詩篇

第一篇

1(あし)きものの謀略(はかりごと)にあゆまず つみびとの(みち)にたたず (あざけ)るものの()にすわらぬ(もの)はさいはひなり 2かかる(ひと)はヱホバの(のり)をよろこびて(ひる)(よる)もこれをおもふ 3かかる(ひと)水流(ながれ)のほとりにうゑし()(とき)にいたりて()をむすび ()もまた(しぼ)まざるごとく その(なす)ところ(みな)さかえん 4あしき(ひと)はしからず (かぜ)のふきさる粃糠(もみがら)のごとし 5(され)ばあしきものは審判(さばき)にたへず罪人(つみびと)(ただし)きものの(つどひ)にたつことを()ざるなり 6そはヱホバはただしきものの(みち)をしりたまふ されど(あし)きものの(みち)はほろびん

第二篇

1(いか)なればもろもろの國人(くにびと)はさわぎたち諸民(たみら)はむなしきことを(はか)るや 2()のもろもろの(わう)はたちかまへ群伯(をさら)はともに(はか)り ヱホバとその受膏者(じゆかうじや)とにさからひていふ 3われらその(かせ)をこぼち その(なは)をすてんと 4(てん)()するもの(わら)ひたまはん (しゆ)かれらを(あざけ)りたまふべし 5かくて(しゆ)忿恚(いきどほり)をもてものいひ(おほい)なる(いかり)をもてかれらを(おぢ)まどはしめて宣給(のたま)6しかれども(われ)わが(わう)をわがきよきシオンの(やま)にたてたりと 7われ詔命(みことのり)をのべんヱホバわれに(のた)まへり なんぢはわが()なり今日(けふ)われなんぢを(うめ)8われに(もと)めよ さらば(なんぢ)にもろもろの(くに)嗣業(ゆづり)としてあたへ()(はて)をなんぢの(もの)としてあたへん 9(なんぢ)くろがねの(つゑ)をもて彼等(かれら)をうちやぶり陶工(すゑつくり)のうつはもののごとくに(うち)(くだ)かんと 10されば汝等(なんぢら)もろもろの(わう)よ さとかれ()審士(さばきびと)()をしへをうけよ 11(おそれ)をもてヱホバにつかへ戰慄(をののき)をもてよろこべ 12()にくちつけせよ おそらくはかれ(いかり)をはなちなんぢら(みち)にほろびんその忿恚(いきどほり)はすみやかに(もゆ)べければなり すべてかれに依賴(よりたの)むものは(さいは)ひなり

第三篇

ダビデその()アブサロムを(さけ)しときのうた
1ヱホバよ(われ)にあたする(もの)のいかに蔓延(はびこ)れるや (われ)にさからひて(おこ)りたつもの(おほ)2わが霊魂(たましひ)をあげつらひて かれは(かみ)にすくはるることなしといふ(もの)ぞおほきセラ 3されどヱホバよ なんぢは(われ)をかこめる(たて)わが(さかえ)わが(かうべ)をもたげ(たま)ふものなり 4われ(こゑ)をあげてヱホバによばはればその聖山(きよきやま)より(われ)にこたへたまふセラ 5われ()していね また()さめたり ヱホバわれを(ささ)へたまへばなり 6われをかこみて(たち)かまへたる千萬(ちよろづ)(ひと)をも(われ)はおそれじ 7ヱホバよねがはくは(おき)たまへ わが(かみ)よわれを(すく)ひたまへ なんぢ(さき)にわがすべての(あた)頬骨(つらぼね)をうち(あし)きものの()ををりたまへり 8(すくひ)はヱホバにあり ねがはくは恩惠(みめぐみ)なんぢの(たみ)のうへに(あら)んことをセラ

第四篇

(こと)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデの(うた)
1わが()をまもりたまふ(かみ)よ ねがはくはわが(よばは)るときに(こた)へたまへ わがなやみたる(とき)なんぢ(われ)をくつろがせたまへり ねがはくは(われ)をあはれみ わが(いのり)をききたまへ 2(ひと)()よなんぢらわが(さかえ)をはぢしめて(いく)何時(そのとき)をへんとするか なんぢらむなしき(こと)をこのみ虚偽(いつはり)をしたひていくそのときを()んとするかセラ 3(され)どなんぢら()れ ヱホバは(かみ)をうやまふ(ひと)をわかちて(おのれ)につかしめたまひしことを われヱホバによばはらば(きき)たまはん 4なんぢら(つつし)みをののきて(つみ)ををかすなかれ 臥床(ふしど)にておのが(こころ)にかたりて(もだ)セラ 5なんぢら()のそなへものを(ささげ)てヱホバに依賴(よりたの)6おほくの(ひと)はいふたれか嘉事(よきこと)をわれらに()するものあらんやと ヱホバよねがはくは聖顔(みかほ)(ひかり)をわれらの(うへ)にのぼらせたまへ 7なんぢのわが(こころ)にあたへたまひし歓喜(よろこび)はかれらの穀物(たなつもの)(さけ)との(ゆた)かなる(とき)にまさりき 8われ安然(やすらか)にして(ふし)またねぶらん ヱホバよわれを(ひとり)にて坦然(たひらか)にをらしむるものは(なんぢ)なり

第五篇

(ふえ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよねがはくは()がことばに(みみ)をかたむけ わが(おもひ)にみこころを(とめ)たまへ 2わが(わう)よわが(かみ)よ わが號呼(さけび)のこゑをききたまへ われ(なんぢ)にいのればなり 3ヱホバよ(あした)になんぢわが(こゑ)をききたまはん (われ)あしたになんぢの(ため)にそなへして(まち)(のぞ)むべし 4なんぢは(あし)きことをよろこびたまふ(かみ)にあらず (あしき)(ひと)はなんぢの賓客(まらうど)たるを()ざるなり 5たかぶる(もの)はなんぢの目前(めのまへ)にたつをえず なんぢはすべて邪曲(よこしま)をおこなふものを(にく)みたまふ 6なんぢは虚偽(いつはり)をいふ(もの)をほろぼしたまふ ()をながすものと詭計(いつはり)をなすものとは ヱホバ(にく)みたまふなり 7(され)どわれは(ゆた)かなる仁慈(みいつくしみ)によりてなんぢの(いへ)にいらん われ(なんぢ)をおそれつつ(きよき)(みや)にむかひて(をが)まん 8ヱホバよ(ねがは)くはわが(あた)のゆゑになんぢの()をもて(われ)をみちびき なんぢの(みち)をわが(まへ)になほくしたまへ 9かれらの(くち)には眞實(まこと)なく その(うち)はよこしま その(のど)はあばける(はか) その(した)はへつらひをいへばなり 10(かみ)よねがはくはかれらを(つみ)なひ その謀略(はかりごと)によりてみづから(たふ)れしめ その(とが)のおほきによりて(これ)をおひいだしたまへ かれらは(なんぢ)にそむきたればなり 11されど(すべ)てなんぢに依賴(よりたの)(もの)をよろこばせ永遠(とこしへ)によろこびよばはらせたまへ なんぢ(かか)(ひと)をまもりたまふなり (みな)をいつくしむ(もの)にもなんぢによりて歓喜(よろこび)をえしめたまへ 12ヱホバよなんぢに義者(ただしきもの)にさいはひし(たて)のごとく恩惠(めぐみ)をもて(これ)をかこみたまはん

第六篇

八音(やつのね)ある(こと)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよねがはくは忿恚(いきどほり)をもて(われ)をせめ(はげ)しき(いかり)をもて(われ)をこらしめたまふなかれ 2ヱホバよわれを(あはれ)みたまへ われ(しぼ)みおとろふなり ヱホバよ(われ)(いや)したまへ わが(ほね)わななきふるふ 3わが霊魂(たましひ)さへも(いた)くふるひわななく ヱホバよかくて(いく)何時(そのとき)をへたまふや 4ヱホバよ(かへ)りたまへ わがたましひを(すく)ひたまへ なんぢの仁慈(いつくしみ)(ゆゑ)をもて(われ)をたすけたまへ 5そは()にありては(なんぢ)をおもひいづることなし 陰府(よみ)にありては(たれ)かなんぢに感謝(かんしや)せん 6われ歎息(なげき)にてつかれたり (われ)よなよな(とこ)をただよはせ(なみだ)をもてわが(ふすま)をひたせり 7わが()うれへによりておとろへ もろもろの(あた)ゆゑに(おい)8なんぢら邪曲(よこしま)をおこなふ(もの)ことごとく(われ)をはなれよ ヱホバはわが(なく)こゑをききたまひたり 9ヱホバわが懇求(ねがひ)をききたまへり ヱホバわが(いのり)をうけたまはん 10わがもろもろの(あた)ははぢて(おほい)におぢまどひ あわただしく(はぢ)てしりぞきぬ

第七篇

ベニヤミンの(ひと)クシの(ことば)につきダビデ、ヱホバに(むか)ひてうたへるシガヨンの(うた)
1わが(かみ)ヱホバよわれ(なんぢ)によりたのむ (ねがは)くはすべての(おひ)せまるものより(われ)をすくひ(われ)をたすけたまへ 2おそらくはかれ(しし)(ごと)くわが霊魂(たましひ)をかきやぶり(たすく)るものなき()にさきてずたずたに()3わが(かみ)ヱホバよ もしわれ此事(このこと)をなししならんには わが()によこしまの(まつは)りをらんには 4(ゆゑ)なく(あた)ずるものをさへ(たす)けしに禍害(わざはひ)をもてわが(とも)にむくいしならんには 5よし仇人(あだびと)わがたましひを(おひ)とらへ わが生命(いのち)をつちにふみにじりわが(さかえ)(ちり)におくとも その(なす)にまかせよセラ 6ヱホバよなんぢの(いかり)をもて(おき)わが(あた)のいきどほりにむかひて(たち)たまへ わがために()をさましたまへ なんぢは審判(さばき)をおほせ(いだ)したまへり 7もろもろの國人(くにびと)(つどひ)がなんぢのまはりに(つど)はしめ (その)(うへ)なる高座(たかみくら)にかへりたまへ 8ヱホバはもろもろの(たみ)にさばきを(おこな)ひたまふ ヱホバよわが正義(ただしき)とわが(うち)なる完全(またき)とにしたがひて(われ)をさばきたまへ 9ねがはくは(あし)きものの曲事(ひがわざ)をたちて(ただ)しきものを(かた)くしたまへ ただしき(かみ)(ひと)のこころと(むらと)とをさぐり(しり)たまふ 10わが(たて)をとるものは(こころ)のなほきものをすくふ(かみ)なり 11(かみ)はただしき審士(さばきびと)ひごとに忿恚(いきどほり)をおこしたまふ(かみ)なり 12(ひと)もしかへらずば(かみ)はその(つるぎ)をとぎ その(ゆみ)をはりてかまへ 13これに()(うつは)をそなへ その()()をそへたまはん 14()よその(ひと)はよこしまを(うま)んとしてくるしむ 殘害(そこなひ)をはらみ虚偽(いつはり)をうむなり 15また(あな)をほりてふかくし(おのれ)がつくれるその(みぞ)におちいれり 16その殘害(そこなひ)はおのが(かうべ)にかへり その強暴(あらび)はおのが頭上(いただき)にくだらん 17われその()によりてヱホバに感謝(かんしや)し いとたかきヱホバの(みな)をほめうたはん

第八篇

ギデトの(こと)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデの(うた)
1われらの(しゆ)ヱホバよなんぢの(みな)()にあまねくして(たふと)きかな その榮光(えいくわう)(てん)におきたまへり 2なんぢは嬰兒(をさなご)ちのみごの(くち)により(ちから)(もとゐ)をおきて(てき)にそなへたまへり こは仇人(あたびと)とうらみを(むくゆ)るものを鎭靜(おししづ)めんがためなり 3(われ)なんぢの(ゆび)のわざなる(てん)()なんぢの(まう)けたまへる(つき)(ほし)とをみるに 4世人(よのひと)はいかなるものなればこれを聖念(みこころ)にとめたまふや (ひと)()はいかなるものなればこれを(かへり)みたまふや 5(ただ)すこしく(ひと)(かみ)よりも(ひくく)つくりて(さかえ)尊貴(たふとき)とをかうぶらせ 6またこれに(みて)のわざを(をさ)めしめ萬物(よろづのもの)をその足下(あしのした)におきたまへり 7すべての(ひつじ)うしまた()(けもの) 8そらの(とり)うみの(うを)もろもろの海路(うみぢ)をかよふものをまで(みな)しかなせり 9われらの(しゆ)ヱホバよなんぢの(みな)()にあまねくして(たふと)きかな

第九篇

ムツラベン(調子(てうし)())にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1われ(こころ)をつくしてヱホバに感謝(かんしや)し そのもろもろの(くす)しき事迹(みわざ)をのべつたへん 2われ(なんぢ)によりてたのしみ(かつ)よろこばん 至上者(いとたかきもの)よなんぢの(みな)をほめうたはん 3わが(あた)しりぞくとき(つまづ)きたふれて御前(みまへ)にほろぶ 4なんぢわが()とわが(うたへ)とをまもりたまへばなり なんぢはだしき審判(さばき)をしつつ寳座(みくら)にすわりたまへり 5またもろもろの(くに)をせめ(あし)きものをほろぼし 世々(よよ)かぎりなくかれらが()をけしたまへり 6(あた)はたえはてて世々(よよ)あれすたれたり (なんぢ)のくつがへしたまへるもろもろの(まち)はうせてその(あと)だにもなし 7ヱホバはとこしへに聖位(みくらゐ)にすわりたまふ 審判(さばき)のためにその寳座(みくら)をまうけたまひたり 8ヱホバは公義(ただしき)をもて()をさばき (なほき)をもてもろもろの(たみ)審判(さばき)をおこなひたまはん 9ヱホバは(しへた)げらるるものの(しろ)また(なや)みのときの(しろ)なり 10聖名(みな)をしるものはなんぢに依賴(よりたのま)ん そはヱホバよなんぢを(たづぬ)るものの(すて)られしこと(たえ)てなければなり 11シオンに(すみ)たまふヱホバに(むか)ひてほめうたへ その事迹(みわざ)をもろもろの(たみ)のなかにのべつたへよ 12()(とひ)(ただ)したまふものは(くる)しむものを(こころ)にとめてその號呼(さけび)をわすれたまはず 13ヱホバよ(われ)をあはれみたまへ われを()(もん)よりすくひいだしたまへる(もの)よ ねがはくは仇人(あたびと)のわれを(なや)むるを()たまへ 14さらば(われ)なんぢのすべての頌美(ほまれ)をのぶるを()またシオンのむすめの(もん)にてなんぢの(すくひ)をよろこばん 15もろもろの國民(くにびと)はおのがつくれる(あな)におちいり そのかくしまうけたる(あみ)におのが(あし)をとらへらる 16ヱホバは(おのれ)をしらしめ審判(さばき)をおこなひたまへり あしき(ひと)はおのが()のわざなる(わな)にかかれり ヒガイオン セラ 17あしき(ひと)陰府(よみ)にかへるべし (かみ)をわするるもろもろの國民(くにびと)もまたしからん 18貧者(まづしきもの)はつねに(わすれ)らるるにあらず(くる)しむものの(のぞみ)はとこしへに(ほろ)ぶるにあらず 19ヱホバよ(おき)たまへ ねがはくは(かち)(ひと)にえしめたまふなかれ御前(みまへ)にてもろもろのくにびとに審判(さばき)をうけしめたまヘ 20ヱホバよ(ねがは)くはかれらに(おそれ)をおこさしめたまへ もろもろの國民(くにびと)におのれただ(ひと)なることを(しら)しめたまヘセラ

第十篇

1ああヱホバよ(なん)ぞはるかに(たち)たまふや なんぞ患難(なやみ)のときに(かく)れたまふや 2あしき(ひと)はたかぶりて(くる)しむものを(はなは)だしくせむ かれらをそのくはだての謀略(はかりごと)にとらはれしめたまへ 3あしきひとは(おの)がこころの欲望(ねがひ)をほこり(むさぼ)るものを(しゆく)してヱホバをかろしむ 4あしき(ひと)はほこりかにいふ (かみ)はさぐりもとむることをせざるなりと (すべ)てそのおもひに(かみ)なしとせり 5かれの(みち)はつねに(かた)く なんぢの審判(さばき)はその()よりはなれてたかし (かれ)はそのもろもろの(てき)をくちさきらにて()6かくて(おの)がこころの(うち)にいふ (われ)うごかさるることなく世々(よよ)われに禍害(わざはひ)なかるべしと 7その(くち)にはのろひと虚偽(いつはり)としへたげとみち その(した)のしたには殘害(そこなひ)とよこしまとあり 8かれは村里(むらざと)のかくれたる(ところ)にをり(しのび)やかなるところにて(つみ)なきものをころす その()はひそかに倚仗(よるべ)なきものをうかがひ 9(ほら)にをる(しし)のごとく(ひそ)みまち(くる)しむものをとらへんために(ふし)ねらひ (まづ)しきものをその(あみ)にひきいれてとらふ 10また()をかがめて(うづく)まるその強勁(ちから)によりて依仗(よるべ)なきものは(たふ)11かれ(こころ)のうちにいふ (かみ)はわすれたり(かみ)はその(かほ)をかくせり(かみ)はみることなかるべしと 12ヱホバよ(おき)たまへ (かみ)(みて)をあげたまへ (くる)しむものを(わす)れたまふなかれ 13いかなれば(あし)きもの(かみ)をいやしめて(こころの)(うち)になんぢ(さぐり)(もと)むることをせじといふや 14なんぢは()たまへりその殘害(そこなひ)怨恨(うらみ)とを()てこれに(みて)をくだしたまへり 倚仗(よるべ)なきものは()をなんぢに(ゆだ)ぬ なんぢは(むか)しより孤子(みなしご)をたすけたまふ(もの)なり 15ねがはくは(あし)きものの(かひな)ををりたまへあしきものの(あしき)(わざ)(ひと)つだにのこらぬまでに(たづね)(いだ)したまへ 16ヱホバはいやとほながに(わう)なり もろもろの國民(くにびと)はほろびて(かみ)(くに)より(あと)をたちたり 17ヱホバよ(なんぢ)はくるしむものの懇求(ねがひ)をききたまへり その(こころ)をかたくしたまはん なんぢは(みみ)をかたぶけてきき 18孤子(みなしご)(しへた)げらる(もの)とのために審判(さばき)をなし()につける(ひと)にふたたび恐嚇(おびやかし)をもちひざらしめ(たま)はん

第十一篇

うたのかみに(うた)はしめたるダビデのうた
1われヱホバに依賴(よりたの)めり なんぢら(なん)ぞわが霊魂(たましひ)にむかひて(とり)のごとくなんぢの(やま)にのがれよといふや 2()よあしきものは暗處(くらき)にかくれ(こころ)なほきものを()んとて(ゆみ)をはり(つる)()をつがふ 3(もとゐ)みなやぶれたらんには義者(ただしきもの)なにをなさんや 4ヱホバはその聖宮(きよきみや)にいます ヱホバの寳座(みくら)(てん)にありその()はひとのこを() その眼瞼(まぶた)はかれらをこころみたまふ 5ヱホバは義者(ただしきもの)をこころむ そのみこころは(あし)きものと強暴(あらび)をこのむ(もの)とをにくみ 6(わな)をあしきもののうへに(ふら)したまはん()硫磺(いわう)ともゆる(かぜ)とはかれらの酒杯(さかづき)にうくべきものなり 7ヱホバはただしき(もの)にして(ただし)きことを(あい)したまへばなり (なほ)きものはその聖顔(みかほ)をあふぎみん

第十二篇

八音(やつのね)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ああヱホバよ(たす)けたまへ そは(かみ)をうやまふ(ひと)はたえ(まこと)あるものは(ひと)()のなかより消失(きえうす)るなり 2(ひと)はみな虚偽(いつはり)をもてその(となり)とあひかたり(なめら)なるくちびると貳心(ふたごころ)とをもてものいふ 3ヱホバはすべての(なめら)なるくちびると(おほい)なる(こと)をかたる(した)とをほろぼし(たま)はん 4かれらはいふ われら(した)をもて(かち)をえん この口唇(くちびる)はわがものなり(たれ)かわれらに(しゆ)たらんやと 5ヱホバのたまはく (くる)しむもの(かす)められ(まづ)しきもの(なげ)くがゆゑに(われ)いま(たち)てこれをその(した)ひもとむる平安(やすき)におかん 6ヱホバの(ことば)はきよきことばなり ()にまうけたる()にてねり七次(ななたび)きよめたる白銀(しろかね)のごとし 7ヱホバよ(なんぢ)はかれらをまもり(これ)をたすけてとこしへにこの(たぐひ)より(まぬか)れしめたまはん 8(ひと)()のなかに(けが)しきことの(あが)めらるるときは惡者(あしきもの)ここやかしこにあるくなり

第十三篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ああヱホバよ かくて(いく)何時(そのとき)をへたまふや (なんぢ)とこしへに(われ)をわすれたまふや 聖顔(みかほ)をかくしていくそのときを()たまふや 2われ(こころ)のうちに終日(ひねもす)かなしみをいだき(おもひ)(はかり)をたましひに(もち)ひて(いく)何時(そのとき)をふべきか わが(あた)はわがうへに(あが)められて(いく)何時(そのとき)をふべきか 3わが(かみ)ヱホバよ(われ)をかへりみて(こたへ)をなしたまへ わが()をあきらかにしたまへ (おそ)らくはわれ()(ねぶり)につかん 4おそらくはわが(あた)いはん (われ)かれに(かて)りと おそらくはわが(てき)わがうごかさるるによりて(よろこ)ばん 5されど(われ)はなんぢの憐憫(あはれみ)によりたのみ わが(こころ)はなんぢの(すくひ)によりてよろこばん 6ヱホバはゆたかに(われ)をあしらひたまひたれば われヱホバに(むか)ひてうたはん

第十四篇

うたのかみに(うた)はしめたるダビデのうた
1(おろか)なるものは(こころ)のうちに(かみ)なしといへり かれらは(くさ)れたり かれらは(にく)むべき(こと)をなせり (ぜん)をおこなふ(もの)なし 2ヱホバ(てん)より(ひと)()をのぞみみて(さと)るもの(かみ)をたづぬる(もの)ありやと()たまひしに 3みな(そむ)きいでてことごとく(くさ)れたり (ぜん)をなすものなし一人(ひとり)だになし 4不義(ふぎ)をおこなふ(もの)はみな智覺(さとり)なきか かれらは(もの)くふごとくわが(たみ)をくらひ またヱホバをよぶことをせざるなり 5()よかかる(とき)かれらは(おほい)におそれたり (かみ)はただしきものの(たぐひ)のなかに(いま)せばなり 6なんぢらは(くる)しめるものの謀略(はかりごと)をあなどり(はづ)かしむ されどヱホバはその避所(さけどころ)なり 7ねがはくはシオンよりイスラエルの(すくひ)のいでんことを ヱホバその(たみ)のとらはれたるを(かへ)したまふときヤコブはよろこびイスラエルは(たのし)まん

第十五篇

ダビデのうた
1ヱホバよなんぢの帷幄(あけばり)のうちにやどらん(もの)はたれぞ なんぢの聖山(きよきやま)にすまはんものは(たれ)2(なほ)くあゆみ()をおこなひ そのこころに眞實(まこと)をいふものぞその(ひと)なる 3かかる(ひと)(した)をもてそしらず その(とも)をそこなはず またその(となり)をはぢしむる(ことば)をあげもちひず 4(あく)にしづめるものを()ていとひかろしめ ヱホバをおそるるものをたふとび (ちか)ひしことはおのれに禍害(わざはひ)となるも(かふ)ることなし 5(たから)をかして(すぎ)たる()をむさぼらず 賄賂(まひなひ)をいれて無辜(つみなきもの)をそこなはざるなり (かか)ることどもを(おこな)ふものは永遠(とこしへ)にうごかさるることなかるべし

第十六篇

ダビデがミクタムの(うた)
1(かみ)よねがはくは(われ)(まも)りたまへ (われ)なんぢに依賴(よりたの)2われヱホバにいへらくなんぢはわが(しゆ)なり なんぢのほかにわが福祉(さいはひ)はなしと 3()にある聖徒(せいと)はわが(きは)めてよろこぶ(すぐ)れしものなり 4ヱホバにかへて他神(あだしかみ)をとるものの悲哀(かなしみ)はいやまさん (われ)かれらがささぐる()御酒(みき)をそそがず その()(くち)にとなふることをせじ 5ヱホバはわが嗣業(ゆづり)またわが酒杯(さかづき)にうくべき(もの)なり なんぢはわが所領(しよりやう)をまもりたまはん 6準繩(はかりなは)はわがために(たの)しき()におちたり (うべ)われよき嗣業(ゆづり)をえたるかな 7われは訓諭(さとし)をさづけたまふヱホバをほめまつらん ()はわが(こころ)われををしふ 8われ(つね)にヱホバをわが(まへ)におけり ヱホバわが(みぎ)にいませばわれ(うご)かさるることなかるべし 9このゆゑにわが(こころ)はたのしみ わが(さかえ)はよろこぶ わが()もまた平安(やすき)にをらん 10そは(なんぢ)わがたましひを陰府(よみ)にすておきたまはず なんぢの聖者(せいしや)(はか)のなかに(くち)しめたまはざる(べけ)ればなり 11なんぢ生命(いのち)(みち)をわれに(しめ)したまはん なんぢの(みまへ)には充足(みちたれ)るよろこびあり なんぢの(みぎ)にはもろもろの快樂(たのしみ)とこしへにあり

第十七篇

ダビデの祈祷(いのり)
1ああヱホバよ公義(ただしき)をききたまへ わが(なく)(こゑ)にみこころをとめたまへ いつはりなき口唇(くちびる)よりいづる()がいのりに(みみ)をかたぶけたまへ 2ねがはくはわが宣告(せんこく)みまへよりいでてなんぢの()公平(こうへい)をみたまはんことを 3なんぢわが(こころ)をこころみ また(よる)われにのぞみたまへり (かく)てわれを(ただ)したまへど(われ)になにの(あしき)(おもひ)あるをも()(いで)たまはざりき わが(くち)はつみを(をか)すことなからん 4(ひと)行爲(おこなひ)のことをいはば(われ)なんぢのくちびるの(ことば)によりて(あらく)るものの(みち)をさけたり 5わが(あゆみ)はかたくなんぢの(みち)にたちわが(あし)はよろめくことなかりき 6(かみ)よなんぢ(われ)にこたへたまふ (われ)なんぢをよべり ねがはくは(なんぢ)(みみ)をかたぶけてわが(のぶ)るところをききたまへ 7なんぢに依賴(よりたの)むものを(みぎの)()をもて(あた)するものより(すく)ひたまふ(もの)よ ねがはくはなんぢの(たへ)なる仁慈(いつくしみ)をあらはしたまへ 8(ねがは)くはわれを(ひとみ)のごとくにまもり(なんぢ)のつばさの(かげ)にかくし 9(われ)をなやむるあしき(もの)また(われ)をかこみてわが(いのち)をそこなはんとする(あた)よりのがれしめ(たま)10かれらはおのが(こころ)をふさぎ その(くち)をもて(ほこり)かにものいへり 11いづこにまれ(ゆく)ところにてわれらを(うち)(かこ)み われらを()にたふさんと()をとむ 12かれは(かき)(さか)んといらだつ(しし)のごとく(しのび)やかなるところに(ひそ)みまつ(わか)(しし)のごとし 13ヱホバよ(たち)たまへ ねがはくはかれに(たち)(むか)ひてこれをたふし御劍(みつるぎ)をもて(あし)きものよりわが霊魂(たましひ)をすくひたまへ 14ヱホバよ(みて)をもて(ひと)より(われ)をたすけいだしたまへ おのがうくべき(もの)をこの()にてうけ (なんぢ)のたからにてその(はら)をみたさるる世人(よのひと)より(われ)をたすけいだし(たま)へ かれらはおほくの()にあきたり その(とみ)ををさなごに(のこ)15されどわれは()にありて聖顔(みかほ)をみ()さむるとき容光(みかたち)をもて(あき)()ることをえん

第十八篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるヱホバの(しもべ)ダビデの(うた)、このうたの(ことば)はもろもろの(あた)およびサウルの()より(すくひ)れしときヱホバに(むか)ひてうたへるなり (いは)
1ヱホバわれの(ちから)よ われ(せち)になんぢを(いつく)しむ 2ヱホバはわが(いはほ) わが(しろ) われをすくふ(もの) わがよりたのむ(かみ) わが堅固(けんご)なるいはほ わが(たて) わがすくひの(つの) わがたかき(やぐら)なり 3われ(ほめ)(たた)ふべきヱホバをよびて仇人(あたびと)よりすくはるることをえん 4()のつな(われ)をめぐり(あく)のみなぎる(ながれ)われをおそれしめたり 5陰間(よみ)のなは(われ)をかこみ()のわな(われ)にたちむかへり 6われ窮苦(なやみ)のうちにありてヱホバをよび(また)わが(かみ)にさけびたり ヱホバはその(みや)よりわが(こゑ)をききたまふ その(みまへ)にてわがよびし(こゑ)はその(みみ)にいれり 7このときヱホバ(いか)りたまひたれば()はふるひうごき(やま)(もとゐ)はゆるぎうごきたり 8(けぶり)その(はな)よりたち()その(くち)よりいでてやきつくし(すみ)はこれがために(もえ)あがれり 9ヱホバは(てん)をたれて(くだ)りたまふ その(みあし)(した)はくらきこと(はなは)だし 10かくてケルブに()りてとび(かぜ)のつばさにて(かけ)11(やみ)をおほひとなし(みづ)のくらきとそらの密雲(くろくも)とをそのまはりの(まく)となしたまへり 12そのみまへの光輝(かがやき)よりくろくもをへて(へう)ともえたる(すみ)とふりきたれり 13ヱホバは(てん)雷鳴(いかづち)をとどろかせたまへり 至上者(いとたかきもの)のこゑいでて(へう)ともえたる(すみ)とふりきたり 14ヱホバ()をとばせてかれらを(うち)ちらし(かず)しげき電光(いなづま)をはなちてかれらをうち(やぶ)りたまへり 15ヱホバよ(かか)るときになんぢの叱咤(しつた)となんぢの(はな)のいぶきとによりて(みづ)の底みえ()(もとゐ)あらはれいでたり 16ヱホバはたかきより()をのべ(われ)をとりて大水(おほみづ)よりひきあげ 17わがつよき(あた)とわれを(にく)むものとより(われ)をたすけいだしたまへり かれらは(われ)にまさりて(いと)(つよ)かりき 18かれらはわが災害(わざはひ)()にせまりきたれり (され)どヱホバはわが支柱となりたまひき 19ヱホバはわれを(よろこ)びたまふがゆゑにわれをたづさへ(ひろき)(ところ)にだして(たす)けたまへり 20ヱホバはわが正義(ただしき)にしたがひて恩賜(たまもの)をたまひ わが()のきよきにしたがひて報賞(むくい)をたれたまへり 21われヱホバの(みち)をまもり(あく)をなしてわが(かみ)よりはなれしことなければなり 22そのすべての審判(さばき)はわがまへにありて われその律法(おきて)をすてしことなければなり 23われ(かみ)にむかひて(かく)るところなく(おのれ)をまもりて不義(ふぎ)をはなれたり 24この(ゆゑ)にヱホバはわがただしきとその目前(めのまへ)にわが()のきよきとにしたがひて(われ)にむくいをなし(たま)へり 25なんぢ憐憫(あはれみ)あるものには(あはれ)みあるものとなり完全(またき)ものには(また)きものとなり 26きよきものには(きよ)きものとなり(ひが)むものにはひがむ(もの)となりたまふ 27そは(なんぢ)くるしめる(たみ)をすくひたまへど(たか)ぶる()をひくくしたまふ(べけ)ればなり 28なんぢわが燈火(ともしび)をともし(たま)ふべければなり わが(かみ)ヱホバわが(くらき)をてらしたまはん 29(われ)なんぢによりて(いくさ)(なか)をはせとほり わが(かみ)によりて(かき)ををどりこゆ 30(かみ)はしもその(みち)またくヱホバの(ことば)はきよし ヱホバはすべて依賴(よりたの)むものの(たて)なり 31そはヱホバのほかに(かみ)はたれぞや われらの(かみ)のほかに(いはほ)はたれぞや 32(かみ)はちからをわれに(おば)しめ わが(みち)(また)きものとなしたまふ 33(かみ)はわが(あし)(めじか)のあしのごとくし(われ)をわが高處(たかきところ)にたたせたまふ 34(かみ)はわが()をたたかひにならはせてわが(かひな)銅弓(かなゆみ)をひくことを()しめたまふ 35(また)なんぢの(すくひ)(たて)をわれにあたへたまへり なんぢの右手(みぎのて)われをささへなんぢの謙卑(へりくだり)われを(おほい)ならしめたまへり 36なんぢわが(あゆ)むところを寛濶(ひろらか)ならしめたまひたれば わが(あし)ふるはざりき 37われ(あた)をおひてこれに追及(おひしき)かれらのほろぶるまでは(かへ)ることをせじ 38われかれらを(うち)てたつことを()ざらしめん かれらはわが(あし)(もと)にたふるべし 39そはなんぢ戰爭(たたかひ)のために(ちから)をわれに(おば)しめ われにさからひておこりたつ(もの)をわが(もと)にかがませたまひたればなり 40(われ)をにくむ(もの)をわが(ほろぼ)しえんがために(なんぢ)またわが(あた)(そびら)をわれにむけしめ(たま)へり 41かれら(さけ)びたれども(すく)ふものなく ヱホバに(むか)ひてさけびたれども(こた)へたまはざりき 42(われ)かれらを(かぜ)のまへの(ちり)のごとくに(つき)(くだ)き ちまたの(ひじ)のごとくに(うち)(すて)たり 43なんぢわれを(たみ)のあらそひより(たす)けいだし(われ)をたててもろもろの(くに)(をさ)となしたまへり わがしらざる(たみ)われにつかへん 44かれらわが(こと)をききて立刻(たちまち)われにしたがひ異邦人(ことくにびと)はきたりて(おもね)りつかへん 45ことくにびとは(おとろ)へてその(しろ)よりをののきいでん 46ヱホバは(いき)ていませり わが(いは)はほむべきかな わがすくひの(かみ)はあがむべきかな 47わがために(あた)をむくい異邦人(ことくにびと)をわれに(まつろ)はせたまふはこの(かみ)なり 48(かみ)はわれを(あた)よりすくひたまふ()になんぢは(われ)にさからひて(おこ)りたつ(もの)のうへに(われ)をあげ あらぶる(ひと)より(われ)をたすけいだし(たま)49この(ゆゑ)にヱホバよ われもろもろの國人(くにびと)のなかにてなんぢに感謝(かんしや)し なんぢの()をほめうたはん 50ヱホバはおほいなる(すくひ)をその(わう)にあたへ その受膏者(じゆかうじや)ダビデとその(すゑ)とに世々(よよ)かぎりなく憐憫(あはれみ)をたれたまふ

第十九篇

うたのかみに(うた)はしめたるダビデのうた
1もろもろの(てん)(かみ)のえいくわうをあらはし 穹蒼(おほぞら)はその(みて)のわざをしめす 2この()ことばをかの()につたへこのよ知識(ちしき)をかの()におくる 3(かた)らずいはずその(こゑ)きこえざるに 4そのひびきは全地(ぜんち)にあまねく そのことばは()のはてにまでおよぶ (かみ)はかしこに帷幄(あけばり)()のためにまうけたまへり 5()新婿(にひむこ)がいはひの殿(との)をいづるごとく勇士(ますらを)がきそひはしるをよろこぶに()たり 6そのいでたつや(てん)(はし)よりし その(めぐ)りゆくや(てん)のはてにいたる (もの)としてその和喣(あたたまり)をかうぶらざるはなし 7ヱホバの(のり)はまたくして霊魂(たましひ)をいきかへらしめ ヱホバの證詞(あかし)はかたくして(おろか)なるものを(さと)からしむ 8ヱホバの訓諭(さとし)はなほくして(こころ)をよろこばしめ ヱホバの誡命(いましめ)はきよくして(まなこ)をあきらかならしむ 9ヱホバを(かしこ)みおそるる(みち)はきよくして世々(よよ)にたゆることなく ヱホバのさばきは眞實(まこと)にしてことごとく(ただ)10これを黄金(こがね)にくらぶるもおほくの純精金(まじりなきこがね)にくらぶるも 彌増(いやまさ)りてしたふべく これを(みつ)にくらぶるも(はち)のすの滴瀝(したたり)にくらぶるもいやまさりて(あま)11なんぢの(しもべ)はこれらによりて儆戒(いましめ)をうく これらをまもらば(おおい)なる報賞(むくい)あらん 12たれかおのれの過失(あやまち)をしりえんや ねがはくは(われ)をかくれたる(とが)より解放(ときはな)ちたまへ 13(ねがは)くはなんぢの(しもべ)をひきとめて故意(ことさら)なる(つみ)ををかさしめず それをわが(しゆ)たらしめ(あた)ふなかれ さればわれ(きず)なきものとなりて(おほい)なる(とが)をまぬかるるをえん 14ヱホバわが(いは)わが贖主(あがなひぬし)よ わがくちの(ことば)わがこころの思念(おもひ)なんぢのまへに(よろこ)ばるることを()しめたまへ

第二十篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ねがはくはヱホバなやみの()になんぢにこたヘヤユブのかみの(みな)なんぢを(たかき)にあげ 2聖所(せいじよ)より援助(たすけ)をなんぢにおくりシオンより能力(ちから)をなんぢにあたへ 3(なんぢ)のもろもろの(ささげ)(もの)をみこころにとめ なんぢの燔祭(はんさい)をうけたまはんことをセラ 4ねがはくはなんちがこころの願望(ねがひ)をゆるし なんぢの謀略(はかりごと)をことごとく(とげ)しめたまはんことを 5我儕(われら)なんぢの(すくひ)によりて(よろこ)びうたひ われらの(かみ)(みな)によりて(はた)をたてん ねがはくはヱホバ(なんぢ)のもろもろの(もとめ)をとげしめたまはんことを 6われ(いま)ヱホバその受膏者(じゆかうじや)をすくひたまふを()る ヱホバそのきよき(てん)より右手(みぎのて)なるすくひの(ちから)にてかれに(こた)へたまはん 7あるひは(くるま)をたのみあるひは(むま)をたのみとする(もの)あり されどわれらはわが(かみ)ヱホバの(みな)をとなへん 8かれらは(かが)みまた(たふ)るわれらは(おき)てかたくたてり 9ヱホバよ(わう)をすくひたまへ われらがよぶとき(こた)へたまへ

第二十一篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよ(わう)はなんぢの(ちから)によりてたのしみ(なんぢ)のすくひによりて奈何(いか)におほいなる歓喜(よろこび)をなさん 2なんぢ(かれ)がこころの願望(ねがひ)をゆるし そのくちびるの(もとめ)をいなみ(たま)はざりきセラ 3そはよきたまものの(めぐみ)をもてかれを(むか)へ まじりなきこがねの冕弁(かんむり)をもてかれの(かうべ)にいただかせ(たま)ひたり 4かれ生命(いのち)をもとめしに(なんぢ)これをあたへてその(よはひ)()世々(よよ)かぎりなからしめ(たま)へり 5なんぢの(すくひ)によりてその榮光(えいくわう)おほいなり なんぢは尊貴(たふとき)稜威(みいづ)とをかれに()せたまふ 6そは(これ)をとこしへに(さいは)ひなるものとなし聖顔(みかほ)のまへの歓喜(よろこび)をもて(たの)しませたまへばなり 7(わう)はヱホバに依賴(よりたの)み いとたかき(もの)のいつくしみを(かうむ)るがゆゑに(うご)かさるることなからん 8なんぢの()はそのもろもろの(あた)をたづねいだし (なんぢ)のみぎの()はおのれを(にく)むものを(たづ)ねいだすべし 9なんぢ(いか)るときは彼等(かれら)をもゆる()のごとくにせんヱホバはげしき(いかり)によりてかれらを(のみ)たまはん ()はかれらを(くらひ)つくさん 10(なんぢ)かれらの(すゑ)()よりほろぼし かれらの(たね)(ひと)()のなかよりほろぼさん 11かれらは(なんぢ)にむかひて(あしき)(こと)をくはだて(とげ)がたき謀略(はかりごと)をおもひまはせばなり 12(なんぢ)かれらをして(そびら)をむけしめ その(かほ)にむかひて弓絃(ゆづる)をひかん 13ヱホバよ能力(みちから)をあらはしてみづからを(たか)くしたまへ 我儕(われら)はなんぢの稜威(みいづ)をうたひ(かつ)ほめたたへん

第二十二篇

あけぼのの鹿(しか)調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデの(うた)
1わが(かみ)わが(かみ)なんぞ(われ)をすてたまふや (いか)なれば(とほ)くはなれて(われ)をすくはず わが(なげ)きのこゑをきき(たま)はざるか 2ああわが(かみ)われ(ひる)よばはれども(なんぢ)こたへたまはず (よる)よばはれどもわれ平安(やすき)をえず 3()はあれイスラエルの讃美(さんび)のなかに(すみ)たまふものよ(なんぢ)はきよし 4われらの列祖(おやたち)はなんぢに依賴(よりたの)めり かれら依賴(よりたの)みたればこれを(たす)けたまへり 5かれら(なんぢ)をよびて(たすけ)をえ(なんぢ)によりたのみて(はぢ)をおへることなかりき 6(しか)はあれどわれは(むし)にして(ひと)にあらず ()にそしられ(たみ)にいやしめらる 7すべてわれを()るものはわれをあざみわらひ 口唇(くちびる)をそらし(かうべ)をふりていふ 8かれはヱホバによりたのめりヱホバ(たす)くべし ヱホバかれを(よろこ)びたまふが(ゆゑ)にたすくべしと 9されど(なんぢ)はわれを胎内(はらのうち)よりいだし(たま)へるものなり わが(はは)のふところにありしとき(すで)になんぢに依賴(よりたの)ましめたまへり 10(われ)うまれいでしより(なんぢ)にゆだねられたり わが(はは)われを(うみ)しときより(なんぢ)はわが(かみ)なり 11われに(とほ)ざかりたまふなかれ 患難(なやみ)ちかづき(また)すくふものなければなり 12おほくの牡牛(をうし)われをめぐりバサンの(ちから)つよき牡牛(をうし)われをかこめり 13かれらは(くち)をあけて(われ)にむかひ(もの)をかきさき(ほえ)うだく(しし)のごとし 14われ(みづ)のごとくそそぎいだされ わがもろもろの(ほね)ははづれ わが(こころ)(らふ)のごとくなりて(はら)のうちに(とけ)たり 15わが(ちから)はかわきて陶器(すゑもの)のくだけのごとく わが(した)(あぎ)にひたつけり なんぢわれを()(ちり)にふさせたまへり 16そは(いぬ)われをめぐり(あし)きものの(むれ)われをかこみてわが()およびわが(あし)をさしつらぬけり 17わが(ほね)はことごとく(かぞ)ふるばかりになりぬ (あし)きものの()をとめて(われ)をみる 18かれらたがひにわが(ころも)をわかち()がしたぎを(くじ)にす 19ヱホバよ(とほ)くはなれ()たまふなかれ わが(ちから)よねがはくは(とく)きたりてわれを(たす)けたまへ 20わがたましひを(つるぎ)より(たす)けいだし わが生命(いのち)(いぬ)のたけきいきほひより(のが)れしめたまへ 21われを(しし)(くち)また()(うし)のつのより(すく)ひいだしたまへ なんぢ(われ)にこたへたまへり 22われなんぢの()をわが兄弟(はらから)にのべつたへ なんぢを(つどひ)のなかにて(ほめ)たたへん 23ヱホバを(おそ)るるものよヱホバをほめたたへよ ヤコブのもろもろの(すゑ)よヱホバをあがめよ イスラエルのもろもろのすゑよヱホバを(かしこ)24ヱホバはなやむものの辛苦(くるしみ)をかろしめ(すて)たまはず これに聖顔(みかほ)をおほふことなくしてその(さけ)ぶときにききたまへばなり 25(おほい)なる(つどひ)のなかにてわが(なんぢ)をほめたたふるは(なんぢ)よりいづるなり わが(ちか)ひしことはヱホバをおそるる(もの)のまへにてことごとく(つくの)はん 26謙遜者(へりくだるもの)はくらひて(あく)ことをえ ヱホバをたづねもとむるものはヱホバをほめたたへん (ねがは)くはなんぢらの(こころ)とこしへに(いき)んことを 27()のはては(みな)おもひいだしてヱホバに(かへ)りもろもろの(くに)(やから)はみな(みまへ)にふしをがむべし 28(くに)はヱホバのものなればなり ヱホバはもろもろの國人(くにびと)をすべをさめたまふ 29()のこえたるものは(みな)くらひてヱホバををがみ(ちり)にくだるものと(おの)がたましひを(ながら)ふること(あた)はざるものと(みな)そのみまへに拝跪(ひざまづ)かん 30たみの(すゑ)のうちにヱホバにつかる(もの)あらん (しゆ)のことは代々(よよ)にかたりつたへらるべし 31かれら(きた)りて(これ)はヱホバの行爲(みわざ)なりとてその()(のち)にうまるる(たみ)にのべつたへん

