士師記

第一章

1ヨシュアが()んだ(のち)、イスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)()うて()った、「わたしたちのうち、だれが(さき)()(のぼ)って、カナンびとと(たたか)いましょうか」。 2(しゅ)()われた、「ユダが(のぼ)るべきである。わたしはこの(くに)(かれ)()にわたした」。 3ユダはその兄弟(きょうだい)シメオンに()った、「わたしと一緒(いっしょ)に、わたしに()()てられた領地(りょうち)(のぼ)って()って、カナンびとと(たたか)ってください。そうすればわたしもあなたと一緒(いっしょ)に、あなたに()()てられた領地(りょうち)()きましょう」。そこでシメオンは(かれ)一緒(いっしょ)()った。 4ユダが(のぼ)って()くと、(しゅ)(かれ)らの()にカナンびととペリジびととをわたされたので、(かれ)らはベゼクで一万(にん)()(やぶ)り、 5またベゼクでアドニベゼクに()い、(かれ)(たたか)ってカナンびととペリジびととを()(やぶ)った。 6アドニベゼクは()げたが、(かれ)らはそのあとを()って(かれ)(とら)え、その手足(てあし)親指(おやゆび)()(はな)った。 7アドニベゼクは()った、「かつて七十(にん)(おう)たちが手足(てあし)親指(おやゆび)()られて、わたしの食卓(しょくたく)(した)で、くずを(ひろ)ったことがあったが、(かみ)はわたしがしたように、わたしに(むく)いられたのだ」。人々(ひとびと)(かれ)をエルサレムへ()れて()ったが、(かれ)はそこで()んだ。
8ユダの人々(ひとびと)はエルサレムを()めて、これを()り、つるぎをもってこれを()ち、(まち)()(はな)った。 9その(のち)、ユダの人々(ひとびと)山地(さんち)とネゲブと平地(へいち)()んでいるカナンびとと(たたか)うために(くだ)ったが、 10ユダはまずヘブロンに()んでいるカナンびとを()めて、セシャイとアヒマンとタルマイを()(やぶ)った。ヘブロンのもとの()はキリアテ・アルバであった。
11またそこから(すす)んでデビルの住民(じゅうみん)()めた。(デビルのもとの()はキリアテ・セペルであった。) 12(とき)にカレブは()った、「キリアテ・セペルを()って、これを()(もの)には、わたしの(むすめ)アクサを(つま)として(あた)えるであろう」。 13カレブの(おとうと)ケナズの()オテニエルがそれを()ったので、カレブは(むすめ)アクサを(つま)として(かれ)(あた)えた。 14アクサは()くとき彼女(かのじょ)(ちち)(はたけ)(もと)めることを(おっと)にすすめられたので、アクサがろばから()りると、カレブは彼女(かのじょ)()った、「あなたは(なに)(のぞ)むのか」。 15アクサは(かれ)()った、「わたしに(おく)(もの)をください。あなたはわたしをネゲブの()へやられるのですから、(いずみ)をもください」。それでカレブは(うえ)(いずみ)(した)(いずみ)とを彼女(かのじょ)(あた)えた。
16モーセのしゅうとであるケニびとの子孫(しそん)はユダの人々(ひとびと)(とも)に、しゅろの(まち)からアラドに(ちか)いネゲブにあるユダの()(のぼ)ってきて、アマレクびとと(とも)()んだ。 17そしてユダはその兄弟(きょうだい)シメオンと(とも)()って、ゼパテに()んでいたカナンびとを()ち、それをことごとく(ほろ)ぼした。これによってその(まち)()はホルマと()ばれた。 18ユダはまたガザとその地域(ちいき)、アシケロンとその地域(ちいき)、エクロンとその地域(ちいき)()った。 19(しゅ)がユダと(とも)におられたので、ユダはついに山地(さんち)()()れたが、平地(へいち)()んでいた(たみ)(てつ)戦車(せんしゃ)をもっていたので、これを()()すことができなかった。 20人々(ひとびと)はモーセがかつて()ったように、ヘブロンをカレブに(あた)えたので、カレブはその(ところ)からアナクの三(にん)()()()した。 21ベニヤミンの人々(ひとびと)はエルサレムに()んでいたエブスびとを()()さなかったので、エブスびとは今日(こんにち)までベニヤミンの人々(ひとびと)(とも)にエルサレムに()んでいる。
22ヨセフの一族(いちぞく)はまたベテルに()(のぼ)ったが、(しゅ)(かれ)らと(とも)におられた。 23すなわちヨセフの一族(いちぞく)(ひと)をやってベテルを(さぐ)らせた。この(まち)のもとの()はルズであった。 24その斥候(せっこう)たちは(まち)から()てきた(ひと)()て、()った、「どうぞこの(まち)にはいる(みち)(おし)えてください。そうすればわたしたちはあなたに(めぐ)みを(ほどこ)しましょう」。 25(かれ)(まち)にはいる(みち)(おし)えたので、(かれ)らはつるぎをもって(まち)()った。しかし、かの(ひと)とその家族(かぞく)自由(じゆう)()らせた。 26その(ひと)はヘテびとの()()って(まち)()て、それをルズと()づけた。これは今日(こんにち)までその()である。
27マナセはベテシャンとその村里(むらざと)住民(じゅうみん)、タアナクとその村里(むらざと)住民(じゅうみん)、ドルとその村里(むらざと)住民(じゅうみん)、イブレアムとその村里(むらざと)住民(じゅうみん)、メギドとその村里(むらざと)住民(じゅうみん)()()さなかったので、カナンびとは()(つづ)いてその()()んでいたが、 28イスラエルは(つよ)くなったとき、カナンびとを強制(きょうせい)労働(ろうどう)(ふく)させ、(かれ)らをことごとくは()()さなかった。
29またエフライムはゲゼルに()んでいたカナンびとを()()さなかったので、カナンびとはゲゼルにおいて(かれ)らのうちに()んでいた。
30ゼブルンはキテロンの住民(じゅうみん)およびナハラルの住民(じゅうみん)()()さなかったので、カナンびとは(かれ)らのうちに()んで強制(きょうせい)労働(ろうどう)(ふく)した。
31アセルはアッコの住民(じゅうみん)およびシドン、アヘラブ、アクジブ、ヘルバ、アピク、レホブの住民(じゅうみん)()()さなかったので、 32アセルびとは、その()住民(じゅうみん)であるカナンびとのうちに()んでいた。(かれ)らが()()さなかったからである。
33ナフタリはベテシメシの住民(じゅうみん)およびベテアナテの住民(じゅうみん)()()さずに、その()住民(じゅうみん)であるカナンびとのうちに()んでいた。しかしベテシメシとベテアナテの住民(じゅうみん)は、ついに(かれ)らの強制(きょうせい)労働(ろうどう)(ふく)した。
34アモリびとはダンの人々(ひとびと)山地(さんち)()()んで平地(へいち)(くだ)ることを(ゆる)さなかった。 35アモリびとは()(つづ)いてハルヘレス、アヤロン、シャラビムに()んでいたが、ヨセフの一族(いちぞく)()(つよ)くなったので、(かれ)らは強制(きょうせい)労働(ろうどう)(ふく)した。 36アモリびとの(さかい)はアクラビムの(さか)からセラを()(うえ)(ほう)(およ)んだ。

第二章

1(しゅ)使(つかい)がギルガルからボキムに(のぼ)って()った、「わたしはあなたがたをエジプトから(のぼ)らせて、あなたがたの先祖(せんぞ)(ちか)った()()れてきて、()った、『わたしはあなたと(むす)んだ契約(けいやく)(けっ)して(やぶ)ることはない。 2あなたがたはこの(くに)住民(じゅうみん)契約(けいやく)(むす)んではならない。(かれ)らの祭壇(さいだん)をこぼたなければならない』と。しかし、あなたがたはわたしの命令(めいれい)(したが)わなかった。あなたがたは、なんということをしたのか。 3それでわたしは()う、『わたしはあなたがたの(まえ)から(かれ)らを()(はら)わないであろう。(かれ)らはかえってあなたがたの(てき)となり、(かれ)らの神々(かみがみ)はあなたがたのわなとなるであろう』と」。 4(しゅ)使(つかい)がこれらの言葉(ことば)をイスラエルのすべての人々(ひとびと)()げたので、(たみ)(こえ)をあげて()いた。 5それでその(ところ)()をボキムと()んだ。そして(かれ)らはその(ところ)(しゅ)犠牲(ぎせい)をささげた。
6ヨシュアが(たみ)()らせたので、イスラエルの人々(ひとびと)はおのおのその領地(りょうち)()って土地(とち)()た。 7(たみ)はヨシュアの在世中(ざいせいちゅう)も、またヨシュアのあとに()(のこ)った長老(ちょうろう)たち、すなわち(しゅ)がかつてイスラエルのために(おこな)われたすべての(おお)いなるわざを()人々(ひとびと)在世中(ざいせいちゅう)(しゅ)(つか)えた。 8こうして(しゅ)のしもべヌンの()ヨシュアは百十(さい)()んだ。 9人々(ひとびと)(かれ)をエフライムの山地(さんち)のガアシ(やま)(きた)のテムナテ・ヘレスにある(かれ)領地(りょうち)(うち)(ほうむ)った。 10そしてその時代(じだい)(もの)もまたことごとくその先祖(せんぞ)たちのもとにあつめられた。その(のち)ほかの時代(じだい)()ったが、これは(しゅ)()らず、また(しゅ)がイスラエルのために(おこな)われたわざをも()らなかった。
11イスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)(まえ)(あく)(おこな)い、もろもろのバアルに(つか)え、 12かつてエジプトの()から(かれ)らを(みちび)()された先祖(せんぞ)たちの(かみ)(しゅ)()てて、ほかの神々(かみがみ)すなわち周囲(しゅうい)にある国民(こくみん)神々(かみがみ)(したが)い、それにひざまずいて、(しゅ)(いか)りをひき(おこ)した。 13すなわち(かれ)らは(しゅ)()てて、バアルとアシタロテに(つか)えたので、 14(しゅ)(いか)りがイスラエルに(たい)して()え、かすめ(うば)(もの)()にわたして、かすめ(うば)わせ、かつ周囲(しゅうい)のもろもろの(てき)()()られたので、(かれ)らは(ふたた)びその(てき)()()かうことができなかった。 15(かれ)らがどこへ()っても、(しゅ)()(かれ)らに(わざわい)をした。これは(しゅ)がかつて()われ、また(しゅ)(かれ)らに(ちか)われたとおりで、(かれ)らはひどく(なや)んだ。
16その(とき)(しゅ)はさばきづかさを(おこ)して、(かれ)らをかすめ(うば)(もの)()から(すく)()された。 17しかし(かれ)らはそのさばきづかさにも(したが)わず、かえってほかの神々(かみがみ)(した)ってそれと姦淫(かんいん)(おこな)い、それにひざまずき、先祖(せんぞ)たちが(しゅ)命令(めいれい)(したが)って(あゆ)んだ(みち)を、いちはやく(はな)()って、そのようには(おこな)わなかった。 18(しゅ)(かれ)らのためにさばきづかさを(おこ)されたとき、そのさばきづかさの在世中(ざいせいちゅう)(しゅ)はさばきづかさと(とも)におられて、(かれ)らを(てき)()から(すく)()された。これは(かれ)らが自分(じぶん)をしえたげ(なや)ました(もの)のゆえに、うめき(かな)しんだので、(しゅ)(かれ)らをあわれまれたからである。 19しかしさばきづかさが()ぬと、(かれ)らはそむいて、先祖(せんぞ)たちにまさって(あく)(おこな)い、ほかの神々(かみがみ)(したが)ってそれに(つか)え、それにひざまずいてそのおこないをやめず、かたくなな(みち)(はな)れなかった。 20それで(しゅ)はイスラエルに(たい)(はげ)しく(いか)って()われた、「この(たみ)はわたしがかつて先祖(せんぞ)たちに(めい)じた契約(けいやく)(おか)し、わたしの命令(めいれい)(したが)わないゆえ、 21わたしもまたヨシュアが()んだときに(のこ)しておいた国民(こくみん)を、この(のち)(かれ)らの(まえ)から()(はら)わないであろう。 22これはイスラエルが、先祖(せんぞ)たちの(まも)ったように(しゅ)(みち)(まも)ってそれに(あゆ)むかどうかをわたしが(こころ)みるためである」。 23それゆえ(しゅ)はこれらの国民(こくみん)(いそ)いで()(はら)わずに(のこ)しておいて、ヨシュアの()にわたされなかったのである。

第三章

1すべてカナンのもろもろの戦争(せんそう)()らないイスラエルの人々(ひとびと)(こころ)みるために、(しゅ)(のこ)しておかれた国民(こくみん)(つぎ)のとおりである。 2これはただイスラエルの代々(よよ)子孫(しそん)(とく)にまだ戦争(せんそう)()らないものに、それを(おし)()らせるためである。 3すなわちペリシテびとの五(にん)(きみ)たちと、すべてのカナンびとと、シドンびとおよびレバノン(やま)()んで、バアル・ヘルモン(やま)からハマテの入口(いりぐち)までを()めていたヒビびとなどであって、 4これらをもってイスラエルを(こころ)み、(しゅ)がモーセによって先祖(せんぞ)たちに(めい)じられた命令(めいれい)に、(かれ)らが(したが)うかどうかを()ろうとされたのである。 5しかるにイスラエルの人々(ひとびと)はカナンびと、ヘテびと、アモリびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとのうちに()んで、 6(かれ)らの(むすめ)(つま)にめとり、また自分(じぶん)たちの(むすめ)(かれ)らのむすこに(あた)えて、(かれ)らの神々(かみがみ)(つか)えた。
7こうしてイスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)(まえ)(あく)(おこな)い、自分(じぶん)たちの(かみ)(しゅ)(わす)れて、バアルおよびアシラに(つか)えた。 8そこで(しゅ)はイスラエルに(たい)して(はげ)しく(いか)り、(かれ)らをメソポタミヤの(おう)クシャン・リシャタイムの()()りわたされたので、イスラエルの人々(ひとびと)は八(ねん)(あいだ)、クシャン・リシャタイムに(つか)えた。 9しかし、イスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)()ばわったとき、(しゅ)はイスラエルの人々(ひとびと)のために、ひとりの救助者(きゅうじょしゃ)(おこ)して(かれ)らを(すく)われた。すなわちカレブの(おとうと)、ケナズの()オテニエルである。 10(しゅ)(れい)がオテニエルに(のぞ)んだので、(かれ)はイスラエルをさばいた。(かれ)(たたか)いに()ると、(しゅ)はメソポタミヤの(おう)クシャン・リシャタイムをその()にわたされたので、オテニエルの()はクシャン・リシャタイムに()ち、 11(くに)は四十(ねん)のあいだ太平(たいへい)であった。ケナズの()オテニエルはついに()んだ。
12イスラエルの人々(ひとびと)はまた(しゅ)(まえ)(あく)をおこなった。すなわち(かれ)らが(しゅ)(まえ)(あく)をおこなったので、(しゅ)はモアブの(おう)エグロンを(つよ)めて、イスラエルに敵対(てきたい)させられた。 13エグロンはアンモンおよびアマレクの人々(ひとびと)(あつ)め、きてイスラエルを()ち、しゅろの(まち)占領(せんりょう)した。 14こうしてイスラエルの人々(ひとびと)は十八(ねん)(あいだ)モアブの(おう)エグロンに(つか)えた。
15しかしイスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)()ばわったとき、(しゅ)(かれ)らのために、ひとりの救助者(きゅうじょしゃ)(おこ)された。すなわちベニヤミンびと、ゲラの()(ひだり)ききのエホデである。イスラエルの人々(ひとびと)(かれ)によってモアブの(おう)エグロンに、みつぎ(もの)(おく)った。 16エホデは(なが)さ一キュビトのもろ()のつるぎを(つく)らせ、それを(ころも)(した)(みぎ)のももの(うえ)()びて、 17モアブの(おう)エグロンにみつぎ(もの)をもってきた。エグロンは非常(ひじょう)()えた(ひと)であった。 18エホデがみつぎ(もの)をささげ(おわ)ったとき、(かれ)はみつぎ(もの)をになってきた(たみ)(かえ)らせ、 19かれ自身(じしん)はギルガルに(ちか)石像(せきぞう)のある(ところ)から()きかえして()った、「(おう)よ、わたしはあなたに(もう)しあげる機密(きみつ)をもっています」。そこで(おう)は「さがっておれ」と()ったので、かたわらに()っている(もの)(みな)()()った。 20エホデが(おう)のところにはいって()ると、(おう)はひとりで(すず)みの高殿(たかどの)()していたので、エホデが「わたしは(かみ)(いのち)によってあなたに(もう)しあげることがあります」と()うと、(おう)()から()ちあがった。 21そのときエホデは(ひだり)()()ばし、(みぎ)のももからつるぎをとって(おう)(はら)()した。 22つるぎのつかも()(とも)にはいったが、つるぎを(はら)から()()さなかったので、脂肪(しぼう)()をふさいだ。そして汚物(おぶつ)()た。 23エホデは廊下(ろうか)()て、(おう)のおる高殿(たかどの)()()じ、(じょう)をおろした。
24(かれ)()(のち)(おう)のしもべどもがきて、高殿(たかどの)()(じょう)のおろされてあるのを()て、「(おう)はきっと(すず)殿(どの)のへやで(あし)をおおっておられるのだ」と(おも)った。 25しもべどもは(なが)いあいだ()っていたが、(おう)がなお高殿(たかどの)()(ひら)かないので、心配(しんぱい)してかぎをとって(ひら)いて()ると、(おう)(ゆか)にたおれて()んでいた。
26エホデは(かれ)らのためらうまに、のがれて石像(せきぞう)のある(ところ)()ぎ、セイラに()げていった。 27(かれ)()ってエフライムの山地(さんち)にラッパを()()らしたので、イスラエルの人々(ひとびと)(かれ)(とも)山地(さんち)から(くだ)ってエホデに(したが)った。 28エホデは(かれ)らに()った、「わたしについてきなさい。(しゅ)はあなたがたの(てき)モアブびとをあなたがたの()にわたされます」。そこで(かれ)らはエホデに(したが)って(くだ)り、ヨルダンの(わた)()をおさえ、モアブびとをひとりも(わた)らせなかった。 29そのとき(かれ)らはモアブびとおおよそ一万(にん)(ころ)した。これはいずれも()(ふと)った勇士(ゆうし)であって、ひとりも、のがれた(もの)がなかった。 30こうしてモアブはその()イスラエルの()(ふく)し、(くに)は八十(ねん)のあいだ太平(たいへい)であった。
31エホデの(のち)、アナテの()シャムガルが(おこ)り、(うし)のむちをもってペリシテびと六百(にん)(ころ)した。この(ひと)もまたイスラエルを(すく)った。

