなんぢは神なり
3なんぢ人を塵にかへらしめて宣はく 人の子よなんぢら歸れと
4なんぢの目前には千年もすでにすぐる昨日のごとく また夜間のひとときにおなじ
5なんぢこれらを大水のごとく流去らしめたまふ かれらは一夜の寝のごとく朝にはえいづる靑草のごとし
6朝にはえいでてさかえ夕にはかられて枯るなり
7われらはなんぢの怒によりて消うせ 汝のいきどほりによりて怖まどふ
8汝われらの不義をみまへに置 われらの隠れたるつみを聖顔のひかりのなかにおきたまへり
9われらのもろもろの日はなんぢの怒によりて過去り われらがすべての年のつくるは一息のごとし
10われらが年をふる日は七十歳にすぎず あるひは壯やかにして八十歳にいたらん されどその誇るところはただ勤勞とかなしみとのみ その去ゆくこと速かにしてわれらもまた飛去れり
11誰かなんぢの怒のちからを知らんや たれか汝をおそるる畏にたくらべて汝のいきどほりをしらんや
12願くはわれらにおのが日をかぞふることををしへて智慧のこころを得しめたまへ
13ヱホバよ歸りたまへ斯ていくそのときを歴たまふや ねがはくは汝のしもべらに係れるみこころを變へたまへ
14ねがはくは朝にわれらを汝のあはれみにてあきたらしめ 世をはるまで喜びたのしませたまへ
15汝がわれらを苦しめたまへるもろもろの日と われらが禍害にかかれるもろもろの年とにたくらべて我儕をたのしませたまへ
16なんぢの作爲をなんぢの僕等に なんぢの榮光をその子等にあらはしたまへ
17斯てわれらの神ヱホバの佳美をわれらのうへにのぞましめ われらの手のわざをわれらのうへに確からしめたまへ 願くはわれらの手のわざを確からしめたまへ
第九十一篇
1至上者のもとなる隠れたるところにすまふその人は全能者の蔭にやどらん
2われヱホバのことを宣て ヱホバはわが避所わが城わがよりたのむ神なりといはん
3そは神なんぢを狩人のわなと毒をながす疫癘よりたすけいだしたまふべければなり
4かれその翮をもてなんぢを庇ひたまはん なんぢその翼の下にかくれん その眞實は盾なり干なり
5夜はおどろくべきことあり晝はとびきたる矢あり
6幽暗にはあゆむ疫癘あり日午にはそこなふ勵しき疾あり されどなんぢ畏るることあらじ
7千人はなんぢの左にたふれ萬人はなんぢの右にたふる されどその災害はなんぢに近づくことなからん
8なんぢの眼はただこの事をみるのみ なんぢ惡者のむくいを見ん
9なんぢ曩にいへりヱホバはわが避所なりと なんぢ至上者をその住居となしたれば
10災害なんぢにいたらず苦難なんぢの幕屋に近づかじ
11そは至上者なんぢのためにその使者輩におほせて 汝があゆむもろもろの道になんぢを守らせ給へばなり
12彼ら手にてなんぢの足の石にふれざらんために汝をささへん
13なんぢは獅と蝮とをふみ壯獅と蛇とを足の下にふみにじらん
14彼その愛をわれにそそげるがゆゑに我これを助けん かれわが名をしるがゆゑに我これを高處におかん
15かれ我をよはば我こたへん 我その苦難のときに偕にをりて之をたすけ之をあがめん
16われ長寿をもてかれを足はしめ且わが救をしめさん
第九十二篇
安息日にもちゐる歌なり 讃美なり
1いとたかき者よヱホバにかんしやし聖名をほめたたふるは善かな
2あしたに汝のいつくしみをあらはし 夜々なんぢの眞實をあらはすに
3十絃のなりものと筝とをもちゐ 琴の妙なる音をもちゐるはいと善かな
4そはヱホバよ なんぢその作爲をもて我をたのしませたまへり 我なんぢの手のわざをよろこびほこらん
5ヱホバよ汝のみわざは大なるかな汝のもろもろの思念はいとふかし
6無知者はしることなく愚なるものは之をさとらず
7惡きものは草のごとくもえいで 不義をおこなふ衆庶はさかゆるとも 遂にはとこしへにほろびん
8されどヱホバよ汝はとこしへに高處にましませり
9ヱホバよ吁なんぢの仇ああなんぢの仇はほろびん 不義をおこなふ者はことごとく散されん
10されど汝わが角をたかくあげて 野の牛のつののごとくならしめたまへり 我はあたらしき膏をそそがれたり
11又わが目はわが仇につきて願へることを見わが耳はわれにさからひておこりたつ惡をなすものにつきて願へることをききたり
12義しきものは棕櫚の樹のごとく榮え レバノンの香柏のごとくそだつべし
13ヱホバの宮にうゑられしものはわれらの神の大庭にさかえん
14かれらは年老てなほ果をむすび豊かにうるほひ緑の色みちみちて
15ヱホバの直きものなることを示すべし ヱホバはわが巌なりヱホバには不義なし
第九十三篇
1ヱホバは統治たまふ ヱホバは稜威をきたまへり ヱホバは能力をころもとなし帶となしたまへり さればまた世界もかたくたちて動かさるることなし
2なんぢの寳座はいにしへより堅くたちぬ 汝はとこしへより在せり
3大水はこゑをあげたり ヱホバよおほみづは聲をあげたり おほみづは浪をあぐ
4ヱホバは高處にいましてその威力はおほくの水のこゑ海のさかまくにまさりて盛んなり
5なんぢの證詞はいとかたし ヱホバよ聖潔はなんぢの家にとこしへまでも適應なり
第九十四篇
1ヱホバよ仇をかへすは汝にあり神よあたを報すはなんぢにあり ねがはくは光をはなちたまへ
2世をさばきたまふものよ 願くは起てたかぶる者にそのうくべき報をなしたまへ
3ヱホバよ惡きもの幾何のときを經んとするや あしきもの勝誇りていくそのとしを經るや
4かれらはみだりに言をいだして誇りものいふ すべて不義をおこなふ者はみづから高ぶれり
5ヱホバよ彼等はなんぢの民をうちくだき なんぢの業をそこなふ
6かれらは嫠婦と旅人との生命をうしなひ孤子をころす
7かれらはいふ ヤハは見ずヤコブの神はさとらざるべしと
8民のなかなる無知よ なんぢらさとれ 愚かなる者よ いづれのときにか智からん
9みみを植るものきくことをせざらんや 目をつくれるもの見ることをせざらんや
10もろもろの國ををしふる者ただすことを爲ざらんや 人に知識をあたふる者しることなからんや
11ヱホバは人の思念のむなしきを知りたまふ
12ヤハよなんぢの懲めたまふ人なんぢの法ををしへらるる人は さいはひなるかな
13かかる人をわざはひの日よりのがれしめ 惡きもののために坑のほらるるまで これに平安をあたへたまはん
14そはヱホバその民をすてたまはず その嗣業をはなれたまはざるなり
15審判はただしきにかへり心のなほき者はみなその後にしたがはん
16誰かわがために起りたちて惡きものを責んや 誰か我がために立て不義をおこなふ者をせめんや
17もしヱホバ我をたすけたまはざりせば わが霊魂はとくに幽寂ところに住ひしならん
18されどわが足すべりぬといひしとき ヱホバよなんぢの憐憫われをささへたまへり
19わがうちに憂慮のみつる時 なんぢの安慰わがたましひを喜ばせたまふ
20律法をもて害ふことをはかる惡の位はなんぢに親むことを得んや
21彼等はあひかたらひて義人のたましひをせめ罪なき血をつみに定む
22然はあれどヱホバはわがたかき櫓 わが神はわが避所の磐なりき
23神はかれらの邪曲をその身におはしめ かれらをその惡き事のなかに滅したまはん われらの神ヱホバはこれを滅したまはん
第九十五篇
1率われらヱホバにむかひてうたひ すくひの磐にむかひてよろこばしき聲をあげん
2われら感謝をもてその前にゆき ヱホバにむかひ歌をもて歓ばしきこゑをあげん
3そはヱホバは大なる神なり もろもろの神にまされる大なる王なり
4地のふかき處みなその手にあり 山のいただきもまた神のものなり
5うみは神のものその造りたまふところ旱ける地もまたその手にて造りたまへり
6いざわれら拝みひれふし我儕をつくれる主ヱホバのみまへに曲跪くべし
7彼はわれらの神なり われらはその草苑の民その手のひつじなり 今日なんぢらがその聲をきかんことをのぞむ
8なんぢらメリバに在りしときのごとく 野なるマサにありし日の如く その心をかたくなにするなかれ
9その時なんぢらの列祖われをこころみ我をためし 又わがわざをみたり
10われその代のためにうれへて四十年を歴 われいへり かれらは心あやまれる民わが道を知ざりきと
11このゆゑに我いきどほりて彼等はわが安息にいるべからずと誓ひたり
第九十六篇
1あたらしき歌をヱホバにむかひてうたへ 全地よヱホバにむかひて謳ふべし
2ヱホバに向ひてうたひその名をほめよ 日ごとにその救をのべつたへよ
3もろもろの國のなかにその榮光をあらはし もろもろの民のなかにその奇しきみわざを顯すべし
4そはヱホバはおほいなり大にほめたたふべきものなり もろもろの神にまさりて畏るべきものなり
5もろもろの民のすべての神はことごとく虚し されどヱホバはもろもろの天をつくりたまへり
6尊貴と稜威とはその前にあり能と善美とはその聖所にあり
7もろもろの民のやからよ榮光とちからとをヱホバにあたへよヱホバにあたへよ
8その聖名にかなふ榮光をもてヱホバにあたへ 献物をたづさへてその大庭にきたれ
9きよき美しきものをもてヱホバををがめ 全地よその前にをののけ
10もろもろの國のなかにいへ ヱホバは統治たまふ世界もかたくたちて動かさるることなし ヱホバは正直をもてすべての民をさばきたまはんと
11天はよろこび地はたのしみ海とそのなかに盈るものとはなりどよみ
12田畑とその中のすべての物とはよろこぶべし かくて林のもろもろの樹もまたヱホバの前によろこびうたはん
13ヱホバ來りたまふ地をさばかんとて來りたまふ 義をもて世界をさばきその眞實をもてもろもろの民をさばきたまはん
第九十七篇
1ヱホバは統治たまふ 全地はたのしみ多くの島々はよろこぶべし
2雲とくらきとはそり周環にあり 義と公平とはその寳座のもとゐなり
3火ありそのみまへにすすみ その四周の敵をやきつくす
4ヱホバのいなびかりは世界をてらす 地これを見てふるへり
5もろもろの山はヱホバのみまへ全地の主のみまへにて蝋のごとくとけぬ
6もろもろの天はその義をあらはし よろづの民はその榮光をみたり
7すべてきざめる像につかへ虚しきものによりてみづから誇るものは恥辱をうくべし もろもろの神よみなヱホバをふしをがめ
8ヱホバよなんぢの審判のゆゑによりシオンはききてよろこびユダの女輩はみな樂しめり
9ヱホバよなんぢ全地のうへにましまして至高く なんぢもろもろの神のうへにましまして至貴とし
10ヱホバを愛しむものよ惡をにくめ ヱホバはその聖徒のたましひをまもり 之をあしきものの手より助けいだしたまふ
11光はただしき人のためにまかれ 欣喜はこころ直きもののために播れたり
12義人よヱホバにより喜べ そのきよき名に感謝せよ
第九十八篇
歌なり
1あたらしき歌をヱホバにむかひてうたへ そは妙なる事をおこなひその右の手そのきよき臂をもて 己のために救をなし畢たまへり
2ヱホバはそのすくひを知しめ その義をもろもろの國人の目のまへにあらはし給へり
3又その憐憫と眞實とをイスラエルの家にむかひて記念したまふ 地の極もことごとくわが神のすくひを見たり
4全地よヱホバにむかひて歓ばしき聲をあげよ 聲をはなちてよろこびうたへ讃うたへ
5琴をもてヱホバをほめうたへ 琴の音と歌のこゑとをもてせよ
6ラッパと角笛をふきならし 王ヱホバのみまへによろこばしき聲をあげよ
7海とそのなかに盈るもの 世界とせかいにすむものと鳴響むべし
8大水はその手をうち もろもろの山はあひともにヱホバの前によろこびうたふべし
9ヱホバ地をさばかんために來りたまへばなり ヱホバ義をもて世界をさばき 公平をもてもろもろの民をさばきたまはん
第九十九篇
1ヱホバは統治たまふ もろもろの民はをののくべし ヱホバはケルビムの間にいます 地ふるはん
2ヱホバはシオンにましまして大なり もろもろの民にすぐれてたふとし
3かれらは汝のおほいなる畏るべき名をほめたたふべし ヱホバは聖なるかな
4王のちからは審判をこのみたまふ 汝はかたく公平をたてヤコブのなかに審判と公義とをおこなひたまふ
5われらの神ヱホバをあがめ その承足のもとにて拝みまつれ ヱホバは聖なるかな
6その祭司のなかにモーセとアロンとあり その名をよぶ者のなかにサムエルあり かれらヱホバをよびしに應へたまへり
7ヱホバ雲の柱のうちにましましてかれらに語りたまへり かれらはその證詞とその賜はりたる律法とを守りたりき