第二十三篇

ダビデのうた
1ヱホバは()牧者(ぼくしゃ)なり われ(とぼ)しきことあらじ 2ヱホバは(われ)をみどりの()にふさせ いこひの水濱(みぎは)にともなひたまふ 3ヱホバはわが霊魂(たましひ)をいかし(みな)のゆゑをもて(われ)をただしき(みち)にみちびき(たま)4たとひわれ()のかげの(たに)をあゆむとも禍害(わざはひ)をおそれじ なんぢ(われ)とともに(いま)せばなり なんぢの(しもと)なんぢの(つゑ)われを(なぐさ)5なんぢわが(あた)のまへに()がために(えん)をまうけ わが(かうべ)にあぶらをそそぎたまふ わが酒杯(さかづき)はあふるるなり 6わが()にあらん(かぎ)りはかならず恩惠(めぐみ)憐憫(あはれみ)とわれにそひきたらん (われ)はとこしへにヱホバの(みや)にすまん

第二十四篇

ダビデのうた
1()とそれに(みつ)るもの世界(せかい)とその(なか)にすむものとは(みな)ヱホバのものなり 2ヱホバはそのもとゐを大海(おほうみ)のうへに(すゑ)これを大川(おほかは)のうへに(さだ)めたまへり 3ヱホバの(やま)にのぼるべきものは(たれ)ぞ その聖所(せいじよ)にたつべき(もの)はたれぞ 4()きよく(こころ)いさぎよき(もの)そのたましひ(むなし)きことを(あふ)ぎのぞまず(いつは)りの(ちかひ)をせざるものぞ その(ひと)なる 5かかる(ひと)はヱホバより福祉(さいはひ)をうけ そのすくひの(かみ)より()をうけん 6(かく)のごとき(もの)(かみ)をしたふものの族類(やから)なり ヤコブの(かみ)よなんぢの聖顔(みかほ)をもとむる(もの)なりセラ 7(かど)よなんぢらの(かうべ)をあげよ とこしへの()よあがれ 榮光(えいくわう)(わう)いりたまはん 8えいくわうの(わう)はたれなるか ちからをもちたまふ(たけ)きヱホバなり 戰闘(たたかひ)にたけきヱホバなり 9(かど)よなんぢらの(かうべ)をあげよ とこしへの()よあがれ 榮光(えいくわう)(わう)いりたまはん 10この榮光(えいくわう)(わう)はたれなるか 萬軍(ばんぐん)のヱホバ(これ)ぞえいくわうの(わう)なるセラ

第二十五篇

ダビデのうた
1ああヱホバよ わがたましひは(なんぢ)をあふぎ(のぞ)2わが(かみ)よわれなんぢに依賴(よりたの)めり ねがはくはわれに(はぢ)をおはしめたまふなかれ わが(あた)のわれに勝誇(かちほこ)ることなからしめたまへ 3()になんぢを俟望(まちのぞ)むものははぢしめられず (ゆゑ)なくして(まこと)をうしなふものは(はぢ)をうけん 4ヱホバよなんぢの大路(おほぢ)をわれにしめし なんぢの(みち)をわれにをしへたまへ 5(われ)をなんぢの眞理(しんり)にみちびき(われ)ををしへたまへ (なんぢ)はわがすくひの(かみ)なり われ終日(ひねもす)なんぢを俟望(まちのぞ)6なんぢのあはれみと仁慈(いつくしみ)とはいにしへより(たえ)ずあり ヱホバよこれを(おも)ひいだしたまへ 7わがわかきときの(つみ)とわが(とが)とはおもひいでたまふなかれ ヱホバよ(なんぢ)のめぐみの(ゆゑ)になんぢの仁慈(いつくしみ)にしたがひて(われ)をおもひいでたまへ 8ヱホバはめぐみ(ふか)くして(なほ)くましませり (かか)るがゆゑに(みち)をつみびとにをしへ 9(へりく)だるものを正義(ただしき)にみちびきたまはん その(みち)をへりくだる(もの)にしめしたまはん 10ヱホバのもろもろの(みち)はそのけいやくと證詞(あかし)とをまもるものには仁慈(いつくしみ)なり眞理(まこと)なり 11わが不義(ふぎ)はおほいなり ヱホバよ(みな)のために(これ)をゆるしたまへ 12ヱホバをおそるる(もの)はたれなるか (これ)にそのえらぶべき(みち)をしめしたまはん 13かかる(ひと)のたましひは平安(やすき)にすまひ その(すゑ)はくにをつぐべし 14ヱホバの親愛(したしみ)はヱホバをおそるる(もの)とともにあり ヱホバはその契約(けいやく)をかれらに(しめ)したまはん 15わが()はつねにヱホバにむかふ ヱホバわがあしを(あみ)よりとりいだしたまふ(べけ)ればなり 16ねがはくは(かへ)りきたりて(われ)をあはれみたまへ われ(ひとり)わびしくまた(くる)しみをるなり 17(ねがは)くはわが(こころ)のうれへをゆるめ(われ)をわざはひより(まぬ)かれしめたまへ 18わが患難(なやみ)わが辛苦(くるしみ)をかへりみ わがすべての(つみ)をゆるしたまへ 19わが(あた)をみたまへ かれらの(かず)はおほし(なさけ)なき(にくみ)をもてわれをにくめり 20わがたましひをまもり(われ)をたすけたまへ われに(はぢ)をおはしめたまふなかれ (われ)なんぢに依賴(よりたの)めばなり 21われなんぢを挨望(まちのぞ)むねがはくは完全(またき)正直(なほき)とわれをまもれかし 22(かみ)よすべての(うれひ)よりイスラエルを(あがな)ひいだしたまへ

第二十六篇

ダビデの(うた)
1ヱホバよねがはくはわれを(さば)きたまへわれわが完全(またき)によりてあゆみたり (しか)のみならず(われ)たゆたはずヱホバに依賴(よりたの)めり 2ヱホバよわれを(ただ)しまた(こころ)みたまへ わが(むらと)とこころとを(ねり)きよめたまへ 3そは(なんぢ)のいつくしみわが眼前(まのあたり)にあり (われ)はなんぢの眞理(まこと)によりてあゆめり 4われは(むな)しき(ひと)とともに(すわ)らざりき (あく)をいつはりかざる(もの)とともにはゆかじ 5(あく)をなすものの(つどひ)をにくみ惡者(あしきもの)とともにすわることをせじ 6われ()をあらひて(つみ)なきをあらはす ヱホバよ(かく)てなんぢの祭壇(さいだん)をめぐり 7感謝(かんしや)のこゑを(きこ)えしめ すべてなんぢの(くす)しき(みわざ)をのべつたへん 8ヱホバよ(われ)なんぢのまします(いへ)となんぢが榮光(えいくわう)のとどまる(ところ)とをいつくしむ 9(ねがは)くはわがたましひを罪人(つみびと)とともに わが生命(いのち)()をながす(もの)とともに(とり)(をさ)めたまふなかれ 10かかる(ひと)()にはあしきくはだてあり その(みぎ)()賄賂(まひなひ)にてみつ 11されどわれはわが完全(またき)によりてあゆまん(ねがは)くはわれをあがなひ(われ)をあはれみたまへ 12わがあしは平坦(たひらか)なるところにたつ われもろもろの(つどひ)のなかにてヱホバを(ほめ)まつらん

第二十七篇

ダビデの(うた)
1ヱホバはわが(ひかり)わが(すくひ)なり われ(たれ)をかおそれん ヱホバはわが生命(いのち)のちからなり わが(おそ)るべきものはたれぞや 2われの(てき)われの(あた)なるあしきもの(おそ)ひきたりてわが(にく)をくらはんとせしが(つまづ)きかつ(たふ)れたり 3(たと)ひいくさびと(えい)をつらねて(われ)をせむるともわが(こころ)おそれじ たとひ(たたか)ひおこりて(われ)をせむるとも(われ)になほ(たのみ)あり 4われ一事(ひとつのこと)をヱホバにこへり(われ)これをもとむ われヱホバの(うるは)しきを(あふ)ぎその(みや)をみんがためにわが()にあらん(かぎ)りはヱホバの(いへ)にすまんとこそ(ねが)ふなれ 5ヱホバはなやみの()にその行宮(かりいほ)のうちに(われ)をひそませその幕屋(まくや)のおくにわれをかくし(いはほ)のうへに(われ)をたかく(おき)たまふべければなり 6(いま)わが(かうべ)はわれをめぐれる(あた)のうへに(たか)くあげらるべし この(ゆゑ)にわれヱホバのまくやにて歓喜(よろこび)のそなへものを(ささげ)ん われうたひてヱホバをほめたたへん 7わが(こゑ)をあげてさけぶときヱホバよきき(たま)へ また(あはれ)みてわれに(こた)へたまへ 8なんぢらわが(かほ)をたづねもとめよと((かか)聖言(みことば)のありしとき)わが(こころ)なんぢにむかひてヱホバよ(われ)なんぢの聖顔(みかほ)をたづねんといへり 9ねがはくは聖顔(みかほ)をかくしたまふなかれ (いか)りてなんぢの(しもべ)をとほざけたまふなかれ(なんぢ)はわれの(たすけ)なり (ああ)わがすくひの(かみ)よ われをおひいだし(われ)をすてたまふなかれ 10わが父母(ちちはは)われをすつるともヱホバわれを(むか)へたまはん 11ヱホバよなんぢの(みち)をわれにをしへ わが(あた)のゆゑに(われ)をたひらかなる(みち)にみちびきたまへ 12いつはりの(あかし)をなすもの暴厲(あらび)(はく)もの(われ)にさからひて(おこ)りたてり (ねがは)くはわれを(あた)にわたしてその(こころ)のままに(なさ)しめたまふなかれ 13われもしヱホバの恩寵(いつくしみ)をいけるものの(くに)にて()るの(たのみ)なからましかば奈何(いかに)ぞや 14ヱホバを(まち)()ぞめ雄々(をを)しかれ(なんぢ)のこころを(かた)うせよ (かなら)ずやヱホバをまちのぞめ

第二十八篇

ダビデの(うた)
1ああヱホバよわれ(なんぢ)をよばん わが(いは)よねがはくは(われ)にむかひて暗唖(おふし)となりたまふなかれ なんぢ(もだ)したまはば(おそ)らくはわれ(はか)にいるものとひとしからん 2われ(なんぢ)にむかひてさけび聖所(せいじよ)(おく)にむかひて()をあぐるときわが懇求(ねがひ)のこゑをききたまへ 3あしき(ひと)また邪曲(よこしま)をおこなふ(もの)とともに(われ)をとらへてひきゆき(たま)ふなかれ かれらはその(となり)にやはらぎをかたれども(こころ)には殘害(そこなひ)をいだけり 4その(わざ)にしたがひそのなす(あく)にしたがひて彼等(かれら)にあたへ その()行爲(なしわざ)にしたがひて(あた)へこれにその(うく)べきものを(むく)いたまへ 5かれらはヱホバのもろもろの(わざ)とその(みて)のなしわざとをかへりみず この(ゆゑ)にヱホバかれらを(こぼ)ちて(たて)たまふことなからん 6ヱホバは(ほむ)べきかな わが(いのり)のこゑをききたまひたり 7ヱホバはわが(ちから)わが(たて)なり わがこころこれに依賴(よりたの)みたれば(われ)たすけをえたり ()るゆゑにわが(こころ)いたくよろこぶ われ(うた)をもてほめまつらん 8ヱホバはその(たみ)のちからなり その受膏者(じゆかうじや)のすくひの(しろ)なり 9なんぢの(たみ)をすくひなんぢの嗣業(ゆづり)をさきはひ(かつ)これをやしなひ(これ)をとこしなへに(いだ)きたすけたまへ

第二十九篇

ダビデの(うた)
1なんぢら(かみ)()らよ ヱホバに(ささ)げまつれ(さかえ)(ちから)とをヱホバにささげまつれ 2その(みな)にふさはしき榮光(えいくわう)をヱホバにささげ(まつ)れ きよき(ころも)をつけてヱホバを(をが)みまつれ 3ヱホバのみこゑは(みづ)のうへにあり えいくわうの(かみ)(いかづち)をとどろかせたまふ ヱホバは大水(おほみづ)のうへにいませり 4ヱホバの(みこゑ)はちからあり ヱホバのみこゑは稜威(みいつ)あり 5ヱホバのみこゑは香柏(かうはく)ををりくだく ヱホバ、レバノンのかうはくを(をり)くだきたまふ 6これを(こうし)のごとくをどらせレバノンとシリオンとをわかき()(うし)のごとくをどらせたまふ 7ヱホバのみこゑは火焔(ほのほ)をわかつ 8ヱホバのみこゑは()をふるはせヱホバはカデシの()をふるはせたまふ 9ヱホバのみこゑは鹿(しか)()をうませ また林木(はやし)をはだかにす その(みや)にあるすべてのもの(よば)はりて榮光(えいくわう)なるかなといふ 10ヱホバは洪水(こうずゐ)のうへに()したまへり ヱホバは寳座(みくら)にざして永遠(とこしへ)(わう)なり 11ヱホバはその(たみ)にちからをあたへたまふ 平安(やすき)をもてその(たみ)をさきはひたまはん

第三十篇

殿(との)をささぐるときに(うた)へるダビデのうた
1ヱホバよわれ(なんぢ)をあがめん なんぢ(われ)をおこしてわが(あた)のわがことによりて(よろこ)ぶをゆるし(たま)はざればなり 2わが(かみ)ヱホバよわれ(なんぢ)によばはれば(なんぢ)(われ)をいやしたまへり 3ヱホバよ(なんぢ)わがたましひを陰府(よみ)よりあげ(われ)をながらへしめて(はか)にくだらせたまはざりき 4ヱホバの聖徒(せいと)よ ヱホバをほめうたへ(まつ)れ きよき(みな)感謝(かんしや)せよ 5その(いかり)はただしばしにてその(めぐみ)はいのちとともにながし ()はよもすがら(なき)かなしむとも(あした)にはよろこびうたはん 6われ(やす)けかりしときに(いへら)く とこしへに(うご)かさるることなからんと 7ヱホバよなんぢ(めぐみ)をもてわが(やま)をかたく(たた)せたまひき (しか)はあれどなんぢ(みかほ)をかくしたまひたれば(われ)おぢまどひたり 8ヱホバよわれ(なんぢ)によばはれり (われ)ひたすらヱホバにねがへり 9われ(はか)にくだらばわが()なにの(えき)あらん (ちり)はなんぢを(ほめ)たたへんや なんぢの眞理(まこと)をのべつたへんや 10ヱホバよ(きき)たまへ われを(あはれ)みたまへ ヱホバよ(ねがは)くはわが(たすけ)となりたまへ 11なんぢ踴躍(をどり)をもてわが哀哭(なげき)にかへわが麁服(あらたへ)をとき歓喜(よろこび)をもてわが(おび)としたまへり 12われ(さかえ)をもてほめうたひつつ(もだ)すことなからんためなり わが(かみ)ヱホバよわれ永遠(とこしへ)になんぢに感謝(かんしや)せん

第三十一篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよわれ(なんぢ)によりたのむ (ねがは)くはいづれの()までも(はぢ)をおはしめたまふなかれ なんぢの()をもてわれを(たす)けたまへ 2なんぢの(みみ)をかたぶけて(すみや)かにわれをすくひたまへ (ねがは)くはわがためにかたき(いは)となり(われ)をすくふ保障(まもり)(いへ)となりたまへ 3なんぢはわが(いは)わが(しろ)なり されば(みな)のゆゑをもてわれを(ひき)われを(みちび)きたまへ 4なんぢ(われ)をかれらが(ひそ)かにまうけたる(あみ)よりひきいだしたまへ なんぢはわが保砦(とりで)なり 5われ霊魂(たましひ)をなんぢの(みて)にゆだぬ ヱホバまことの(かみ)よなんぢはわれを(あがな)ひたまへり 6われはいつはりの(むなし)きことに(こころ)をよする(もの)をにくむ われは(ただ)ヱホバによりたのむなり 7(われ)はなんぢの憐憫(あはれみ)をよろこびたのしまん なんぢわが艱難(なやみ)をかへりみ わがたましひの禍害(わざはひ)をしり 8われを(あた)()にとぢこめしめたまはず わが(あし)をひろきところに(たて)たまへばなり 9われ(せま)りくるしめり ヱホバよ(われ)をあはれみたまへ わが()はうれひによりておとろふ 霊魂(たましひ)()もまた(おとろ)へぬ 10わが生命(いのち)はかなしみによりて()えゆき わが年華(とし)はなげきによりて(きえ)ゆけばなり わが(ちから)はわが不義(ふぎ)によりておとろへ わが(ほね)はかれはてたり 11われもろもろの(あた)ゆゑにそしらる わが(となり)にはわけて(はなは)だし(あひ)(しる)ものには忌憚(いみはばか)られ(ちまた)にてわれを()るもの(さけ)てのがる 12われは(しに)たるもののごとく(わす)られて(ひと)のこころに(おか)れず われはやぶれたる(うつは)もののごとくなれり 13そは(われ)おほくの(ひと)のそしりをきい(いた)るところに(おそれ)あり かれら(われ)にさからひて(たがひ)にはかりしが わが生命(いのち)をさへとらんと(くはだ)てたり 14されどヱホバよわれ(なんぢ)によりたのめり また(なんぢ)はわが(かみ)なりといへり 15わが(とき)はすべてなんぢの(みて)にあり ねがはくはわれを(あた)()よりたすけ われに(おひ)(せま)るものより(たす)けいだしたまへ 16なんぢの(しもべ)のうへに聖顔(みかほ)をかがやかせ なんぢの仁慈(いつくしみ)をもて(われ)をすくひたまへ 17ヱホバよわれに(はぢ)をおはしめ(たま)ふなかれ そは(われ)なんぢをよべばなり (ねがは)くはあしきものに(はぢ)をうけしめ陰府(よみ)にありて(くち)をつぐましめ(たま)18傲慢(たかぶり)軽侮(あなどり)とをもて(ただし)きものにむかひ(みだ)りにののしるいつはりの口唇(くちびる)をつぐましめたまへ 19(なんぢ)をおそるる(もの)のためにたくはへ なんぢに依賴(よりたの)むもののために(ひと)()のまへにてほどこしたまへる(なんぢ)のいつくしみは(おほい)なるかな 20(なんぢ)かれらを御前(みまへ)なるひそかなる(ところ)にかくして(ひと)謀略(はかりごと)よりまぬかれしめ また行宮(かりいほ)のうちにひそませて(した)のあらそひをさけしめたまはん 21(ほむ)べきかなヱホバは堅固(けんご)なる(しろ)のなかにて(あや)しまるるばかりの仁慈(いつくしみ)をわれに(あらは)したまへり 22われ(おどろ)きあわてていへらく なんぢの()のまへより(たた)れたりと (され)どわれ(なんぢ)によびもとめしとき(なんぢ)わがねがひの(こゑ)をききたまへり 23なんぢらもろもろの聖徒(せいと)よヱホバをいつくしめ ヱホバは眞實(まこと)あるものをまもり傲慢(たかぶる)(もの)におもく(むくい)をほどこしたまふ 24すべてヱホバを俟望(まちのぞ)むものよ雄々(をを)しかれ なんぢら(こころ)をかたうせよ

第三十二篇

ダビデの訓諭(をしへ)のうた
1その(とが)をゆるされその(つみ)をおほはれしものは(さいは)ひなり 2不義(ふぎ)をヱホバに(おは)せられざるもの(こころ)にいつはりなき(もの)はさいはひなり 3(われ)いひあらはさざりしときは終日(ひねもす)かなしみさけびたるが(ゆゑ)にわが(ほね)ふるびおとろへたり 4なんぢの(みて)はよるも(ひる)もわがうへにありて(おも)し わが()潤澤(うるほひ)はかはりて(なつ)(ひでり)のごとくなれりセラ 5(かく)てわれなんぢの(みまへ)にわが(つみ)をあらはしわが不義(ふぎ)をおほはざりき (われ)いへらくわが(とが)をヱホバにいひあらはさんと (かか)るときしも(なんぢ)わがつみの邪曲(よこしま)をゆるしたまへりセラ 6されば(かみ)をうやまふ(もの)はなんぢに(あふ)ことをうべき()になんぢに(いの)らん 大水(おほみづ)あふれ(なが)るるともかならずその()におよばじ 7(なんぢ)はわがかくるべき(ところ)なり なんぢ患難(なやみ)をふせぎて(われ)をまもり(すくひ)のうたをもて(われ)をかこみたまはんセラ 8われ(なんぢ)ををしへ(なんぢ)をあゆむべき(みち)にみちびき わが()をなんぢに(とめ)てさとさん 9汝等(なんぢら)わきまへなき(むま)のごとく驢馬(うさぎむま)のごとくなるなかれ かれらは(くつわ)たづなのごとき()をもてひきとめずば(ちか)づききたることなし 10惡者(あしきもの)はかなしみ(おほ)かれどヱホバに依賴(よりたの)むものは憐憫(あはれみ)にてかこまれん 11ただしき(もの)よヱホバを(よろこ)びたのしめ (すべ)てこころの(なほ)きものよ(よろこ)びよばふべし

第三十三篇

1ただしき(もの)よヱホバによりてよろこべ 讃美(さんび)はなほきものに(ふさ)はしきなり 2(こと)をもてヱホバに感謝(かんしや)せよ 十絃(とをを)のことをもてヱホバをほめうたへ 3あたらしき(うた)をヱホバにむかひてうたひ歓喜(よろこび)(こゑ)をあげてたくみに(こと)をかきならせ 4ヱホバのことばは(なほ)く そのすべて(おこな)ひたまふところ眞實(まこと)なればなり 5ヱホバは()公平(こうへい)とをこのみたまふ その仁慈(いつくしみ)はあまねく()にみつ 6もろもろの(てん)はヱホバのみことばによりて()り てんの萬軍(ばんぐん)はヱホバの(くち)(いき)によりてつくられたり 7ヱホバはうみの(みづ)をあつめてうづだかくし(ふかき)(ふち)(くら)にをさめたまふ 8全地(ぜんち)はヱホバをおそれ()にすめるもろもろの(ひと)はヱホバをおぢかしこむべし 9そはヱホバ(いひ)たまへば()り おほせたまへば(たて)るがゆゑなり 10ヱホバはもろもろの(くに)のはかりごとを(むなし)くし もろもろの(たみ)のおもひを徒勞(いたづら)にしたまふ 11ヱホバの謀略(はかりごと)はとこしへに()ち そのみこころのおもひは世々(よよ)にたつ 12ヱホバをおのが(かみ)とする(くに)はさいはひなり ヱホバ嗣業(ゆづり)にせんとて(えら)びたまへるその(たみ)はさいはひなり 13ヱホバ(てん)よりうかがひてすべての(ひと)()() 14その(いま)すところより()にすむもろもろの(ひと)をみたまふ 15ヱホバはすべてかれらの(こころ)をつくり その(なす)ところをことごとく(かんが)みたまふ 16(わう)(しや)いくさびと(おほき)をもて(すくひ)をえず勇士(ゆうし)ちから(おほい)なるをもて(たすけ)をえざるなり 17(むま)はすくひに(えき)なく その(おほい)なるちからも(ひと)をたすくることなからん 18()よヱホバの()はヱホバをおそるるもの(また)その憐憫(あはれみ)をのぞむもののうへにあり 19()はかれらのたましひを()よりすくひ饑饉(としうゑ)たるときにも()にながらへしめんがためなり 20われらのたましひはヱホバを侯望(まちのぞ)めり ヱホバはわれらの(たすけ)われらの(たて)なり 21われらはきよき(みな)にりたのめり (かく)てぞわれらの(こころ)はヱホバにありてよろこばん 22ヱホバよわれら(なんぢ)をまちのぞめり これに(したが)ひて憐憫(あはれみ)をわれらのうへに(たれ)たまへ

第三十四篇

ダビデ、アビメレクのまへにて(くる)へる(さま)をなし(おは)れていでさりしときに(つく)れるうた
1われつねにヱホバを(いは)ひまつらんその頌詞(たたへごと)はわが(くち)にたえじ 2わがたましひはヱホバによりて(ほこ)らん (へりく)だるものは(これ)をききてよろこばん 3われとともにヱホバを(あが)めよ われらともにその(みな)をあげたたへん 4われヱホバを(たづ)ねたればヱホバわれにこたへ(われ)をもろもろの畏懼(おそれ)よりたすけいだしたまへり 5かれらヱホバを(あふ)ぎのぞみて(ひかり)をかうぶれり かれらの(かほ)ははぢあからむことなし 6この(くる)しむもの(さけ)びたればヱホバこれをきき そのすべての患難(なやみ)よりすくひいだしたまへり 7ヱホバの使者(つかひ)はヱホバをおそるる(もの)のまはりに(えい)をつらねてこれを(たす)8なんぢらヱホバの恩惠(めぐみ)ふかきを(あぢは)ひしれ ヱホバによりたのむ(もの)はさいはひなり 9ヱホバの聖徒(せいと)よヱホバを(おそ)れよヱホバをおそるるものには(とぼ)しきことなければなり 10わかき(しし)はともしくして(うう)ることあり されどヱホバをたづぬるものは嘉物(よきもの)にかくることあらじ 11()よきたりて(われ)にきけ われヱホバを(おそ)るべきことを汝等(なんぢら)にをしへん 12福祉(さいはひ)をみんがために生命(いのち)をしたひ(ながら)へんことをこのむ(もの)はたれぞや 13なんぢの(した)をおさへて(あく)につかしめず なんぢの口唇(くちびる)をおさへて虚偽(いつはり)をいはざらしめよ 14(あく)をはなれて(ぜん)をおこなひ和睦(やはらぎ)をもとめて(せち)にこのことを(つと)めよ 15ヱホバの()はただしきものをかへりみ その(みみ)はかれらの號呼(さけび)にかたぶく 16ヱホバの聖顔(みかほ)はあくをなす(もの)にむかひてその(あと)()より(たち)(ほろぼ)したまふ 17義者(ただしきもの)さけびたればヱホバ(これ)をききてそのすべての患難(なやみ)よりたすけいだしたまへり 18ヱホバは(こころ)のいたみかなしめる(もの)にちかく(いま)してたましひの(くい)(くづほ)れたるものをすくひたまふ 19ただしきものは患難(なやみ)おほし されどヱホバはみなその(なか)よりたすけいだしたまふ 20ヱホバはかれがすべての(ほね)をまもりたまふ その(ひと)つだに(をら)らるることなし 21(あく)はあしきものをころさん 義人(ただしきひと)をにくむものは(つみ)なはるべし 22ヱホバはその(しもべ)()のたましひを(あがな)ひたまふ ヱホバに依賴(よりたの)むものは一人(ひとり)だにつみなはるることなからん

第三十五篇

ダビデのうた
1ヱホバよねがはくは(われ)にあらそふ(もの)とあらそひ(われ)とたたかふものと(たたか)ひたまへ 2(たて)大盾(おほだて)とをとりてわが(たすけ)にたちいでたまへ 3(ほこ)をぬきいだしたまひて(われ)におひせまるものの(みち)をふさぎ(かつ)わが霊魂(たましひ)にわれはなんぢの(すくひ)なりといひたまへ 4(ねがは)くはわが霊魂(たましひ)をたづぬるものの(はぢ)をえていやしめられ (われ)をそこなはんと(はか)るものの退(しりぞ)けられて(あわ)てふためかんことを 5ねがはくはかれらが(かぜ)のまへなる粃糠(もみがら)のごとくなりヱホバの使者(つかひ)におひやられんことを 6(ねがは)くはかれらの(みち)をくらくし(すべ)らかにしヱホバの使者(つかひ)にかれらを(おひ)ゆかしめたまはんことを 7かれらは(ゆゑ)なく(われ)をとらへんとて(あみ)をあなにふせ (ゆゑ)なくわが霊魂(たましひ)をそこなはんとて(あな)をうがちたればなり 8(ねがは)くはかれらが(おも)ひよらぬ()にほろびきたり(おの)がふせたる(あみ)にとらへられ(みづか)らその(ほろび)におちいらんことを 9(さる)ときわが霊魂(たましひ)はヱホバによりてよろこび その(すくひ)をもて(たの)しまん 10わがすべての(ほね)はいはん ヱホバよ(なんぢ)はくるしむものを(これ)にまさりて(ちから)つよきものより(また)くるしむもの(まづ)しきものを(かす)めうばふ(もの)よりたすけいだし(たま)(たれ)かなんぢに(たぐ)ふべき(もの)あらんと 11こころあしき(あかし)(びと)おこりてわが(しら)ざることを(なじ)りとふ 12かれらは(あく)をもてわが(ぜん)にむくい()がたましひを依仗(よるべ)なきものとせり 13(され)どわれかれらが(やみ)しときには麁服(あらたへ)をつけ(かて)をたちてわが霊魂(たましひ)をくるしめたり わが(いのり)はふところにかへれり 14わがかれに(なせ)ることはわが(とも)わが兄弟(はらから)にことならず(はは)()にありて痛哭(なげく)がごとく(かな)しみうなたれたり 15(され)どかれらはわが(たふ)れんとせしとき(よろこ)びつどひわが(しら)ざりしとき匪類(をこのもの)あつまりきたりて(われ)をせめ われを(さき)てやめざりき 16かれらは洒宴(しゆえん)にて(きたな)きことをのぶる嘲笑者(あざけりびと)のごとく(われ)にむかひて()をかみならせり 17(しゆ)よいたづらに()るのみにして(いく)何時(そのとき)をへたまふや (ねがは)くはわがたましひの彼等(かれら)にほろぼさるるを(のが)れしめ わが生命(いのち)をわかき(しし)よりまぬかれしめたまへ 18われ(おほい)なる(つどひ)にありてなんぢに感謝(かんしや)し おほくの(たみ)のなかにて(なんぢ)をほめたたへん 19虚偽(いつはり)をもてわれに(あた)するもののわが(ゆゑ)によろこぶことを(ゆる)したまなかれ (ゆゑ)なくして(われ)をにくむ(もの)のたがひに(めくば)せすることなからしめたまへ 20かれらは平安(やすき)をかたらず あざむきの(ことば)をつくりまうけて國内(くにのうち)におだやかにすまふ(もの)をそこなはんと(はか)21(しか)のみならず(われ)にむかひて(くち)をあけひろげ ああ()よや()よやわれらの()これをみたりといへり 22ヱホバよ(なんぢ)すでにこれを()たまへり ねがはくは(もだ)したまふなかれ(しゆ)よわれに(とほ)ざかりたまふなかれ 23わが(かみ)よわが(しゆ)よ おきたまへ(さめ)たまへ ねがはくはわがために審判(さばき)をなしわが(うたへ)ををさめたまへ 24わが(かみ)ヱホバよなんぢの()にしたがひて(われ)をさばきたまへ わが(こと)によりてかれらに歓喜(よろこび)をえしめたまふなかれ 25かれらにその心裡(こころのうち)にて ああここちよきかな()よこれわが(ねが)ひしところなりといはしめたまふなかれ (また)われらかれを(のみ)つくせりといはしめたまふなかれ 26(ねがは)くはわが(そこ)なはるるを(よろこ)ぶもの(みな)はぢて(あわ)てふためき (われ)にむかひてはこりかに(たか)ぶるものの(はぢ)とはづかしめとを()んことを 27わが()をよみする(もの)をばよろこび(うた)はしめ(おほい)なるかなヱホバその(しもべ)のさいはひを(よろこ)びたまふと(つね)にいはしめたまへ 28わが(した)終日(ひねもす)なんぢの()となんぢの(ほまれ)とをかたらん

第三十六篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるヱホバの(しもべ)ダビデのうた
1あしきものの(とが)はわが(こころ)のうちにかたりて その()のまへに(かみ)をおそるるの(おそれ)あることなしといふ 2かれはおのが邪曲(よこしま)のあらはるることなく(にく)まるることなからんとて(みづ)からその()にて(おもね)3その(くち)のことばは邪曲(よこしま)虚偽(いつはり)となり()をこばみ(ぜん)をおこなふことを(やめ)たり 4かつその寝床(ふしど)にてよこしまなる(こと)をはかり よからぬ(みち)にたちとまりて(あく)をきらはず 5ヱホバよなんぢの仁慈(いつくしみ)(てん)にあり なんぢの眞實(まこと)(くも)にまでおよぶ 6(なんぢ)のただしきは(かみ)(やま)のごとく なんぢの審判(さばき)はおほいなる(ふち)なり ヱホバよなんぢは(ひと)とけものとを(まも)りたまふ 7(かみ)よなんぢの仁慈(いつくしみ)はたふときかな (ひと)()はなんぢの(つばさ)(かげ)にさけどころを() 8なんぢの(いへ)のゆたかなるによりてことごとく(あく)ことをえん なんぢはその歓樂(たのしみ)のかはの(みづ)をかれらに(のま)しめたまはん 9そはいのちの(いづみ)はなんぢに()り われらはなんぢの(ひかり)によりて(ひかり)をみん 10ねがはくはなんぢを()るものにたえず憐憫(あはれみ)をほどこし(こころ)なほき(もの)にたえず正義(ただしき)をほどこしたまへ 11たかぶるものの(あし)われをふみ(あし)きものの()われを(おひ)(はら)ふをゆるし(たま)ふなかれ 12邪曲(よこしま)をおこなふ(もの)はかしこに(たふ)れたり かれら(うち)(ふせ)られてまた(たつ)ことあたはざるべし

第三十七篇

ダビデのうた
1(あく)をなすものの(ゆゑ)をもて(こころ)をなやめ 不義(ふぎ)をおこなふ(もの)にむかひて(ねたみ)をおこすなかれ 2かれらはやがて(くさ)のごとくかりとられ靑菜(あをきな)のごとく(うち)(しほ)るべければなり 3ヱホバによりたのみて(ぜん)をおこなへ この(くに)にとどまり眞實(まこと)をもて(かて)とせよ 4ヱホバによりて歓喜(よろこび)をなせ ヱホバはなんぢが(こころ)のねがひを(なんぢ)にあたへたまはん 5なんぢの(みち)をヱホバにゆだねよ (かれ)によりたのまば(これ)をなしとげ 6(ひかり)のごとくなんぢの()をあきらかにし午日(まひる)のごとくなんぢの(うたへ)をあきらかにしたまはん 7なんぢヱホバのまへに(くち)をつぐみ(しの)びてこれを(まち)(のぞ)め おのが(みち)をあゆみて(さかゆ)るものの(ゆゑ)をもて あしき謀略(はかりごと)をとぐる(ひと)(ゆゑ)をもて(こころ)をなやむるなかれ 8(いかり)をやめ忿恚(いきどほり)をすてよ (こころ)をなやむるなかれ これ(あく)をおこなふ(かた)にうつらん 9そは(あく)をおこなふものは(たち)(ほろぼ)され ヱホバを(まち)(のぞ)むものは(くに)をつぐべければなり 10あしきものは(ひさ)しからずしてうせん なんぢ細密(こまか)にその(ところ)をおもひみるともあることなからん 11されど(へりく)だるものは(くに)をつぎ また平安(やすき)のゆたかなるを(たのし)まん 12(あし)きものは(ただし)きものにさからはんとて謀略(はかりごと)をめぐらし(これ)にむかひて切歯(はがみ)13(しゆ)はあしきものを(わら)ひたまはん かれが()のきたるを()たまへばなり 14あしきものは(つるぎ)をぬき(ゆみ)をはりて(くる)しむものと(まづ)しきものとをたふし(おこな)ひなほきものを(ころ)さんとせり 15されどその(つるぎ)はおのが(むね)をさしその(ゆみ)はをらるべし 16義人(ただしきひと)のもてるもののすくなきは(おほ)くの(あし)きものの(ゆた)かなるにまされり 17そは(あし)きものの(かひな)はをらるれどヱホバは(ただし)きものを(たすけ)(ささへ)たまへばなり 18ヱホバは完全(まつたき)もののもろもろの()をしりたまふ かれらの嗣業(ゆずり)はかぎりなく(ひさ)しからん 19かれらは禍害(わざはひ)にあふとき(はぢ)をおはず饑饉(うゑどし)()にもあくことを()20あしき(もの)ははろびヱホバのあたは牧場(まき)のさかえの(かる)るがごとくうせ(けぶり)のごとく(きえ)ゆかん 21あしき(もの)はものかりて(つくの)はず (ただし)きものは(めぐみ)ありて(ほどこ)しあたふ 22(かみ)のことほぎたまふ(ひと)(くに)をつぎ (かみ)ののろひたまふ(ひと)(たち)(ほろぼ)さるべし 23(ひと)のあゆみはヱホバによりて(さだ)めらる そのゆく(みち)をヱホバよろこびたまへり 24(たと)ひその(ひと)たふるることありとも(また)くうちふせらるることなし ヱホバかれが()をたすけ(ささ)へたまへばなり 25われむかし(とし)わかくして(いま)おいたれど 義者(ただしきもの)のすてられ(ある)はその(すゑ)(かて)こひありくを()しことなし 26ただしきものは終日(ひねもす)めぐみありて(かし)あたふ その(すゑ)はさいはひなり 27(あく)をはなれて(ぜん)をなせ (さら)ばなんぢの住居(すまひ)とこしへならん 28ヱホバは公平(こうへい)をこのみ その聖徒(せいと)をすてたまはざればなり かれらは永遠(とこしへ)にまもりたすけらるれど(あし)きもののすゑは(たち)(ほろぼ)さるべし 29ただしきものは(くに)をつぎ その(なか)にすまひてとこしへに(およ)ばん 30ただしきものの(くち)智慧(ちゑ)をかたり その(した)公平(こうへい)をのぶ 31かれが(かみ)(のり)はそのこころにあり そのあゆみは(ひと)(あゆみ)だにすべることあらじ 32あしきものは義者(ただしきもの)をひそみうかがひて(これ)をころさんとはかる 33ヱホバは義者(ただしきもの)をあしきものの()にのこしおきたまはず 審判(さばき)のときに(つみな)ひたまふことなし 34ヱホバを(まち)(のぞ)みてその(みち)をまもれ さらば(なんぢ)をあげて(くに)をつがせたまはん なんぢ惡者(あしきもの)のたちほろぼさるる(とき)にこれをみん 35(われ)あしきものの(たけ)くしてはびこれるを()るに(おひ)(たち)たる()にさかえしげれる()のごとし 36(しか)れどもかれは(すぎ)ゆけり ()よたちまちに(なく)なりぬ われ(これ)をたづねしかど(あふ)ことをえざりき 37(またき)(ひと)()をそそぎ(なほき)(ひと)をみよ 和平(おだやか)なる(ひと)には(のち)あれど 38(つみ)ををかすものらは(とも)にほろぼされ(あし)きものの(のち)はかならず(たた)るべければなり 39ただしきものの(すくひ)はヱホバよりいづ ヱホバはかれらが辛苦(くるしみ)のときの保砦(とりで)なり 40ヱホバはかれらを(たす)け かれらを(とき)(はな)ちたまふ ヱホバはかれらを惡者(あしきもの)よりときはなちて(すく)ひたまふ かれらはヱホバをその避所(さけどころ)とすればなり

第三十八篇

記念(きねん)のためにつくれるダビデのうた
1ヱホバよねがはくは忿恚(いきどほり)をもて(われ)をせめ はげしき(いかり)をもて(われ)をこらしめ(たま)ふなかれ 2なんぢの()われにあたり なんぢの(みて)わがうへを(おさ)へたり 3なんぢの(いかり)によりてわが(にく)には(また)きところなく わが(つみ)によりてわが(ほね)には(すこや)かなるところなし 4わが不義(ふぎ)(かうべ)をすぎてたかく重荷(おもに)のごとく(おひ)がたければなり 5われ(おろか)なるによりてわが(きず)あしき(にほひ)をはなちて(くさ)れただれたり 6われ(をれ)(かが)みていたくなげきうなたれたり われ終日(ひねもす)かなしみありく 7わが(こし)はことごとく(やく)るがごとく(にく)(また)きところなければなり 8(われ)おとろへはて(いた)くきずつけられわが(こころ)のやすからざるによりて欷歔(うめき)さけべり 9ああ(しゆ)よわがすべての願望(ねがひ)はなんぢの(みまへ)にあり わが嘆息(なげき)はなんぢに(かく)るることなし 10わが(むね)をどりわが(ちから)おとろへ わが()のひかりも(また)われをはなれたり 11わが(とも)わが(したし)めるものはわが(きづ)をみて(はるか)にたち わが(となり)もまた(とほざ)かりてたてり 12わが生命(いのち)をたづぬるものは(わな)をまうけ(われ)をそこなはんとするものは(あしき)(こと)をいひ また終日(ひねもす)たばかりを(はか)13(しか)はあれどわれは聾者(みみしひ)のごとくきかず われは(くち)をひらかぬ唖者(おふし)のごとし 14如此(かく)われはきかざる(ひと)のごとく(くち)にことあげせぬ(ひと)のごときなり 15ヱホバよ(われ)なんぢを(まち)(のぞ)めり (しゆ)わが(かみ)よなんぢかならず(こた)へたまふべければなり 16われ(さき)にいふ おそらくはかれらわが(こと)によりて(よろこ)び わが(あし)のすべらんとき(われ)にむかひて(ほこ)りかにたかぶらんと 17われ(たふ)るるばかりになりぬ わが悲哀(かなしみ)はたえずわが(まへ)にあり 18そは(われ)みづから不義(ふぎ)をいひあらはし わが(つみ)のためにかなしめばなり 19わが(あた)はいきはたらきてたけく(ゆゑ)なくして(われ)をうらむるものおほし 20(あく)をもて(ぜん)にむくゆるものはわれ善事(よきこと)にしたがふが(ゆゑ)にわが(あた)となれり 21ヱホバよねがはくは(われ)をはなれたたまふなかれ わが(かみ)よわれに(とほざ)かりたまふなかれ 22(しゆ)わがすくひよ(とく)きたりて(われ)をたすけたまへ

第三十九篇

伶長(うたのかみ)エドトンにうたはしめたるダビデのうた
1われ(さき)にいへり われ(した)をもて(つみ)ををかさざらんために(わが)すべての(みち)をつつしみ惡者(あしきもの)のわがまへに()るあひだはわが(くち)(くつわ)をかけんと 2われ(もだ)して(おふし)となり善言(よきこと)すらことばにいださず わが(うれひ)なほおこれり 3わが(こころ)わがうちに(ねつ)し おもひつづくるほどに()もえぬればわれ(した)をもていへらく 4ヱホバよ(ねがは)くはわが(をはり)とわが()(かず)のいくばくなるとを(しら)しめたまへ わが無常(はかなき)をしらしめたまへ 5()よなんぢわがすべての()一掌(つかのま)にすぎさらしめたまふ わがかいのち主前(みまへ)にてはなきにことならず ()にすべての(ひと)(みな)その(さかりの)(とき)だにもむなしからざるはなしセラ 6(ひと)()にあるは(かげ)にことならず その(おも)ひなやむことはむなしからざるなし その積蓄(つみたくは)ふるものはたが()にをさまるをしらず 7(しゆ)よわれ(いま)なにをかまたん わが(のぞみ)はなんぢにあり 8ねがはくは(われ)ぞすべて(とが)より(たす)けいだしたまへ (おろか)なるものに(そし)らるることなからしめたまへ 9われは(もだ)して(くち)をひらかず ()はなんぢの()したまふ(もの)なればなり 10(ねがは)くはなんぢの(せめ)をわれよりはなちたまへ (われ)なんぢの(みて)にうちこらさるるによりて(ほろ)ぶるばかりになりぬ 11なんぢ(つみ)をせめて(ひと)をこらし その(した)ひよろこぶところのものを(しみ)のくらふがごとく(きえ)うせしめたまふ ()にもろもろの(ひと)はむなしからざるなしセラ 12ああヱホバよねがはくはわが(いのり)をきき わが號呼(さけび)(みみ)をかたぶけたまへ わが(なみだ)をみて(もだ)したまふなかれ われはなんぢに()旅客(たびびと)すべてわが列祖(おやたち)のごとく宿(やど)れるものなり 13(われ)ここを(さり)てうせざる(さき)になんぢ(みかほ)をそむけてわれを爽快(さはやか)ならしめたまへ