第四章

1エホデが()んだ(のち)、イスラエルの人々(ひとびと)がまた(しゅ)(まえ)(あく)をおこなったので、 2(しゅ)は、ハゾルで()(おさ)めていたカナンの(おう)ヤビンの()(かれ)らを()りわたされた。ヤビンの軍勢(ぐんぜい)(ちょう)はハロセテ・ゴイムに()んでいたシセラであった。 3(かれ)(てつ)戦車(せんしゃ)九百(りょう)をもち、二十(ねん)(あいだ)イスラエルの人々(ひとびと)(はげ)しくしえたげたので、イスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)()かって()ばわった。
4そのころラピドテの(つま)(おんな)預言者(よげんしゃ)デボラがイスラエルをさばいていた。 5彼女(かのじょ)はエフライムの山地(さんち)のラマとベテルの(あいだ)にあるデボラのしゅろの()(した)()し、イスラエルの人々(ひとびと)彼女(かのじょ)のもとに(のぼ)ってきて、さばきをうけた。 6デボラは(ひと)をつかわして、ナフタリのケデシからアビノアムの()バラクを(まね)いて()った、「イスラエルの(かみ)(しゅ)はあなたに、こう(めい)じられるではありませんか、『ナフタリの部族(ぶぞく)とゼブルンの部族(ぶぞく)から一万(にん)(ひき)い、()って、タボル(やま)(じん)をしけ。 7わたしはヤビンの軍勢(ぐんぜい)(ちょう)シセラとその戦車(せんしゃ)軍隊(ぐんたい)とをキション(かわ)()()せて、あなたに()あわせ、(かれ)をあなたの()にわたすであろう』」。 8バラクは彼女(かのじょ)()った、「あなたがもし一緒(いっしょ)()ってくだされば、わたしは()きます。しかし、一緒(いっしょ)()ってくださらないならば、()きません」。 9デボラは()った、「(かなら)ずあなたと一緒(いっしょ)()きます。しかしあなたは(いま)()(みち)では(ほまれ)()ないでしょう。(しゅ)はシセラを(おんな)()にわたされるからです」。デボラは()ってバラクと一緒(いっしょ)にケデシに()った。 10バラクはゼブルンとナフタリをケデシに()(あつ)め、一万(にん)(したが)えて(のぼ)った。デボラも(かれ)(とも)(のぼ)った。
11(とき)にケニびとヘベルはモーセのしゅうとホバブの子孫(しそん)であるケニびとから(わか)れて、ケデシに(ちか)いザアナイムのかしの()までも(とお)()って天幕(てんまく)()っていた。
12アビノアムの()バラクがタボル(やま)(のぼ)ったと、人々(ひとびと)がシセラに()げたので、 13シセラは自分(じぶん)戦車(せんしゃ)全部(ぜんぶ)すなわち(てつ)戦車(せんしゃ)九百(りょう)と、自分(じぶん)(とも)におるすべての(たみ)をハロセテ・ゴイムからキション(かわ)()(あつ)めた。 14デボラはバラクに()った、「さあ、()ちあがりなさい。きょうは(しゅ)がシセラをあなたの()にわたされる()です。(しゅ)はあなたに先立(さきだ)って()られるではありませんか」。そこでバラクは一万(にん)(したが)えてタボル(やま)から(くだ)った。 15(しゅ)はつるぎをもってシセラとすべての戦車(せんしゃ)および軍勢(ぐんぜい)をことごとくバラクの(まえ)()(やぶ)られたので、シセラは戦車(せんしゃ)から()びおり、徒歩(とほ)()()った。 16バラクは戦車(せんしゃ)軍勢(ぐんぜい)とを追撃(ついげき)してハロセテ・ゴイムまで()った。シセラの軍勢(ぐんぜい)はことごとくつるぎにたおれて、(のこ)ったものはひとりもなかった。
17しかしシセラは徒歩(とほ)()()って、ケニびとヘベルの(つま)ヤエルの天幕(てんまく)()った。ハゾルの(おう)ヤビンとケニびとヘベルの(いえ)とは(たがい)にむつまじかったからである。 18ヤエルは()てきてシセラを(むか)え、(かれ)()った、「おはいりください。(しゅ)よ、どうぞうちへおはいりください。(おそ)れるにはおよびません」。シセラが天幕(てんまく)にはいったので、ヤエルは毛布(もうふ)をもって(かれ)をおおった。 19シセラはヤエルに()った、「どうぞ、わたしに(みず)(すこ)()ませてください。のどがかわきましたから」。ヤエルは(ちち)(かわ)(ぶくろ)(ひら)いて(かれ)()ませ、また(かれ)をおおった。 20シセラはまたヤエルに()った、「天幕(てんまく)入口(いりぐち)()っていてください。もし(ひと)がきて、あなたに『だれか、ここにおりますか』と()うならば『おりません』と(こた)えてください」。 21しかし(かれ)(つか)れて熟睡(じゅくすい)したとき、ヘベルの(つま)ヤエルは天幕(てんまく)のくぎを()り、()(つち)(たずさ)えて(かれ)(しの)()り、こめかみにくぎを()()んで()()(とお)したので、(かれ)(いき)()えて()んだ。 22バラクがシセラを()ってきたとき、ヤエルは(かれ)出迎(でむか)えて()った、「おいでなさい。あなたが(もと)めている(ひと)をお()せしましょう」。(かれ)がヤエルの天幕(てんまく)にはいって()ると、シセラはこめかみにくぎを()たれて(たお)れて()んでいた。
23こうしてその()(かみ)はカナンの(おう)ヤビンをイスラエルの人々(ひとびと)(まえ)()(やぶ)られた。 24そしてイスラエルの人々(ひとびと)()はますますカナンびとの(おう)ヤビンの(うえ)(おも)くなって、ついにカナンの(おう)ヤビンを(ほろ)ぼすに(いた)った。

第五章

1その()デボラとアビノアムの()バラクは(うた)って()った。
2「イスラエルの指導者(しどうしゃ)たちは(さき)()ち、
(たみ)(よろこ)(いさ)んで(すす)()た。
(しゅ)をさんびせよ。
3もろもろの(おう)()け、
もろもろの(きみ)よ、(みみ)(かたむ)けよ。
わたしは(しゅ)()かって(うた)おう、
わたしはイスラエルの(かみ)(しゅ)をほめたたえよう。
4(しゅ)よ、あなたがセイルを()
エドムの()から(すす)まれたとき、
()(ふる)い、(てん)はしたたり、
(くも)(みず)をしたたらせた。
5もろもろの(やま)(しゅ)(まえ)()(うご)き、
シナイの(しゅ)、すなわちイスラエルの(かみ)(しゅ)(まえ)()(うご)いた。
6アナテの()シャムガルのとき、
ヤエルの(とき)には隊商(たいしょう)()え、
旅人(たびびと)はわき(みち)をとおった。
7イスラエルには農民(のうみん)()え、
かれらは()()てたが、
デボラよ、ついにあなたは()ちあがり、
()ってイスラエルの(はは)となった。
8人々(ひとびと)(あたら)しい神々(かみがみ)(えら)んだとき、
(たたか)いは(もん)(およ)んだ。
イスラエルの四万(にん)のうちに、
(たて)あるいは(やり)()られたことがあったか。
9わたしの(こころ)(たみ)のうちの(よろこ)(いさ)んで
(すす)()たイスラエルのつかさたちと(とも)にある。
(しゅ)をさんびせよ。
10茶色(ちゃいろ)のろばに()るもの、
毛氈(もうせん)(うえ)にすわるもの、
および(みち)(あゆ)むものよ、(とも)(うた)え。
11楽人(がくじん)調(しら)べは(みず)くむ(ところ)(きこ)える。
かれらはそこで(しゅ)(すくい)(とな)え、
イスラエルの農民(のうみん)(すくい)(とな)えている。
その(とき)(しゅ)(たみ)(もん)(くだ)って()った。
12()きよ、()きよ、デボラ。
()きよ、()きよ、(うた)をうたえ。
()てよ、バラク、とりこを(とら)えよ、
アビノアムの()よ。
13その(とき)(のこ)った(もの)(たっと)(もの)のように(くだ)って()き、
(しゅ)(たみ)勇士(ゆうし)のように(くだ)って()った。
14(かれ)らはエフライムから()(たに)(すす)み、
兄弟(きょうだい)ベニヤミンはあなたの(たみ)のうちにある。
マキルからはつかさたちが(くだ)って()き、
ゼブルンからは指揮(しき)()るものが(くだ)って()った。
15イッサカルの(きみ)たちはデボラと(とも)におり、
イッサカルはバラクと(おな)じく、
(ただ)ちにそのあとについて(たに)突進(とっしん)した。
しかしルベンの氏族(しぞく)(おお)いに思案(しあん)した。
16なぜ、あなたは、おりの(あいだ)にとどまって、
(ひつじ)()れに(ふえ)()くのを()いているのか。
ルベンの氏族(しぞく)(おお)いに思案(しあん)した。
17ギレアデはヨルダンの()こうにとどまっていた。
なぜ、ダンは(ふね)のかたわらにとどまったか。
アセルは(はま)べに()し、
その波止場(はとば)のかたわらにとどまっていた。
18ゼブルンは(いのち)をすてて、()(おそ)れぬ(たみ)である。
()(たか)(ところ)におるナフタリもまたそうであった。
19もろもろの(おう)たちはきて(たたか)った。
その(とき)カナンの(おう)たちは、
メギドの(みず)のほとりのタアナクで(たたか)った。
(かれ)らは一片(いっぺん)(ぎん)をも()なかった。
20もろもろの(ほし)(てん)より(たたか)い、
その軌道(きどう)をはなれてシセラと(たたか)った。
21キションの(かわ)(かれ)らを()(なが)した、
(はげ)しく(なが)れる(かわ)、キションの(かわ)
わが(たましい)よ、(いさ)ましく(すす)め。
22その(とき)軍馬(ぐんば)ははせ()けり、
(うま)のひずめは()()みならした。
23(しゅ)使(つかい)()った、『メロズをのろえ、
(はげ)しくその(たみ)をのろえ、
(かれ)らはきて(しゅ)(たす)けず、
(しゅ)(たす)けて勇士(ゆうし)()めなかったからである』。
24ケニびとヘベルの(つま)ヤエルは、
(おんな)のうちの(もっと)(めぐ)まれた(もの)
天幕(てんまく)()(おんな)のうち(もっと)(めぐ)まれた(もの)である。
25シセラが(みず)(もと)めると、ヤエルは(ちち)(あた)えた。
すなわち貴重(きちょう)(はち)凝乳(ぎょうにゅう)()ってささげた。
26ヤエルはくぎに()をかけ、
右手(みぎて)(おも)(つち)をとって、
シセラを()ち、その(あたま)(くだ)き、
粉々(こなごな)にして、そのこめかみを()(つらぬ)いた。
27シセラはヤエルの(あし)もとにかがんで(たお)()し、
その(あし)もとにかがんで(たお)れ、
そのかがんだ(ところ)(たお)れて()んだ。
28シセラの(はは)(まど)からながめ、
格子(こうし)(まど)から(さけ)んで()った、
『どうして(かれ)(くるま)()るのがおそいのか、
どうして(かれ)(くるま)(あゆ)みがはかどらないのか』。
29その侍女(じじょ)たちの(かしこ)(もの)(こた)え、
(はは)またみずからおのれに(こた)えて()った、
30(かれ)らは獲物(えもの)()て、
それを()けているのではないか、
(ひと)ごとにひとり、ふたりのおなごを()り、
シセラの獲物(えもの)(いろ)()めの(ころも)
()()りした(いろ)()めの(ころも)獲物(えもの)であろう。
すなわち()()りした(いろ)()めの(ころも)二つを、
獲物(えもの)としてそのくびにまとうであろう』。
31(しゅ)よ、あなたの(てき)はみなこのように(ほろ)び、
あなたを(あい)する(もの)
太陽(たいよう)(いきお)いよく(のぼ)るようにしてください」。
こうして(のち)(くに)は四十(ねん)のあいだ太平(たいへい)であった。