8われらの神ヱホバよなんぢ彼等にこたへたまへり かれらのなしし事にむくいたまひたれど また赦免をあたへたまへる神にてましませり
9われらの神ヱホバを崇めそのきよき山にてをがみまつれ そはわれらの神ヱホバは聖なるなり
第百篇
感謝のうた
1全地よヱホバにむかひて歡ばしき聲をあげよ
2欣喜をいだきてヱホバに事へ うたひつつその前にきたれ
3知れヱホバこそ神にますなれ われらを造りたまへるものはヱホバにましませば我儕はその屬なり われらはその民その草苑のひつじなり
4感謝しつつその門にいり ほめたたへつつその大庭にいれ 感謝してその名をほめたたへよ
5ヱホバはめぐみふかくその憐憫かぎりなく その眞實よろづ世におよぶべければなり
第百一篇
ダビデのうた
1われ憐憫と審判とをうたはん ヱホバよ我なんぢを讃うたはん
2われ心をさとくして全き道をまもらん なんぢいづれの時われにきたりたまふや 我なほき心をもてわが家のうちをありかん
3われわが眼前にいやしき事をおかず われ叛くものの業をにくむ そのわざは我につかじ
4僻めるこころは我よりはなれん 惡きものを知ることをこのまず
5隠にその友をそしるものは我これをほろぼさん 高ぶる眼また驕れる心のものは我これをしのばじ
6わが眼は國のうちの忠なる者をみて之をわれとともに住はせん 全き道をあゆむ人はわれに事へん
7欺くことをなす者はわが家のうちに住むことをえず 虚偽をいふものはわが目前にたつことを得じ
8われ朝な朝なこの國のあしき者をことごとく滅し ヱホバの邑より不義をおこなふ者をことごとく絶除かん
第百二篇
なやみたる者おもひくづほれてその歎息をヱホバの前にそそぎいだせるときの祈祷
1ヱホバよわが祈をききたまへ 願くはわが號呼のこゑの御前にいたらんことを
2わが窮苦の日みかほを蔽ひたまふなかれ なんぢの耳をわれにかたぶけ 我がよぶ日にすみやかに我にこたへたまへ
3わがもろもろの日は煙のごとくきえ わが骨はたきぎのごとく焚るるなり
4わがこころは草のごとく撃れてしほれたり われ糧をくらふを忘れしによる
5わが歎息のこゑによりてわが骨はわが肉につく
6われは野の鸅鸕のごとく荒たる跡のふくろふのごとくになりぬ
7われ醒てねぶらず ただ友なくして屋蓋にをる雀のごとくなれり
8わが仇はひねもす我をそしる 猖狂ひて我をせむるもの我をさして誓ふ
9われは糧をくらふごとくに灰をくらひ わが飮ものには涙をまじへたり
10こは皆なんぢの怒と忿恚とによりてなり なんぢ我をもたげてなげすて給へり
11わが齡はかたぶける日影のごとし またわれは草のごとく萎れたり
12されどヱホバよなんぢは永遠にながらへ その名はよろづ世にながらへん
13なんぢ起てシオンをあはれみたまはん そはシオンに恩惠をほどこしたまふときなり そのさだまれる期すでに來れり
14なんぢの僕はシオンの石をもよろこび その塵をさへ愛しむ
15もろもろの國はヱホバの名をおそれ 地のもろもろの王はその榮光をおそれん
16ヱホバはシオンをきづき榮光をもてあらはれたまへり
17ヱホバは乏しきものの祈をかへりみ彼等のいのりを藐しめたまはざりき
18來らんとするのちの世のためにこの事をしるさん 新しくつくられたる民はヤハをほめたたふべし
19ヱホバその聖所のたかき所よりみおろし天より地をみたまへり
20こは俘囚のなげきをきき死にさだまれる者をときはなち
21人々のシオンにてヱホバの名をあらはしヱルサレムにてその頌美をあらはさんが爲なり
22かかる時にもろもろの民もろもろの國つどひあつまりてヱホバに事へまつらん
23ヱホバはわがちからを途にておとろへしめ わが齢をみじかからしめ給へり
24我いへりねがはくはわが神よわがすべての日のなかばにて我をとりさりたまふなかれ 汝のよはひは世々かぎりなし
25汝いにしへ地の基をすゑたまへり 天もまたなんぢの手の工なり
26これらは亡びん されど汝はつねに存らへたまはん これらはみな衣のごとくふるびん 汝これらを袍のごとく更たまはん されば彼等はかはらん
27然れども汝はかはることなし なんぢの齢はをはらざるなり
28汝のしもべの子輩はながらへん その裔はかたく前にたてらるべし
第百三篇
ダビデのうた
1わが霊魂よヱホバをほめまつれ わが衷なるすべてのものよそのきよき名をほめまつれ
2わがたましひよヱホバを讃まつれ そのすべての恩惠をわするるなかれ
3ヱホバはなんぢがすべての不義をゆるし汝のすべての疾をいやし
4なんぢの生命をほろびより贖ひいだし 仁慈と憐憫とを汝にかうぶらせ
5なんぢの口を嘉物にてあかしめたまふ 斯てなんぢは壯ぎて鷲のごとく新になるなり
6ヱホバはすべて虐げらるる者のために公義と審判とをおこなひたまふ
7おのれの途をモーセにしらしめ おのれの作爲をイスラエルの子輩にしらしめ給へり
8ヱホバはあはれみと恩惠にみちて怒りたまふことおそく仁慈ゆたかにましませり
9恒にせむることをせず永遠にいかりを懐きたまはざるなり
10ヱホバはわれらの罪の量にしたがひて我儕をあしらひたまはず われらの不義のかさにしたがひて報いたまはざりき
11ヱホバをおそるるものにヱホバの賜ふそのあはれみは大にして 天の地よりも高きがごとし
12そのわれらより愆をとほざけたまふことは東の西より遠きがごとし
13ヱホバの己をおそるる者をあはれみたまふことは父がその子をあはれむが如し
14ヱホバは我儕のつくられし状をしり われらの塵なることを念ひ給へばなり
15人のよはひは草のごとく その榮はのの花のごとし
16風すぐれば失てあとなくその生いでし處にとへど尚しらざるなり
17然はあれどヱホバの憐憫はとこしへより永遠まで ヱホバをおそるるものにいたり その公義は子孫のまた子孫にいたらん
18その契約をまもりその訓諭を心にとめて行ふものぞその人なる
19ヱホバはその寳座をもろもろの天にかたく置たまへり その政權はよろづのもののうへにあり
20ヱホバにつかふる使者よ ヱホバの聖言のこゑをきき その聖言をおこなふ勇士よ ヱホバをほめまつれ
21その萬軍よ その聖旨をおこなふ僕等よ ヱホバをほめまつれ
22その造りたまへる萬物よ ヱホバの政權の下なるすべての處にてヱホバをほめよ わがたましひよヱホバを讃まつれ
第百四篇
1わが霊魂よヱホパをほめまつれ わが神ヱホバよなんぢは至大にして尊貴と稜威とを衣たまへり
2なんぢ光をころものごとくにまとひ天を幕のごとくにはり
3水のなかにおのれの殿の棟梁をおき 雲をおのれの車となし 風の翼にのりあるき
4かぜを使者となし熖のいづる火を僕となしたまふ
5ヱホバは地を基のうへにおきて 永遠にうごくことなからしめたまふ
6衣にておほふがごとく大水にて地をおほひたまへり 水たたへて山のうへをこゆ
7なんぢ叱咤すれば水しりぞき 汝いかづちの聲をはなてば水たちまち去ぬ
8あるひは山にのぼり或ひは谷にくだりて 汝のさだめたまへる所にゆけり
9なんぢ界をたてて之をこえしめず ふたたび地をおほふことなからしむ
10ヱホバはいづみを谷にわきいだし給ふ その流は山のあひだにはしる
11かくて野のもろもろの獣にのましむ 野の驢馬もその渇をやむ
12空の鳥もそのほとりにすみ 樹梢の間よりさえづりうたふ
13ヱホバはその殿よりもろもろの山に灌漑たまふ 地はなんぢのみわざの實によりて飽足ぬ
14ヱホバは草をはえしめて家畜にあたへ 田產をはえしめて人の使用にそなへたまふ かく地より食物をいだしたまふ
15人のこころを歓ばしむる葡萄酒 ひとの顔をつややかならしむるあぶら 人のこころを強からしむる糧どもなり
16ヱホバの樹とその植たまへるレバノンの香柏とは飽足ぬべし
17鳥はそのなかに巣をつくり鶴は松をその棲とせり
18たかき山は山羊のすまひ磐石は山鼠のかくるる所なり
19ヱホバは月をつくりて時をつかさどらせたまへり 日はその西にいることをしる
20なんぢ黑暗をつくりたまへば夜あり そのとき林のけものは皆しのびしのびに出きたる
21わかき獅ほえて餌をもとめ神にくひものをもとむ
22日いづれば退きてその穴にふす
23人はいでて工をとりその勤勞はゆふべにまでいたる
24ヱホバよなんぢの事跡はいかに多なる これらは皆なんぢの智慧にてつくりたまへり 汝のもろもろの富は地にみつ
25かしこに大なるひろき海あり そのなかに數しられぬ匍ふもの小なる大なる生るものあり
26舟そのうへをはしり汝のつくりたまへる鰐そのうちにあそびたはぶる
27彼ら皆なんぢを俟望む なんぢ宜時にくひものを之にあたへたまふ
28彼等はなんぢの予へたまふ物をひろふ なんぢ手をひらきたまへばかれら嘉物にあきたりぬ
29なんぢ面をおほひたまへば彼等はあわてふためく 汝かれらの氣息をとりたまへばかれらは死て塵にかへる
30なんぢ霊をいだしたまへば百物みな造らるなんぢ地のおもてを新にしたまふ
31願くはヱホバの榮光とこしへにあらんことを ヱホバそのみわざを喜びたまはんことを
32ヱホバ地をみたまへば地ふるひ山にふれたまへば山は煙をいだす
33生るかぎりはヱホバに向ひてうたひ 我ながらふるほどはわが神をほめうたはん
34ヱホバをおもふわが思念はたのしみ深からん われヱホバによりて喜ぶべし
35罪人は地より絶滅され あしきものは復あらざるべし わが霊魂よヱホバをほめまつれヱホバを讃稱へよ
第百五篇
1ヱホバに感謝してその名をよび そのなしたまへる事をもろもろの民輩のなかにしらしめよ
2ヱホバにむかひてうたへヱホバを讃うたへ そのもろもろの妙なる事跡をかたれ
3そのきよき名をほこれ ヱホバをたづねもとむるものの心はよろこぶべし
4ヱホバとその能力とをたづねもとめよ つねにその聖顔をたづねよ
5 105:6その僕アブラムの裔よヤコブの子輩よ そのえらびたまひし所のものよ そのなしたまへる妙なるみわざと奇しき事跡とその口のさばきとを心にとむれ
7彼はわれらの神ヱホバなり そのみさばきは全地にあり
8ヱホバはたえずその契約をみこころに記たまへり 此はよろづ代に命じたまひし聖言なり
9アブラハムとむすびたまひし契約イサクに與へたまひし誓なり
10之をかたくしヤコブのために律法となし イスラエルのためにとこしへの契約となして
11言たまひけるは我なんぢにカナンの地をたまひてなんぢらの嗣業の分となさん
12この時かれらの數おほからず甚すくなくしてかしこにて旅人となり
13この國よりかの國にゆき この國よりほかの民にゆけり
14人のかれらを虐ぐるをゆるし給はず かれらの故によりて王たちを懲しめて
15宣給くわが受膏者たちにふるるなかれ わが預言者たちをそこなふなかれ
16ヱホバは饑饉たを地にまねき 人の杖とする糧をことごとく碎きたまへり
17又かれらの前にひとりを遣したまへり ヨセフはうられて僕となりぬ
18かれら足械をもてヨセフの足をそこなひ くろかねの鏈をもてその霊魂をつなげり
19斯てそのことばの驗をうるまでに及ぶ ヱホバのみことば彼をこころみたまへり
20王は人をつかはしてこれを解き もろもろの民の長はこれをゆるし
21之をその家司となし その財寶をことごとく司どらせ
22その心のままにかの國のきみたちを縛しめ 長老たちに智慧ををしへしむ
23イスラエルも亦エジプトにゆき ヤコブはハムの地にやどれり
24ヱホバはその民を大にましくはへ之をその敵よりも強くしたまへり
25また敵のこころをかへておのれの民をにくましめ おのれの僕輩をあざむき待さしめたまへり
26又そのしもべモーセとその選びたまへるアロンとを遣したまへり
27かれらはヱホバの預兆をハムの地におこなひ またその國にくすしき事をおこなへり
28ヱホバは闇をつかはして暗くしたまへり かれらその聖言にそむくことをせざりき
29彼等のすべての水を血にかへてその魚をころしたまへり
30かれらの國は蛙むれいでて王の殿のうちにまでみちふさがりぬ
31ヱホバいひたまへば蝿むらがり蚤そのすべての境にいりきたりぬ
32また雨にかへて霰をかれらに與へもゆる火をかれらの國にふらし
33かれらの葡萄の樹といちじくの樹とをうちその境のもろちろの樹ををりくだきたまへり
34ヱホバいひたまへば算しられぬ蝗と蟊賊きたり