第四十篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1(われ)たへしのびてヱホバを(まち)(のぞ)みたり ヱホバ(われ)にむかひてわが號呼(さけび)をききたまへり 2また(われ)をほろびの(あな)より(ひぢ)のなかよりとりいだしてわが(あし)(いは)のうへにおきわが(あゆみ)をかたくしたまへり 3ヱホバはあたらしき(うた)をわが(くち)にいれたまへり()はわれらの(かみ)にささぐる讃美(さんび)なり おほくの(ひと)はこれを()ておそれ かつヱホバによりたのまん 4ヱホバをおのが(たのみ)となし(たかぶ)るものによらず虚偽(いつはり)にかたぶく(もの)によらざる(ひと)はさいはひなり 5わが(かみ)ヱホバよなんぢの(なし)たまへる(くす)しき(みわざ)と われらにむかふ(おもひ)とは(いと)おほくして(なんぢ)のみまへにつらねいふことあたはず (われ)これをいひのべんとすれどその(かず)かぞふることあたはず 6なんぢ犠牲(いけにへ)祭物(そなへもの)とをよろこびたまはず(なんぢ)わが(みみ)をひらきたまへり なんぢ燔祭(はんさい)罪祭(ざいさい)とをもとめたまはず 7そのとき(われ)いへらく ()よわれきたらんわがことを(ふみ)(まき)にしるしたり 8わが(かみ)よわれは聖意(みこころ)にしたがふことを(たのし)む なんぢの(のり)はわが(こころ)のうちにありと 9われ(おほい)なる(つどひ)にて()をつげしめせり ()よわれ口唇(くちびる)をとぢず ヱホバよなんぢ(これ)をしりたまふ 10われなんぢの()をわが(こころ)のうちにひめおかず なんぢの眞實(しんじつ)となんぢの拯救(すくひ)とをのべつたへたり (われ)なんぢの仁慈(いつくしみ)となんぢの眞理(まこと)とをおほいなる(つどひ)にかくさざりき 11ヱホバよなんぢ憐憫(あはれみ)をわれにをしみたまふなかれ 仁慈(いつくしみ)眞理(まこと)とをもて(つね)にわれをまもりたまへ 12そはかぞへがたき禍害(わざはひ)われをかこみ わが不義(ふぎ)われに追及(おひしき)てあふぎみること(あた)はぬまでになりぬ その(おほ)きことわが(かしら)()にもまさり わが(こころ)きえうするばかりなればなり 13ヱホバよ(ねがは)くはわれをすくひたまへ ヱホバよ(いそ)ぎきたりて(われ)をたすけたまへ 14(ねがは)くはわが霊魂(たましひ)をたづねほろぼさんとするものの(みな)はぢあわてんことを わが(そこな)はるるをよろこぶもののみな(うしろ)にしりぞきて(はぢ)をおはんことを 15われにむかひて ああ()よや()よやといふ(もの)おのが(はぢ)によりておどろきおそれんことを 16(ねがは)くはなんぢを(たづね)(もと)むるものの(みな)なんぢによりて(たのし)みよろこばんことを なんぢの(すくひ)をしたふものの(つね)にヱホバは(おほい)なるかなととなへんことを 17われはくるしみ(かつ)ともし (しゆ)われをねんごろに(おも)ひたまふ なんぢはわが(たすけ)なり われをすくひたまふ(もの)なり ああわが(かみ)よねがはくはためらひたまふなかれ

第四十一篇

うたのかみに(うた)はしめたるダビデのうた
1よわき(ひと)をかへりみる(もの)はさいはひなり ヱホバ(かか)るものを(わざは)ひの()にたすけたまはん 2ヱホバ(これ)をまもり(これ)をながらへしめたまはん かれはこの()にありて福祉(さいはひ)をえん なんぢ(かれ)をその(あた)ののぞみにまかせて(わた)したまふなかれ 3ヱホバは(かれ)がわづらひの(とこ)にあるをたすけ(たま)はん なんぢかれが(やめ)るときその衾裯(ふすま)をしきかへたまはん 4(われ)いへらくヱホバよわれを(あはれ)みわがたましひを(いや)したまへ われ(なんぢ)にむかひて(つみ)ををかしたりと 5わが(あた)われをそしりていへり (かれ)いづれのときに(しに)いづれのときにその()ほろびんと 6かれ(また)われを()んとてきたるときは虚偽(いつはり)をかたり邪曲(よこしま)をその(こころ)にあつめ (ほか)にいでてはこれを()7すべてわれをにくむもの(たが)ひにささやき(われ)をそこなはんとて(あひ)(はか)8かつ(いふ) かれに(ひとつ)のわざはひつきまとひたれば(たふ)れふしてふたたび(おこ)ることなからんと 9わが(たの)みしところ わが(かて)をくらひしところのわが(した)しき(とも)さへも(われ)にそむきてその(くびす)をあげたり 10(しか)はあれどヱホバよ(なんぢ)ねがはくは(われ)をあはれみ(われ)をたすけて(おこ)したまへ されば(われ)かれらに(むくゆ)ることをえん 11わが(あた)われに(うち)(かち)てよろこぶこと(あた)はざるをもて(なんぢ)がわれを(めで)いつくしみたまふを(われ)しりぬ 12わが(こと)をいはば なんぢ(われ)をわが完全(またき)うちにてたもち(われ)をとこしへに(みかほ)のまへに(をき)たまふ 13イスラエルの(かみ)ヱホバはとこしへより永遠(とこしへ)までほむべきかな アーメン アーメン

第四十二篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のをしへの(うた)
1ああ(かみ)よしかの渓水(たにがは)をしたひ(あへ)ぐがごとく わが霊魂(たましひ)もなんぢをしたひあへぐなり 2わがたましひは(かわ)けるごとくに(かみ)をしたふ (いける)(かみ)をぞしたふ (いづ)れのときにか(われ)ゆきて(かみ)のみまへにいでん 3かれらが終日(ひねもす)われにむかひて なんぢの(かみ)はいづくにありやとののしる(あひだ)はただわが(なみだ)のみ晝夜(よるひる)そそぎてわが(かて)なりき 4われむかし(むれ)をなして祭日(いはひのひ)をまもる衆人(おほくのひと)とともにゆき歓喜(よろこび)讃美(さんび)のこゑをあげてかれらを(かみ)(いへ)にともなへり (いま)これらのことを追想(おもひおこ)してわが(うち)よりたましひを(そそ)ぎいだすなり 5ああわが霊魂(たましひ)よ なんぢ(なん)ぞうなたるるや なんぞわが(うち)におもひみだるるや なんぢ(かみ)をまちのぞめ われに聖顔(みかほ)のたすけありて(われ)なほわが(かみ)をほめたたふべければなり 6わが(かみ)よわがたましひはわが(うち)にうなたる (され)ばわれヨルダンの()よりヘルモンよりミザルの(やま)より(なんぢ)をおもひいづ 7なんぢの大瀑(おほだき)のひびきによりて淵々(ふちぶち)よびこたへ なんぢの(なみ)なんぢの猛浪(おほなみ)ことごとくわが(うへ)をこえゆけり 8(しか)はあれど(ひる)はヱホバその憐憫(あはれみ)をほどこしたまふ (よる)はその(うた)われとともにあり (この)うたはわがいのちの(かみ)にささぐる(いのり)なり 9われわが(いは)なる(かみ)にいはん なんぞわれを(わす)れたまひしや なんぞわれは(あた)のしへたげによりて(かな)しみありくや 10わが(ほね)もくだくるばかりにわがてきはひねもす(われ)にむかひて なんぢの(かみ)はいづくにありやといひののしりつつ(われ)をそしれり 11ああわがたましひよ (なんぢ)なんぞうなたるるや (なん)ぞわがうちに(おも)ひみだるるや なんぢ(かみ)をまちのぞめ われ(なほ)わがかほの(たすけ)なるわが(かみ)をほめたたふべければなり

第四十三篇

1(かみ)よねがはくは(われ)をさばき (なさけ)しらぬ(たみ)にむかひてわが(うたへ)をあげつらひ詭計(たばかり)おほきよこしまなる(ひと)より(われ)をたすけいだし(たま)2なんぢはわが(ちから)(かみ)なり なんぞ(われ)をすてたまひしや (なん)ぞわれは(あた)暴虐(しひたげ)によりてかなしみありくや 3(ねがは)くはなんぢの(ひかり)となんぢの眞理(まこと)とをはなち(われ)をみちびきてその聖山(きよきやま)とその帷幄(あけばり)とにゆかしめたまへ 4さらばわれ(かみ)祭壇(さいだん)にゆき(また)わがよろこびよろこぶ(かみ)にゆかん ああ(かみ)よわが(かみ)よわれ(こと)をもてなんぢを(ほめ)たたへん 5ああわが霊魂(たましひ)よなんぢなんぞうなたるるや なんぞわが(うち)におもひみだるるや なんぢ(かみ)によりて(のぞみ)をいだけ (われ)なほわが(かほ)のたすけなるわが(かみ)をほめたたふべければなり

第四十四篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のをしへの(うた)
1ああ(かみ)よむかしわれらの列祖(おやたち)()になんぢがなしたまひし事迹(みわざ)をわれら(みみ)にきけり 列祖(おやたち)われらに(かた)れり 2なんぢ(みて)をもてもろもろの國人(くにびと)をおひしりぞけ われらの列祖(おやたち)をうゑ(また)もろもろの(たみ)をなやましてわれらの列祖(おやたち)をはびこらせたまひき 3かれらはおのが(つるぎ)によりて(くに)をえしにあらず おのが(かひな)によりて(かち)をえしにあらず (ただ)なんぢの(みぎ)()なんぢの(かひな)なんぢの(みかほ)のひかりによれり (なんぢ)かれらを(めぐ)みたまひたればなり 4(かみ)よなんぢはわが(わう)なり ねがはくはヤコブのために(すくひ)をほどこしたまへ 5われらは(なんぢ)によりて(てき)をたふし また我儕(われら)にさからひて(おこ)りたつものをなんぢの(みな)によりて(ふみ)(おさ)ふべし 6そはわれわが(ゆみ)によりたのまず わが(つるぎ)もまた(われ)をすくふことあたはざればなり 7なんぢわれらを(てき)よりすくひ またわれらを(にく)むものを(はづ)かしめたまへり 8われらはひねもす(かみ)によりてほこり われらは永遠(とこしへ)になんぢの(みな)感謝(かんしや)せんセラ 9しかるに(いま)はわれらをすてて(はぢ)をおはせたまへり われらの軍人(いくさびと)とともに(いで)ゆきたまはず 10われらを(てき)のまへより退(しりぞ)かしめたまへり われらを(にく)むものその任意(こころまま)にわれらを(かす)めうばへり 11なんぢわれらを(しよく)にそなへらるる(ひつじ)のごとくにあたへ(かく)てわれらをもろもろの國人(くにびと)のなかにちらし 12()るところなくしてなんぢの(たみ)をうり その(あたひ)によりてなんぢの(とみ)をましたまはざりき 13(なんぢ)われらを隣人(となり)にそしらしめ われらを(めぐ)るものにあなどらしめ (あざ)けらしめたまへり 14(また)もろもろの(くに)のなかにわれらを談柄(ことくさ)となし もろもろの(たみ)のなかにわれらを(かしら)ふらるる(もの)となしたまへり 15わが凌辱(はづかしめ)ひねもす()がまへにあり わがかほの(はぢ)われをおほへり 16こは(われ)をそしり(われ)をののしるものの(こゑ)により(われ)にあだし(われ)にうらみを(むくゆ)るものの(ゆゑ)によるなり 17これらのこと(みな)われらに(のぞ)みきつれどわれらなほ(なんぢ)をわすれず なんぢの契約(けいやく)をいつはりまもらざりき 18われらの(こころ)しりぞかずわれらの歩履(あゆみ)なんぢの(みち)をはなれず 19(され)どなんぢは()(いぬ)のすみかにてわれらをきずつけ死蔭(しのかげ)をもてわれらをおほひ(たま)へり 20われらもしおのれの(かみ)(みな)をわすれ(あるひ)はわれらの()異神(あだしかみ)にのべしことあらんには 21(かみ)はこれを(ただ)したまはざらんや (かみ)はこころの(かく)れたることをも(しり)たまふ 22われらは終日(ひねもす)なんぢのために()にわたされ(ほふ)られんとする(ひつじ)(ごと)くせられたり 23(しゆ)よさめたまへ(いか)なればねぶりたまふや(おき)たまへ われらをとこしへに(すて)たまふなかれ 24いかなれば聖顔(みかほ)をかくしてわれらがうくる苦難(なやみ)虐待(しへたげ)とをわすれたまふや 25われらのたましひはかがみて(ちり)にふし われらの(はら)(つち)につきたり 26ねがはくは(おき)てわれらをたすけたまへ なんぢの仁慈(いつくしみ)のゆゑをもてわれらを(あがな)ひたまへ

第四十五篇

百合花(ゆりのはな)のしらべにあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のをしへのうた (あい)のうた
1わが(こころ)はうるはしき(こと)にてあふる われは(わう)のために(よみ)たるものをいひいでん わが(した)はすみやけく寫字人(ものかくひと)(ふで)なり 2なんぢは(ひと)子輩(こら)にまさりて(うるは)しく文雅(みやび)そのくちびるにそそがる このゆゑに(かみ)はとこしへに(なんぢ)をさいはひしたまへり 3英雄(ますらを)よなんぢその(つるぎ)その(さかえ)その()をこしに(おぶ)べし 4なんぢ眞理(まこと)柔和(にうわ)とただしきとのために()をたくましくし(かち)をえて(のり)すすめ なんぢの右手(みぎのて)なんぢに(おそ)るべきことををしへん 5なんぢの()(とく)して(わう)のあたの(むね)をつらぬき もろもろの(たみ)はなんぢの(もと)にたふる 6(かみ)よなんぢの寳座(みくら)はいやとほ(なが)くなんぢの(くに)のつゑは公平(こうへい)のつゑなり 7なんぢは()をいつくしみ(あく)をにくむ このゆゑに(かみ)なんぢの(かみ)はよろこびの(あぶら)をなんぢの(とも)よりまさりて(なんぢ)にそそぎたまへり 8なんぢの(ころも)はみな沒薬(もつやく)蘆薈(ろくわい)肉桂(にくけい)のかをりあり 琴瑟(をごと)()ざうげの諸殿(とのどの)よりいでて(なんぢ)をよろこばしめたり 9なんぢがたふとき(をんな)のなかにはもろもろの(わう)のむすめあり 皇后(きさき)はオフルの(こがね)をかざりてなんぢの(みぎ)にたつ 10(むすめ)よきけ()をそそげ なんぢの(みみ)をかたぶけよ なんぢの(たみ)となんぢが(ちち)(いへ)とをわすれよ 11さらば(わう)はなんぢの美麗(うるはしき)をしたはん (わう)はなんぢの(しゆ)なりこれを(ふし)(をが)12ツロの(むすめ)贈物(おくりもの)をもてきたり(たみの)(なか)のとめるものも(また)なんぢの(めぐみ)をこひもとめん 13(わう)のむすめは殿(との)のうちにていとど(さか)えかがやき そのころもは(こがね)をもて(おり)なせり 14かれは鍼繍(ぬひもの)せる(ころも)をきて(わう)のもとにいざなはる (これ)にともなへる處女(をとめ)もそのあとにしたがひて(なんぢ)のもとにみちびかれゆかん 15かれらは歓喜(よろこび)快樂(たのしみ)とをもていざなはれ(かく)して(わう)殿(との)にいらん 16なんぢの()らは列祖(おやたち)にかはりてたち なんぢはこれを全地(ぜんち)(きみ)となさん 17(われ)なんぢの()をよろづ()にしらしめん この(ゆゑ)にもろもろの(たみ)はいやとほ(なが)くなんぢに感謝(かんしや)すべし

第四十六篇

(をんなの)(こゑ)のしらべにしたがひて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のうた
1(かみ)はわれらの避所(さけどころ)また(ちから)なり なやめるときの(いと)ちかき(たすけ)なり 2さればたとひ()はかはり(やま)はうみの中央(もなか)にうつるとも我儕(われら)はおそれじ 3よしその(みづ)はなりとどろきてさわぐとも その(あふ)れきたるによりて(やま)はゆるぐとも(なに)かあらんセラ 4(かは)ありそのながれは(かみ)のみやこをよろこばしめ至上者(いとたかきもの)のすみたまふ聖所(せいじよ)をよろこばしむ 5(かみ)そのなかにいませば(みやこ)はうごかじ (かみ)(あさ)つとにこれを(たす)けたまはん 6もろもろの(たみ)はさわぎたち もろもろの(くに)はうごきたり (かみ)その(こゑ)をいだしたまへば()はやがてとけぬ 7萬軍(ばんぐん)のヱホバはわれらとともなり ヤコブの(かみ)はわれらのたかき(やぐら)なりセラ 8きたりてヱホバの事跡(みわざ)をみよ ヱホバはおほくの(おそ)るべきことを()になしたまへり 9ヱホバは()のはてまでも戰闘(たたかひ)をやめしめ(ゆみ)ををり(ほこ)をたち戰車(いくさぐるま)()にてやきたまふ 10汝等(なんぢら)しづまりて(われ)(かみ)たるをしれ われはもろもろの(くに)のうちに(あが)められ全地(ぜんち)にあがめらるべし 11萬軍(ばんぐん)のヱホバはわれらと(とも)なり ヤコブの(かみ)はわれらの(たか)きやぐらなりセラ

第四十七篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のうた
1もろもろのたみよ()をうち歓喜(よろこび)のこゑをあげ(かみ)にむかひてさけべ 2いとたかきヱホバはおそるべく また()をあまねく(しろ)しめす(おほい)なる(わう)にてましませばなり 3ヱホバはもろもろの(たみ)をわれらに(まつろ)はせ もろもろの(くに)をわれらの足下(あしのもと)にまつろはせたまふ 4(また)そのいつくしみたまふヤコブが(ほまれ)とする嗣業(ゆづり)をわれらのために(えら)びたまはんセラ 5(かみ)はよろこびさけぶ(こゑ)とともにのぼり ヱホバはラッパの(こゑ)とともにのぼりたまへり 6ほめうたへ(かみ)をほめうたへ 頌歌(ほめうた)へわれらの(わう)をほめうたへ 7かみは()にあまねく(わう)なればなり 敎訓(をしへ)のうたをうたひてほめよ 8(かみ)はもろもろの(くに)をすべをさめたまふ (かみ)はそのきよき寳座(みくら)にすわりたまふ 9もろもろのたみの諸侯(きみたち)はつどひきたりてアブラハムの(かみ)(たみ)となれり ()のもろもろの(たて)(かみ)のものなり(かみ)はいとたふとし

第四十八篇

コラの()のうたなり讃美(さんび)なり
1ヱホバは(おほい)なり われらの(かみ)(みやこ)そのきよき(やま)のうへにて(いた)くほめたたへられたまふべし 2シオンの(やま)はきたの(はし)たかくしてうるはしく喜悦(よろこび)()にあまねくあたふ ここは(おほい)なる(わう)のみやこなり 3そのもろもろの殿(との)のうちに(かみ)はおのれをたかき(やぐら)としてあらはしたまへり 4みよ王等(わうたち)はつどひあつまりて(とも)にすぎゆきぬ 5かれらは(みやこ)をみてあやしみ(かつ)おそれて(たちま)ちのがれされり 6戰慄(をののき)はかれらにのぞみ その苦痛(くるしみ)()をうまんとする(をんな)のごとし 7なんぢは東風(こちかぜ)をおこしてタルシシの(ふね)をやぶりたまふ 8(さき)にわれらが(きき)しごとく(いま)われらは萬軍(ばんぐん)のヱホバの(みやこ)われらの(かみ)のみやこにて(これ)をみることをえたり (かみ)はこの(みやこ)をとこしへまで(かた)くしたまはんセラ 9(かみ)(われ)らはなんぢの(みや)のうちにて仁慈(みいつくしみ)をおもへり 10(かみ)よなんぢの(ほまれ)はその(みな)のごとく()(はて)にまでおよべり なんぢの右手(みぎのて)はただしきにて(みて)11なんぢのもろもろの審判(さばき)によりてシオンの(やま)はよろこびユダの(むすめ)(たち)はたのしむべし 12シオンの周圍(まはり)をありき(あまね)くめぐりてその(やぐら)をかぞへよ 13その石垣(いしがき)()をとめよ そのもろもろの殿(との)をみよ なんぢらこれを後代(のちのよ)にかたりつたへんが(ため)なり 14そはこの(かみ)はいや遠長(とほなが)にわれらの(かみ)にましましてわれらを(しぬ)るまでみちびきたまはん

第四十九篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のうた
1 49:2もろもろの(たみ)よきけ(いやし)きも(たふと)きも(とめ)るも(まづし)きもすべて()にすめる(もの)よ なんぢらともに(みみ)をそばだてよ 3わが(くち)はかしこきことをかたり わが(こころ)はさときことを(おも)はん 4われ(みみ)喩言(たとへ)にかたぶけ(こと)をならしてわが幽玄(かすか)なる(ことば)をときあらはさん 5わが(くびす)にちかかる不義(ふぎ)のわれを(うち)(かこ)むわざはひの()もいかで(おそ)るることあらんや 6おのが(とみ)をたのみ(たから)おほきを(ほこ)るもの 7たれ一人(ひとり)おのが兄弟(はらから)をあがなふことあたはず(これ)がために贖價(あがなひしろ)(かみ)にささげ 8 49:9(これ)をとこしへに生存(いかながら)へしめて(くち)ざらしむることあたはず(霊魂(たましひ)をあがなふには(つひえ)いとおほくして此事(このこと)をとこしへに捨置(すておか)ざるを()ざればなり) 10そは(かしこ)きものも(しに) おろかものも獣心者(しれもの)もひとしくほろびてその(とみ)他人(あだしびと)にのこすことは(つね)にみるところなり 11かれら(ひそか)におもふ わが(いへ)はとこしへに(のこ)りわがすまひは世々(よよ)にいたらんと かれらはその()におのが()をおはせたり 12されど(ひと)(ほまれ)のなかに(なが)くとどまらず(ほろ)びうする(けもの)のごとし 13(かく)のごときは(おろ)かなるものの(みち)なり (しか)はあれど(のちの)(ひと)はその(ことば)をよしとせんセラ 14かれらは(ひつじ)のむれのごとくに陰府(よみ)のものと(さだ)めらる ()これが牧者(ぼくしゃ)とならん(なほ)きもの(あした)にかれらををさめん その美容(うるはしき)陰府(よみ)にほろぼされて宿(やど)るところなかるべし 15されど(かみ)われを(うけ)たまふべければわが霊魂(たましひ)をあがなひて陰府(よみ)のちからより(まぬ)かれしめたまはんセラ 16(ひと)のとみてその(いへ)のさかえくははらんとき(なんぢ)おそるるなかれ 17かれの(しぬ)るときは(なに)(ひと)つたづさへゆくことあたはず その(さかえ)はこれにしたがひて(くだ)ることをせざればなり 18かかる(ひと)はいきながらふるほどに(おの)がたましひを(しゆく)するとも みづからを(あつ)うするがゆゑに人々(ひとびと)なんぢをほむるとも 19なんぢ列祖(おやたち)()にゆかん かれらはたえて(ひかり)をみざるべし 20尊貴(たふとき)なかにありて(さと)らざる(ひと)はほろびうする(けもの)のごとし

第五十篇

アサフのうた
1ぜんのうの(かみ)ヱホバ詔命(みことのり)して()のいづるところより()のいるところまであまねく()をよびたまへり 2かみは美麗(うるはしき)(きはみ)なるシオンより(ひかり)をはなちたまへり 3われらの(かみ)はきたりて(もだ)したまはじ()その(まへ)にものをやきつくし暴風(はやち)その四周(まはり)にふきあれん 4(かみ)はその(たみ)をさばかんとて(うへ)なる(てん)および()をよびたまへり 5いはく祭物(そなへもの)をもて(われ)とけいやくをたてしわが聖徒(せいと)をわがもとに(あつ)めよと 6もろもろの(てん)(かみ)()をあらはせり (かみ)はみづから審士(さばきびと)たればなりセラ 7わが(たみ)よきけ(われ)ものいはんイスラエルよきけ(われ)なんぢにむかひて(あかし)をなさん われは(かみ)なんぢの(かみ)なり 8わがなんぢを(せむ)るは祭物(そなへもの)のゆゑにあらず なんぢの燔祭(はんさい)はつねにわが(まへ)にあり 9(われ)はなんぢの(いへ)より牡牛(をうし)をとらず なんぢの(をり)より牡山羊(をやぎ)をとらず 10(はやし)のもろもろのけもの(やま)のうへの千々(ちぢ)牲畜(けだもの)はみなわが(もの)なり 11われは(やま)のすべての(とり)をしる ()のたけき(けもの)はみなわがものなり 12世界(せかい)とそのなかに(みつ)るものとはわが(もの)なれば(たと)ひわれ(うう)るともなんぢに(つげ)13われいかで牡牛(をうし)(にく)をくらひ牡山羊(をやぎ)()をのまんや 14感謝(かんしや)のそなへものを(かみ)にささげよ なんぢのちかひを至上者(いとたかきもの)につくのへ 15なやみの()にわれをよべ(われ)なんぢを(たす)けん(しか)してなんぢ(われ)をあがむべし 16 50:17(しか)はあれど(かみ)あしきものに(いひ)(たまは)く なんぢは(をしへ)をにくみ わが(ことば)をその(うしろ)にすつるものなるに(なに)のかかはりありてわが律法(おきて)をのべ わがけいやくを(くち)にとりしや 18なんぢ盗人(ぬすびと)をみれば(これ)をよしとし姦淫(たはれ)をおこなふものの伴侶(かたうど)となれり 19なんぢその(くち)(あく)にわたす なんぢの(した)詭計(たばかり)をくみなせり 20なんぢ(すわ)りて兄弟(はらから)をそしり(おの)がははの()(しひ)ののしれり 21(なんぢ)これらの(こと)をなししをわれ(もだ)しぬれば なんぢ(われ)をおのれに(きも)にたるものとおもへり されど(われ)なんぢを(いまし)めてその(つみ)をなんぢの目前(まのあたり)につらぬべし 22(かみ)をわするるものよ(いま)このことを(おも)へ おそらくは(われ)なんぢを(かき)さかんとき(たすく)るものあらじ 23感謝(かんしや)のそなへものを(ささぐ)るものは(われ)をあがむ おのれの行爲(おこなひ)をつつしむ(もの)にはわれ(かみ)(すくひ)をあらはさん

第五十一篇

ダビデがバテセバにかよひしのち預言(よげん)(しや)ナタンの(きた)れるときよみて伶長(うたのかみ)にうたはしめたる(うた)
1ああ(かみ)よねがはくはなんぢの仁慈(いつくしみ)によりて(われ)をあはれみ なんぢの憐憫(あはれみ)のおほきによりてわがもろもろの(とが)をけしたまへ 2わが不義(ふぎ)をことごとくあらひさり(われ)をわが(つみ)よりきよめたまへ 3われはわが(とが)をしる わが(つみ)はつねにわが(まへ)にあり 4(われ)はなんぢにむかひて(ただ)なんぢに(つみ)ををかし聖前(みまへ)にあしきことを(おこな)へり されば(なんぢ)ものいふときは(ただし)とせられ なんぢ(さば)くときは(とが)めなしとせられ(たま)5()よわれ邪曲(よこしま)のなかにうまれ(つみ)ありてわが(はは)われをはらみたりき 6なんぢ眞實(まこと)をこころの(うち)にまでのぞみ わが(かく)れたるところに智慧(ちゑ)をしらしめ(たま)はん 7なんぢヒソブをもて(われ)をきよめたまへ さらばわれ(きよ)まらん (われ)をあらひたまへ さらばわれ(ゆき)よりも(しろ)からん 8なんぢ(われ)によろこびと快樂(たのしみ)とをきかせ なんぢが(くだ)きし(ほね)をよろこばせたまへ 9ねがはくは聖顔(みかほ)をわがすべての(つみ)よりそむけ わがすべての不義(ふぎ)をけしたまへ 10ああ(かみ)よわがために(きよき)(こころ)をつくり わが(うち)になほき(みたま)をあらたにおこしたまへ 11われを聖前(みまへ)より(すて)たまふなかれ (なんぢ)のきよき(みたま)をわれより()りたまふなかれ 12なんぢの(すくひ)のよろこびを(われ)にかへし自由(じいう)(みたま)をあたへて(われ)をたもちたまへ 13さらばわれ(とが)ををかせる(もの)になんぢの(みち)ををしへん罪人(つみびと)はなんぢに(かへ)りきたるべし 14(かみ)よわが(すくひ)のかみよ()をながしし(つみ)より(われ)をたすけいだしたまへ わが(した)(こゑ)たからかになんぢの()をうたはん 15(しゆ)よわが口唇(くちびる)をひらきたまへ (さら)ばわが(くち)なんぢの頌美(ほまれ)をあらはさん 16なんぢは祭物(そなへもの)をこのみたまはず もし(しか)らずば(われ)これをささげん なんぢまた燔祭(はんさい)をも(よろこ)びたまはず 17(かみ)のもとめたまふ祭物(そなへもの)はくだけたる霊魂(たましひ)なり (かみ)よなんぢは(くだ)けたる(くい)しこころを(かろ)しめたまふまじ 18ねがはくは聖意(みこころ)にしたがひてシオンにさいはひし ヱルサレムの石垣(いしがき)をきづきたまへ 19その(とき)なんぢ()のそなへものと燔祭(はんさい)(また)きはんさいとを(よろこ)びたまはん かくて人々(ひとびと)なんぢの祭壇(さいだん)牡牛(をうし)をささぐべし

第五十二篇

エドム(ひと)ドエグ、サウルにきたりてダビデはアビメレクの(いへ)にきぬと(つげ)しときダビデがよみて伶長(うたのかみ)にうたはしめたる敎訓(をしへ)のうた
1猛者(たけきもの)よなんぢ(いか)なればあしき企圖(くはだて)をもて(みずか)らほこるや(かみ)のあはれみは(つね)にたえざるなり 2なんぢの(した)はあしきことをはかり()剃刀(かみそり)のごとくいつはりをおこなふ 3なんぢは(ぜん)よりも(あく)をこのみ正義(ただしき)をいふよりも虚偽(いつはり)をいふをこのむセラ 4たばかりの(した)よなんぢはすべての(もの)をくひほろぼす(ことば)をこのむ 5されば(かみ)とこしへまでも(なんぢ)をくだき また(なんぢ)をとらへてその幕屋(まくや)よりぬきいだし(いけ)るものの()よりなんぢの()をたやしたまはんセラ 6義者(ただしきもの)はこれを()ておそれ(かれ)をわらひていはん 7(かみ)をおのが(ちから)となさず その(とみ)のゆたかなるをたのみ その(あく)をもて(おのれ)をかたくせんとする(ひと)をみよと 8(しか)はあれどわれは(かみ)(いへ)にあるあをき橄欖(かんらん)()のごとし (われ)はいやとほながに(かみ)のあはれみに依賴(よりたの)まん 9なんぢこの(こと)をおこなひ(たま)ひしによりて(われ)とこしへになんぢに感謝(かんしや)し なんぢの聖徒(せいと)のまへにて聖名(みな)をまちのぞまん こは(よろ)しきことなればなり

第五十三篇

マハラツ(樂器の名、あるひはいふ調べの名)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデの敎訓(をしへ)のうた
1(おろ)かなるものは(こころ)のうちに(かみ)なしといへり かれらは(くさ)れたりかれらは(にく)むべき不義(ふぎ)をおこなへり(ぜん)をおこなふ(もの)なし 2(かみ)(てん)より(ひと)()をのぞみて(さと)るものと(かみ)をたづぬる(もの)とありやなしやを()たまひしに 3みな退ぞきてことごとく(けが)れたり(ぜん)をなすものなし一人(ひとり)だになし 4不義(ふぎ)をおこなふものは知覺(さとり)なきか かれらは(もの)くふごとくわが(たみ)をくらひ また(かみ)をよばふことをせざるなり 5かれらは(おそ)るべきことのなきときに(おほい)におそれたり (かみ)はなんぢにむかひて(えい)をつらぬるものの(ほね)をちらしたまへばなり (かみ)かれらを(すて)たまひしによりて(なんぢ)かれらを(はづ)かしめたり 6(ねがは)くはシオンよりイスラエルの(すくひ)のいでんことを (かみ)その(たみ)のとらはれたるを(かへ)したまふときヤコブはよろこびイスラエルは(たのし)まん

第五十四篇

ジフ(びと)のサウルにきたりてダビデはわれらの(ところ)にかくれをるにあらずやといひたりしとき ダビデうたのかみに(こと)にてうたはしめたる敎訓(をしへ)のうた
1(かみ)よねがはくは(なんぢ)(みな)によりて(われ)をすくひ なんぢの(ちから)をもて(われ)をさばきたまへ 2(かみ)よわが(いのり)をききたまへ わが(くち)のことばに(みみ)をかたぶけたまへ 3そは外人(あだしびと)はわれにさからひて(おこ)りたち強暴人(あらきひと)はわがたましひを(もと)むるなり かれらは(かみ)をおのが(まへ)におかざりきセラ 4みよ(かみ)はわれをたすくるものなり (しゆ)はわがたましひを(たも)つものとともに(いま)せり 5(しゆ)はわが(あた)にそのあしきことの(むくい)をなしたまはん (ねがは)くはなんぢの眞實(まこと)によりて彼等(かれら)をほろぼしたまへ 6(われ)よろこびて祭物(そなへもの)をなんぢに(ささげ)ん ヱホバよ(われ)なんぢの(みな)にむかひて感謝(かんしや)せん こは(よろ)しきことなればなり 7そはヱホバはすべての患難(なやみ)より(われ)をすくひたまへり わが()はわが(あた)につきての願望(ねがひ)をみたり

第五十五篇

ダビデうたのかみに(こと)にてうたはしめたる敎訓(をしへ)のうた
1(かみ)よねがはくは(みみ)をわが(いのり)にかたぶけたまへ わが懇求(ねがひ)をさけて()をかくしたまふなかれ 2われに聖意(みこころ)をとめ (われ)にこたへたまへ われ歎息(なげき)によりてやすからず(かなし)みうめくなり 3これ(あた)のこゑと(あし)きものの暴虐(しひたげ)とのゆゑなり そはかれら不義(ふぎ)をわれに(おは)せ いきどほりて(われ)におひせまるなり 4わが(こころ)わがうちに(うれ)ひいたみ()のもろもろの恐懼(おそれ)わがうへにおちたり 5おそれと戰慄(をののき)とわれにのぞみ(はなは)だしき恐懼(おそれ)われをおほへり 6われ(いふ)ねがはくは鴿(はと)のごとく羽翼(つばさ)のあらんことを さらば(われ)とびさりて平安(やすき)をえん 7みよ(われ)はるかにのがれさりて()にすまんセラ 8われ(すみや)かにのがれて暴風(はやち)狂風(つむじ)とをはなれん 9われ(みやこ)のうちに強暴(あらび)とあらそひとをみたり (しゆ)よねがはくは彼等(かれら)をほろぼしたまへ かれらの(した)をわかれしめたまへ 10彼等(かれら)はひるもよるも石垣(いしがき)のうへをあるきて(まち)をめぐる (まち)のうちには邪曲(よこしま)とあしき企圖(くはだて)とあり 11また(あし)きこと(まち)のうちにあり しへたげと欺詐(あざむき)とはその街衢(ちまた)をはなるることなし 12われを(そし)れるものは(あた)たりしものにあらず もし(しか)りしならば(なほ)しのばれしなるべし (われ)にむかひて(おのれ)をたかくせし(もの)はわれを(うら)たりしものにあらず(もし)しかりしならば()をかくして(かれ)をさけしなるべし 13されどこれ(なんぢ)なり われとおなじきもの わが(とも)われと(した)しきものなり 14われら(たがひ)にしたしき(かた)らひをなし また會衆(つどひ)のなかに(あり)てともに(かみ)(いへ)にのぼりたりき 15()忽然(ゆくりなく)かれらにのぞみ その(いけ)るままにて陰府(よみ)にくだらんことを そは(あしき)(こと)その住處(すみか)にありその(なか)にあればなり 16されど(われ)はただ(かみ)をよばんヱホバわれを(すく)ひたまふべし 17(ゆふべ)にあしたに(ひる)にわれなげき(かつ)かなしみうめかん ヱホバわが(こゑ)をききたまふべし 18ヱホバは(われ)をせむる戰闘(たたかひ)よりわが霊魂(たましひ)をあがなひいだして平安(やすき)をえしめたまへり そはわれを(せむ)るもの(おほ)かりければなり 19太古(むかし)よりいます(もの)なる(かみ)はわが(こゑ)をききてかれらを(なや)めたまべしセラ かれらには(かは)ることなく(かみ)をおそるることなし 20かの(ひと)はおのれと(むつ)みをりしものに()をのべてその契約(けいやく)をけがしたり 21その(くち)はなめらかにして(ちちの)(あぶら)のごとくなれどもその(こころ)はたたかひなり その(ことば)はあぶらに(まさ)りてやはらかなれどもぬきたる(つるぎ)にことならず 22なんぢの()をヱホバにゆだねよさらば(なんぢ)をささへたまはん ただしき(ひと)のうごかさるることを(つね)にゆるしたまふまじ 23かくて(かみ)よなんぢはかれらを(ほろび)(あな)におとしいれたまはん()をながすものと詭計(たばかり)おほきものとは(いき)ておのが()(なかば)にもいたらざるべし (しか)はあれどわれは(なんぢ)によりたのまん

第五十六篇

ダビデがガテにてペリシテ(ひと)にとらへられしとき(よみ)て「(とほ)きところにをる()をたてぬ鴿(はと)」のしらべにあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるミクタムの(うた)
1ああ(かみ)よねがはくは(われ)をあはれみたまへ (ひと)いきまきて(われ)をのまんとし終日(ひねもす)たたかひて(われ)をしへたぐ 2わが(あた)ひねもす急喘(いきまき)てわれをのまんとす(ほこ)りたかぶりて(われ)とたたかふものおほし 3われおそるるときは(なんぢ)によりたのまん 4われ(かみ)によりてその聖言(みことば)をほめまつらん われ(かみ)依賴(よりたの)みたればおそるることあらじ肉體(にくたい)われになにをなし()んや 5かれらは終日(ひねもす)わがことばを(まぐ)るなり その思念(おもひ)はことごとくわれにわざはひをなす 6かれらは(むれ)つどひて()をひそめ わが(あゆみ)()をとめてわが霊魂(たましひ)をうかがひもとむ 7かれらは不義(ふぎ)をもてのがれんとおもへり (かみ)よねがはくは(いきど)ほりてもろもろの(たみ)をたふしたまへ 8(なんぢ)わがあまた(つち)流離(さすらへ)をかぞへたまへり なんぢの革嚢(かはぶくろ)にわが(なみだ)をたくはへたまへ こは(みな)なんぢの(ふみ)にしるしあるにあらずや 9わがよびもとむる()にはわが(あた)しりぞかん われ(かみ)のわれを(まも)りたまふことを()10われ(かみ)によりてその聖言(みことば)をはめまつらん (われ)ヱホバによりてそのみことばを(ほめ)まつらん 11われ(かみ)によりたのみたれば(おそ)るることあらじ (ひと)はわれに(なに)をなしえんや 12(かみ)よわがなんぢにたてし(ちかひ)はわれをまとへり われ感謝(かんしや)のささげものを(なんぢ)にささげん 13(なんぢ)わがたましひを()よりすくひたまへばなり なんぢ(われ)をたふさじとわが(あし)をまもり生命(いのち)(ひかり)のうちにて(かみ)のまへに(われ)をあゆませ(たま)ひしにあらずや

第五十七篇

ダビデが(ほら)にいりてサウルの()をのがれしとき(よみ)て「ほろぼすなかれ」にといふ調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるミクタムのうた
1(われ)をあはれみたまへ(かみ)よわれをあはれみたまへ わが霊魂(たましひ)はなんぢを避所(さけどころ)とす われ禍害(わざはひ)のすぎさるまではなんぢの(つばさ)のかげを避所(さけどころ)とせん 2(われ)はいとたかき(かみ)によばはん わがために百事(すべてのこと)をなしをへたまふ(かみ)によばはん 3(かみ)はたすけを(てん)よりおくりて(われ)をのまんとする(もの)のそしるときに(われ)(すく)ひたまはんセラ (かみ)はその憐憫(あはれみ)その眞實(まこと)をおくりたまはん 4わがたましひは(むれ)ゐる(しし)のなかにあり ()のごとくもゆる(もの) その()(ほこ)のごとく()のごとくその(した)はとき(つるぎ)のごとき(ひと)()のなかに(われ)ふしぬ 5(かみ)よねがはくはみづからを(てん)よりも(たか)くしみさかえを全地(ぜんち)のうへに(あげ)たまへ 6かれらはわが(あし)をとらへんとて(あみ)をまうく わが霊魂(たましひ)はうなたる かれらはわがまへに(あな)をほりたり(しか)してみづからその(なか)におちいれりセラ 7わが(こころ)さだまれり(かみ)よわがこころ(さだ)まれり われ(うた)ひまつらん(たたへ)まつらん 8わが(さかえ)よさめよ (さう)(こと)よさめよ われ黎明(しののめ)をよびさまさん 9(しゆ)よわれもろもろの(たみ)のなかにてなんぢに感謝(かんしや)し もろもろの(くに)のなかにて(なんぢ)をほめうたはん 10そは(なんぢ)のあはれみは(おほい)にして(てん)にまでいたり なんぢの眞實(まこと)(くも)にまでいたる 11(かみ)よねがはくは(みづ)からを(てん)よりも(たか)くし光榮(みさかえ)をあまねく()のうへに(あげ)たまへ

第五十八篇

ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるミクタムのうた
1なんぢら(もだ)しゐて()をのべうるか (ひと)()よなんぢらなほき審判(さばき)をおこなふや 2(いな)なんぢらは(こころ)のうちに(あしき)(こと)をおこなひ その()強暴(あらび)をこの()にはかりいだすなり 3あしきものは(たい)をはなるるより(そむ)きとほざかり(うま)れいづるより(まよ)ひていつはりをいふ 4 58:5かれらの(どく)(へび)のどくのごとし かれらは蠱術(まじわざ)をおこなふものの(いと)たくみにまじなふその(こゑ)をだにきかざる(みみ)ふさぐ(みみし)ひの(まむし)のごとし 6(かみ)よかれらの(くち)()ををりたまヘ ヱホバよ壯獅(わかきしし)(きば)をぬきくだきたまへ 7(ねがは)くはかれらを(なが)れゆく(みづ)のごとくに消失(きえうせ)しめ その()をはなつときは(をら)れたるごとくなし(たま)はんことを 8また(とけ)てきえゆく蝸牛(かたつむり)のごとく(をんな)のときならず(うみ)たる()をみぬ()のごとくならしめ(たま)9なんぢらの(かま)いまだ荊蕀(いばら)()をうけざるさきに(あをき)をも(もえ)たるをもともに狂風(つむじ)にて(ふき)さりたまはん 10義者(ただしきもの)はかれらが(あた)かへさるるを()てよろこび その(あし)をあしきものの()のなかにてあらはん 11かくて(ひと)はいふべし()にただしきものに報賞(むくい)あり()にさばきをほどこしたまふ(かみ)はましますなりと

第五十九篇

サウル、ダビデを(ころ)さんとし(ひと)をおくりてその(いへ)をうかがはしめし(とき)ダビデがよみて「ほろぼすなかれ」といふ調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるミクタムの(うた)
1わが(かみ)よねがはくは(われ)をわが(あた)よりたすけいだし われを高處(たかき)におきて(われ)にさからひ(おこり)()つものより(まぬ)かれしめたまへ 2邪曲(よこしま)をおこなふものより(われ)をたすけいだし()をながす(ひと)より(われ)をすくひたまへ 3()よかれらは(ひそ)みかくれてわが霊魂(たましひ)をうかがひ猛者(たけきもの)むれつどひて(われ)をせむ ヱホバよ()はわれに(とが)あるにあらず われに(つみ)あるにあらず 4かれら(はし)りまはりて過失(あやまち)なきに(われ)をそこなはんとて(そなへ)をなす ねがはくは(われ)をたすくるために()をさまして()たまへ 5なんぢヱホバ萬軍(ばんぐん)(かみ)イスラエルの(かみ)よ ねがはくは()をさましてもろもろの(くに)にのぞみたまへ あしき罪人(つみびと)にあはれみを(くは)へたまふなかれセラ 6かれらは(ゆふべ)にかへりきたり(いぬ)のごとくほえて(まち)をへありく 7()よかれらは(くち)より(あく)をはく そのくちびるに(つるぎ)あり かれらおもへらく(たれ)ありてこの(こと)をきかんやと 8されどヱホバよ(なんぢ)はかれらをわらひ もろもろの(くに)をあざわらひたまはん 9わが(ちから)よわれ(なんぢ)をまちのぞまん (かみ)はわがたかき(やぐら)なり 10憐憫(あはれみ)をたまふ(かみ)はわれを(むか)へたまはん (かみ)はわが(あた)につきての願望(ねがひ)をわれに()させたまはん 11(ねがは)くはかれらを(ころ)したまふなかれ わが(たみ)つひに(わす)れやはせん (しゆ)われらの(たて)大能(みちから)をもてかれらを(ちら)し また(おと)したまへ 12かれらがくちびるの(ことば)はその(くち)のつみなり かれらは(のろひ)虚偽(いつはり)とをいひいづるによりてその傲慢(たかぶり)のためにとらへられしめたまへ 13忿恚(いきどほり)をもてかれらをほろぼしたまへ (ふたた)びながらふることなきまでに彼等(かれら)をほろぼしたまへ ヤコブのなかに(かみ)いまして統治(すべをさ)めたまふことをかれらに(しら)しめて()(はて)にまでおよぼしたまへセラ 14かれらは(ゆふべ)にかへりきたり(いぬ)のごとくほえて(まち)をへありくべし 15かれらはゆききして食物(くひもの)をあさり もし(あく)ことなくば終夜(よもすがら)とどまれり 16されど(われ)はなんぢの大能(ちから)をうたひ清晨(あした)にこゑをあげてなんぢの憐憫(あはれみ)をうたひまつらん なんぢわが(せま)りくるしみたる()にたかき(やぐら)となり わが避所(さけどころ)となりたまひたればなり 17わがちからよ(われ)なんぢにむかひて頌辭(たたへごと)をうたひまつらん (かみ)はわがたかき(やぐら)われにあはれみをたまふ(かみ)なればなり

