ローマ人への手紙

第一章

1キリスト・イエスの(しもべ)(かみ)福音(ふくいん)のために(えら)(わか)たれ、()されて使徒(しと)となったパウロから—— 2この福音(ふくいん)は、(かみ)が、預言者(よげんしゃ)たちにより、聖書(せいしょ)(なか)で、あらかじめ約束(やくそく)されたものであって、 3御子(みこ)(かん)するものである。御子(みこ)は、(にく)によればダビデの子孫(しそん)から(うま)れ、 4(せい)なる(れい)によれば、死人(しにん)からの復活(ふっかつ)により、()(ちから)をもって(かみ)御子(みこ)(さだ)められた。これがわたしたちの(しゅ)イエス・キリストである。 5わたしたちは、その御名(みな)のために、すべての異邦人(いほうじん)信仰(しんこう)従順(じゅうじゅん)(いた)らせるようにと、(かれ)によって(めぐ)みと使徒(しと)(つとめ)とを()けたのであり、 6あなたがたもまた、(かれ)らの(なか)にあって、()されてイエス・キリストに(ぞく)する(もの)となったのである—— 7ローマにいる、(かみ)(あい)され、()された聖徒(せいと)一同(いちどう)へ。
わたしたちの(ちち)なる(かみ)および(しゅ)イエス・キリストから、(めぐ)みと平安(へいあん)とが、あなたがたにあるように。
8まず(だい)一に、わたしは、あなたがたの信仰(しんこう)(ぜん)世界(せかい)()(つた)えられていることを、イエス・キリストによって、あなたがた一同(いちどう)のために、わたしの(かみ)感謝(かんしゃ)する。 9 1:10わたしは、(いのり)のたびごとに、()えずあなたがたを(おぼ)え、いつかは御旨(みむね)にかなって(みち)(ひら)かれ、どうにかして、あなたがたの(ところ)()けるようにと(ねが)っている。このことについて、わたしのためにあかしをして(くだ)さるのは、わたしが(れい)により、御子(みこ)福音(ふくいん)()(つた)えて(つか)えている(かみ)である。 11わたしは、あなたがたに()うことを熱望(ねつぼう)している。あなたがたに(れい)賜物(たまもの)幾分(いくぶん)でも()(あた)えて、(ちから)づけたいからである。 12それは、あなたがたの(なか)にいて、あなたがたとわたしとのお(たがい)信仰(しんこう)によって、(とも)(はげ)まし()うためにほかならない。 13兄弟(きょうだい)たちよ。このことを()らずにいてもらいたくない。わたしはほかの異邦人(いほうじん)(あいだ)()たように、あなたがたの(あいだ)でも幾分(いくぶん)かの()()るために、あなたがたの(ところ)()こうとしばしば(くわだ)てたが、(いま)まで(さまた)げられてきた。 14わたしには、ギリシヤ(じん)にも未開(みかい)(ひと)にも、(かしこ)(もの)にも無知(むち)(もの)にも、(はた)すべき責任(せきにん)がある。 15そこで、わたしとしての(せつ)なる(ねが)いは、ローマにいるあなたがたにも、福音(ふくいん)()(つた)えることなのである。 16わたしは福音(ふくいん)(はじ)としない。それは、ユダヤ(じん)をはじめ、ギリシヤ(じん)にも、すべて(しん)じる(もの)に、(すくい)()させる(かみ)(ちから)である。 17(かみ)()は、その福音(ふくいん)(なか)啓示(けいじ)され、信仰(しんこう)(はじ)まり信仰(しんこう)(いた)らせる。これは、「信仰(しんこう)による義人(ぎじん)()きる」と()いてあるとおりである。
18(かみ)(いか)りは、不義(ふぎ)をもって真理(しんり)をはばもうとする人間(にんげん)のあらゆる不信心(ふしんじん)不義(ふぎ)とに(たい)して、(てん)から啓示(けいじ)される。 19なぜなら、(かみ)について()りうる(こと)がらは、(かれ)らには(あき)らかであり、(かみ)がそれを(かれ)らに(あき)らかにされたのである。 20(かみ)()えない性質(せいしつ)、すなわち、(かみ)永遠(えいえん)(ちから)神性(しんせい)とは、天地(てんち)創造(そうぞう)このかた、()造物(ぞうぶつ)において()られていて、(あき)らかに(みと)められるからである。したがって、(かれ)らには弁解(べんかい)余地(よち)がない。 21なぜなら、(かれ)らは(かみ)()っていながら、(かみ)としてあがめず、感謝(かんしゃ)もせず、かえってその(おも)いはむなしくなり、その無知(むち)(こころ)(くら)くなったからである。 22(かれ)らは(みずか)知者(ちしゃ)(しょう)しながら、(おろ)かになり、 23不朽(ふきゅう)(かみ)栄光(えいこう)()えて、()ちる人間(にんげん)(とり)(けもの)()うものの(ぞう)()せたのである。
24ゆえに、(かみ)は、(かれ)らが(こころ)欲情(よくじょう)にかられ、自分(じぶん)のからだを(たがい)にはずかしめて、(けが)すままに(まか)せられた。 25(かれ)らは(かみ)真理(しんり)()えて虚偽(きょぎ)とし、創造者(そうぞうしゃ)(かわ)りに()造物(ぞうぶつ)(おが)み、これに(つか)えたのである。創造者(そうぞうしゃ)こそ永遠(えいえん)にほむべきものである、アァメン。
26それゆえ、(かみ)(かれ)らを()ずべき情欲(じょうよく)(まか)せられた。すなわち、(かれ)らの(なか)(おんな)は、その自然(しぜん)関係(かんけい)不自然(ふしぜん)なものに()え、 27(おとこ)もまた(おな)じように(おんな)との自然(しぜん)関係(かんけい)()てて、(たがい)にその情欲(じょうよく)(ほのお)()やし、(おとこ)(おとこ)(たい)して()ずべきことをなし、そしてその乱行(らんぎょう)当然(とうぜん)(むく)いを、()()けたのである。
28そして、(かれ)らは(かみ)(みと)めることを(ただ)しいとしなかったので、(かみ)(かれ)らを(ただ)しからぬ(おも)いにわたし、なすべからざる(こと)をなすに(まか)せられた。 29すなわち、(かれ)らは、あらゆる不義(ふぎ)(あく)貪欲(どんよく)悪意(あくい)とにあふれ、ねたみと殺意(さつい)(あらそ)いと詐欺(さぎ)悪念(あくねん)とに()ち、また、ざん(げん)する(もの)30そしる(もの)(かみ)(にく)(もの)不遜(ふそん)(もの)高慢(こうまん)(もの)大言壮語(たいげんそうご)する(もの)悪事(あくじ)をたくらむ(もの)(おや)(さか)らう(もの)となり、 31無知(むち)不誠実(ふせいじつ)無情(むじょう)無慈悲(むじひ)(もの)となっている。 32(かれ)らは、こうした(こと)(おこな)(もの)どもが()(あたい)するという(かみ)(さだ)めをよく()りながら、(みずか)らそれを(おこな)うばかりではなく、それを(おこな)(もの)どもを是認(ぜにん)さえしている。

第二章

1だから、ああ、すべて(ひと)をさばく(もの)よ。あなたには弁解(べんかい)余地(よち)がない。あなたは、他人(たにん)をさばくことによって、自分(じぶん)自身(じしん)(つみ)(さだ)めている。さばくあなたも、(おな)じことを(おこな)っているからである。 2わたしたちは、(かみ)のさばきが、このような(こと)(おこな)(もの)どもの(うえ)(ただ)しく(くだ)ることを、()っている。 3ああ、このような(こと)(おこな)(もの)どもをさばきながら、しかも(みずか)(おな)じことを(おこな)(ひと)よ。あなたは、(かみ)のさばきをのがれうると(おも)うのか。 4それとも、(かみ)慈愛(じあい)があなたを悔改(くいあらた)めに(みちび)くことも()らないで、その慈愛(じあい)忍耐(にんたい)寛容(かんよう)との(とみ)(かろ)んじるのか。 5あなたのかたくなな、悔改(くいあらた)めのない(こころ)のゆえに、あなたは、(かみ)(ただ)しいさばきの(あらわ)れる(いか)りの()のために(かみ)(いか)りを、自分(じぶん)()()んでいるのである。 6(かみ)は、おのおのに、そのわざにしたがって(むく)いられる。 7すなわち、一方(いっぽう)では、()(しの)んで(ぜん)(おこな)って、光栄(こうえい)とほまれと()ちぬものとを(もと)める(ひと)に、永遠(えいえん)のいのちが(あた)えられ、 8他方(たほう)では、党派心(とうはしん)をいだき、真理(しんり)(したが)わないで不義(ふぎ)(したが)(ひと)に、(いか)りと(はげ)しい(いきどお)りとが(くわ)えられる。 9(あく)(おこな)うすべての(ひと)には、ユダヤ(じん)をはじめギリシヤ(じん)にも、患難(かんなん)苦悩(くのう)とが(あた)えられ、 10(ぜん)(おこな)うすべての(ひと)には、ユダヤ(じん)をはじめギリシヤ(じん)にも、光栄(こうえい)とほまれと平安(へいあん)とが(あた)えられる。 11なぜなら、(かみ)には、かたより()ることがないからである。
12そのわけは、律法(りっぽう)なしに(つみ)(おか)した(もの)は、また律法(りっぽう)なしに(ほろ)び、律法(りっぽう)のもとで(つみ)(おか)した(もの)は、律法(りっぽう)によってさばかれる。 13なぜなら、律法(りっぽう)()(もの)が、(かみ)(まえ)()なるものではなく、律法(りっぽう)(おこな)(もの)が、()とされるからである。 14すなわち、律法(りっぽう)()たない異邦人(いほうじん)が、自然(しぜん)のままで、律法(りっぽう)(めい)じる(こと)(おこな)うなら、たとい律法(りっぽう)()たなくても、(かれ)らにとっては自分(じぶん)自身(じしん)律法(りっぽう)なのである。 15(かれ)らは律法(りっぽう)要求(ようきゅう)がその(こころ)にしるされていることを(あらわ)し、そのことを(かれ)らの良心(りょうしん)(とも)にあかしをして、その判断(はんだん)(たがい)にあるいは(うった)え、あるいは弁明(べんめい)()うのである。 16そして、これらのことは、わたしの福音(ふくいん)によれば、(かみ)がキリスト・イエスによって人々(ひとびと)(かく)れた(こと)がらをさばかれるその()に、(あき)らかにされるであろう。
17もしあなたが、(みずか)らユダヤ(じん)(しょう)し、律法(りっぽう)(やす)んじ、(かみ)(ほこり)とし、 18御旨(みむね)()り、律法(りっぽう)(おし)えられて、なすべきことをわきまえており、 19 2:20さらに、知識(ちしき)真理(しんり)とが律法(りっぽう)(なか)(かたち)をとっているとして、(みずか)盲人(もうじん)手引(てび)き、やみにおる(もの)(ひかり)(おろ)かな(もの)(みちび)()(おさ)()教師(きょうし)をもって(にん)じているのなら、 21なぜ、(ひと)(おし)えて自分(じぶん)(おし)えないのか。(ぬす)むなと(ひと)()いて、(みずか)らは(ぬす)むのか。 22姦淫(かんいん)するなと()って、(みずか)らは姦淫(かんいん)するのか。偶像(ぐうぞう)()みきらいながら、(みずか)らは(みや)(もの)をかすめるのか。 23律法(りっぽう)(ほこり)としながら、(みずか)らは律法(りっぽう)違反(いはん)して、(かみ)(あなど)っているのか。 24聖書(せいしょ)()いてあるとおり、「(かみ)御名(みな)は、あなたがたのゆえに、異邦人(いほうじん)(あいだ)(けが)されている」。 25もし、あなたが律法(りっぽう)(おこな)うなら、なるほど、割礼(かつれい)(やく)()とう。しかし、もし律法(りっぽう)(おか)すなら、あなたの割礼(かつれい)()割礼(かつれい)となってしまう。 26だから、もし()割礼(かつれい)(もの)律法(りっぽう)規定(きてい)(まも)るなら、その()割礼(かつれい)割礼(かつれい)()なされるではないか。 27かつ、(うま)れながら()割礼(かつれい)(もの)であって律法(りっぽう)(まっと)うする(もの)は、律法(りっぽう)文字(もんじ)割礼(かつれい)とを()ちながら律法(りっぽう)(おか)しているあなたを、さばくのである。 28というのは、外見(がいけん)(うえ)のユダヤ(じん)がユダヤ(じん)ではなく、また、外見(がいけん)(うえ)(にく)における割礼(かつれい)割礼(かつれい)でもない。 29かえって、(かく)れたユダヤ(じん)がユダヤ(じん)であり、また、文字(もんじ)によらず(れい)による(こころ)割礼(かつれい)こそ割礼(かつれい)であって、そのほまれは(ひと)からではなく、(かみ)から()るのである。