35かれらの國のすべての田產をはみつくしその地のすべての實を食つくせり
36ヱホバはかれらの國のすべての首出者をうち かれらのすべての力の始をうちたまへり
37しろかね黄金をたづさへて彼等をいでゆかしめたまへり その家族のうちに一人のよわき者もなかりき
38エジプトはかれらの出るをよろこべり かれらをおそるるの念そのうちにおこりたればなり
39ヱホバは雲をしきて蓋となし夜は火をもて照したまへり
40又かれらの求によりて鶉をきたらしめ天の餅にてかれらを飽しめたまへり
41磐をひらきたまへば水ほどばしりいで 潤ひなきところに川をなして流れいでたり
42ヱホバそのきよき聖言とその僕アブラハムとをおもひいでたまひたればなり
43その民をみちびきて歓びつついでしめ そのえらべる民をみちびきて謳ひつついでしめたまへり
44もろもろの國人の地をかれらに與へたまひしかば 彼等もろもろのたみの勤勞をおのが有とせり
45こは彼等がその律にしたがひその法をまもらんが爲なり ヱホバをほめたたへよ
第百六篇
1ヱホバをほめたたへヱホバに感謝せよ そのめぐみはふかくその憐憫はかぎりなし
2たれかヱホバの力ある事跡をかたり その讃べきことを悉とくいひあらはし得んや
3審判をまもる人々つねに正義をおこなふ者はさいはひなり
4ヱホバよなんぢの民にたまふ惠をもて我をおぼえ なんぢの救をもてわれに臨みたまへ
5さらば我なんぢの撰びたまへる者のさいはひを見 なんぢの國の歓喜をよろこび なんぢの嗣業とともに誇ることをせん
6われら列祖とともに罪ををかせり 我儕よこしまをなし惡をおこなへり
7われらの列祖はなんぢがエジプトにてなしたまへる奇しき事跡をさとらず 汝のあはれみの豊かなるを心にとめず 海のほとり即ち紅海のほとりにて逆きたり
8されどヱホバはその名のゆゑをもて彼等をすくひたまへり こは大なる能力をしらしめんとてなり
9また紅海を叱咤したまひたれば乾きたり かくて民をみちびきて野をゆくがごとくに淵をすぎしめ
10恨むるものの手よりかれらをすくひ 仇の手よりかれらを贖ひたまへり
11水その敵をおほひたればその一人だにのこりし者なかりき
12このとき彼等そのみことばを信じその頌美をうたへり
13彼等しばしがほどにその事跡をわすれその訓誨をまたず
14野にていたくむさぼり荒野にて神をこころみたりき
15ヱホバはかれらの願欲をかなへたまひしかど その霊魂をやせしめたまへり
16たみは營のうちにてモーセを嫉みヱホパの聖者アロンをねたみしかば
17地ひらけてダタンを呑みアビラムの黨類をおほひ
18火はこのともがらの中にもえおこり熖はあしき者をやきつくせり
19かれらはホレブの山にて犢をつくり鑄たる像ををがみたり
20かくの如くおのが榮光をかへて草をくらふ牛のかたちに似す
21救主なる神はエジプトにて大なるわざをなし
22ハムの地にて奇しき事跡をなし紅海のほとりにて懼るべきことを爲たまへり かれは斯る神をわすれたり
23この故にヱホバかれらを亡さんと宣まへり されど神のえらみたまへる者モーセやぶれの間隙にありてその前にたちその烈怒をひきかへして滅亡をまぬかれしめたり
24かれら美しき地を蔑しそのみことばを信ぜず
25剰さへその幕屋にてつぶやきヱホバの聲をもきかざりき
26この故に手をあげて彼等にむかひたまへり これ野にてかれらを斃れしめんとし
27又もろもろの國のうちにてその裔をたふれしめ もろもろの地にかれらを散さんとしたまへるなり
28彼らはバアルベオルにつきて死るものの祭物をくらひたり
29斯のごとくその行爲をもてヱホバの烈怒をひきいだしければえやみ侵しいりたり
30そのときピネハスたちて裁判をなせり かくて疫癘はやみぬ
31ピネハスは萬代までとこしへにこのことを義とせられたり
32民メリバの水のほとりにてヱホバの烈怒をひきおこししかば かれらの故によりてモーセも禍害にあへり
33かれら神の霊にそむきしかばモーセその口唇にて妄にものいひたればなり
34かれらはヱホバの命じたまへる事にしたがはずしてもろもろの民をほろぼさず
35反てもろもろの國人とまじりをりてその行爲にならひ
36おのが羂となりしその偶像につかへたり
37かれらはその子女を鬼にささぐ
38罪なき血すなはちカナンの偶像にささげたる己がむすこむすめの血をながしぬ 斯てくには血にてけがされたり
39またそのわざは自己をけがし そのおこなふところは姦淫なり
40このゆゑにヱホバの怒その民にむかひて起り その嗣業をにくみて
41かれらをもろもろの國の手にわたしたまへり 彼等はおのれを恨るものに制へられ
42おのれの仇にしへたげられ その手の下にうちふせられたり
43ヱホバはしばしば助けたまひしかどかれらは謀略をまうけて逆き そのよこしまに卑くせられたり
44されどヱホバはかれらの哭聲をききたまひしとき その患難をかへりみ
45その契約をかれらの爲におもひいだし その憐憫のゆたかなるにより聖意をかへさせ給ひて
46かれらを己がとりこにせられたる者どもに憐まるることを得しめたまへり
47われらの神ヱホバよ われらをすくひて列邦のなかより取集めたまへ われらは聖名に謝し なんぢのほむべき事をほこらん
48イスラエルの神ヱホバはとこしへより永遠までほむべきかな すべての民はアーメンととなふべし ヱホバを讃稱へよ
第百七篇
1ヱホバに感謝せよ ヱホバは惠ふかくましましてその憐憫かぎりなし
2ヱホバの救贖をかうぶる者はみな然いふべきなり
3ヱホバは敵の手よりかれらを贖ひもろもろの地よ東西北南よりとりあつめたまへり
4かれら野にてあれはてたる路にさまよひその住ふべき邑にあはざりき
5かれら饑また渇きそのうちの霊魂おとろへたり
6斯てその困苦のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難よりたすけいだし
7住ふべき邑にゆかしめんとて直き路にみちびきたまへり
8願くはすべての人はヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバを讃稱へんことを
9ヱホバは渇きしたふ霊魂をたらはせ饑たるたましひを嘉物にてあかしめ給へばなり
10くらきと死の蔭とに居るもの患難とくろがねとに縛しめらるるもの
11神の言にそむき至高者のをしへを蔑しめければ
12勤勞をもてその心をひくうしたまへり かれら仆れたれど助くるものもなかりき
13斯てその困苦のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難よりすくひ
14くらきと死のかげより彼等をみちびき出してその械をこぼちたまへり
15願くはすべての人はヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバを讃稱へんことを
16そはあかがねの門をこぼち くろがねの關木をたちきりたまへり
17愚かなる者はおのが愆の道により己がよこしまによりて惱めり
18かれらの霊魂はすべての食物をきらひて死の門にちかづく
19かくてその困苦のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難よりすくひたまふ
20その聖言をつかはして之をいやし之をその滅亡よりたすけいだしたまふ
21願くはすべての人ヱホバのめぐみにより人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバをほめたたへんことを
22かれらは感謝のそなへものをささげ喜びうたひてその事跡をいひあらはすべし
23舟にて海にうかび大洋にて事をいとなむ者は
24ヱホバのみわざを見また淵にてその奇しき事跡をみる
25ヱホバ命じたまへばあらき風おこりてその浪をあぐ
26かれら天にのぼりまた淵にくだり患難によりてその霊魂とけさり
27左た右たにかたぶき酔たる者のごとく踉蹌てなす所をしらず
28かくてその困苦のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難よりたづさへいで
29狂風をしづめて浪をおだやかになし給へり
30かれらはおのが靜かなるをよろこぶ 斯てヱホバはかれらをその望むところの湊にみちびきたまふ
31願くはすべての人ヱホバの惠により人の子になしたまへる奇しき事跡によりてヱホバをほめたたへんことを
32かれら民の會にてこれをあがめ長老の座にてこれを讃稱ふべし
33ヱホバは河を野にかはらせ泉をかわける地に變らせ
34また豊かなる地にすめる民の惡によりてそこを鹵の地にかはらせ給ふ
35野を池にかはらせ乾ける地をいづみにかはらせ
36ここに餓たるものを住はせたまふ されば彼らは己がすまひの邑をたて
37畠にたねをまき葡萄園をまうけてそのむすべる實をえたり
38ヱホバはかれらの甚くふえひろごれるまでに惠をあたへ その牲畜のへることをも許したまはず
39されどまた虐待くるしみ悲哀によりて減ゆき且うなたれたり
40ヱホバもろもろの君に侮辱をそそぎ道なき荒地にさまよはせたまふ
41然はあれど貧しきものを患難のうちより擧てその家族をひつじの群のごとくならしめたまふ
42直きものは之をみて喜びもろもろの不義はその口をふさがん
43すべて慧者はこれらのことに心をよせヱホバの憐憫をさとるべし
第百八篇
ダビデの歌なり讃美なり
1神よわが心はさだまれり われ謳ひまつらん 稱まつらん わが榮をもてたたへまつらん
2筝よ琴よさむべし われ黎明をよびさまさん
3ヱホバよ我もろもろの民のなかにてなんぢに感謝し もろもろの國のなかにてなんぢをほめうたはん
4そは汝のあはれみは大にして天のうへにあがり なんぢの眞實は雲にまでおよぶ
5神よねがはくはみづからを天よりもたかくし榮光を全地のうへに擧たまへ
6ねがはくは右の手をもて救をほどこし われらに答をなして愛しみたまふものに助をえしめたまへ
7神はその聖をもていひたまへり われ甚くよろこばん我シケムをわかちスコテの谷をはからん
8ギレアデはわがものマナセはわが有なりエフライムも亦わが首のまもりなりユダはわが杖
9モアブはわが足盥なりエドムにはわが履をなげんペリシテよわが故によりて聲をあげよと
10誰かわれを堅固なる邑にすすましめんや 誰かわれをみちびきてエドムにゆきしや
11神よなんぢはわれらを棄たまひしにあらずや 神よなんぢはわれらの軍とともに出ゆきたまはず
12ねがはくは助をわれにあたへて敵にむかはしめたまへ 人のたすけは空しければなり
13われらは神によりて勇しくはたらかん われらの敵をふみたまふものは神なればなり
第百九篇
伶長にうたはしめたるダビデのうた
1わが讃たたふる神よもだしたまふなかれ
2かれらは惡の口とあざむきの口とをあけて我にむかひ いつはりの舌をもて我にかたり
3うらみの言をもて我をかこみ ゆゑなく我をせめて闘ふことあればなり
4われ愛するにかれら反りてわが敵となる われただ祈るなり
5かれらは惡をもてわが善にむくい恨をもてわが愛にむくいたり
6ねがはくは彼のうへに惡人をたてその右方に敵をたたしめたまへ
7かれが鞫かるるときはその罪をあらはにせられ又そのいのりは罪となり
8その日はすくなく その職はほかの人にえられ
9その子輩はみなしごとなり その妻はやもめとなり
10その子輩はさすらひて乞丐 そのあれたる處よりいできたりて食をもとむべし
11彼のもてるすべてのものは債主にうばはれ かれの勤勞は外人にかすめらるべし
12かれに惠をあたふる人ひとりだになく かれの孤子をあはれむ者もなく
13その裔はたえその名はつぎの世にきえうすべし
14その父等のよこしまはヱホバのみこころに記され その母のつみはきえざるべし
15かれらは恒にヱホバの前におかれ その名は地より斷るべし
16かかる人はあはれみを施すことをおもはず反りて貧しきもの乏しきもの心のいためる者をころさんとして攻たりき
17かかる人は詛ふことをこのむ この故にのろひ己にいたる惠むことをたのしまず この故にめぐみ己にとほざかれり
18かかる人はころものごとくに詛をきる この故にのろひ水のごとくにおのれの衷にいり油のごとくにおのれの骨にいれり