第六十篇

ダビデ、ナハライムのアラムおよびゾバのアラムとたたかひをりしがヨアブかへりゆき(しほの)(たに)にてエドム(びと)(まん)(せん)をころししとき敎訓(をしへ)をなさんとてダビデがよみて「證詞(あかし)百合花(ゆり)」といふ調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるミクタムの(うた)
1(かみ)よなんぢわれらを(すて)われらをちらし(たま)へり なんぢは(いきど)ほりたまへり ねがはくは(ふたた)びわれらを(かへ)したまへ 2なんぢ(くに)をふるはせてこれを(さき)たまへり ねがはくはその(おほ)くの(すき)をおぎなひたまへ そは(くに)ゆりうごくなり 3なんぢはその(たみ)にたへがたきことをしめし (ひと)をよろめかする(さけ)をわれらに(のま)しめ(たま)へり 4なんぢ眞理(まこと)のために(あげ)しめんとて(なんぢ)をおそるるものに(ひと)つの(はた)をあたへたまへりセラ 5ねがはくは(みぎ)(みて)をもて(すくひ)をほどこし われらに(こたへ)をなして(いつく)しみたまふものに(たすけ)をえしめたまへ 6(かみ)はその(きよき)をもていひたまへり われ(いた)くよろこばん われシケムをわかちスコテの(たに)をはからん 7ギレアデはわがもの マナセはわが(もの)なり エフライムも(また)わが(かうべ)のまもりなり ユダはわが(つゑ) 8モアブはわが足盥(あしだらひ)なり エドムにはわが(くつ)をなげん ベリシテよわが(ゆゑ)によりて(こゑ)をあげよと 9たれかわれを堅固(けんご)なる(まち)にすすましめんや (たれ)かわれをみちびきてエドムにゆきたるか 10(かみ)よなんぢはわれらを(すて)たまひしにあらずや (かみ)よなんぢはわれらの(いくさ)とともにいでゆきたまはず 11ねがはくは(たすけ)をわれにあたへて(てき)にむかはしめたまへ (ひと)のたすけは(むな)しければなり 12われらは(かみ)によりて(いさま)しくはたらかん われらの(てき)をみたまふものは(かみ)なればなり

第六十一篇

(こと)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ああ(かみ)よねがはくはわが(なく)(こゑ)をききたまへ わが(いのり)にみこころをとめたまへ 2わが(こころ)くづほるるとき()のはてより(なんぢ)をよばん なんぢ(われ)をみちびきてわが(およ)びがたきほどの(たか)(いは)にのぼらせたまへ 3なんぢはわが避所(さけどころ)われを(あた)よりのがれしむる堅固(けんご)なる(やぐら)なればなり 4われ永遠(とこしへ)になんぢの帷幄(あけばり)にすまはん(われ)なんぢの(つばさ)(した)にのがれんセラ 5(かみ)よなんぢはわがもろもろの(ちかひ)をきき(みな)をおそるるものにたまふ嗣業(ゆづり)をわれにあたへたまへり 6なんぢは(わう)生命(いのち)をのばし その(とし)幾代(いくよ)にもいたらせたまはん 7(わう)はとこしへに(かみ)のみまへにとどまらん ねがはくは仁慈(いつくしみ)眞實(まこと)とをそなへて(かれ)をまもりたまへ 8さらば(われ)とこしへに(みな)をほめうたひて()ごとにわがもろもろの(ちかひ)をつくのひ(はた)さん

第六十二篇

エドトンの(さま)にしたがひて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1わがたましひは(もだ)してただ(かみ)をまつ わがすくひは(かみ)よりいづるなり 2(かみ)こそはわが(いは)わがすくひなれ またわが(たか)(やぐら)にしあれば(われ)いたくは(うご)かされじ 3なんぢらは(いづれ)のときまで(ひと)におしせまるや なんぢら(あひ)(とも)にかたぶける石垣(いしがき)のごとく(ゆる)ぎうごける(かき)のごとくに(ひと)をたふさんとするか 4かれらは(ひと)をたふとき(くらゐ)よりおとさんとのみ(はか)り いつはりをよろこびまたその(くち)にてはいはひその(こころ)にてはのろふセラ 5わがたましひよ(もだ)してただ(かみ)をまて そはわがのぞみは(かみ)よりいづ 6(かみ)こそはわが(いは)わがすくひなれ (また)わがたかき(やぐら)にしあれば(われ)はうごかされじ 7わが(すくひ)とわが(さかえ)とは(かみ)にあり わがちからの(いは)わがさけどころは(かみ)にあり 8(たみ)よいかなる(とき)にも(かみ)によりたのめ その(みまへ)になんぢらの(こころ)をそそぎいだせ (かみ)はわれらの避所(さけどころ)なりセラ 9()にひくき(ひと)はむなしくたかき(ひと)はいつはりなり すべてかれらを權衡(はかり)におかば(うへ)にあがりて(むな)しきものよりも(かろ)きなり 10暴虐(しひたげ)をもて(たのみ)とするなかれ 掠奪(かすめうば)ふをもてほこるなかれ (とみ)のましくははる(とき)はこれに(こころ)をかくるなかれ 11ちからは(かみ)にあり(かみ)ひとたび(これ)をのたまへり われ二次(ふたたび)これをきけり 12ああ(しゆ)よあはれみも(また)なんぢにあり なんぢは(ひと)おのおのの(わざ)にしたがひて(むくい)をなしたまへばなり

第六十三篇

ユダの()にありしときに(よめ)るダビデのうた
1ああ(かみ)よなんぢはわが(かみ)なり われ(せち)になんぢをたづねもとむ (みづ)なき(かは)きおとろへたる()にあるごとくわが霊魂(たましひ)はかわきて(なんぢ)をのぞみ わが肉體(にくたい)はなんぢを(こひ)したふ 2(さき)にも(われ)かくのごとく大權(みちから)榮光(みさかえ)とをみんことをねがひ聖所(せいじよ)にありて()をなんぢより(はな)れしめざりき 3なんぢの仁慈(いつくしみ)はいのちにも(まさ)れるゆゑにわが口唇(くちびる)はなんぢを(ほめ)まつらん 4(かく)われはわが(いく)るあひだ(なんぢ)をいはひ(みな)によりてわが()をあげん 5 63:6われ(とこ)にありて(なんぢ)をおもひいで()(ふく)るままになんぢを(ふか)くおもはん(とき) わがたましひは(ずゐ)(あぶら)とにて(もてな)さるるごとく(あく)ことをえ わが(くち)はよろこびの口唇(くちびる)をもてなんぢを(ほめ)たたへん 7そはなんぢわが(たすけ)となりたまひたれば (われ)なんぢの(つばさ)のかげに(いり)てよろこびたのしまん 8わがたましひはなんぢを慕追(したひお)ふ みぎの(みて)はわれを(ささ)ふるなり 9(され)どわがたましひを(ほろぼ)さんとて(たづ)ねもとむるものは()のふかきところにゆき 10(また)つるぎの()にわたされ()(いぬ)()るところとなるべし 11しかれども(わう)(かみ)をよろこばん (かみ)によりて(ちかひ)をたつるものはみな(ほこ)ることをえん 虚偽(いつはり)をいふものの(くち)はふさがるべければなり

第六十四篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1(かみ)よわがなげくときわが(こゑ)をききたまへ わが生命(いのち)をまもりて(あた)のおそれより(まぬ)かれしめたまへ 2ねがはくは(なんぢ)われをかくして(あく)をなすものの(ひそ)かなる謀略(はかりごと)よりまぬかれしめ不義(ふぎ)をおこなふものの喧嘩(かまびすしき)よりまぬかれしめ(たま)3かれらは(つるぎ)のごとくおのが(した)をとぎ その(ゆみ)をはり()をつがへるごとく(にがき)(ことば)をはなち 4(かく)れたるところにて(またき)(もの)()んとす(には)かにこれを()ておそるることなし 5また彼此(たがひ)にあしき企圖(くはだて)をはげまし(とも)にはかりてひそかに(わな)をまうく (かく)ていふ(たれ)かわれらを()んと 6かれらはさまざまの不義(ふぎ)をたづねいだして(いふ)われらは(ねんご)ろにたづね(をは)れりと おのおのの(うち)のおもひと(こころ)とはふかし 7(しか)はあれど(かみ)()にてかれらを()たまふべし かれらは(には)かに(きず)をうけん 8(かく)てかれらの(した)(その)()にさからふがゆゑに(つひ)にかれらは(つまづ)かん これを()るものみな(のが)れさるべし 9もろもろの(ひと)はおそれん(しか)して(かみ)のみわざをのべつたへ その(なし)たまへることを(かんが)ふべし 10義者(ただしきもの)はヱホバをよろこびて(これ)によりたのまん すべて(こころ)のなほきものは(みな)ほこることを()

第六十五篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたる(うた)ダビデの讃美(さんび)なり
1ああ(かみ)よさんびはシオンにて(なんぢ)をまつ (ひと)はみまへにて(ちかひ)をはたさん 2(いのり)をききたまふものよ諸人(もろびと)こぞりて(なんぢ)にきたらん 3不義(ふぎ)のことば(われ)にかてり なんぢ我儕(われら)のもろもろの(とが)をきよめたまはん 4(なんぢ)にえらばれ(なんぢ)にちかづけられて(おほ)(には)にすまふ(もの)はさいはひなり われらはなんぢの(いへ)なんぢの(みや)のきよき(ところ)のめぐみにて(あく)ことをえん 5われらが(すくひ)のかみよ ()(うみ)とのもろもろの(はて)なるきはめて(とほき)ものの(たのみ)とするなんぢは公義(ただしき)によりて(おそ)るべきことをもて我儕(われら)にこたへたまはん 6かみは大能(たいのう)をおび その權力(みちから)によりてもろもろの(やま)をかたくたたしめ 7(うみ)のひびき狂瀾(おほなみ)のひびき もろもろの(たみ)のかしがましきを(しづ)めたまへり 8されば極遠(はて)にすめる人々(ひとびと)もなんぢのくさぐさの豫兆(しるし)をみておそる なんぢ朝夕(あしたゆふべ)のいづる(ところ)をよろこび(うた)はしめたまふ 9なんぢ()にのぞみて(みづそ)そぎおほいに(これ)をゆたかにしたまへり (かみ)のかはに(みづ)みちたり なんぢ如此(かく)そなへをなして(たなつ)(もの)をかれらにあたへたまへり 10なんぢ(たみぞ)をおほいにうるほし(うね)をたひらにし白雨(むらさめ)にてこれをやはらかにし その萌芽(もえいづ)るを(しゆく)11また恩惠(みめぐみ)をもて(とし)冕弁(かんむり)としたまへり なんぢの(みち)には(あぶら)したたれり 12その恩滴(したたり)()牧場(まき)をうるほし()(やま)はみな(よろこ)びにかこまる 13牧場(まき)はみな(ひつじ)のむれを()もろもろの(たに)穀物(たなつもの)におほはれたり かれらは(みな)よろこびてよばはりまた(うた)

第六十六篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたる讃美(さんび)なり (うた)なり
1全地(ぜんち)(かみ)にむかひて(よろこ)びよばはれ 2その(みな)榮光(えいくわう)をうたへその頌美(ほまれ)をさかえしめよ 3かみに(つげ)まつれ (なんぢ)のもろもろの功用(みわざ)はおそるべきかな(おほい)なる(ちから)によりてなんぢの(あた)はなんぢに(おそ)れしたがひ 4全地(ぜんち)はなんぢを(をが)みてうたひ(みな)をほめうたはんとセラ 5(きた)りて(かみ)のみわざをみよ (ひと)子輩(こら)にむかひて(なし)たまふことはおそるべきかな 6(かみ)はうみをかへて(かわ)ける()となしたまへり ひとびと歩行(かち)にて(かは)をわたりき その(ところ)にてわれらは(かみ)をよろこべり 7(かみ)はその大能(たいのう)をもてとこしへに統治(すべをさ)め その()諸國(くにぐに)をみたまふ そむく(もの)みづからを(あが)むべからずセラ 8もろもろの(たみ)よ われらの(かみ)をほめまつれ(かみ)をほめたたふる(こゑ)をきこえしめよ 9(かみ)はわれらの霊魂(たましひ)をながらへしめ われらの(あし)のうごかさるることをゆるしたまはず 10(かみ)よなんぢはわれらを(こころ)みて白銀(しろかね)をねるごとくにわれらを(ねり)たまひたればなり 11(なんぢ)われらを(あみ)にひきいれ われらの(こし)におもき()をおき 12人々(ひとびと)をわれらの(かうべ)のうへに(のり)こえしめたまひき われらは()のなか(みづ)のなかをすぎゆけり されど(なんぢ)その(なか)よりわれらをひきいたし豊盛(ゆたか)なる(ところ)にいたらしめたまへり 13 66:14われ燔祭(はんさい)をもてなんぢの(いへ)にゆかん (せま)りくるしみたるときにわが口唇(くちびる)のいひいでわが(くち)ののべし(ちかひ)をなんぢに(つくの)はん 15われ(こえ)たるものを燔祭(はんさい)とし牡羊(をひつじ)馨香(かほり)として(なんぢ)にささげ牡牛(をうし)牡山羊(をやぎ)とをそなへまつらんセラ 16(かみ)をおそるる(ひと)よ みな(きた)りてきけ われ(かみ)のわがたましひのために(なし)たまへることをのべん 17われわが(くち)をもて(かみ)によばはり また(した)をもてあがむ 18(しか)るにわが(こころ)にしれる不義(ふぎ)あらば(しゆ)はわれにききたまふまじ 19されどまことに(かみ)はききたまへり聖意(みこころ)をわがいのりの(こゑ)にとめたまへり 20(かみ)はほむべきかな わが(いのり)をしりぞけず その憐憫(あはれみ)をわれよりとりのぞきたまはざりき

第六十七篇

(こと)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたる(うた)なり 讃美(さんび)なり
1ねがはくは(かみ)われらをあはれみ われらをさきはひてその聖顔(みかほ)をわれらのうへに(てら)したまはんことをセラ 2()はなんぢの(みち)のあまねく()にしられ なんぢの(すくひ)のもろもろの(くに)のうちに(しら)れんがためなり 3かみよ庶民(たみら)はなんぢに感謝(かんしや)し もろもろの(たみ)はみな(なんぢ)をほめたたへん 4もろもろの(くに)はたのしみ(また)よろこびうたふべし なんぢ(なほき)をもて庶民(たみら)をさばき()のうへなる(よろづ)(くに)ををさめたまべければなりセラ 5(かみ)よたみらはなんぢに感謝(かんしや)し もろもろの(たみ)はみな(なんぢ)をほめたたへん 6()產物(なりいでもの)をいだせり (かみ)わが(かみ)はわれらを(さきは)ひたまはん 7(かみ)われらをさきはひたまふべし かくて()のもろもろの(はて)ことごとく(かみ)をおそれん

第六十八篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうたなり 讃美(さんび)なり
1ねがはくは(かみ)おきたまへ その(あた)はことごとくちり (かみ)をにくむものは(みまへ)よりにげさらんことを 2(けぶり)のおひやらるるごとくかれらを驅逐(おひやり)たまへ (あし)きものは()のまへに(らふ)のとくるごとく (かみ)のみまへにてほろぶべし 3されど(ただし)きものには歓喜(よろこび)あり かれら(かみ)(みまへ)にてよろこびをどらん()にたのしみて(よろこ)ばん 4(かみ)のみまへにうたへ その(みな)をほめたたへよ (のり)()をすぐる(もの)のために大道(おほぢ)をきづけ かれの()をヤハとよぶ その(まへ)によろこびをどれ 5きよき住居(すまひ)にまします(かみ)はみなしごの(ちち)やもめの審士(さばきびと)なり 6(かみ)はよるべなきものを家族(やから)(うち)にをらしめ囚人(めしうど)をとき福祉(さいはひ)にみちびきたまふ されど悖逆(そむく)(もの)はうるほひなき()にすめり 7(かみ)よなんぢは(たみ)にさきだちいでて()をすすみゆきたまひきセラ 8そのとき()ふるひ(てん)かみのみまへに()る シナイの(やま)すら(かみ)イスラエルの(かみ)(みまへ)にふるひうごけり 9(かみ)よなんぢの嗣業(ゆづり)()のつかれおとろへたるとき(ゆた)かなる(あめ)をふらせて(これ)をかたくしたまへり 10(さき)になんぢの公會(こうくわい)はその(なか)にとどまれり (かみ)よなんぢは(めぐみ)をもて(まづし)きもののために預備(そなへ)をなしたまひき 11(しゆ)みことばを(たま)ふ その佳音(おとづれ)をのぶる婦女(をんな)はおほくして(むれ)をなせり 12もろもろの軍旅(いくさ)(わう)たちはにげさる (にげ)()りたれば(いへ)なる婦女(をんな)はその掠物(えもの)をわかつ 13なんぢら(ひつじ)(をり)のうちにふすときは鴿(はと)のつばさの白銀(しろかね)におほはれその()黄金(こがね)におほはるるがごとし 14全能者(ぜんのうしや)かしこにて列王(わうたち)をちらし(たま)へるときはサルモンの(やま)(ゆき)ふりたるがごとくなりき 15バシャンのやまは(かみ)(やま)なりバシャンのやまは(みね)かさなれる(やま)なり 16(みね)かさなれるもろもろの(やま)よ なんぢら(いか)なれば(かみ)住所(すまひ)にえらびたまへる(やま)をねたみ()るや (さは)れヱホバは永遠(とこしへ)にこの(やま)にすみたまはん 17(かみ)戰車(いくさぐるま)はよろづに(よろづ)をかさね(ちぢ)にちぢをくはふ (しゆ)その(なか)にいませり 聖所(せいじよ)にいますがごとくシナイの(やま)にいまししがごとし 18なんぢ高處(たかきところ)にのぼり虜者(とりこ)をとりこにしてひきゐ禮物(いやしろ)(ひと)のなかよりも叛逆者(そむくもの)のなかよりも(うけ)たまへり ヤハの(かみ)ここに(すみ)たまはんが(ため)なり 19日々(ひごと)にわれらの()をおひたまふ(しゆ)われらのすくひの(かみ)はほむべきかなセラ 20(かみ)はしばしばわれらを(たす)けたまへる(かみ)なり ()よりのがれうるは(しゆ)ヱホバに()21(かみ)はその(あた)のかうべを(うち)やぶりたまはん (とが)のなかにとどまるものの(かみけ)おほき顱頂(いただき)をうちやぶりたまはん 22(しゆ)いへらく(われ)バシャンよりかれらを(たづさ)へかへり(うみ)のふかき(ところ)よりたづさへ(かへ)らん 23(かく)てなんぢの(あし)をそのあたの()にひたし(これ)をなんぢの(いぬ)(した)になめしめん 24(かみ)よすべての(ひと)はなんぢの(すすみ)()きたまふをみたり わが(かみ)わが(わう)聖所(せいじよ)にすすみゆきたまふを()たり 25(つづみ)うつ童女(をとめ)のなかにありて(うた)ふものは(まへ)にゆき(こと)ひくものは(あと)にしたがへり 26なんぢらすべての(つどひ)にて(かみ)をほめよイスラエルのみなもとより(いづ)るなんぢらよ (しゆ)をほめまつれ 27彼處(かしこ)にかれらを(すぶ)るとしわかきベニヤミンあり ユダの諸侯(きみたち)とその群衆(ともがら)とありまたゼブルンのきみたちナフタリの諸侯(きみたち)あり 28なんぢの(かみ)はなんぢの(ちから)をたてたまへり (かみ)よなんぢ我儕(われら)のためになしたまひし(こと)をかたくしたまヘ 29ヱルサレムなるなんぢの(みや)のために列王(わうたち)なんぢに禮物(いやしろ)をささげん 30ねがはくは(あし)()(けもの)むらがれる(をうし)(こうし)のごときもろもろの(たみ)をいましめてかれらに白銀(しろかね)をたづさへきたり みづから(まつろ)ふことを()しめたまへ (かみ)はたたかひを(この)むもろもろの(たみ)をちらしたまへり 31諸侯(きみたち)はエジプトよりきたり エテオピアはあわただしく(かみ)にむかひて()をのべん 32()のもろもろのくによ(かみ)のまへにうたへ(しゆ)をほめうたへセラ 33上古(いにしへ)よりの(てん)(てん)にのりたま(もの)にむかひてうたへ みよ(しゆ)はみこゑを(いだ)したまふ勢力(いきほひ)ある(みこゑ)をいだしたまふ 34なんぢらちからを(かみ)()せよその稜威(みいづ)はイスラエルの(うへ)にとどまり その大能(みちから)(くも)のなかにあり 35(かみ)のおそるべき(さま)はきよき(ところ)よりあらはる イスラエルの(かみ)はその(たみ)にちからと勢力(いきほひ)とをあたへたまふ (かみ)はほむべきかな

第六十九篇

百合花(ゆりのはな)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1(かみ)よねがはくは(われ)をすくひたまへ 大水(おほみづ)ながれきたりて()がたましひにまでおよべり 2われ(たち)()なきふかき(ひぢ)(なか)にしづめり われ(ふかき)(みづ)におちいるおほみづわが(うへ)をあふれすぐ 3われ歎息(なげき)によりてつかれたり わが(のど)はかわき わが()はわが(かみ)をまちわびておとろへぬ 4(ゆゑ)なくしてわれをにくむ(もの)わがかしらの()よりもおほく(いはれ)なくしてわが(あた)となり(われ)をほろぼさんとするものの勢力(いきほひ)つよし われ(かす)めざりしものをも(つくの)はせらる 5(かみ)よなんぢはわが(おろか)なるをしりたまふ わがもろもろの(つみ)はなんぢにかくれざるなり 6萬軍(ばんぐん)のヱホバ(しゆ)よ ねがはくは(なんぢ)をまちのぞむ(もの)をわが(ゆゑ)によりて(はづ)かしめらるることなからしめたまへ イスラエルの(かみ)よねがはくはなんぢを(もと)むる(もの)をわが(ゆゑ)によりて(はぢ)をおはしめらるることなからしめたまへ 7(われ)はなんぢのために(そしり)をおひ(はぢ)はわが(かほ)をおほひたればなり 8われわが兄弟(はらから)には旅人(たびびと)のごとく わが(はは)()には外人(あだしびと)のごとくなれり 9そはなんぢの(いへ)をおもふ熱心(ねつしん)われをくらひ(なんぢ)をそしるものの(そしり)われにおよべり 10われ(なみだ)をながして(しよく)をたち わが霊魂(たましひ)をなげかすれば(かへり)てこれによりて(そしり)をうく 11われ麁布(あらたへ)をころもとなししにかれらが諺語(ことわざ)となりぬ 12(かど)にすわる(もの)はわがうへをかたる われは(ゑひ)(しれ)たるものに(うた)ひはやされたり 13(しか)はあれどヱホバよわれは(めぐみ)のときに(なんぢ)にいのる ねがはくは(かみ)よなんぢの憐憫(あはれみ)のおほきによりて(なんぢ)のすくひの眞實(まこと)をもて(われ)にこたへたまへ 14ねがはくは(ひぢ)のなかより(われ)をたすけいだして(しづ)ざらしめたまへ (われ)をにくむものより(ふかき)(みづ)よりたすけいだしたまへ 15大水(おほみづ)われを(おほ)ふことなく(ふち)われをのむことなく(あな)その(くち)をわがうへに(とづ)ることなからしめたまへ 16ヱホバよねがはくは(われ)にこたへたまへ なんぢの仁慈(いつくしみ)うるはしければなり なんぢの憐憫(あはれみ)はおほしわれに(かへ)りきたりたまへ 17(みかほ)をなんぢの(しもべ)にかくしたまふなかれ われ(せま)りくるしめり ねがはくは(すみや)かに(われ)にこたへたまへ 18わがたましひに(ちか)くよりて(これ)をあがなひわが(あた)のゆゑに(われ)をすくひたまへ 19(なんぢ)はわがうくる(そしり)とはぢと侮辱(あなどり)とをしりたまへり わが(てき)はみな(なんぢ)のみまへにあり 20譭謗(そしり)わが(こころ)をくだきぬれば(われ)いたくわづらへり われ憐憫(あはれみ)をあたふる(もの)をまちたれど一人(ひとり)だになく(なぐさ)むるものを(まち)たれど一人(ひとり)をもみざりき 21かれら(にがき)(くさ)をわがくひものにあたへ わが(かわ)けるときに()をのませたり 22ねがはくは彼等(かれら)のまへなる(えん)(あみ)となり そのたのむ安逸(やすき)はつひに(わな)となれ 23その()をくらくして(みえ)しめず その(こし)をつねにふるはしめたまへ 24(ねがは)くはなんぢの忿恚(いきどほり)をかれらのうへにそそぎ(なんぢ)のいかりの猛烈(はげしき)をかれらに追及(おひしか)せたまへ 25かれらの(いへ)をむなしくせよ その幕屋(まくや)(ひと)をすまはするなかれ 26かれらはなんぢが(うち)たまひたる(もの)をせめ なんぢが(きずつ)けたまひたるものの(いたみ)をかたりふるればなり 27ねがはくはれらの不義(ふぎ)不義(ふぎ)をくはへてなんぢの()にあづからせ(たま)ふなかれ 28かれらを生命(いのち)(ふみ)よりけして(ただし)きものとともに(しる)さるることなからしめたまへ 29(かく)てわれはくるしみ(かつ)うれひあり (かみ)よねがはくはなんぢの(すくひ)われを高處(たかきところ)におかんことを 30われ(うた)をもて(かみ)(みな)をほめたたへ 感謝(かんしや)をもて(かみ)をあがめまつらん 31()はをうしまたは(つの)(ひづめ)とある(ちから)つよき牡牛(をうし)にまさりてヱホバよろこびたまはん 32謙遜者(へりくだるもの)はこれを()てよろこべり (かみ)をしたふ(もの)よなんぢらの(こころ)はいくべし 33ヱホバは(とも)しきものの(こゑ)をきき その俘囚(とらはれびと)をかろしめたまはざればなり 34天地(あめつち)はヱホバをほめ蒼海(おほうみ)とその(なか)にうごくあらゆるものとはヱホバを(ほむ)まつるべし 35(かみ)はシオンをすくひユダのもろもろの(まち)(たて)たまふべければなり かれらは其處(そこ)にすみ(かつ)これをおのが(もの)とせん 36その(しもべ)のすゑも(また)これを(つぎ)その(みな)をいつくしむ(もの)その(なか)にすまん

第七十篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデが記念(きねん)のうた
1(かみ)よねがはくは(われ)をすくひたまヘ ヱホバよ(とく)きたりて(われ)をたすけたまへ 2わが霊魂(たましひ)をたづぬるものの(はぢ)あわてんことを わが(そこな)はるるをよろこぶものの(うしろ)にしりぞきて(はぢ)をおはんことを 3ああ()よや()よやといふもののおのが(はぢ)によりて(うしろ)にしりぞかんことを 4すべて(なんぢ)をたづねもとむる(もの)のなんぢによりて(たのし)みよろこばんことを なんぢの(すくひ)をしたふもののつねに(かみ)(おほい)なるかなととなへんことを 5われは(くる)しみ(かつ)ともし(かみ)よいそぎて(われ)にきたりたまへ (なんぢ)はわが(たすけ)われを(すく)ふものなり ヱホバよねがはくは猶豫(ためらひ)たまふなかれ

第七十一篇

1ヱホバよ(われ)なんぢに依賴(よりたの)む ねがはくは(いづれ)()までも(はぢ)うくることなからしめ(たま)2なんぢの()をもて(われ)をたすけ(われ)をまぬかれしめたまへ なんぢの(みみ)をわれに(かたぶ)けて(われ)をすくひたまへ 3ねがはくは(なんぢ)わがすまひの(いは)となりたまへ われ(つね)にそのところに(ゆく)ことを()ん なんぢ(われ)をすくはんとて勅命(みことのり)をいだしたまへり そは(なんぢ)はわが(いは)わが(しろ)なり 4わが(かみ)よあしきものの()より不義(ふぎ)殘忍(ざんにん)なる(ひと)のてより (われ)をまぬかれしめたまへ 5(しゆ)ヱホバよなんぢはわが(のぞみ)なり わが幼少(おさなき)よりの(たのみ)なり 6われ(たい)をはなるるより(なんぢ)にまもられ(はは)(はら)にありしときより(なんぢ)にめぐまれたり (われ)つねに(なんぢ)をほめたたへん 7(われ)おほくの(ひと)にあやしまるるごとき(もの)となれり (され)どなんぢはわが堅固(けんご)なる避所(さけどころ)なり 8なんぢの(たたへ)(ごと)となんぢの頌美(ほまれ)とは終日(ひねもす)わが(くち)にみちん 9わが(とし)(おい)ぬるとき(われ)をすてたまふなかれ わが(ちから)おとろふるとき(われ)をはなれたまなかれ 10わが(あた)はわがことを(あげつら)ひ ひわが霊魂(たましひ)をうかがふ(もの)はたがひに(はかり)ていふ 11(かみ)かれを(はな)れたり(かれ)をたすくる(もの)なし かれを(おひ)てとらへよと 12(かみ)よわれに(とほ)ざかりたまふなかれ わが(かみ)よとく(きた)りて(われ)をたすけたまへ 13わがたましひの(てき)ははぢ(かつ)おとろへ(われ)をそこなはんとするものは(そしり)(はぢ)とにおほはれよ 14されど(われ)はたえず(のぞみ)をいだきていやますます(なんぢ)をほめたたへん 15わが(くち)はひねもす(なんぢ)()となんぢの(すくひ)とをかたらん われその(かず)をしらざればなり 16われは(しゆ)ヱホバの大能(たいのう)事跡(みわざ)をたづさへゆかん われは(ただ)なんぢの()のみをかたらん 17(かみ)よなんぢわれを幼少(おさなき)より(をし)へたまへり われ(いま)にいたるまで(なんぢ)のくすしき事跡(みわざ)をのべつたへたり 18(かみ)よねがはくはわれ(おい)頭髮(かみげ)しろくなるとも()がなんぢの(ちから)次代(つぎのよ)にのべつたへ なんぢの大能(みちから)()にうまれいづる(すべて)のものに(のべ)(つた)ふるまで(われ)をはなれ(たま)ふなかれ 19(かみ)よなんぢの()もまた(いと)たかし なんぢは(おほい)なることをなしたまへり (かみ)よたれか(なんぢ)にひとしき(もの)あらんや 20(なんぢ)われらを(おほく)のおもき苦難(なやみ)にあはせたまへり なんぢ(ふたた)びわれらを(いか)しわれらを()(ふかき)(ところ)よりあげたまはん 21ねがはくは(われ)をいよいよ(おほい)ならしめ(かへ)りきたりて(われ)をなぐさめ(たま)22わが(かみ)よさらばわれ(さう)をもて(なんぢ)をほめ なんぢの眞實(まこと)をほめたたへん イスラエルの聖者(せいじや)よわれ(こと)をもてなんぢを(ほめ)うたはん 23われ聖前(みまへ)にうたときわが口唇(くちびる)よろこびなんぢの(あがな)ひたまへるわが霊魂(たましひ)おほいに(よろこ)ばん 24わが(した)もまた終日(ひねもす)なんぢの()をかたらん われを(そこな)はんとするもの(はぢ)(あわ)つればなり

第七十二篇

ソロモンのうた
1(かみ)よねがはくは(なんぢ)のもろもろの審判(さばき)(わう)にあたへ なんぢの()をわうの()にあたへたまへ 2かれは()をもてなんぢの(たみ)をさばき公平(こうへい)をもて(くる)しむものを(さば)かん 3()によりて(やま)(をか)とは(たみ)平康(やすき)をあたふべし 4かれは(たみ)のくるしむ(もの)のために審判(さばき)をなし(とも)しきものの子輩(こら)をすくひ(しへた)ぐるものを(くだ)きたまはん 5かれらは()(つき)とのあらんかぎり世々(よよ)おしなべて(なんぢ)をおそるべし 6かれは(かり)とれる(まき)にふる(あめ)のごとく(つち)をうるほす白雨(むらさめ)のごとくのぞまん 7かれの()にただしき(もの)はさかえ平和(へいわ)(つき)のうするまで(ゆた)かならん 8またその政治(まつりごと)(うみ)より(うみ)にいたり(かは)より()のはてにおよぶべし 9()にをる(もの)はそのまへに(かが)み そり(あた)(ちり)をなめん 10タルシシおよび島々(しまじま)(わう)たちは(みつぎ)ををさめ シバとセバの(わう)たちは禮物(いやしろ)をささげん 11もろもろの(わう)はそのまへに俯伏(ひれふ)し もろもろの(くに)はかれにつかへん 12かれは(とも)しき(もの)をその(さけ)ぶときにすくひ (たす)けなき(くる)しむ(もの)をたすけ 13(よわ)きものと(とも)しき(もの)とをあはれみ(とも)しきものの霊魂(たましひ)をすくひ 14かれらのたましひを暴虐(しひたげ)強暴(あらび)とよりあがなひたまふ その()はみまへに(たふと)かるべし 15かれらは(ながら)ふべし (ひと)はシバの黄金(こがね)をささげてかれのために(つね)にいのり終日(ひねもす)かれをいははん 16(くに)のうち五穀(たなつもの)ゆたかにしてその()はレバノンのごとく(やま)のいただきにそよぎ (まち)人々(ひとびと)()(くさ)のごとく(さか)ゆべし 17かれの()はつねにたえず かれの()()(ひさ)しきごとくに(たゆ)ることなし (ひと)はかれによりて福祉(さいはひ)をえん もろもろの(くに)はかれをさいはひなる(もの)ととなへん 18ただイスラエルの(かみ)のみ(くす)しき事跡(みわざ)をなしたまへり (かみ)ヱホバはほむべきかな 19その榮光(えいくわう)()はよよにほむべきかな全地(ぜんち)はその榮光(えいくわう)にて滿(みつ)べしアーメン アーメン 20ヱッサイの()ダビデの(いのり)はをはりぬ

第七十三篇

アサフのうた
1(かみ)はイスラエルにむかひ(こころ)のきよきものに(むか)ひてまことに(めぐみ)あり 2(しか)はあれどわれはわが(あし)つまづくばかりわが(あゆみ)すべるばかりにてありき 3こはわれ(あし)きものの(さか)ゆるを()てその(ほこ)れる(もの)をねたみしによる 4かれらは(しぬ)るに(くる)しみなくそのちからは(かへり)てかたし 5かれらは(ひと)のごとく(うれひ)にをらず(ひと)のごとく患難(なやみ)にあふことなし 6このゆゑに傲慢(たかぶり)妝飾(かざり)のごとくその(くび)をめぐり強暴(あらび)はころものごとく彼等(かれら)をおほへり 7かれら(こえ)ふとりてその()とびいで(こころ)(ねがひ)にまさりて(もの)をうるなり 8また嘲笑(あざけり)をなし(あく)をもて暴虐(しへたげ)のことばをいだし(たか)ぶりてものいふ 9その(くち)(てん)におきその(した)()にあまねく(ゆか)しむ 10このゆゑにかれの(たみ)はここにかへり(みづ)のみちたる(さかづき)をしぼりいだして 11いへらく(かみ)いかで(しり)たまはんや至上者(いとたかきもの)知識(さとり)あらんやと 12()よかれらは(あし)きものなるに(つね)にやすらかにしてその(とみ)ましくははれり 13(まこと)(われ)はいたづらに(こころ)をきよめ(つみ)ををかさずして()をあらひたり 14そはわれ終日(ひねもす)なやみにあひ(あさ)ごとに(せめ)をうけしなり 15われもし(かか)ることを(のべ)んといひしならば(われ)なんぢが子輩(こら)()をあやまらせしならん 16われこれらの道理(ことはり)をしらんとして(おも)ひめぐらししにわが()いたく(いたみ)たり 17われ(かみ)聖所(せいじよ)にゆきてかれらの結局(いやはて)をふかく(おも)へるまでは(しか)りき 18(まこと)になんぢはかれらを(なめら)かなるところにおきかれらを滅亡(ほろび)におとしいれ(たま)19かれらは(またたく)(ひま)にやぶれたるかな彼等(かれら)恐怖(おそれ)をもてことごとく(ほろ)びたり 20(しゆ)よなんぢ()をさましてかれらが(ざう)をかろしめたまはんときは(ゆめ)みし(ひと)()さめたるがごとし 21わが(こころ)はうれへ わが(むらと)はさされたり 22われおろかにして知覺(さとり)なし聖前(みまへ)にありて(けもの)にひとしかりき 23されど(われ)つねになんぢとともにあり(なんぢ)わが右手(みぎのて)をたもちたまへり 24なんぢその訓諭(さとし)をもて(われ)をみちびき(のち)またわれをうけて榮光(さかえ)のうちに(いれ)たまはん 25(なんぢ)のほかに(われ)たれをか(てん)にもたん()にはなんぢの(ほか)にわが(した)ふものなし 26わが()とわが(こころ)とはおとろふ されど(かみ)はわがこころの(いは)わがとこしへの嗣業(ゆづり)なり 27()よなんぢに(とほ)きものは(ほろ)びん (なんぢ)をはなれて姦淫(たはれ)をおこなふ(もの)はみななんぢ(これ)をほろぼしたまひたり 28(かみ)にちかづき(まつ)るは(われ)によきことなり われは(しゆ)ヱホバを避所(さけどころ)としてそのもろもろの事跡(みわざ)をのべつたへん

第七十四篇

アサフの敎訓(をしへ)のうた
1(かみ)よいかなれば(なんぢ)われらをかぎりなく(すて)たまひしや 奈何(いかなれ)ばなんぢの草苑(まき)(ひつじ)にみかいかりの(けぶり)あがれるや 2ねがはくは往昔(むかし)なんぢが(かひ)(もと)めたまへる公會(こうくわい)ゆづりの支派(やから)となさんとて(あがな)ひたまへるものを(おも)ひいでたまへ(また)なんぢが(すみ)たまふシオンの(やま)をおもひいで(たま)3とこしへの滅亡(ほろび)(あと)にみあしを(むけ)たまへ(あた)聖所(せいじよ)にてもろもろの(あし)きわざをおこなへり 4なんぢの(てき)はなんぢの(つどひ)のなかに(ほえ)たけびおのが(はた)をたてて(しるし)とせり 5かれらは(はやし)のしげみにて(をの)をあぐる(ひと)(さま)にみゆ 6いま(てをの)(つち)とをもて聖所(せいじよ)のなかなる彫刻(ほりきざ)めるものをことごとく(こぼ)ちおとせり 7かれらはなんぢの聖所(せいじよ)()をかけ()居所(すみか)をけがして()におとしたり 8かれら(こころ)のうちにいふ われらことごとく(これ)をこぼちあらさんと かくて國内(くにのうち)なる(かみ)のもろもろの會堂(くわいだう)をやきつくせり 9われらの(しるし)はみえず預言者(よげんしや)(いま)はなし (かく)ていくその(とき)をかふべき われらのうちに()るものなし 10(かみ)(てき)はいくその(とき)をふるまでそしるや (あた)はなんぢの(みな)をとこしへに(けが)すならんか 11いかなれば(なんぢ)その(みて)みぎの(みて)をひきたまふや ねがはくは(みて)をふところよりいだしてかれらを(ほろぼ)したまへ 12(かみ)はいにしへよりわが(わう)なり すくひを()(なか)におこなひたまへり 13なんぢその(ちから)をもて(うみ)をわかち(みづ)のなかなる(たつ)(かうべ)をくだき 14(わに)のかうべをうちくだき()にすめる(たみ)にあたへて(しよく)となしたまへり 15なんぢは(いづみ)水流(ながれ)とをひらき(また)もろもろの大河(おほかは)をからしたまへり 16(ひる)はなんぢのもの(よる)(また)(なんぢ)のものなり なんぢは(ひかり)()とをそなへ 17あまねく()のもろもろの(さかひ)をたて(なつ)(ふゆ)とをつくりたまへり 18ヱホバよ(あた)はなんぢをそしり(おろ)かなる(たみ)はなんぢの(みな)をけがせり この(こと)をおもひいでたまへ 19(ねがは)くはなんぢの鴿(はと)のたましひを()のあらき(けもの)にわたしたまふなかれ (くる)しむものに(いのち)をとこしへに(わす)れたまふなかれ 20契約(けいやく)をかへりみたまへ()のくらきところは強暴(あらび)(すまひ)にて(みち)たればなり 21ねがはくは(しへた)げらるるものを(はぢ)退(しりぞ)かしめ(たま)ふなかれ (なやめ)るものと(くる)しむものとに聖名(みな)をほめたたへしめたまへ 22(かみ)よおきてなんぢの(うたへ)をあげつらひ(おろ)かなるものの終日(ひねもす)なんぢを(そし)れるをみこころに(とめ)たまへ 23なんぢの(てき)(こゑ)をわすれたまふなかれ (なんぢ)にさからひて(おこ)りたつ(もの)のかしがましき(こゑ)はたえずあがれり

第七十五篇

(ほろぼ)すなかれ」といふ調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるアサフの(うた)なり讃美(さんび)なり
1(かみ)よわれら(なんぢ)にかんしやす われら感謝(かんしや)すなんぢの(みな)はちかく(いま)せばなり もろもろの(ひと)はなんぢの(くす)しき事跡(みわざ)をかたりあへり 2(さだま)りたる(とき)いたらば(われ)なほき審判(さばき)をなさん 3()とすべての(これ)にすむものと(とけ)(さり)しとき(われ)そのもろもろの(はしら)をたてたりセラ 4われ(ほこ)れるものに(ほこ)りかにおこなふなかれといひ (あし)きものに(つの)をあぐるなかれといへり 5なんぢらの(つの)をたかく(あぐ)るなかれ(くび)をかたくして(たかぶ)りいふなかれ 6(あぐ)ることは(ひがし)よりにあらず西(にし)よりにあらずまた(みなみ)よりにもあらざるなり 7ただ(かみ)のみ審士(さばきびと)にましませば(これ)をさげ(かれ)をあげたまふ 8ヱホバの(みて)にさかづきありて(さけ)あわだてり その(なか)にものまじりてみつ (かみ)これをそそぎいだせり (まこと)にその(おり)()のすべてのあしき(もの)しぼりて()むべし 9されど(われ)はヤコブの(かみ)をのべつたへん とこしへに(ほめ)うたはん 10われ(あし)きもののすべての(つの)をきりはなたん (ただし)きものの(つの)はあげらるべし

第七十六篇

(こと)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるアサフの(うた)なり讃美(さんび)なり
1(かみ)はユダにしられたまへり その(みな)はイスラエルに(おほい)なり 2またサレムの(なか)にその幕屋(まくや)あり その居所(ゐすまひ)はシオンにあり 3彼所(かしこ)にてかれは(ゆみ)()()ををり(たて)(つるぎ)戰陣(いくさ)とをやぶりたまひきセラ 4なんぢ榮光(えいくわう)あり(かす)めうばふ(やま)よりもたふとし 5(こころ)のつよきものは(かす)めらる かれらは(ねぶり)にしづみ(いさ)ましきものは(みな)その()()うしなへり 6ヤコブの(かみ)よなんぢの叱咤(しつた)によりて戰車(いくさぐるま)(むま)とともに(ふかき)(ねぶり)につけり 7(かみ)よなんぢこそ(おそ)るべきものなれ (ひと)たび(いか)りたまふときは(たれ)かみまへに(たち)えんや 8 76:9なんぢ(てん)より宣告(せんこく)をのりたまへり ()のへりくだる(もの)をみなすくはんとて(かみ)のさばきに(たち)たまへるとき()はおそれて(もだ)したりセラ 10()(ひと)のいかりは(なんぢ)をほむべし (いかり)のあまりは(なんぢ)おのれの(おび)としたまはん 11なんぢの(かみ)ヱホバにちかひをたてて(つくの)へ そのまはりなるすべての(もの)はおそるべきヱホバに禮物(いやしろ)をささぐべし 12ヱホバはもろもろの諸侯(きみたち)のたましひを(たち)たまはん ヱホバは()(わう)たちのおそるべき(もの)なり