第三章

1では、ユダヤ(じん)のすぐれている(てん)(なに)か。また割礼(かつれい)(えき)(なに)か。 2それは、いろいろの(てん)数多(かずおお)くある。まず(だい)一に、(かみ)(ことば)(かれ)らにゆだねられたことである。 3すると、どうなるのか。もし、(かれ)らのうちに()真実(しんじつ)(もの)があったとしたら、その()真実(しんじつ)によって、(かみ)真実(しんじつ)()になるであろうか。 4(だん)じてそうではない。あらゆる(ひと)(いつわ)(もの)としても、(かみ)真実(しんじつ)なものとすべきである。それは、
「あなたが言葉(ことば)()べるときは、()とせられ、
あなたがさばきを()けるとき、勝利(しょうり)()るため」
()いてあるとおりである。
5しかし、もしわたしたちの不義(ふぎ)が、(かみ)()(あき)らかにするとしたら、なんと()うべきか。(いか)りを(くだ)(かみ)は、不義(ふぎ)であると()うのか(これは人間(にんげん)(てき)()(かた)ではある)。 6(だん)じてそうではない。もしそうであったら、(かみ)はこの()を、どうさばかれるだろうか。 7しかし、もし(かみ)真実(しんじつ)が、わたしの(いつわ)りによりいっそう(あき)らかにされて、(かみ)栄光(えいこう)となるなら、どうして、わたしはなおも罪人(つみびと)としてさばかれるのだろうか。 8むしろ、「(ぜん)をきたらせるために、わたしたちは(あく)をしようではないか」(わたしたちがそう()っていると、ある人々(ひとびと)はそしっている)。(かれ)らが(ばっ)せられるのは当然(とうぜん)である。
9すると、どうなるのか。わたしたちには(なに)かまさったところがあるのか。絶対(ぜったい)にない。ユダヤ(じん)もギリシヤ(じん)も、ことごとく(つみ)(もと)にあることを、わたしたちはすでに指摘(してき)した。 10(つぎ)のように()いてある、
義人(ぎじん)はいない、ひとりもいない。
11(さと)りのある(ひと)はいない、
(かみ)(もと)める(ひと)はいない。
12すべての(ひと)(まよ)()て、
ことごとく無益(むえき)なものになっている。
(ぜん)(おこな)(もの)はいない、
ひとりもいない。
13(かれ)らののどは、(ひら)いた(はか)であり、
(かれ)らは、その(した)(ひと)(あざむ)き、
(かれ)らのくちびるには、まむしの(どく)があり、
14(かれ)らの(くち)は、のろいと(にが)言葉(ことば)とで()ちている。
15(かれ)らの(あし)は、()(なが)すのに(はや)く、
16(かれ)らの(みち)には、破壊(はかい)悲惨(ひさん)とがある。
17そして、(かれ)らは平和(へいわ)(みち)()らない。
18(かれ)らの()(まえ)には、(かみ)(たい)する(おそ)れがない」。 19さて、わたしたちが()っているように、すべて律法(りっぽう)()うところは、律法(りっぽう)のもとにある(もの)たちに(たい)して(かた)られている。それは、すべての(くち)がふさがれ、(ぜん)世界(せかい)(かみ)のさばきに(ふく)するためである。 20なぜなら、律法(りっぽう)(おこな)うことによっては、すべての人間(にんげん)(かみ)(まえ)()とせられないからである。律法(りっぽう)によっては、(つみ)自覚(じかく)(しょう)じるのみである。
21しかし(いま)や、(かみ)()が、律法(りっぽう)とは(べつ)に、しかも律法(りっぽう)預言者(よげんしゃ)とによってあかしされて、(あらわ)された。 22それは、イエス・キリストを(しん)じる信仰(しんこう)による(かみ)()であって、すべて(しん)じる(ひと)(あた)えられるものである。そこにはなんらの差別(さべつ)もない。 23すなわち、すべての(ひと)(つみ)(おか)したため、(かみ)栄光(えいこう)()けられなくなっており、 24(かれ)らは、(あたい)なしに、(かみ)(めぐ)みにより、キリスト・イエスによるあがないによって()とされるのである。 25(かみ)はこのキリストを()てて、その()による、信仰(しんこう)をもって()くべきあがないの(そな)(もの)とされた。それは(かみ)()(しめ)すためであった。すなわち、(いま)までに(おか)された(つみ)を、(かみ)忍耐(にんたい)をもって()のがしておられたが、 26それは、(いま)(とき)に、(かみ)()(しめ)すためであった。こうして、(かみ)みずからが()となり、さらに、イエスを(しん)じる(もの)()とされるのである。 27すると、どこにわたしたちの(ほこり)があるのか。(まった)くない。なんの法則(ほうそく)によってか。(おこな)いの法則(ほうそく)によってか。そうではなく、信仰(しんこう)法則(ほうそく)によってである。 28わたしたちは、こう(おも)う。(ひと)()とされるのは、律法(りっぽう)(おこな)いによるのではなく、信仰(しんこう)によるのである。 29それとも、(かみ)はユダヤ(じん)だけの(かみ)であろうか。また、異邦人(いほうじん)(かみ)であるのではないか。(たし)かに、異邦人(いほうじん)(かみ)でもある。 30まことに、(かみ)唯一(ゆいいつ)であって、割礼(かつれい)のある(もの)信仰(しんこう)によって()とし、また、()割礼(かつれい)(もの)をも信仰(しんこう)のゆえに()とされるのである。 31すると、信仰(しんこう)のゆえに、わたしたちは律法(りっぽう)無効(むこう)にするのであるか。(だん)じてそうではない。かえって、それによって律法(りっぽう)確立(かくりつ)するのである。

第四章

1それでは、(にく)によるわたしたちの先祖(せんぞ)アブラハムの場合(ばあい)については、なんと()ったらよいか。 2もしアブラハムが、その(おこな)いによって()とされたのであれば、(かれ)(ほこ)ることができよう。しかし、(かみ)のみまえでは、できない。 3なぜなら、聖書(せいしょ)はなんと()っているか、「アブラハムは(かみ)(しん)じた。それによって、(かれ)()(みと)められた」とある。 4いったい、(はたら)(ひと)(たい)する報酬(ほうしゅう)は、恩恵(おんけい)としてではなく、当然(とうぜん)支払(しはら)いとして(みと)められる。 5しかし、(はたら)きはなくても、不信心(ふしんじん)(もの)()とするかたを(しん)じる(ひと)は、その信仰(しんこう)()(みと)められるのである。 6ダビデもまた、(おこな)いがなくても(かみ)()(みと)められた(ひと)幸福(こうふく)について、(つぎ)のように()っている、
7不法(ふほう)をゆるされ、(つみ)をおおわれた(ひと)たちは、
さいわいである。
8(つみ)(しゅ)(みと)められない(ひと)は、さいわいである」。
9さて、この幸福(こうふく)は、割礼(かつれい)(もの)だけが()けるのか。それとも、()割礼(かつれい)(もの)にも(およ)ぶのか。わたしたちは()う、「アブラハムには、その信仰(しんこう)()(みと)められた」のである。 10それでは、どういう場合(ばあい)にそう(みと)められたのか。割礼(かつれい)()けてからか、それとも()ける(まえ)か。割礼(かつれい)()けてからではなく、()割礼(かつれい)(とき)であった。 11そして、アブラハムは割礼(かつれい)というしるしを()けたが、それは、()割礼(かつれい)のままで信仰(しんこう)によって()けた()証印(しょういん)であって、(かれ)が、()割礼(かつれい)のままで(しん)じて()とされるに(いた)るすべての(ひと)(ちち)となり、 12かつ、割礼(かつれい)(もの)(ちち)となるためなのである。割礼(かつれい)(もの)というのは、割礼(かつれい)()けた(もの)ばかりではなく、われらの(ちち)アブラハムが()割礼(かつれい)(とき)()っていた信仰(しんこう)足跡(あしあと)()人々(ひとびと)をもさすのである。 13なぜなら、世界(せかい)相続(そうぞく)させるとの約束(やくそく)が、アブラハムとその子孫(しそん)とに(たい)してなされたのは、律法(りっぽう)によるのではなく、信仰(しんこう)()によるからである。 14もし、律法(りっぽう)()人々(ひとびと)相続人(そうぞくにん)であるとすれば、信仰(しんこう)はむなしくなり、約束(やくそく)もまた無効(むこう)になってしまう。 15いったい、律法(りっぽう)(いか)りを(まね)くものであって、律法(りっぽう)のないところには違反(いはん)なるものはない。 16このようなわけで、すべては信仰(しんこう)によるのである。それは(めぐ)みによるのであって、すべての子孫(しそん)に、すなわち、律法(りっぽう)()(もの)だけにではなく、アブラハムの信仰(しんこう)(したが)(もの)にも、この約束(やくそく)保証(ほしょう)されるのである。アブラハムは、(かみ)(まえ)で、わたしたちすべての(もの)(ちち)であって、 17「わたしは、あなたを()てて(おお)くの国民(こくみん)(ちち)とした」と()いてあるとおりである。(かれ)はこの(かみ)、すなわち、死人(しにん)()かし、()から(ゆう)()()される(かみ)(しん)じたのである。 18(かれ)(のぞ)()ないのに、なおも(のぞ)みつつ(しん)じた。そのために、「あなたの子孫(しそん)はこうなるであろう」と()われているとおり、(おお)くの国民(こくみん)(ちち)となったのである。 19すなわち、およそ百(さい)となって、(かれ)自身(じしん)のからだが()んだ状態(じょうたい)であり、また、サラの(たい)不妊(ふにん)であるのを(みと)めながらも、なお(かれ)信仰(しんこう)(よわ)らなかった。 20(かれ)は、(かみ)約束(やくそく)()信仰(しんこう)のゆえに(うたが)うようなことはせず、かえって信仰(しんこう)によって(つよ)められ、栄光(えいこう)(かみ)()し、 21(かみ)はその約束(やくそく)されたことを、また成就(じょうじゅ)することができると確信(かくしん)した。 22だから、(かれ)()(みと)められたのである。 23しかし「()(みと)められた」と()いてあるのは、アブラハムのためだけではなく、 24わたしたちのためでもあって、わたしたちの(しゅ)イエスを死人(しにん)(なか)からよみがえらせたかたを(しん)じるわたしたちも、()(みと)められるのである。 25(しゅ)は、わたしたちの罪過(ざいか)のために()(わた)され、わたしたちが()とされるために、よみがえらされたのである。