19ねがはくは詛をおのれのきたる衣のごとく帶のごとくなして恒にみづから纏はんことを
20これらの事はわが敵とわが霊魂にさからひて惡言をいふ者とにヱホバのあたへたまふ報なり
21されど主ヱホバよなんぢの名のゆゑをもて我をかへりみたまへ なんぢの憐憫はいとふかし ねがはくは我をたすけたまへ
22われは貧しくして乏し わが心うちにて傷をうく
23わがゆく状はゆふ日の影のごとく また蝗のごとく吹さらるるなり
24わが膝は斷食によりてよろめき わが肉はやせおとろふ
25われは彼等にそしらるる者となれり かれら我をみるときは首をふる
26わが神ヱホバよねがはくは我をたすけその憐憫にしたがひて我をすくひたまへ
27ヱホバよこれらは皆なんぢの手よりいで 汝のなしたまへることなるを彼等にしらしめたまへ
28かれらは詛へども汝はめぐみたまふ かれらの立ときは恥かしめらるれどもなんぢの僕はよろこばん
29わがもろもろの敵はあなどりを衣おのが恥を外袍のごとくにまとふべし
30われはわが口をもて大にヱホバに謝し おほくの人のなかにて讃まつらむ
31ヱホバはまづしきものの右にたちてその霊魂を罪せんとする者より之をすくひたまへり
第百十篇
ダビデのうた
1ヱホバわが主にのたまふ 我なんぢの仇をなんぢの承足とするまではわが右にざすべし
2ヱホバはなんぢのちからの杖をシオンよりつきいださしめたまはん 汝はもろもろの仇のなかに王となるべし
3なんぢのいきほひの日になんぢの民は聖なるうるはしき衣をつけ 心よりよろこびて己をささげん なんぢは朝の胎よりいづる壯きものの露をもてり
4ヱホバ誓をたてて聖意をかへさせたまふことなし 汝はメルキセデクの状にひとしくとこしへに祭司たり
5主はなんぢの右にありてそのいかりの日に王等をうちたまへり
6主はもろもろの國のなかにて審判をおこなひたまはん 此處にも彼處にも屍をみたしめ 寛濶なる地をすぶる首領をうちたまへり
7かれ道のほとりの川より汲てのみ斯てかうべを擧ん
第百十一篇
1ヱホバを讃たたへよ 我はなほきものの會あるひは公會にて心をつくしてヱホバに感謝せん
2ヱホバのみわざは大なりすべてその事跡をしたふものは之をかんがへ究む
3その行ひたまふところは榮光ありまた稜威あり その公義はとこしへに失することなし
4ヱホバはその奇しきみわざを人のこころに記しめたまへり ヱホバはめぐみと憐憫とにて充たまふ
5ヱホバは己をおそるるものに糧をあたへたまへり またその契約をとこしへに心にとめたまはん
6ヱホバはもろもろの國の所領をおのれの民にあたへてその作爲のちからを之にあらはしたまへり
7その手のみわざは眞實なり公義なり そのもろもろの訓諭はかたし
8これらは世々かぎりなく堅くたち眞實と正直とにてなれり
9ヱホバはそのたみに救贖をほどこし その契約をとこしへに立たまへり ヱホバの名は聖にしてあがむべきなり
10ヱホバをおそるるは智慧のはじめなり これらを行ふものは皆あきらかなる聰ある人なり ヱホバの頌美はとこしへに失ることなし
第百十二篇
1ヱホバを讃まつれヱホバを畏れてそのもろもろの誡命をいたく喜ぶものはさいはひなり
2かかる人のすゑは地にてつよく直きものの類はさいはひを得ん
3富と財とはその家にあり その公義はとこしへにうすることなし
4直き者のために暗きなかにも光あらはる 彼は惠ゆたかに憐憫にみつる義しきものなり
5惠をほどこし貸ことをなす者はさいはひなり かかる人は審判をうくるときおのが訴をささへうべし
6又とこしへまで動かさるることなからん義者はながく忘れらるることなかるべし
7彼はあしき音信によりて畏れず その心ヱホバに依賴みてさだまれり
8その心かたくたちて懼るることなく敵につきての願望をつひに見ん
9彼はちらして貧者にあたふ その正義はとこしへにうすることなし その角はあがめをうけて擧られん
10惡者はこれを見てうれへもだえ切歯しつつ消さらん また惡きものの願望はほろぶべし
第百十三篇
1ヱホバをほめまつれ汝等ヱホバの僕よほめまつれヱホバの名をほめまつれ
2今より永遠にいたるまでヱホバの名はほむべきかな
3日のいづる處より日のいる處までヱホバの名はほめらるべし
4ヱホバはもろもろの國の上にありてたかく その榮光は天よりもたかし
5 113:6われらの神ヱホバにたぐふべき者はたれぞや 寳座をその高處にすゑ己をひくくして天と地とをかへりみ給ふ
7まづしきものを塵よりあげ乏しきものを糞土よりあげて
8もろもろの諸侯とともにすわらせ その民のきみたちと共にすわらせたまはん
9又はらみなき婦に家をまもらせ おほくの子女のよろこばしき母たらしめたまふ ヱホバを讃まつれ
第百十四篇
1イスラエルの民エジプトをいで ヤコブのいへ異言の民をはなれしとき
2ユダはヱホバの聖所となりイスラエルはヱホバの所領となれり
3海はこれを見てにげヨルダンは後にしりぞき
4山は牡羊のごとくをどり小山はこひつじのごとく躍れり
5海よなんぢ何とてにぐるやヨルダンよなんぢ何とて後にしりぞくや
6山よなにとて牡羊のごとくをどるや小山よなにとて小羊のごとく躍るや
7地よ主のみまへヤコブの神の前にをののけ
8主はいはを池にかはらせ石をいづみに變らせたまへり
第百十五篇
1ヱホバよ榮光をわれらに歸するなかれ われらに歸するなかれ なんぢのあはれみと汝のまこととの故によりてただ名にのみ歸したまへ
2もろもろの國人はいかなればいふ 今かれらの神はいづくにありやと
3然どわれらの神は天にいます 神はみこころのままにすべての事をおこなひ給へり
4かれらの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり
5その偶像は口あれどいはず目あれどみず
6耳あれどきかず鼻あれどかがず
7手あれどとらず脚あれどあゆまず喉より聲をいだすことなし
8此をつくる者とこれに依賴むものとは皆これにひとしからん
9イスラエルよなんぢヱホバに依賴め ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
10アロンの家よなんぢらヱホバによりたのめ ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
11ヱホバを畏るるものよヱホバに依賴め ヱホバはかれらの助かれらの盾なり
12ヱホバは我儕をみこころに記たまへり われらを惠みイスラエルの家をめぐみアロンのいへをめぐみ
13また小なるも大なるもヱホバをおそるる者をめぐみたまはん
14願くはヱホバなんぢらを増加へ なんぢらとなんぢらの子孫とをましくはへ給はんことを
15なんぢらは天地をつくりたまへるヱホバに惠まるる者なり
16天はヱホバの天なり されど地は人の子にあたへたまへり
17死人も幽寂ところに下れるものもヤハを讃稱ふることなし
18然どわれらは今より永遠にいたるまでヱホバを讃まつらむ 汝等ヱホバをほめたたへよ
第百十六篇
1われヱホバを愛しむ そはわが聲とわが願望とをききたまへばなり
2ヱホバみみを我にかたぶけたまひしが故に われ世にあらんかぎりヱホバを呼まつらむ
3死の繩われをまとひ陰府のくるしみ我にのぞめり われは患難とうれへとにあへり
4その時われヱホバの名をよべり ヱホバよ願くはわが霊魂をすくひたまへと
5ヱホバは恩惠ゆたかにして公義ましませり われらの神はあはれみ深し
6ヱホバは愚かなるものを護りたまふ われ卑くせられしがヱホバ我をすくひたまへり
7わが霊魂よなんぢの平安にかへれ ヱホバは豊かになんぢを待ひたまへばなり
8汝はわがたましひを死より わが目をなみだより わが足を顛蹶よりたすけいだしたまひき
9われは活るものの國にてヱホバの前にあゆまん
10われ大になやめりといひつつもなほ信じたり
11われ惶てしときに云らく すべての人はいつはりなりと
12我いかにしてその賜へるもろもろの恩惠をヱホバにむくいんや
13われ救のさかづきをとりてヱホバの名をよびまつらむ
14我すべての民のまへにてヱホバにわが誓をつくのはん
15ヱホバの聖徒の死はそのみまへにて貴とし
16ヱホバよ誠にわれはなんぢの僕なり われはなんぢの婢女の子にして汝のしもべなり なんぢわが縲絏をときたまへり
17われ感謝をそなへものとして汝にささげん われヱホバの名をよばん
18我すべての民のまへにてヱホバにわがちかひを償はん
19ヱルサレムよ汝のなかにてヱホバのいへの大庭のなかにて此をつくのふべし ヱホバを讃まつれ
第百十七篇
1もろもろの國よなんぢらヱホバを讃まつれ もろもろの民よなんぢらヱホバを稱へまつれ
2そはわれらに賜ふその憐憫はおほいなり ヱホバの眞實はとこしへに絶ることなし ヱホバをほめまつれ
第百十八篇
1ヱホバに感謝せよヱホバは恩惠ふかくその憐憫とこしへに絶ることなし
2イスラエルは率いふべし その憐憫はとこしへにたゆることなしと
3アロンの家はいざ言ふべし そのあはれみは永遠にたゆることなしと
4ヱホバを畏るるものは率いふべし その憐憫はとこしへにたゆることなしと
5われ患難のなかよりヱホバをよべば ヱホバこたへて我をひろき處におきたまへり
6ヱホバわが方にいませばわれにおそれなし 人われに何をなしえんや
7ヱホバはわれを助くるものとともに我がかたに坐す この故にわれを憎むものにつきての願望をわれ見ることをえん
8ヱホバに依賴むは人にたよるよりも勝りてよし
9ヱホバによりたのむはもろもろの侯にたよるよりも勝りてよし
10もろもろの國はわれを圍めり われヱホバの名によりて彼等をほろぼさん
11かれらは我をかこめり我をかこめりヱホバの名によりて彼等をほろぼさん
12かれらは蜂のごとく我をかこめり かれらは荊の火のごとく消たり われはヱホバの名によりてかれらを滅さん
13汝われを倒さんとしていたく剌つれど ヱホバわれを助けたまへり
14ヱホバはわが力わが歌にしてわが救となりたまへり
15歓喜とすくひとの聲はただしきものの幕屋にあり ヱホバのみぎの手はいさましき動作をなしたまふ
16ヱホバのみぎの手はたかくあがりヱホバの右の手はいさましき動作をなしたまふ
17われは死ることなからん 存へてヤハの事跡をいひあらはさん
18ヤハはいたく我をこらしたまひしかど死には付したまはざりき
19わがために義の門をひらけ 我そのうちにいりてヤハに感謝せん
20こはヱホバの門なりただしきものはその内にいるべし
21われ汝に感謝せん なんぢ我にこたへてわが救となりたまへばなり
22工師のすてたる石はすみの首石となれり
23これヱホバの成たまへる事にしてわれらの目にあやしとする所なり
24これヱホバの設けたまへる日なり われらはこの日によろこびたのしまん
25ヱホバよねがはくはわれらを今すくひたまへ ヱホバよねがはくは我儕をいま榮えしめたまヘ
26ヱホバの名によりて來るものは福ひなり われらヱホバの家よりなんぢらを祝せり
27ヱホバは神なり われらに光をあたへたまへり 繩をもて祭壇の角にいけにへをつなげ
28なんぢはわが神なり我なんぢに感謝せん なんぢはわが神なり我なんぢを崇めまつらん
29ヱホバにかんしやせよ ヱホバは恩惠ふかくその憐憫とこしへに絶ることなし
第百十九篇
アレフ
1おのが道をなほくしてヱホバの律法をあゆむ者はさいはひなり
2ヱホバのもろもろの證詞をまもり 心をつくしてヱホバを尋求むるものは福ひなり
3かかる人は不義をおこなはずしてヱホバの道をあゆむなり
4ヱホバよなんぢ訓諭をわれらに命じてねんごろに守らせたまふ
5なんぢわが道をかたくたててその律法をまもらせたまはんことを
6われ汝のもろもろの誡命にこころをとむるときは恥ることあらじ
7われ汝のただしき審判をまなばば 直き心をもてなんぢに感謝せん
8われは律法をまもらん われを棄はてたまふなかれ
○ベテ
9わかき人はなにによりてかその道をきよめん 聖言にしたがひて愼むのほかぞなき
10われ心をつくして汝をたづねもとめたり 願くはなんぢの誡命より迷ひいださしめ給ふなかれ
11われ汝にむかひて罪ををかすまじき爲になんぢの言をわが心のうちに蔵へたり
12讃べきかなヱホバよねがはくは律法をわれに敎へたまへ