第七十七篇

エドトンの(さま)にしたがひて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるアサフのうた
1(われ)わがこゑをあげて(かみ)によばはん われ(こゑ)(かみ)にあげなばその(みみ)をわれにかたぶけたまはん 2わがなやみの()にわれ(しゆ)をたづねまつれり (よる)わが()をのべてゆるむることなかりき わがたましひは(なぐさ)めらるるをいなみたり 3われ(かみ)をおもひいでて(うち)なやむ われ(おも)ひなげきてわが霊魂(たましひ)おとろへぬセラ 4なんぢはわが()をささへて(ふさ)がしめたまはず (われ)はものいふこと(あた)はぬほどに(なや)みたり 5われむかしの()いにしへの(とし)をおもへり 6われ(よる)わが(うた)をむもひいづ (われ)わが(こころ)にてふかくおもひわが霊魂(たましひ)はねもころに(たづ)ねもとむ 7(しゆ)はとこしへに(すて)たまふや (ふたた)びめぐみを(たれ)たまはざるや 8その憐憫(あはれみ)はのこりなく永遠(とこしへ)にさり そのちかひは世々(よよ)ながく(すた)れたるや 9(かみ)(おん)をほどこすことを(わす)れたまふや (いかり)をもてそのあはれみを(とぢ)たまふやセラ 10(かか)るときに(われ)いへらく()はただわが(よわ)きがゆゑのみいで至上者(いとたかきもの)のみぎの(みて)のもろもろの(とし)をおもひいでん 11われヤハの作爲(みわざ)をのべとなへん われ往古(いにしへ)よりありし(なんぢ)がくすしきみわざを(おも)ひいたさん 12また(われ)なんぢのすべての作爲(みわざ)をおもひいで(なんぢ)のなしたまへることを(ふか)くおもはん 13(かみ)よなんぢの(みち)はいときよし (かみ)のごとく(おほい)なる(かみ)はたれぞや 14なんぢは(くす)きみわざをなしたまへる(かみ)なり もろもろの(たみ)のあひだにその大能(みちから)をしめし 15その(かひな)をもてヤコブ、ヨセフの子輩(こら)なんぢの(たみ)をあがなひたまへりセラ 16かみよ大水(おほみづ)なんぢを()たり おほみづ(なんぢ)をみてをののき(ふち)もまたふるへり 17(くも)はみづをそそぎいだし(から)はひびきをいだし なんぢの()ははしりいでたり 18なんぢの雷鳴(いかづち)のこゑは暴風(はやち)のうちにありき 電光(いなづま)()をてらし()はふるひうごけり 19なんぢの大道(おほぢ)(うみ)のなかにあり なんぢの(みち)はおほみづの(なか)にあり なんぢの蹤跡(みあと)はたづねがたかりき 20なんぢその(たみ)をモーセとアロンとの()によりて(ひつじ)(むれ)のごとくみちびきたまへり

第七十八篇

アサフの敎訓(をしへ)のうた
1わが(たみ)よわが敎訓(をしへ)をきき、わが(くち)のことばになんぢらの(みみ)をかたぶけよ 2われ(くち)をひらきて譬喩(たとへ)をまうけ いにしへの玄幽(かすか)なる(ことば)をかたりいでん 3(これ)われらが(さき)にききしところ(しり)しところ(また)われらが列祖(おやたち)のかたりつたへし(ところ)なり 4われら(これ)をその子孫(こら)にかくさずヱホバのもろもろの頌美(ほまれ)能力(ちから)とそのなしたまへる(くす)しき事跡(みわざ)とをきたらんとする()につげん 5そはヱホバ證詞(あかし)をヤコブのうちにたて律法(おきて)をイスラエルのうちに(さだ)めてその子孫(こら)にしらすべきことをわれらの列祖(おやたち)におほせたまひたればなり 6これ(きた)らんとする()のちに(うま)るる子孫(こら)がこれを(しり)みづから(おこ)りてそのまた子孫(こら)につたへ 7かれらをして(かみ)によりたのみ(かみ)のみわざを(わす)れずその誡命(いましめ)をまもらしめん(ため)なり 8またその列祖(おやたち)のごとく頑固(かたくな)にしてそむくものの(たぐひ)となり そのこころ(をさ)まらず そのたましひ(かみ)(まめ)ならざる(たぐひ)とならざらん(ため)なり 9エフライムのこらは武具(もののぐ)ととのへ(ゆみ)をたづさへしに(たたか)ひの()にうしろをそむけたり 10かれら(かみ)のちかひをまもらず そのおきてを(ふむ)ことをいなみ 11ヱホバのなしたまへることとかれらに(しめ)したまへる(くす)しき事跡(みわざ)とをわすれたり 12(かみ)はエジプトの(くに)にてゾアンの()にて(たへ)なる(こと)をかれらの列祖(おやたち)のまへになしたまへり 13すなはち(うみ)をさきてかれらを()ぎしめ(みづ)をつみて(うづた)かくしたまへり 14ひるは(くも)をもてかれらをみちびき(よる)はよもすがら()(ひかり)をもてこれを(みちび)きたまへり 15(かみ)はあれのにて(いは)をさき(おほい)なる(ふち)より(くむ)がごとくにかれらに(のま)しめ 16また(いは)より(ながれ)をひきて(かは)のごとくに(みづ)をながれしめたまへり 17(しか)るにかれら(なほ)たえまなく(つみ)ををかして(かみ)にさからひ荒野(あれの)にて至上者(いとたかきもの)にそむき 18またおのが(よく)のために(しよく)をもとめてその(こころ)のうちに(かみ)をこころみたり 19(しか)のみならずかれらは(かみ)にさからひていへり (かみ)荒野(あれの)にて(えん)をまうけたまふを()んや 20みよ(かみ)いはを(うち)たまへば(みづ)ほどばしりいで(ながれ)あぶれたり (かて)をもあたへたまふを()んや(かみ)はその(たみ)のために(にく)をそなへたまはんやと 21この(ゆゑ)にヱホバこれを(きき)ていきどほりたまひき ()はヤコブにむかひてもえあがり(いかり)はイスラエルにむかひて(たち)(のぼ)れり 22こはかれら(かみ)(しん)ぜずその(すくひ)にたのまざりし(ゆゑ)なり 23されどなほ(かみ)はうへなる(くも)(めい)じて(あめ)()をひらき 24彼等(かれら)のうへにマナをふらせて(くら)はしめ(あめ)穀物(たなつもの)をあたへたまへり 25(ひと)みな勇士(ますらを)(かて)をくらへり (かみ)はかれらに食物(くひもの)をおくりて(あき)()らしめたまふ 26(かみ)(てん)東風(こち)をふかせ大能(みちから)もて(みなみ)(かぜ)をみちびきたまへり 27(かみ)はかれらのうへに(ちり)のごとく(にく)をふらせ(うみ)(いさご)のごとく(つばさ)ある(とり)をふらせて 28その(えい)のなかその住所(すむところ)のまはりに(おと)したまへり 29(かく)てかれらは(くら)ひて(あき)たりぬ (かみ)はこれにその(のぞ)みしものを(あた)へたまへり 30かれらが(いま)だその(よく)をはなれず食物(くひもの)のなほ(くち)のうちにあるほどに 31(かみ)のいかり(はや)にかれらに(むか)ひてたちのぼり彼等(かれら)のうちにて(もつと)もこえたる(もの)をころしイスラエルのわかき(をとこ)をうちたふしたまへり 32これらの(こと)ありしかど彼等(かれら)はなほ(つみ)ををかしてその(くす)しきみわざを(しん)ぜざりしかば 33(かみ)はかれらの()(むな)しくすぐさせ その(とし)をおそれつつ(すぐ)させたまへり 34(かみ)かれらを(ころ)したまへる(とき)かれら(かみ)をたづね(かへ)りきたりて(ねんご)ろに(かみ)をもとめたり 35かくて(かみ)はおのれの(いは)いとたかき(かみ)はおのれの贖主(あがなひぬし)なることをおもひいでたり 36(しか)はあれど彼等(かれら)はただその(くち)をもて(かみ)にへつらひその(した)をもて(かみ)にいつはりをいひたりしのみ 37そはかれらのこころは(かみ)にむかひて(かた)からず その契約(けいやく)をまもるに忠信(ちゆうしん)ならざりき 38されど(かみ)はあはれみに(みち)たまへばかれらの不義(ふぎ)をゆるして(ほろぼ)したまはず(しばし)ばそのみいかりを(うつ)してことごとくは忿恚(いきどほり)をふりおこし(たま)はざりき 39(また)かれがただ(にく)にして過去(すぎされ)ばふたたび(かへ)りこぬ(かぜ)なるをおもひいで(たま)へり 40かれらは()にて(かみ)にそむき荒野(あれの)にて(かみ)をうれへしめしこと幾次(いくたび)ぞや 41かれらかへすがへす(かみ)をこころみイスラエルの聖者(せいじや)をはづかしめたり 42かれらは(かみ)(みて)をも(てき)より(あがな)ひたまひし()をもおもひいでざりき 43(かみ)はそのもろもろの豫兆(しるし)をエジプトにあらはしその(くす)しき(みわざ)をゾアンの()にあらはし 44かれらの(かは)()にかはらせてその(ながれ)(のみ)あたはざらしめ 45また(はへ)(むれ)をおくりてかれらをくはしめ(かはづ)をおくりてかれらを(ほろぼ)させたまへり 46(かみ)はかれらの田產(なりいでもの)蟊賊(おほねむし)にわたし かれらの勤勞(きんらう)(いなご)にあたへたまへり 47(かみ)(へう)をもてかれらの葡萄(ぶだう)()をからし(しも)をもてかれらの(くは)()をからし 48その家畜(けもの)をへうにわたしその(むれ)をもゆる閃電(いなづま)にわたし 49かれらの(うへ)にはげしき(いかり)といきどほりと怨恨(うらみ)となやみと禍害(わざはひ)のつかひの(むれ)とをなげいだし(たま)へり 50(かみ)はその(いかり)をもらす(みち)をまうけ かれらのたましひを()よりまぬかれしめず そのいのちを疫癘(えやみ)にわたし 51エジプトにてすべての初子(うひご)をうちハムの幕屋(まくや)にてかれらの(ちから)(はじめ)をうちたまへり 52されどおのれの(たみ)(ひつじ)のごとくに(ひき)いだし かれらを曠野(あらの)にてけだものの(むれ)のごとくにみちびき 53かれらをともなひておそれなく(やす)けからしめ(たま)へり されど(うみ)はかれらの(あた)をおほへり 54(かみ)はその聖所(せいじよ)のさかひ その(みぎ)()にて(かひ)たまへるこの(やま)(かれ)らを(たづさ)へたまへり 55(また)かれらの(まへ)にてもろもろの國人(くにびと)をおもひいだし準縄(はかりなは)をもちゐ その()をわかちて嗣業(ゆづり)となし イスラエルの(やから)をかれらの幕屋(まくや)にすまはせたまへり 56(しか)はあれど彼等(かれら)はいとたかき(かみ)をこころみ(これ)にそむきてそのもろもろの證詞(あかし)をまもらず 57(そむ)きしりぞきてその列祖(おやたち)(ごと)眞實(まこと)をうしなひ くるへる(ゆみ)のごとくひるがへりて(それ)ゆけり 58高處(たかきところ)をまうけて(かみ)のいきどほりをひき(きざ)める(ざう)にて(かみ)嫉妬(ねたみ)をおこしたり 59(かみ)ききたまひて(はなは)だしくいかり(おほい)にイスラエルを(にく)みたまひしかば 60人々(ひとびと)(なか)におきたまひし幕屋(まくや)なるシロのあげばりを(すて)さり 61その(ちから)をとりことならしめ その榮光(えいくわう)(てき)()にわたし 62その(たみ)(つるぎ)にあたへ その嗣業(ゆづり)にむかひて(はなは)だしく(いか)りたまへり 63()はかれらのわかき(をとこ)をやきつくし かれらの處女(をとめ)はその婚姻(こんいん)(うた)によりて(ほめ)らるることなく 64かれらの祭司(さいし)はつるぎにて(たふ)れ かれらの寡婦(やもめ)()のなげきだにせざりき 65(かか)るときに(しゆ)はねぶりし(もの)のさめしごとく勇士(ますらを)(さけ)によりてさけぶがごとく()さめたまひて 66その(てき)をうちしりぞけ とこしへの(はぢ)をかれらに(おは)せたまへり 67またヨセフの幕屋(まくや)をいなみエフライムの(やから)をえらばず 68ユダの(やから)そのいつくしみたまふシオンの(やま)をえらびたまへり 69その聖所(せいじよ)(やま)のごとく永遠(とこしへ)にさだめたまへる()のごとくに(たて)たまへり 70またその(しもべ)ダビデをえらびて(ひつじ)(をり)のなかよりとり 71()をあたふる()(ひつじ)にしたがひゆく(つとめ)のうちより(たづさ)へきたりてその(たみ)ヤコブその嗣業(ゆづり)イスラエルを(やしな)はせたまへり 72(かく)てダビデはそのこころの完全(またき)にしたがひてかれらを(やしな)ひ その()のたくみをもて(これ)をみちびけり

第七十九篇

アサフのうた
1ああ(かみ)よもろもろの異邦人(ことくにびと)はなんぢの嗣業(ゆづり)()ををかし なんぢの聖宮(きよきみや)をけがしヱルサレムをこぼちて礫堆(いしづか)となし 2なんぢの(しもべ)のしかばねをそらの(とり)(あた)へて()となし なんぢの聖徒(せいと)(にく)()のけものにあたへ 3その()をヱルサレムのめぐりに(みづ)のごとく(なが)したりされど(これ)をはうむる(ひと)なし 4われらは隣人(となりびと)にそしられ四周(めぐり)のひとびとに(あなど)られ(あざ)けらるるものとなれり 5ヱホバよ(かく)(いく)何時(そのとき)をへたまふや (なんぢ)とこしへに(いかり)たまふや なんぢのねたみは()のごとく(もゆ)るか 6(ねがは)くはなんぢを(しら)ざることくにびと聖名(みな)をよばざるもろもろの(くに)のうへに烈怒(みいかり)をそそぎたまへ 7かれらはヤコブを(のみ)その住處(すみか)をあらしたればなり 8われらにむかひて先祖(とほつおや)のよこしまなるわざを記念(きねん)したまふなかれ(ねがは)くはなんぢの憐憫(あはれみ)をもて(すみや)かにわれらを(むか)へたまへ われらは(おと)されて(はなは)だしく(ひく)くなりたればなり 9われらのすくひの(かみ)(みな)のえいくわうのために我儕(われら)をたすけ(みな)のためにわれらを(すく)ひ われらの(つみ)をのぞきたまへ 10いかなれば異邦人(ことくにびと)はいふ かれらの(かみ)はいづくにありやと (ねがは)くはなんぢの(しもべ)()がながされし()(むくい)をわれらの目前(まのあたり)になして異邦人(ことくにびと)にしらしめたまへ 11ねがはくは(なんぢ)のみまへにとらはれびとの嘆息(なげき)のとどかんことを なんぢの(おほい)なる能力(みちから)により()にさだめられし(もの)をまもりて(ながら)へしめたまへ 12(しゆ)よわれらの隣人(となりびと)のなんぢをそしりたる(そしり)七倍(ななかさ)ましてその(ふところ)にむくいかへしたまへ 13(さら)ばわれらなんぢの(たみ)なんぢの草苑(まき)のひつじは永遠(とこしへ)になんぢに感謝(かんしや)しその頌辭(たたへごと)世々(よよ)あらはさん

第八十篇

證詞(あかし)百合花(ゆりのはな)といへる調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるアサフの(うた)
1イスラエルの牧者(ぼくしゃ)よひつじの(むれ)のごとくヨセフを(みちび)きたまものよ (みみ)をかたぶけたまへ ケルビムのうへに()したまふものよ (ひかり)をはなちたまへ 2エフライム、ベニヤミン、マナセの(まへ)になんぢの(ちから)をふりおこし(きた)りてわれらを(すく)ひたまへ 3(かみ)よふたたびわれらを(かへ)し なんぢの聖顔(みかほ)のひかりをてらしたまへ (さら)ばわれら(すくひ)をえん 4ばんぐんの(かみ)ヱホバよなんぢその(たみ)(いのり)にむかひて(いづれ)のときまで(いか)りたまふや 5(なんぢ)かれらになみだの(かて)をくらはせ(なみだ)量器(ます)にみちみつるほどあたへて(のま)しめ(たま)へり 6(なんぢ)われらを隣人(となりびと)のあひあらそふ種料(たねぐさ)となしたまふ われらの(あた)はたがひにあざわらへり 7萬軍(ばんぐん)(かみ)よふたたびわれらを(かへ)したまへ (なんぢ)のみかほの(ひかり)をてらしたまへ さらばわれら(すくひ)をえん 8なんぢ葡萄(ぶだう)()をエジプトより(たづさ)へいだしもろもろの國人(くにびと)をおひしりぞけて(これ)をうゑたまへり 9(なんぢ)そのまへに()をまうけたまひしかば(ふか)(ねざ)して(くに)にはびこれり 10その(かげ)はもろもろの(やま)をおほひ そのえだは(かみ)香柏(かうはく)のごとくにてありき 11その()はえだを(うみ)にまでのべ その若枝(わかえ)(かは)にまでのべたり 12(なんぢ)いかなればその(かき)をくづして(みち)ゆくすべての(ひと)(つみ)()らせたまふや 13はやしの(ゐのこ)はこれをあらし()のあらき(けもの)はこれをくらふ 14ああ萬軍(ばんぐん)(かみ)よねがはくは(かへ)りたまへ (てん)より(ふし)()てこの葡萄(ぶだう)()をかへりみ 15なんぢが(みぎ)()にてうゑたまへるもの自己(みづから)のために(つよ)くなしたまへる(えだ)をまもりたまへ 16その()()にて(やか)れまた(きり)たふさる かれらは聖顔(みかほ)のいかりにて(ほろ)17ねがはくはなんぢの()をその(みぎ)()(ひと)のうへにおき自己(みづから)のためにつよくなしたまへる(ひと)()のうへにおきたまへ 18さらばわれら(なんぢ)をしりぞき(はな)るることなからん (ねがは)くはわれらを(いか)したまへ われら(みな)をよばん 19ああ萬軍(ばんぐん)(かみ)ヱホバよふたたび我儕(われら)をかへしたまへ なんぢの聖顔(みかほ)のひかりを(てら)したまへ (さら)ばわれら(すくひ)をえん

第八十一篇

ギテトの(こと)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるアサフのうた
1われらの(ちから)なる(かみ)にむかひて(たか)らかにうたひヤコブの(かみ)にむかひてよろこびの(こゑ)をあげよ 2(うた)をうたひ(つづみ)とよき()のことと(さう)とをもちきたれ 3新月(しんげつ)滿月(まんげつ)とわれらの節會(せちゑ)()とにラッパをふきならせ 4これイスラエルの律法(おきて)ヤコブのかみの(さだめ)なり 5(かみ)さきにエジプトを(せめ)たまひしときヨセフのなかに(これ)をたてて(あかし)となしたまへり (われ)かしこにて(いま)だしらざりし方言(ことば)をきけり 6われかれの(かた)より重荷(おもに)をのぞき かれの()(かご)よりまぬかれしめたり 7(なんぢ)なやめるとき(よび)しかば(われ)なんぢをすくへり われ雷鳴(いかづち)のかくれたるところにて(なんぢ)にこたへメリバの(みづ)のほとりにて(なんぢ)をこころみたりセラ 8わが(たみ)よきけ(われ)なんぢに(あかし)せん イスラエルよ(なんぢ)がわれに(したが)はんことをもとむ 9(なんぢ)のうちに他神(あだしかみ)あるべからず なんぢ他神(あだしかみ)ををがむべからず 10われはエジプトの(くに)よりなんぢを(たづさ)へいでたる(なんぢ)(かみ)ヱホバなり なんぢの(くち)をひろくあけよ われ(もの)をみたしめん 11されどわが(たみ)はわか(こゑ)にしたがはず イスラエルは(われ)をこのまず 12このゆゑに(われ)かれらが(こころ)のかたくななるにまかせ彼等(かれら)がその任意(こころまま)にゆくにまかせたり 13われはわが(たみ)のわれに(したが)ひイスフルのわが(みち)にあゆまんことを(もと)14さらば(われ)すみやかにかれらの(あた)をしたがへ わが()をかれらの(てき)にむけん 15(かく)てヱホバをにくみし(もの)もかれらに(したが)ひ かれらの(とき)はとこしへにつづかん 16(かみ)はむぎの(いと)(よき)をもてかれらをやしなひ (いは)よりいでたる(みつ)をもて(なんぢ)をあかしむべし

第八十二篇

アサフのうた
1かみは(かみ)のつどひの(なか)にたちたまふ (かみ)はもろもろの(かみ)のなかに審判(さばき)をなしたまふ 2なんぢらは(ただし)からざる審判(さばき)をなし あしきものの()をかたよりみて(いく)何時(そのとき)をへんとするやセラ 3よわきものと孤兒(みなしご)とのためにさばき(くる)しむものと(とも)しきものとのために公平(こうへい)をほどこせ 4(よわ)きものと(まづ)しきものとをすくひ彼等(かれら)をあしきものの()よりたすけいだせ 5かれらは()ることなく(さと)ることなくして暗中(くらきなか)をゆきめぐりぬ ()のもろもろの(もとゐ)はうごきたり 6(われ)いへらく なんぢらは(かみ)なりなんぢらはみな至上者(いとたかきもの)()なりと 7(され)どなんぢらは(ひと)のごとくに(しに)もろもろの(きみ)のなかの一人(ひとり)のごとく(たふ)れん 8(かみ)よおきて全地(ぜんち)をさばきたまへ (なんぢ)もろもろの(くに)(つぎ)たまふべければなり

第八十三篇

アサフの(うた)なり讃美(さんび)なり
1(かみ)よもだしたまふなかれ(かみ)よものいはで寂靜(しづまり)たまふなかれ 2()よなんぢの(あた)はかしがきしき(こゑ)をあげ(なんぢ)をにくむものは(かしら)をあげたり 3かれらはたくみなる謀略(はかりごと)をもてなんぢの(たみ)にむかひ(あひ)(とも)にはかりて(なんぢ)のかくれたる(もの)にむかふ 4かれらいひたりき (いざ)かれらを(たち)(ほろぼ)してふたたび(くに)をたつることを()ざらしめイスラエルの()をふたたび(ひと)にしられざらしめんと 5かれらは(こころ)(ひと)つにしてともにはかり(たがひ)にちかひをなしてなんぢに(さか)6こはエドムの幕屋(まくや)にすめる(ひと)イシマエル(びと)モアブ、ハガル(びと) 7ゲバル、アンモン、アマレク、ペリシテおよびツロの(たみ)などなり 8アッスリヤも(また)かれらにくみせり (かく)てロトの子輩(こら)のたすけをなせりセラ 9なんぢ(さき)にミデアンになしたまへる(ごと)くキションの(かは)にてシセラとヤビンとに(なし)たまへるごとく彼等(かれら)にもなしたまへ 10かれらはエンドルにてほろび()のために肥料(こえ)となれり 11かれらの貴人(きにん)をオレブ、ゼエブのごとくそのもろもろの(きみ)をゼバ、ザルムンナのごとくなしたまへ 12かれらはいへり われら(かみ)草苑(まき)をえてわが(もの)とすべしと 13わが(かみ)よかれらをまきあげらるる(ちり)のごとく(かぜ)のまへの(わら)のごとくならしめたまへ 14(はやし)をやく()のごとく(やま)をもやす(ほのほ)のごとく 15なんぢの暴風(はやち)をもてかれらを()ひなんぢの旋風(つむじかぜ)をもてかれらを(おそ)れしめたまへ 16かれらの(かほ)(はぢ)をみたしめたまへ ヱホバよ(さら)ばかれらなんぢの()をもとめん 17かれらをとこしへに(はぢ)おそれしめ(あわ)てまどひて(ほろ)びうせしめたまへ 18(さら)ばかれらはヱホバてふ()をもちたまふ(なんぢ)のみ全地(ぜんち)をしろしめす至上者(いとたかきもの)なることを()るべし

第八十四篇

ギテトの(こと)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のうた
1萬軍(ばんぐん)のヱホバよなんぢの帷幄(あけばり)はいかに(あい)すべきかな 2わが霊魂(たましひ)はたえいるばかりにヱホバの(おほ)(には)をしたひ わが(こころ)わが()はいける(かみ)にむかひて(よば)3(まこと)やすずめは(やどり)をえ燕子(つばくらめ)はその(ひな)をいるる()をえたり萬軍(ばんぐん)のヱホバわが(わう)わが(かみ)よ これなんぢの祭壇(さいだん)なり 4なんぢの(いへ)にすむものは(さいは)ひなり かかるひとはつねに(なんぢ)をたたへまつらんセラ 5その(ちから)なんぢにあり その(こころ)シオンの大路(おほぢ)にある(もの)はさいはひなり 6かれらは(なみだ)(たに)をすぐれども其處(そこ)をおほくの(いづみ)あるところとなす また(まへ)(あめ)はもろもろの(めぐみ)をもて(これ)をおほへり 7かれらは(ちから)より(ちから)にすすみ(つひ)におのおのシオンにいたりて(かみ)にまみゆ 8ばんぐんの(かみ)ヱホバよわが(いのり)をききたまへ ヤコブの(かみ)(みみ)をかたぶけたまへセラ 9われらの(たて)なる(かみ)よ みそなはして なんぢの受膏者(じゆかうじや)(かほ)をかへりみたまへ 10なんぢの(おほ)(には)にすまふ一日(いちにち)千日(せんにち)にもまされり われ(あく)幕屋(まくや)にをらんよりは (むし)ろわが(かみ)のいへの門守(かどもり)とならんことを(ねが)ふなり 11そは(かみ)ヱホバは()なり(たて)なり ヱホバは(おん)とえいくわうとをあたへ(なほ)くあゆむものに(よき)(もの)をこばみたまふことなし 12萬軍(ばんぐん)のヱホバよなんぢに依賴(よりたの)むものはさいはひなり

第八十五篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のうた
1ヱホバよなんぢは御國(みくに)にめぐみをそそぎたまへり なんぢヤコブの俘囚(とらはれ)をかへしたまひき 2なんぢおのが(たみ)不義(ふぎ)をゆるしそのもろもろの(つみ)をおほひたまひきセラ 3(なんぢ)すべての(いかり)をすてその(はげ)しきいきどほりを(とほざ)けたまへり 4われらのすくひの(かみ)よかへりきたり我儕(われら)にむかひて忿怒(みいかり)をやめたまへ 5なんぢ永遠(とこしへ)にわれらをいかり萬世(よろづよ)にみいかりをひきのべたまふや 6(なんぢ)によりてなんぢの(たみ)喜悦(よろこび)をえんが(ため)我儕(われら)(いか)したまはざるか 7ヱホバよなんぢの憐憫(あはれみ)をわれらにしめし(なんぢ)のすくひを我儕(われら)にあたへたまへ 8わが(かみ)ヱホバのいたりたまふ(こと)をきかん ヱホバはその(たみ)その聖徒(せいと)平和(へいわ)をかたりたまへばなり さればかれらは(おろ)かなる行爲(おこなひ)にふたたび(かへ)るなかれ 9()にそのすくひは(かみ)をおそるる(もの)にちかし かくて榮光(えいくわう)はわれらの(くに)にとどまらん 10あはれみと眞實(まこと)とともにあひ()平和(へいわ)とたがひに接吻(くちつけ)せり 11まことは()よりはえ()(てん)よりみおろせり 12ヱホバ(よき)(もの)をあたへたまへばわれらの(くに)物產(なりいでもの)をいださん 13()はヱホバのまへにゆきヱホバのあゆみたまふ(あと)をわれに(ふま)しめん

第八十六篇

ダビデの祈祷(いのり)
1ヱホバよなんぢ(みみ)をかたぶけて(われ)にこたへたまへ (われ)はくるしみかつ(とも)しければなり 2ねがはくはわが霊魂(たましひ)をまもりたまへ われ(かみ)をうやまふ(もの)なればなり わが(かみ)よなんぢに依賴(よりたの)める(なんぢ)のしもべを(すく)(たま)3(しゆ)よわれを(あはれ)みたまへ われ終日(ひねもす)なんぢによばふ 4なんぢの(しもべ)のたましひを(よろこ)ばせたまへ (しゆ)よわが霊魂(たましひ)はなんぢを(あふ)ぎのぞむ 5(しゆ)よなんぢは(めぐみ)ふかくまた(ゆるし)をこのみたまふ (なんぢ)によばふ(すべ)てのものを(ゆた)かにあはれみたまふ 6ヱホバよわがいのりに(みみ)をかたぶけ わが懇求(ねがひ)のこゑをききたまへ 7われわが患難(なやみ)()になんぢに(よば)はん なんぢは(われ)にこたへたまふべし 8(しゆ)よもろもろの(かみ)のなかに(なんぢ)にひとしきものはなく(なんぢ)のみわざに(ひと)しきものはなし 9(しゆ)よなんぢの(つく)れるもろもろの(くに)はなんぢの(まへ)にきたりて(ふし)(をが)まん かれらは聖名(みな)をあがむべし 10なんぢは(おほい)なり(くす)しき事跡(みわざ)をなしたまふ (ただ)なんぢのみ(かみ)にましませり 11ヱホバよなんぢの(みち)をわれに(をし)へたまへ(われ)なんぢの眞理(まこと)をあゆまん ねがはくは(われ)をして(こころ)ひとつに聖名(みな)をおそれしめたまへ 12(しゆ)わが(かみ)(われ)(こころ)をつくして(なんぢ)をほめたたへ とこしへに聖名(みな)をあがめまつらん 13そはなんぢの憐憫(あはれみ)はわれに(おほい)なり わがたましひを陰府(よみ)のふかき(ところ)より(たす)けいだしたまへり 14(かみ)よたかぶれるものは(われ)にさからひて(おこ)りたち(あら)ぶる(ひと)(つどひ)はわがたましひをもとめ (かく)てなんぢを(おの)がまへに(おか)ざりき 15されど(しゆ)よなんぢは憐憫(あはれみ)とめぐみとにとみ(いかり)をおそくし(いつく)しみと眞實(まこと)とにゆたかなる(かみ)にましませり 16(われ)をかへりみ(われ)をあはれみたまへ ねがはくは(なんぢ)のしもべに能力(ちから)(あた)(なんぢ)のはしための()をすくひたまへ 17(われ)にめぐみの憑據(しるし)をあらはしたまへ (さら)ばわれをにくむ(もの)これをみて(はぢ)をいだかん そはヱホバよなんぢ(われ)をたすけ(われ)をなぐさめたまへばなり

第八十七篇

コラの()のうたなり讃美(さんび)なり
1ヱホバの(もとゐ)はきよき(やま)にあり 2ヱホバはヤコブのすべての住居(すまひ)にまさりてシオンのもろもろの(かど)(あい)したまふ 3(かみ)(みやこ)よなんぢにつきておほくの榮光(えいくわう)のことを(かた)りはやせりセラ 4われはラハブ、バビロンをも(われ)をしるものの(うち)にあげん ペリシテ、ツロ、エテオピアを()よこの(ひと)はかしこに(うま)れたりといはん 5シオンにつきては如此(かく)いはん (この)もの(かの)ものその(なか)にうまれたり至上者(いとたかきもの)みづからシオンを(たて)たまはんと 6ヱホバもろもろの(たみ)をしるしたまふ(とき)このものは彼處(かしこ)にうまれたりと(かぞ)へあげたまはんセラ 7うたふもの(をど)るもの(みな)いはん わがもろもろの(いづみ)はなんぢの(うち)にありと

第八十八篇

マハラテ、レアノテの調(しらべ)にあはせて伶長(うたのかみ)にうたはしめたるコラの()のうたなり 讃美(さんび)なり、エズフ(びと)ヘマンのをしへの(うた)なり
1わがすくひの(かみ)ヱホバよわれ(ひる)(よる)もなんぢの(まへ)にさけべり 2(ねがは)くはわが(いのり)をみまへにいたらせ(なんぢ)のみみをわが號呼(さけび)のこゑにかたぶけたまへ 3わがたましひは患難(なやみ)にてみち()がいのちは陰府(よみ)にちかづけり 4われは(あな)にいるものとともにかぞへられ依仗(よるべ)なき(ひと)のごとくなれり 5われ(はか)のうちなる(ころ)されしもののごとく(しねる)(もの)のうちにすてらる(なんぢ)かれらを(ふたた)びこころに(とめ)たまはず かれらは御手(みて)より(たち)(ほろぼ)されしものなり 6なんぢ(われ)をいとふかき(あな) くらき(ところ) ふかき(ふち)におきたまひき 7なんぢの(いかり)はいたくわれにせまれり なんぢそのもろもろの(なみ)をもて(われ)をくるしめ(たま)へりセラ 8わが(あひ)(しる)ものを(われ)よりとほざけ(われ)をかれらに(にく)ませたまへり われは(こめ)(とざ)されていづることあたはず 9わが()はなやみの(ゆゑ)をもておとろへぬ われ()ごとに(なんぢ)をよべり ヱホバよなんぢに(むか)ひてわが兩手(もろて)をのべたり 10なんぢ(しねる)(もの)にくすしき事跡(みわざ)をあらはしたまはんや (うせ)にしもの(たち)てなんぢを(ほめ)たたへんやセラ 11(なんぢ)のいつくしみは(はか)のうちに(なんぢ)のまことは滅亡(ほろび)のなかに宣傳(のべつた)へられんや 12(なんぢ)のくすしきみわざは幽暗(くらき)になんぢの()忘失(わすれ)のくにに(しら)るることあらんや 13されどヱホバよ(われ)なんぢに(むか)ひてさけべり わがいのりは(あした)にみまへに(いた)らん 14ヱホバよなんぢ(いか)なればわが霊魂(たましひ)をすてたまふや(いか)なればわれに(みかほ)をかくしたまふや 15われ幼稚(をさなき)よりなやみて(しぬ)るばかりなり(われ)なんぢの恐嚇(おびやかし)にあひてくるしみまどへり 16(なんぢ)のはげしき(いかり)わがうへをすぐ(なんぢ)のおびやかし(われ)をほろぼせり 17これらの(こと)ひねもす大水(おほみづ)のごとく(われ)をめぐり ことごとく(きた)りて(われ)をかこみふさげり 18なんぢ(われ)をいつくしむ(もの)とわが(とも)とをとほざけ わが(あひ)()るものを幽暗(くらき)にいれたまへり

第八十九篇

エズラ(びと)エタンのをしへの(うた)
1われヱホバの憐憫(あはれみ)をとこしへにうたはん われ(くち)もてヱホバの眞實(まこと)をよろづ()につげしらせん 2われいふ あはれみは永遠(とこしへ)にたてらる (なんぢ)はその眞實(まこと)をかたく(てん)にさだめたまはんと 3われわが(えら)びたるものと契約(けいやく)をむすびわが(しもべ)ダビデにちかひたり 4われなんぢの(すゑ)をとこしへに(かた)うしなんぢの座位(くらゐ)をたてて代々(よよ)におよばしめんセラ 5ヱホバよもろもろの(てん)はなんぢの(くす)しき事跡(みわざ)をほめん なんぢの眞實(まこと)もまた(きよ)きものの(つどひ)にてほめらるべし 6蒼天(おほぞら)にてたれかヱホバに(たぐ)ふものあらんや (かみ)()のなかに(たれ)かヱホバのごとき(もの)あらんや 7(かみ)はきよきものの公會(こうくわい)のなかにて(かしこ)むべきものなり その四周(まはり)にあるすべての(もの)にまさりて(おそ)るべきものなり 8萬軍(ばんぐん)(かみ)ヱホバよヤハよ(なんぢ)のごとく大能(たいのう)あるものは(たれ)ぞや なんぢの眞實(まこと)はなんぢをめぐりたり 9なんぢ(うみ)のあるるををさめ その(なみ)のたちあがらんときは(これ)をしづめたまふなり 10なんぢラハブを(ころ)されしもののごとく(うち)(くだ)きおのれの(あた)どもを(ちから)ある(みうで)をもて(うち)(ちら)したまへり 11もろもろの(てん)はなんぢのもの()もまた(なんぢ)のものなり世界(せかい)とその(なか)にみつるものとはなんぢの(もとゐ)したまへるなり 12(きた)(みなみ)はなんぢ(つく)りたまへり タボル、ヘルモンはなんぢの(みな)によりて(よろこ)びよばふ 13なんぢは大能(たいのう)のみうでをもちたまふ なんぢの(みて)はつよく(なんぢ)のみぎの(みて)はたかし 14()公平(こうへい)はなんぢの寳座(みくら)のもとゐなり あはれみと眞實(まこと)とは聖顔(みかほ)のまへにあらはれゆく 15よろこびの(おと)をしる(たみ)はさいはひなり ヱホバよかれらはみかほの(ひかり)のなかをあゆめり 16かれらは(みな)によりて終日(ひねもす)よろこび (なんぢ)()によりて(たか)くあげられたり 17かれらの(ちから)榮光(えいくわう)はなんぢなり (なんぢ)(めぐみ)によりてわれらの(つの)はたかくあげられん 18そはわれらの(たて)はヱホバに(つき)われらの(わう)はイスラエルの聖者(せいじや)につけり 19そのとき異象(まぼろし)をもてなんぢの聖徒(せいと)につげたまはく われ佑助(たすけ)をちからあるものに(ゆだ)ねたり わが(たみ)のなかより一人(ひとり)をえらびて(たか)くあげたり 20われわが(しもべ)ダビデをえて(これ)にわが(きよき)(あぶら)をそそげり 21わが()はかれとともに(かた)くわが(かひな)はかれを(つよ)くせん 22(あた)かれをしへたぐることなし(あく)()かれを(くる)しむることなからん 23われかれの(まへ)にそのもろもろの(てき)をたふし(かれ)をにくめるものを(うた)24されどわが眞實(まこと)とわが憐憫(あはれみ)とはダビデとともに()り わが()によりてその(つの)はたかくあげられん 25われ(また)かれの()(うみ)のうへにおき そのみぎの()(かは)のうへにおかん 26ダビデ(われ)にむかひて(なんぢ)はわが(ちち)わが(かみ)わがすくひの(いは)なりとよばん 27われまた(かれ)をわが初子(うひご)となし()(わう)たちのうち(いと)もたかき(もの)となさん 28われとこしへに憐憫(あはれみ)をかれがためにたもち (これ)とたてし契約(けいやく)はかはることなかるべし 29われまたその(すゑ)をとこしへに(ながら)へ そのくらゐを(てん)()(かず)のごとくながらへしめん 30もしその()わが(のり)をはなれ わが審判(さばき)にしたがひて(あゆ)まず 31わが律法(おきて)をやぶりわが誡命(いましめ)をまもらずば 32われ(つゑ)をもてかれらの(とが)をただし(むち)をもてその邪曲(よこしま)をただすべし 33されど(かれ)よりわが憐憫(あはれみ)をことごとくはとりさらず わが眞實(まこと)をおとろへしむることなからん 34われおのれの契約(けいやく)をやぶらず(おのれ)のくちびるより(いで)しことをかへじ 35われ(さき)にわが(きよき)をさして(ちか)へり われダビデに虚偽(いつはり)をいはじ 36その(すゑ)はとこしへにつづきその座位(くらゐ)()のごとく(つね)にわが(まへ)にあらん 37また(つき)のごとく永遠(とこしへ)にたてられん(そら)にある(あかし)(びと)はまことなりセラ 38されどその受膏者(じゆかうじや)をとほざけて(すて)たまへり なんぢ(これ)をいきどほりたまへり 39なんぢ(おの)がしもべの契約(けいやく)をいみ (その)かんむりをけがして()にまでおとし(たま)へり 40またその(かき)をことごとく(たふ)し その保砦(とりで)をあれすたれしめたまへり 41その(みち)をすぐるすべての(もの)にかすめられ隣人(となりびと)にののしらる 42なんぢかれが(てき)のみぎの()をたかく(あげ)そのもろもろの(あた)をよろこばしめたまへり 43なんぢかれの(つるぎ)()をふりかへして戰闘(たたかひ)にたつに()へざらしめたまひき 44またその光輝(かがやき)をけしその座位(くらゐ)()になげおとし 45その(とし)(わか)()をちぢめ(はぢ)をそのうへに(おほひ)たまへりセラ 46ヱホバよかくて(いく)何時(そのとき)をへたまふや自己(みづから)をとこしへに(かく)したまふや忿怒(みいかり)()のもゆるごとくなるべきか 47ねがはくはわが(とき)のいかに(みぢ)かきかを(おも)ひたまへ (なんぢ)いたづらにすべての(ひと)()をつくりたまはんや 48(たれ)かいきて()をみず(また)おのがたましひを陰府(よみ)より(すく)ひうるものあらんやセラ 49(しゆ)よなんぢが眞實(まこと)をもてダビデに(ちか)ひたまへる昔日(むかし)のあはれみはいづこにありや 50 89:51(しゆ)よねがはくはなんぢの(しもべ)のうくる(そしり)をみこころにとめたまへ ヱホバよ(なんぢ)のもろもろの(あた)はわれをそしりなんぢの受膏者(じゆかうじや)のあしあとをそしれり (われ)もろもろの(たみ)のそしりをわが懐中(ふところ)にいだく 52ヱホバは永遠(とこしへ)にほむべきかな アーメン アーメン

第九十篇

(かみ)(ひと)モーセの祈祷(いのり)
1(しゆ)よなんぢは往古(いにしへ)より世々(よよ)われらの居所(すみか)にてましませり 2(やま)いまだ(なり)いでず(なんぢ)いまだ()世界(せかい)とをつくりたまはざりしとき 永遠(とこしへ)よりとこしへまでなんぢは(かみ)なり 3なんぢ(ひと)(ちり)にかへらしめて(のたま)はく (ひと)()よなんぢら(かへ)れと 4なんぢの目前(めのまへ)には千年(ちとせ)もすでにすぐる昨日(きのふ)のごとく また夜間(よのま)のひとときにおなじ 5なんぢこれらを大水(おほみづ)のごとく(ながれ)()らしめたまふ かれらは一夜(ひとよ)(ねむり)のごとく(あした)にはえいづる(あを)(くさ)のごとし 6(あした)にはえいでてさかえ(ゆふべ)にはかられて(かる)るなり 7われらはなんぢの(いかり)によりて(きえ)うせ (なんぢ)のいきどほりによりて(おぢ)まどふ 8(なんぢ)われらの不義(ふぎ)をみまへに(おき) われらの(かく)れたるつみを聖顔(みかほ)のひかりのなかにおきたまへり 9われらのもろもろの()はなんぢの(いかり)によりて過去(すぎさら)り われらがすべての(とし)のつくるは一息(ひといき)のごとし 10われらが(とし)をふる()七十歳(ななそじ)にすぎず あるひは(すこ)やかにして八十歳(やそじ)にいたらん されどその(ほこ)るところはただ勤勞(きんらう)とかなしみとのみ その(さり)ゆくこと(すみや)かにしてわれらもまた(とび)()れり 11(たれ)かなんぢの(いかり)のちからを()らんや たれか(なんぢ)をおそるる(おそれ)にたくらべて(なんぢ)のいきどほりをしらんや 12(ねがは)くはわれらにおのが()をかぞふることををしへて智慧(ちゑ)のこころを()しめたまへ 13ヱホバよ(かへ)りたまへ(かく)ていくそのときを()たまふや ねがはくは(なんぢ)のしもべらに(かかは)れるみこころを()へたまへ 14ねがはくは(あした)にわれらを(なんぢ)のあはれみにてあきたらしめ ()をはるまで(よろこ)びたのしませたまへ 15(なんぢ)がわれらを(くる)しめたまへるもろもろの()と われらが禍害(わざはひ)にかかれるもろもろの(とし)とにたくらべて我儕(われら)をたのしませたまへ 16なんぢの作爲(みわざ)をなんぢの(しもべ)()に なんぢの榮光(えいくわう)をその子等(こら)にあらはしたまへ 17(かく)てわれらの(かみ)ヱホバの佳美(うるはしき)をわれらのうへにのぞましめ われらの()のわざをわれらのうへに(かた)からしめたまへ (ねがは)くはわれらの()のわざを(かた)からしめたまへ

第九十一篇

1至上者(いとたかきもの)のもとなる(かく)れたるところにすまふその(ひと)全能者(ぜんのうしや)(かげ)にやどらん 2われヱホバのことを(のべ)て ヱホバはわが避所(さけどころ)わが(しろ)わがよりたのむ(かみ)なりといはん 3そは(かみ)なんぢを狩人(かりうど)のわなと(どく)をながす疫癘(えやみ)よりたすけいだしたまふべければなり 4かれその(はね)をもてなんぢを(おほ)ひたまはん なんぢその(つばさ)(した)にかくれん その眞實(まこと)(たて)なり(こだて)なり 5(よる)はおどろくべきことあり(ひる)はとびきたる()あり 6幽暗(くらき)にはあゆむ疫癘(えやみ)あり日午(ひる)にはそこなふ(はげ)しき(やまひ)あり されどなんぢ(おそ)るることあらじ 7(せん)(にん)はなんぢの(ひだり)にたふれ(まん)(にん)はなんぢの(みぎ)にたふる されどその災害(わざはひ)はなんぢに(ちか)づくことなからん 8なんぢの()はただこの(こと)をみるのみ なんぢ惡者(あしきもの)のむくいを()9なんぢ(さき)にいへりヱホバはわが避所(さけどころ)なりと なんぢ至上者(いとたかきもの)をその住居(すまひ)となしたれば 10災害(わざはひ)なんぢにいたらず苦難(なやみ)なんぢの幕屋(まくや)(ちか)づかじ 11そは至上者(いとたかきもの)なんぢのためにその使者(つかひ)(たち)におほせて (なんぢ)があゆむもろもろの(みち)になんぢを(まも)らせ(たま)へばなり 12(かれ)()にてなんぢの(あし)(いし)にふれざらんために(なんぢ)をささへん 13なんぢは(しし)(まむし)とをふみ壯獅(わかきしし)(へび)とを(あし)(した)にふみにじらん 14(かれ)その(あい)をわれにそそげるがゆゑに(われ)これを(たす)けん かれわが()をしるがゆゑに(われ)これを高處(たかきところ)におかん 15かれ(われ)をよはば(われ)こたへん (われ)その苦難(なやみ)のときに(とも)にをりて(これ)をたすけ(これ)をあがめん 16われ(ながき)寿(いのち)をもてかれを(たら)はしめ(かつ)わが(すくひ)をしめさん