第五章

1このように、わたしたちは、信仰(しんこう)によって()とされたのだから、わたしたちの(しゅ)イエス・キリストにより、(かみ)(たい)して平和(へいわ)()ている。 2わたしたちは、さらに(かれ)により、いま()っているこの(めぐ)みに信仰(しんこう)によって(みちび)()れられ、そして、(かみ)栄光(えいこう)にあずかる希望(きぼう)をもって(よろこ)んでいる。 3それだけではなく、患難(かんなん)をも(よろこ)んでいる。なぜなら、患難(かんなん)忍耐(にんたい)()()し、 4忍耐(にんたい)錬達(れんたつ)()()し、錬達(れんたつ)希望(きぼう)()()すことを、()っているからである。 5そして、希望(きぼう)失望(しつぼう)(おわ)ることはない。なぜなら、わたしたちに(たま)わっている聖霊(せいれい)によって、(かみ)(あい)がわたしたちの(こころ)(そそ)がれているからである。 6わたしたちがまだ(よわ)かったころ、キリストは、(とき)いたって、不信心(ふしんじん)(もの)たちのために()んで(くだ)さったのである。 7(ただ)しい(ひと)のために()(もの)は、ほとんどいないであろう。善人(ぜんにん)のためには、(すす)んで()(もの)もあるいはいるであろう。 8しかし、まだ罪人(つみびと)であった(とき)、わたしたちのためにキリストが()んで(くだ)さったことによって、(かみ)はわたしたちに(たい)する(あい)(しめ)されたのである。 9わたしたちは、キリストの()によって(いま)()とされているのだから、なおさら、(かれ)によって(かみ)(いか)りから(すく)われるであろう。 10もし、わたしたちが(てき)であった(とき)でさえ、御子(みこ)()によって(かみ)との和解(わかい)()けたとすれば、和解(わかい)()けている(いま)は、なおさら、(かれ)のいのちによって(すく)われるであろう。 11そればかりではなく、わたしたちは、(いま)和解(わかい)()させて(くだ)さったわたしたちの(しゅ)イエス・キリストによって、(かみ)(よろこ)ぶのである。
12このようなわけで、ひとりの(ひと)によって、(つみ)がこの()にはいり、また(つみ)によって()がはいってきたように、こうして、すべての(ひと)(つみ)(おか)したので、()(ぜん)人類(じんるい)にはいり()んだのである。 13というのは、律法(りっぽう)以前(いぜん)にも(つみ)()にあったが、律法(りっぽう)がなければ、(つみ)(つみ)として(みと)められないのである。 14しかし、アダムからモーセまでの(あいだ)においても、アダムの違反(いはん)(おな)じような(つみ)(おか)さなかった(もの)も、()支配(しはい)(まぬが)れなかった。このアダムは、きたるべき(もの)(かた)である。 15しかし、(めぐ)みの賜物(たまもの)罪過(ざいか)場合(ばあい)とは(こと)なっている。すなわち、もしひとりの罪過(ざいか)のために(おお)くの(ひと)()んだとすれば、まして、(かみ)(めぐ)みと、ひとりの(ひと)イエス・キリストの(めぐ)みによる賜物(たまもの)とは、さらに(ゆた)かに(おお)くの人々(ひとびと)()ちあふれたはずではないか。 16かつ、この賜物(たまもの)は、ひとりの(おか)した(つみ)結果(けっか)とは(こと)なっている。なぜなら、さばきの場合(ばあい)は、ひとりの罪過(ざいか)から、(つみ)(さだ)めることになったが、(めぐ)みの場合(ばあい)には、(おお)くの(ひと)罪過(ざいか)から、()とする結果(けっか)になるからである。 17もし、ひとりの罪過(ざいか)によって、そのひとりをとおして()支配(しはい)するに(いた)ったとすれば、まして、あふれるばかりの(めぐ)みと()賜物(たまもの)とを()けている(もの)たちは、ひとりのイエス・キリストをとおし、いのちにあって、さらに力強(ちからづよ)支配(しはい)するはずではないか。 18このようなわけで、ひとりの罪過(ざいか)によってすべての(ひと)(つみ)(さだ)められたように、ひとりの()なる行為(こうい)によって、いのちを()させる()がすべての(ひと)(およ)ぶのである。 19すなわち、ひとりの(ひと)()従順(じゅうじゅん)によって、(おお)くの(ひと)罪人(つみびと)とされたと(おな)じように、ひとりの従順(じゅうじゅん)によって、(おお)くの(ひと)義人(ぎじん)とされるのである。 20律法(りっぽう)がはいり()んできたのは、罪過(ざいか)()(くわ)わるためである。しかし、(つみ)()(くわ)わったところには、(めぐ)みもますます()ちあふれた。 21それは、(つみ)()によって支配(しはい)するに(いた)ったように、(めぐ)みもまた()によって支配(しはい)し、わたしたちの(しゅ)イエス・キリストにより、永遠(えいえん)のいのちを()させるためである。

第六章

1では、わたしたちは、なんと()おうか。(めぐ)みが()(くわ)わるために、(つみ)にとどまるべきであろうか。 2(だん)じてそうではない。(つみ)(たい)して()んだわたしたちが、どうして、なお、その(なか)()きておれるだろうか。 3それとも、あなたがたは()らないのか。キリスト・イエスにあずかるバプテスマを()けたわたしたちは、(かれ)()にあずかるバプテスマを()けたのである。 4すなわち、わたしたちは、その()にあずかるバプテスマによって、(かれ)(とも)(ほうむ)られたのである。それは、キリストが(ちち)栄光(えいこう)によって、死人(しにん)(なか)からよみがえらされたように、わたしたちもまた、(あたら)しいいのちに()きるためである。 5もしわたしたちが、(かれ)(むす)びついてその()(さま)にひとしくなるなら、さらに、(かれ)復活(ふっかつ)(さま)にもひとしくなるであろう。 6わたしたちは、この(こと)()っている。わたしたちの(うち)(ふる)(ひと)はキリストと(とも)十字架(じゅうじか)につけられた。それは、この(つみ)のからだが(ほろ)び、わたしたちがもはや、(つみ)奴隷(どれい)となることがないためである。 7それは、すでに()んだ(もの)は、(つみ)から解放(かいほう)されているからである。 8もしわたしたちが、キリストと(とも)()んだなら、また(かれ)(とも)()きることを(しん)じる。 9キリストは死人(しにん)(なか)からよみがえらされて、もはや()ぬことがなく、()はもはや(かれ)支配(しはい)しないことを、()っているからである。 10なぜなら、キリストが()んだのは、ただ一()(つみ)(たい)して()んだのであり、キリストが()きるのは、(かみ)()きるのだからである。 11このように、あなたがた自身(じしん)も、(つみ)(たい)して()んだ(もの)であり、キリスト・イエスにあって(かみ)()きている(もの)であることを、(みと)むべきである。 12だから、あなたがたの()ぬべきからだを(つみ)支配(しはい)にゆだねて、その情欲(じょうよく)(したが)わせることをせず、 13また、あなたがたの肢体(したい)不義(ふぎ)武器(ぶき)として(つみ)にささげてはならない。むしろ、死人(しにん)(なか)から()かされた(もの)として、自分(じぶん)自身(じしん)(かみ)にささげ、自分(じぶん)肢体(したい)()武器(ぶき)として(かみ)にささげるがよい。 14なぜなら、あなたがたは律法(りっぽう)(もと)にあるのではなく、(めぐ)みの(もと)にあるので、(つみ)支配(しはい)されることはないからである。
15それでは、どうなのか。律法(りっぽう)(もと)にではなく、(めぐ)みの(もと)にあるからといって、わたしたちは(つみ)(おか)すべきであろうか。(だん)じてそうではない。 16あなたがたは()らないのか。あなたがた自身(じしん)が、だれかの(しもべ)になって服従(ふくじゅう)するなら、あなたがたは自分(じぶん)服従(ふくじゅう)するその(もの)(しもべ)であって、()(いた)(つみ)(しもべ)ともなり、あるいは、()にいたる従順(じゅうじゅん)(しもべ)ともなるのである。 17しかし、(かみ)感謝(かんしゃ)すべきかな。あなたがたは(つみ)(しもべ)であったが、(つた)えられた(おしえ)基準(きじゅん)(こころ)から服従(ふくじゅう)して、 18(つみ)から解放(かいほう)され、()(しもべ)となった。 19わたしは人間(にんげん)(てき)()(かた)をするが、それは、あなたがたの(にく)(よわ)さのゆえである。あなたがたは、かつて自分(じぶん)肢体(したい)(けが)れと不法(ふほう)との(しもべ)としてささげて不法(ふほう)(おちい)ったように、(いま)自分(じぶん)肢体(したい)()(しもべ)としてささげて、きよくならねばならない。 20あなたがたが(つみ)(しもべ)であった(とき)は、()とは(えん)のない(もの)であった。 21その(とき)あなたがたは、どんな()(むす)んだのか。それは、(いま)では(はじ)とするようなものであった。それらのものの終極(しゅうきょく)は、()である。 22しかし(いま)や、あなたがたは(つみ)から解放(かいほう)されて(かみ)(つか)え、きよきに(いた)()(むす)んでいる。その終極(しゅうきょく)永遠(えいえん)のいのちである。 23(つみ)支払(しはら)報酬(ほうしゅう)()である。しかし(かみ)賜物(たまもの)は、わたしたちの(しゅ)キリスト・イエスにおける永遠(えいえん)のいのちである。