第六章

1イスラエルの人々(ひとびと)はまた(しゅ)(まえ)(あく)をおこなったので、(しゅ)(かれ)らを七(ねん)(あいだ)ミデアンびとの()にわたされた。 2ミデアンびとの()はイスラエルに()った。イスラエルの人々(ひとびと)はミデアンびとのゆえに、(やま)にある岩屋(いわや)と、ほら(あな)要害(ようがい)とを自分(じぶん)たちのために(つく)った。 3イスラエルびとが(たね)をまいた(とき)には、いつもミデアンびと、アマレクびとおよび東方(とうほう)(たみ)(のぼ)ってきてイスラエルびとを(おそ)い、 4イスラエルびとに()かって(じん)()り、()産物(さんぶつ)(あら)してガザの附近(ふきん)にまで(およ)び、イスラエルのうちに(いのち)をつなぐべき(もの)(のこ)さず、(ひつじ)(うし)もろばも(のこ)さなかった。 5(かれ)らが家畜(かちく)天幕(てんまく)(たずさ)えて、いなごのように(おお)(のぼ)ってきたからである。すなわち(かれ)らとそのらくだは無数(むすう)であって、(かれ)らは(くに)(あら)すためにはいってきたのであった。 6こうしてイスラエルはミデアンびとのために非常(ひじょう)(おとろ)え、イスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)()ばわった。
7イスラエルの人々(ひとびと)がミデアンびとのゆえに、(しゅ)()ばわったとき、 8(しゅ)はひとりの預言者(よげんしゃ)をイスラエルの人々(ひとびと)につかわして(かれ)らに()われた、「イスラエルの(かみ)(しゅ)はこう()われる、『わたしはかつてあなたがたをエジプトから(みちび)(のぼ)り、あなたがたを奴隷(どれい)(いえ)から(たずさ)()し、 9エジプトびとの()およびすべてあなたがたをしえたげる(もの)()から(すく)()し、あなたがたの(まえ)から(かれ)らを()(はら)って、その(くに)をあなたがたに(あた)えた。 10そしてあなたがたに()った、「わたしはあなたがたの(かみ)(しゅ)である。あなたがたが()んでいる(くに)のアモリびとの神々(かみがみ)(おそ)れてはならない」と。しかし、あなたがたはわたしの言葉(ことば)(したが)わなかった』」。
11さて(しゅ)使(つかい)がきて、アビエゼルびとヨアシに(ぞく)するオフラにあるテレビンの()(した)()した。(とき)にヨアシの()ギデオンはミデアンびとの()()けるために(さか)ぶねの(なか)(むぎ)()っていたが、 12(しゅ)使(つかい)(かれ)(あらわ)れて()った、「(だい)勇士(ゆうし)よ、(しゅ)はあなたと(とも)におられます」。 13ギデオンは()った、「ああ、(きみ)よ、(しゅ)がわたしたちと(とも)におられるならば、どうしてこれらの(こと)がわたしたちに(のぞ)んだのでしょう。わたしたちの先祖(せんぞ)が『(しゅ)はわれわれをエジプトから(みちび)(のぼ)られたではないか』といって、わたしたちに()げたそのすべての不思議(ふしぎ)なみわざはどこにありますか。(いま)(しゅ)はわたしたちを()てて、ミデアンびとの()にわたされました」。 14(しゅ)はふり()いて(かれ)()われた、「あなたはこのあなたの(ちから)をもって()って、ミデアンびとの()からイスラエルを(すく)()しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。 15ギデオンは(しゅ)()った、「ああ(しゅ)よ、わたしはどうしてイスラエルを(すく)うことができましょうか。わたしの氏族(しぞく)はマナセのうちで(もっと)(よわ)いものです。わたしはまたわたしの(ちち)家族(かぞく)のうちで(もっと)(ちい)さいものです」。 16(しゅ)()われた、「しかし、わたしがあなたと(とも)におるから、ひとりを()つようにミデアンびとを()つことができるでしょう」。 17ギデオンはまた(しゅ)()った、「わたしがもしあなたの(まえ)(めぐ)みを()ていますならば、どうぞ、わたしと(かた)るのがあなたであるというしるしを()せてください。 18どうぞ、わたしが(そな)(もの)(たずさ)えてあなたのもとにもどってきて、あなたの(まえ)(そな)えるまで、ここを()らないでください」。(しゅ)()われた、「わたしはあなたがもどって()るまで()ちましょう」。
19そこでギデオンは自分(じぶん)(いえ)()って、やぎの()(ととの)え、一エパの(こな)(たね)()れぬパンをつくり、(にく)をかごに()れ、あつものをつぼに()り、テレビンの()(した)におる(かれ)のもとに()ってきて、それを(そな)えた。 20(かみ)使(つかい)(かれ)()った、「(にく)(たね)()れぬパンをとって、この(いわ)(うえ)()き、それにあつものを(そそ)ぎなさい」。(かれ)はそのようにした。 21すると(しゅ)使(つかい)()にもっていたつえの(さき)()して、(にく)(たね)()れぬパンに()れると、(いわ)から()()えあがって、(にく)(たね)()れぬパンとを()きつくした。そして(しゅ)使(つかい)()って()えなくなった。 22ギデオンはその(ひと)(しゅ)使(つかい)であったことをさとって()った、「ああ(しゅ)なる(かみ)よ、どうなることでしょう。わたしは(かお)をあわせて(しゅ)使(つかい)()たのですから」。 23(しゅ)(かれ)()われた、「安心(あんしん)せよ、(おそ)れるな。あなたは()ぬことはない」。 24そこでギデオンは(しゅ)のために祭壇(さいだん)をそこに(きず)いて、それを「(しゅ)平安(へいあん)」と()づけた。これは今日(こんにち)までアビエゼルびとのオフラにある。
25その()(しゅ)はギデオンに()われた、「あなたの(ちち)雄牛(おうし)と七(さい)(だい)二の雄牛(おうし)とを()り、あなたの(ちち)のもっているバアルの祭壇(さいだん)()ちこわし、そのかたわらにあるアシラ(ぞう)()(たお)し、 26あなたの(かみ)(しゅ)のために、このとりでの(いただき)に、(いし)(なら)べて祭壇(さいだん)(きず)き、(だい)二の雄牛(おうし)()り、あなたが()(たお)したアシラの()をもって燔祭(はんさい)をささげなさい」。 27ギデオンはしもべ十(にん)()れて、(しゅ)()われたとおりにおこなった。ただし(かれ)(ちち)家族(かぞく)のもの、および(まち)人々(ひとびと)(おそ)れたので、(ひる)それを(おこな)うことができず、(よる)それを(おこな)った。
28(まち)人々(ひとびと)(あさ)(はや)()きて()ると、バアルの祭壇(さいだん)()ちこわされ、そのかたわらのアシラ(ぞう)()(たお)され、(あら)たに(きず)いた祭壇(さいだん)(うえ)に、(だい)二の雄牛(おうし)がささげられてあった。 29そこで(かれ)らは(たがい)に「これはだれのしわざか」と()って()(たず)ねたすえ、「これはヨアシの()ギデオンのしわざだ」と()った。 30(まち)人々(ひとびと)はヨアシに()った、「あなたのむすこを()()して(ころ)しなさい。(かれ)はバアルの祭壇(さいだん)()ちこわしそのかたわらにあったアシラ(ぞう)()(たお)したのです」。 31しかしヨアシは自分(じぶん)()かって()っているすべての(もの)()った、「あなたがたはバアルのために()(あらそ)うのですか。あるいは(かれ)弁護(べんご)しようとなさるのですか。バアルのために()(あらそ)(もの)は、あすの(あさ)までに(ころ)されるでしょう。バアルがもし(かみ)であるならば、自分(じぶん)祭壇(さいだん)()ちこわされたのだから、(かれ)みずから()(あらそ)うべきです」。 32そこでその()、「自分(じぶん)祭壇(さいだん)()ちこわされたのだから、バアルみずからその(ひと)()(あらそ)うべきです」と()ったので、ギデオンはエルバアルと()ばれた。 33(とき)にミデアンびと、アマレクびとおよび東方(とうほう)(たみ)がみな(あつ)まってヨルダン(がわ)(わた)り、エズレルの(たに)(じん)()ったが、 34(しゅ)(れい)がギデオンに(のぞ)み、ギデオンがラッパを()いたので、アビエゼルびとは(あつ)まって(かれ)(したが)った。 35(つぎ)(かれ)があまねくマナセに使者(ししゃ)をつかわしたので、マナセびともまた(あつ)まって(かれ)(したが)った。(かれ)がまたアセル、ゼブルンおよびナフタリに使者(ししゃ)をつかわすと、その人々(ひとびと)(のぼ)って(かれ)(むか)えた。
36ギデオンは(かみ)()った、「あなたがかつて()われたように、わたしの()によってイスラエルを(すく)おうとされるならば、 37わたしは(ひつじ)()(とう)(ぶん)()()()きますから、(つゆ)がその(ひつじ)()(うえ)にだけあって、()がすべてかわいているようにしてください。これによってわたしは、あなたがかつて()われたように、わたしの()によってイスラエルをお(すく)いになることを()るでしょう」。 38すなわちそのようになった。(かれ)翌朝(よくあさ)(はや)()きて、(ひつじ)()をかき()せ、その()から(つゆ)(しぼ)ると、(はち)()ちるほどの(みず)()た。 39ギデオンは(かみ)()った、「わたしをお(いか)りにならないように(ねが)います。わたしにもう一()だけ()わせてください。どうぞ、もう一()だけ(ひつじ)()をもってためさせてください。どうぞ、(ひつじ)()だけをかわかして、()にはことごとく(つゆ)があるようにしてください」。 40(かみ)はその(よる)、そうされた。すなわち(ひつじ)()だけかわいて、()にはすべて(つゆ)があった。

第七章

1さてエルバアルと()ばれるギデオンおよび(かれ)(とも)にいたすべての(たみ)(あさ)(はや)()き、ハロデの(いずみ)のほとりに(じん)()った。ミデアンびとの(じん)(かれ)らの(きた)(ほう)にあり、モレの(おか)沿()って(たに)(なか)にあった。
2(しゅ)はギデオンに()われた、「あなたと(とも)におる(たみ)はあまりに(おお)い。ゆえにわたしは(かれ)らの()にミデアンびとをわたさない。おそらくイスラエルはわたしに()かってみずから(ほこ)り、『わたしは自身(じしん)()自分(じぶん)(すく)ったのだ』と()うであろう。 3それゆえ、(たみ)(みみ)()(しめ)して、『だれでも(おそ)れおののく(もの)(かえ)れ』と()いなさい」。こうしてギデオンは(かれ)らを(こころ)みたので、(たみ)のうち(かえ)った(もの)は二万二千(にん)あり、(のこ)った(もの)は一万(にん)であった。
4(しゅ)はまたギデオンに()われた、「(たみ)はまだ(おお)い。(かれ)らを(みちび)いて(みず)ぎわに(くだ)りなさい。わたしはそこで、あなたのために(かれ)らを(こころ)みよう。わたしがあなたに()げて『この(ひと)はあなたと(とも)()くべきだ』と()(もの)は、あなたと(とも)()くべきである。またわたしがあなたに()げて『この(ひと)はあなたと(とも)()ってはならない』と()(もの)は、だれも()ってはならない」。 5そこでギデオンが(たみ)(みちび)いて(みず)ぎわに(くだ)ると、(しゅ)(かれ)()われた、「すべて(いぬ)のなめるように(した)をもって(みず)をなめる(もの)はそれを(べつ)にしておきなさい。またすべてひざを()り、かがんで(みず)()(もの)もそうしなさい」。 6そして()(くち)にあてて(みず)をなめた(もの)(かず)は三百(にん)であった。(のこ)りの(たみ)はみなひざを()り、かがんで(みず)()んだ。 7(しゅ)はギデオンに()われた、「わたしは(みず)をなめた三百(にん)(もの)をもって、あなたがたを(すく)い、ミデアンびとをあなたの()にわたそう。(のこ)りの(たみ)はおのおのその(いえ)(かえ)らせなさい」。 8そこで(かれ)はかの三百(にん)()めおき、(のこ)りのイスラエルびとの()から、つぼとラッパを()り、(たみ)をおのおのその天幕(てんまく)(かえ)らせた。(とき)にミデアンびとの(じん)(した)(たに)(なか)にあった。
9その(よる)(しゅ)はギデオンに()われた、「()てよ、(くだ)っていって敵陣(てきじん)()()れ。わたしはそれをあなたの()にわたす。 10もしあなたが(くだ)って()くことを(おそ)れるならば、あなたのしもべプラと(とも)敵陣(てきじん)(くだ)っていって、 11(かれ)らの()うところを()け。そうすればあなたの()(つよ)くなって、敵陣(てきじん)()(くだ)ることができるであろう」。ギデオンがしもべプラと(とも)(くだ)って、敵陣(てきじん)にある兵隊(へいたい)たちの前哨(ぜんしょう)地点(ちてん)()ってみると、 12ミデアンびと、アマレクびとおよびすべての東方(とうほう)(たみ)はいなごのように数多(かずおお)(たに)沿()って()していた。そのらくだは(うみ)べの(すな)のように(おお)くて(かぞ)えきれなかった。 13ギデオンがそこへ()ったとき、ある(ひと)がその仲間(なかま)(ゆめ)(かた)っていた。その(ひと)()った、「わたしは(ゆめ)()た。大麦(おおむぎ)のパン一つがミデアンの陣中(じんちゅう)にころがってきて、天幕(てんまく)(たっ)し、それを()(たお)し、くつがえしたので、天幕(てんまく)(たお)()した」。 14仲間(なかま)(こた)えて()った、「それはイスラエルの(ひと)、ヨアシの()ギデオンのつるぎにちがいない。(かみ)はミデアンとすべての軍勢(ぐんぜい)(かれ)()にわたされるのだ」。
15ギデオンは(ゆめ)物語(ものがたり)とその()()かしとを()いたので、礼拝(れいはい)し、イスラエルの陣営(じんえい)(かえ)り、そして()った、「()てよ、(しゅ)はミデアンの軍勢(ぐんぜい)をあなたがたの()にわたされる」。 16そして(かれ)は三百(にん)を三(くみ)()け、()()にラッパと、からつぼとを()らせ、つぼの(なか)にたいまつをともさせ、 17(かれ)らに()った、「わたしを()て、わたしのするようにしなさい。わたしが敵陣(てきじん)のはずれに(たっ)したとき、あなたがたもわたしのするようにしなさい。 18わたしと(とも)におる(もの)がみなラッパを()くと、あなたがたもまたすべての陣営(じんえい)四方(しほう)でラッパを()き、『(しゅ)のためだ、ギデオンのためだ』と()いなさい」。
19こうしてギデオンと、(かれ)(とも)にいた百(にん)(もの)が、中更(ちゅうこう)(はじ)めに敵陣(てきじん)のはずれに()ってみると、ちょうど番兵(ばんぺい)交代(こうたい)した(とき)であったので、(かれ)らはラッパを()き、()(たずさ)えていたつぼを()(くだ)いた。 20すなわち三(くみ)(もの)がラッパを()き、つぼを()(くだ)き、(ひだり)()にはたいまつをとり、(みぎ)()にはラッパを()ってそれを()き、「(しゅ)のためのつるぎ、ギデオンのためのつるぎ」と(さけ)んだ。 21そしておのおのその()()()ち、敵陣(てきじん)()(かこ)んだので、(てき)(ぐん)はみな(はし)り、大声(おおごえ)をあげて()()った。 22三百(にん)のものがラッパを()くと、(しゅ)(てき)(ぐん)をしてみな(たがい)同志(どうし)()ちさせられたので、(てき)(ぐん)はゼレラの(ほう)、ベテシッタおよびアベルメホラの(さかい)、タバテの(ちか)くまで()()った。 23イスラエルの人々(ひとびと)はナフタリ、アセルおよび(ぜん)マナセから(あつ)まってきて、ミデアンびとを追撃(ついげき)した。
24ギデオンは使者(ししゃ)をあまねくエフライムの山地(さんち)につかわし、「(くだ)ってきて、ミデアンびとを()め、ベタバラに(いた)るまでの(なが)れを()り、またヨルダンをも()れ」と()わせた。そこでエフライムの人々(ひとびと)はみな(あつ)まってきて、ベタバラに(いた)るまでの(なが)れを()り、またヨルダンをも()った。 25(かれ)らはまたミデアンびとのふたりの(きみ)オレブとゼエブを(とら)え、オレブをオレブ(いわ)のほとりで(ころ)し、ゼエブをゼエブの(さか)ぶねのほとりで(ころ)した。またミデアンびとを追撃(ついげき)し、オレブとゼエブの(くび)(たずさ)えてヨルダンの()こうのギデオンのもとへ()った。

第八章

1エフライムの人々(ひとびと)はギデオンに()かい「あなたが、ミデアンびとと(たたか)うために()かれたとき、われわれを()ばれなかったが、どうしてそういうことをされたのですか」と()って(はげ)しく(かれ)()めた。 2ギデオンは(かれ)らに()った、「(いま)わたしのした(こと)は、あなたがたのした(こと)(くら)べものになりましょうか。エフライムの(ひろ)(あつ)めた()(のこ)りのぶどうはアビエゼルの収穫(しゅうかく)したぶどうにもまさるではありませんか。 3(かみ)はミデアンの(きみ)オレブとゼエブをあなたがたの()にわたされました。わたしのなし()(こと)は、あなたがたのした(こと)(くら)べものになりましょうか」。ギデオンがこの言葉(ことば)()べると、(かれ)らの(いきどお)りは()けた。
4ギデオンは自分(じぶん)(したが)っていた三百(にん)(とも)にヨルダンに()ってこれを(わた)り、(つか)れながらもなお追撃(ついげき)したが、 5(かれ)はスコテの人々(ひとびと)()った、「どうぞわたしに(したが)っている(たみ)にパンを(あた)えてください。(かれ)らが(つか)れているのに、わたしはミデアンの(おう)ゼバとザルムンナを追撃(ついげき)しているのですから」。 6スコテのつかさたちは()った、「ゼバとザルムンナは、すでにあなたの()のうちにあるのですか。われわれはどうしてあなたの軍勢(ぐんぜい)にパンを(あた)えねばならないのですか」。 7ギデオンは()った、「それならば(しゅ)がわたしの()にゼバとザルムンナをわたされるとき、わたしは()のいばらと、おどろをもって、あなたがたの(にく)()つであろう」。 8そしてギデオンはそこからペヌエルに(のぼ)り、(おな)じことをペヌエルの人々(ひとびと)()べると、(かれ)らもスコテの人々(ひとびと)(こた)えたように(こた)えたので、 9ペヌエルの人々(ひとびと)()った、「わたしが(やす)らかに(かえ)ってきたとき、このやぐらを()ちこわすであろう」。
10さてゼバとザルムンナは軍勢(ぐんぜい)おおよそ一万五千(にん)(ひき)いて、カルコルにいた。これは(みな)東方(とうほう)(たみ)(ぜん)(ぐん)のうち()(のこ)ったもので、戦死(せんし)した(もの)は、つるぎを()びているものが十二万(にん)あった。 11ギデオンはノバとヨグベハの(ひがし)隊商(たいしょう)(みち)(のぼ)って、(てき)(ぐん)油断(ゆだん)しているところを()った。 12ゼバとザルムンナは()げたが、ギデオンは追撃(ついげき)して、ミデアンのふたりの(おう)ゼバとザルムンナを(とら)え、その軍勢(ぐんぜい)をことごとく()(やぶ)った。
13こうしてヨアシの()ギデオンはヘレスの(さか)をとおって(たたか)いから(かえ)り、 14スコテの若者(わかもの)ひとりを(とら)えて、(たず)ねたところ、(かれ)はスコテのつかさたち(およ)長老(ちょうろう)たち七十七(にん)()をギデオンのために()きしるした。 15ギデオンはスコテの人々(ひとびと)のところへ()って()った、「あなたがたがかつて『ゼバとザルムンナはすでにあなたの()のうちにあるのか。われわれはどうしてあなたの(つか)れた人々(ひとびと)にパンを(あた)えねばならないのか』と()って、わたしをののしったそのゼバとザルムンナを()なさい」。 16そして(かれ)は、その(まち)長老(ちょうろう)たちを(とら)え、()のいばらと、おどろとを()り、それをもってスコテの人々(ひとびと)()らし、 17またペヌエルのやぐらを()ちこわして(まち)人々(ひとびと)(ころ)した。
18そしてギデオンはゼバとザルムンナに()った、「あなたがたがタボルで(ころ)したのは、どんな人々(ひとびと)であったか」。(かれ)らは(こた)えた、「(かれ)らはあなたに()てみな王子(おうじ)のように()えました」。 19ギデオンは()った、「(かれ)らはわたしの兄弟(きょうだい)、わたしの(はは)()たちだ。(しゅ)()きておられる。もしあなたがたが(かれ)らを()かしておいたならば、わたしはあなたがたを(ころ)さないのだが」。 20そして長子(ちょうし)エテルに()った、「()って、(かれ)らを(ころ)しなさい」。しかしその若者(わかもの)はなお(とし)(わか)かったので、(おそ)れてつるぎを()かなかった。 21そこでゼバとザルムンナは()った、「あなた自身(じしん)()って、わたしたちを()ってください。(ひと)によってそれぞれ(ちから)(ちが)いますから」。ギデオンは()ちあがってゼバとザルムンナを(ころ)し、(かれ)らのらくだの(くび)()けてあった月形(つきがた)(かざ)りを()った。
22イスラエルの人々(ひとびと)はギデオンに()った、「あなたはミデアンの()からわれわれを(すく)われたのですから、あなたも、あなたの()(まご)もわれわれを(おさ)めてください」。 23ギデオンは(かれ)らに()った、「わたしはあなたがたを(おさ)めることはいたしません。またわたしの()もあなたがたを(おさ)めてはなりません。(しゅ)があなたがたを(おさ)められます」。 24ギデオンはまた(かれ)らに()った、「わたしはあなたがたに一つの(ねが)いがあります。あなたがたのぶんどった耳輪(みみわ)をめいめいわたしにください」。ミデアンびとはイシマエルびとであったゆえに、(きん)耳輪(みみわ)()っていたからである。 25(かれ)らは(こた)えた、「わたしどもは(よろこ)んでそれをさしあげます」。そして(ころも)をひろげ、めいめいぶんどった耳輪(みみわ)をその(なか)()()れた。 26こうしてギデオンが(もと)めて()(きん)耳輪(みみわ)(おも)さは一千七百(きん)シケルであった。ほかに月形(つきがた)(かざ)りと耳飾(みみかざ)りと、ミデアンの(おう)たちの()(むらさき)(ころも)およびらくだの(くび)()けた首飾(くびかざ)りなどもあった。 27ギデオンはそれをもって一つのエポデを(つく)り、それを自分(じぶん)(まち)オフラに()いた。イスラエルは(みな)それを(した)って姦淫(かんいん)をおこなった。それはギデオンとその(いえ)にとって、わなとなった。 28このようにしてミデアンはイスラエルの人々(ひとびと)征服(せいふく)されて、(ふたた)びその(あたま)をあげることができなかった。そして(くに)はギデオンの()にあるうち、四十(ねん)のあいだ太平(たいへい)であった。
29ヨアシの()エルバアルは()って自分(じぶん)(いえ)()んだ。 30ギデオンは(おお)くの(つま)をもっていたので、自分(じぶん)子供(こども)だけで七十(にん)あった。 31シケムにいた(かれ)のめかけがまたひとりの()()んだので、アビメレクと()づけた。 32ヨアシの()ギデオンは高齢(こうれい)(たっ)して()に、アビエゼルびとのオフラにある(ちち)ヨアシの(はか)(ほうむ)られた。
33ギデオンが()ぬと、イスラエルの人々(ひとびと)はまたバアルを(した)って、これと姦淫(かんいん)(おこな)い、バアル・ベリテを自分(じぶん)たちの(かみ)とした。 34すなわちイスラエルの人々(ひとびと)周囲(しゅうい)のもろもろの(てき)()から自分(じぶん)たちを(すく)われた(かれ)らの(かみ)(しゅ)(おぼ)えず、 35またエルバアルすなわちギデオンがイスラエルのためにしたもろもろの善行(ぜんこう)(おう)じて(かれ)家族(かぞく)親切(しんせつ)をつくすこともしなかった。