13われわが口唇をもてなんぢの口よりいでしもろもろの審判をのべつたへたり
14我もろもろの財貨をよろこぶごとくに汝のあかしの道をよろこべり
15我なんぢの訓諭をおもひ汝のみちに心をとめん
16われは律法をよろこび聖言をわするることなからん
○ギメル
17ねがはくは汝のしもべを豊にあしらひて存へしめたまへ さらばわれ聖言をまもらん
18なんぢわが眼をひらき なんぢの法のうちなる奇しきことを我にみせたまへ
19われは世にある旅客なり 我になんぢの誡命をかくしたまふなかれ
20斷るときなくなんぢの審判をしたふが故にわが霊魂はくだくるなり
21汝はたかぶる者をせめたまへり なんぢの誡命よりまよひづる者はのろはる
22我なんぢの證詞をまもりたり 我より謗とあなどりとを取去たまへ
23又もろもろの侯は坐して相語りわれをそこなはんとせり 然はあれど汝のしもべは律法をふかく思へり
24汝のもろもろの證詞はわれをよろこばせわれをさとす者なり
○ダレテ
25わが霊魂は塵につきぬ なんぢの言にしたがひて我をいかしたまへ
26我わがふめる道をあらはししかば汝こたへを我になしたまへり なんぢの律法をわれに敎へたまへ
27なんぢの訓諭のみちを我にわきまへしめたまへ われ汝のくすしき事跡をふかく思はん
28わがたましひ痛めるによりてとけゆく ねがはくは聖言にしたがひて我にちからを予へたまへ
29願くはいつはりの道をわれより遠ざけ なんぢの法をもて我をめぐみたまへ
30われは眞實のみちをえらび 恒になんぢのもろもろの審判をわが前におけり
31我なんぢの證詞をしたひて離れず ヱホバよねがはくは我をはづかしめ給ふなかれ
32われ汝のいましめの道をはしらん その時なんぢわが心をひろく爲たまふべし
○へ
33ヱホバよ願くはなんぢの律法のみちを我にをしへたまへ われ終にいたるまで之をまもらん
34われに智慧をあたへ給へ さらば我なんぢの法をまもり心をつくして之にしたがはん
35われに汝のいましめの道をふましめたまへ われその道をたのしめばなり
36わが心をなんぢの證詞にかたぶかしめて 貪利にかたぶかしめ給ふなかれ
37わが眼をほかにむけて虚しきことを見ざらしめ 我をなんぢの途にて活し給へ
38ひたすらに汝をおそるる汝のしもべに 聖言をかたくしたまへ
39わがおそるる謗をのぞきたまへ そはなんぢの審判はきはめて善し
40我なんぢの訓諭をしたへり 願くはなんぢの義をもて我をいかしたまへ
○ワウ
41ヱホバよ聖言にしたがひてなんぢの憐憫なんぢの拯救を我にのぞませたまへ
42さらば我われを謗るものに答ふることをえん われ聖言によりたのめばなり
43又わが口より眞理のことばをことごとく除き給ふなかれ われなんぢの審判をのぞみたればなり
44われたえずいや永久になんぢの法をまもらん
45われなんぢの訓諭をもとめたるにより障なくしてあゆまん
46われまた王たちの前になんぢの證詞をかたりて恥ることあらじ
47我わが愛するなんぢの誡命をもて己をたのしましめん
48われ手をわがあいする汝のいましめに擧げ なんぢの律法をふかく思はん
○ザイン
49ねがはくは汝のしもべに宣ひたる聖言をおもひいだしたまへ 汝われに之をのぞましめ給へり
50なんぢの聖言はわれを活ししがゆゑに 今もなほわが艱難のときの安慰なり
51高ぶる者おほいに我をあざわらへり されど我なんぢの法をはなれざりき
52ヱホバよわれ汝がふるき往昔よりの審判をおもひいだして自から慰めたり
53なんぢの法をすつる惡者のゆゑによりて 我はげしき怒をおこしたり
54なんぢの律法はわが旅の家にてわが歌となれり
55ヱホバよわれ夜間になんぢの名をおもひいだして なんぢの法をまもれり
56われ汝のさとしを守りしによりてこの事をえたるなり
○ヘテ
57ヱホバはわがうくべき有なり われ汝のもろもろの言をまもらんといへり
58われ心をつくして汝のめぐみを請求めたり ねがはくは聖言にしたがひて我をあはれみたまへ
59我わがすべての途をおもひ 足をかへしてなんぢの證詞にむけたり
60我なんぢの誡命をまもるに速けくしてたゆたはざりき
61惡きものの繩われに纏ひたれども 我なんぢの法をわすれざりき
62我なんぢのただしき審判のゆゑに 夜半におきてなんぢに感謝せん
63われは汝をおそるる者 またなんぢの訓諭をまもるものの侶なり
64ヱホバよ汝のあはれみは地にみちたり 願くはなんぢの律法をわれにをしへたまへ
○テテ
65ヱホバよなんぢ聖言にしたがひ惠をもてその僕をあしらひたまへり
66われ汝のいましめを信ず ねがはくはわれに聡明と智識とををしへたまへ
67われ苦しまざる前にはまよひいでぬ されど今はわれ聖言をまもる
68なんぢは善にして善をおこなひたまふ ねがはくは汝のおきてを我にをしへたまへ
69高ぶるもの虚偽をくはだてて我にさからへり われ心をつくしてなんぢの訓諭をまもらん
70かれらの心はこえふとりて脂のごとし されど我はなんぢの法をたのしむ
71困苦にあひたりしは我によきことなり 此によりて我なんぢの律法をまなびえたり
72なんぢの口の法はわがためには千々のこがね白銀にもまされり
○ヨーデ
73なんぢの手はわれを造りわれを形づくれり ねがはくは智慧をあたへて我になんぢの誡命をまなばしめたまへ
74なんぢを畏るるものは我をみて喜ばん われ聖言によりて望をいたきたればなり
75ヱホバよ我はなんぢの審判のただしく又なんぢが眞實をもて我をくるしめたまひしを知る
76ねがはくは汝のしもべに宣ひたる聖言にしたがひて 汝の仁慈をわが安慰となしたまへ
77なんぢの憐憫をわれに臨ませたまへ さらばわれ生ん なんぢの法はわが樂しめるところなり
78高ぶるものに恥をかうぷらせたまへ かれらは虚偽をもて我をくつがへしたればなり されど我なんぢの訓諭をふかくおもはん
79汝をおそるる者となんぢの證詞をしるものとを我にかへらしめたまへ
80わがこころを全くして汝のおきてを守らしめたまへ さらばわれ恥をかうぶらじ
○カフ
81わが霊魂はなんぢの救をしたひてたえいるばかりなり 然どわれなほ聖言によりて望をいだく
82なんぢ何のとき我をなぐさむるやといひつつ 我みことばを慕ふによりて眼おとろふ
83我は煙のなかの革嚢のごとくなりぬれども 尚なんぢの律法をわすれず
84汝のしもべの日は幾何ありや 汝いづれのとき我をせむるものに審判をおこなひたまふや
85たかぶる者われを害はんとて阱をほれり かれらはなんぢの法にしたがはず
86なんぢの誡命はみな眞實なり かれらは虚偽をもて我をせむ ねがはくは我をたすけたまへ
87かれらは地にてほとんど我をほろぼせり されど我はなんぢの訓諭をすてざりき
88願くはなんぢの仁慈にしたがひて我をいかしたまへ 然ばわれ御口よりいづる證詞をまもらん
○ラメテ
89ヱホバよみことばは天にてとこしえに定まり
90なんぢの眞實はよろづ世におよぶ なんぢ地をかたく立たまへば地はつねにあり
91これらのものはなんぢの命令にしたがひ 恒にありて今日にいたる 萬のものは皆なんぢの僕なればなり
92なんぢの法わがたのしみとならざりしならば我はつひに患難のうちに滅びたるならん
93われ恒になんぢの訓諭をわすれじ 汝これをもて我をいかしたまへばなり
94我はなんぢの有なりねがはくは我をすくひたまへ われ汝のさとしを求めたり
95惡きものは我をほろぼさんとして窺ひぬ われは唯なんぢのもろもろの證詞をおもはん
96我もろもろの純全に限あるをみたり されど汝のいましめはいと廣し
○メム
97われなんぢの法をいつくしむこといかばかりぞや われ終日これを深くおもふ
98なんぢの誡命はつねに我とともにありて 我をわが仇にまさりて慧からしむ
99我はなんぢの證詞をふかくおもふが故に わがすべての師にまさりて智慧おほし
100我はなんぢの訓諭をまもるがゆゑに 老たる者にまさりて事をわきまふるなり
101われ聖言をまもらんために わが足をとどめてもろもろのあしき途にゆかしめず
102なんぢ我ををしへたまひしによりて 我なんぢの審判をはなれざりき
103みことばの滋味はわが腭にあまきこといかばかりぞや 蜜のわが口に甘きにまされり
104我なんぢの訓諭によりて智慧をえたり このゆゑに虚偽のすべての途をにくむ
○ヌン
105なんぢの聖言はわがあしの燈火わが路のひかりなり
106われなんぢのただしき審判をまもらんことをちかひ且かたくせり
107われ甚いたく苦しめり ヱホバよねがはくは聖言にしたがひて我をいかしたまヘ
108ヱホバよねがはくは誠意よりするわが口の献物をうけて なんぢの審判ををしへたまへ
109わが霊魂はつねに危険ををかす されど我なんぢの法をわすれず
110あしき者わがために羂をまうけたり されどわれ汝のさとしより迷ひいでざりき
111われ汝のもろもろの證詞をとこしへにわが嗣業とせり これらの證詞はわが心をよろこばしむ
112われ汝のおきてを終までとこしへに守らんとて之にこころを傾けたり
○サメク
113われ二心のものをにくみ汝のおきてを愛しむ
114なんぢはわが匿るべき所わが盾なり われ聖言によりて望をいだく
115惡きをなすものよ我をはなれされ われわが神のいましめを守らん
116聖言にしたがひ我をささへて生存しめたまへ わが望につきて恥なからしめたまへ
117われを支へたまへ さらばわれ安けかるべし われ恒になんぢの律法にこころをそそがん
118すべて律法よりまよひいづるものを汝かろしめたまへり かれらの欺詐はむなしければなり
119なんぢは地のすべての惡きものを渣滓のごとく除きさりたまふ この故にわれ汝のあかしを愛す
120わが肉體なんぢを懼るるによりてふるふ 我はなんぢの審判をおそる
○アイン
121われは審判と公義とをおこなふ 我をすてて虐ぐるものに委ねたまふなかれ
122汝のしもべの中保となりて福祉をえしめたまへ 高ぶるものの我をしへたぐるを容したまふなかれ
123わが眼はなんぢの救となんぢのただしき聖言とをしたふによりておとろふ
124ねがはくはなんぢの憐憫にしたがひてなんぢの僕をあしらひ 我になんぢの律法ををしへたまへ
125我はなんぢの僕なり われに智慧をあたへてなんぢの證詞をしらしめたまへ
126彼等はなんぢの法をすてたり 今はヱホバのはたらきたまふべき時なり
127この故にわれ金よりもまじりなき金よりもまさりて汝のいましめを愛す
128この故にもろもろのことに係るなんぢの一切のさとしを正しとおもふ 我すべてのいつはりの途をにくむ
○べ
129汝のあかしは妙なり かかるが故にわが霊魂これをまもる
130聖言うちひらくれば光をはなちて 愚かなるものをさとからしむ
131我なんぢの誡命をしたふが故に わが口をひろくあけて喘ぎもとめたり
132ねがはくは聖名を愛するものに恒になしたまふごとく身をかへして我をあはれみたまへ
133聖言をもてわが歩履をととのへ もろもろの邪曲をわれに主たらしめたまふなかれ
134われを人のしへたげより贖ひたまへ さらばわれ訓諭をまもらん
135ねがはくは聖顔をなんぢの僕のうへにてらし 汝のおきてを我にをしへ給へ
136人なんぢの法をまもらざるによりて わが眼のなみだ河のごとくに流る
○ツァデー
137ヱホバよなんぢは義しくなんぢの審判はなほし
138汝ただしきと此上なき眞實とをもて その證詞を命じ給へり
139わが敵なんぢの聖言をわすれたるをもて わが熱心われをほろぼせり
140なんぢの聖言はいときよし 此故になんぢの僕はこれを愛す
141われは微なるものにて人にあなどらるれども汝のさとしを忘れず
142なんぢの義はとこしへの義なり汝ののりは眞理なり
143われ患難と憂とにかかれども 汝のいましめはわが喜樂なり
144なんぢの證詞はとこしへに義し ねがはくはわれに智慧をたまへ 我ながらふることを得ん
○コフ
145われ心をつくしてよばはれり ヱホバよ我にこたへたまへ 我なんぢの律法をまもらん
146われ汝をよばはれり ねがはくはわれを救ひ給へ 我なんぢの證詞をまもらん
147われ詰朝おきいでて呼はれり われ聖言によりて望をいだけり
148夜の更のきたらぬに先だち わが眼はさめて汝のみことばを深くおもふ