第七章

1それとも、兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがたは()らないのか。わたしは律法(りっぽう)()っている人々(ひとびと)(かた)るのであるが、律法(りっぽう)(ひと)をその()きている期間(きかん)だけ支配(しはい)するものである。 2すなわち、(おっと)のある(おんな)は、(おっと)()きている(あいだ)は、律法(りっぽう)によって(かれ)につながれている。しかし、(おっと)()ねば、(おっと)律法(りっぽう)から解放(かいほう)される。 3であるから、(おっと)生存(せいぞん)(ちゅう)()(おとこ)()けば、その(おんな)淫婦(いんぷ)()ばれるが、もし(おっと)()ねば、その律法(りっぽう)から()かれるので、()(おとこ)()っても、淫婦(いんぷ)とはならない。 4わたしの兄弟(きょうだい)たちよ。このように、あなたがたも、キリストのからだをとおして、律法(りっぽう)(たい)して()んだのである。それは、あなたがたが()(ひと)、すなわち、死人(しにん)(なか)からよみがえられたかたのものとなり、こうして、わたしたちが(かみ)のために()(むす)ぶに(いた)るためなのである。 5というのは、わたしたちが(にく)にあった(とき)には、律法(りっぽう)による(つみ)欲情(よくじょう)が、()のために()(むす)ばせようとして、わたしたちの肢体(したい)のうちに(はたら)いていた。 6しかし(いま)は、わたしたちをつないでいたものに(たい)して()んだので、わたしたちは律法(りっぽう)から解放(かいほう)され、その結果(けっか)(ふる)文字(もんじ)によってではなく、(あたら)しい(れい)によって(つか)えているのである。
7それでは、わたしたちは、なんと()おうか。律法(りっぽう)(つみ)なのか。(だん)じてそうではない。しかし、律法(りっぽう)によらなければ、わたしは(つみ)()らなかったであろう。すなわち、もし律法(りっぽう)が「むさぼるな」と()わなかったら、わたしはむさぼりなるものを()らなかったであろう。 8しかるに、(つみ)(いまし)めによって機会(きかい)(とら)え、わたしの(うち)(はたら)いて、あらゆるむさぼりを(おこ)させた。すなわち、律法(りっぽう)がなかったら、(つみ)()んでいるのである。 9わたしはかつては、律法(りっぽう)なしに()きていたが、(いまし)めが()るに(およ)んで、(つみ)()(かえ)り、 10わたしは()んだ。そして、いのちに(みちび)くべき(いまし)めそのものが、かえってわたしを()(みちび)いて()くことがわかった。 11なぜなら、(つみ)(いまし)めによって機会(きかい)(とら)え、わたしを(あざむ)き、(いまし)めによってわたしを(ころ)したからである。 12このようなわけで、律法(りっぽう)そのものは(せい)なるものであり、(いまし)めも(せい)であって、(ただ)しく、かつ(ぜん)なるものである。 13では、(ぜん)なるものが、わたしにとって()となったのか。(だん)じてそうではない。それはむしろ、(つみ)(つみ)たることが(あらわ)れるための、(つみ)のしわざである。すなわち、(つみ)は、(いまし)めによって、はなはだしく悪性(あくせい)なものとなるために、(ぜん)なるものによってわたしを()(いた)らせたのである。 14わたしたちは、律法(りっぽう)霊的(れいてき)なものであると()っている。しかし、わたしは(にく)につける(もの)であって、(つみ)(もと)()られているのである。 15わたしは自分(じぶん)のしていることが、わからない。なぜなら、わたしは自分(じぶん)(ほっ)する(こと)(おこな)わず、かえって自分(じぶん)(にく)(こと)をしているからである。 16もし、自分(じぶん)(ほっ)しない(こと)をしているとすれば、わたしは律法(りっぽう)()いものであることを承認(しょうにん)していることになる。 17そこで、この(こと)をしているのは、もはやわたしではなく、わたしの(うち)宿(やど)っている(つみ)である。 18わたしの(うち)に、すなわち、わたしの(にく)(うち)には、(ぜん)なるものが宿(やど)っていないことを、わたしは()っている。なぜなら、(ぜん)をしようとする意志(いし)は、自分(じぶん)にあるが、それをする(ちから)がないからである。 19すなわち、わたしの(ほっ)している(ぜん)はしないで、(ほっ)していない(あく)は、これを(おこな)っている。 20もし、(ほっ)しないことをしているとすれば、それをしているのは、もはやわたしではなく、わたしの(うち)宿(やど)っている(つみ)である。 21そこで、(ぜん)をしようと(ほっ)しているわたしに、(あく)がはいり()んでいるという法則(ほうそく)があるのを()る。 22すなわち、わたしは、(うち)なる(ひと)としては(かみ)律法(りっぽう)(よろこ)んでいるが、 23わたしの肢体(したい)には(べつ)律法(りっぽう)があって、わたしの(こころ)法則(ほうそく)(たい)して(たたか)いをいどみ、そして、肢体(したい)存在(そんざい)する(つみ)法則(ほうそく)(なか)に、わたしをとりこにしているのを()る。 24わたしは、なんというみじめな人間(にんげん)なのだろう。だれが、この()のからだから、わたしを(すく)ってくれるだろうか。 25わたしたちの(しゅ)イエス・キリストによって、(かみ)感謝(かんしゃ)すべきかな。このようにして、わたし自身(じしん)は、(こころ)では(かみ)律法(りっぽう)(つか)えているが、(にく)では(つみ)律法(りっぽう)(つか)えているのである。

第八章

1こういうわけで、(いま)やキリスト・イエスにある(もの)(つみ)(さだ)められることがない。 2なぜなら、キリスト・イエスにあるいのちの御霊(みたま)法則(ほうそく)は、(つみ)()との法則(ほうそく)からあなたを解放(かいほう)したからである。 3律法(りっぽう)(にく)により無力(むりょく)になっているためになし()なかった(こと)を、(かみ)はなし()げて(くだ)さった。すなわち、御子(みこ)を、(つみ)(にく)(さま)(つみ)のためにつかわし、(にく)において(つみ)(ばっ)せられたのである。 4これは律法(りっぽう)要求(ようきゅう)が、(にく)によらず(れい)によって(ある)くわたしたちにおいて、()たされるためである。 5なぜなら、(にく)(したが)(もの)(にく)のことを(おも)い、(れい)(したが)(もの)(れい)のことを(おも)うからである。 6(にく)(おも)いは()であるが、(れい)(おも)いは、いのちと平安(へいあん)とである。 7なぜなら、(にく)(おも)いは(かみ)(てき)するからである。すなわち、それは(かみ)律法(りっぽう)(したが)わず、(いな)(したが)()ないのである。 8また、(にく)にある(もの)は、(かみ)(よろこ)ばせることができない。 9しかし、(かみ)御霊(みたま)があなたがたの(うち)宿(やど)っているなら、あなたがたは(にく)におるのではなく、(れい)におるのである。もし、キリストの(れい)()たない(ひと)がいるなら、その(ひと)はキリストのものではない。 10もし、キリストがあなたがたの(うち)におられるなら、からだは(つみ)のゆえに()んでいても、(れい)()のゆえに()きているのである。 11もし、イエスを死人(しにん)(なか)からよみがえらせたかたの御霊(みたま)が、あなたがたの(うち)宿(やど)っているなら、キリスト・イエスを死人(しにん)(なか)からよみがえらせたかたは、あなたがたの(うち)宿(やど)っている御霊(みたま)によって、あなたがたの()ぬべきからだをも、()かしてくださるであろう。
12それゆえに、兄弟(きょうだい)たちよ。わたしたちは、(はた)すべき責任(せきにん)()っている(もの)であるが、(にく)(したが)って()きる責任(せきにん)(にく)(たい)して()っているのではない。 13なぜなら、もし、(にく)(したが)って()きるなら、あなたがたは()(ほか)はないからである。しかし、(れい)によってからだの(はたら)きを(ころ)すなら、あなたがたは()きるであろう。 14すべて(かみ)御霊(みたま)(みちび)かれている(もの)は、すなわち、(かみ)()である。 15あなたがたは(ふたた)(おそ)れをいだかせる奴隷(どれい)(れい)()けたのではなく、()たる身分(みぶん)(さづ)ける(れい)()けたのである。その(れい)によって、わたしたちは「アバ、(ちち)よ」と()ぶのである。 16御霊(みたま)みずから、わたしたちの(れい)(とも)に、わたしたちが(かみ)()であることをあかしして(くだ)さる。 17もし()であれば、相続人(そうぞくにん)でもある。(かみ)相続人(そうぞくにん)であって、キリストと栄光(えいこう)(とも)にするために苦難(くなん)をも(とも)にしている以上(いじょう)、キリストと共同(きょうどう)相続人(そうぞくにん)なのである。
18わたしは(おも)う。(いま)のこの(とき)(くる)しみは、やがてわたしたちに(あらわ)されようとする栄光(えいこう)(くら)べると、()うに()りない。 19()造物(ぞうぶつ)は、(じつ)に、(せつ)なる(おも)いで(かみ)()たちの出現(しゅつげん)()(のぞ)んでいる。 20なぜなら、()造物(ぞうぶつ)虚無(きょむ)(ふく)したのは、自分(じぶん)意志(いし)によるのではなく、服従(ふくじゅう)させたかたによるのであり、 21かつ、()造物(ぞうぶつ)自身(じしん)にも、(ほろ)びのなわめから解放(かいほう)されて、(かみ)()たちの栄光(えいこう)自由(じゆう)(はい)(のぞ)みが(のこ)されているからである。 22(じつ)に、()造物(ぞうぶつ)全体(ぜんたい)が、(いま)(いた)るまで、(とも)にうめき(とも)()みの(くる)しみを(つづ)けていることを、わたしたちは()っている。 23それだけではなく、御霊(みたま)最初(さいしょ)()()っているわたしたち自身(じしん)も、(こころ)(うち)でうめきながら、()たる身分(みぶん)(さづ)けられること、すなわち、からだのあがなわれることを()(のぞ)んでいる。 24わたしたちは、この(のぞ)みによって(すく)われているのである。しかし、()()える(のぞ)みは(のぞ)みではない。なぜなら、(げん)()ている(こと)を、どうして、なお(のぞ)(ひと)があろうか。 25もし、わたしたちが()ないことを(のぞ)むなら、わたしたちは忍耐(にんたい)して、それを()(のぞ)むのである。
26御霊(みたま)もまた(おな)じように、(よわ)いわたしたちを(たす)けて(くだ)さる。なぜなら、わたしたちはどう(いの)ったらよいかわからないが、御霊(みたま)みずから、言葉(ことば)にあらわせない(せつ)なるうめきをもって、わたしたちのためにとりなして(くだ)さるからである。 27そして、(ひと)(こころ)(さぐ)()るかたは、御霊(みたま)(おも)うところがなんであるかを()っておられる。なぜなら、御霊(みたま)は、聖徒(せいと)のために、(かみ)御旨(みむね)にかなうとりなしをして(くだ)さるからである。 28(かみ)は、(かみ)(あい)する(もの)たち、すなわち、ご計画(けいかく)(したが)って()された(もの)たちと(とも)(はたら)いて、万事(ばんじ)(えき)となるようにして(くだ)さることを、わたしたちは()っている。 29(かみ)はあらかじめ()っておられる(もの)たちを、(さら)御子(みこ)のかたちに()たものとしようとして、あらかじめ(さだ)めて(くだ)さった。それは、御子(みこ)(おお)くの兄弟(きょうだい)(なか)長子(ちょうし)とならせるためであった。 30そして、あらかじめ(さだ)めた(もの)たちを(さら)()し、()した(もの)たちを(さら)()とし、()とした(もの)たちには、(さら)栄光(えいこう)(あた)えて(くだ)さったのである。
31それでは、これらの(こと)について、なんと()おうか。もし、(かみ)がわたしたちの味方(みかた)であるなら、だれがわたしたちに(てき)()ようか。 32自身(じしん)御子(みこ)をさえ()しまないで、わたしたちすべての(もの)のために()(わた)されたかたが、どうして、御子(みこ)のみならず万物(ばんぶつ)をも(たま)わらないことがあろうか。 33だれが、(かみ)(えら)ばれた(もの)たちを(うった)えるのか。(かみ)(かれ)らを()とされるのである。 34だれが、わたしたちを(つみ)(さだ)めるのか。キリスト・イエスは、()んで、(いな)、よみがえって、(かみ)(みぎ)()し、また、わたしたちのためにとりなして(くだ)さるのである。 35だれが、キリストの(あい)からわたしたちを(はな)れさせるのか。患難(かんなん)か、苦悩(くのう)か、迫害(はくがい)か、()えか、(はだか)か、危難(きなん)か、(つるぎ)か。
36「わたしたちはあなたのために終日(しゅうじつ)
()(さだ)められており、
ほふられる(ひつじ)のように()られている」
()いてあるとおりである。 37しかし、わたしたちを(あい)して(くだ)さったかたによって、わたしたちは、これらすべての(こと)において()()(あま)りがある。 38わたしは確信(かくしん)する。()(せい)も、天使(てんし)支配者(しはいしゃ)も、現在(げんざい)のものも将来(しょうらい)のものも、(ちから)あるものも、 39(たか)いものも(ふか)いものも、その()どんな()造物(ぞうぶつ)も、わたしたちの(しゅ)キリスト・イエスにおける(かみ)(あい)から、わたしたちを()(はな)すことはできないのである。