第九章

1さてエルバアルの()アビメレクはシケムに()き、(はは)身内(みうち)(ひと)たちのもとに()って、(かれ)らと(はは)(ちち)(いえ)一族(いちぞく)とに()った、 2「どうぞ、シケムのすべての人々(ひとびと)(みみ)()げてください、『エルバアルのすべての()七十(にん)であなたがたを(おさ)めるのと、ただひとりであなたがたを(おさ)めるのと、どちらがよいか。わたしがあなたがたの骨肉(こつにく)であることを(おぼ)えてください』と」。 3そこで(はは)身内(みうち)(ひと)たちがアビメレクに(かわ)ってこれらの言葉(ことば)をことごとくシケムのすべての人々(ひとびと)(みみ)()げると、(かれ)らは(こころ)をアビメレクに(かたむ)け、「(かれ)はわれわれの兄弟(きょうだい)だ」と()って、 4バアル・ベリテの(みや)から(ぎん)七十シケルを()って(かれ)(あた)えた。アビメレクはそれをもって、やくざのならず(もの)(やと)って自分(じぶん)(したが)わせ、 5オフラにある(ちち)(いえ)()って、エルバアルの()で、自分(じぶん)兄弟(きょうだい)である七十(にん)を、一つの(いし)(うえ)(ころ)した。ただしエルバアルの(すえ)()ヨタムは()(かく)したので()(のこ)った。 6そこでシケムのすべての人々(ひとびと)とベテミロのすべての人々(ひとびと)(あつ)まり、()ってシケムにある(いし)(はしら)のかたわらのテレビンの()のもとで、アビメレクを()てて(おう)とした。
7このことをヨタムに()げる(もの)があったので、ヨタムは()ってゲリジム(やま)(いただき)()ち、大声(おおごえ)(さけ)んで(かれ)らに()った、「シケムの人々(ひとびと)よ、わたしに()きなさい。そうすれば(かみ)はあなたがたに()かれるでしょう。 8ある(とき)、もろもろの()自分(じぶん)たちの(うえ)(おう)()てようと()()ってオリブの()()った、『わたしたちの(おう)になってください』。 9しかしオリブの()(かれ)らに()った、『わたしはどうして(かみ)(ひと)とをあがめるために(もち)いられるわたしの(あぶら)()てて()って、もろもろの()(おさ)めることができましょう』。 10もろもろの()はまたいちじくの()()った、『きてわたしたちの(おう)になってください』。 11しかしいちじくの()(かれ)らに()った、『わたしはどうしてわたしの甘味(かんみ)と、わたしの()果実(かじつ)とを()てて()って、もろもろの()(おさ)めることができましょう』。 12もろもろの()はまたぶどうの()()った、『きてわたしたちの(おう)になってください』。 13しかし、ぶどうの()(かれ)らに()った、『わたしはどうして(かみ)(ひと)とを(よろこ)ばせるわたしのぶどう(しゅ)()てて()って、もろもろの()(おさ)めることができましょう』。 14そこですべての()はいばらに()った、『きてわたしたちの(おう)になってください』。 15いばらはもろもろの()()った、『あなたがたが真実(しんじつ)にわたしを()てて(おう)にするならば、きてわたしの(かげ)(なん)()けなさい。そうしなければ、いばらから()()てレバノンの香柏(こうはく)()きつくすでしょう』。
16あなたがたがアビメレクを()てて(おう)にしたことは、真実(しんじつ)敬意(けいい)とをもってしたものですか。あなたがたはエルバアルとその(いえ)をよく(あつか)い、(かれ)のおこないに(おう)じてしたのですか。 17わたしの(ちち)はあなたがたのために(たたか)い、自分(じぶん)(いのち)()()して、あなたがたをミデアンの()から(すく)()したのに、 18あなたがたは、きょう、わたしの(ちち)(いえ)反抗(はんこう)して(おこ)り、その()七十(にん)を一つの(いし)(うえ)(ころ)し、その腰元(こしもと)()アビメレクをあなたがたの身内(みうち)(もの)であるゆえに()てて、シケムの人々(ひとびと)(おう)にしました。 19あなたがたが、きょう、エルバアルとその(いえ)になされたことが真実(しんじつ)敬意(けいい)をもってしたものであるならば、アビメレクのために(よろこ)びなさい。(かれ)もまたあなたがたのために(よろこ)ぶでしょう。 20しかし、そうでなければ、アビメレクから()()て、シケムの人々(ひとびと)とベテミロとを()きつくし、またシケムの人々(ひとびと)とベテミロからも()()てアビメレクを()きつくすでしょう」。 21こうしてヨタムは(はし)って()()り、ベエルに()き、兄弟(きょうだい)アビメレクの(かお)をさけてそこに()んだ。
22アビメレクは三(ねん)(あいだ)イスラエルを(おさ)めたが、 23(かみ)はアビメレクとシケムの人々(ひとびと)(あいだ)悪霊(あくれい)をおくられたので、シケムの人々(ひとびと)はアビメレクを(あざむ)くようになった。 24これはエルバアルの七十(にん)()()けた暴虐(ぼうぎゃく)(かれ)らの()が、(かれ)らを(ころ)した兄弟(きょうだい)アビメレクの(うえ)と、(かれ)()(つよ)めてその兄弟(きょうだい)(ころ)させたシケムの人々(ひとびと)(うえ)とに(むく)いとなってきたのである。 25シケムの人々(ひとびと)(かれ)(てき)して()()せする(もの)山々(やまやま)(いただき)におき、すべてその(みち)(とお)()ぎる(もの)略奪(りゃくだつ)させた。このことがアビメレクに()()らされた。
26さてエベデの()ガアルはその身内(みうち)人々(ひとびと)一緒(いっしょ)にシケムに移住(いじゅう)したが、シケムの人々(ひとびと)(かれ)信用(しんよう)した。 27人々(ひとびと)(はたけ)()てぶどうを()()れ、それを()(しぼ)って(まつり)をし、(かみ)(みや)()って()()いしてアビメレクをのろった。 28そしてエベデの()ガアルは()った、「アビメレクは(なに)ものか。シケムのわれわれは(なに)ものなれば(かれ)(つか)えなければならないのか。エルバアルの()とその役人(やくにん)ゼブルはシケムの先祖(せんぞ)ハモルの一族(いちぞく)(つか)えたではないか。われわれはどうして(かれ)(つか)えなければならないのか。 29ああ、この(たみ)がわたしの()(した)にあったらよいのだが。そうすればわたしはアビメレクをやめさせ、アビメレクに()かって『おまえの軍勢(ぐんぜい)()して()てこい』と()うであろう」。
30(まち)のつかさゼブルはエベデの()ガアルの言葉(ことば)()いて(いか)りを(はっ)し、 31使者(ししゃ)をアルマにおるアビメレクにつかわして()わせた、「エベデの()ガアルとその身内(みうち)人々(ひとびと)がシケムにきて、(まち)(さわ)がせ、あなたにそむかせようとしています。 32それであなたと、あなたと(とも)におる人々(ひとびと)(よる)のうちに()って、()()()せ、 33(あさ)になって、()ののぼるとき、(はや)()()(まち)(おそ)うならば、ガアルと、(かれ)(とも)におる(たみ)()てきて、あなたに抵抗(ていこう)するでしょう。その(とき)あなたは(はた)()て、(かれ)らを()つことができるでしょう」。
34アビメレクと、(かれ)(とも)にいたすべての(たみ)(よる)のうちに()()て、四(くみ)(わか)れ、()()せてシケムをうかがった。 35エベデの()ガアルが()て、(まち)(もん)入口(いりぐち)()ったとき、アビメレクと、(かれ)(とも)にいた(たみ)()()せていたところから()ちあがったので、 36ガアルは(たみ)()てゼブルに()った、「ごらんなさい。(たみ)山々(やまやま)(いただき)からおりてきます」。ゼブルは(かれ)()った、「あなたは山々(やまやま)(かげ)(ひと)のように()るのです」。 37ガアルは(ふたた)()った、「ごらんなさい。(たみ)(くに)中央(ちゅうおう)()からおりてきます。一(くみ)(うらな)()のテレビンの()(ほう)からきます」。 38ゼブルは(かれ)()った、「あなたがかつて『アビメレクは(なに)ものか。われわれは(なに)ものなれば(かれ)(つか)えなければならないのか』と()ったあなたの(くち)(いま)どこにありますか。これはあなたが(あなど)った(たみ)ではありませんか。(いま)()(かれ)らと(たたか)いなさい」。 39そこでガアルはシケムの人々(ひとびと)(ひき)い、()てアビメレクと(たたか)ったが、 40アビメレクは(かれ)()ったので、ガアルは(かれ)(まえ)から()げた。そして(きず)つき(たお)れる(もの)(おお)く、(もん)入口(いりぐち)にまで(およ)んだ。 41こうしてアビメレクは()(つづ)いてアルマにいたが、ゼブルはガアルとその身内(みうち)人々(ひとびと)()()してシケムにおらせなかった。
42翌日(よくじつ)(たみ)(はたけ)()ると、そのことがアビメレクに(きこ)えた。 43アビメレクは自分(じぶん)(たみ)(ひき)い、それを三(くみ)()け、()()()せて、うかがっていると、(たみ)(まち)から()てきたので、たちあがってこれを()った。 44アビメレクと、(かれ)(とも)にいた(くみ)(もの)(おそ)って()って、(まち)(もん)入口(いりぐち)()ち、()の二(くみ)()にいたすべてのものを(おそ)って、それを(ころ)した。 45アビメレクはその()終日(しゅうじつ)(まち)()め、ついに(まち)()って、そのうちの(たみ)(ころ)し、(まち)破壊(はかい)して、(しお)をまいた。
46シケムのやぐらの人々(ひとびと)(みな)これを()いて、エルベリテの(みや)(とう)にはいった。 47シケムのやぐらの人々(ひとびと)(みな)(あつ)まったことがアビメレクに(きこ)えたので、 48アビメレクは自分(じぶん)一緒(いっしょ)にいた(たみ)をことごとく(ひき)いてザルモン(さん)にのぼり、アビメレクは()におのを()って、()(えだ)()(おと)し、それを()りあげて自分(じぶん)(かた)にのせ、一緒(いっしょ)にいた(たみ)にむかって()った、「あなたがたはわたしがしたことを()たとおりに(いそ)いでしなさい」。 49そこで(たみ)もまた(みな)おのおのその(えだ)()(おと)し、アビメレクに(したが)って()って、(えだ)(とう)によせかけ、(とう)()をつけて(かれ)らを()めた。こうしてシケムのやぐらの人々(ひとびと)もまたことごとく()んだ。男女(だんじょ)おおよそ一千(にん)であった。
50ついでアビメレクはテベツに()き、テベツに()かって(じん)()り、これを()()ったが、 51(まち)(なか)に一つの堅固(けんご)なやぐらがあって、すべての男女(だんじょ)すなわち(まち)人々(ひとびと)(みな)そこに()()み、あとを()ざして、やぐらの屋根(やね)(のぼ)ったので、 52アビメレクはやぐらのもとに()()せてこれを()め、やぐらの入口(いりぐち)(ちか)づいて、()をつけて()こうとしたとき、 53ひとりの(おんな)がアビメレクの(あたま)に、うすの上石(うわいし)()げて、その()骸骨(がいこつ)(くだ)いた。 54アビメレクは自分(じぶん)武器(ぶき)()若者(わかもの)(いそ)()んで()った、「つるぎを()いてわたしを(ころ)せ。さもないと人々(ひとびと)はわたしを、(おんな)(ころ)されたのだと()うであろう」。その若者(わかもの)(かれ)()(とお)したので(かれ)()んだ。 55イスラエルの人々(ひとびと)はアビメレクの()んだのを()て、おのおの()って(いえ)(かえ)った。 56このように(かみ)はアビメレクがその兄弟(きょうだい)七十(にん)(ころ)して、自分(じぶん)(ちち)(たい)して(おか)した(あく)(むく)いられた。 57また(かみ)はシケムの人々(ひとびと)のすべての(あく)(かれ)らのこうべに(むく)いられた。こうしてエルバアルの()ヨタムののろいが、(かれ)らに(のぞ)んだのである。

第十章

1アビメレクの(のち)、イッサカルの(ひと)で、ドドの()であるプワの()トラが()ってイスラエルを(すく)った。(かれ)はエフライムの山地(さんち)のシャミルに()み、 2二十三(ねん)(あいだ)イスラエルをさばいたが、ついに()んでシャミルに(ほうむ)られた。
3(かれ)(のち)にギレアデびとヤイルが()って二十二(ねん)(あいだ)イスラエルをさばいた。 4(かれ)に三十(にん)()があった。(かれ)らは三十(とう)のろばに()り、また三十の(まち)をもっていた。ギレアデの()今日(こんにち)まで、ハボテ・ヤイルと()ばれているものがそれである。 5ヤイルは()んで、カモンに(ほうむ)られた。
6イスラエルの人々(ひとびと)(ふたた)(しゅ)(まえ)(あく)(おこな)い、バアルとアシタロテおよびスリヤの神々(かみがみ)、シドンの神々(かみがみ)、モアブの神々(かみがみ)、アンモンびとの神々(かみがみ)、ペリシテびとの神々(かみがみ)(つか)え、(しゅ)()ててこれに(つか)えなかった。 7(しゅ)はイスラエルに(たい)して(いか)りを(はっ)し、(かれ)らをペリシテびとの()およびアンモンびとの()()りわたされたので、 8(かれ)らはその(ねん)イスラエルの人々(ひとびと)をしえたげ(なや)ました。すなわち(かれ)らはヨルダンの()こうのギレアデにあるアモリびとの()にいたすべてのイスラエルびとを十八(ねん)のあいだ(なや)ました。 9またアンモンの人々(ひとびと)がユダとベニヤミンとエフライムの氏族(しぞく)()めるためにヨルダンを(わた)ってきたので、イスラエルは非常(ひじょう)(なや)まされた。
10そこでイスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)()ばわって()った、「わたしたちはわたしたちの(かみ)()ててバアルに(つか)え、あなたに(つみ)(おか)しました」。 11(しゅ)はイスラエルの人々(ひとびと)()われた、「わたしはかつてエジプトびと、アモリびと、アンモンびと、ペリシテびとからあなたがたを(すく)()したではないか。 12またシドンびと、アマレクびとおよびマオンびとがあなたがたをしえたげた(とき)、わたしに()ばわったので、あなたがたを(かれ)らの()から(すく)()した。 13しかしあなたがたはわたしを()てて、ほかの神々(かみがみ)(つか)えた。それゆえ、わたしはかさねてあなたがたを(すく)わないであろう。 14あなたがたが(えら)んだ神々(かみがみ)()って()ばわり、あなたがたの(なや)みの(とき)(かれ)らにあなたがたを(すく)わせるがよい」。 15イスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)()った、「わたしたちは(つみ)(おか)しました。なんでもあなたが()いと(おも)われることをしてください。ただどうぞ、きょう、わたしたちを(すく)ってください」。 16そうして(かれ)らは自分(じぶん)たちのうちから(こと)なる神々(かみがみ)()(のぞ)いて、(しゅ)(つか)えた。それで(しゅ)(こころ)はイスラエルの(なや)みを()るに(しの)びなくなった。
17(とき)にアンモンの人々(ひとびと)召集(しょうしゅう)されてギレアデに(じん)()ったが、イスラエルの人々(ひとびと)(あつ)まってミヅパに(じん)()った。 18その(とき)(たみ)とギレアデの(きみ)たちとは(たがい)()った、「だれがアンモンの人々(ひとびと)()かって(たたか)いを(はじ)めるか。その(ひと)はギレアデのすべての(たみ)のかしらとなるであろう」。