149ねがはくはなんぢの仁慈にしたがひてわが聲をききたまへ ヱホバよなんぢの審判にしたがひて我をいかしたまへ
150惡をおひもとむるものは我にちかづけり 彼等はなんぢの法にとほくはなる
151ヱホバよ汝はわれに近くましませり なんぢのすべての誡命はまことなり
152われ早くよりなんぢの證詞によりて汝がこれを永遠にたてたまへることを知れり
○レシ
153ねがはくはわが患難をみて我をすくひたまへ 我なんぢの法をわすれざればなり
154ねがはくはわが訟をあげつらひて我をあがなひ 聖言にしたがひて我をいかしたまへ
155すくひは惡きものより遠くはなる かれらはなんぢの律法をもとめざればなり
156ヱホバよなんぢの憐憫はおほいなり 願くはなんぢの審判にしたがひて我をいかしたまへ
157我をせむる者われに敵するものおほし 我なんぢの證詞をはなるることなかりき
158虚偽をおこなふもの汝のみことばを守らざるにより 我かれらを見てうれへたり
159ねがはくはわが汝のさとしを愛すること幾何なるをかへりみたまへ ヱホバよなんぢの仁慈にしたがひて我をいかしたまへ
160なんぢのみことばの總計はまことなり 汝のただしき審判はとこしへにいたるまで皆たゆることなし
○シン
161もろもろの侯はゆゑなくして我をせむ 然どわが心はただ汝のみことばを畏る
162われ人のおほいなる掠物をえたるごとくに 汝のみことばをよろこぶ
163われ虚偽をにくみ之をいみきらへども 汝ののりを愛す
164われ汝のただしき審判のゆゑをもて 一日に七次なんぢを讃稱ふ
165なんぢの法をあいするものには大なる平安あり かれらには躓礙をあたふる者なし
166ヱホバよ我なんぢの救をのぞみ汝のいましめをおこなへり
167わが霊魂はなんぢの證詞をまもれり 我はいたく之をあいす
168われなんぢの訓諭となんぢの證詞とをまもりぬ わがすべての道はみまへにあればなり
○タウ
169ヱホバよ願くはわがよぶ聲をみまへにちかづけ 聖言にしたがひて我にちゑをあたへたまへ
170わが願をみまへにいたらせ 聖言にしたがひて我をたすけたまへ
171わがくちびるは讃美をいだすべし 汝われに律法ををしへ給へばなり
172わが舌はみことばを謳ふべし なんぢの一切のいましめは義なればなり
173なんぢの手をつねにわが助となしたまへ われなんぢの訓諭をえらび用ゐたればなり
174ヱホバよ我なんぢの救をしたへり なんぢの法はわがたのしみなり
175願くはわが霊魂をながらへしめたまへ さらば汝をほめたたへん 汝のさばきの我をたすけんことを
176われは亡はれたる羊のごとく迷ひいでぬ なんぢの僕をたづねたまへ われ汝のいましめを忘れざればなり
第百二十篇
京詣のうた
1われ困苦にあひてヱホバをよびしかば我にこたへたまへり
2ヱホバよねがはくは虚偽のくちびる欺詐の舌よりわが霊魂をたすけいだしたまへ
3あざむきの舌よなんぢに何をあたへられ 何をくはへらるべきか
4ますらをの利き箭と金萑花のあつき炭となり
5わざはひなるかな我はメセクにやどりケダルの幕屋のかたはらに住めり
6わがたましひは平安をにくむものと偕にすめり
7われは平安をねがふ されど我ものいふときにかれら戰爭をこのむ
第百二十一篇
京まうでの歌
1われ山にむかひて目をあぐ わが扶助はいづこよりきたるや
2わがたすけは天地をつくりたまへるヱホバよりきたる
3ヱホバはなんぢの足のうごかさるるを容したまはず 汝をまもるものは微睡たまふことなし
4視よイスラエルを守りたまふものは微睡こともなく寝ることもなからん
5ヱホバは汝をまもる者なり ヱホバはなんぢの右手をおほふ蔭なり
6ひるは日なんぢをうたず夜は月なんぢを傷じ
7ヱホバはなんぢを守りてもろもろの禍害をまぬかれしめ並なんぢの霊魂をまもりたまはん
8ヱホバは今よりとこしへにいたるまで 汝のいづると入るとをまもりたまはん
第百二十二篇
ダビデがよめる京まうでの歌
1人われにむかひて率ヱホバのいへにゆかんといへるとき我よろこべり
2ヱルサレムよわれらの足はなんぢの門のうちにたてり
3ヱルサレムよなんぢは稠くつらなりたる邑のごとく固くたてり
4もろもろのやから即ちヤハの支派かしこに上りきたり イスラエルにむかひて證詞をなし またヱホバの名にかんしやをなす
5彼處にさばきの寳座まうけらる これダビデの家のみくらなり
6ヱルサレムのために平安をいのれ ヱルサレムを愛するものは榮ゆべし
7ねがはくはなんぢの石垣のうちに平安あり なんぢの諸殿のうちに福祉あらんことを
8わが兄弟のためわが侶のために われ今なんぢのなかに平安あれといはん
9われらの神ヱホバのいへのために我なんぢの福祉をもとめん
第百二十三篇
京まうでの歌
1天にいますものよ我なんぢにむかひて目をあぐ
2みよ僕その主の手に目をそそぎ 婢女その主母の手に目をそそぐがごとく われらはわが神ヱホバに目をそそぎて そのわれを憐みたまはんことをまつ
3ねがはくはわれらを憐みたまヘ ヱホバよわれらを憐みたまへ そはわれらに軽侮はみちあふれぬ
4おもひわづらひなきものの凌辱と たかぶるものの軽侮とはわれらの霊魂にみちあふれぬ
第百二十四篇
ダビデのよめる京まうでの歌
1今イスラエルはいふべし ヱホバもしわれらの方にいまさず
2人々われらにさからひて起りたつとき ヱホバもし我儕のかたに在さざりしならんには
3かれらの怒のわれらにむかひておこりし時 われらを生るままにて呑しならん
4また水はわれらをおほひ 流はわれらの霊魂をうちこえ
5高ぶる水はわれらの霊魂をうちこえしならん
6ヱホバはほむべきかな我儕をかれらの歯にわたして噛くらはせたまはざりき
7我儕のたましひは捕鳥者のわなをのがるる鳥のごとくにのがれたり 羅はやぶれてわれらはのがれたり
8われらの助は天地をつくりたまへるヱホバの名にあり
第百二十五篇
みやこ詣のうた
1ヱホバに依賴むものはシオンの山のうごかさるることなくして永遠にあるがごとし
2ヱルサレムを山のかこめるごとくヱホバも今よりとこしへにその民をかこみたまはん
3惡の杖はただしきものの所領にとどまることなかるべし斯てただしきものはその手を不義にのぶることあらじ
4ヱホバよねがはくは善人とこころ直きものとに福祉をほどこしたまへ
5されどヱホバは轉へりておのが曲れる道にいるものを惡きわざをなすものとともに去しめたまはん 平安はイスラエルのうへにあれ
第百二十六篇
京まうでの歌
1ヱホバ、シオンの俘囚をかへしたまひし時 われらは夢みるもののごとくなりき
2そのとき笑はわれらの口にみち歌はわれらの舌にみてり ヱホバかれらのために大なることを作たまへりといへる者もろもろの國のなかにありき
3ヱホバわれらのために大なることをなしたまひたれば我儕はたのしめり
4ヱホバよ願くはわれらの俘囚をみなみの川のごとくに歸したまへ
5涙とともに播くものは歡喜とともに穫らん
6その人は種をたづさへ涙をながしていでゆけど禾束をたづさへ喜びてかへりきたらん
第百二十七篇
ソロモンがよめる京まうでのうた
1ヱホバ家をたてたまふにあらずば 建るものの勤勞はむなしく ヱホバ城をまもりたまふにあらずば衛士のさめをるは徒勞なり
2なんぢら早くおき遅くいねて辛苦の糧をくらふはむなしきなり 斯てヱホバその愛しみたまふものに寝をあたへたまふ
3みよ子輩はヱホバのあたへたまふ嗣業にして 胎の實はその報のたまものなり
4年壯きころほひの子はますらをの手にある矢のごとし
5矢のみちたる箙をもつ人はさいはひなり かれら門にありて仇とものいふとき恥ることあらじ
第百二十八篇
京まうでの歌
1ヱホバをおそれその道をあゆむものは皆さいはひなり
2そはなんぢおのが手の勤勞をくらふべければなり なんぢは福祉をえまた安處にをるべし
3なんぢの妻はいへの奧にをりておほくの實をむすぶ葡萄の樹のごとく汝の子輩はなんぢの筵に円居してかんらんの若樹のごとし
4見よヱホバをおそるる者はかく福祉をえん
5ヱホバはシオンより惠をなんぢに賜はん なんぢ世にあらんかぎりヱルサレムの福祉をみん
6なんぢおのが子輩の子をみるべし 平安はイスラエルの上にあり
第百二十九篇
京まうでのうた
1今イスラエルはいふべし彼等はしばしば我をわかきときより惱めたり
2かれらはしばしば我をわかきときより惱めたり されどわれに勝ことを得ざりき
3耕すものはわが背をたがへしてその畎をながくせり
4ヱホバは義し あしきものの繩をたちたまへり
5シオンをにくむ者はみな恥をおびてしりぞかせらるべし
6かれらは長たざるさきにかるる屋上の草のごとし
7これを刈るものはその手にみたず 之をつかぬるものはその束ふところに盈ざるなり
8かたはらを過るものはヱホバの惠なんぢの上にあれといはず われらヱホバの名によりてなんぢらを祝すといはず
第百三十篇
京まうでの歌
1ああヱホバよわれふかき淵より汝をよべり
2主よねがはくはわが聲をきき汝のみみをわが懇求のこゑにかたぶけたまへ
3ヤハよ主よなんぢ若もろもろの不義に目をとめたまはば誰たれかよく立ことをえんや
4されどなんぢに赦あれば人におそれかしこまれ給ふべし
5我ヱホバを俟望む わが霊魂はまちのぞむ われはその聖言によりて望をいだく
6わがたましひは衛士があしたを待にまさり 誠にゑじが旦をまつにまさりて主をまてり
7イスラエルよヱホバによりて望をいだけ そはヱホバにあはれみあり またゆたかなる救贖あり
8ヱホバはイスラエルをそのもろもろの邪曲よりあがなひたまはん
第百三十一篇
ダビデのよめる京まうでのうた
1ヱホバよわが心おごらずわが目たかぶらず われは大なることと我におよばぬ奇しき事とをつとめざりき
2われはわが霊魂をもださしめまた安からしめたり 乳をたちし嬰兒のその母にたよるごとく 我がたましひは乳をたちし嬰兒のごとくわれに恃れり
3イスラエルよ今よりとこしへにヱホバにたよりて望をいだけ
第百三十二篇
京まうでの歌
1ヱホバよねがはくはダビデの爲にそのもろもろの憂をこころに記たまへ
2ダビデ、ヱホバにちかひヤコブの全能者にうけひていふ
3 132:4 132:5われヱホバのために處をたづねいだし ヤコブの全能者のために居所をもとめうるまでは 我家の幕屋にいらず わが臥床にのぼらず わが目をねぶらしめず わが眼瞼をとぢしめざるべしと
6われらエフラタにて之をききヤアルの野にて見とめたり
7われらはその居所にゆきて その承足のまへに俯伏さん
8ヱホバよねがはくは起きて なんぢの稜威の櫃とともになんぢの安居所にいりたまへ
9なんぢの祭司たちは義を衣 なんぢの聖徒はみな歓びよばふべし
10なんぢの僕ダビデのためになんぢの受膏者の面をしりぞけたまふなかれ
11ヱホバ眞實をもてダビデに誓ひたまひたれば之にたがふことあらじ 曰くわれなんぢの身よりいでし者をなんぢの座位にざせしめん
12なんぢの子輩もしわがをしふる契約と證詞とをまもらばかれらの子輩もまた永遠になんぢの座位にざすべしと
13ヱホバはシオンを擇びておのが居所にせんとのぞみたまへり
14曰くこれは永遠にわが安居處なり われここに住ん そはわれ之をのぞみたればなり
15われシオンの糧をゆたかに祝し くひものをもてその貧者をあかしめん
16われ救をもてその祭司たちに衣せん その聖徒はみな聲たからかによろこびよばふべし
17われダビデのためにかしこに一つの角をはえしめん わが受膏者のために燈火をそなへたり
18われかれの仇にはぢを衣せん されどかれはその冠弁さかゆべし
第百三十三篇
ダビデがよめる京まうでの歌
1觀よはらから相睦てともにをるはいかに善いかに樂きかな
2首にそそがれたる貴きあぶら鬚にながれ アロンの鬚にながれ その衣のすそにまで流れしたたるるがごとく
3またヘルモンの露くだりてシオンの山にながるるがごとし そはヱホバかしこに福祉をくだし窮なき生命をさへあたへたまへり
第百三十四篇
京まうでの歌
1夜間ヱホバの家にたちヱホバに事ふるもろもろの僕よ ヱホバをほめまつれ
2なんぢら聖所にむかひ手をあげてヱホバをほめまつれ
3ねがはくはヱホバ天地をつくりたまへるもの シオンより汝をめぐみたまはんことを
第百三十五篇
1なんぢらヱホバを讃稱へよ ヱホバの名をほめたたへよ ヱホバの僕等ほめたたへよ