第九十二篇

安息日(あんそくにち)にもちゐる(うた)なり 讃美(さんび)なり
1いとたかき(もの)よヱホバにかんしやし聖名(みな)をほめたたふるは(よき)かな 2あしたに(なんぢ)のいつくしみをあらはし 夜々(よなよな)なんぢの眞實(まこと)をあらはすに 3十絃(とをを)のなりものと(さう)とをもちゐ (こと)(たへ)なる()をもちゐるはいと(よき)かな 4そはヱホバよ なんぢその作爲(みわざ)をもて(われ)をたのしませたまへり (われ)なんぢの(みて)のわざをよろこびほこらん 5ヱホバよ(なんぢ)のみわざは(おほい)なるかな(なんぢ)のもろもろの思念(おもひ)はいとふかし 6無知者(しれもの)はしることなく(おろか)なるものは(これ)をさとらず 7(あし)きものは(くさ)のごとくもえいで 不義(ふぎ)をおこなふ衆庶(もろもろ)はさかゆるとも (つひ)にはとこしへにほろびん 8されどヱホバよ(なんぢ)はとこしへに高處(たかきところ)にましませり 9ヱホバよ(ああ)なんぢの(あた)ああなんぢの(あた)はほろびん 不義(ふぎ)をおこなふ(もの)はことごとく(ちら)されん 10されど(なんぢ)わが(つの)をたかくあげて ()(うし)のつののごとくならしめたまへり (われ)はあたらしき(あぶら)をそそがれたり 11(また)わが()はわが(あた)につきて(ねが)へることを()わが(みみ)はわれにさからひておこりたつ(あく)をなすものにつきて(ねが)へることをききたり 12(ただ)しきものは棕櫚(しゆろ)()のごとく(さか)え レバノンの香柏(かうはく)のごとくそだつべし 13ヱホバの(みや)にうゑられしものはわれらの(かみ)(おほ)(には)にさかえん 14かれらは(とし)(おい)てなほ()をむすび(ゆた)かにうるほひ(みどり)(いろ)みちみちて 15ヱホバの(なほ)きものなることを(しめ)すべし ヱホバはわが(いは)なりヱホバには不義(ふぎ)なし

第九十三篇

1ヱホバは統治(すべをさめ)たまふ ヱホバは稜威(みいづ)をきたまへり ヱホバは能力(ちから)をころもとなし(おび)となしたまへり さればまた世界(せかい)もかたくたちて(うご)かさるることなし 2なんぢの寳座(みくら)はいにしへより(かた)くたちぬ (なんぢ)はとこしへより(いま)せり 3大水(おほみづ)はこゑをあげたり ヱホバよおほみづは(こゑ)をあげたり おほみづは(なみ)をあぐ 4ヱホバは高處(たかきところ)にいましてその威力(いきほひ)はおほくの(みづ)のこゑ(うみ)のさかまくにまさりて(さかん)んなり 5なんぢの證詞(あかし)はいとかたし ヱホバよ聖潔(きよき)はなんぢの(いへ)にとこしへまでも適應(ふさはしき)なり

第九十四篇

1ヱホバよ(あた)をかへすは(なんぢ)にあり(かみ)よあたを(かへ)すはなんぢにあり ねがはくは(ひかり)をはなちたまへ 2()をさばきたまふものよ (ねがは)くは(たち)てたかぶる(もの)にそのうくべき(むくい)をなしたまへ 3ヱホバよ(あし)きもの幾何(いくそ)のときを()んとするや あしきもの勝誇(かちほこ)りていくそのとしを()るや 4かれらはみだりに(ことば)をいだして(ほこ)りものいふ すべて不義(ふぎ)をおこなふ(もの)はみづから(たか)ぶれり 5ヱホバよ彼等(かれら)はなんぢの(たみ)をうちくだき なんぢの(もちもの)をそこなふ 6かれらは嫠婦(やもめ)旅人(たびびと)との生命(いのち)をうしなひ孤子(みなしご)をころす 7かれらはいふ ヤハは()ずヤコブの(かみ)はさとらざるべしと 8(たみ)のなかなる無知(しれもの)よ なんぢらさとれ (おろ)かなる(もの)よ いづれのときにか(かしこ)からん 9みみを(うう)るものきくことをせざらんや ()をつくれるもの()ることをせざらんや 10もろもろの(くに)ををしふる(もの)ただすことを()ざらんや (ひと)知識(ちしき)をあたふる(もの)しることなからんや 11ヱホバは(ひと)思念(おもひ)のむなしきを()りたまふ 12ヤハよなんぢの(こらし)めたまふ(ひと)なんぢの(のり)ををしへらるる(ひと)は さいはひなるかな 13かかる(ひと)をわざはひの()よりのがれしめ (あし)きもののために(あな)のほらるるまで これに平安(やすき)をあたへたまはん 14そはヱホバその(たみ)をすてたまはず その嗣業(ゆづり)をはなれたまはざるなり 15審判(さばき)はただしきにかへり(こころ)のなほき(もの)はみなその(あと)にしたがはん 16(たれ)かわがために(おこ)りたちて(あし)きものを(せめ)んや (たれ)()がために(たち)不義(ふぎ)をおこなふ(もの)をせめんや 17もしヱホバ(われ)をたすけたまはざりせば わが霊魂(たましひ)はとくに幽寂(おとなき)ところに(すま)ひしならん 18されどわが(あし)すべりぬといひしとき ヱホバよなんぢの憐憫(あはれみ)われをささへたまへり 19わがうちに(おもひ)(わづらひ)のみつる(とき) なんぢの安慰(なぐさめ)わがたましひを(よろこ)ばせたまふ 20律法(おきて)をもて(そこな)ふことをはかる(あく)(くらゐ)はなんぢに(したし)むことを()んや 21彼等(かれら)はあひかたらひて義人(ただしきひと)のたましひをせめ(つみ)なき()をつみに(さだ)22(しか)はあれどヱホバはわがたかき(やぐら) わが(かみ)はわが避所(さけどころ)(いは)なりき 23(かみ)はかれらの邪曲(よこしま)をその()におはしめ かれらをその(あし)(こと)のなかに(ほろぼ)したまはん われらの(かみ)ヱホバはこれを(ほろぼ)したまはん

第九十五篇

1(いざ)われらヱホバにむかひてうたひ すくひの(いは)にむかひてよろこばしき(こゑ)をあげん 2われら感謝(かんしや)をもてその(みまへ)にゆき ヱホバにむかひ(うた)をもて(よろこ)ばしきこゑをあげん 3そはヱホバは(おほい)なる(かみ)なり もろもろの(かみ)にまされる(おほい)なる(わう)なり 4()のふかき(ところ)みなその(みて)にあり (やま)のいただきもまた(かみ)のものなり 5うみは(かみ)のものその(つく)りたまふところ(かわ)ける()もまたその(みて)にて(つく)りたまへり 6いざわれら(をが)みひれふし我儕(われら)をつくれる(しゆ)ヱホバのみまへに曲跪(ひざまづ)くべし 7(かれ)はわれらの(かみ)なり われらはその草苑(まき)(たみ)その(みて)のひつじなり 今日(けふ)なんぢらがその(みこゑ)をきかんことをのぞむ 8なんぢらメリバに()りしときのごとく ()なるマサにありし()(ごと)く その(こころ)をかたくなにするなかれ 9その(とき)なんぢらの列祖(おやたち)われをこころみ(われ)をためし (また)わがわざをみたり 10われその()のためにうれへて四十(しじふ)(ねん)() われいへり かれらは(こころ)あやまれる(たみ)わが(みち)(しら)ざりきと 11このゆゑに(われ)いきどほりて彼等(かれら)はわが安息(やすみ)にいるべからずと(ちか)ひたり

第九十六篇

1あたらしき(うた)をヱホバにむかひてうたへ 全地(ぜんち)よヱホバにむかひて(うた)ふべし 2ヱホバに(むか)ひてうたひその(みな)をほめよ ()ごとにその(すくひ)をのべつたへよ 3もろもろの(くに)のなかにその榮光(えいくわう)をあらはし もろもろの(たみ)のなかにその(くす)しきみわざを(あらは)すべし 4そはヱホバはおほいなり(おほい)にほめたたふべきものなり もろもろの(かみ)にまさりて(おそ)るべきものなり 5もろもろの(たみ)のすべての(かみ)はことごとく(むな)し されどヱホバはもろもろの(てん)をつくりたまへり 6尊貴(たふとき)稜威(みいづ)とはその(みまへ)にあり(ちから)善美(うるはしき)とはその聖所(せいじよ)にあり 7もろもろの(たみ)のやからよ榮光(えいくわう)とちからとをヱホバにあたへよヱホバにあたへよ 8その聖名(みな)にかなふ榮光(えいくわう)をもてヱホバにあたへ (ささげ)(もの)をたづさへてその(おほ)(には)にきたれ 9きよき(うるは)しきものをもてヱホバををがめ 全地(ぜんち)よその(みまへ)にをののけ 10もろもろの(くに)のなかにいへ ヱホバは統治(すべをさめ)たまふ世界(せかい)もかたくたちて(うご)かさるることなし ヱホバは正直(なほき)をもてすべての(たみ)をさばきたまはんと 11(てん)はよろこび()はたのしみ(うみ)とそのなかに(みつ)るものとはなりどよみ 12田畑(たはた)とその(なか)のすべての(もの)とはよろこぶべし かくて(はやし)のもろもろの()もまたヱホバの(みまへ)によろこびうたはん 13ヱホバ(きた)りたまふ()をさばかんとて(きた)りたまふ ()をもて世界(せかい)をさばきその眞實(まこと)をもてもろもろの(たみ)をさばきたまはん

第九十七篇

1ヱホバは統治(すべをさめ)たまふ 全地(ぜんち)はたのしみ(おほ)くの島々(しまじま)はよろこぶべし 2(くも)とくらきとはそり周環(めぐり)にあり ()公平(こうへい)とはその寳座(みくら)のもとゐなり 3()ありそのみまへにすすみ その四周(まはり)(てき)をやきつくす 4ヱホバのいなびかりは世界(せかい)をてらす ()これを()てふるへり 5もろもろの(やま)はヱホバのみまへ全地(ぜんち)(しゆ)のみまへにて(らふ)のごとくとけぬ 6もろもろの(てん)はその()をあらはし よろづの(たみ)はその榮光(えいくわう)をみたり 7すべてきざめる(ざう)につかへ(むな)しきものによりてみづから(ほこ)るものは恥辱(はづかしめ)をうくべし もろもろの(かみ)よみなヱホバをふしをがめ 8ヱホバよなんぢの審判(さばき)のゆゑによりシオンはききてよろこびユダの(むすめ)()はみな(たの)しめり 9ヱホバよなんぢ全地(ぜんち)のうへにましまして至高(いとたか)く なんぢもろもろの(かみ)のうへにましまして(いと)(たふ)とし 10ヱホバを(いつく)しむものよ(あく)をにくめ ヱホバはその聖徒(せいと)のたましひをまもり (これ)をあしきものの()より(たす)けいだしたまふ 11(ひかり)はただしき(ひと)のためにまかれ 欣喜(よろこび)はこころ(なほ)きもののために(まか)れたり 12義人(ただしきひと)よヱホバにより(よろこ)べ そのきよき(みな)感謝(かんしや)せよ

第九十八篇

(うた)なり
1あたらしき(うた)をヱホバにむかひてうたへ そは(たへ)なる(こと)をおこなひその(みぎ)(みて)そのきよき(かひな)をもて (おのれ)のために(すくひ)をなし(をへ)たまへり 2ヱホバはそのすくひを(しら)しめ その()をもろもろの國人(くにびと)()のまへにあらはし(たま)へり 3(また)その憐憫(あはれみ)眞實(まこと)とをイスラエルの(いへ)にむかひて記念(きねん)したまふ ()(はて)もことごとくわが(かみ)のすくひを()たり 4全地(ぜんち)よヱホバにむかひて(よろこ)ばしき(こゑ)をあげよ (こゑ)をはなちてよろこびうたへ(ほめ)うたへ 5(こと)をもてヱホバをほめうたへ (こと)()(うた)のこゑとをもてせよ 6ラッパと(つの)(ぶえ)をふきならし (わう)ヱホバのみまへによろこばしき(こゑ)をあげよ 7(うみ)とそのなかに(みつ)るもの 世界(せかい)とせかいにすむものと(なり)(どよ)むべし 8大水(おほみづ)はその()をうち もろもろの(やま)はあひともにヱホバの(みまへ)によろこびうたふべし 9ヱホバ()をさばかんために(きた)りたまへばなり ヱホバ()をもて世界(せかい)をさばき 公平(こうへい)をもてもろもろの(たみ)をさばきたまはん

第九十九篇

1ヱホバは統治(すべをさめ)たまふ もろもろの(たみ)はをののくべし ヱホバはケルビムの(あひだ)にいます ()ふるはん 2ヱホバはシオンにましまして(おほい)なり もろもろの(たみ)にすぐれてたふとし 3かれらは(なんぢ)のおほいなる(おそ)るべき(みな)をほめたたふべし ヱホバは(せい)なるかな 4(わう)のちからは審判(さばき)をこのみたまふ (なんぢ)はかたく公平(こうへい)をたてヤコブのなかに審判(さばき)公義(ただしき)とをおこなひたまふ 5われらの(かみ)ヱホバをあがめ その承足(せうそく)のもとにて(をが)みまつれ ヱホバは(せい)なるかな 6その祭司(さいし)のなかにモーセとアロンとあり その(みな)をよぶ(もの)のなかにサムエルあり かれらヱホバをよびしに(こた)へたまへり 7ヱホバ(くも)(はしら)のうちにましましてかれらに(かた)りたまへり かれらはその證詞(あかし)とその(たま)はりたる律法(おきて)とを(まも)りたりき 8われらの(かみ)ヱホバよなんぢ彼等(かれら)にこたへたまへり かれらのなしし(こと)にむくいたまひたれど また赦免(ゆるし)をあたへたまへる(かみ)にてましませり 9われらの(かみ)ヱホバを(あが)めそのきよき(やま)にてをがみまつれ そはわれらの(かみ)ヱホバは(せい)なるなり

第百篇

感謝(かんしや)のうた
1全地(ぜんち)よヱホバにむかひて(よろ)ばしき(こゑ)をあげよ 2欣喜(よろこび)をいだきてヱホバに(つか)へ うたひつつその(みまへ)にきたれ 3()れヱホバこそ(かみ)にますなれ われらを(つく)りたまへるものはヱホバにましませば我儕(われら)はその(もの)なり われらはその(たみ)その草苑(まき)のひつじなり 4感謝(かんしや)しつつその(みかど)にいり ほめたたへつつその(おほ)(には)にいれ 感謝(かんしや)してその(みな)をほめたたへよ 5ヱホバはめぐみふかくその憐憫(あはれみ)かぎりなく その眞實(まこと)よろづ()におよぶべければなり

第百一篇

ダビデのうた
1われ憐憫(あはれみ)審判(さばき)とをうたはん ヱホバよ(われ)なんぢを(ほめ)うたはん 2われ(こころ)をさとくして(また)(みち)をまもらん なんぢいづれの(とき)われにきたりたまふや (われ)なほき(こころ)をもてわが(いへ)のうちをありかん 3われわが眼前(めのまへ)にいやしき(こと)をおかず われ(そむ)くものの(わざ)をにくむ そのわざは(われ)につかじ 4(ひが)めるこころは(われ)よりはなれん (あし)きものを()ることをこのまず 5(ひそか)にその(とも)をそしるものは(われ)これをほろぼさん (たか)ぶる()また(おご)れる(こころ)のものは(われ)これをしのばじ 6わが()(くに)のうちの(まめ)なる(もの)をみて(これ)をわれとともに(すま)はせん (また)(みち)をあゆむ(ひと)はわれに(つか)へん 7(あざむ)くことをなす(もの)はわが(いへ)のうちに()むことをえず 虚偽(いつはり)をいふものはわが目前(めのまへ)にたつことを()8われ(あさ)(あさ)なこの(くに)のあしき(もの)をことごとく(ほろぼ)し ヱホバの(まち)より不義(ふぎ)をおこなふ(もの)をことごとく絶除(たちのぞ)かん

第百二篇

なやみたる(もの)おもひくづほれてその歎息(なげき)をヱホバの(みまへ)にそそぎいだせるときの祈祷(いのり)
1ヱホバよわが(いのり)をききたまへ (ねがは)くはわが號呼(さけび)のこゑの御前(みまへ)にいたらんことを 2わが窮苦(なやみ)()みかほを(おほ)ひたまふなかれ なんぢの(みみ)をわれにかたぶけ ()がよぶ()にすみやかに(われ)にこたへたまへ 3わがもろもろの()(けぶり)のごとくきえ わが(ほね)はたきぎのごとく(やか)るるなり 4わがこころは(くさ)のごとく(うち)れてしほれたり われ(かて)をくらふを(わす)れしによる 5わが歎息(なげき)のこゑによりてわが(ほね)はわが(にく)につく 6われは()鸅鸕(をすめどり)のごとく(あれ)たる(あと)のふくろふのごとくになりぬ 7われ(さめ)てねぶらず ただ(とも)なくして屋蓋(やね)にをる(すずめ)のごとくなれり 8わが(あた)はひねもす(われ)をそしる (たけび)(くる)ひて(われ)をせむるもの(われ)をさして(ちか)9われは(かて)をくらふごとくに(はひ)をくらひ わが(のみ)ものには(なみだ)をまじへたり 10こは(みな)なんぢの(いかり)忿恚(いきどほり)とによりてなり なんぢ(われ)をもたげてなげすて(たま)へり 11わが(よはい)はかたぶける()(かげ)のごとし またわれは(くさ)のごとく(しほ)れたり 12されどヱホバよなんぢは永遠(とこしへ)にながらへ その(みな)はよろづ()にながらへん 13なんぢ(たち)てシオンをあはれみたまはん そはシオンに恩惠(めぐみ)をほどこしたまふときなり そのさだまれる(とき)すでに(きた)れり 14なんぢの(しもべ)はシオンの(いし)をもよろこび その(ちり)をさへ(いとほ)しむ 15もろもろの(くに)はヱホバの(みな)をおそれ ()のもろもろの(わう)はその榮光(えいくわう)をおそれん 16ヱホバはシオンをきづき榮光(えいくわう)をもてあらはれたまへり 17ヱホバは(とも)しきものの(いのり)をかへりみ彼等(かれら)のいのりを(かろ)しめたまはざりき 18(きた)らんとするのちの()のためにこの(こと)をしるさん (あたら)しくつくられたる(たみ)はヤハをほめたたふべし 19ヱホバその聖所(せいじよ)のたかき(ところ)よりみおろし(てん)より()をみたまへり 20こは俘囚(とらはれびと)のなげきをきき()にさだまれる(もの)をときはなち 21人々(ひとびと)のシオンにてヱホバの(みな)をあらはしヱルサレムにてその頌美(ほまれ)をあらはさんが(ため)なり 22かかる(とき)にもろもろの(たみ)もろもろの(くに)つどひあつまりてヱホバに(つか)へまつらん 23ヱホバはわがちからを(みち)にておとろへしめ わが(よはひ)をみじかからしめ(たま)へり 24(われ)いへりねがはくはわが(かみ)よわがすべての()のなかばにて(われ)をとりさりたまふなかれ (なんぢ)のよはひは世々(よよ)かぎりなし 25(なんぢ)いにしへ()(もとゐ)をすゑたまへり (てん)もまたなんぢの(みて)(わざ)なり 26これらは(ほろ)びん されど(なんぢ)はつねに(なが)らへたまはん これらはみな(ころも)のごとくふるびん (なんぢ)これらを(うはぎ)のごとく(かへ)たまはん されば彼等(かれら)はかはらん 27(しか)れども(なんぢ)はかはることなし なんぢの(よはひ)はをはらざるなり 28(なんぢ)のしもべの子輩(こら)はながらへん その(すゑ)はかたく(みまへ)にたてらるべし

第百三篇

ダビデのうた
1わが霊魂(たましひ)よヱホバをほめまつれ わが(うち)なるすべてのものよそのきよき(みな)をほめまつれ 2わがたましひよヱホバを(ほめ)まつれ そのすべての恩惠(めぐみ)をわするるなかれ 3ヱホバはなんぢがすべての不義(ふぎ)をゆるし(なんぢ)のすべての(やまひ)をいやし 4なんぢの生命(いのち)をほろびより(あがな)ひいだし 仁慈(いつくしみ)憐憫(あはれみ)とを(なんぢ)にかうぶらせ 5なんぢの(くち)嘉物(よきもの)にてあかしめたまふ (かく)てなんぢは(わかや)ぎて(わし)のごとく(あらた)になるなり 6ヱホバはすべて(しへた)げらるる(もの)のために公義(ただしき)審判(さばき)とをおこなひたまふ 7おのれの(みち)をモーセにしらしめ おのれの作爲(しわざ)をイスラエルの子輩(こら)にしらしめ(たま)へり 8ヱホバはあはれみと恩惠(めぐみ)にみちて(いか)りたまふことおそく仁慈(いつくしみ)ゆたかにましませり 9(つね)にせむることをせず永遠(とこしへ)にいかりを(いだ)きたまはざるなり 10ヱホバはわれらの(つみ)(かさ)にしたがひて我儕(われら)をあしらひたまはず われらの不義(ふぎ)のかさにしたがひて(むく)いたまはざりき 11ヱホバをおそるるものにヱホバの(たま)ふそのあはれみは(おほい)にして (てん)()よりも(たか)きがごとし 12そのわれらより(とが)をとほざけたまふことは(ひがし)西(にし)より(とほ)きがごとし 13ヱホバの(おのれ)をおそるる(もの)をあはれみたまふことは(ちち)がその()をあはれむが(ごと)14ヱホバは我儕(われら)のつくられし(さま)をしり われらの(ちり)なることを(おも)(たま)へばなり 15(ひと)のよはひは(くさ)のごとく その(さかえ)はのの(はな)のごとし 16(かぜ)すぐれば(うせ)てあとなくその(おひ)いでし(ところ)にとへど(なほ)しらざるなり 17(しか)はあれどヱホバの憐憫(あはれみ)はとこしへより永遠(とこしへ)まで ヱホバをおそるるものにいたり その公義(ただしき)子孫(こら)のまた子孫(こら)にいたらん 18その契約(けいやく)をまもりその訓諭(みさとし)(こころ)にとめて(おこな)ふものぞその(ひと)なる 19ヱホバはその寳座(みくら)をもろもろの(てん)にかたく(すゑ)たまへり その政權(まつりごと)はよろづのもののうへにあり 20ヱホバにつかふる使者(つかひ)よ ヱホバの聖言(みことば)のこゑをきき その聖言(みことば)をおこなふ勇士(ますらを)よ ヱホバをほめまつれ 21その萬軍(ばんぐん)よ その聖旨(みこころ)をおこなふ(しもべ)()よ ヱホバをほめまつれ 22その(つく)りたまへる萬物(よろづのもの)よ ヱホバの政權(まつりごと)(した)なるすべての(ところ)にてヱホバをほめよ わがたましひよヱホバを(ほめ)まつれ

第百四篇

1わが霊魂(たましひ)よヱホパをほめまつれ わが(かみ)ヱホバよなんぢは(いと)(おほい)にして尊貴(たふとき)稜威(みいづ)とを()たまへり 2なんぢ(ひかり)をころものごとくにまとひ(てん)(まく)のごとくにはり 3(みづ)のなかにおのれの殿(との)棟梁(うつばり)をおき (くも)をおのれの(くるま)となし (かぜ)(つばさ)にのりあるき 4かぜを使者(つかひ)となし(ほのほ)のいづる()(しもべ)となしたまふ 5ヱホバは()(もとゐ)のうへにおきて 永遠(とこしへ)にうごくことなからしめたまふ 6(ころも)にておほふがごとく大水(おほみづ)にて()をおほひたまへり (みづ)たたへて(やま)のうへをこゆ 7なんぢ叱咤(しつた)すれば(みづ)しりぞき (なんぢ)いかづちの(こゑ)をはなてば(みづ)たちまち(さり)8あるひは(やま)にのぼり(ある)ひは(たに)にくだりて (なんぢ)のさだめたまへる(ところ)にゆけり 9なんぢ(さかひ)をたてて(これ)をこえしめず ふたたび()をおほふことなからしむ 10ヱホバはいづみを(たに)にわきいだし(たま)ふ その(ながれ)(やま)のあひだにはしる 11かくて()のもろもろの(けもの)にのましむ ()驢馬(うさぎむま)もその(かわき)をやむ 12(から)(とり)もそのほとりにすみ 樹梢(こずゑ)(ひま)よりさえづりうたふ 13ヱホバはその殿(との)よりもろもろの(やま)灌漑(みづそそぎ)たまふ ()はなんぢのみわざの()によりて(あき)(たり)14ヱホバは(くさ)をはえしめて家畜(けだもの)にあたへ 田產(はたつもの)をはえしめて(ひと)使用(もちゐ)にそなへたまふ かく(つち)より食物(くひもの)をいだしたまふ 15(ひと)のこころを(よろこ)ばしむる葡萄(ぶだう)(しゆ) ひとの(かほ)をつややかならしむるあぶら (ひと)のこころを(つよ)からしむる(かて)どもなり 16ヱホバの()とその(うゑ)たまへるレバノンの香柏(かうはく)とは(あき)(たり)ぬべし 17(とり)はそのなかに()をつくり(つる)(まつ)をその(すまひ)とせり 18たかき(やま)山羊(やぎ)のすまひ磐石(いは)(やま)(ねづみ)のかくるる(ところ)なり 19ヱホバは(つき)をつくりて(とき)をつかさどらせたまへり ()はその西(にし)にいることをしる 20なんぢ黑暗(くらき)をつくりたまへば(よる)あり そのとき(はやし)のけものは(みな)しのびしのびに(いで)きたる 21わかき(しし)ほえて()をもとめ(かみ)にくひものをもとむ 22()いづれば退(しりぞ)きてその(あな)にふす 23(ひと)はいでて(わざ)をとりその勤勞(きんらう)はゆふべにまでいたる 24ヱホバよなんぢの事跡(みわざ)はいかに(さは)なる これらは(みな)なんぢの智慧(ちゑ)にてつくりたまへり (なんぢ)のもろもろの(とみ)()にみつ 25かしこに(おほい)なるひろき(うみ)あり そのなかに(かず)しられぬ()ふもの(ちひさ)なる(おほき)なる(いけ)るものあり 26(ふね)そのうへをはしり(なんぢ)のつくりたまへる(わに)そのうちにあそびたはぶる 27(かれ)(みな)なんぢを(まち)(のぞ)む なんぢ(よき)(とき)にくひものを(これ)にあたへたまふ 28彼等(かれら)はなんぢの(あた)へたまふ(もの)をひろふ なんぢ(みて)をひらきたまへばかれら嘉物(よきもの)にあきたりぬ 29なんぢ(みかほ)をおほひたまへば彼等(かれら)はあわてふためく (なんぢ)かれらの氣息(いき)をとりたまへばかれらは(しに)(ちり)にかへる 30なんぢ(みたま)をいだしたまへば百物(すべてのもの)みな(つく)らるなんぢ()のおもてを(あらた)にしたまふ 31(ねがは)くはヱホバの榮光(えいくわう)とこしへにあらんことを ヱホバそのみわざを(よろこ)びたまはんことを 32ヱホバ()をみたまへば()ふるひ(やま)にふれたまへば(やま)(けぶり)をいだす 33(いけ)るかぎりはヱホバに(むか)ひてうたひ (われ)ながらふるほどはわが(かみ)をほめうたはん 34ヱホバをおもふわが思念(おもひ)はたのしみ(ふか)からん われヱホバによりて(よろこ)ぶべし 35罪人(つみびと)()より(たち)(ほろぼ)され あしきものは(また)あらざるべし わが霊魂(たましひ)よヱホバをほめまつれヱホバを讃稱(ほめたた)へよ

第百五篇

1ヱホバに感謝(かんしや)してその(みな)をよび そのなしたまへる(こと)をもろもろの(たみ)()のなかにしらしめよ 2ヱホバにむかひてうたへヱホバを(ほめ)うたへ そのもろもろの(たへ)なる事跡(みわざ)をかたれ 3そのきよき(みな)をほこれ ヱホバをたづねもとむるものの(こころ)はよろこぶべし 4ヱホバとその能力(ちから)とをたづねもとめよ つねにその聖顔(みかほ)をたづねよ 5 105:6その(しもべ)アブラムの(すゑ)よヤコブの子輩(こら)よ そのえらびたまひし(ところ)のものよ そのなしたまへる(たへ)なるみわざと(くす)しき事跡(みわざ)とその(くち)のさばきとを(こころ)にとむれ 7(かれ)はわれらの(かみ)ヱホバなり そのみさばきは全地(ぜんち)にあり 8ヱホバはたえずその契約(けいやく)をみこころに(とめ)たまへり (これ)はよろづ()(めい)じたまひし聖言(みことば)なり 9アブラハムとむすびたまひし契約(けいやく)イサクに(あた)へたまひし(ちかひ)なり 10(これ)をかたくしヤコブのために律法(おきて)となし イスラエルのためにとこしへの契約(けいやく)となして 11(いひ)たまひけるは(われ)なんぢにカナンの()をたまひてなんぢらの嗣業(ゆづり)(もの)となさん 12この(とき)かれらの(かず)おほからず(いと)すくなくしてかしこにて旅人(たびびと)となり 13この(くに)よりかの(くに)にゆき この(くに)よりほかの(たみ)にゆけり 14(ひと)のかれらを(しへた)ぐるをゆるし(たま)はず かれらの(ゆゑ)によりて(わう)たちを(こら)しめて 15宣給(のたまは)くわが受膏者(じゆかうじや)たちにふるるなかれ わが預言者(よげんしや)たちをそこなふなかれ 16ヱホバは饑饉(うゑ)たを()にまねき (ひと)(つゑ)とする(かて)をことごとく(くだ)きたまへり 17(また)かれらの(まへ)にひとりを(つかは)したまへり ヨセフはうられて(しもべ)となりぬ 18かれら足械(あしかせ)をもてヨセフの(あし)をそこなひ くろかねの(くさり)をもてその霊魂(たましひ)をつなげり 19(かく)てそのことばの(しるし)をうるまでに(およ)ぶ ヱホバのみことば(かれ)をこころみたまへり 20(わう)(ひと)をつかはしてこれを()き もろもろの(たみ)(をさ)はこれをゆるし 21(これ)をその(いへ)(つかさ)となし その財寶(たから)をことごとく(つかさ)どらせ 22その(こころ)のままにかの(くに)のきみたちを(いま)しめ 長老(ちやうらう)たちに智慧(ちゑ)ををしへしむ 23イスラエルも(また)エジプトにゆき ヤコブはハムの()にやどれり 24ヱホバはその(たみ)(おほい)にましくはへ(これ)をその(てき)よりも(つよ)くしたまへり 25また(てき)のこころをかへておのれの(たみ)をにくましめ おのれの僕輩(しもべら)をあざむき(もてな)さしめたまへり 26(また)そのしもべモーセとその(えら)びたまへるアロンとを(つかは)したまへり 27かれらはヱホバの預兆(しるし)をハムの()におこなひ またその(くに)にくすしき(わざ)をおこなへり 28ヱホバは(やみ)をつかはして(くら)くしたまへり かれらその聖言(みことば)にそむくことをせざりき 29彼等(かれら)のすべての(みづ)()にかへてその(うを)をころしたまへり 30かれらの(くに)(かはづ)むれいでて(わう)殿(との)のうちにまでみちふさがりぬ 31ヱホバいひたまへば(はへ)むらがり(のみ)そのすべての(さかひ)にいりきたりぬ 32また(あめ)にかへて(あられ)をかれらに(あた)へもゆる()をかれらの(くに)にふらし 33かれらの葡萄(ぶだう)()といちじくの()とをうちその(さかひ)のもろちろの()ををりくだきたまへり 34ヱホバいひたまへば(かぞへ)しられぬ(いなご)蟊賊(おほねむし)きたり 35かれらの(くに)のすべての田產(はたつもの)をはみつくしその()のすべての()(はみ)つくせり 36ヱホバはかれらの(くに)のすべての首出者(うひご)をうち かれらのすべての(ちから)(はじめ)をうちたまへり 37しろかね黄金(こがね)をたづさへて彼等(かれら)をいでゆかしめたまへり その家族(やから)のうちに一人(ひとり)のよわき(もの)もなかりき 38エジプトはかれらの(いづ)るをよろこべり かれらをおそるるの(おもひ)そのうちにおこりたればなり 39ヱホバは(くも)をしきて(おほひ)となし(よる)()をもて(てら)したまへり 40(また)かれらの(もとめ)によりて(うづら)をきたらしめ(てん)(かて)にてかれらを(あか)しめたまへり 41(いは)をひらきたまへば(みづ)ほどばしりいで (うるほ)ひなきところに(かは)をなして(なが)れいでたり 42ヱホバそのきよき聖言(みことば)とその(しもべ)アブラハムとをおもひいでたまひたればなり 43その(たみ)をみちびきて(よろこ)びつついでしめ そのえらべる(たみ)をみちびきて(うた)ひつついでしめたまへり 44もろもろの國人(くにびと)()をかれらに(あた)へたまひしかば 彼等(かれら)もろもろのたみの勤勞(きんらう)をおのが(もの)とせり 45こは彼等(かれら)がその(おきて)にしたがひその(のり)をまもらんが(ため)なり ヱホバをほめたたへよ

第百六篇

1ヱホバをほめたたへヱホバに感謝(かんしや)せよ そのめぐみはふかくその憐憫(あはれみ)はかぎりなし 2たれかヱホバの(ちから)ある事跡(みわざ)をかたり その(ほむ)べきことを(ことごと)とくいひあらはし()んや 3審判(さばき)をまもる人々(ひとびと)つねに正義(ただしき)をおこなふ(もの)はさいはひなり 4ヱホバよなんぢの(たみ)にたまふ(めぐみ)をもて(われ)をおぼえ なんぢの(すくひ)をもてわれに(のぞ)みたまへ 5さらば(われ)なんぢの(えら)びたまへる(もの)のさいはひを() なんぢの(くに)歓喜(よろこび)をよろこび なんぢの嗣業(ゆづり)とともに(ほこ)ることをせん 6われら列祖(おやたち)とともに(つみ)ををかせり 我儕(われら)よこしまをなし(あしき)をおこなへり 7われらの列祖(おやたち)はなんぢがエジプトにてなしたまへる(くす)しき事跡(みわざ)をさとらず (なんぢ)のあはれみの(ゆた)かなるを(こころ)にとめず (うみ)のほとり(すなは)紅海(こうかい)のほとりにて(そむ)きたり 8されどヱホバはその(みな)のゆゑをもて彼等(かれら)をすくひたまへり こは(おほい)なる能力(ちから)をしらしめんとてなり 9また紅海(こうかい)叱咤(しつた)したまひたれば(かわ)きたり かくて(たみ)をみちびきて()をゆくがごとくに(ふち)をすぎしめ 10(うら)むるものの()よりかれらをすくひ (あた)()よりかれらを(あがな)ひたまへり 11(みづ)その(てき)をおほひたればその一人(ひとり)だにのこりし(もの)なかりき 12このとき彼等(かれら)そのみことばを(しん)じその頌美(ほまれ)をうたへり 13彼等(かれら)しばしがほどにその事跡(みわざ)をわすれその訓誨(をしへ)をまたず 14()にていたくむさぼり荒野(あれの)にて(かみ)をこころみたりき 15ヱホバはかれらの願欲(ねがひ)をかなへたまひしかど その霊魂(たましひ)をやせしめたまへり 16たみは(えい)のうちにてモーセを(ねた)みヱホパの聖者(せいじや)アロンをねたみしかば 17()ひらけてダタンを()みアビラムの黨類(たぐひ)をおほひ 18()はこのともがらの(なか)にもえおこり(ほのほ)はあしき(もの)をやきつくせり 19かれらはホレブの(やま)にて(こうし)をつくり()たる(ざう)ををがみたり 20かくの(ごと)くおのが榮光(えいくわう)をかへて(くさ)をくらふ(うし)のかたちに()21救主(すくひぬし)なる(かみ)はエジプトにて(おほい)なるわざをなし 22ハムの()にて(くす)しき事跡(みわざ)をなし紅海(こうかい)のほとりにて(おそ)るべきことを(なし)たまへり かれは(かか)(かみ)をわすれたり 23この(ゆゑ)にヱホバかれらを(ほろぼ)さんと(のた)まへり されど(かみ)のえらみたまへる(もの)モーセやぶれの間隙(はざま)にありてその(みまへ)にたちその烈怒(みいかり)をひきかへして滅亡(ほろび)をまぬかれしめたり 24かれら(うるは)しき()(なみ)しそのみことばを(しん)ぜず 25(あまつ)さへその幕屋(まくや)にてつぶやきヱホバの(みこゑ)をもきかざりき 26この(ゆゑ)(みて)をあげて彼等(かれら)にむかひたまへり これ()にてかれらを(たふ)れしめんとし 27(また)もろもろの(くに)のうちにてその(すゑ)をたふれしめ もろもろの()にかれらを(ちら)さんとしたまへるなり 28(かれ)らはバアルベオルにつきて(しぬ)るものの祭物(そなへもの)をくらひたり 29(かく)のごとくその行爲(わざ)をもてヱホバの烈怒(みいかり)をひきいだしければえやみ(をか)しいりたり 30そのときピネハスたちて裁判(さばき)をなせり かくて疫癘(えやみ)はやみぬ 31ピネハスは(よろづ)()までとこしへにこのことを()とせられたり 32(たみ)メリバの(みづ)のほとりにてヱホバの烈怒(みいかり)をひきおこししかば かれらの(ゆゑ)によりてモーセも禍害(わざはひ)にあへり 33かれら(かみ)(みたま)にそむきしかばモーセその口唇(くちびる)にて(みだり)にものいひたればなり 34かれらはヱホバの(めい)じたまへる(こと)にしたがはずしてもろもろの(たみ)をほろぼさず 35(かへり)てもろもろの國人(くにびと)とまじりをりてその行爲(わざ)にならひ 36おのが(わな)となりしその偶像(ぐうざう)につかへたり 37かれらはその子女(むすこむすめ)(おに)にささぐ 38(つみ)なき()すなはちカナンの偶像(ぐうざう)にささげたる(おの)がむすこむすめの()をながしぬ (かく)てくには()にてけがされたり 39またそのわざは自己(みづから)をけがし そのおこなふところは姦淫(たはれ)なり 40このゆゑにヱホバの(いかり)その(たみ)にむかひて(おこ)り その嗣業(ゆづり)をにくみて 41かれらをもろもろの(くに)()にわたしたまへり 彼等(かれら)はおのれを(うら)るものに(おさ)へられ 42おのれの(あた)にしへたげられ その()(した)にうちふせられたり 43ヱホバはしばしば(たす)けたまひしかどかれらは謀略(はかりごと)をまうけて(そむ)き そのよこしまに(ひく)くせられたり 44されどヱホバはかれらの(なく)(こゑ)をききたまひしとき その患難(なやみ)をかへりみ 45その契約(けいやく)をかれらの(ため)におもひいだし その憐憫(あはれみ)のゆたかなるにより聖意(みこころ)をかへさせ(たま)ひて 46かれらを(おの)がとりこにせられたる(もの)どもに(あはれ)まるることを()しめたまへり 47われらの(かみ)ヱホバよ われらをすくひて列邦(くにぐに)のなかより(とり)(あつ)めたまへ われらは聖名(みな)(しや)し なんぢのほむべき(こと)をほこらん 48イスラエルの(かみ)ヱホバはとこしへより永遠(とこしへ)までほむべきかな すべての(たみ)はアーメンととなふべし ヱホバを讃稱(ほめたた)へよ

第百七篇

1ヱホバに感謝(かんしや)せよ ヱホバは(めぐみ)ふかくましましてその憐憫(あはれみ)かぎりなし 2ヱホバの救贖(あがなひ)をかうぶる(もの)はみな(しか)いふべきなり 3ヱホバは(てき)()よりかれらを(あがな)ひもろもろの()(ひがし)西(にし)(きた)(みなみ)よりとりあつめたまへり 4かれら()にてあれはてたる(みち)にさまよひその(すま)ふべき(まち)にあはざりき 5かれら(うゑ)また(かわ)きそのうちの霊魂(たましひ)おとろへたり 6(かく)てその困苦(くるしみ)のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難(なやみ)よりたすけいだし 7(すま)ふべき(まち)にゆかしめんとて(なほ)(みち)にみちびきたまへり 8(ねがは)くはすべての(ひと)はヱホバの(めぐみ)により(ひと)()になしたまへる(くす)しき事跡(みわざ)によりてヱホバを讃稱(ほめたた)へんことを 9ヱホバは(かわ)きしたふ霊魂(たましひ)をたらはせ(うゑ)たるたましひを嘉物(よきもの)にてあかしめ(たま)へばなり 10くらきと()(かげ)とに()るもの患難(なやみ)とくろがねとに(いま)しめらるるもの 11(かみ)(ことば)にそむき至高者(いとたかきもの)のをしへを(かろ)しめければ 12勤勞(きんらう)をもてその(こころ)をひくうしたまへり かれら(たふ)れたれど(たす)くるものもなかりき 13(かく)てその困苦(くるしみ)のうちにてヱホバをよばはりたればヱホバこれを患難(なやみ)よりすくひ 14くらきと()のかげより彼等(かれら)をみちびき(いだ)してその(かせ)をこぼちたまへり 15(ねがは)くはすべての(ひと)はヱホバの(めぐみ)により(ひと)()になしたまへる(くす)しき事跡(みわざ)によりてヱホバを讃稱(ほめたた)へんことを 16そはあかがねの(もん)をこぼち くろがねの關木(くわんのき)をたちきりたまへり 17(おろ)かなる(もの)はおのが(とが)(みち)により(おの)がよこしまによりて(なや)めり 18かれらの霊魂(たましひ)はすべての食物(くひもの)をきらひて()(かど)にちかづく 19かくてその困苦(くるしみ)のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難(なやみ)よりすくひたまふ 20その聖言(みことば)をつかはして(これ)をいやし(これ)をその滅亡(ほろび)よりたすけいだしたまふ 21(ねがは)くはすべての(ひと)ヱホバのめぐみにより(ひと)()になしたまへる(くす)しき事跡(みわざ)によりてヱホバをほめたたへんことを 22かれらは感謝(かんしや)のそなへものをささげ(よろこ)びうたひてその事跡(みわざ)をいひあらはすべし 23(ふね)にて(うみ)にうかび大洋(おほうみ)にて(わざ)をいとなむ(もの)24ヱホバのみわざを()また(ふち)にてその(くす)しき事跡(みわざ)をみる 25ヱホバ(めい)じたまへばあらき(かぜ)おこりてその(なみ)をあぐ 26かれら(あめ)にのぼりまた(ふち)にくだり患難(なやみ)によりてその霊魂(たましひ)とけさり 27(こな)(かな)たにかたぶき(ゑひ)たる(もの)のごとく踉蹌(よろぼひ)てなす(ところ)をしらず 28かくてその困苦(くるしみ)のうちにてヱホバをよばふ ヱホバこれを患難(なやみ)よりたづさへいで 29狂風(あらし)をしづめて(なみ)をおだやかになし(たま)へり 30かれらはおのが(しづ)かなるをよろこぶ (かく)てヱホバはかれらをその(のぞ)むところの(みなと)にみちびきたまふ 31(ねがは)くはすべての(ひと)ヱホバの(めぐみ)により(ひと)()になしたまへる(あや)しき事跡(みわざ)によりてヱホバをほめたたへんことを 32かれら(たみ)(つどひ)にてこれをあがめ長老(ちやうらう)()にてこれを讃稱(ほめたた)ふべし 33ヱホバは(かは)()にかはらせ(いづみ)をかわける()(かは)らせ 34また(ゆた)かなる()にすめる(たみ)(あく)によりてそこを(しほ)()にかはらせ(たま)35()(いけ)にかはらせ(かわ)ける()をいづみにかはらせ 36ここに(うゑ)たるものを(すま)はせたまふ されば(かれ)らは(おの)がすまひの(まち)をたて 37(はた)にたねをまき葡萄園(ぶだうぞの)をまうけてそのむすべる()をえたり 38ヱホバはかれらの(いた)くふえひろごれるまでに(めぐみ)をあたへ その牲畜(けだもの)のへることをも(ゆる)したまはず 39されどまた虐待(しへたげ)くるしみ悲哀(かなしみ)によりて(へり)ゆき(かつ)うなたれたり 40ヱホバもろもろの(きみ)侮辱(あなどり)をそそぎ(みち)なき(あれ)()にさまよはせたまふ 41(しか)はあれど(まづ)しきものを患難(なやみ)のうちより(あげ)てその家族(やから)をひつじの(むれ)のごとくならしめたまふ 42(なほ)きものは(これ)をみて(よろこ)びもろもろの不義(ふぎ)はその(くち)をふさがん 43すべて(さとき)(もの)はこれらのことに(こころ)をよせヱホバの憐憫(あはれみ)をさとるべし