第十一章

1さてギレアデびとエフタは(つよ)勇士(ゆうし)であったが遊女(ゆうじょ)()で、エフタの(ちち)はギレアデであった。 2ギレアデの(つま)子供(こども)()んだが、その(つま)子供(こども)たちが成長(せいちょう)したとき、(かれ)らはエフタを()()して(かれ)()った、「あなたはほかの(おんな)()んだ()だから、わたしたちの(ちち)(いえ)()ぐことはできません」。 3それでエフタはその兄弟(きょうだい)たちのもとから()()って、トブの()()んでいると、やくざ(もの)がエフタのもとに(あつ)まってきて、(かれ)一緒(いっしょ)()かけて略奪(りゃくだつ)(こと)としていた。
4()がたって(のち)、アンモンの人々(ひとびと)はイスラエルと(たたか)うことになり、 5アンモンの人々(ひとびと)がイスラエルと(たたか)ったとき、ギレアデの長老(ちょうろう)たちは()ってエフタをトブの()から()れてこようとして、 6エフタに()った、「きて、わたしたちの大将(たいしょう)になってください。そうすればわたしたちはアンモンの人々(ひとびと)(たたか)うことができます」。 7エフタはギレアデの長老(ちょうろう)たちに()った、「あなたがたはわたしを(にく)んで、わたしの(ちち)(いえ)から()()したではありませんか。しかるに(いま)あなたがたが(こま)っている(とき)とはいえ、わたしのところに()るとはどういうわけですか」。 8ギレアデの長老(ちょうろう)たちはエフタに()った、「それでわたしたちは(いま)、あなたに(かえ)ったのです。どうぞ、わたしたちと一緒(いっしょ)()って、アンモンの人々(ひとびと)(たたか)ってください。そしてわたしたちとギレアデに()んでいるすべてのものとのかしらになってください」。 9エフタはギレアデの長老(ちょうろう)たちに()った、「もしあなたがたが、わたしをつれて(かえ)って、アンモンの人々(ひとびと)(たたか)わせるとき、(しゅ)(かれ)らをわたしにわたされるならば、わたしはあなたがたのかしらとなりましょう」。 10ギレアデの長老(ちょうろう)たちはエフタに()った、「(しゅ)はあなたとわたしたちの(あいだ)証人(しょうにん)です。わたしたちは(かなら)ずあなたの()われるとおりにしましょう」。 11そこでエフタはギレアデの長老(ちょうろう)たちと一緒(いっしょ)()った。(たみ)(かれ)()てて自分(じぶん)たちのかしらとし、大将(たいしょう)とした。それでエフタはミヅパで、自分(じぶん)言葉(ことば)をことごとく(しゅ)(まえ)()べた。
12かくてエフタはアンモンの人々(ひとびと)(おう)使者(ししゃ)をつかわして()った、「あなたはわたしとなんのかかわりがあって、わたしのところへ()めてきて、わたしの(くに)(たたか)おうとするのですか」。 13アンモンの人々(ひとびと)(おう)はエフタの使者(ししゃ)(こた)えた、「(むかし)、イスラエルがエジプトから(のぼ)ってきたとき、アルノンからヤボクに(およ)び、またヨルダンに(およ)ぶわたしの(くに)(うば)()ったからです。それゆえ(いま)(おだ)やかにそれを(かえ)しなさい」。 14エフタはまた使者(ししゃ)をアンモンの人々(ひとびと)(おう)につかわして、 15()わせた、「エフタはこう(もう)します、『イスラエルはモアブの()も、またアンモンの人々(ひとびと)()()りませんでした。 16イスラエルはエジプトから(のぼ)ってきたとき、荒野(あらの)をとおって紅海(こうかい)にいたり、カデシにきました。 17そしてイスラエルは使者(ししゃ)をエドムの(おう)につかわして「どうぞ、われわれにあなたの(くに)(とお)らせてください」と()わせましたが、エドムの(おう)()きいれませんでした。また(おな)じように(ひと)をモアブの(おう)につかわしたが、(かれ)承諾(しょうだく)しなかったので、イスラエルはカデシにとどまりました。 18それから荒野(あらの)をとおって、エドムの()とモアブの()(まわ)り、モアブの()東部(とうぶ)(たっ)し、アルノンの()こうに宿営(しゅくえい)しましたがモアブの領域(りょういき)には、はいりませんでした。アルノンはモアブの(さかい)だからです。 19(つぎ)にイスラエルはヘシボンの(おう)すなわちアモリびとの(おう)シホンに使者(ししゃ)をつかわし、シホンに()かって「どうぞ、われわれにあなたの(くに)をとおって、われわれの目的(もくてき)()()かせてください」と()わせました。 20ところがシホンはイスラエルを(しん)ぜず、その領域(りょういき)(とお)らせないばかりか、かえってすべての(たみ)(あつ)めてヤハヅに(じん)()り、イスラエルと(たたか)いましたが、 21イスラエルの(かみ)(しゅ)はシホンとそのすべての(たみ)をイスラエルの()にわたされたので、イスラエルは(かれ)らを()(やぶ)って、その土地(とち)()んでいたアモリびとの()をことごとく占領(せんりょう)し、 22アルノンからヤボクまでと、荒野(あらの)からヨルダンまで、アモリびとの領域(りょういき)をことごとく占領(せんりょう)しました。 23このようにイスラエルの(かみ)(しゅ)はその(たみ)イスラエルの(まえ)からアモリびとを()(はら)われたのに、あなたはそれを()ろうとするのですか。 24あなたは、あなたの(かみ)ケモシがあなたに()らせるものを()らないのですか。われわれはわれわれの(かみ)(しゅ)がわれわれの(まえ)から()(はら)われたものの土地(とち)()るのです。 25あなたはモアブの(おう)チッポルの()バラクにまさる(もの)ですか。バラクはかつてイスラエルと(あらそ)ったことがありますか。かつて(かれ)らと(たたか)ったことがありますか。 26イスラエルはヘシボンとその村里(むらざと)()み、またアロエルとその村里(むらざと)およびアルノンの(きし)沿()うすべての町々(まちまち)()むこと三百(ねん)になりますが、あなたがたはどうしてその(かん)にそれを()りもどさなかったのですか。 27わたしはあなたに(なに)(わる)(こと)をしたこともないのに、あなたはわたしと(たたか)って、わたしに(がい)(くわ)えようとします。審判者(しんぱんしゃ)であられる(しゅ)よ、どうぞ、きょう、イスラエルの人々(ひとびと)とアンモンの人々(ひとびと)との(あいだ)をおさばきください』」。 28しかしアンモンの人々(ひとびと)(おう)はエフタが()いつかわした言葉(ことば)をききいれなかった。
29(とき)(しゅ)(れい)がエフタに(のぞ)み、エフタはギレアデおよびマナセをとおって、ギレアデのミヅパに()き、ギレアデのミヅパから(すす)んでアンモンの人々(ひとびと)のところに()った。 30エフタは(しゅ)誓願(せいがん)()てて()った、「もしあなたがアンモンの人々(ひとびと)をわたしの()にわたされるならば、 31わたしがアンモンの人々(ひとびと)()って(かえ)るときに、わたしの(いえ)戸口(とぐち)から()てきて、わたしを(むか)えるものはだれでも(しゅ)のものとし、その(もの)燔祭(はんさい)としてささげましょう」。 32エフタはアンモンの人々(ひとびと)のところに(すす)んで()って、(かれ)らと(たたか)ったが、(しゅ)(かれ)らをエフタの()にわたされたので、 33アロエルからミンニテの附近(ふきん)まで、二十の(まち)()(はい)り、アベル・ケラミムに(いた)るまで、非常(ひじょう)(おお)くの(ひと)(ころ)した。こうしてアンモンの人々(ひとびと)はイスラエルの人々(ひとびと)(まえ)()()せられた。
34やがてエフタはミヅパに(かえ)り、自分(じぶん)(いえ)()ると、(かれ)(むすめ)(つづみ)をもち、()(おど)って(かれ)出迎(でむか)えた。彼女(かのじょ)はエフタのひとり()で、ほかに男子(だんし)女子(じょし)もなかった。 35エフタは彼女(かのじょ)()ると、(ころも)()いて()った、「ああ、(むすめ)よ、あなたは(まった)くわたしを()ちのめした。わたしを(なや)ますものとなった。わたしが(しゅ)(ちか)ったのだから(あらた)めることはできないのだ」。 36(むすめ)()った、「(ちち)よ、あなたは(しゅ)(ちか)われたのですから、(しゅ)があなたのために、あなたの(てき)アンモンの人々(ひとびと)報復(ほうふく)された(いま)、あなたが()われたとおりにわたしにしてください」。 37(むすめ)はまた(ちち)()った、「どうぞ、この(こと)をわたしにさせてください。すなわち二か(げつ)(あいだ)わたしをゆるし、(とも)だちと一緒(いっしょ)()って、山々(やまやま)をゆきめぐり、わたしの処女(しょじょ)であることを(なげ)かせてください」。 38エフタは「()きなさい」と()って、彼女(かのじょ)を二か(げつ)(あいだ)()してやった。彼女(かのじょ)(とも)だちと一緒(いっしょ)()って、(やま)(うえ)自分(じぶん)処女(しょじょ)であることを(なげ)いたが、 39二か(げつ)(のち)(ちち)のもとに(かえ)ってきたので、(ちち)(ちか)った誓願(せいがん)のとおりに彼女(かのじょ)におこなった。彼女(かのじょ)はついに(おとこ)()らなかった。 40これによって年々(ねんねん)イスラエルの(むすめ)たちは()って、(ねん)に四()ほどギレアデびとエフタの(むすめ)のために(なげ)くことがイスラエルのならわしとなった。

第十二章

1エフライムの人々(ひとびと)(あつ)まってザポンに()き、エフタに()った、「なぜあなたは(すす)んで()ってアンモンの人々(ひとびと)(たたか)いながら、われわれを(まね)いて一緒(いっしょ)()かせませんでしたか。われわれはあなたの(いえ)()をつけてあなたを一緒(いっしょ)()いてしまいます」。 2エフタは(かれ)らに()った、「かつてわたしとわたしの(たみ)がアンモンの人々(ひとびと)(おお)いに(あらそ)ったとき、あなたがたを()んだが、あなたがたはわたしを(かれ)らの()から(すく)ってくれませんでした。 3あなたがたが(すく)ってくれないのを()たから、わたしは(いのち)がけでアンモンの人々(ひとびと)のところへ()めて()きますと、(しゅ)(かれ)らをわたしの()にわたされたのです。どうしてあなたがたは、きょう、わたしのところに(のぼ)ってきて、わたしと(たたか)おうとするのですか」。 4そこでエフタはギレアデの人々(ひとびと)をことごとく(あつ)めてエフライムと(たたか)い、ギレアデの人々(ひとびと)はエフライムを()(やぶ)った。これはエフライムが「ギレアデびとよ、あなたがたはエフライムとマナセのうちにいるエフライムの落人(おちうど)だ」と()ったからである。 5そしてギレアデびとはエフライムに(わた)るヨルダンの(わた)()(おさ)えたので、エフライムの落人(おちうど)が「(わた)らせてください」と()うとき、ギレアデの人々(ひとびと)は「あなたはエフライムびとですか」と()い、その(ひと)がもし「そうではありません」と()うならば、 6またその(ひと)に「では『シボレテ』と()ってごらんなさい」と()い、その(ひと)がそれを(ただ)しく発音(はつおん)することができないで「セボレテ」と()うときは、その(ひと)(とら)えて、ヨルダンの(わた)()(ころ)した。その(とき)エフライムびとの(たお)れたものは四万二千(にん)であった。
7エフタは六(ねん)(あいだ)イスラエルをさばいた。ギレアデびとエフタはついに()んで、ギレアデの自分(じぶん)(まち)(ほうむ)られた。
8(かれ)(のち)にベツレヘムのイブザンがイスラエルをさばいた。 9(かれ)に三十(にん)のむすこがあった。また三十(にん)(むすめ)があったが、それを自分(じぶん)氏族(しぞく)以外(いがい)(もの)にとつがせ、むすこたちのためには三十(にん)(むすめ)をほかからめとった。(かれ)は七(ねん)(あいだ)イスラエルをさばいた。 10イブザンはついに()んで、ベツレヘムに(ほうむ)られた。
11(かれ)(のち)にゼブルンびとエロンがイスラエルをさばいた。(かれ)は十(ねん)(あいだ)イスラエルをさばいた。 12ゼブルンびとエロンはついに()んで、ゼブルンの()のアヤロンに(ほうむ)られた。
13(かれ)(のち)にピラトンびとヒレルの()アブドンがイスラエルをさばいた。 14(かれ)に四十(にん)のむすこ(およ)び三十(にん)(まご)があり、七十(とう)のろばに()った。(かれ)は八(ねん)(あいだ)イスラエルをさばいた。 15ピラトンびとヒレルの()アブドンはついに()んで、エフライムの()のアマレクびとの山地(さんち)にあるピラトンに(ほうむ)られた。

第十三章

1イスラエルの人々(ひとびと)がまた(しゅ)(まえ)(あく)(おこな)ったので、(しゅ)(かれ)らを四十(ねん)(あいだ)ペリシテびとの()にわたされた。
2ここにダンびとの氏族(しぞく)(もの)で、()をマノアというゾラの(ひと)があった。その(つま)はうまずめで、()()んだことがなかった。 3(しゅ)使(つかい)がその(おんな)(あらわ)れて()った、「あなたはうまずめで、()()んだことがありません。しかし、あなたは()ごもって(おとこ)()()むでしょう。 4それであなたは()をつけて、ぶどう(しゅ)または()(さけ)()んではなりません。またすべて(けが)れたものを()べてはなりません。 5あなたは()ごもって(おとこ)()()むでしょう。その(あたま)にかみそりをあててはなりません。その()(うま)れた(とき)から(かみ)にささげられたナジルびとです。(かれ)はペリシテびとの()からイスラエルを(すく)(はじ)めるでしょう」。 6そこでその(おんな)はきて(おっと)()った、「(かみ)(ひと)がわたしのところにきました。その(かお)かたちは(かみ)使(つかい)(かお)かたちのようで、たいそう(おそ)ろしゅうございました。わたしはその(ひと)が、どこからきたのか(たず)ねませんでしたが、その(ひと)もわたしに()()げませんでした。 7しかしその(ひと)はわたしに『あなたは()ごもって(おとこ)()()むでしょう。それであなたはぶどう(しゅ)または()(さけ)()んではなりません。またすべて(けが)れたものを()べてはなりません。その()(うま)れた(とき)から()()まで(かみ)にささげられたナジルびとです』と(もう)しました」。
8そこでマノアは(しゅ)(ねが)(もと)めて()った、「ああ、(しゅ)よ、どうぞ、あなたがさきにつかわされた(かみ)(ひと)をもう一()わたしたちに(のぞ)ませて、わたしたちがその(うま)れる()になすべきことを(おし)えさせてください」。 9(かみ)がマノアの(ねが)いを()かれたので、(かみ)使(つかい)(おんな)(はたけ)()していた(とき)、ふたたび彼女(かのじょ)(のぞ)んだ。しかし(おっと)マノアは一緒(いっしょ)にいなかった。 10(おんな)(いそ)(はし)って()って(おっと)()った、「さきごろ、わたしに(のぞ)まれた(ひと)がまたわたしに(あらわ)れました」。 11マノアは()って(つま)のあとについて()き、その(ひと)のもとに()って()った、「あなたはかつてこの(おんな)にお()げになったおかたですか」。その(ひと)()った、「そうです」。 12マノアは()った、「あなたの()われたことが事実(じじつ)となったとき、その()(そだ)(かた)およびこれになすべき(こと)はなんでしょうか」。 13(しゅ)使(つかい)はマノアに()った、「わたしがさきに(おんな)()ったことは(みな)(まも)らせなければなりません。 14すなわちぶどうの()から(さん)するものはすべて()べてはなりません。またぶどう(しゅ)()(さけ)()んではなりません。またすべて(けが)れたものを()べてはなりません。わたしが彼女(かのじょ)(めい)じたことは(みな)(まも)らせなければなりません」。
15マノアは(しゅ)使(つかい)()った、「どうぞ、わたしたちに、あなたを()()めさせ、あなたのために()やぎを(そな)えさせてください」。 16(しゅ)使(つかい)はマノアに()った、「あなたがわたしを()()めても、わたしはあなたの食物(しょくもつ)をたべません。しかしあなたが燔祭(はんさい)(そな)えようとなさるのであれば、(しゅ)にそれをささげなさい」。マノアは(かれ)(しゅ)使(つかい)であるのを()らなかったからである。 17マノアは(しゅ)使(つかい)()った、「あなたの()はなんといいますか。あなたの()われたことが事実(じじつ)となったとき、わたしたちはあなたをあがめましょう」。 18(しゅ)使(つかい)(かれ)()った、「わたしの()不思議(ふしぎ)です。どうしてあなたはそれをたずねるのですか」。 19そこでマノアは()やぎと素祭(そさい)とをとり、(いわ)(うえ)でそれを(しゅ)にささげた。(しゅ)不思議(ふしぎ)なことをされ、マノアとその(つま)はそれを()た。 20すなわち(ほのお)祭壇(さいだん)から(てん)にあがったとき、(しゅ)使(つかい)祭壇(さいだん)(ほのお)のうちにあってのぼった。マノアとその(つま)()て、()にひれ()した。
21(しゅ)使(つかい)はふたたびマノアとその(つま)(あらわ)れなかった。その(とき)マノアは(かれ)(しゅ)使(つかい)であることを()った。 22マノアは(つま)()かって()った、「わたしたちは(かみ)()たから、きっと()ぬであろう」。 23(つま)(かれ)()った、「(しゅ)がもし、わたしたちを(ころ)そうと(おも)われたのならば、わたしたちの()から燔祭(はんさい)素祭(そさい)をおうけにならなかったでしょう。またこれらのすべての(こと)をわたしたちにお(しめ)しになるはずはなく、また(いま)わたしたちにこのような(こと)をお()げにならなかったでしょう」。 24やがて(おんな)(おとこ)()()んで、その()をサムソンと()んだ。その()成長(せいちょう)し、(しゅ)(かれ)(めぐ)まれた。 25(しゅ)(れい)はゾラとエシタオルの(あいだ)のマハネダンにおいて(はじ)めて(かれ)感動(かんどう)させた。