2ヱホバの家われらの神のいへの大庭にたつものよ讃稱へよ
3ヱホバは惠ふかし なんぢらヱホバをほめたたへよ その聖名はうるはし讃うたへ
4そはヤハおのがためにヤコブをえらみ イスラエルをえらみてその珍寳となしたまへり
5われヱホバの大なるとわれらの主のもろもろの神にまされるとをしれり
6ヱホバその聖旨にかなふことを天にも地にも海にも淵にもみなことごとく行ひ給ふなり
7ヱホバは地のはてより霧をのぼらせ 雨のために電光をつくりその庫より風をいだしたまふ
8ヱホバは人より畜類にいたるまでエジプトの首出をうちたまへり
9エジプトよヱホバはなんぢの中にしるしと奇しき事跡とをおくりて パロとその僕とに臨ませ給へり
10ヱホバはおほくの國々をうち 又いきほひある王等をころし給へり
11アモリ人のわうシホン、バシヤンの王オグならびにカナンの國々なり
12かれらの地をゆづりとしその民イスフルの嗣業としてあたへ給へり
13ヱホバよなんぢの名はとこしへに絶ることなし ヱホバよなんぢの記念はよろづ世におよばん
14ヱホバはその民のために審判をなしその僕等にかかはれる聖意をかへたまふ可ればなり
15もろもろのくにの偶像はしろかねと金にして人の手のわざなり
16そのぐうざうは口あれどいはず目あれど見ず
17耳あれどきかず またその口に氣息あることなし
18これを造るものと之によりたのむものとは皆これにひとしからん
19イスラエルの家よヱホバをほめまつれ アロンのいへよヱホバをほめまつれ
20レビの家よヱホバをほめまつれ ヱホバを畏るるものよヱホバをほめまつれ
21ヱルサレムにすみたまふヱホバはシオンにて讃まつるべきかな ヱホバをほめたたへよ
第百三十六篇
1ヱホバに感謝せよヱホバはめぐみふかし その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
2もろもろの神の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
3もろもろの主の主にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
4ただ獨りおほいなる奇跡なしたまふものに感謝せよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
5智慧をもてもろもろの天をつくりたまへるものに感謝せよ そのあはれみはとこしへにたゆることなければなり
6地を水のうへに布たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
7巨大なる光をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
8晝をつかさどらするために日をつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
9夜をつかさどらするために月ともろもろの星とをつくりたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
10もろもろの首出をうちてエジプトを責たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
11イスラエルを率てエジプト人のなかより出したまへる者にかんしやせよ そのあはれみはとこしへに絶ることなければなり
12臂をのばしつよき手をもて之をひきいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
13紅海をふたつに分たまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
14イスラエルをしてその中をわたらしめ給へるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
15パロとその軍兵とを紅海のうちに仆したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
16その民をみちびきて野をすぎしめたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
17大なる王たちを撃たまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
18名ある王等をころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
19アモリ人のわうシホンをころしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
20バシヤンのわうオグを誅したまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
21かれらの地を嗣業としてあたへたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへにたゆることなければなり
22その僕イスラエルにゆづりとして之をあたへたまへるものに感謝せよ そのあはれみは永遠にたゆることなければなり
23われらが微賤かりしときに記念したまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
24わが敵よりわれらを助けいだしたまへる者にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
25すべての生るものに食物をあたへたまふものに感謝せよ そのあはれみはとこしへに絶ることなければなり
26天の神にかんしやせよ その憐憫はとこしへに絶ることなければなり
第百三十七篇
1われらバビロンの河のほとりにすわり シオンをおもひいでて涙をながしぬ
2われらそのあたりの柳にわが琴をかけたり
3そはわれらを虜にせしものわれらに歌をもとめたり 我儕をくるしむる者われらにおのれを歓ばせんとて シオンのうた一つうたへといへり
4われら外邦にありていかでヱホバの歌をうたはんや
5エルサレムよもし我なんぢをわすれなばわが右の手にその巧をわすれしめたまへ
6もしわれ汝を思ひいでず もしわれヱルサレムをわがすべての歓喜の極となさずばわが舌をわが腭につかしめたまヘ
7ヱホバよねがはくはヱルサレムの日にエドムの子輩がこれを掃除けその基までもはらひのぞけといへるを聖意にとめたまへ
8ほろぼさるべきバビロンの女よ なんぢがわれらに作しごとく汝にむくゆる人はさいはひなるべし
9なんぢの嬰兒をとりて岩のうへになげうつものは福ひなるべし
第百三十八篇
ダビデのうた
1われはわが心をつくしてなんぢに感謝し もろもろの神のまへにて汝をほめうたはん
2我なんぢのきよき宮にむかひて伏拝み なんぢの仁慈とまこととの故によりて聖名にかんしやせん そは汝そのみことばをもろもろの聖名にまさりて高くしたまひたればなり
3汝わがよばはりし日にわれにこたへ わが霊魂にちからをあたへて雄々しからしめたまへり
4ヱホバよ地のすべての王はなんぢに感謝せん かれらはなんぢの口のもろもろの言をききたればなり
5かれらはヱホバのもろもろの途についてうたはん ヱホバの榮光おほいなればなり
6ヱホバは高くましませども卑きものを顧みたまふ されど亦おごれるものを遠よりしりたまへり
7縦ひわれ患難のなかを歩むとも汝われをふたたび活し その手をのばしてわが仇のいかりをふせぎ その右の手われをすくひたまふべし
8ヱホバはわれに係れることを全うしたまはん ヱホバよなんぢの憐憫はとこしへにたゆることなし願くはなんぢの手のもろもろの事跡をすてたまふなかれ
第百三十九篇
伶長にうたはしめたるダビデの歌
1ヱホバよなんぢは我をさぐり我をしりたまへり
2なんぢはわが坐るをも立をもしり 又とほくよりわが念をわきまへたまふ
3なんぢはわが歩むをもわが臥をもさぐりいだし わがもろもろの途をことごとく知たまへり
4そはわが舌に一言ありとも觀よヱホバよなんぢことごとく知たまふ
5なんぢは前より後よりわれをかこみ わが上にその手をおき給へり
6かかる知識はいとくすしくして我にすぐ また高くして及ぶことあたはず
7我いづこにゆきてなんぢの聖霊をはなれんや われいづこに往てなんぢの前をのがれんや
8われ天にのぼるとも汝かしこにいまし われわが榻を陰府にまうくるとも 觀よなんぢ彼處にいます
9我あけぼのの翼をかりて海のはてにすむとも
10かしこにて尚なんぢの手われをみちびき汝のみぎの手われをたもちたまはん
11暗はかならす我をおほひ 我をかこめる光は夜とならんと我いふとも
12汝のみまへには暗ものをかくすことなく 夜もひるのごとくに輝けり なんぢにはくらきも光もことなることなし
13汝はわがはらわたをつくり 又わがははの胎にわれを組成たまひたり
14われなんぢに感謝す われは畏るべく奇しくつくられたり なんぢの事跡はことごとくくすし わが霊魂はいとつばらに之をしれり
15われ隠れたるところにてつくられ地の底所にて妙につづりあはされしとき わが骨なんぢにかくるることなかりき
16わが體いまだ全からざるに なんぢの目ははやくより之をみ 日々かたちづくられしわが百體の一だにあらざりし時に ことごとくなんぢの冊にしるされたり
17神よなんぢりもろもろの思念はわれに寶きこといかばかりぞや そのみおもひの總計はいかに多きかな
18我これを算へんとすれどもそのかずは沙よりもおほし われ眼さむるときも尚なんぢとともにをる
19神よなんぢはかならず惡者をころし給はん されば血をながすものよ我をはなれされ
20かれらはあしき企圖をもて汝にさからひて言ふ なんぢの仇はみだりに聖名をとなふるなり
21ヱホバよわれは汝をにくむ者をにくむにあらずや なんぢに逆ひておこりたつものを厭ふにあらずや
22われ甚くかれらをにくみてわが仇とす
23神よねがはくは我をさぐりてわが心をしり 我をこころみてわがもろもろの思念をしりたまへ
24ねがはくは我によこしまなる途のありやなしやを見て われを永遠のみちに導きたまへ
第百四十篇
伶長にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよねがはくは惡人よりわれを助けいだし 我をまもりて強暴人よりのがれしめたまへ
2かれらは心のうちに殘害をくはだて たえず戰闘をおこす
3かれらは蛇のごとくおのが舌を利す そのくちびるのうちに蝮の毒ありセラ
4ヱホバよ願くはわれを保ちてあしきひとの手よりのがれしめ 我をまもりてわが足をつまづかせんと謀るあらぶる人よりのがれしめ給へ
5高ぶるものはわがために羂と索とをふせ 路のほとりに網をはり かつ機をまうけたりセラ
6われヱホバにいへらく汝はわが神なり ヱホバよねがはくはわが祈のこゑをきき給へ
7わが救のちからなる主の神よ なんぢはたたかひの日にわが首をおほひたまへり
8ヱホバよあしきひとの欲のままにすることをゆるしたまふなかれ そのあしき企圖をとげしめたまふなかれ おそらくは彼等みづから誇らんセラ
9われを圍むものの首はおのれのくちびるの殘害におほはるべし
10もえたる炭はかれらのうへにおち かれらは火になげいれられ ふかき穴になげいれられて再びおきいづることあたはざるべし
11惡言をいふものは世にたてられず 暴ぶるものはわざはひに追及れてたふさるべし
12われは苦しむものの訴とまづしきものの義とをヱホバの守りたまふを知る
13義者はかならず聖名にかんしやし直者はみまへに住ん
第百四十一篇
ダビデのうた
1ヱホバよ我なんぢを呼ふ ねがはくは速かにわれにきたりたまへ われ汝をよばふときわが聲に耳をかたぶけたまへ
2われは薫物のごとくにわが祈をみまへにささげ 夕のそなへものの如くにわが手をあげて聖前にささげんことをねがふ
3ヱホバよねがはくはわが口に門守をおきて わがくちびるの戸をまもりたまへ
4惡事にわがこころを傾かしめて邪曲をおこなふ者とともに惡きわざにあづからしめ給ふなかれ 又かれらの珍饈をくらはしめたまふなかれ