第百八篇

ダビデの(うた)なり讃美(さんび)なり
1(かみ)よわが(こころ)はさだまれり われ(うた)ひまつらん (たたへ)まつらん わが(さかえ)をもてたたへまつらん 2(さう)(こと)よさむべし われ黎明(しののめ)をよびさまさん 3ヱホバよ(われ)もろもろの(たみ)のなかにてなんぢに感謝(かんしや)し もろもろの(くに)のなかにてなんぢをほめうたはん 4そは(なんぢ)のあはれみは(おほい)にして(てん)のうへにあがり なんぢの眞實(まこと)(くも)にまでおよぶ 5(かみ)よねがはくはみづからを(てん)よりもたかくし榮光(みさかえ)全地(ぜんち)のうへに(あげ)たまへ 6ねがはくは(みぎ)(みて)をもて(すくひ)をほどこし われらに(こたへ)をなして(いつく)しみたまふものに(たすけ)をえしめたまへ 7(かみ)はその(きよき)をもていひたまへり われ(いた)くよろこばん(われ)シケムをわかちスコテの(たに)をはからん 8ギレアデはわがものマナセはわが(もの)なりエフライムも(また)わが(かうべ)のまもりなりユダはわが(つゑ) 9モアブはわが足盥(あしだらひ)なりエドムにはわが(くつ)をなげんペリシテよわが(ゆゑ)によりて(こゑ)をあげよと 10(たれ)かわれを堅固(けんご)なる(まち)にすすましめんや (たれ)かわれをみちびきてエドムにゆきしや 11(かみ)よなんぢはわれらを(すて)たまひしにあらずや (かみ)よなんぢはわれらの(いくさ)とともに(いで)ゆきたまはず 12ねがはくは(たすけ)をわれにあたへて(てき)にむかはしめたまへ (ひと)のたすけは(むな)しければなり 13われらは(かみ)によりて(いさま)しくはたらかん われらの(てき)をふみたまふものは(かみ)なればなり

第百九篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1わが(ほめ)たたふる(かみ)よもだしたまふなかれ 2かれらは(あく)(くち)とあざむきの(くち)とをあけて(われ)にむかひ いつはりの(した)をもて(われ)にかたり 3うらみの(ことば)をもて(われ)をかこみ ゆゑなく(われ)をせめて(たたか)ふことあればなり 4われ(あい)するにかれら(かへ)りてわが(てき)となる われただ(いの)るなり 5かれらは(あく)をもてわが(ぜん)にむくい(うらみ)をもてわが(あい)にむくいたり 6ねがはくは(かれ)のうへに惡人(あしきひと)をたてその右方(みぎり)(てき)をたたしめたまへ 7かれが(さば)かるるときはその(つみ)をあらはにせられ(また)そのいのりは(つみ)となり 8その()はすくなく その(つとめ)はほかの(ひと)にえられ 9その子輩(こら)はみなしごとなり その妻はやもめとなり 10その子輩(こら)はさすらひて乞丐(ものこひ) そのあれたる(ところ)よりいできたりて(しよく)をもとむべし 11(かれ)のもてるすべてのものは債主(はたるもの)にうばはれ かれの勤勞(きんらう)外人(あだしびと)にかすめらるべし 12かれに(めぐみ)をあたふる(ひと)ひとりだになく かれの孤子(みなしご)をあはれむ(もの)もなく 13その(すゑ)はたえその(みな)はつぎの()にきえうすべし 14その父等(ちちら)のよこしまはヱホバのみこころに(しる)され その(はは)のつみはきえざるべし 15かれらは(つね)にヱホバの(まへ)におかれ その()()より(たた)るべし 16かかる(ひと)はあはれみを(ほどこ)すことをおもはず(かへ)りて(まづ)しきもの(とも)しきもの(こころ)のいためる(もの)をころさんとして(せめ)たりき 17かかる(ひと)(のろ)ふことをこのむ この(ゆゑ)にのろひ(おのれ)にいたる(めぐ)むことをたのしまず この(ゆゑ)にめぐみ(おのれ)にとほざかれり 18かかる(ひと)はころものごとくに(のろ)をきる この(ゆゑ)にのろひ(みづ)のごとくにおのれの(うち)にいり(あぶら)のごとくにおのれの(ほね)にいれり 19ねがはくは(のろひ)をおのれのきたる(ころも)のごとく(おび)のごとくなして(つね)にみづから(まと)はんことを 20これらの(こと)はわが(てき)とわが霊魂(たましひ)にさからひて(あしき)(こと)をいふ(もの)とにヱホバのあたへたまふ(むくい)なり 21されど(しゆ)ヱホバよなんぢの(みな)のゆゑをもて(われ)をかへりみたまへ なんぢの憐憫(あはれみ)はいとふかし ねがはくは(われ)をたすけたまへ 22われは(まづ)しくして(とも)し わが(こころ)うちにて(きず)をうく 23わがゆく(さま)はゆふ()(かげ)のごとく また(いなご)のごとく(ふき)さらるるなり 24わが(ひざ)斷食(だんじき)によりてよろめき わが(にく)はやせおとろふ 25われは彼等(かれら)にそしらるる(もの)となれり かれら(われ)をみるときは(かうべ)をふる 26わが(かみ)ヱホバよねがはくは(われ)をたすけその憐憫(あはれみ)にしたがひて(われ)をすくひたまへ 27ヱホバよこれらは(みな)なんぢの(みて)よりいで (なんぢ)のなしたまへることなるを彼等(かれら)にしらしめたまへ 28かれらは(のろ)へども(なんぢ)はめぐみたまふ かれらの(たつ)ときは(はづ)かしめらるれどもなんぢの(しもべ)はよろこばん 29わがもろもろの(てき)はあなどりを()おのが(はぢ)外袍(うはぎ)のごとくにまとふべし 30われはわが(くち)をもて(おほい)にヱホバに(しや)し おほくの(ひと)のなかにて(ほめ)まつらむ 31ヱホバはまづしきものの(みぎ)にたちてその霊魂(たましひ)(つみ)せんとする(もの)より(これ)をすくひたまへり

第百十篇

ダビデのうた
1ヱホバわが(しゆ)にのたまふ (われ)なんぢの(あた)をなんぢの承足(せうそく)とするまではわが(みぎ)にざすべし 2ヱホバはなんぢのちからの(つゑ)をシオンよりつきいださしめたまはん (なんぢ)はもろもろの(あた)のなかに(わう)となるべし 3なんぢのいきほひの()になんぢの(たみ)(せい)なるうるはしき(ころも)をつけ (こころ)よりよろこびて(おのれ)をささげん なんぢは(あした)(はら)よりいづる(わか)きものの(つゆ)をもてり 4ヱホバ(ちかひ)をたてて聖意(みこころ)をかへさせたまふことなし (なんぢ)はメルキセデクの(さま)にひとしくとこしへに祭司(さいし)たり 5(しゆ)はなんぢの(みぎ)にありてそのいかりの()王等(わうたち)をうちたまへり 6(しゆ)はもろもろの(くに)のなかにて審判(さばき)をおこなひたまはん 此處(ここ)にも彼處(かしこ)にも(かばね)をみたしめ 寛濶(ひろらか)なる()をすぶる首領(かしら)をうちたまへり 7かれ(みち)のほとりの(かは)より(くみ)てのみ(かく)てかうべを(あげ)

第百十一篇

1ヱホバを(ほめ)たたへよ (われ)はなほきものの(つどひ)あるひは公會(こうくわい)にて(こころ)をつくしてヱホバに感謝(かんしや)せん 2ヱホバのみわざは(おほい)なりすべてその事跡(みわざ)をしたふものは(これ)をかんがへ(きは)3その(おこな)ひたまふところは榮光(さかえ)ありまた稜威(みいづ)あり その公義(ただしき)はとこしへに()することなし 4ヱホバはその(くす)しきみわざを(ひと)のこころに(とめ)しめたまへり ヱホバはめぐみと憐憫(あはれみ)とにて(みち)たまふ 5ヱホバは(おのれ)をおそるるものに(かて)をあたへたまへり またその契約(けいやく)をとこしへに(こころ)にとめたまはん 6ヱホバはもろもろの(くに)所領(しよりやう)をおのれの(たみ)にあたへてその作爲(みわざ)のちからを(これ)にあらはしたまへり 7その(みて)のみわざは眞實(まこと)なり公義(ただしき)なり そのもろもろの訓諭(みさとし)はかたし 8これらは世々(よよ)かぎりなく(かた)くたち眞實(まこと)正直(なほき)とにてなれり 9ヱホバはそのたみに救贖(あがなひ)をほどこし その契約(けいやく)をとこしへに(たて)たまへり ヱホバの(みな)(せい)にしてあがむべきなり 10ヱホバをおそるるは智慧(ちゑ)のはじめなり これらを(おこな)ふものは(みな)あきらかなる(さとり)ある(ひと)なり ヱホバの頌美(ほまれ)はとこしへに(うす)ることなし

第百十二篇

1ヱホバを(ほめ)まつれヱホバを(おそ)れてそのもろもろの誡命(いましめ)をいたく(よろこ)ぶものはさいはひなり 2かかる(ひと)のすゑは()にてつよく(なほ)きものの(たぐひ)はさいはひを()3(とみ)(たから)とはその(いへ)にあり その公義(ただしき)はとこしへにうすることなし 4(なほ)(もの)のために(くら)きなかにも(ひかり)あらはる (かれ)(めぐみ)ゆたかに憐憫(あはれみ)にみつる(ただ)しきものなり 5(めぐみ)をほどこし(かす)ことをなす(もの)はさいはひなり かかる(ひと)審判(さばき)をうくるときおのが(うたへ)をささへうべし 6(また)とこしへまで(うご)かさるることなからん義者(ただしきもの)はながく(わす)れらるることなかるべし 7(かれ)はあしき音信(おとづれ)によりて(おそ)れず その(こころ)ヱホバに依賴(よりたの)みてさだまれり 8その(こころ)かたくたちて(おそ)るることなく(てき)につきての願望(ねがひ)をつひに()9(かれ)はちらして貧者(まづしきもの)にあたふ その正義(ただしき)はとこしへにうすることなし その(つの)はあがめをうけて(あげ)られん 10惡者(あしきもの)はこれを()てうれへもだえ切歯(はがみ)しつつ(とけ)さらん また(あし)きものの願望(ねがひ)はほろぶべし

第百十三篇

1ヱホバをほめまつれ汝等(なんぢら)ヱホバの(しもべ)よほめまつれヱホバの(みな)をほめまつれ 2(いま)より永遠(とこしへ)にいたるまでヱホバの(みな)はほむべきかな 3()のいづる(ところ)より()のいる(ところ)までヱホバの(みな)はほめらるべし 4ヱホバはもろもろの(くに)(うへ)にありてたかく その榮光(みさかえ)(てん)よりもたかし 5 113:6われらの(かみ)ヱホバにたぐふべき(もの)はたれぞや 寳座(みくら)をその高處(たかきところ)にすゑ(おのれ)をひくくして(てん)()とをかへりみ(たま)7まづしきものを(ちり)よりあげ(とも)しきものを糞土(あくた)よりあげて 8もろもろの諸侯(きみたち)とともにすわらせ その(たみ)のきみたちと(とも)にすわらせたまはん 9(また)はらみなき(をんな)(いへ)をまもらせ おほくの子女(こら)のよろこばしき(はは)たらしめたまふ ヱホバを(ほめ)まつれ

第百十四篇

1イスラエルの(たみ)エジプトをいで ヤコブのいへ(あだし)(ことば)(たみ)をはなれしとき 2ユダはヱホバの聖所(せいじよ)となりイスラエルはヱホバの所領(しよりやう)となれり 3(うみ)はこれを()てにげヨルダンは(うしろ)にしりぞき 4(やま)牡羊(をひつじ)のごとくをどり小山(こやま)はこひつじのごとく(をど)れり 5(うみ)よなんぢ(なに)とてにぐるやヨルダンよなんぢ(なに)とて(うしろ)にしりぞくや 6(やま)よなにとて牡羊(をひつじ)のごとくをどるや小山(こやま)よなにとて()(ひつじ)のごとく(をど)るや 7()(しゆ)のみまへヤコブの(かみ)(みまへ)にをののけ 8(しゆ)はいはを(いけ)にかはらせ(いし)をいづみに(かは)らせたまへり

第百十五篇

1ヱホバよ榮光(さかえ)をわれらに()するなかれ われらに()するなかれ なんぢのあはれみと(なんぢ)のまこととの(ゆゑ)によりてただ(みな)にのみ()したまへ 2もろもろの國人(くにびと)はいかなればいふ (いま)かれらの(かみ)はいづくにありやと 3(され)どわれらの(かみ)(てん)にいます (かみ)はみこころのままにすべての(こと)をおこなひ(たま)へり 4かれらの偶像(ぐうざう)はしろかねと(こがね)にして(ひと)()のわざなり 5その偶像(ぐうざう)(くち)あれどいはず()あれどみず 6(みみ)あれどきかず(はな)あれどかがず 7()あれどとらず(あし)あれどあゆまず(のど)より(こゑ)をいだすことなし 8(これ)をつくる(もの)とこれに依賴(よりたの)むものとは(みな)これにひとしからん 9イスラエルよなんぢヱホバに依賴(よりたの)め ヱホバはかれらの(たすけ)かれらの(たて)なり 10アロンの(いへ)よなんぢらヱホバによりたのめ ヱホバはかれらの(たすけ)かれらの(たて)なり 11ヱホバを(おそ)るるものよヱホバに依賴(よりたの)め ヱホバはかれらの(たすけ)かれらの(たて)なり 12ヱホバは我儕(われら)をみこころに(とめ)たまへり われらを(めぐ)みイスラエルの(いへ)をめぐみアロンのいへをめぐみ 13また(ちひさ)なるも(おほき)なるもヱホバをおそるる(もの)をめぐみたまはん 14(ねがは)くはヱホバなんぢらを(まし)(くは)へ なんぢらとなんぢらの子孫(こら)とをましくはへ(たま)はんことを 15なんぢらは天地(あめつち)をつくりたまへるヱホバに(めぐ)まるる(もの)なり 16(てん)はヱホバの(てん)なり されど()(ひと)()にあたへたまへり 17(しぬる)(ひと)幽寂(おとなき)ところに(くだ)れるものもヤハを讃稱(ほめたた)ふることなし 18(され)どわれらは(いま)より永遠(とこしへ)にいたるまでヱホバを(ほめ)まつらむ 汝等(なんぢら)ヱホバをほめたたへよ

第百十六篇

1われヱホバを(いつく)しむ そはわが(こゑ)とわが願望(ねがひ)とをききたまへばなり 2ヱホバみみを(われ)にかたぶけたまひしが(ゆゑ)に われ()にあらんかぎりヱホバを(よび)まつらむ 3()(なは)われをまとひ陰府(よみ)のくるしみ(われ)にのぞめり われは患難(なやみ)とうれへとにあへり 4その(とき)われヱホバの(みな)をよべり ヱホバよ(ねがは)くはわが霊魂(たましひ)をすくひたまへと 5ヱホバは恩惠(めぐみ)ゆたかにして公義(ただしき)ましませり われらの(かみ)はあはれみ(ふか)6ヱホバは(おろ)かなるものを(まも)りたまふ われ(ひく)くせられしがヱホバ(われ)をすくひたまへり 7わが霊魂(たましひ)よなんぢの平安(やすき)にかへれ ヱホバは(ゆた)かになんぢを(あしら)ひたまへばなり 8(なんぢ)はわがたましひを()より わが()をなみだより わが(あし)顛蹶(つまづき)よりたすけいだしたまひき 9われは(いけ)るものの(くに)にてヱホバの(まへ)にあゆまん 10われ(おほい)になやめりといひつつもなほ(しん)じたり 11われ(あわ)てしときに(いへ)らく すべての(ひと)はいつはりなりと 12(われ)いかにしてその(たま)へるもろもろの恩惠(めぐみ)をヱホバにむくいんや 13われ(すくひ)のさかづきをとりてヱホバの(みな)をよびまつらむ 14(われ)すべての(たみ)のまへにてヱホバにわが(ちかひ)をつくのはん 15ヱホバの聖徒(せいと)()はそのみまへにて(たふ)とし 16ヱホバよ(まこと)にわれはなんぢの(しもべ)なり われはなんぢの婢女(はしため)()にして(なんぢ)のしもべなり なんぢわが縲絏(いましめ)をときたまへり 17われ感謝(かんしや)をそなへものとして(なんぢ)にささげん われヱホバの(みな)をよばん 18(われ)すべての(たみ)のまへにてヱホバにわがちかひを(つくの)はん 19ヱルサレムよ(なんぢ)のなかにてヱホバのいへの大庭(おほには)のなかにて(これ)をつくのふべし ヱホバを(ほめ)まつれ

第百十七篇

1もろもろの(くに)よなんぢらヱホバを(ほめ)まつれ もろもろの(たみ)よなんぢらヱホバを(たた)へまつれ 2そはわれらに(たま)ふその憐憫(あはれみ)はおほいなり ヱホバの眞實(まこと)はとこしへに(たゆ)ることなし ヱホバをほめまつれ

第百十八篇

1ヱホバに感謝(かんしや)せよヱホバは恩惠(めぐみ)ふかくその憐憫(あはれみ)とこしへに(たゆ)ることなし 2イスラエルは(いざ)いふべし その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなしと 3アロンの(いへ)はいざ()ふべし そのあはれみは永遠(とこしへ)にたゆることなしと 4ヱホバを(おそ)るるものは(いざ)いふべし その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなしと 5われ患難(なやみ)のなかよりヱホバをよべば ヱホバこたへて(われ)をひろき(ところ)におきたまへり 6ヱホバわが(かた)にいませばわれにおそれなし (ひと)われに(なに)をなしえんや 7ヱホバはわれを(たす)くるものとともに()がかたに(いま)す この(ゆゑ)にわれを(にく)むものにつきての願望(ねがひ)をわれ()ることをえん 8ヱホバに依賴(よりたの)むは(ひと)にたよるよりも(まさ)りてよし 9ヱホバによりたのむはもろもろの(きみ)にたよるよりも(まさ)りてよし 10もろもろの(くに)はわれを(かこ)めり われヱホバの(みな)によりて彼等(かれら)をほろぼさん 11かれらは(われ)をかこめり(われ)をかこめりヱホバの(みな)によりて彼等(かれら)をほろぼさん 12かれらは(はち)のごとく(われ)をかこめり かれらは(いばら)()のごとく(きえ)たり われはヱホバの(みな)によりてかれらを(ほろぼ)さん 13(なんぢ)われを(たふ)さんとしていたく(さし)つれど ヱホバわれを(たす)けたまへり 14ヱホバはわが(ちから)わが(うた)にしてわが(すくひ)となりたまへり 15歓喜(よろこび)とすくひとの(こゑ)はただしきものの幕屋(まくや)にあり ヱホバのみぎの(みて)はいさましき動作(はたらき)をなしたまふ 16ヱホバのみぎの(みて)はたかくあがりヱホバの(みぎ)(みて)はいさましき動作(はたらき)をなしたまふ 17われは(しぬ)ることなからん (ながら)へてヤハの事跡(みわざ)をいひあらはさん 18ヤハはいたく(われ)をこらしたまひしかど()には(わた)したまはざりき 19わがために()(もん)をひらけ (われ)そのうちにいりてヤハに感謝(かんしや)せん 20こはヱホバの(もん)なりただしきものはその(うち)にいるべし 21われ(なんぢ)感謝(かんしや)せん なんぢ(われ)にこたへてわが(すくひ)となりたまへばなり 22工師(いへつくり)のすてたる(いし)はすみの首石(おやいし)となれり 23これヱホバの(なし)たまへる(こと)にしてわれらの()にあやしとする(ところ)なり 24これヱホバの(まう)けたまへる()なり われらはこの()によろこびたのしまん 25ヱホバよねがはくはわれらを(いま)すくひたまへ ヱホバよねがはくは我儕(われら)をいま(さか)えしめたまヘ 26ヱホバの(みな)によりて(きた)るものは(さいは)ひなり われらヱホバの(いへ)よりなんぢらを(しゆく)せり 27ヱホバは(かみ)なり われらに(ひかり)をあたへたまへり (なは)をもて祭壇(さいだん)(つの)にいけにへをつなげ 28なんぢはわが(かみ)なり(われ)なんぢに感謝(かんしや)せん なんぢはわが(かみ)なり(われ)なんぢを(あが)めまつらん 29ヱホバにかんしやせよ ヱホバは恩惠(めぐみ)ふかくその憐憫(あはれみ)とこしへに(たゆ)ることなし

第百十九篇

アレフ
1おのが(みち)をなほくしてヱホバの律法(おきて)をあゆむ(もの)はさいはひなり 2ヱホバのもろもろの證詞(あかし)をまもり (こころ)をつくしてヱホバを(たづね)(もと)むるものは(さいは)ひなり 3かかる(ひと)不義(ふぎ)をおこなはずしてヱホバの(みち)をあゆむなり 4ヱホバよなんぢ訓諭(さとし)をわれらに(めい)じてねんごろに(まも)らせたまふ 5なんぢわが(みち)をかたくたててその律法(おきて)をまもらせたまはんことを 6われ(なんぢ)のもろもろの誡命(いましめ)にこころをとむるときは(はづ)ることあらじ 7われ(なんぢ)のただしき審判(さばき)をまなばば (なほ)(こころ)をもてなんぢに感謝(かんしや)せん 8われは律法(おきて)をまもらん われを(すて)はてたまふなかれ
○ベテ
9わかき(ひと)はなにによりてかその(みち)をきよめん 聖言(みことば)にしたがひて(つつし)むのほかぞなき 10われ(こころ)をつくして(なんぢ)をたづねもとめたり (ねがは)くはなんぢの誡命(いましめ)より(まよ)ひいださしめ(たま)ふなかれ 11われ(なんぢ)にむかひて(つみ)ををかすまじき(ため)になんぢの(ことば)をわが(こころ)のうちに(たくは)へたり 12(ほむ)べきかなヱホバよねがはくは律法(みおきて)をわれに(をし)へたまへ 13われわが口唇(くちびる)をもてなんぢの(くち)よりいでしもろもろの審判(さばき)をのべつたへたり 14(われ)もろもろの財貨(たから)をよろこぶごとくに(なんぢ)のあかしの(みち)をよろこべり 15(われ)なんぢの訓諭(さとし)をおもひ(なんぢ)のみちに(こころ)をとめん 16われは律法(みおきて)をよろこび聖言(みことば)をわするることなからん
○ギメル
17ねがはくは(なんぢ)のしもべを(ゆたか)にあしらひて(ながら)へしめたまへ さらばわれ聖言(みことば)をまもらん 18なんぢわが()をひらき なんぢの(のり)のうちなる(くす)しきことを(われ)にみせたまへ 19われは()にある旅客(たびびと)なり (われ)になんぢの誡命(いましめ)をかくしたまふなかれ 20(たゆ)るときなくなんぢの審判(さばき)をしたふが(ゆゑ)にわが霊魂(たましひ)はくだくるなり 21(なんぢ)はたかぶる(もの)をせめたまへり なんぢの誡命(いましめ)よりまよひづる(もの)はのろはる 22(われ)なんぢの證詞(あかし)をまもりたり (われ)より(そしり)とあなどりとを(とり)(さり)たまへ 23(また)もろもろの(きみ)()して(あひ)(かた)りわれをそこなはんとせり (しか)はあれど(なんぢ)のしもべは律法(みおきて)をふかく(おも)へり 24(なんぢ)のもろもろの證詞(あかし)はわれをよろこばせわれをさとす(もの)なり
○ダレテ
25わが霊魂(たましひ)(ちり)につきぬ なんぢの(ことば)にしたがひて(われ)をいかしたまへ 26(われ)わがふめる(みち)をあらはししかば(なんぢ)こたへを(われ)になしたまへり なんぢの律法(おきて)をわれに(をし)へたまへ 27なんぢの訓諭(さとし)のみちを(われ)にわきまへしめたまへ われ(なんぢ)のくすしき事跡(みわざ)をふかく(おも)はん 28わがたましひ(いた)めるによりてとけゆく ねがはくは聖言(みことば)にしたがひて(われ)にちからを(あた)へたまへ 29(ねがは)くはいつはりの(みち)をわれより(とほ)ざけ なんぢの(のり)をもて(われ)をめぐみたまへ 30われは眞實(まこと)のみちをえらび (つね)になんぢのもろもろの審判(さばき)をわが(まへ)におけり 31(われ)なんぢの證詞(あかし)をしたひて(はな)れず ヱホバよねがはくは(われ)をはづかしめ(たま)ふなかれ 32われ(なんぢ)のいましめの(みち)をはしらん その(とき)なんぢわが(こころ)をひろく()たまふべし
○へ
33ヱホバよ(ねがは)くはなんぢの律法(おきて)のみちを(われ)にをしへたまへ われ(をはり)にいたるまで(これ)をまもらん 34われに智慧(ちゑ)をあたへ(たま)へ さらば(われ)なんぢの(のり)をまもり(こころ)をつくして(これ)にしたがはん 35われに(なんぢ)のいましめの(みち)をふましめたまへ われその(みち)をたのしめばなり 36わが(こころ)をなんぢの證詞(あかし)にかたぶかしめて 貪利(むさぼり)にかたぶかしめ(たま)ふなかれ 37わが()をほかにむけて(むな)しきことを()ざらしめ (われ)をなんぢの(みち)にて(いか)(たま)38ひたすらに(なんぢ)をおそるる(なんぢ)のしもべに 聖言(みことば)をかたくしたまへ 39わがおそるる(そしり)をのぞきたまへ そはなんぢの審判(さばき)はきはめて()40(われ)なんぢの訓諭(さとし)をしたへり (ねがは)くはなんぢの()をもて(われ)をいかしたまへ
○ワウ
41ヱホバよ聖言(みことば)にしたがひてなんぢの憐憫(あはれみ)なんぢの拯救(すくひ)(われ)にのぞませたまへ 42さらば(われ)われを(そし)るものに(こた)ふることをえん われ聖言(みことば)によりたのめばなり 43(また)わが(くち)より眞理(まこと)のことばをことごとく(のぞ)(たま)ふなかれ われなんぢの審判(さばき)をのぞみたればなり 44われたえずいや永久(とほなが)になんぢの(のり)をまもらん 45われなんぢの訓諭(さとし)をもとめたるにより(さはり)なくしてあゆまん 46われまた(わう)たちの(まへ)になんぢの證詞(あかし)をかたりて(はづ)ることあらじ 47(われ)わが(あい)するなんぢの誡命(いましめ)をもて(おのれ)をたのしましめん 48われ()をわがあいする(なんぢ)のいましめに()げ なんぢの律法(おきて)をふかく(おも)はん
○ザイン
49ねがはくは(なんぢ)のしもべに(のたま)ひたる聖言(みことば)をおもひいだしたまへ (なんぢ)われに(これ)をのぞましめ(たま)へり 50なんぢの聖言(みことば)はわれを(いか)ししがゆゑに (いま)もなほわが艱難(なやみ)のときの安慰(なぐさめ)なり 51(たか)ぶる(もの)おほいに(われ)をあざわらへり されど(われ)なんぢの(のり)をはなれざりき 52ヱホバよわれ(なんぢ)がふるき往昔(むかし)よりの審判(さばき)をおもひいだして(みづ)から(なぐさ)めたり 53なんぢの(のり)をすつる惡者(あしきもの)のゆゑによりて (われ)はげしき(いかり)をおこしたり 54なんぢの律法(おきて)はわが(たび)(いへ)にてわが(うた)となれり 55ヱホバよわれ夜間(よのま)になんぢの(みな)をおもひいだして なんぢの(のり)をまもれり 56われ(なんぢ)のさとしを(まも)りしによりてこの(こと)をえたるなり
○ヘテ
57ヱホバはわがうくべき(もの)なり われ(なんぢ)のもろもろの(ことば)をまもらんといへり 58われ(こころ)をつくして(なんぢ)のめぐみを(こひ)(もと)めたり ねがはくは聖言(みことば)にしたがひて(われ)をあはれみたまへ 59(われ)わがすべての(みち)をおもひ (あし)をかへしてなんぢの證詞(あかし)にむけたり 60(われ)なんぢの誡命(いましめ)をまもるに(すみや)けくしてたゆたはざりき 61(あし)きものの(なは)われに(まと)ひたれども (われ)なんぢの(のり)をわすれざりき 62(われ)なんぢのただしき審判(さばき)のゆゑに 夜半(よは)におきてなんぢに感謝(かんしや)せん 63われは(なんぢ)をおそるる(もの) またなんぢの訓諭(さとし)をまもるものの(とも)なり 64ヱホバよ(なんぢ)のあはれみは()にみちたり (ねがは)くはなんぢの律法(おきて)をわれにをしへたまへ
○テテ
65ヱホバよなんぢ聖言(みことば)にしたがひ(めぐみ)をもてその(しもべ)をあしらひたまへり 66われ(なんぢ)のいましめを(しん)ず ねがはくはわれに聡明(そうめい)智識(ちしき)とををしへたまへ 67われ(くる)しまざる(まへ)にはまよひいでぬ されど(いま)はわれ聖言(みことば)をまもる 68なんぢは(ぜん)にして(ぜん)をおこなひたまふ ねがはくは(なんぢ)のおきてを(われ)にをしへたまへ 69(たか)ぶるもの虚偽(いつはり)をくはだてて(われ)にさからへり われ(こころ)をつくしてなんぢの訓諭(さとし)をまもらん 70かれらの(こころ)はこえふとりて(あぶら)のごとし されど(われ)はなんぢの(のり)をたのしむ 71困苦(くるしみ)にあひたりしは(われ)によきことなり (これ)によりて(われ)なんぢの律法(おきて)をまなびえたり 72なんぢの(くち)(のり)はわがためには千々(ちぢ)のこがね白銀(しろかね)にもまされり
○ヨーデ
73なんぢの(みて)はわれを(つく)りわれを(かたち)づくれり ねがはくは智慧(ちゑ)をあたへて(われ)になんぢの誡命(いましめ)をまなばしめたまへ 74なんぢを(おそ)るるものは(われ)をみて(よろこ)ばん われ聖言(みことば)によりて(のぞみ)をいたきたればなり 75ヱホバよ(われ)はなんぢの審判(さばき)のただしく(また)なんぢが眞實(まこと)をもて(われ)をくるしめたまひしを()76ねがはくは(なんぢ)のしもべに(のたま)ひたる聖言(みことば)にしたがひて (なんぢ)仁慈(いつくしみ)をわが安慰(なぐさめ)となしたまへ 77なんぢの憐憫(あはれみ)をわれに(のぞ)ませたまへ さらばわれ(いき)ん なんぢの(のり)はわが(たの)しめるところなり 78(たか)ぶるものに(はぢ)をかうぷらせたまへ かれらは虚偽(いつはり)をもて(われ)をくつがへしたればなり されど(われ)なんぢの訓諭(さとし)をふかくおもはん 79(なんぢ)をおそるる(もの)となんぢの證詞(あかし)をしるものとを(われ)にかへらしめたまへ 80わがこころを(また)くして(なんぢ)のおきてを(まも)らしめたまへ さらばわれ(はぢ)をかうぶらじ
○カフ
81わが霊魂(たましひ)はなんぢの(すくひ)をしたひてたえいるばかりなり (され)どわれなほ聖言(みことば)によりて(のぞみ)をいだく 82なんぢ(いづれ)のとき(われ)をなぐさむるやといひつつ (われ)みことばを(した)ふによりて()おとろふ 83(われ)(けぶり)のなかの革嚢(かはぶくろ)のごとくなりぬれども (なほ)なんぢの律法(おきて)をわすれず 84(なんぢ)のしもべの()幾何(いくばく)ありや (なんぢ)いづれのとき(われ)をせむるものに審判(さばき)をおこなひたまふや 85たかぶる(もの)われを(そこな)はんとて(あな)をほれり かれらはなんぢの(のり)にしたがはず 86なんぢの誡命(いましめ)はみな眞實(まこと)なり かれらは虚偽(いつはり)をもて(われ)をせむ ねがはくは(われ)をたすけたまへ 87かれらは()にてほとんど(われ)をほろぼせり されど(われ)はなんぢの訓諭(さとし)をすてざりき 88(ねがは)くはなんぢの仁慈(いつくしみ)にしたがひて(われ)をいかしたまへ (さら)ばわれ御口(みくち)よりいづる證詞(あかし)をまもらん
○ラメテ
89ヱホバよみことばは(てん)にてとこしえに(さだ)まり 90なんぢの眞實(まこと)はよろづ()におよぶ なんぢ()をかたく(たて)たまへば()はつねにあり 91これらのものはなんぢの命令(おほせごと)にしたがひ (つね)にありて今日(けふ)にいたる (よろづ)のものは(みな)なんぢの(しもべ)なればなり 92なんぢの(のり)わがたのしみとならざりしならば(われ)はつひに患難(なやみ)のうちに(ほろ)びたるならん 93われ(つね)になんぢの訓諭(さとし)をわすれじ (なんぢ)これをもて(われ)をいかしたまへばなり 94(われ)はなんぢの(もの)なりねがはくは(われ)をすくひたまへ われ(なんぢ)のさとしを(もと)めたり 95(あし)きものは(われ)をほろぼさんとして(うかが)ひぬ われは(ただ)なんぢのもろもろの證詞(あかし)をおもはん 96(われ)もろもろの純全(またき)(はて)あるをみたり されど(なんぢ)のいましめはいと(ひろ)
○メム
97われなんぢの(のり)をいつくしむこといかばかりぞや われ終日(ひねもす)これを(ふか)くおもふ 98なんぢの誡命(いましめ)はつねに(われ)とともにありて (われ)をわが(あた)にまさりて(さと)からしむ 99(われ)はなんぢの證詞(あかし)をふかくおもふが(ゆゑ)に わがすべての()にまさりて智慧(ちゑ)おほし 100(われ)はなんぢの訓諭(さとし)をまもるがゆゑに (おい)たる(もの)にまさりて(こと)をわきまふるなり 101われ聖言(みことば)をまもらんために わが(あし)をとどめてもろもろのあしき(みち)にゆかしめず 102なんぢ(われ)ををしへたまひしによりて (われ)なんぢの審判(さばき)をはなれざりき 103みことばの滋味(あじはひ)はわが(あぎ)にあまきこといかばかりぞや (みつ)のわが(くち)(あま)きにまされり 104(われ)なんぢの訓諭(さとし)によりて智慧(ちゑ)をえたり このゆゑに虚偽(いつはり)のすべての(みち)をにくむ
○ヌン
105なんぢの聖言(みことば)はわがあしの燈火(ともしび)わが(みち)のひかりなり 106われなんぢのただしき審判(さばき)をまもらんことをちかひ(かつ)かたくせり 107われ(いと)いたく(くる)しめり ヱホバよねがはくは聖言(みことば)にしたがひて(われ)をいかしたまヘ 108ヱホバよねがはくは誠意(まごころ)よりするわが(くち)(ささげ)(もの)をうけて なんぢの審判(さばき)ををしへたまへ 109わが霊魂(たましひ)はつねに危険(あやふき)ををかす されど(われ)なんぢの(のり)をわすれず 110あしき(もの)わがために(わな)をまうけたり されどわれ(なんぢ)のさとしより(まよ)ひいでざりき 111われ(なんぢ)のもろもろの證詞(あかし)をとこしへにわが嗣業(ゆづり)とせり これらの證詞(あかし)はわが(こころ)をよろこばしむ 112われ(なんぢ)のおきてを(をはり)までとこしへに(まも)らんとて(これ)にこころを(かたぶ)けたり
○サメク
113われ二心(ふたごころ)のものをにくみ(なんぢ)のおきてを(いつく)しむ 114なんぢはわが(かく)るべき(ところ)わが(たて)なり われ聖言(みことば)によりて(のぞみ)をいだく 115(あし)きをなすものよ(われ)をはなれされ われわが(かみ)のいましめを(まも)らん 116聖言(みことば)にしたがひ(われ)をささへて生存(ながらへ)しめたまへ わが(のぞみ)につきて(はぢ)なからしめたまへ 117われを(ささ)へたまへ さらばわれ(やす)けかるべし われ(つね)になんぢの律法(おきて)にこころをそそがん 118すべて律法(みおきて)よりまよひいづるものを(なんぢ)かろしめたまへり かれらの欺詐(あざむき)はむなしければなり 119なんぢは()のすべての(あし)きものを渣滓(かなかす)のごとく(のぞ)きさりたまふ この(ゆゑ)にわれ(なんぢ)のあかしを(あい)120わが肉體(にくたい)なんぢを(おそ)るるによりてふるふ (われ)はなんぢの審判(さばき)をおそる
○アイン
121われは審判(さばき)公義(ただしき)とをおこなふ (われ)をすてて(しへた)ぐるものに(ゆだ)ねたまふなかれ 122(なんぢ)のしもべの中保(なかだち)となりて福祉(さいはひ)をえしめたまへ (たか)ぶるものの(われ)をしへたぐるを(ゆる)したまふなかれ 123わが()はなんぢの(すくひ)となんぢのただしき聖言(みことば)とをしたふによりておとろふ 124ねがはくはなんぢの憐憫(あはれみ)にしたがひてなんぢの(しもべ)をあしらひ (われ)になんぢの律法(おきて)ををしへたまへ 125(われ)はなんぢの(しもべ)なり われに智慧(ちゑ)をあたへてなんぢの證詞(あかし)をしらしめたまへ 126彼等(かれら)はなんぢの(のり)をすてたり (いま)はヱホバのはたらきたまふべき(とき)なり 127この(ゆゑ)にわれ(こがね)よりもまじりなき(こがね)よりもまさりて(なんぢ)のいましめを(あい)128この(ゆゑ)にもろもろのことに(かか)るなんぢの一切(すべて)のさとしを(ただ)しとおもふ (われ)すべてのいつはりの(みち)をにくむ
○べ
129(なんぢ)のあかしは(たへ)なり かかるが(ゆゑ)にわが霊魂(たましひ)これをまもる 130聖言(みことば)うちひらくれば(ひかり)をはなちて (おろ)かなるものをさとからしむ 131(われ)なんぢの誡命(いましめ)をしたふが(ゆゑ)に わが(くち)をひろくあけて(あへ)ぎもとめたり 132ねがはくは聖名(みな)(あい)するものに(つね)になしたまふごとく()をかへして(われ)をあはれみたまへ 133聖言(みことば)をもてわが歩履(あゆみ)をととのへ もろもろの邪曲(よこしま)をわれに(しゆ)たらしめたまふなかれ 134われを(ひと)のしへたげより(あがな)ひたまへ さらばわれ訓諭(みさとし)をまもらん 135ねがはくは聖顔(みかほ)をなんぢの(しもべ)のうへにてらし (なんぢ)のおきてを(われ)にをしへ(たま)136(ひと)なんぢの(のり)をまもらざるによりて わが()のなみだ(かは)のごとくに(なが)
○ツァデー
137ヱホバよなんぢは(ただ)しくなんぢの審判(さばき)はなほし 138(なんぢ)ただしきと此上(こよ)なき眞實(まこと)とをもて その證詞(あかし)(めい)(たま)へり 139わが(てき)なんぢの聖言(みことば)をわすれたるをもて わが熱心(ねつしん)われをほろぼせり 140なんぢの聖言(みことば)はいときよし 此故(このゆゑ)になんぢの(しもべ)はこれを(あい)141われは(かすか)なるものにて(ひと)にあなどらるれども(なんぢ)のさとしを(わす)れず 142なんぢの()はとこしへの()なり(なんぢ)ののりは眞理(まこと)なり 143われ患難(なやみ)(うれへ)とにかかれども (なんぢ)のいましめはわが喜樂(たのしみ)なり 144なんぢの證詞(あかし)はとこしへに(ただ)し ねがはくはわれに智慧(ちゑ)をたまへ (われ)ながらふることを()
○コフ
145われ(こころ)をつくしてよばはれり ヱホバよ(われ)にこたへたまへ (われ)なんぢの律法(おきて)をまもらん 146われ(なんぢ)をよばはれり ねがはくはわれを(すく)(たま)(われ)なんぢの證詞(あかし)をまもらん 147われ詰朝(あさまだき)おきいでて(よば)はれり われ聖言(みことば)によりて(のぞみ)をいだけり 148(よる)(とき)のきたらぬに(さき)だち わが()はさめて(なんぢ)のみことばを(ふか)くおもふ 149ねがはくはなんぢの仁慈(いつくしみ)にしたがひてわが(こゑ)をききたまへ ヱホバよなんぢの審判(さばき)にしたがひて(われ)をいかしたまへ 150(あく)をおひもとむるものは(われ)にちかづけり 彼等(かれら)はなんぢの(のり)にとほくはなる 151ヱホバよ(なんぢ)はわれに(ちか)くましませり なんぢのすべての誡命(いましめ)はまことなり 152われ(はや)くよりなんぢの證詞(あかし)によりて(なんぢ)がこれを永遠(とこしへ)にたてたまへることを()れり
○レシ
153ねがはくはわが患難(なやみ)をみて(われ)をすくひたまへ (われ)なんぢの(のり)をわすれざればなり 154ねがはくはわが(うたへ)をあげつらひて(われ)をあがなひ 聖言(みことば)にしたがひて(われ)をいかしたまへ 155すくひは(あし)きものより(とほ)くはなる かれらはなんぢの律法(おきて)をもとめざればなり 156ヱホバよなんぢの憐憫(あはれみ)はおほいなり (ねがは)くはなんぢの審判(さばき)にしたがひて(われ)をいかしたまへ 157(われ)をせむる(もの)われに(てき)するものおほし (われ)なんぢの證詞(あかし)をはなるることなかりき 158虚偽(いつはり)をおこなふもの(なんぢ)のみことばを(まも)らざるにより (われ)かれらを()てうれへたり 159ねがはくはわが(なんぢ)のさとしを(あい)すること幾何(いかばかり)なるをかへりみたまへ ヱホバよなんぢの仁慈(いつくしみ)にしたがひて(われ)をいかしたまへ 160なんぢのみことばの總計(すべくくり)はまことなり (なんぢ)のただしき審判(さばき)はとこしへにいたるまで(みな)たゆることなし
○シン
161もろもろの(きみ)はゆゑなくして(われ)をせむ (され)どわが(こころ)はただ(なんぢ)のみことばを(おそ)162われ(ひと)のおほいなる掠物(えもの)をえたるごとくに (なんぢ)のみことばをよろこぶ 163われ虚偽(いつはり)をにくみ(これ)をいみきらへども (なんぢ)ののりを(あい)164われ(なんぢ)のただしき審判(さばき)のゆゑをもて 一日(ひとひ)七次(ななたび)なんぢを讃稱(ほめたた)165なんぢの(のり)をあいするものには(おほい)なる平安(やすき)あり かれらには躓礙(つまづき)をあたふる(もの)なし 166ヱホバよ(われ)なんぢの(すくひ)をのぞみ(なんぢ)のいましめをおこなへり 167わが霊魂(たましひ)はなんぢの證詞(あかし)をまもれり (われ)はいたく(これ)をあいす 168われなんぢの訓諭(さとし)となんぢの證詞(あかし)とをまもりぬ わがすべての(みち)はみまへにあればなり
○タウ
169ヱホバよ(ねがは)くはわがよぶ(こゑ)をみまへにちかづけ 聖言(みことば)にしたがひて(われ)にちゑをあたへたまへ 170わが(ねがひ)をみまへにいたらせ 聖言(みことば)にしたがひて(われ)をたすけたまへ 171わがくちびるは讃美(さんび)をいだすべし (なんぢ)われに律法(みおきて)ををしへ(たま)へばなり 172わが(した)はみことばを(うた)ふべし なんぢの一切(すべて)のいましめは()なればなり 173なんぢの(みて)をつねにわが(たすけ)となしたまへ われなんぢの訓諭(さとし)をえらび(もち)ゐたればなり 174ヱホバよ(われ)なんぢの(すくひ)をしたへり なんぢの(のり)はわがたのしみなり 175(ねがは)くはわが霊魂(たましひ)をながらへしめたまへ さらば(なんぢ)をほめたたへん (なんぢ)のさばきの(われ)をたすけんことを 176われは(うしな)はれたる(ひつじ)のごとく(まよ)ひいでぬ なんぢの(しもべ)をたづねたまへ われ(なんぢ)のいましめを(わす)れざればなり

第百二十篇

(みやこ)(まうで)のうた
1われ困苦(なやみ)にあひてヱホバをよびしかば(われ)にこたへたまへり 2ヱホバよねがはくは虚偽(いつはり)のくちびる欺詐(あざむき)(した)よりわが霊魂(たましひ)をたすけいだしたまへ 3あざむきの(した)よなんぢに(なに)をあたへられ (なに)をくはへらるべきか 4ますらをの()()金萑花(えにしだ)のあつき(すみ)となり 5わざはひなるかな(われ)はメセクにやどりケダルの幕屋(まくや)のかたはらに()めり 6わがたましひは平安(やすき)をにくむものと(とも)にすめり 7われは平安(やすき)をねがふ されど(われ)ものいふときにかれら戰爭(たたかひ)をこのむ