第十四章

1サムソンはテムナに(くだ)って()き、ペリシテびとの(むすめ)で、テムナに()むひとりの(おんな)()た。 2(かれ)(かえ)ってきて父母(ふぼ)()った、「わたしはペリシテびとの(むすめ)で、テムナに()むひとりの(おんな)()ました。彼女(かのじょ)をめとってわたしの(つま)にしてください」。 3父母(ふぼ)()った、「あなたが()って、割礼(かつれい)をうけないペリシテびとのうちから(つま)(むか)えようとするのは、身内(みうち)(むすめ)たちのうちに、あるいはわたしたちのすべての(たみ)のうちに(おんな)がないためなのですか」。しかしサムソンは(ちち)()った、「彼女(かのじょ)をわたしにめとってください。彼女(かのじょ)はわたしの(こころ)にかないますから」。
4父母(ふぼ)はこの(こと)(しゅ)から()たものであることを()らなかった。サムソンはペリシテびとを()めようと、おりをうかがっていたからである。そのころペリシテびとはイスラエルを(おさ)めていた。
5かくてサムソンは父母(ふぼ)(とも)にテムナに(くだ)って()った。(かれ)がテムナのぶどう(はたけ)()くと、一(とう)(わか)いししがほえたけって(かれ)()かってきた。 6(とき)(しゅ)(れい)(はげ)しく(かれ)(のぞ)んだので、(かれ)はあたかも()やぎを()くようにそのししを()いたが、()にはなんの武器(ぶき)()っていなかった。しかしサムソンはそのしたことを(ちち)にも(はは)にも()げなかった。 7サムソンは(くだ)って()って(おんな)(はな)()ったが、(おんな)はサムソンの(こころ)にかなった。 8()がたって(のち)、サムソンは彼女(かのじょ)をめとろうとして(かえ)ったが、(みち)(てん)じて、かのししのしかばねを()ると、ししのからだに、はちの()れと、(みつ)があった。 9(かれ)はそれをかきあつめ、()にとって(ある)きながら()べ、父母(ふぼ)のもとに(かえ)って、(かれ)らに(あた)えたので、(かれ)らもそれを()べた。しかし、ししのからだからその(みつ)をかきあつめたことは(かれ)らに()げなかった。
10そこで(ちち)(くだ)って、(おんな)のもとに()ったので、サムソンはそこにふるまいを(もう)けた。そうすることは花婿(はなむこ)のならわしであったからである。 11人々(ひとびと)はサムソンを()ると、三十(にん)(きゃく)()れてきて、同席(どうせき)させた。 12サムソンは(かれ)らに()った、「わたしはあなたがたに一つのなぞを()しましょう。あなたがたがもし七日(なぬか)のふるまいのうちにそれを()いて、わたしに()げることができたなら、わたしはあなたがたに亜麻(あま)着物(きもの)三十と、()()三十をさしあげましょう。 13しかしあなたがたが、それをわたしに()げることができなければ、亜麻(あま)着物(きもの)三十と()()三十をわたしにくれなければなりません」。(かれ)らはサムソンに()った、「なぞを()しなさい。わたしたちはそれを()きましょう」。 14サムソンは(かれ)らに()った、
()らう(もの)から()(もの)()
(つよ)(もの)から(あま)(もの)()た」。
(かれ)らは三()のあいだなぞを()くことができなかった。
15()()になって、(かれ)らはサムソンの(つま)()った、「あなたの(おっと)()きすすめて、なぞをわたしたちに()かすようにしてください。そうしなければ、わたしたちは()をつけてあなたとあなたの(ちち)(いえ)()いてしまいます。あなたはわたしたちの(もの)()るために、わたしたちを(まね)いたのですか」。 16そこでサムソンの(つま)はサムソンの(まえ)()いて()った、「あなたはただわたしを(にく)むだけで、(あい)してくれません。あなたはわたしの(くに)人々(ひとびと)になぞを()して、それをわたしに()()かしませんでした」。サムソンは彼女(かのじょ)()った、「わたしは自分(じぶん)(ちち)にも(はは)にも()()かさなかった。どうしてあなたに()()かせよう」。 17彼女(かのじょ)七日(なぬか)のふるまいの(あいだ)(かれ)(まえ)()いていたが、七日(なぬか)()になって、サムソンはついに彼女(かのじょ)()()かした。ひどく(かれ)(せま)ったからである。そこで彼女(かのじょ)はなぞを自分(じぶん)(くに)人々(ひとびと)にあかした。 18七日(なぬか)()になって、()(ぼっ)する(まえ)(まち)人々(ひとびと)はサムソンに()った、
(みつ)より(あま)いものに(なに)があろう。
ししより(つよ)いものに(なに)があろう」。
サムソンは(かれ)らに()った、
「わたしの(わか)雌牛(めうし)(たがや)さなかったなら、
わたしのなぞは()けなかった」。
19この(とき)(しゅ)(れい)(はげ)しくサムソンに(のぞ)んだので、サムソンはアシケロンに(くだ)って()って、その(まち)(もの)三十(にん)(ころ)し、(かれ)らからはぎ()って、かのなぞを()いた人々(ひとびと)に、その()()(あた)え、(はげ)しく(いか)って(ちち)(いえ)(かえ)った。 20サムソンの(つま)花婿(はなむこ)付添人(つきそいにん)であった(きゃく)(つま)となった。

第十五章

1()がたって(のち)(むぎ)(かり)(とき)にサムソンは()やぎを(たずさ)えて(つま)をおとずれ、「へやにはいって、(つま)()いましょう」と()ったが、(つま)(ちち)ははいることを(ゆる)さなかった。 2そして(ちち)()った、「あなたが(たし)かに彼女(かのじょ)をきらったに相違(そうい)ないと(おも)ったので、わたしは彼女(かのじょ)をあなたの(きゃく)であった(もの)にやりました。彼女(かのじょ)(いもうと)彼女(かのじょ)よりもきれいではありませんか。どうぞ、彼女(かのじょ)(かわ)りに(いもうと)をめとってください」。 3サムソンは(かれ)らに()った、「今度(こんど)はわたしがペリシテびとに(がい)(くわ)えても、(かれ)らのことでは、わたしに(つみ)がない」。 4そこでサムソンは()って、きつね三百(ひき)(とら)え、たいまつをとり、()()をあわせて、その二つの()(あいだ)に一つのたいまつを(むす)びつけ、 5たいまつに()をつけて、そのきつねをペリシテびとのまだ()らない(むぎ)(なか)(はな)()れ、そのたばね()んだものと、まだ()らないものとを()き、オリブ(はたけ)をも()いた。 6ペリシテびとは()った、「これはだれのしわざか」。人々(ひとびと)()った、「テムナびとの婿(むこ)サムソンだ。そのしゅうとがサムソンの(つま)()(かえ)して、その(きゃく)であった(もの)(あた)えたからだ」。そこでペリシテびとは(のぼ)ってきて彼女(かのじょ)とその(ちち)(いえ)()()(はら)った。 7サムソンは(かれ)らに()った、「あなたがたがそんなことをするならば、わたしはあなたがたに仕返(しかえ)しせずにはおかない」。 8そしてサムソンは(かれ)らを、さんざんに()って(だい)ぜい(ころ)した。こうしてサムソンは(くだ)って()って、エタムの(いわ)()()()んでいた。
9そこでペリシテびとは(のぼ)ってきて、ユダに(じん)()り、レヒを()めたので、 10ユダの人々(ひとびと)()った、「あなたがたはどうしてわれわれのところに()めのぼってきたのですか」。(かれ)らは()った、「われわれはサムソンを(しば)り、(かれ)がわれわれにしたように、(かれ)にするために(のぼ)ってきたのです」。 11そこでユダの人々(ひとびと)三千(にん)がエタムの(いわ)()()(くだ)って()って、サムソンに()った、「ペリシテびとはわれわれの支配者(しはいしゃ)であることをあなたは()らないのですか。あなたはどうしてわれわれにこんな(こと)をしたのですか」。サムソンは(かれ)らに()った、「(かれ)らがわたしにしたように、わたしは(かれ)らにしたのです」。 12(かれ)らはまたサムソンに()った、「われわれはあなたを(しば)って、ペリシテびとの()にわたすために(くだ)ってきたのです」。サムソンは(かれ)らに()った、「あなたがた自身(じしん)はわたしを()たないということを(ちか)いなさい」。 13(かれ)らはサムソンに()った、「いや、われわれはただ、あなたを(しば)って、ペリシテびとの()にわたすだけです。(けっ)してあなたを(ころ)しません」。(かれ)らは二(ほん)(あたら)しい(つな)をもって(かれ)(しば)って、(いわ)からひきあげた。
14サムソンがレヒにきたとき、ペリシテびとは(こえ)をあげて、(かれ)(ちか)づいた。その(とき)(しゅ)(れい)(はげ)しく(かれ)(のぞ)んだので、(かれ)(うで)にかかっていた(つな)()()けた亜麻(あま)のようになって、そのなわめが()から()けて()ちた。 15(かれ)はろばの(あたら)しいあご(ほね)一つを()つけたので、()()べて()り、それをもって一千(にん)()(ころ)した。 16そしてサムソンは()った、
「ろばのあご(ほね)をもって(やま)また(やま)(きず)き、
ろばのあご(ほね)をもって一千(にん)()(ころ)した」。
17(かれ)()(おわ)ると、その()からあご(ほね)()げすてた。これがためにその(ところ)は「あご(ほね)(おか)」と()ばれた。
18(とき)(かれ)はひどくかわきを(おぼ)えたので、(しゅ)()ばわって()った、「あなたはしもべの()をもって、この(おお)きな(すくい)(ほどこ)されたのに、わたしは(いま)、かわいて()に、割礼(かつれい)をうけないものの()(おちい)ろうとしています」。 19そこで(かみ)はレヒにあるくぼんだ(ところ)()かれたので、そこから(みず)(なが)()た。サムソンがそれを()むと(かれ)(れい)はもとにかえって(もと)()づいた。それでその()を「()ばわった(もの)(いずみ)」と()んだ。これは今日(こんにち)までレヒにある。 20サムソンはペリシテびとの時代(じだい)に二十(ねん)(あいだ)イスラエルをさばいた。

第十六章

1サムソンはガザへ()って、そこでひとりの遊女(ゆうじょ)()、その(おんな)のところにはいった。 2「サムソンがここにきた」と、ガザの人々(ひとびと)()げるものがあったので、ガザの人々(ひとびと)はその(ところ)()(かこ)み、夜通(よどお)(まち)(もん)()()せし、「われわれは(あさ)まで()って(かれ)(ころ)そう」と()って、夜通(よどお)(しず)かにしていた。 3サムソンは夜中(よなか)まで()たが、夜中(よなか)()きて、(まち)(もん)のとびらと二つの門柱(もんちゅう)()をかけて、(かん)()もろともに()()き、(かた)()せて、ヘブロンの()かいにある(やま)(いただき)(はこ)んで()った。
4この(のち)、サムソンはソレクの(たに)にいるデリラという(おんな)(あい)した。 5ペリシテびとの(きみ)たちはその(おんな)のところにきて()った、「あなたはサムソンを()きすすめて、(かれ)大力(だいりき)はどこにあるのか、またわれわれはどうすれば(かれ)()って、(かれ)(しば)(くる)しめることができるかを()つけなさい。そうすればわれわれはおのおの(ぎん)千百(まい)ずつをあなたにさしあげましょう」。 6そこでデリラはサムソンに()った、「あなたの大力(だいりき)はどこにあるのか、またどうすればあなたを(しば)って(くる)しめることができるか、どうぞわたしに()かせてください」。 7サムソンは(おんな)()った、「人々(ひとびと)がもし、かわいたことのない七(ほん)(あたら)しい弓弦(ゆみづる)をもってわたしを(しば)るなら、わたしは(よわ)くなってほかの(ひと)のようになるでしょう」。 8そこでペリシテびとの(きみ)たちが、かわいたことのない七(ほん)(あたら)しい弓弦(ゆみづる)(おんな)()ってきたので、(おんな)はそれをもってサムソンを(しば)った。 9(おんな)はかねて(おく)のへやに(ひと)(しの)ばせておいて、サムソンに()った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに(せま)っています」。しかしサムソンはその弓弦(ゆみづる)を、あたかも亜麻(あま)(いと)()にあって()たれるように()()った。こうして(かれ)(ちから)秘密(ひみつ)()れなかった。
10デリラはサムソンに()った、「あなたはわたしを(あざむ)いて、うそを()いました。どうしたらあなたを(しば)ることができるか、どうぞ(いま)わたしに()かせてください」。 11サムソンは(おんな)()った、「もし人々(ひとびと)がまだ(もち)いたことのない(あたら)しい(つな)をもって、わたしを(しば)るなら、(よわ)くなってほかの(ひと)のようになるでしょう」。 12そこでデリラは(あたら)しい(つな)をとり、それをもって(かれ)(しば)り、そして(かれ)()った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに(せま)っています」。(とき)人々(ひとびと)(おく)のへやに(しの)んでいたが、サムソンはその(つな)(いと)のように(うで)から()(おと)した。
13そこでデリラはサムソンに()った、「あなたは(いま)まで、わたしを(あざむ)いて、うそを()いましたが、どうしたらあなたを(しば)ることができるか、わたしに()かせてください」。(かれ)(おんな)()った、「あなたがもし、わたしの(かみ)()七ふさを(はた)縦糸(たていと)一緒(いっしょ)()って、くぎでそれを()めておくならば、わたしは(よわ)くなってほかの(ひと)のようになるでしょう」。そこで(かれ)(ねむ)ったとき、デリラはサムソンの(かみ)()、七ふさをとって、それを(はた)縦糸(たていと)()()み、 14くぎでそれを()めておいて、(かれ)()った、「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに(せま)っています」。しかしサムソンは()をさまして、くぎと(はた)縦糸(たていと)とを()()いた。
15そこで(おんな)はサムソンに()った、「あなたの(こころ)がわたしを(はな)れているのに、どうして『おまえを(あい)する』と()うことができますか。あなたはすでに三()もわたしを(あざむ)き、あなたの大力(だいりき)がどこにあるかをわたしに()げませんでした」。 16(おんな)毎日(まいにち)その言葉(ことば)をもって(かれ)(せま)(うなが)したので、(かれ)(たましい)()ぬばかりに(くる)しんだ。 17(かれ)はついにその(こころ)をことごとく()()けて(おんな)()った、「わたしの(あたま)にはかみそりを()てたことがありません。わたしは(うま)れた(とき)から(かみ)にささげられたナジルびとだからです。もし(かみ)をそり(おと)されたなら、わたしの(ちから)()って(よわ)くなり、ほかの(ひと)のようになるでしょう」。
18デリラはサムソンがその(こころ)をことごとく()()けたのを()(ひと)をつかわしてペリシテびとの(きみ)たちを()んで()った、「サムソンはその(こころ)をことごとくわたしに()()けましたから、今度(こんど)こそ(のぼ)っておいでなさい」。そこでペリシテびとの(きみ)たちは、(ぎん)(たずさ)えて(おんな)のもとに(のぼ)ってきた。 19(おんな)自分(じぶん)のひざの(うえ)にサムソンを(ねむ)らせ、(ひと)()んで(かみ)()、七ふさをそり(おと)させ、(かれ)(くる)しめ(はじ)めたが、その(ちから)(かれ)()っていた。 20そして(おんな)が「サムソンよ、ペリシテびとがあなたに(せま)っています」と()ったので、(かれ)()をさまして()った、「わたしはいつものように()()って、からだをゆすろう」。(かれ)(しゅ)自分(じぶん)()られたことを()らなかった。 21そこでペリシテびとは(かれ)(とら)えて、(りょう)()をえぐり、ガザに()いて()って、青銅(せいどう)(あし)かせをかけて(かれ)をつないだ。こうしてサムソンは獄屋(ごくや)(なか)で、うすをひいていたが、 22その(かみ)()はそり(おと)された(のち)、ふたたび()(はじ)めた。
23さてペリシテびとの(きみ)たちは、(かれ)らの(かみ)ダゴンに(おお)いなる犠牲(ぎせい)をささげて(しゅく)をしようと、(とも)(あつ)まって()った、「われわれの(かみ)は、(てき)サムソンをわれわれの()にわたされた」。 24(たみ)はサムソンを()て、自分(じぶん)たちの(かみ)をほめたたえて()った、「われわれの(かみ)は、われわれの(くに)(あら)し、われわれを(おお)(ころ)した(てき)をわれわれの()にわたされた」。 25(かれ)らはまた(こころ)(よろこ)んで()った、「サムソンを()んで、われわれのために()(ごと)をさせよう」。(かれ)らは獄屋(ごくや)からサムソンを()()して、(かれ)らの(まえ)()(ごと)をさせた。(かれ)らがサムソンを(はしら)のあいだに()たせると、 26サムソンは自分(じぶん)()をひいている若者(わかもの)()った、「わたしの()(はな)して、この(いえ)をささえている(はしら)をさぐらせ、それに()りかからせてください」。 27その(いえ)には男女(だんじょ)()ち、ペリシテびとの(きみ)たちも(みな)そこにいた。また屋根(やね)(うえ)には三千(にん)ばかりの男女(だんじょ)がいて、サムソンの()(ごと)をするのを()ていた。
28サムソンは(しゅ)()ばわって()った、「ああ、(しゅ)なる(かみ)よ、どうぞ、わたしを(おぼ)えてください。ああ、(かみ)よ、どうぞもう一()、わたしを(つよ)くして、わたしの二つの()の一つのためにでもペリシテびとにあだを(むく)いさせてください」。 29そしてサムソンは、その(いえ)をささえている二つの(なか)(はしら)の一つを(みぎ)()に、一つを(ひだり)()にかかえて、()をそれに()せ、 30「わたしはペリシテびとと(とも)()のう」と()って、(ちから)をこめて()をかがめると、(いえ)はその(なか)にいた(きみ)たちと、すべての(たみ)(うえ)(たお)れた。こうしてサムソンが()ぬときに(ころ)したものは、()きているときに(ころ)したものよりも(おお)かった。 31やがて(かれ)身内(みうち)(ひと)たちおよび(ちち)家族(かぞく)(もの)がみな(くだ)ってきて、(かれ)()()り、(たずさ)(のぼ)って、ゾラとエシタオルの(あいだ)にある(ちち)マノアの(はか)(ほうむ)った。サムソンがイスラエルをさばいたのは二十(ねん)であった。