5義者われをうつとも我はこれを愛しみとしその我をせむるを頭のあぶらとせん わが頭はこれを辭まず かれらが禍害にあふときもわが祈はたえじ
6その審士ははほの崕になげられん かれらわがことばの甘美によりて聽ことをすべし
7人つちを耕しうがつがごとく我儕のほねははかの口にちらさる
8されど主ヱホバよわが目はなほ汝にむかふ 我なんぢに依賴めり ねがはくはわが霊魂をともしきままに捨おきたまなかれ
9我をまもりてかれらがわがためにまうくる羂とよこしまを行ふものの機とをまぬかれしめたまへ
10われは全くのがれん あしきものをおのれの網におちいらしめたまへ
第百四十二篇
ダビデが洞にありしときよみたる敎へのうたなり祈なり
1われ聲をいだしてヱホバによばはり 聲をいだしてヱホバにこひもとむ
2われはその聖前にわが歎息をそそぎいだし そのみまへにわが患難をあらはす
3わが霊魂わがうちにきえうせんとするときも汝わがみちを識たまへり 人われをとらへんとてわがゆくみちに羂をかくせり
4願くはわがみぎの手に目をそそぎて見たまへ 一人だに我をしるものなし われには避所なくまたわが霊魂をかへりみる人なし
5ヱホバよわれ汝をよばふ 我いへらく汝はわがさけどころ有生の地にてわがうべき分なりと
6ねがはくはわが號呼にみこころをとめたまへ われいたく卑くせられたればなり 我をせむる者より助けいだしたまへ 彼等はわれにまさりて強ければなり
7願くはわがたましひを囹圄よりいだし われに聖名を感謝せしめたまへ なんぢ豊かにわれを待ひたまふべければ 義者われをめぐらん
第百四十三篇
ダビデのうた
1ヱホバよねがはくはわが祈をきき わが懇求にみみをかたぶけたまへ なんぢの眞實なんぢの公義をもて我にこたへたまへ
2汝のしもべの審判にかかつらひたまふなかれ そはいけるもの一人だにみまへに義とせらるるはなし
3仇はわがたましひを迫めわが生命を地にうちすて 死てひさしく世を經たるもののごとく我をくらき所にすまはせたり
4又わがたましひはわが衷にきえうせんとし わが心はわがうちに曠さびれたり
5われはいにしへの日をおもひいで 汝のおこなひたまひし一切のことを考へ なんぢの手のみわざをおもふ
6われ汝にむかひてわが手をのべ わがたましひは燥きおとろへたる地のごとく汝をしたへりセラ
7ヱホバよ速かにわれにこたへたまへ わが霊魂はおとろふ われに聖顔をかくしたまふなかれ おそらくはわれ穴にくだるもののごとくならん
8朝になんぢの仁慈をきかしめたまへ われ汝によりたのめばなり わが歩むべき途をしらせたまへ われわが霊魂をなんぢに擧ればなり
9ヱホバよねがはくは我をわが仇よりたすけ出したまへ われ匿れんとして汝にはしりゆく
10汝はわが神なり われに聖旨をおこなふことををしへたまへ 惠ふかき聖霊をもて我をたひらかなる國にみちびきたまへ
11ヱホバよねがはくは聖名のために我をいかし なんぢの義によりてわがたましひを患難よりいだしたまへ
12又なんぢの仁慈によりてわが仇をたち 霊魂をくるしむる者をことごとく滅したまへ そは我なんぢの僕なり
第百四十四篇
ダビデのうた
1戰することをわが手にをしへ 闘ふことをわが指にをしへたまふ わが磐ヱホバはほむべきかな
2ヱホバはわが仁慈わが城なり わがたかき櫓われをすくひたまふ者なり わが盾わが依賴むものなり ヱホバはわが民をわれにしたがはせたまふ
3ヱホバよ人はいかなる者なれば之をしり 人の子はいかなる者なれば之をみこころに記たまふや
4人は氣息にことならず その存らふる日はすぎゆく影にひとし
5ヱホバよねがはくはなんぢの天をたれてくだり 手を山につけて煙をたたしめたまへ
6電光をうちいだして彼等をちらし なんぢの矢をはなちてかれらを敗りたまへ
7上より手をのべ我をすくひて 大水より外人の手よりたすけいだしたまへ
8かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり
9神よわれ汝にむかひて新らしき歌をうたひ 十絃の琴にあはせて汝をほめうたはん
10なんぢは王たちに救をあたへ 僕ダビデをわざはひの劍よりすくひたまふ神なり
11ねがはくは我をすくひて外人の手よりたすけいだしたまへ かれらの口はむなしき言をいひ その右の手はいつはりのみぎの手なり
12われらの男子はとしわかきとき育ちたる草木のごとくわれらの女子は宮のふりにならひて刻みいだしし隅の石のごとくならん
13われらの倉はみちたらひてさまざまのものをそなへ われらの羊は野にて千萬の子をうみ
14われらの牡牛はよく物をおひ われらの衢にはせめいることなく亦おしいづることなく叫ぶこともなからん
15かかる状の民はさいはひなり ヱホバをおのが神とする民はさいはひなり
第百四十五篇
ダビデの讃美のうた
1わがかみ王よわれ汝をあがめ 世かぎりなく聖名をほめまつらん
2われ日ごとに汝をほめ世々かぎりなく聖名をはめたたへん
3ヱホバは大にましませば最もほむべきかな その大なることは尋ねしることかたし
4この代はかの代にむかひてなんぢの事跡をほめたたへ なんぢの大能のはたらきを宣つたへん
5われ汝のほまれの榮光ある稜威となんぢの奇しきみわざとを深くおもはん
6人はなんぢのおそるべき動作のいきほひをかたり 我はなんぢの大なることを宣つたへん
7かれらはなんぢの大なる惠の跡をいひいで なんぢの義をほめうたはん
8ヱホバは惠ふかく憐憫みち また怒りたまふことおそく憐憫おほいなり
9ヱホバはよろづの者にめぐみあり そのふかき憐憫はみわざの上にあまねし
10ヱホバよ汝のすべての事跡はなんぢに感謝し なんぢの聖徒はなんぢをほめん
11かれらは御國のえいくわうをかたり汝のみちからを宣つたへて
12その大能のはたらきとそのみくにの榮光あるみいづとを人の子輩にしらすべし
13なんぢの國はとこしへの國なり なんぢの政治はよろづ代にたゆることなし
14ヱホバはすべて倒れんとする者をささへ かがむものを直くたたしめたまふ
15よろづのものの目はなんぢを待 なんぢは時にしたがひてかれらに糧をあたへ給ふ
16なんぢ手をひらきてもろもろの生るものの願望をあかしめたまふ
17ヱホバはそのすべての途にただしく そのすべての作爲にめぐみふかし
18すべてヱホバをよぶもの 誠をもて之をよぶものに ヱホバは近くましますなり
19ヱホバは己をおそるるものの願望をみちたらしめ その號呼をききて之をすくひたまふ
20ヱホバはおのれを愛しむものをすべて守りたまへど 惡者をことごとく滅したまはん
21わが口はヱホバの頌美をかたり よろづの民は世々かぎりなくそのきよき名をほめまつるべし
第百四十六篇
1ヱホバを讃稱へよ わがたましひよヱホバをほめたたへよ
2われ生るかぎりはヱホバをほめたたへ わがながらふるほどはわが神をほめうたはん
3もろもろの君によりたのむことなく 人の子によりたのむなかれ かれらに助あることなし
4その氣息いでゆけばかれ土にかへる その日かれがもろもろの企圖はほろびん
5ヤコブの神をおのが助としその望をおのが神ヱホバにおくものは福ひなり
6此はあめつちと海とそのなかなるあらゆるものを造り とこしへに眞實をまもり
7虐げらるるもののために審判をおこなひ 饑ゑたるものに食物をあたへたまふ神なり ヱホバはとらはれたる人をときはなちたまふ
8ヱホバはめしひの目をひらき ヱホバは屈者をなほくたたせ ヱホバは義しきものを愛しみたまふ
9ヱホバは他邦人をまもり 孤子と寡婦とをささへたまふ されど惡きものの徑はくつがへしたまふなり
10ヱホバはとこしへに統治めたまはん シオンよなんぢの神はよろづ代まで統治めたまはん ヱホバをほめたたへよ
第百四十七篇
1ヱホバをほめたたへよ われらの神をほめうたふは善ことなり樂しきことなり 稱へまつるはよろしきに適へり
2ヱホバはヱルサレムをきづきイスラエルのさすらへる者をあつめたまふ
3ヱホバは心のくだけたるものを醫しその傷をつつみたまふ
4ヱホバはもろもろの星の數をかぞへてすべてこれに名をあたへたまふ
5われらの主はおほいなりその能力もまた大なりその智慧はきはまりなし
6ヱホバは柔和なるものをささへ惡きものを地にひきおとし給ふ
7ヱホバに感謝してうたへ琴にあはせてわれらの神をほめうたヘ
8ヱホバは雲をもて天をおほひ地のために雨をそなへ もろもろの山に草をはえしめ
9くひものを獣にあたへ並なく小鴉にあたへたまふ
10ヱホバは馬のちからを喜びたまはず 人の足をよみしたまはず
11ヱホバはおのれを畏るるものと おのれの憐憫をのぞむものとを好したまふ
12ヱルサレムよヱホバをほめたたへよ シオンよなんぢの神をほめたたへよ
13ヱホバはなんぢの門の關木をかたうし 汝のうちなる子輩をさきはひ給ひたればなり
14ヱホバは汝のすべての境にやはらぎをあたへ いと嘉麥をもて汝をあかしめたまふ
15ヱホバはそのいましめを地にくだしたまふ その聖言はいとすみやかにはしる
16ヱホバは雪をひつじの毛のごとくふらせ霜を灰のごとくにまきたまふ
17ヱホバは氷をつちくれのごとくに擲ちたまふ たれかその寒冷にたふることをえんや
18ヱホバ聖言をくだしてこれを消し その風をふかしめたまへばもろもろの水はながる
19ヱホバはそのみことばをヤコブに示し そのもろもろの律法とその審判とをイスラエルにしめしたまふ
20ヱホバはいづれの國をも如此あしらひたまひしにあらず ヱホバのもろもろの審判をかれらはしらざるなり ヱホバをほめたたへよ
第百四十八篇
1ヱホバをほめたたへよ もろもろの天よりヱホバをほめたたへよ もろもろの高所にてヱホバをほめたたへよ
2その天使よみなヱホバをほめたたへよ その萬軍よみなヱホバをほめたたへよ
3日よ月よヱホバをほめたたへよ ひかりの星よみなヱホバをほめたたへよ
4もろもろの天のてんよ 天のうへなる水よ ヱホバをほめたたへよ
5これらはみなヱホバの聖名をほめたたふべし そはヱホバ命じたまひたればかれらは造られたり
6ヱホバまた此等をいやとほながに立たまひたり 又すぎうすまじき詔命をくだしたまへり
7龍よ すべての淵よ地よりヱホバをほめたたへよ
8火よ霰よ雪よ霧よみことばにしたがふ狂風よ
9もろもろの山もろもろのをか實をむすぶ樹すべての香柏よ
10獣もろもろの牲畜はふもの翼ある鳥よ
11地の王たち もろもろのたみ 地の諸侯よ 地のもろもろの審士よ
12少きをのこ 若きをみな 老たる人 をさなきものよ
13みなヱホバの聖名をほめたたふべし その聖名はたかくして類なく そのえいくわうは地よりも天よりもうへにあればなり
14ヱホバはその民のために一つの角をあげたまへり こはそもろもろの聖徒のほまれ ヱホバにちかき民なるイスラエルの子輩のほまれなり ヱホバを讃稱へよ
第百四十九篇
1ヱホバをほめたたへよ ヱホバに對ひてあたらしき歌をうたへ 聖徒のつどひにてヱホバの頌美をうたへ
2イスラエルはおのれを造りたまひしものをよろこび シオンの子輩は己が王のゆゑによりて樂しむべし
3かれらをどりつつその聖名をほめたたへ 琴鼓にてヱホバをほめうたべし
4ヱホバはおのが民をよろこび 救にて柔和なるものを美しくしたまへばなり
5聖徒はえいくわうの故によりてよろこび その寝牀にてよろこびうたふべし
6その口に神をほむるうたあり その手にもろはの劍あり
7こはもろもろの國に仇をかへし もろもろの民をつみなひ
8かれらの王たちを鏈にてかれらの貴人をくろかねの械にていましめ
9録したる審判をかれらに行ふべきためなり 斯るほまれはそのもろもろの聖徒にあり ヱホバをほめたたへよ
第百五十篇
1ヱホバをほめたたへよ その聖所にて神をほめたたへよ その能力のあらはるる穹蒼にて神をほめたたへよ
2その大能のはたらきのゆゑをもて神をほめたたへよ その秀ておほいなることの故によりてヱホバをほめたたへよ
3ラッパの聲をもて神をほめたたへよ 筝と琴とをもて神をほめたたへよ
4つづみと蹈舞とをもて神をほめたたへよ 絃簫をもて神をほめたたへよ
5音のたかき鐃鈸をもて神をほめたたへよ なりひびく鐃鈸をもて神をほめたたへよ
6氣息あるものは皆ヤハをほめたたふべし なんぢらヱホバをほめたたへよ