第九章

1わたしはキリストにあって真実(しんじつ)(かた)る。(いつわ)りは()わない。わたしの良心(りょうしん)聖霊(せいれい)によって、わたしにこうあかしをしている。 2すなわち、わたしに(おお)きな(かな)しみがあり、わたしの(こころ)()えざる(いた)みがある。 3実際(じっさい)、わたしの兄弟(きょうだい)(にく)による同族(どうぞく)のためなら、わたしのこの()がのろわれて、キリストから(はな)されてもいとわない。 4(かれ)らはイスラエル(びと)であって、()たる身分(みぶん)(さづ)けられることも、栄光(えいこう)も、もろもろの契約(けいやく)も、律法(りっぽう)(さづ)けられることも、礼拝(れいはい)も、数々(かずかず)約束(やくそく)(かれ)らのもの、 5また父祖(ふそ)たちも(かれ)らのものであり、(にく)によればキリストもまた(かれ)らから()られたのである。万物(ばんぶつ)(うえ)にいます(かみ)は、永遠(えいえん)にほむべきかな、アァメン。
6しかし、(かみ)(ことば)無効(むこう)になったというわけではない。なぜなら、イスラエルから()(もの)全部(ぜんぶ)イスラエルなのではなく、 7また、アブラハムの子孫(しそん)だからといって、その全部(ぜんぶ)()であるのではないからである。かえって「イサクから()(もの)が、あなたの子孫(しそん)()ばれるであろう」。 8すなわち、(にく)()がそのまま(かみ)()なのではなく、むしろ約束(やくそく)()子孫(しそん)として(みと)められるのである。 9約束(やくそく)言葉(ことば)はこうである。「来年(らいねん)(いま)ごろ、わたしはまた()る。そして、サラに男子(だんし)(あた)えられるであろう」。 10そればかりではなく、ひとりの(ひと)、すなわち、わたしたちの父祖(ふそ)イサクによって受胎(じゅたい)したリベカの場合(ばあい)も、また同様(どうよう)である。 11まだ子供(こども)らが(うま)れもせず、(ぜん)(あく)もしない(さき)に、(かみ)(えら)びの計画(けいかく)が、 12わざによらず、()したかたによって(おこな)われるために、「(あに)(おとうと)(つか)えるであろう」と、彼女(かのじょ)(おお)せられたのである。 13「わたしはヤコブを(あい)しエサウを(にく)んだ」と()いてあるとおりである。
14では、わたしたちはなんと()おうか。(かみ)(がわ)不正(ふせい)があるのか。(だん)じてそうではない。 15(かみ)はモーセに()われた、「わたしは自分(じぶん)のあわれもうとする(もの)をあわれみ、いつくしもうとする(もの)を、いつくしむ」。 16ゆえに、それは人間(にんげん)意志(いし)努力(どりょく)によるのではなく、ただ(かみ)のあわれみによるのである。 17聖書(せいしょ)はパロにこう()っている、「わたしがあなたを()てたのは、この(こと)のためである。すなわち、あなたによってわたしの(ちから)をあらわし、また、わたしの()(ぜん)世界(せかい)()いひろめられるためである」。 18だから、(かみ)はそのあわれもうと(おも)(もの)をあわれみ、かたくなにしようと(おも)(もの)を、かたくなになさるのである。
19そこで、あなたは()うであろう、「なぜ(かみ)は、なおも(ひと)()められるのか。だれが、(かみ)意図(いと)(さか)らい()ようか」。 20ああ(ひと)よ。あなたは、(かみ)()(さか)らうとは、いったい、何者(なにもの)なのか。(つく)られたものが(つく)った(もの)()かって、「なぜ、わたしをこのように(つく)ったのか」と()うことがあろうか。 21陶器(とうき)(つく)(もの)は、(おな)(つち)くれから、一つを(たっと)(うつわ)に、(ほか)(いや)しい(うつわ)(つく)りあげる権能(けんのう)がないのであろうか。 22もし、(かみ)(いか)りをあらわし、かつ、ご自身(じしん)(ちから)()らせようと(おも)われつつも、(ほろ)びることになっている(いか)りの(うつわ)を、(おお)いなる寛容(かんよう)をもって(しの)ばれたとすれば、 23かつ、栄光(えいこう)にあずからせるために、あらかじめ用意(ようい)されたあわれみの(うつわ)にご自身(じしん)栄光(えいこう)(とみ)()らせようとされたとすれば、どうであろうか。 24(かみ)は、このあわれみの(うつわ)として、またわたしたちをも、ユダヤ(じん)(なか)からだけではなく、異邦人(いほうじん)(なか)からも()されたのである。 25それは、ホセアの(しょ)でも()われているとおりである、
「わたしは、わたしの(たみ)でない(もの)を、
わたしの(たみ)()び、
(あい)されなかった(もの)を、(あい)される(もの)()ぶであろう。
26あなたがたはわたしの(たみ)ではないと、
(かれ)らに()ったその場所(ばしょ)で、
(かれ)らは()ける(かみ)()らであると、
()ばれるであろう」。
27また、イザヤはイスラエルについて(さけ)んでいる、
「たとい、イスラエルの()らの(かず)は、
(はま)(すな)のようであっても、
(すく)われるのは、(のこ)された(もの)だけであろう。
28(しゅ)は、御言(みことば)をきびしくまたすみやかに、
地上(ちじょう)になしとげられるであろう」。
29さらに、イザヤは預言(よげん)した、
「もし、万軍(ばんぐん)(しゅ)がわたしたちに
子孫(しそん)(のこ)されなかったなら、
わたしたちはソドムのようになり、
ゴモラと(おな)じようになったであろう」。
30では、わたしたちはなんと()おうか。()()(もと)めなかった異邦人(いほうじん)は、()、すなわち、信仰(しんこう)による()()た。 31しかし、()律法(りっぽう)()(もと)めていたイスラエルは、その律法(りっぽう)(たっ)しなかった。 32なぜであるか。信仰(しんこう)によらないで、(おこな)いによって()られるかのように、()(もと)めたからである。(かれ)らは、つまずきの(いし)につまずいたのである。
33()よ、わたしはシオンに、
つまずきの(いし)、さまたげの(いわ)()く。
それにより(たの)(もの)は、失望(しつぼう)(おわ)ることがない」
()いてあるとおりである。

第十章

1兄弟(きょうだい)たちよ。わたしの(こころ)(ねが)い、(かれ)らのために(かみ)にささげる(いのり)は、(かれ)らが(すく)われることである。 2わたしは、(かれ)らが(かみ)(たい)して熱心(ねっしん)であることはあかしするが、その熱心(ねっしん)(ふか)知識(ちしき)によるものではない。 3なぜなら、(かれ)らは(かみ)()()らないで、自分(じぶん)()()てようと(つと)め、(かみ)()(したが)わなかったからである。 4キリストは、すべて(しん)じる(もの)()()させるために、律法(りっぽう)(おわ)りとなられたのである。
5モーセは、律法(りっぽう)による()(おこな)(ひと)は、その()によって()きる、と()いている。 6しかし、信仰(しんこう)による()は、こう()っている、「あなたは(こころ)のうちで、だれが(てん)(のぼ)るであろうかと()うな」。それは、キリストを()()ろすことである。 7また、「だれが(そこ)()れぬ(ところ)(くだ)るであろうかと()うな」。それは、キリストを死人(しにん)(なか)から()()げることである。 8では、なんと()っているか。「言葉(ことば)はあなたの(ちか)くにある。あなたの(くち)にあり、(こころ)にある」。この言葉(ことば)とは、わたしたちが()(つた)えている信仰(しんこう)言葉(ことば)である。 9すなわち、自分(じぶん)(くち)で、イエスは(しゅ)であると告白(こくはく)し、自分(じぶん)(こころ)で、(かみ)死人(しにん)(なか)からイエスをよみがえらせたと(しん)じるなら、あなたは(すく)われる。 10なぜなら、(ひと)(こころ)(しん)じて()とされ、(くち)告白(こくはく)して(すく)われるからである。 11聖書(せいしょ)は、「すべて(かれ)(しん)じる(もの)は、失望(しつぼう)(おわ)ることがない」と()っている。 12ユダヤ(じん)とギリシヤ(じん)との差別(さべつ)はない。同一(どういつ)(しゅ)万民(ばんみん)(しゅ)であって、(かれ)()(もと)めるすべての(ひと)(ゆた)かに(めぐ)んで(くだ)さるからである。 13なぜなら、「(しゅ)御名(みな)()(もと)める(もの)は、すべて(すく)われる」とあるからである。
14しかし、(しん)じたことのない(もの)を、どうして()(もと)めることがあろうか。()いたことのない(もの)を、どうして(しん)じることがあろうか。()(つた)える(もの)がいなくては、どうして()くことがあろうか。 15つかわされなくては、どうして()(つた)えることがあろうか。「ああ、(うるわ)しいかな、()きおとずれを()げる(もの)(あし)は」と()いてあるとおりである。 16しかし、すべての(ひと)福音(ふくいん)()(したが)ったのではない。イザヤは、「(しゅ)よ、だれがわたしたちから()いたことを(しん)じましたか」と()っている。 17したがって、信仰(しんこう)()くことによるのであり、()くことはキリストの言葉(ことば)から()るのである。 18しかしわたしは()う、(かれ)らには(きこ)えなかったのであろうか。(いな)、むしろ
「その(こえ)(ぜん)()にひびきわたり、
その言葉(ことば)世界(せかい)のはてにまで(およ)んだ」。
19なお、わたしは()う、イスラエルは()らなかったのであろうか。まずモーセは()っている、
「わたしはあなたがたに、
国民(こくみん)でない(もの)(たい)してねたみを(おこ)させ、
無知(むち)国民(こくみん)(たい)して、
(いか)りをいだかせるであろう」。
20イザヤも大胆(だいたん)()っている、
「わたしは、わたしを(もと)めない(もの)たちに()いだされ、
わたしを(たず)ねない(もの)に、自分(じぶん)(あらわ)した」。
21そして、イスラエルについては、
「わたしは服従(ふくじゅう)せずに反抗(はんこう)する(たみ)に、
終日(しゅうじつ)わたしの()をさし()べていた」
()っている。