第十七章

1ここにエフライムの山地(さんち)(ひと)で、()をミカと()ぶものがあった。 2(かれ)(はは)()った、「あなたはかつて(ぎん)千百(まい)()られたので、それをのろい、わたしにも(はな)されましたが、その(ぎん)はわたしが()っています。わたしがそれを()ったのです」。(はは)()った、「どうぞ(しゅ)がわが()祝福(しゅくふく)されますように」。 3そして(かれ)(ぎん)千百(まい)(はは)(かえ)したので、(はは)()った、「わたしはわたしの()のために一つの(きざ)んだ(ぞう)と、一つの()(ぞう)(つく)るためにその(ぎん)をわたしの()から(しゅ)献納(けんのう)します。それで(いま)それをあなたに(かえ)しましょう」。 4ミカがその(ぎん)(はは)(かえ)したので、(はは)はその(ぎん)二百(まい)をとって、それを(ぎん)細工人(ざいくにん)(あた)え、一つの(きざ)んだ(ぞう)と、一つの()(ぞう)(つく)らせた。その(ぞう)はミカの(いえ)にあった。 5このミカという(ひと)(かみ)(みや)をもち、エポデとテラピムを(つく)り、その()のひとりを()てて、自分(じぶん)祭司(さいし)とした。 6そのころイスラエルには(おう)がなかったので、人々(ひとびと)はおのおの自分(じぶん)たちの()(ただ)しいと(おも)うことを(おこな)った。
7さてここにユダの氏族(しぞく)のもので、ユダのベツレヘムからきたひとりの若者(わかもの)があった。(かれ)はレビびとであって、そこに寄留(きりゅう)していたのである。 8この(ひと)自分(じぶん)()むべきところを(たず)ねて、ユダのベツレヘムの(まち)()り、(たび)してエフライムの山地(さんち)のミカの(いえ)にきた。 9ミカは(かれ)()った、「あなたはどこからおいでになりましたか」。(かれ)()った、「わたしはユダのベツレヘムのレビびとですが、()むべきところを(たず)ねて(たび)をしているのです」。 10ミカは()った、「わたしと一緒(いっしょ)にいて、わたしのために(ちち)とも祭司(さいし)ともなってください。そうすれば(ねん)(ぎん)(まい)衣服(いふく)ひとそろいと食物(しょくもつ)とをさしあげましょう」。 11レビびとはついにその(ひと)一緒(いっしょ)()むことを承諾(しょうだく)した。そしてその若者(わかもの)(かれ)()のひとりのようになった。 12ミカはレビびとであるこの若者(わかもの)()てて自分(じぶん)祭司(さいし)としたので、(かれ)はミカの(いえ)にいた。 13それでミカは()った、「(いま)わたしはレビびとを祭司(さいし)()つようになったので、(しゅ)がわたしをお(めぐ)みくださることがわかりました」。

第十八章

1そのころイスラエルには(おう)がなかった。そのころダンびとの部族(ぶぞく)はイスラエルの部族(ぶぞく)のうちにあって、その()までまだ()(ぎょう)()()なかったので自分(じぶん)たちの()むべき()(ぎょう)()(もと)めていた。 2それでダンの人々(ひとびと)自分(じぶん)部族(ぶぞく)総勢(そうぜい)のうちから、勇者(ゆうしゃ)(にん)をゾラとエシタオルからつかわして土地(とち)をうかがい(さぐ)らせた。すなわち(かれ)らに()った、「()って土地(とち)(さぐ)ってきなさい」。(かれ)らはエフライムの山地(さんち)()き、ミカの(いえ)()いて、そこに宿(やど)ろうとした。 3(かれ)らがミカの(いえ)(ちか)づいたとき、レビびとである若者(わかもの)(こえ)()きわけたので、()をめぐらしてそこにはいって(かれ)()った、「だれがあなたをここに()れてきたのですか。あなたはここで(なに)をしているのですか。ここになんの(よう)があるのですか」。 4若者(わかもの)(かれ)らに()った、「ミカが、かようかようにしてわたしを(やと)ったので、わたしはその祭司(さいし)となったのです」。 5(かれ)らは()った、「どうぞ、(かみ)(うかが)って、われわれが()(みち)にしあわせがあるかどうかを()らせてください」。 6その祭司(さいし)(かれ)らに()った、「安心(あんしん)して()きなさい。あなたがたが()(みち)(しゅ)見守(みまも)っておられます」。
7そこで五(にん)(もの)()ってライシに()き、そこにいる(たみ)()ると、(かれ)らは(やす)らかに()まい、その(おだ)やかで(やす)らかなことシドンびとのようであって、この(くに)には一つとして()けたものがなく、(とみ)()ち、またシドンびとと(とお)(はな)れており、ほかの(たみ)(まじ)わることがなかった。 8かくて(かれ)らがゾラとエシタオルにおる兄弟(きょうだい)たちのもとに(かえ)ってくると、兄弟(きょうだい)たちは(かれ)らに()った、「いかがでしたか」。 9(かれ)らは()った、「()って(かれ)らのところに()(のぼ)りましょう。われわれはかの()()たが、非常(ひじょう)(ゆた)かです。あなたがたはなぜじっとしているのですか。ためらわずに(すす)んで()って、かの()()りなさい。 10あなたがたが()けば、(やす)らかにおる(たみ)(ところ)()くでしょう。その()(ひろ)く、(かみ)はそれをあなたがたの()(たま)わるのです。そこには()にあるもの一つとして()けているものはありません」。
11そこでダンの氏族(しぞく)のもの六百(にん)武器(ぶき)()びて、ゾラとエシタオルを出発(しゅっぱつ)し、 12(のぼ)って()ってユダのキリアテ・ヤリムに(じん)()った。このゆえに、その(ところ)今日(こんにち)までマハネダンと()ばれる。それはキリアテ・ヤリムの西(にし)にある。 13(かれ)らはそこからエフライムの山地(さんち)(すす)み、ミカの(いえ)()いた。
14かのライシの(くに)をうかがいに()った五(にん)(もの)はその兄弟(きょうだい)たちに()った、「あなたがたはこれらの(いえ)にエポデとテラピムと(きざ)んだ(ぞう)()(ぞう)のあるのを()っていますか。それであなたがたは(いま)、なすべきことを()めなさい」。 15そこで(かれ)らはその(ほう)()をめぐらして、かのレビびとの若者(わかもの)(いえ)すなわちミカの(いえ)()って、(かれ)安否(あんぴ)()うた。 16しかし武器(ぶき)()びた六百(にん)のダンの人々(ひとびと)(もん)入口(いりぐち)()っていた。 17かの土地(とち)をうかがいに()った五(にん)(もの)(のぼ)って()って、そこにはいり、(きざ)んだ(ぞう)とエポデとテラピムと()(ぞう)とを()ったが、祭司(さいし)武器(ぶき)()びた六百(にん)(もの)(とも)(もん)入口(いりぐち)()っていた。 18(かれ)らがミカの(いえ)にはいって(きざ)んだ(ぞう)とエポデとテラピムと()(ぞう)とを()った(とき)祭司(さいし)(かれ)らに()った、「あなたがたは(なに)をなさいますか」。 19(かれ)らは()った、「(だま)りなさい。あなたの()(くち)にあてて、われわれと一緒(いっしょ)にきて、われわれのために(ちち)とも祭司(さいし)ともなりなさい。ひとりの(いえ)祭司(さいし)であるのと、イスラエルの(いち)部族(ぶぞく)(いち)氏族(しぞく)祭司(さいし)であるのと、どちらがよいですか」。 20祭司(さいし)(よろこ)んで、エポデとテラピムと(きざ)んだ(ぞう)とを()り、(たみ)のなかに(くわ)わった。
21かくて(かれ)らは()をめぐらして()り、その()(とも)たちと家畜(かちく)()(ざい)をさきにたてて(すす)んだが、 22ミカの(いえ)をはるかに(はな)れたとき、ミカは(いえ)(ちか)(いえ)人々(ひとびと)(あつ)め、ダンの人々(ひとびと)()いつき、 23ダンの人々(ひとびと)()んだので、(かれ)らはふり()いてミカに()った、「あなたがそのように仲間(なかま)()れてきたのは、どうしたのですか」。 24(かれ)()った、「あなたがたが、わたしの(つく)った神々(かみがみ)および祭司(さいし)(うば)()ったので、わたしに(なに)(のこ)っていますか。しかるにあなたがたがわたしに()かって『どうしたのですか』と()われるとは何事(なにごと)ですか」。 25ダンの人々(ひとびと)(かれ)()った、「あなたは(おお)きな(こえ)()さないがよい。()(あら)連中(れんちゅう)があなたに()ちかかって、あなたは自分(じぶん)(いのち)家族(かぞく)(いのち)(うしな)うようになるでしょう」。 26こうしてダンの人々(ひとびと)()って()ったが、ミカは(かれ)らの(つよ)いのを()て、くびすをかえして自分(じぶん)(いえ)(かえ)った。
27さて(かれ)らはミカが(つく)った(もの)と、ミカと(とも)にいた祭司(さいし)とを(うば)ってライシにおもむき、(おだ)やかで、(やす)らかな(たみ)のところへ()って、つるぎをもって(かれ)らを()ち、()をつけてその(まち)()いたが、 28シドンを(とお)(はな)れており、ほかの(たみ)との(まじ)わりがなかったので、それを(すく)うものがなかった。その(まち)はベテレホブに(ぞく)する(たに)にあった。(かれ)らは(まち)()てなおしてそこに()み、 29イスラエルに(うま)れた先祖(せんぞ)ダンの()にしたがって、その(まち)()をダンと()づけた。その(まち)()はもとはライシであった。 30そしてダンの人々(ひとびと)(きざ)んだ(ぞう)自分(じぶん)たちのために安置(あんち)し、モーセの(まご)すなわちゲルショムの()ヨナタンとその子孫(しそん)がダンびとの部族(ぶぞく)祭司(さいし)となって、(くに)捕囚(ほしゅう)となる()にまで(およ)んだ。 31(かみ)(いえ)がシロにあったあいだ、(つね)(かれ)らはミカが(つく)ったその(きざ)んだ(ぞう)(かざ)って()いた。

第十九章

1そのころ、イスラエルに(おう)がなかった(とき)、エフライムの山地(さんち)(おく)にひとりのレビびとが寄留(きりゅう)していた。(かれ)はユダのベツレヘムからひとりの(おんな)(むか)えて、めかけとしていたが、 2そのめかけは(いか)って、(かれ)のところを()り、ユダのベツレヘムの(ちち)(いえ)(かえ)って、そこに四か(げつ)ばかり()ごした。 3そこで(おっと)彼女(かのじょ)をなだめて()(かえ)ろうと、しもべと二(とう)のろばを(したが)え、()って彼女(かのじょ)のあとを()って()った。(かれ)(おんな)(ちち)(いえ)()いた(とき)(むすめ)(ちち)(かれ)()て、(よろこ)んで(むか)えた。 4(むすめ)(ちち)であるしゅうとが()()めたので、(かれ)は三()(とも)におり、みな()()いしてそこに宿(やど)った。 5()()(かれ)らは(あさ)はやく()き、(かれ)()()ろうとしたので、(むすめ)(ちち)婿(むこ)()った、「(すこ)食事(しょくじ)をして元気(げんき)をつけ、それから()かけなさい」。 6そこでふたりは()して(とも)()()いしたが、(むすめ)(ちち)はその(ひと)()った、「どうぞもう一晩(ひとばん)()まって(たの)しく()ごしなさい」。 7その(ひと)()って()ろうとしたが、しゅうとがしいたので、ついにまたそこに宿(やど)った。 8()()になって、(あさ)はやく()きて()ろうとしたが、(むすめ)(ちち)()った、「どうぞ、元気(げんき)をつけて、()(かたむ)くまでとどまりなさい」。そこで(かれ)らふたりは食事(しょくじ)をした。 9その(ひと)がついにめかけおよびしもべと(とも)()ろうとして()ちあがったとき、(むすめ)(ちち)であるしゅうとは(かれ)()った、「()()れようとしている。どうぞもう一(ばん)()まりなさい。()(かたむ)いた。ここに宿(やど)って(たの)しく()ごしなさい。そしてあしたの(あさ)はやく()きて出立(しゅったつ)し、(いえ)(かえ)りなさい」。
10しかし、その(ひと)()まることを(この)まないので、()って()り、エブスすなわちエルサレムの()かいに()いた。くらをおいた二(とう)のろばと(かれ)のめかけも一緒(いっしょ)であった。 11(かれ)らがエブスに(ちか)づいたとき、()はすでに(ぼっ)したので、しもべは主人(しゅじん)()った、「さあ、われわれは(みち)(てん)じてエブスびとのこの(まち)にはいって、そこに宿(やど)りましょう」。 12主人(しゅじん)(かれ)()った、「われわれは(みち)(てん)じて、イスラエルの人々(ひとびと)(まち)でない外国(がいこく)(じん)(まち)に、はいってはならない。ギベアまで()こう」。 13(かれ)はまたしもべに()った、「さあ、われわれはギベアかラマか、そのうちの一つに()いてそこに宿(やど)ろう」。 14(かれ)らは(すす)んで()ったが、ベニヤミンに(ぞく)するギベアの(ちか)くで()()れたので、 15ギベアへ()って宿(やど)ろうと、そこに(みち)(てん)じ、(まち)にはいって、その広場(ひろば)()した。だれも(かれ)らを(いえ)(むか)えて()めてくれる(もの)がなかったからである。
16(とき)にひとりの老人(ろうじん)夕暮(ゆうぐれ)(はたけ)仕事(しごと)から(かえ)ってきた。この(ひと)はエフライムの山地(さんち)(もの)で、ギベアに寄留(きりゅう)していたのである。ただしこの(ところ)人々(ひとびと)はベニヤミンびとであった。 17(かれ)()をあげて、(まち)広場(ひろば)旅人(たびびと)のおるのを()た。老人(ろうじん)()った、「あなたはどこへ()かれるのですか。どこからおいでになりましたか」。 18その(ひと)()った、「われわれはユダのベツレヘムから、エフライムの山地(さんち)(おく)()くものです。わたしはあそこの(もの)で、ユダのベツレヘムへ()き、(いま)わたしの(いえ)(かえ)るところですが、だれもわたしを(いえ)()めてくれる(もの)がありません。 19われわれには、ろばのわらも飼葉(かいば)もあり、またわたしと、はしためと、しもべと(とも)にいる若者(わかもの)との食物(しょくもつ)(さけ)もあって、(なに)()けているものはありません」。 20老人(ろうじん)()った、「安心(あんしん)しなさい。あなたの必要(ひつよう)なものはなんでも(そな)えましょう。ただ広場(ひろば)(よる)()ごしてはなりません」。 21そして(かれ)(いえ)()れていって、ろばに飼葉(かいば)(あた)えた。(かれ)らは(あし)(あら)って()()いした。
22(かれ)らが(たの)しく()ごしていた(とき)(まち)人々(ひとびと)(わる)(もの)どもがその(いえ)()(かこ)み、()()ちたたいて、(いえ)のあるじである老人(ろうじん)()った、「あなたの(いえ)にきた(ひと)()しなさい。われわれはその(もの)()るであろう」。 23しかし(いえ)のあるじは(かれ)らのところに()ていって()った、「いいえ、兄弟(きょうだい)たちよ、どうぞ、そんな(わる)いことをしないでください。この(ひと)はすでにわたしの(いえ)にはいったのだから、そんなつまらない(こと)をしないでください。 24ここに処女(しょじょ)であるわたしの(むすめ)と、この(ひと)のめかけがいます。(いま)それを()しますから、それをはずかしめ、あなたがたの()きなようにしなさい。しかしこの(ひと)にはそのようなつまらない(こと)をしないでください」。 25しかし人々(ひとびと)()きいれなかったので、その(ひと)自分(じぶん)のめかけをとって(かれ)らのところに()した。(かれ)らはその(おんな)(おか)して(あさ)まで終夜(しゅうや)はずかしめ、()ののぼるころになって(はな)(かえ)らせた。 26(あさ)になって(おんな)自分(じぶん)主人(しゅじん)宿(やど)してくれた(ひと)(いえ)戸口(とぐち)にきて(たお)()し、(よる)のあけるまでに(およ)んだ。
27彼女(かのじょ)主人(しゅじん)(あさ)()きて(いえ)()(ひら)き、()旅立(たびだ)とうとすると、そのめかけである(おんな)(いえ)戸口(とぐち)に、()敷居(しきい)にかけて(たお)れていた。 28(かれ)(おんな)()かって、「()きよ、()こう」と()ったけれども、なんの(こたえ)もなかった。そこでその(ひと)(おんな)をろばに()せ、()って自分(じぶん)(いえ)におもむいたが、 29その(いえ)()いたとき、(かたな)()り、めかけを(とら)えて、そのからだを十二()れに()()り、それをイスラエルの(ぜん)領域(りょういき)にあまねく(おく)った。 30それを()たものはみな()った、「イスラエルの人々(ひとびと)がエジプトの()から(のぼ)ってきた()から今日(こんにち)まで、このような(こと)()ったこともなく、また()たこともない。この(こと)をよく(かんが)え、協議(きょうぎ)して()うことを()めよ」。