第百二十一篇

(みやこ)まうでの(うた)
1われ(やま)にむかひて()をあぐ わが扶助(たすけ)はいづこよりきたるや 2わがたすけは天地(あめつち)をつくりたまへるヱホバよりきたる 3ヱホバはなんぢの(あし)のうごかさるるを(ゆる)したまはず (なんぢ)をまもるものは微睡(まどろみ)たまふことなし 4()よイスラエルを(まも)りたまふものは微睡(まどろむ)こともなく(ねむ)ることもなからん 5ヱホバは(なんぢ)をまもる(もの)なり ヱホバはなんぢの右手(みぎのて)をおほふ(かげ)なり 6ひるは()なんぢをうたず(よる)(つき)なんぢを(うた)7ヱホバはなんぢを(まも)りてもろもろの禍害(わざはひ)をまぬかれしめ(また)なんぢの霊魂(たましひ)をまもりたまはん 8ヱホバは(いま)よりとこしへにいたるまで (なんぢ)のいづると()るとをまもりたまはん

第百二十二篇

ダビデがよめる(みやこ)まうでの(うた)
1(ひと)われにむかひて(いざ)ヱホバのいへにゆかんといへるとき(われ)よろこべり 2ヱルサレムよわれらの(あし)はなんぢの(もん)のうちにたてり 3ヱルサレムよなんぢは(しげ)くつらなりたる(まち)のごとく(かた)くたてり 4もろもろのやから(すなは)ちヤハの支派(やから)かしこに(のぼ)りきたり イスラエルにむかひて證詞(あかし)をなし またヱホバの(みな)にかんしやをなす 5彼處(かしこ)にさばきの寳座(みくら)まうけらる これダビデの(いへ)のみくらなり 6ヱルサレムのために平安(やすき)をいのれ ヱルサレムを(あい)するものは(さか)ゆべし 7ねがはくはなんぢの石垣(いしがき)のうちに平安(やすき)あり なんぢの諸殿(とのどの)のうちに福祉(さいはひ)あらんことを 8わが兄弟(きやうだい)のためわが(とも)のために われ(いま)なんぢのなかに平安(やすき)あれといはん 9われらの(かみ)ヱホバのいへのために(われ)なんぢの福祉(さいはひ)をもとめん

第百二十三篇

(みやこ)まうでの(うた)
1(てん)にいますものよ(われ)なんぢにむかひて()をあぐ 2みよ(しもべ)その(しゆ)()()をそそぎ 婢女(はしため)その主母(とじ)()()をそそぐがごとく われらはわが(かみ)ヱホバに()をそそぎて そのわれを(あはれ)みたまはんことをまつ 3ねがはくはわれらを(あはれ)みたまヘ ヱホバよわれらを(あはれ)みたまへ そはわれらに軽侮(あなどり)はみちあふれぬ 4おもひわづらひなきものの凌辱(はぢしめ)と たかぶるものの軽侮(あなどり)とはわれらの霊魂(たましひ)にみちあふれぬ

第百二十四篇

ダビデのよめる(みやこ)まうでの(うた)
1(いま)イスラエルはいふべし ヱホバもしわれらの(かた)にいまさず 2人々(ひとびと)われらにさからひて(おこ)りたつとき ヱホバもし我儕(われら)のかたに(いま)さざりしならんには 3かれらの(いかり)のわれらにむかひておこりし(とき) われらを(いけ)るままにて(のみ)しならん 4また(みづ)はわれらをおほひ (ながれ)はわれらの霊魂(たましひ)をうちこえ 5(たか)ぶる(みづ)はわれらの霊魂(たましひ)をうちこえしならん 6ヱホバはほむべきかな我儕(われら)をかれらの()にわたして(かみ)くらはせたまはざりき 7我儕(われら)のたましひは捕鳥者(とりとり)のわなをのがるる(とり)のごとくにのがれたり (わな)はやぶれてわれらはのがれたり 8われらの(たすけ)天地(あめつち)をつくりたまへるヱホバの(みな)にあり

第百二十五篇

みやこ(まうで)のうた
1ヱホバに依賴(よりたの)むものはシオンの(やま)のうごかさるることなくして永遠(とこしへ)にあるがごとし 2ヱルサレムを(やま)のかこめるごとくヱホバも(いま)よりとこしへにその(たみ)をかこみたまはん 3(あく)(つゑ)はただしきものの所領(しよりやう)にとどまることなかるべし(かく)てただしきものはその()不義(ふぎ)にのぶることあらじ 4ヱホバよねがはくは(よき)(ひと)とこころ(なほ)きものとに福祉(さいはひ)をほどこしたまへ 5されどヱホバは(ふりか)へりておのが(まが)れる(みち)にいるものを(あし)きわざをなすものとともに(さり)しめたまはん 平安(やすき)はイスラエルのうへにあれ

第百二十六篇

(みやこ)まうでの(うた)
1ヱホバ、シオンの俘囚(とらはれびと)をかへしたまひし(とき) われらは(ゆめ)みるもののごとくなりき 2そのとき(わらひ)はわれらの(くち)にみち(うた)はわれらの(した)にみてり ヱホバかれらのために(おほい)なることを(なし)たまへりといへる(もの)もろもろの(くに)のなかにありき 3ヱホバわれらのために(おほい)なることをなしたまひたれば我儕(われら)はたのしめり 4ヱホバよ(ねがは)くはわれらの俘囚(とらはれびと)をみなみの(かは)のごとくに(かへ)したまへ 5(なみだ)とともに()くものは歡喜(よろこび)とともに(かりと)らん 6その(ひと)(たね)をたづさへ(なみだ)をながしていでゆけど禾束(たば)をたづさへ(よろこ)びてかへりきたらん

第百二十七篇

ソロモンがよめる(みやこ)まうでのうた
1ヱホバ(いへ)をたてたまふにあらずば (たつ)るものの勤勞(きんらう)はむなしく ヱホバ(しろ)をまもりたまふにあらずば衛士(ゑじ)のさめをるは徒勞(いたづら)なり 2なんぢら(はや)くおき(おそ)くいねて辛苦(しんく)(かて)をくらふはむなしきなり (かく)てヱホバその(いつく)しみたまふものに(ねぶり)をあたへたまふ 3みよ子輩(こら)はヱホバのあたへたまふ嗣業(ゆづり)にして (たい)()はその(むくい)のたまものなり 4(とし)(わか)きころほひの()はますらをの()にある()のごとし 5()のみちたる(えびら)をもつ(ひと)はさいはひなり かれら(もん)にありて(あた)とものいふとき(はづ)ることあらじ

第百二十八篇

(みやこ)まうでの(うた)
1ヱホバをおそれその(みち)をあゆむものは(みな)さいはひなり 2そはなんぢおのが()勤勞(きんらう)をくらふべければなり なんぢは福祉(さいはひ)をえまた安處(やすき)にをるべし 3なんぢの(つま)はいへの(おく)にをりておほくの()をむすぶ葡萄(ぶだう)()のごとく(なんぢ)子輩(こら)はなんぢの(えん)円居(まどゐ)してかんらんの若樹(わかき)のごとし 4()よヱホバをおそるる(もの)はかく福祉(さいはひ)をえん 5ヱホバはシオンより(めぐみ)をなんぢに(たま)はん なんぢ()にあらんかぎりヱルサレムの福祉(さいはひ)をみん 6なんぢおのが子輩(こら)()をみるべし 平安(やすき)はイスラエルの(うへ)にあり

第百二十九篇

(みやこ)まうでのうた
1(いま)イスラエルはいふべし彼等(かれら)はしばしば(われ)をわかきときより(なや)めたり 2かれらはしばしば(われ)をわかきときより(なや)めたり されどわれに(かつ)ことを()ざりき 3(たがへ)すものはわが(そびら)をたがへしてその(たみぞ)をながくせり 4ヱホバは(ただ)し あしきものの(なは)をたちたまへり 5シオンをにくむ(もの)はみな(はぢ)をおびてしりぞかせらるべし 6かれらは(そだ)たざるさきにかるる屋上(やね)(くさ)のごとし 7これを()るものはその()にみたず (これ)をつかぬるものはその(たば)ふところに(みた)ざるなり 8かたはらを(よぎ)るものはヱホバの(めぐみ)なんぢの(うへ)にあれといはず われらヱホバの(みな)によりてなんぢらを(しく)すといはず

第百三十篇

(みやこ)まうでの(うた)
1ああヱホバよわれふかき(ふち)より(なんぢ)をよべり 2(しゆ)よねがはくはわが(こゑ)をきき(なんぢ)のみみをわが懇求(ねがひ)のこゑにかたぶけたまへ 3ヤハよ(しゆ)よなんぢ(もし)もろもろの不義(ふぎ)()をとめたまはば(たれ)たれかよく(たつ)ことをえんや 4されどなんぢに(ゆるし)あれば(ひと)におそれかしこまれ(たま)ふべし 5(われ)ヱホバを(まち)(のぞ)む わが霊魂(たましひ)はまちのぞむ われはその聖言(みことば)によりて(のぞみ)をいだく 6わがたましひは衛士(ゑじ)があしたを(まつ)にまさり (まこと)にゑじが(あした)をまつにまさりて(しゆ)をまてり 7イスラエルよヱホバによりて(のぞみ)をいだけ そはヱホバにあはれみあり またゆたかなる救贖(あがなひ)あり 8ヱホバはイスラエルをそのもろもろの邪曲(よこしま)よりあがなひたまはん

第百三十一篇

ダビデのよめる(みやこ)まうでのうた
1ヱホバよわが(こころ)おごらずわが()たかぶらず われは(おほい)なることと(われ)におよばぬ(くす)しき(わざ)とをつとめざりき 2われはわが霊魂(たましひ)をもださしめまた(やす)からしめたり ()をたちし嬰兒(みどりご)のその(はは)にたよるごとく ()がたましひは()をたちし嬰兒(みどりご)のごとくわれに(たよ)れり 3イスラエルよ(いま)よりとこしへにヱホバにたよりて(のぞみ)をいだけ

第百三十二篇

(みやこ)まうでの(うた)
1ヱホバよねがはくはダビデの(ため)にそのもろもろの(うれへ)をこころに(とめ)たまへ 2ダビデ、ヱホバにちかひヤコブの全能者(ぜんのうしや)にうけひていふ 3 132:4 132:5われヱホバのために(ところ)をたづねいだし ヤコブの全能者(ぜんのうしや)のために居所(すまひ)をもとめうるまでは (わが)(いへ)幕屋(まくや)にいらず わが臥床(ふしど)にのぼらず わが()をねぶらしめず わが眼瞼(まなぶた)をとぢしめざるべしと 6われらエフラタにて(これ)をききヤアルの()にて()とめたり 7われらはその居所(すまひ)にゆきて その承足(せうそく)のまへに俯伏(ひれふ)さん 8ヱホバよねがはくは()きて なんぢの稜威(みいづ)(ひつ)とともになんぢの安居(やすみ)(どころ)にいりたまへ 9なんぢの祭司(さいし)たちは()() なんぢの聖徒(せいと)はみな(よろこ)びよばふべし 10なんぢの(しもべ)ダビデのためになんぢの受膏者(じゆかうじや)(おも)をしりぞけたまふなかれ 11ヱホバ眞實(まこと)をもてダビデに(ちか)ひたまひたれば(これ)にたがふことあらじ (いは)くわれなんぢの()よりいでし(もの)をなんぢの座位(くらゐ)にざせしめん 12なんぢの子輩(こら)もしわがをしふる契約(けいやく)證詞(あかし)とをまもらばかれらの子輩(こら)もまた永遠(とこしへ)になんぢの座位(くらゐ)にざすべしと 13ヱホバはシオンを(えら)びておのが居所(すみか)にせんとのぞみたまへり 14(いは)くこれは永遠(とこしへ)にわが安居(やすみ)(どころ)なり われここに(すま)ん そはわれ(これ)をのぞみたればなり 15われシオンの(かて)をゆたかに(しく)し くひものをもてその貧者(まづしきもの)をあかしめん 16われ(すくひ)をもてその祭司(さいし)たちに()せん その聖徒(せいと)はみな(こゑ)たからかによろこびよばふべし 17われダビデのためにかしこに(ひと)つの(つの)をはえしめん わが受膏者(じゆかうじや)のために燈火(ともしび)をそなへたり 18われかれの(あた)にはぢを()せん されどかれはその冠弁(かんむり)さかゆべし

第百三十三篇

ダビデがよめる(みやこ)まうでの(うた)
1()よはらから(あひ)(むつみ)てともにをるはいかに(よく)いかに(たのし)きかな 2(かうべ)にそそがれたる(たふと)きあぶら(ひげ)にながれ アロンの(ひげ)にながれ その(ころも)のすそにまで(なが)れしたたるるがごとく 3またヘルモンの(つゆ)くだりてシオンの(やま)にながるるがごとし そはヱホバかしこに福祉(さいはひ)をくだし(かぎり)なき生命(いのち)をさへあたへたまへり

第百三十四篇

(みやこ)まうでの(うた)
1夜間(よる)ヱホバの(いへ)にたちヱホバに(つか)ふるもろもろの(しもべ)よ ヱホバをほめまつれ 2なんぢら聖所(せいじよ)にむかひ()をあげてヱホバをほめまつれ 3ねがはくはヱホバ天地(あめつち)をつくりたまへるもの シオンより(なんぢ)をめぐみたまはんことを

第百三十五篇

1なんぢらヱホバを讃稱(ほめたた)へよ ヱホバの(みな)をほめたたへよ ヱホバの(しもべ)()ほめたたへよ 2ヱホバの(いへ)われらの(かみ)のいへの大庭(おほには)にたつものよ讃稱(ほめたた)へよ 3ヱホバは(めぐみ)ふかし なんぢらヱホバをほめたたへよ その聖名(みな)はうるはし(ほめ)うたへ 4そはヤハおのがためにヤコブをえらみ イスラエルをえらみてその珍寳(うづたから)となしたまへり 5われヱホバの(おほい)なるとわれらの(しゆ)のもろもろの(かみ)にまされるとをしれり 6ヱホバその聖旨(みこころ)にかなふことを(てん)にも(つち)にも(うみ)にも(ふち)にもみなことごとく(おこな)(たま)ふなり 7ヱホバは()のはてより(きり)をのぼらせ (あめ)のために電光(いなづま)をつくりその(くら)より(かぜ)をいだしたまふ 8ヱホバは(ひと)より畜類(けだもの)にいたるまでエジプトの首出(うひご)をうちたまへり 9エジプトよヱホバはなんぢの(なか)にしるしと(くす)しき事跡(みわざ)とをおくりて パロとその(しもべ)とに(のぞ)ませ(たま)へり 10ヱホバはおほくの國々(くにぐに)をうち (また)いきほひある王等(わうたち)をころし(たま)へり 11アモリ(びと)のわうシホン、バシヤンの(わう)オグならびにカナンの國々(くにぐに)なり 12かれらの()をゆづりとしその(たみ)イスフルの嗣業(ゆづり)としてあたへ(たま)へり 13ヱホバよなんぢの(みな)はとこしへに(たゆ)ることなし ヱホバよなんぢの記念(きねん)はよろづ()におよばん 14ヱホバはその(たみ)のために審判(さばき)をなしその(しもべ)()にかかはれる聖意(みこころ)をかへたまふ(べけ)ればなり 15もろもろのくにの偶像(ぐうざう)はしろかねと(こがね)にして(ひと)()のわざなり 16そのぐうざうは(くち)あれどいはず()あれど()17(みみ)あれどきかず またその(くち)氣息(いき)あることなし 18これを(つく)るものと(これ)によりたのむものとは(みな)これにひとしからん 19イスラエルの(いへ)よヱホバをほめまつれ アロンのいへよヱホバをほめまつれ 20レビの(いへ)よヱホバをほめまつれ ヱホバを(おそ)るるものよヱホバをほめまつれ 21ヱルサレムにすみたまふヱホバはシオンにて(ほめ)まつるべきかな ヱホバをほめたたへよ

第百三十六篇

1ヱホバに感謝(かんしや)せよヱホバはめぐみふかし その憐憫(あはれみ)はとこしへに(たゆ)ることなければなり 2もろもろの(かみ)(かみ)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 3もろもろの(しゆ)(しゆ)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 4ただ(ひと)りおほいなる(くし)(わざ)なしたまふものに感謝(かんしや)せよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 5智慧(ちゑ)をもてもろもろの(てん)をつくりたまへるものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみはとこしへにたゆることなければなり 6()(みづ)のうへに(しき)たまへるものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみは永遠(とこしへ)にたゆることなければなり 7巨大(おほい)なる(ひかり)をつくりたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへに(たゆ)ることなければなり 8(ひる)をつかさどらするために()をつくりたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 9(よる)をつかさどらするために(つき)ともろもろの(ほし)とをつくりたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 10もろもろの首出(うひご)をうちてエジプトを(せめ)たまへるものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみは永遠(とこしへ)にたゆることなければなり 11イスラエルを(ひきゐ)てエジプト(びと)のなかより(いだ)したまへる(もの)にかんしやせよ そのあはれみはとこしへに(たゆ)ることなければなり 12(かひな)をのばしつよき(みて)をもて(これ)をひきいだしたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 13(こう)(かい)をふたつに(わけ)たまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 14イスラエルをしてその(なか)をわたらしめ(たま)へるものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみは永遠(とこしへ)にたゆることなければなり 15パロとその軍兵(つはもの)とを(こう)(かい)のうちに(たふ)したまへるものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみは永遠(とこしへ)にたゆることなければなり 16その(たみ)をみちびきて()をすぎしめたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 17(おほい)なる(わう)たちを(うち)たまへるものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみは永遠(とこしへ)にたゆることなければなり 18()ある王等(わうたち)をころしたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへに(たゆ)ることなければなり 19アモリ(びと)のわうシホンをころしたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 20バシヤンのわうオグを(ころ)したまへるものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみは永遠(とこしへ)にたゆることなければなり 21かれらの()嗣業(ゆづり)としてあたへたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなければなり 22その(しもべ)イスラエルにゆづりとして(これ)をあたへたまへるものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみは永遠(とこしへ)にたゆることなければなり 23われらが微賤(いやし)かりしときに記念(きねん)したまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへに(たゆ)ることなければなり 24わが(てき)よりわれらを(たす)けいだしたまへる(もの)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへに(たゆ)ることなければなり 25すべての(いけ)るものに食物(くひもの)をあたへたまふものに感謝(かんしや)せよ そのあはれみはとこしへに(たゆ)ることなければなり 26(てん)(かみ)にかんしやせよ その憐憫(あはれみ)はとこしへに(たゆ)ることなければなり

第百三十七篇

1われらバビロンの(かは)のほとりにすわり シオンをおもひいでて(なみだ)をながしぬ 2われらそのあたりの(やなぎ)にわが(こと)をかけたり 3そはわれらを(とりこ)にせしものわれらに(うた)をもとめたり 我儕(われら)をくるしむる(もの)われらにおのれを(よろこ)ばせんとて シオンのうた(ひと)つうたへといへり 4われら外邦(とつくに)にありていかでヱホバの(うた)をうたはんや 5エルサレムよもし(われ)なんぢをわすれなばわが(みぎ)()にその(たくみ)をわすれしめたまへ 6もしわれ(なんぢ)(おも)ひいでず もしわれヱルサレムをわがすべての歓喜(よろこび)(きはみ)となさずばわが(した)をわが(あぎ)につかしめたまヘ 7ヱホバよねがはくはヱルサレムの()にエドムの子輩(こら)がこれを掃除(はらひのぞ)けその(もとゐ)までもはらひのぞけといへるを聖意(みこころ)にとめたまへ 8ほろぼさるべきバビロンの(むすめ)よ なんぢがわれらに(なし)しごとく(なんぢ)にむくゆる(ひと)はさいはひなるべし 9なんぢの嬰兒(みどりご)をとりて(いは)のうへになげうつものは(さいは)ひなるべし

第百三十八篇

ダビデのうた
1われはわが(こころ)をつくしてなんぢに感謝(かんしや)し もろもろの(かみ)のまへにて(なんぢ)をほめうたはん 2(われ)なんぢのきよき(みや)にむかひて(ふし)(をが)み なんぢの仁慈(いつくしみ)とまこととの(ゆゑ)によりて聖名(みな)にかんしやせん そは(なんぢ)そのみことばをもろもろの聖名(みな)にまさりて(たか)くしたまひたればなり 3(なんぢ)わがよばはりし()にわれにこたへ わが霊魂(たましひ)にちからをあたへて雄々(をを)しからしめたまへり 4ヱホバよ()のすべての(わう)はなんぢに感謝(かんしや)せん かれらはなんぢの(くち)のもろもろの(ことば)をききたればなり 5かれらはヱホバのもろもろの(みち)についてうたはん ヱホバの榮光(えいくわう)おほいなればなり 6ヱホバは(たか)くましませども(ひく)きものを(かへり)みたまふ されど(また)おごれるものを(とほき)よりしりたまへり 7(たと)ひわれ患難(なやみ)のなかを(あゆ)むとも(なんぢ)われをふたたび(いか)し その()をのばしてわが(あた)のいかりをふせぎ その(みぎ)()われをすくひたまふべし 8ヱホバはわれに(かかは)れることを(まつた)うしたまはん ヱホバよなんぢの憐憫(あはれみ)はとこしへにたゆることなし(ねがは)くはなんぢの(みて)のもろもろの事跡(みわざ)をすてたまふなかれ

第百三十九篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデの(うた)
1ヱホバよなんぢは(われ)をさぐり(われ)をしりたまへり 2なんぢはわが(すわ)るをも(たつ)をもしり (また)とほくよりわが(おもひ)をわきまへたまふ 3なんぢはわが(あゆ)むをもわが(ふす)をもさぐりいだし わがもろもろの(みち)をことごとく(しり)たまへり 4そはわが(した)一言(ひとこと)ありとも()よヱホバよなんぢことごとく(しり)たまふ 5なんぢは(まへ)より(うしろ)よりわれをかこみ わが(うへ)にその(みて)をおき(たま)へり 6かかる知識(ちしき)はいとくすしくして(われ)にすぐ また(たか)くして(およ)ぶことあたはず 7(われ)いづこにゆきてなんぢの聖霊(みたま)をはなれんや われいづこに(ゆき)てなんぢの(みまへ)をのがれんや 8われ(てん)にのぼるとも(なんぢ)かしこにいまし われわが(とこ)陰府(よみ)にまうくるとも ()よなんぢ彼處(かしこ)にいます 9(われ)あけぼのの(つばさ)をかりて(うみ)のはてにすむとも 10かしこにて(なほ)なんぢの(みて)われをみちびき(なんぢ)のみぎの(みて)われをたもちたまはん 11(くらき)はかならす(われ)をおほひ (われ)をかこめる(ひかり)()とならんと(われ)いふとも 12(なんぢ)のみまへには(くらき)ものをかくすことなく (よる)もひるのごとくに(かがや)けり なんぢにはくらきも(ひかり)もことなることなし 13(なんぢ)はわがはらわたをつくり (また)わがははの(たい)にわれを(くみ)(なし)たまひたり 14われなんぢに感謝(かんしや)す われは(おそ)るべく(くす)しくつくられたり なんぢの事跡(みわざ)はことごとくくすし わが霊魂(たましひ)はいとつばらに(これ)をしれり 15われ(かく)れたるところにてつくられ()底所(そこべ)にて(たへ)につづりあはされしとき わが(ほね)なんぢにかくるることなかりき 16わが(むくろ)いまだ(また)からざるに なんぢの(みめ)ははやくより(これ)をみ 日々(ひにひに)かたちづくられしわが百體(ひやくたい)(ひとつ)だにあらざりし(とき)に ことごとくなんぢの(ふみ)にしるされたり 17(かみ)よなんぢりもろもろの思念(みおもひ)はわれに(たふと)きこといかばかりぞや そのみおもひの總計(すべくくり)はいかに(おほ)きかな 18(われ)これを(かぞ)へんとすれどもそのかずは(すな)よりもおほし われ()さむるときも(なほ)なんぢとともにをる 19(かみ)よなんぢはかならず惡者(あしきもの)をころし(たま)はん されば()をながすものよ(われ)をはなれされ 20かれらはあしき企圖(くはだて)をもて(なんぢ)にさからひて(ものい)ふ なんぢの(あた)はみだりに聖名(みな)をとなふるなり 21ヱホバよわれは(なんぢ)をにくむ(もの)をにくむにあらずや なんぢに(さから)ひておこりたつものを(いと)ふにあらずや 22われ(いた)くかれらをにくみてわが(あた)とす 23(かみ)よねがはくは(われ)をさぐりてわが(こころ)をしり (われ)をこころみてわがもろもろの思念(おもひ)をしりたまへ 24ねがはくは(われ)によこしまなる(みち)のありやなしやを()て われを永遠(とこしへ)のみちに(みちび)きたまへ

第百四十篇

伶長(うたのかみ)にうたはしめたるダビデのうた
1ヱホバよねがはくは惡人(あしきひと)よりわれを(たす)けいだし (われ)をまもりて強暴人(あらぶるもの)よりのがれしめたまへ 2かれらは(こころ)のうちに殘害(そこなひ)をくはだて たえず戰闘(たたかひ)をおこす 3かれらは(へび)のごとくおのが(した)(とく)す そのくちびるのうちに(まむし)(どく)ありセラ 4ヱホバよ(ねがは)くはわれを(たも)ちてあしきひとの()よりのがれしめ (われ)をまもりてわが(あし)をつまづかせんと(はか)るあらぶる(ひと)よりのがれしめ(たま)5(たか)ぶるものはわがために(わな)(つな)とをふせ (みち)のほとりに(あみ)をはり かつ(おし)をまうけたりセラ 6われヱホバにいへらく(なんぢ)はわが(かみ)なり ヱホバよねがはくはわが(いのり)のこゑをきき(たま)7わが(すくひ)のちからなる(しゆ)(かみ)よ なんぢはたたかひの()にわが(かうべ)をおほひたまへり 8ヱホバよあしきひとの(ねがひ)のままにすることをゆるしたまふなかれ そのあしき企圖(くはだて)をとげしめたまふなかれ おそらくは彼等(かれら)みづから(ほこ)らんセラ 9われを(かこ)むものの(かうべ)はおのれのくちびるの殘害(そこなひ)におほはるべし 10もえたる(すみ)はかれらのうへにおち かれらは()になげいれられ ふかき(あな)になげいれられて(ふたた)びおきいづることあたはざるべし 11(あしき)(こと)をいふものは()にたてられず (あらく)ぶるものはわざはひに追及(おひしか)れてたふさるべし 12われは(くる)しむものの(うたへ)とまづしきものの()とをヱホバの(まも)りたまふを()13義者(ただしきもの)はかならず聖名(みな)にかんしやし(なほき)(もの)はみまへに(すま)

第百四十一篇

ダビデのうた
1ヱホバよ(われ)なんぢを(よば)ふ ねがはくは(すみや)かにわれにきたりたまへ われ(なんぢ)をよばふときわが(こゑ)(みみ)をかたぶけたまへ 2われは薫物(たきもの)のごとくにわが(いのり)をみまへにささげ (ゆふべ)のそなへものの(ごと)くにわが()をあげて聖前(みまへ)にささげんことをねがふ 3ヱホバよねがはくはわが(くち)門守(かどもり)をおきて わがくちびるの()をまもりたまへ 4(あしき)(こと)にわがこころを(かたぶ)かしめて邪曲(よこしま)をおこなふ(もの)とともに(あし)きわざにあづからしめ(たま)ふなかれ (また)かれらの珍饈(うまきもの)をくらはしめたまふなかれ 5義者(ただしきもの)われをうつとも(われ)はこれを(いつく)しみとしその(われ)をせむるを(かしら)のあぶらとせん わが(かしら)はこれを(いな)まず かれらが禍害(わざはひ)にあふときもわが(いのり)はたえじ 6その審士(さばきびと)ははほの(がけ)になげられん かれらわがことばの甘美(あまき)によりて(きく)ことをすべし 7(ひと)つちを(たがへ)しうがつがごとく我儕(われら)のほねははかの(くち)にちらさる 8されど(しゆ)ヱホバよわが()はなほ(なんぢ)にむかふ (われ)なんぢに依賴(よりたの)めり ねがはくはわが霊魂(たましひ)をともしきままに(すて)おきたまなかれ 9(われ)をまもりてかれらがわがためにまうくる(わな)とよこしまを(おこな)ふものの(おし)とをまぬかれしめたまへ 10われは(また)くのがれん あしきものをおのれの(あみ)におちいらしめたまへ

第百四十二篇

ダビデが(ほら)にありしときよみたる(をし)へのうたなり(いのり)なり
1われ(こゑ)をいだしてヱホバによばはり (こゑ)をいだしてヱホバにこひもとむ 2われはその聖前(みまへ)にわが歎息(なげき)をそそぎいだし そのみまへにわが患難(なやみ)をあらはす 3わが霊魂(たましひ)わがうちにきえうせんとするときも(なんぢ)わがみちを(しり)たまへり (ひと)われをとらへんとてわがゆくみちに(わな)をかくせり 4(ねがは)くはわがみぎの()()をそそぎて()たまへ 一人(ひとり)だに(われ)をしるものなし われには避所(さけどころ)なくまたわが霊魂(たましひ)をかへりみる(ひと)なし 5ヱホバよわれ(なんぢ)をよばふ (われ)いへらく(なんぢ)はわがさけどころ有生(いけるもの)()にてわがうべき(もの)なりと 6ねがはくはわが號呼(さけび)にみこころをとめたまへ われいたく(ひく)くせられたればなり (われ)をせむる(もの)より(たす)けいだしたまへ 彼等(かれら)はわれにまさりて(つよ)ければなり 7(ねがは)くはわがたましひを囹圄(ひとや)よりいだし われに聖名(みな)感謝(かんしや)せしめたまへ なんぢ(ゆた)かにわれを(あしら)ひたまふべければ 義者(ただしきもの)われをめぐらん

第百四十三篇

ダビデのうた
1ヱホバよねがはくはわが(いのり)をきき わが懇求(ねがひ)にみみをかたぶけたまへ なんぢの眞實(まこと)なんぢの公義(ただしき)をもて(われ)にこたへたまへ 2(なんぢ)のしもべの審判(さばき)にかかつらひたまふなかれ そはいけるもの一人(ひとり)だにみまへに()とせらるるはなし 3(あた)はわがたましひを()めわが生命(いのち)()にうちすて (しに)てひさしく()()たるもののごとく(われ)をくらき(ところ)にすまはせたり 4(また)わがたましひはわが(うち)にきえうせんとし わが(こころ)はわがうちに(あれ)さびれたり 5われはいにしへの()をおもひいで (なんぢ)のおこなひたまひし一切(すべて)のことを(かんが)へ なんぢの(みて)のみわざをおもふ 6われ(なんぢ)にむかひてわが()をのべ わがたましひは(かわ)きおとろへたる()のごとく(なんぢ)をしたへりセラ 7ヱホバよ(すみや)かにわれにこたへたまへ わが霊魂(たましひ)はおとろふ われに聖顔(みかほ)をかくしたまふなかれ おそらくはわれ(あな)にくだるもののごとくならん 8(あした)になんぢの仁慈(いつくしみ)をきかしめたまへ われ(なんぢ)によりたのめばなり わが(あゆ)むべき(みち)をしらせたまへ われわが霊魂(たましひ)をなんぢに(あぐ)ればなり 9ヱホバよねがはくは(われ)をわが(あた)よりたすけ(いだ)したまへ われ(かく)れんとして(なんぢ)にはしりゆく 10(なんぢ)はわが(かみ)なり われに聖旨(みむね)をおこなふことををしへたまへ (めぐみ)ふかき聖霊(みたま)をもて(われ)をたひらかなる(くに)にみちびきたまへ 11ヱホバよねがはくは聖名(みな)のために(われ)をいかし なんぢの()によりてわがたましひを患難(なやみ)よりいだしたまへ 12(また)なんぢの仁慈(いつくしみ)によりてわが(あた)をたち 霊魂(たましひ)をくるしむる(もの)をことごとく(ほろぼ)したまへ そは(われ)なんぢの(しもべ)なり

第百四十四篇

ダビデのうた
1(いくさ)することをわが()にをしへ (たたか)ふことをわが(ゆび)にをしへたまふ わが(いは)ヱホバはほむべきかな 2ヱホバはわが仁慈(いつくしみ)わが(しろ)なり わがたかき(やぐら)われをすくひたまふ(もの)なり わが(たて)わが依賴(よりたの)むものなり ヱホバはわが(たみ)をわれにしたがはせたまふ 3ヱホバよ(ひと)はいかなる(もの)なれば(これ)をしり (ひと)()はいかなる(もの)なれば(これ)をみこころに(とめ)たまふや 4(ひと)氣息(いき)にことならず その(なが)らふる()はすぎゆく(かげ)にひとし 5ヱホバよねがはくはなんぢの(てん)をたれてくだり (みて)(やま)につけて(けぶり)をたたしめたまへ 6電光(いなづま)をうちいだして彼等(かれら)をちらし なんぢの()をはなちてかれらを(やぶ)りたまへ 7(うへ)より(みて)をのべ(われ)をすくひて 大水(おほみづ)より外人(あだしびと)()よりたすけいだしたまへ 8かれらの(くち)はむなしき(こと)をいひ その(みぎ)()はいつはりのみぎの()なり 9(かみ)よわれ(なんぢ)にむかひて(あらた)らしき(うた)をうたひ 十絃(とをを)(こと)にあはせて(なんぢ)をほめうたはん 10なんぢは(わう)たちに(すくひ)をあたへ (しもべ)ダビデをわざはひの(つるぎ)よりすくひたまふ(かみ)なり 11ねがはくは(われ)をすくひて外人(あだしびと)()よりたすけいだしたまへ かれらの(くち)はむなしき(こと)をいひ その(みぎ)()はいつはりのみぎの()なり 12われらの男子(をのこご)はとしわかきとき(そだ)ちたる草木(くさき)のごとくわれらの女子(おみなご)(みや)のふりにならひて(きざ)みいだしし(すみ)(いし)のごとくならん 13われらの(くら)はみちたらひてさまざまのものをそなへ われらの(ひつじ)()にて千萬(ちよろず)()をうみ 14われらの牡牛(をうし)はよく(もの)をおひ われらの(ちまた)にはせめいることなく(また)おしいづることなく(さけ)ぶこともなからん 15かかる(さま)(たみ)はさいはひなり ヱホバをおのが(かみ)とする(たみ)はさいはひなり

第百四十五篇

ダビデの讃美(さんび)のうた
1わがかみ(わう)よわれ(なんぢ)をあがめ ()かぎりなく聖名(みな)をほめまつらん 2われ()ごとに(なんぢ)をほめ世々(よよ)かぎりなく聖名(みな)をはめたたへん 3ヱホバは(おほい)にましませば(いと)もほむべきかな その(おほい)なることは(たづ)ねしることかたし 4この()はかの()にむかひてなんぢの事跡(みわざ)をほめたたへ なんぢの大能(たいのう)のはたらきを(のべ)つたへん 5われ(なんぢ)のほまれの榮光(えいくわう)ある稜威(みいづ)となんぢの(くす)しきみわざとを(ふか)くおもはん 6(ひと)はなんぢのおそるべき動作(はたらき)のいきほひをかたり (われ)はなんぢの(おほい)なることを(のべ)つたへん 7かれらはなんぢの(おほい)なる(めぐみ)(あと)をいひいで なんぢの()をほめうたはん 8ヱホバは(めぐみ)ふかく憐憫(あはれみ)みち また(いか)りたまふことおそく憐憫(あはれみ)おほいなり 9ヱホバはよろづの(もの)にめぐみあり そのふかき憐憫(あはれみ)はみわざの(うへ)にあまねし 10ヱホバよ(なんぢ)のすべての事跡(みわざ)はなんぢに感謝(かんしや)し なんぢの聖徒(せいと)はなんぢをほめん 11かれらは御國(みくに)のえいくわうをかたり(なんぢ)のみちからを(のべ)つたへて 12その大能(たいのう)のはたらきとそのみくにの榮光(えいくわう)あるみいづとを(ひと)子輩(こら)にしらすべし 13なんぢの(くに)はとこしへの(くに)なり なんぢの政治(まつりごと)はよろづ()にたゆることなし 14ヱホバはすべて(たふ)れんとする(もの)をささへ かがむものを(なほ)くたたしめたまふ 15よろづのものの()はなんぢを(まち) なんぢは(とき)にしたがひてかれらに(かて)をあたへ(たま)16なんぢ(みて)をひらきてもろもろの(いけ)るものの願望(ねがひ)をあかしめたまふ 17ヱホバはそのすべての(みち)にただしく そのすべての作爲(みわざ)にめぐみふかし 18すべてヱホバをよぶもの (まこと)をもて(これ)をよぶものに ヱホバは(ちか)くましますなり 19ヱホバは(おのれ)をおそるるものの願望(ねがひ)をみちたらしめ その號呼(さけび)をききて(これ)をすくひたまふ 20ヱホバはおのれを(いつく)しむものをすべて(まも)りたまへど 惡者(あしきもの)をことごとく(ほろぼ)したまはん 21わが(くち)はヱホバの頌美(ほまれ)をかたり よろづの(たみ)世々(よよ)かぎりなくそのきよき(みな)をほめまつるべし

第百四十六篇

1ヱホバを讃稱(ほめたた)へよ わがたましひよヱホバをほめたたへよ 2われ(いけ)るかぎりはヱホバをほめたたへ わがながらふるほどはわが(かみ)をほめうたはん 3もろもろの(きみ)によりたのむことなく (ひと)()によりたのむなかれ かれらに(たすけ)あることなし 4その氣息(いき)いでゆけばかれ(つち)にかへる その()かれがもろもろの企圖(くはだて)はほろびん 5ヤコブの(かみ)をおのが(たすけ)としその(のぞみ)をおのが(かみ)ヱホバにおくものは(さいは)ひなり 6()はあめつちと(うみ)とそのなかなるあらゆるものを(つく)り とこしへに眞實(まこと)をまもり 7(しへた)げらるるもののために審判(さばき)をおこなひ ()ゑたるものに食物(くひもの)をあたへたまふ(かみ)なり ヱホバはとらはれたる(ひと)をときはなちたまふ 8ヱホバはめしひの()をひらき ヱホバは(かがむ)(もの)をなほくたたせ ヱホバは(ただ)しきものを(いつく)しみたまふ 9ヱホバは他邦人(あだしくにびと)をまもり 孤子(みなしご)寡婦(やもめ)とをささへたまふ されど(あし)きものの(みち)はくつがへしたまふなり 10ヱホバはとこしへに統治(すべをさめ)めたまはん シオンよなんぢの(かみ)はよろづ()まで統治(すべをさ)めたまはん ヱホバをほめたたへよ

第百四十七篇

1ヱホバをほめたたへよ われらの(かみ)をほめうたふは(よき)ことなり(たの)しきことなり (たた)へまつるはよろしきに(かな)へり 2ヱホバはヱルサレムをきづきイスラエルのさすらへる(もの)をあつめたまふ 3ヱホバは(こころ)のくだけたるものを(いや)しその(きず)をつつみたまふ 4ヱホバはもろもろの(ほし)(かず)をかぞへてすべてこれに()をあたへたまふ 5われらの(しゆ)はおほいなりその能力(ちから)もまた(おほい)なりその智慧(ちゑ)はきはまりなし 6ヱホバは柔和(にうわ)なるものをささへ(あし)きものを()にひきおとし(たま)7ヱホバに感謝(かんしや)してうたへ(こと)にあはせてわれらの(かみ)をほめうたヘ 8ヱホバは(くも)をもて(てん)をおほひ()のために(あめ)をそなへ もろもろの(やま)(くさ)をはえしめ 9くひものを(けもの)にあたへ(また)なく()(がらす)にあたへたまふ 10ヱホバは(むま)のちからを(よろこ)びたまはず (ひと)(あし)をよみしたまはず 11ヱホバはおのれを(おそ)るるものと おのれの憐憫(あはれみ)をのぞむものとを(よみ)したまふ 12ヱルサレムよヱホバをほめたたへよ シオンよなんぢの(かみ)をほめたたへよ 13ヱホバはなんぢの(もん)關木(くわんのき)をかたうし (なんぢ)のうちなる子輩(こら)をさきはひ(たま)ひたればなり 14ヱホバは(なんぢ)のすべての(さかひ)にやはらぎをあたへ いと(よき)(むぎ)をもて(なんぢ)をあかしめたまふ 15ヱホバはそのいましめを()にくだしたまふ その聖言(みことば)はいとすみやかにはしる 16ヱホバは(ゆき)をひつじの()のごとくふらせ(しも)(はひ)のごとくにまきたまふ 17ヱホバは(こほり)をつちくれのごとくに(なげう)ちたまふ たれかその寒冷(さむさ)にたふることをえんや 18ヱホバ聖言(みことば)をくだしてこれを(とか)し その(かぜ)をふかしめたまへばもろもろの(みづ)はながる 19ヱホバはそのみことばをヤコブに(しめ)し そのもろもろの律法(おきて)とその審判(さばき)とをイスラエルにしめしたまふ 20ヱホバはいづれの(くに)をも如此(かく)あしらひたまひしにあらず ヱホバのもろもろの審判(さばき)をかれらはしらざるなり ヱホバをほめたたへよ

第百四十八篇

1ヱホバをほめたたへよ もろもろの(てん)よりヱホバをほめたたへよ もろもろの(たかき)(ところ)にてヱホバをほめたたへよ 2その天使(みつかひ)よみなヱホバをほめたたへよ その萬軍(ばんぐん)よみなヱホバをほめたたへよ 3()(つき)よヱホバをほめたたへよ ひかりの(ほし)よみなヱホバをほめたたへよ 4もろもろの(てん)のてんよ (てん)のうへなる(みづ)よ ヱホバをほめたたへよ 5これらはみなヱホバの聖名(みな)をほめたたふべし そはヱホバ(めい)じたまひたればかれらは(つく)られたり 6ヱホバまた(これ)()をいやとほながに(たて)たまひたり (また)すぎうすまじき詔命(みことのり)をくだしたまへり 7(たつ)よ すべての(ふち)()よりヱホバをほめたたへよ 8()(あられ)(ゆき)(きり)よみことばにしたがふ狂風(あらし)9もろもろの(やま)もろもろのをか()をむすぶ()すべての香柏(かうはく)10(けもの)もろもろの牲畜(けだもの)はふもの(つばさ)ある(とり)11()(わう)たち もろもろのたみ ()諸侯(きみたち)()のもろもろの審士(さばきびと)12(わか)きをのこ (わか)きをみな (おい)たる(ひと) をさなきものよ 13みなヱホバの聖名(みな)をほめたたふべし その聖名(みな)はたかくして(たぐひ)なく そのえいくわうは()よりも(てん)よりもうへにあればなり 14ヱホバはその(たみ)のために(ひと)つの(つの)をあげたまへり こはそもろもろの聖徒(せいと)のほまれ ヱホバにちかき(たみ)なるイスラエルの子輩(こら)のほまれなり ヱホバを讃稱(ほめたた)へよ

第百四十九篇

1ヱホバをほめたたへよ ヱホバに(むか)ひてあたらしき(うた)をうたへ 聖徒(せいと)のつどひにてヱホバの頌美(ほまれ)をうたへ 2イスラエルはおのれを(つく)りたまひしものをよろこび シオンの子輩(こら)(おの)(わう)のゆゑによりて(たの)しむべし 3かれらをどりつつその聖名(みな)をほめたたへ (こと)(つづみ)にてヱホバをほめうたべし 4ヱホバはおのが(たみ)をよろこび (すくひ)にて柔和(にうわ)なるものを(うるは)しくしたまへばなり 5聖徒(せいと)はえいくわうの(ゆゑ)によりてよろこび その寝牀(ふしど)にてよろこびうたふべし 6その(くち)(かみ)をほむるうたあり その()にもろはの(つるぎ)あり 7こはもろもろの(くに)(あた)をかへし もろもろの(たみ)をつみなひ 8かれらの(わう)たちを(くさり)にてかれらの貴人(きにん)をくろかねの(かせ)にていましめ 9(しる)したる審判(さばき)をかれらに(おこな)ふべきためなり (かか)るほまれはそのもろもろの聖徒(せいと)にあり ヱホバをほめたたへよ

第百五十篇

1ヱホバをほめたたへよ その聖所(せいじよ)にて(かみ)をほめたたへよ その能力(みちから)のあらはるる穹蒼(おほぞら)にて(かみ)をほめたたへよ 2その大能(たいのう)のはたらきのゆゑをもて(かみ)をほめたたへよ その(ひいで)ておほいなることの(ゆゑ)によりてヱホバをほめたたへよ 3ラッパの(こゑ)をもて(かみ)をほめたたへよ (さう)(こと)とをもて(かみ)をほめたたへよ 4つづみと蹈舞(をどり)とをもて(かみ)をほめたたへよ 絃簫(いとたけ)をもて(かみ)をほめたたへよ 5()のたかき鐃鈸(ねうはち)をもて(かみ)をほめたたへよ なりひびく鐃鈸(ねうはち)をもて(かみ)をほめたたへよ 6氣息(いき)あるものは(みな)ヤハをほめたたふべし なんぢらヱホバをほめたたへよ