第十一章

1そこで、わたしは()う、「(かみ)はその(たみ)()てたのであろうか」。(だん)じてそうではない。わたしもイスラエル(ひと)であり、アブラハムの子孫(しそん)、ベニヤミン(ぞく)(もの)である。 2(かみ)は、あらかじめ()っておられたその(たみ)を、()てることはされなかった。聖書(せいしょ)がエリヤについてなんと()っているか、あなたがたは()らないのか。すなわち、(かれ)はイスラエルを(かみ)(うった)えてこう()った。 3(しゅ)よ、(かれ)らはあなたの預言者(よげんしゃ)たちを(ころ)し、あなたの祭壇(さいだん)をこぼち、そして、わたしひとりが()(のこ)されたのに、(かれ)らはわたしのいのちをも(もと)めています」。 4しかし、(かれ)(たい)する()()げはなんであったか、「バアルにひざをかがめなかった七千(にん)を、わたしのために(のこ)しておいた」。 5それと(おな)じように、(いま)(とき)にも、(めぐ)みの(えら)びによって(のこ)された(もの)がいる。 6しかし、(めぐ)みによるのであれば、もはや(おこな)いによるのではない。そうでないと、(めぐ)みはもはや(めぐ)みでなくなるからである。 7では、どうなるのか。イスラエルはその()(もと)めているものを()ないで、ただ(えら)ばれた(もの)が、それを()た。そして、()(もの)たちはかたくなになった。
8(かみ)は、(かれ)らに(にぶ)(こころ)と、
()えない()と、(きこ)えない(みみ)とを(あた)えて、
きょう、この()(およ)んでいる」
()いてあるとおりである。 9ダビデもまた()っている、
(かれ)らの食卓(しょくたく)は、(かれ)らのわなとなれ、(あみ)となれ、
つまずきとなれ、報復(ほうふく)となれ。
10(かれ)らの()は、くらんで()えなくなれ、
(かれ)らの()は、いつまでも(まが)っておれ」。
11そこで、わたしは()う、「(かれ)らがつまずいたのは、(たお)れるためであったのか」。(だん)じてそうではない。かえって、(かれ)らの罪過(ざいか)によって、(すくい)異邦人(いほうじん)(およ)び、それによってイスラエルを奮起(ふんき)させるためである。 12しかし、もし、(かれ)らの罪過(ざいか)()(とみ)となり、(かれ)らの失敗(しっぱい)異邦人(いほうじん)(とみ)となったとすれば、まして(かれ)らが全部(ぜんぶ)(すく)われたなら、どんなにかすばらしいことであろう。
13そこでわたしは、あなたがた異邦人(いほうじん)()う。わたし自身(じしん)異邦人(いほうじん)使徒(しと)なのであるから、わたしの(つとめ)光栄(こうえい)とし、 14どうにかしてわたしの骨肉(こつにく)奮起(ふんき)させ、(かれ)らの幾人(いくにん)かを(すく)おうと(ねが)っている。 15もし(かれ)らの()てられたことが()和解(わかい)となったとすれば、(かれ)らの()けいれられることは、死人(しにん)(なか)から()(かえ)ることではないか。 16もし、麦粉(むぎこ)初穂(はつほ)がきよければ、そのかたまりもきよい。もし()がきよければ、その(えだ)もきよい。 17しかし、もしある(えだ)()()られて、野生(やせい)のオリブであるあなたがそれにつがれ、オリブの()(ゆた)かな養分(ようぶん)にあずかっているとすれば、 18あなたはその(えだ)(たい)して(ほこ)ってはならない。たとえ(ほこ)るとしても、あなたが()をささえているのではなく、()があなたをささえているのである。 19すると、あなたは、「(えだ)()()られたのは、わたしがつがれるためであった」と()うであろう。 20まさに、そのとおりである。(かれ)らは()信仰(しんこう)のゆえに()()られ、あなたは信仰(しんこう)のゆえに()っているのである。(たか)ぶった(おも)いをいだかないで、むしろ(おそ)れなさい。 21もし(かみ)元木(もとき)(えだ)()しまなかったとすれば、あなたを()しむようなことはないであろう。 22(かみ)慈愛(じあい)峻厳(しゅんげん)とを()よ。(かみ)峻厳(しゅんげん)(たお)れた(もの)たちに()けられ、(かみ)慈愛(じあい)は、もしあなたがその慈愛(じあい)にとどまっているなら、あなたに()けられる。そうでないと、あなたも()()られるであろう。 23しかし(かれ)らも、()信仰(しんこう)(つづ)けなければ、つがれるであろう。(かみ)には(かれ)らを(ふたた)びつぐ(ちから)がある。 24なぜなら、もしあなたが自然(しぜん)のままの野生(やせい)のオリブから()()られ、自然(しぜん)性質(せいしつ)(はん)して()いオリブにつがれたとすれば、まして、これら自然(しぜん)のままの()(えだ)は、もっとたやすく、(もと)のオリブにつがれないであろうか。
25兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがたが知者(ちしゃ)だと自負(じふ)することのないために、この奥義(おくぎ)()らないでいてもらいたくない。一部(いちぶ)のイスラエル(びと)がかたくなになったのは、異邦人(いほうじん)全部(ぜんぶ)(すく)われるに(いた)(とき)までのことであって、 26こうして、イスラエル(びと)は、すべて(すく)われるであろう。すなわち、(つぎ)のように()いてある、
(すく)(もの)がシオンからきて、
ヤコブから不信心(ふしんじん)()(はら)うであろう。
27そして、これが、(かれ)らの(つみ)(のぞ)()(とき)に、
(かれ)らに(たい)して()てるわたしの契約(けいやく)である」。
28福音(ふくいん)について()えば、(かれ)らは、あなたがたのゆえに、(かみ)(てき)とされているが、(えら)びについて()えば、父祖(ふそ)たちのゆえに、(かみ)(あい)せられる(もの)である。 29(かみ)賜物(たまもの)()しとは、()えられることがない。 30あなたがたが、かつては(かみ)()従順(じゅうじゅん)であったが、(いま)(かれ)らの()従順(じゅうじゅん)によってあわれみを()けたように、 31(かれ)らも(いま)()従順(じゅうじゅん)になっているが、それは、あなたがたの()けたあわれみによって、(かれ)自身(じしん)(いま)あわれみを()けるためなのである。 32すなわち、(かみ)はすべての(ひと)をあわれむために、すべての(ひと)()従順(じゅうじゅん)のなかに()()めたのである。
33ああ(ふか)いかな、(かみ)知恵(ちえ)知識(ちしき)との(とみ)は。そのさばきは(きわ)めがたく、その(みち)(はか)りがたい。
34「だれが、(しゅ)(こころ)()っていたか。
だれが、(しゅ)計画(けいかく)にあずかったか。
35また、だれが、まず(しゅ)(あた)えて、
その(むく)いを()けるであろうか」。
36万物(ばんぶつ)は、(かみ)からいで、(かみ)によって()り、(かみ)()するのである。栄光(えいこう)がとこしえに(かみ)にあるように、アァメン。

第十二章

1兄弟(きょうだい)たちよ。そういうわけで、(かみ)のあわれみによってあなたがたに(すす)める。あなたがたのからだを、(かみ)(よろこ)ばれる、()きた、(せい)なる(そな)(もの)としてささげなさい。それが、あなたがたのなすべき霊的(れいてき)礼拝(れいはい)である。 2あなたがたは、この()妥協(だきょう)してはならない。むしろ、(こころ)(あら)たにすることによって、(つく)りかえられ、(なに)(かみ)御旨(みむね)であるか、(なに)(ぜん)であって、(かみ)(よろこ)ばれ、かつ(まった)きことであるかを、わきまえ()るべきである。
3わたしは、自分(じぶん)(あた)えられた(めぐ)みによって、あなたがたひとりびとりに()う。(おも)うべき限度(げんど)()えて(おも)いあがることなく、むしろ、(かみ)各自(かくじ)()(あた)えられた信仰(しんこう)(はか)りにしたがって、(つつし)(ふか)(おも)うべきである。 4なぜなら、一つのからだにたくさんの肢体(したい)があるが、それらの肢体(したい)がみな(おな)(はたら)きをしてはいないように、 5わたしたちも(かず)(おお)いが、キリストにあって一つのからだであり、また各自(かくじ)(たがい)肢体(したい)だからである。 6このように、わたしたちは(あた)えられた(めぐ)みによって、それぞれ(こと)なった賜物(たまもの)()っているので、もし、それが預言(よげん)であれば、信仰(しんこう)程度(ていど)(おう)じて預言(よげん)をし、 7奉仕(ほうし)であれば奉仕(ほうし)をし、また(おし)える(もの)であれば(おし)え、 8(すす)めをする(もの)であれば(すす)め、寄附(きふ)する(もの)()しみなく寄附(きふ)し、指導(しどう)する(もの)熱心(ねっしん)指導(しどう)し、慈善(じぜん)をする(もの)(こころよ)慈善(じぜん)をすべきである。 9(あい)には(いつわ)りがあってはならない。(あく)(にく)退(しりぞ)け、(ぜん)には(した)しみ(むす)び、 10兄弟(きょうだい)(あい)をもって(たがい)にいつくしみ、(すす)んで(たがい)尊敬(そんけい)()いなさい。 11熱心(ねっしん)で、うむことなく、(れい)()え、(しゅ)(つか)え、 12(のぞ)みをいだいて(よろこ)び、患難(かんなん)()え、(つね)(いの)りなさい。 13(まず)しい聖徒(せいと)(たす)け、(つと)めて旅人(たびびと)をもてなしなさい。 14あなたがたを迫害(はくがい)する(もの)祝福(しゅくふく)しなさい。祝福(しゅくふく)して、のろってはならない。 15(よろこ)(もの)(とも)(よろこ)び、()(もの)(とも)()きなさい。 16(たがい)(おも)うことをひとつにし、(たか)ぶった(おも)いをいだかず、かえって(ひく)(もの)たちと(まじ)わるがよい。自分(じぶん)知者(ちしゃ)だと(おも)いあがってはならない。 17だれに(たい)しても(あく)をもって(あく)(むく)いず、すべての(ひと)(たい)して(ぜん)(はか)りなさい。 18あなたがたは、できる(かぎ)りすべての(ひと)平和(へいわ)()ごしなさい。 19(あい)する(もの)たちよ。自分(じぶん)復讐(ふくしゅう)をしないで、むしろ、(かみ)(いか)りに(まか)せなさい。なぜなら、「(しゅ)()われる。復讐(ふくしゅう)はわたしのすることである。わたし自身(じしん)報復(ほうふく)する」と()いてあるからである。 20むしろ、「もしあなたの(てき)()えるなら、(かれ)()わせ、かわくなら、(かれ)()ませなさい。そうすることによって、あなたは(かれ)(あたま)()えさかる炭火(すみび)()むことになるのである」。 21(あく)()けてはいけない。かえって、(ぜん)をもって(あく)()ちなさい。