第二十章

1そこでイスラエルの人々(ひとびと)は、ダンからベエルシバまで、またギレアデの()からもみな()てきて、その会衆(かいしゅう)はひとりのようにミヅパで(しゅ)のもとに(あつ)まった。 2(たみ)首領(しゅりょう)たち、すなわちイスラエルのすべての部族(ぶぞく)首領(しゅりょう)たちは、みずから(かみ)(たみ)集合(しゅうごう)()た。つるぎを()びている歩兵(ほへい)が四十万(にん)あった。 3ベニヤミンの人々(ひとびと)は、イスラエルの人々(ひとびと)がミヅパに(のぼ)ったことを()いた。イスラエルの人々(ひとびと)()った、「どうして、この悪事(あくじ)(おこ)ったのか、われわれに(はな)してください」。 4(ころ)された(おんな)(おっと)であるレビびとは(こた)えて()った、「わたしは、めかけと一緒(いっしょ)にベニヤミンに(ぞく)するギベアへ()って宿(やど)りましたが、 5ギベアの人々(ひとびと)()ってわたしを()め、()()に、わたしのおる(いえ)()(かこ)んで、わたしを(ころ)そうと(くわだ)て、ついにわたしのめかけをはずかしめて、()なせました。 6それでわたしはめかけを(とら)えて()()り、それをイスラエルの()(ぎょう)のすべての地方(ちほう)にあまねく(おく)りました。(かれ)らがイスラエルにおいて(にく)むべきみだらなことを(おこな)ったからです。 7イスラエルの人々(ひとびと)よ、あなたがたは(みな)自分(じぶん)意見(いけん)(かんが)えをここに()べてください」。
8(たみ)(みな)ひとりのように()って()った、「われわれはだれも自分(じぶん)天幕(てんまく)()きません。まただれも自分(じぶん)(いえ)(かえ)りません。 9われわれが(いま)ギベアに(たい)してしようとする(こと)はこれです。われわれはくじを()いて、ギベアに()めのぼりましょう。 10すなわちイスラエルのすべての部族(ぶぞく)から百(にん)について十(にん)、千(にん)について百(にん)、万(にん)について千(にん)(えら)んで、(たみ)糧食(りょうしょく)をとらせ、(たみ)はベニヤミンのギベアに()って、ベニヤミンびとがイスラエルにおいておこなったすべてのみだらな(こと)(たい)して、報復(ほうふく)しましょう」。 11こうしてイスラエルの人々(ひとびと)(みな)(あつ)まり、一致(いっち)結束(けっそく)して(まち)()めようとした。
12イスラエルのもろもろの部族(ぶぞく)人々(ひとびと)をあまねくベニヤミンの部族(ぶぞく)のうちにつかわして()わせた、「あなたがたのうちに()ったこの(こと)は、なんたる悪事(あくじ)でしょうか。 13それで(いま)ギベアにいるあの(わる)人々(ひとびと)をわたしなさい。われわれは(かれ)らを(ころ)して、イスラエルから(あく)(のぞ)()りましょう」。しかしベニヤミンの人々(ひとびと)はその兄弟(きょうだい)であるイスラエルの人々(ひとびと)言葉(ことば)()きいれなかった。 14かえってベニヤミンの人々(ひとびと)町々(まちまち)からギベアに(あつ)まり、()てイスラエルの人々(ひとびと)(たたか)おうとした。 15その()町々(まちまち)から(あつ)まったベニヤミンの人々(ひとびと)はつるぎを()びている(もの)二万六千(にん)あり、ほかにギベアの住民(じゅうみん)(あつ)まった精兵(せいへい)が七百(にん)あった。 16このすべての(たみ)のうちに(ひだり)ききの精兵(せいへい)が七百(にん)あって、いずれも一(ぽん)()すじをねらって(いし)()げても、はずれることがなかった。 17イスラエルの人々(ひとびと)(あつ)まった(もの)はベニヤミンを(のぞ)いて、つるぎを()びている(もの)四十万(にん)あり、いずれも軍人(ぐんじん)であった。
18イスラエルの人々(ひとびと)()ちあがってベテルにのぼり、(かみ)(たず)ねた、「われわれのうち、いずれがさきにのぼって、ベニヤミンの人々(ひとびと)(たたか)いましょうか」。(しゅ)()われた、「ユダがさきに」。
19そこでイスラエルの人々(ひとびと)は、(あさ)()きて、ギベアに(たい)(じん)()った。 20すなわちイスラエルの人々(ひとびと)はベニヤミンと(たたか)うために()()って、ギベアで(かれ)らに(たい)して(たたか)いの(そな)えをしたが、 21ベニヤミンの人々(ひとびと)はギベアから()てきて、その()イスラエルの人々(ひとびと)のうち二万二千(にん)()()(たお)した。 22しかしイスラエルの(たみ)人々(ひとびと)(ふる)いたって(はじ)めの()(そな)えをした(ところ)にふたたび(たたか)いの(そな)えをした。 23そしてイスラエルの人々(ひとびと)(のぼ)って()って(しゅ)(まえ)夕暮(ゆうぐれ)まで()き、(しゅ)(たず)ねた、「われわれは(ふたた)びわれわれの兄弟(きょうだい)であるベニヤミンの人々(ひとびと)(たたか)いを(まじ)えるべきでしょうか」。(しゅ)()われた、「()めのぼれ」。
24そこでイスラエルの人々(ひとびと)は、(つぎ)()またベニヤミンの人々(ひとびと)(ところ)()めよせたが、 25ベニヤミンは(つぎ)()またギベアから()て、これを(むか)え、ふたたびイスラエルの人々(ひとびと)のうち一万八千(にん)()()(たお)した。これらは(みな)つるぎを()びている(もの)であった。 26これがためにイスラエルのすべての人々(ひとびと)すなわち(ぜん)(ぐん)はベテルに(のぼ)って()って()き、その(ところ)(しゅ)(まえ)()して、その()夕暮(ゆうぐれ)まで断食(だんじき)し、燔祭(はんさい)酬恩祭(しゅうおんさい)(しゅ)(まえ)にささげた。 27そしてイスラエルの人々(ひとびと)(しゅ)(たず)ね、——そのころ(かみ)契約(けいやく)(はこ)はそこにあって、 28アロンの()エレアザルの()であるピネハスが、それに(つか)えていた——そして()った、「われわれはなおふたたび()て、われわれの兄弟(きょうだい)であるベニヤミンの人々(ひとびと)(たたか)うべきでしょうか。あるいはやめるべきでしょうか」。(しゅ)()われた、「のぼれ。わたしはあす(かれ)らをあなたがたの()にわたすであろう」。
29そこでイスラエルはギベアの周囲(しゅうい)伏兵(ふくへい)()き、 30そしてイスラエルの人々(ひとびと)は三()()にまたベニヤミンの人々(ひとびと)のところに()めのぼり、(まえ)のようにギベアに(たい)して(そな)えをした。 31ベニヤミンの人々(ひとびと)()て、(たみ)(むか)えたが、ついに(まち)からおびき()されたので、(かれ)らは(まえ)のように大路(おおじ)(たみ)()ちはじめ、また()でイスラエルの(ひと)を三十(にん)ばかり(ころ)した。その大路(おおじ)は、一つはベテルに(いた)り、一つはギベアに(いた)るものであった。 32ベニヤミンの人々(ひとびと)()った、「(かれ)らは(はじ)めのように、われわれの(まえ)()(やぶ)られる」。しかしイスラエルの人々(ひとびと)()った、「われわれは()げて、(かれ)らを(まち)から大路(おおじ)におびき()そう」。 33そしてイスラエルの人々(ひとびと)(みな)その(ところ)から()ってバアル・タマルに(そな)えをした。その(かん)()()せていたイスラエルの人々(ひとびと)がその(ところ)から、すなわちゲバの西(にし)から(あらわ)()た。 34すなわちイスラエルの(ぜん)(ぐん)のうちから精兵(せいへい)一万(にん)がきて、ギベアを(おそ)い、その(たたか)いは(はげ)しかった。しかしベニヤミンの人々(ひとびと)(わざわい)自分(じぶん)たちに(せま)っているのを()らなかった。 35(しゅ)がイスラエルの(まえ)にベニヤミンを()(やぶ)られたので、イスラエルの人々(ひとびと)は、その()ベニヤミンびと二万五千一百(にん)(ころ)した。これらは(みな)つるぎを()びている(もの)であった。 36こうしてベニヤミンの人々(ひとびと)自分(じぶん)たちの()(やぶ)られたのを()た。
そこでイスラエルの人々(ひとびと)はギベアに(たい)して(もう)けた伏兵(ふくへい)をたのんで、ベニヤミンびとを()けて退(しりぞ)いた。 37伏兵(ふくへい)(いそ)いでギベアに()()り、(すす)んでつるぎをもって(まち)をことごとく()った。 38イスラエルの人々(ひとびと)伏兵(ふくへい)(あいだ)(さだ)めた合図(あいず)は、(まち)から(おお)いなるのろしがあがるとき、 39イスラエルの人々(ひとびと)(たたか)いに(てん)じることであった。さてベニヤミンは(はじ)めイスラエルの人々(ひとびと)()って三十(にん)ばかりを(ころ)したので()った、「まことに(かれ)らは最初(さいしょ)(たたか)いのようにわれわれの(まえ)()(やぶ)られる」。 40しかし、のろしが(けむり)(はしら)となって(まち)からのぼりはじめたので、ベニヤミンの人々(ひとびと)がうしろを()ると、(まち)はみな(けむり)となって(てん)にのぼっていた。 41その(とき)イスラエルの人々(ひとびと)()きを()えたので、ベニヤミンの人々(ひとびと)(わざわい)自分(じぶん)たちに(せま)ったのを()て、うろたえ、 42イスラエルの人々(ひとびと)(まえ)から()をめぐらして荒野(あらの)(ほう)()かったが、(たたか)いが(かれ)らに()(せま)り、(まち)から()てきた(もの)どもは、(かれ)らを(なか)にはさんで(ころ)した。 43すなわちイスラエルの人々(ひとびと)はベニヤミンの人々(ひとびと)()(たお)し、()()ち、()みにじって、ノハから(ひがし)(ほう)ギベアの()かいにまで(およ)んだ。 44ベニヤミンの(たお)れた(もの)は一万八千(にん)で、みな勇士(ゆうし)であった。 45(かれ)らは()をめぐらして荒野(あらの)(ほう)、リンモンの(いわ)まで()げたが、イスラエルの人々(ひとびと)大路(おおじ)でそのうち五千(にん)()(たお)し、なおも追撃(ついげき)してギドムに(いた)り、そのうちの二千(にん)(ころ)した。 46こうしてその()ベニヤミンの(たお)れた(もの)はつるぎを()びている(もの)()わせて二万五千(にん)で、みな勇士(ゆうし)であった。 47しかし六百(にん)(もの)()をめぐらして荒野(あらの)(ほう)、リンモンの(いわ)まで()げて、四か(げつ)(あいだ)リンモンの(いわ)()んだ。 48そこでイスラエルの人々(ひとびと)はまた()をかえしてベニヤミンの人々(ひとびと)()め、つるぎをもって(ひと)(けもの)もすべて()つけたものを()(ころ)し、また()つけたすべての(まち)()をかけた。

第二十一章

1かつてイスラエルの人々(ひとびと)はミヅパで、「われわれのうちひとりもその(むすめ)をベニヤミンびとの(つま)として(あた)える(もの)があってはならない」と()って(ちか)ったので、 2(たみ)はベテルに()って、そこで夕暮(ゆうぐれ)まで(かみ)(まえ)()し、(こえ)をあげて(はげ)しく()いて、 3()った、「イスラエルの(かみ)(しゅ)よ、どうしてイスラエルにこのような(こと)()って、今日(こんにち)イスラエルに一つの部族(ぶぞく)()けるようになったのですか」。 4翌日(よくじつ)(たみ)(はや)()きて、そこに祭壇(さいだん)(きず)き、燔祭(はんさい)酬恩祭(しゅうおんさい)をささげた。 5そしてイスラエルの人々(ひとびと)()った、「イスラエルのすべての部族(ぶぞく)のうちで集会(しゅうかい)(のぼ)って、(しゅ)のもとに()かなかった(もの)はだれか」。これは(かれ)らがミヅパにのぼって、(しゅ)のもとに()かない(もの)のことについて(おお)いなる(ちか)いを()てて、「その(ひと)(かなら)(ころ)されなければならない」と()ったからである。 6しかしイスラエルの人々(ひとびと)兄弟(きょうだい)ベニヤミンをあわれんで()った、「今日(こんにち)イスラエルに一つの部族(ぶぞく)()えた。 7われわれは(しゅ)をさして、われわれの(むすめ)(かれ)らに(つま)として(あた)えないと(ちか)ったので、かの(のこ)った(もの)どもに(つま)をめとらせるにはどうしたらよいであろうか」。
8(かれ)らはまた()った、「イスラエルの部族(ぶぞく)のうちで、ミヅパにのぼって(しゅ)のもとに()かなかったのはどの部族(ぶぞく)か」。ところがヤベシ・ギレアデからはひとりも陣営(じんえい)にきて集会(しゅうかい)(のぞ)んだ(もの)がなかった。 9すなわち(たみ)(あつ)めて()ると、ヤベシ・ギレアデの住民(じゅうみん)はひとりもそこにいなかった。 10そこで会衆(かいしゅう)勇士(ゆうし)一万二千(にん)をかしこにつかわし、これに(めい)じて()った、「ヤベシ・ギレアデに()って、その住民(じゅうみん)を、(おんな)子供(こども)もろともつるぎをもって()て。 11そしてこのようにしなければならない。すなわち(おとこ)および(おとこ)()(おんな)はことごとく(ほろ)ぼさなければならない」。 12こうして(かれ)らはヤベシ・ギレアデの住民(じゅうみん)のうちで四百(にん)(わか)処女(しょじょ)()た。これはまだ(おとこ)()たことがなく、(おとこ)()らない(もの)である。(かれ)らはこれをカナンの()にあるシロの陣営(じんえい)()れてきた。
13そこで(ぜん)会衆(かいしゅう)(ひと)をつかわして、リンモンの(いわ)におるベニヤミンの人々(ひとびと)平和(へいわ)()げた。 14ベニヤミンの人々(ひとびと)がその(とき)(かえ)ってきたので、(かれ)らはヤベシ・ギレアデの(おんな)のうちから()かしておいた(おんな)をこれに(あた)えたが、なお()りなかった。 15こうして(たみ)は、(しゅ)がイスラエルの部族(ぶぞく)のうちに欠陥(けっかん)をつくられたことのために、ベニヤミンをあわれんだ。
16会衆(かいしゅう)長老(ちょうろう)たちは()った、「ベニヤミンの(おんな)()えたので、かの(のこ)りの(もの)どもに(つま)をめとらせるにはどうしたらよいでしょうか」。 17(かれ)らはまた()った、「イスラエルから一つの部族(ぶぞく)()えうせないためにベニヤミンのうちの(のこ)りの(もの)どもに、あとつぎがなければならない。 18しかし、われわれの(むすめ)(かれ)らの(つま)(あた)えることはできない。イスラエルの人々(ひとびと)が『ベニヤミンに(つま)(あた)える(もの)はのろわれる』と()って(ちか)ったからである」。 19それで(かれ)らは()った、「年々(ねんねん)シロに(しゅ)(まつり)がある」。シロはベテルの(きた)にあって、ベテルからシケムにのぼる大路(おおじ)(ひがし)、レバナの(みなみ)にある。 20そして(かれ)らはベニヤミンの人々(ひとびと)(めい)じて()った、「あなたがたは()って、ぶどう(はたけ)()()せして、 21うかがいなさい。もしシロの(むすめ)たちが(おど)りを(おど)りに()てきたならば、ぶどう(はたけ)から()て、シロの(むすめ)たちのうちから、めいめい自分(じぶん)(つま)をとって、ベニヤミンの()()れて()きなさい。 22もしその(ちち)あるいは兄弟(きょうだい)がきて、われわれに(うった)えるならば、われわれは(かれ)らに、『われわれのために(かれ)らをゆるしてください。戦争(せんそう)のときにわれわれは、(かれ)らおのおのに(つま)をとってやらなかったし、またあなたがたも(かれ)らに(あた)えなかったからです。もし(あた)えたならば、あなたがたは(つみ)(おか)したことになるからでした』と()いましょう」。 23ベニヤミンの人々(ひとびと)はそのように(おこな)い、(おど)っている(もの)どものうちから自分(じぶん)たちの(かず)にしたがって(つま)()り、それを()れて領地(りょうち)(かえ)り、町々(まちまち)()てなおして、そこに()んだ。 24こうしてイスラエルの人々(ひとびと)は、その(とき)そこを()って、おのおのその部族(ぶぞく)および氏族(しぞく)(かえ)った。すなわちそこを()って、おのおのその()(ぎょう)()(かえ)った。
25そのころ、イスラエルには(おう)がなかったので、おのおの自分(じぶん)()(ただ)しいと()るところをおこなった。