第十三章

1すべての(ひと)は、(うえ)()権威(けんい)(したが)うべきである。なぜなら、(かみ)によらない権威(けんい)はなく、おおよそ存在(そんざい)している権威(けんい)は、すべて(かみ)によって()てられたものだからである。 2したがって、権威(けんい)(さか)らう(もの)は、(かみ)(さだ)めにそむく(もの)である。そむく(もの)は、自分(じぶん)()にさばきを(まね)くことになる。 3いったい、支配者(しはいしゃ)たちは、善事(ぜんじ)をする(もの)には恐怖(きょうふ)でなく、悪事(あくじ)をする(もの)にこそ恐怖(きょうふ)である。あなたは権威(けんい)(おそ)れないことを(ねが)うのか。それでは、善事(ぜんじ)をするがよい。そうすれば、(かれ)からほめられるであろう。 4(かれ)は、あなたに(えき)(あた)えるための(かみ)(しもべ)なのである。しかし、もしあなたが悪事(あくじ)をすれば、(おそ)れなければならない。(かれ)はいたずらに(けん)()びているのではない。(かれ)(かみ)(しもべ)であって、悪事(あくじ)(おこな)(もの)(たい)しては、(いか)りをもって(むく)いるからである。 5だから、ただ(いか)りをのがれるためだけではなく、良心(りょうしん)のためにも(したが)うべきである。 6あなたがたが(みつぎ)(おさ)めるのも、また(おな)理由(りゆう)からである。(かれ)らは(かみ)(つか)える(もの)として、もっぱらこの(つとめ)(たずさ)わっているのである。 7あなたがたは、(かれ)らすべてに(たい)して、義務(ぎむ)(はた)しなさい。すなわち、(みつぎ)(おさめ)むべき(もの)には(みつぎ)(おさ)め、(ぜい)(おさめ)むべき(もの)には(ぜい)(おさ)め、(おそ)るべき(もの)(おそ)れ、(うやま)うべき(もの)(うやま)いなさい。
8(たがい)(あい)()うことの(そと)は、何人(なにびと)にも()りがあってはならない。(ひと)(あい)する(もの)は、律法(りっぽう)(まっと)うするのである。 9姦淫(かんいん)するな、(ころ)すな、(ぬす)むな、むさぼるな」など、そのほかに、どんな(いまし)めがあっても、結局(けっきょく)自分(じぶん)(あい)するようにあなたの(とな)(ひと)(あい)せよ」というこの言葉(ことば)()する。 10(あい)(とな)(ひと)(がい)(くわ)えることはない。だから、(あい)律法(りっぽう)完成(かんせい)するものである。
11なお、あなたがたは(とき)()っているのだから、(とく)に、この(こと)(はげ)まねばならない。すなわち、あなたがたの(ねむ)りからさめるべき(とき)が、すでにきている。なぜなら(いま)は、わたしたちの(すくい)が、(はじ)(しん)じた(とき)よりも、もっと(ちか)づいているからである。 12()はふけ、()(ちか)づいている。それだから、わたしたちは、やみのわざを()てて、(ひかり)武具(ぶぐ)()けようではないか。 13そして、宴楽(えんらく)泥酔(でいすい)淫乱(いんらん)好色(こうしょく)(あらそ)いとねたみを()てて、(ひる)(ある)くように、つつましく(ある)こうではないか。 14あなたがたは、(しゅ)イエス・キリストを()なさい。(にく)(よく)()たすことに(こころ)()けてはならない。

第十四章

1信仰(しんこう)(よわ)(もの)()けいれなさい。ただ、意見(いけん)批評(ひひょう)するためであってはならない。 2ある(ひと)は、(なに)()べてもさしつかえないと(しん)じているが、(よわ)(ひと)野菜(やさい)だけを()べる。 3()べる(もの)()べない(もの)(かろ)んじてはならず、()べない(もの)()べる(もの)をさばいてはならない。(かみ)(かれ)()けいれて(くだ)さったのであるから。 4他人(たにん)(しもべ)をさばくあなたは、いったい、何者(なにもの)であるか。(かれ)()つのも(たお)れるのも、その主人(しゅじん)によるのである。しかし、(かれ)()つようになる。(しゅ)(かれ)()たせることができるからである。 5また、ある(ひと)は、この()がかの()よりも大事(だいじ)であると(かんが)え、ほかの(ひと)はどの()(おな)じだと(かんが)える。各自(かくじ)はそれぞれ(こころ)(なか)で、確信(かくしん)()っておるべきである。 6()(おも)んじる(もの)は、(しゅ)のために(おも)んじる。また()べる(もの)(しゅ)のために()べる。(かみ)感謝(かんしゃ)して()べるからである。()べない(もの)(しゅ)のために()べない。そして、(かみ)感謝(かんしゃ)する。 7すなわち、わたしたちのうち、だれひとり自分(じぶん)のために()きる(もの)はなく、だれひとり自分(じぶん)のために()(もの)はない。 8わたしたちは、()きるのも(しゅ)のために()き、()ぬのも(しゅ)のために()ぬ。だから、()きるにしても()ぬにしても、わたしたちは(しゅ)のものなのである。 9なぜなら、キリストは、死者(ししゃ)生者(せいしゃ)との(しゅ)となるために、()んで()(かえ)られたからである。 10それだのに、あなたは、なぜ兄弟(きょうだい)をさばくのか。あなたは、なぜ兄弟(きょうだい)(かろ)んじるのか。わたしたちはみな、(かみ)のさばきの()(まえ)()つのである。 11すなわち、
(しゅ)()われる。わたしは()きている。
すべてのひざは、わたしに(たい)してかがみ、
すべての(した)は、(かみ)にさんびをささげるであろう」
()いてある。 12だから、わたしたちひとりびとりは、(かみ)(たい)して自分(じぶん)()いひらきをすべきである。
13それゆえ、今後(こんご)わたしたちは、(たがい)にさばき()うことをやめよう。むしろ、あなたがたは、(さまた)げとなる(もの)や、つまずきとなる(もの)兄弟(きょうだい)(まえ)()かないことに、()めるがよい。 14わたしは、(しゅ)イエスにあって()りかつ確信(かくしん)している。それ自体(じたい)(けが)れているものは一つもない。ただ、それが(けが)れていると(かんが)える(ひと)にだけ、(けが)れているのである。 15もし食物(しょくもつ)のゆえに兄弟(きょうだい)(くる)しめるなら、あなたは、もはや(あい)によって(ある)いているのではない。あなたの食物(しょくもつ)によって、兄弟(きょうだい)(ほろ)ぼしてはならない。キリストは(かれ)のためにも、()なれたのである。 16それだから、あなたがたにとって()(こと)が、そしりの(たね)にならぬようにしなさい。 17(かみ)(くに)飲食(いんしょく)ではなく、()と、平和(へいわ)と、聖霊(せいれい)における(よろこ)びとである。 18こうしてキリストに(つか)える(もの)は、(かみ)(よろこ)ばれ、かつ、(ひと)にも()けいれられるのである。 19こういうわけで、平和(へいわ)役立(やくだ)つことや、(たがい)(とく)(たか)めることを、()(もと)めようではないか。 20食物(しょくもつ)のことで、(かみ)のみわざを破壊(はかい)してはならない。すべての(もの)はきよい。ただ、それを()べて(ひと)をつまずかせる(もの)には、(あく)となる。 21(にく)()わず、(さけ)()まず、そのほか兄弟(きょうだい)をつまずかせないのは、()いことである。 22あなたの()っている信仰(しんこう)を、(かみ)のみまえに、自分(じぶん)自身(じしん)()っていなさい。(みずか)()いと(さだ)めたことについて、やましいと(おも)わない(ひと)は、さいわいである。 23しかし、(うたが)いながら()べる(もの)は、信仰(しんこう)によらないから、(つみ)(さだ)められる。すべて信仰(しんこう)によらないことは、(つみ)である。

第十五章

1わたしたち(つよ)(もの)は、(つよ)くない(もの)たちの(よわ)さをになうべきであって、自分(じぶん)だけを(よろこ)ばせることをしてはならない。 2わたしたちひとりびとりは、(とな)(ひと)(とく)(たか)めるために、その(えき)(はか)って(かれ)らを(よろこ)ばすべきである。 3キリストさえ、ご自身(じしん)(よろこ)ばせることはなさらなかった。むしろ「あなたをそしる(もの)のそしりが、わたしに()りかかった」と()いてあるとおりであった。 4これまでに()かれた(こと)がらは、すべてわたしたちの(おしえ)のために()かれたのであって、それは聖書(せいしょ)(あた)える忍耐(にんたい)(なぐさ)めとによって、(のぞ)みをいだかせるためである。 5どうか、忍耐(にんたい)(なぐさ)めとの(かみ)が、あなたがたに、キリスト・イエスにならって(たがい)(おな)(おも)いをいだかせ、 6こうして、(こころ)(ひと)つにし、(こえ)()わせて、わたしたちの(しゅ)イエス・キリストの(ちち)なる(かみ)をあがめさせて(くだ)さるように。
7こういうわけで、キリストもわたしたちを()けいれて(くだ)さったように、あなたがたも(たがい)()けいれて、(かみ)栄光(えいこう)をあらわすべきである。 8わたしは()う、キリストは(かみ)真実(しんじつ)(あき)らかにするために、割礼(かつれい)のある(もの)(しもべ)となられた。それは父祖(ふそ)たちの()けた約束(やくそく)保証(ほしょう)すると(とも)に、 9異邦人(いほうじん)もあわれみを()けて(かみ)をあがめるようになるためである、
「それゆえ、わたしは、異邦人(いほうじん)(なか)
あなたにさんびをささげ、
また、御名(みな)をほめ(うた)う」
()いてあるとおりである。
10また、こう()っている、
異邦人(いほうじん)よ、(しゅ)(たみ)(とも)(よろこ)べ」。
11また、
「すべての異邦人(いほうじん)よ、(しゅ)をほめまつれ。
もろもろの(たみ)よ、(しゅ)をほめたたえよ」。
12またイザヤは()っている、
「エッサイの()から()()て、
異邦人(いほうじん)(おさ)めるために()()がる(もの)()る。
異邦人(いほうじん)(かれ)(のぞ)みをおくであろう」。
13どうか、(のぞ)みの(かみ)が、信仰(しんこう)から()るあらゆる(よろこ)びと平安(へいあん)とを、あなたがたに()たし、聖霊(せいれい)(ちから)によって、あなたがたを、(のぞ)みにあふれさせて(くだ)さるように。
14さて、わたしの兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがた自身(じしん)が、善意(ぜんい)にあふれ、あらゆる知恵(ちえ)()たされ、そして(たがい)訓戒(くんかい)()(ちから)のあることを、わたしは(かた)(しん)じている。 15しかし、わたしはあなたがたの記憶(きおく)(あら)たにするために、ところどころ、かなり(おも)いきって()いた。それは、(かみ)からわたしに(たま)わった(めぐ)みによって、()いたのである。 16このように(めぐ)みを()けたのは、わたしが異邦人(いほうじん)のためにキリスト・イエスに(つか)える(もの)となり、(かみ)福音(ふくいん)のために祭司(さいし)(やく)(つと)め、こうして異邦人(いほうじん)を、聖霊(せいれい)によってきよめられた、御旨(みむね)にかなうささげ(もの)とするためである。 17だから、わたしは(かみ)への奉仕(ほうし)については、キリスト・イエスにあって(ほこ)りうるのである。 18わたしは、異邦人(いほうじん)従順(じゅうじゅん)にするために、キリストがわたしを(もち)いて、言葉(ことば)とわざ、 19しるしと不思議(ふしぎ)との(ちから)聖霊(せいれい)(ちから)によって、(はたら)かせて(くだ)さったことの(ほか)には、あえて(なに)(かた)ろうとは(おも)わない。こうして、わたしはエルサレムから(はじ)まり、(めぐ)りめぐってイルリコに(いた)るまで、キリストの福音(ふくいん)()たしてきた。 20その(さい)、わたしの(せつ)(のぞ)んだところは、他人(たにん)土台(どだい)(うえ)()てることをしないで、キリストの御名(みな)がまだ(とな)えられていない(ところ)福音(ふくいん)()(つた)えることであった。 21すなわち、
(かれ)のことを()(つた)えられていなかった人々(ひとびと)()
()いていなかった人々(ひとびと)(さと)るであろう」
()いてあるとおりである。
22こういうわけで、わたしはあなたがたの(ところ)()くことを、たびたび(さまた)げられてきた。 23しかし(いま)では、この地方(ちほう)にはもはや(はたら)余地(よち)がなく、かつイスパニヤに(おもむ)場合(ばあい)、あなたがたの(ところ)()くことを、多年(たねん)熱望(ねつぼう)していたので、—— 24その途中(とちゅう)あなたがたに()い、まず幾分(いくぶん)でもわたしの(ねが)いがあなたがたによって()たされたら、あなたがたに(おく)られてそこへ()くことを、(のぞ)んでいるのである。 25しかし(いま)場合(ばあい)聖徒(せいと)たちに(つか)えるために、わたしはエルサレムに()こうとしている。 26なぜなら、マケドニヤとアカヤとの人々(ひとびと)は、エルサレムにおる聖徒(せいと)(なか)(まず)しい人々(ひとびと)援助(えんじょ)することに賛成(さんせい)したからである。 27たしかに、(かれ)らは賛成(さんせい)した。しかし同時(どうじ)に、(かれ)らはかの人々(ひとびと)負債(ふさい)がある。というのは、もし異邦人(いほうじん)(かれ)らの(れい)(もの)にあずかったとすれば、(にく)(もの)をもって(かれ)らに(つか)えるのは、当然(とうぜん)だからである。 28そこでわたしは、この仕事(しごと)()ませて(かれ)らにこの()手渡(てわた)した(のち)、あなたがたの(ところ)をとおって、イスパニヤに()こうと(おも)う。 29そしてあなたがたの(ところ)()(とき)には、キリストの()ちあふれる祝福(しゅくふく)をもって()くことと、(しん)じている。
30兄弟(きょうだい)たちよ。わたしたちの(しゅ)イエス・キリストにより、かつ御霊(みたま)(あい)によって、あなたがたにお(ねが)いする。どうか、(とも)(ちから)をつくして、わたしのために(かみ)(いの)ってほしい。 31すなわち、わたしがユダヤにおる不信(ふしん)()から(すく)われ、そしてエルサレムに(たい)するわたしの奉仕(ほうし)聖徒(せいと)たちに()けいれられるものとなるように、 32また、(かみ)御旨(みむね)により、(よろこ)びをもってあなたがたの(ところ)()き、(とも)になぐさめ()うことができるように(いの)ってもらいたい。 33どうか、平和(へいわ)(かみ)があなたがた一同(いちどう)(とも)にいますように、アァメン。

第十六章

1ケンクレヤにある教会(きょうかい)執事(しつじ)、わたしたちの姉妹(しまい)フィベを、あなたがたに紹介(しょうかい)する。 2どうか、聖徒(せいと)たるにふさわしく、(しゅ)にあって彼女(かのじょ)(むか)え、そして、彼女(かのじょ)があなたがたにしてもらいたいことがあれば、何事(なにごと)でも、(たす)けてあげてほしい。彼女(かのじょ)(おお)くの(ひと)援助者(えんじょしゃ)であり、またわたし自身(じしん)援助者(えんじょしゃ)でもあった。
3キリスト・イエスにあるわたしの同労者(どうろうしゃ)プリスカとアクラとに、よろしく()ってほしい。 4(かれ)らは、わたしのいのちを(すく)うために、自分(じぶん)(くび)をさえ()()してくれたのである。(かれ)らに(たい)しては、わたしだけではなく、異邦人(いほうじん)のすべての教会(きょうかい)も、感謝(かんしゃ)している。 5また、(かれ)らの(いえ)教会(きょうかい)にも、よろしく。わたしの(あい)するエパネトに、よろしく()ってほしい。(かれ)は、キリストにささげられたアジヤの初穂(はつほ)である。 6あなたがたのために一方(ひとかた)ならず労苦(ろうく)したマリヤに、よろしく()ってほしい。 7わたしの同族(どうぞく)であって、わたしと一緒(いっしょ)投獄(とうごく)されたことのあるアンデロニコとユニアスとに、よろしく。(かれ)らは使徒(しと)たちの(あいだ)評判(ひょうばん)がよく、かつ、わたしよりも(さき)にキリストを(しん)じた人々(ひとびと)である。 8(しゅ)にあって(あい)するアムプリアトに、よろしく。 9キリストにあるわたしたちの同労者(どうろうしゃ)ウルバノと、(あい)するスタキスとに、よろしく。 10キリストにあって錬達(れんたつ)なアペレに、よろしく。アリストブロの(いえ)(ひと)たちに、よろしく。 11同族(どうぞく)のヘロデオンに、よろしく。ナルキソの(いえ)の、(しゅ)にある(ひと)たちに、よろしく。 12(しゅ)にあって労苦(ろうく)しているツルパナとツルポサとに、よろしく。(しゅ)にあって一方(ひとかた)ならず労苦(ろうく)した(あい)するペルシスに、よろしく。 13(しゅ)にあって(えら)ばれたルポスと、(かれ)(はは)とに、よろしく。(かれ)(はは)は、わたしの(はは)でもある。 14アスンクリト、フレゴン、ヘルメス、パトロバ、ヘルマスおよび(かれ)らと一緒(いっしょ)にいる兄弟(きょうだい)たちに、よろしく。 15ピロロゴとユリヤとに、またネレオとその姉妹(しまい)とに、オルンパに、また(かれ)らと一緒(いっしょ)にいるすべての聖徒(せいと)たちに、よろしく()ってほしい。 16きよい接吻(せっぷん)をもって、(たがい)にあいさつをかわしなさい。キリストのすべての教会(きょうかい)から、あなたがたによろしく。
17さて兄弟(きょうだい)たちよ。あなたがたに勧告(かんこく)する。あなたがたが(まな)んだ(おしえ)にそむいて分裂(ぶんれつ)()(おこ)し、つまずきを(あた)える人々(ひとびと)警戒(けいかい)し、かつ(かれ)らから(とお)ざかるがよい。 18なぜなら、こうした人々(ひとびと)は、わたしたちの(しゅ)キリストに(つか)えないで、自分(じぶん)(はら)(つか)え、そして甘言(かんげん)美辞(びじ)とをもって、純朴(じゅんぼく)人々(ひとびと)(こころ)(あざむ)(もの)どもだからである。 19あなたがたの従順(じゅうじゅん)は、すべての人々(ひとびと)(みみ)(たっ)しており、それをあなたがたのために(よろこ)んでいる。しかし、わたしの(ねが)うところは、あなたがたが(ぜん)にさとく、(あく)には、うとくあってほしいことである。 20平和(へいわ)(かみ)は、サタンをすみやかにあなたがたの(あし)(した)()(くだ)くであろう。
どうか、わたしたちの(しゅ)イエスの(めぐ)みが、あなたがたと(とも)にあるように。
21わたしの同労者(どうろうしゃ)テモテおよび同族(どうぞく)のルキオ、ヤソン、ソシパテロから、あなたがたによろしく。 22(この手紙(てがみ)筆記(ひっき)したわたしテルテオも、(しゅ)にあってあなたがたにあいさつの言葉(ことば)をおくる。) 23わたしと(ぜん)教会(きょうかい)との家主(やぬし)ガイオから、あなたがたによろしく。()会計(かいけい)(がかり)エラストと兄弟(きょうだい)クワルトから、あなたがたによろしく。
24わたしたちの(しゅ)イエス・キリストの(めぐ)みが、あなたがた一同(いちどう)(とも)にあるように、アァメン。〕
25 16:26(ねが)わくは、わたしの福音(ふくいん)とイエス・キリストの宣教(せんきょう)とにより、かつ、(なが)世々(よよ)にわたって、(かく)されていたが、(いま)やあらわされ、預言(よげん)(しょ)をとおして、永遠(えいえん)(かみ)命令(めいれい)(したが)い、信仰(しんこう)従順(じゅうじゅん)(いた)らせるために、もろもろの(くに)(ひと)()()らされた奥義(おくぎ)啓示(けいじ)によって、あなたがたを(ちから)づけることのできるかた、 27すなわち、唯一(ゆいいつ)知恵(ちえ)(ふか)(かみ)に、イエス・キリストにより、栄光(えいこう)永遠(えいえん)より永遠(えいえん)にあるように、アァメン。