列王紀上

第一章

1ダビデ(おう)(とし)がすすんで()い、夜着(よぎ)()せても(あたた)まらなかったので、 2その家来(けらい)たちは(かれ)()った、「(おう)わが(しゅ)のために、ひとりの(わか)いおとめを(さが)(もと)めて(おう)にはべらせ、(おう)付添(つきそ)いとし、あなたのふところに()て、(おう)わが(しゅ)(あたた)めさせましょう」。 3そして(かれ)らはあまねくイスラエルの領土(りょうど)(うつく)しいおとめを(さが)(もと)めて、シュナミびとアビシャグを()(おう)のもとに()れてきた。 4おとめは非常(ひじょう)(うつく)しく、(おう)付添(つきそ)いとなって(おう)(つか)えたが、(おう)彼女(かのじょ)()ることがなかった。
5さてハギテの()アドニヤは(たか)ぶって、「わたしは(おう)となろう」と()い、自分(じぶん)のために戦車(せんしゃ)騎兵(きへい)および自分(じぶん)(まえ)()ける(もの)五十(にん)(そな)えた。 6(かれ)(ちち)(かれ)(うま)れてこのかた一()も「なぜ、そのような(こと)をするのか」と()って(かれ)をたしなめたことがなかった。アドニヤもまた非常(ひじょう)姿(すがた)()(ひと)であって、アブサロムの(つぎ)(うま)れた(もの)である。 7(かれ)がゼルヤの()ヨアブと祭司(さいし)アビヤタルとに相談(そうだん)したので、(かれ)らはアドニヤに(したが)って(かれ)(たす)けた。 8しかし祭司(さいし)ザドクと、エホヤダの()ベナヤと、預言者(よげんしゃ)ナタンおよびシメイとレイ、ならびにダビデの勇士(ゆうし)たちはアドニヤに(したが)わなかった。
9アドニヤはエンロゲルのほとりにある「へびの(いし)」のかたわらで、(ひつじ)(うし)()えた家畜(かちく)をほふって、(おう)()である自分(じぶん)兄弟(きょうだい)たち、および(おう)家来(けらい)であるユダの人々(ひとびと)をことごとく(まね)いた。 10しかし預言者(よげんしゃ)ナタンと、ベナヤと、勇士(ゆうし)たちと、自分(じぶん)兄弟(きょうだい)ソロモンとは(まね)かなかった。
11(とき)にナタンはソロモンの(はは)バテシバに()った、「ハギテの()アドニヤが(おう)となったのをお()きになりませんでしたか。われわれの(しゅ)ダビデはそれをごぞんじないのです。 12それでいま、あなたに(はか)りごとを(さづ)けて、あなたの(いのち)と、あなたの()ソロモンの(いのち)(すく)うようにいたしましょう。 13あなたはすぐダビデ(おう)のところへ()って、『(おう)わが(しゅ)よ、あなたは、はしために(ちか)って、おまえの()ソロモンが、わたしに()いで(おう)となり、わたしの(くらい)()するであろうと()われたではありませんか。そうであるのに、どうしてアドニヤが(おう)となったのですか』と()いなさい。 14あなたがなお(おう)(はな)しておられる(あいだ)に、わたしもまた、あなたのあとから、はいって()って、あなたの言葉(ことば)確認(かくにん)しましょう」。
15そこでバテシバは寝室(しんしつ)にはいって(おう)(ところ)()った。((おう)非常(ひじょう)()いて、シュナミびとアビシャグが(おう)(つか)えていた)。 16バテシバは()をかがめて(おう)(はい)した。(おう)()った、「(なに)(よう)か」。 17彼女(かのじょ)(おう)()った、「わが(しゅ)よ、あなたは、あなたの(かみ)(しゅ)をさして、はしために(ちか)い、『おまえの()ソロモンがわたしに()いで(おう)となり、わたしの(くらい)()するであろう』と()われました。 18そうであるのに、ごらんなさい、(いま)アドニヤが(おう)となりました。(おう)わが(しゅ)よ、あなたはそれをごぞんじないのです。 19(かれ)(うし)()えた家畜(かちく)(ひつじ)をたくさんほふって、(おう)()たち、および祭司(さいし)アビヤタルと、(ぐん)(ちょう)ヨアブを(まね)きましたが、あなたのしもべソロモンは(まね)きませんでした。 20(おう)わが(しゅ)よ、イスラエルのすべての()はあなたに(そそ)がれ、だれがあなたに()いで、(おう)わが(しゅ)(くらい)()すべきかを()げられるのを(のぞ)んでいます。 21(おう)わが(しゅ)先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)られるとき、わたしと、わたしの()ソロモンは謀叛(むほん)(ひと)とみなされるでしょう」。
22バテシバがなお(おう)(はな)しているうちに、預言者(よげんしゃ)ナタンがはいってきた。 23人々(ひとびと)(おう)()げて、「預言者(よげんしゃ)ナタンがここにおります」と()った。(かれ)(おう)(まえ)にはいり、()()して(おう)(はい)した。 24そしてナタンは()った、「(おう)わが(しゅ)よ、あなたは、『アドニヤがわたしに()いで(おう)となり、わたしの(くらい)()するであろう』と(おお)せられましたか。 25(かれ)はきょう(くだ)っていって、(うし)と、()えた家畜(かちく)(ひつじ)をたくさんほふって、(おう)()たちと、(ぐん)(ちょう)ヨアブと、祭司(さいし)アビヤタルを(まね)きました。(かれ)らはアドニヤの(まえ)()()みして、『アドニヤ万歳(ばんざい)』と()いました。 26しかし、あなたのしもべであるわたしと、祭司(さいし)ザドクと、エホヤダの()ベナヤと、あなたのしもべソロモンを(まね)きませんでした。 27この(こと)(おう)わが(しゅ)がさせられた(こと)ですか。あなたはしもべたちに、だれがあなたに()いで(おう)わが(しゅ)(くらい)()すべきかを()げられませんでした」。
28ダビデ(おう)(こた)えて()った、「バテシバをわたしのところに()びなさい」。彼女(かのじょ)(おう)(まえ)にはいってきて、(おう)(まえ)()った。 29すると(おう)(ちか)って()った、「わたしの(いのち)をすべての苦難(くなん)から(すく)われた(しゅ)()きておられる。 30わたしがイスラエルの(かみ)(しゅ)をさしてあなたに(ちか)い、『あなたの()ソロモンがわたしに()いで(おう)となり、わたしに(かわ)って、わたしの(くらい)()するであろう』と()ったように、わたしはきょう、そのようにしよう」。 31そこでバテシバは()をかがめ、()()して(おう)(はい)し、「わが(しゅ)ダビデ(おう)が、とこしえに()きながらえられますように」と()った。
32ダビデは()った、「祭司(さいし)ザドクと、預言者(よげんしゃ)ナタンおよびエホヤダの()ベナヤをわたしの(ところ)()びなさい」。やがて(かれ)らは(おう)(まえ)にきた。 33(おう)(かれ)らに()った、「あなたがたの主君(しゅくん)家来(けらい)たちを()れ、わが()ソロモンをわたしの騾馬(らば)()せ、(かれ)(みちび)いてギホンに(くだ)り、 34その(ところ)祭司(さいし)ザドクと預言者(よげんしゃ)ナタンは(かれ)(あぶら)(そそ)いでイスラエルの(おう)としなさい。そしてラッパを()いて、『ソロモン(おう)万歳(ばんざい)』と()いなさい。 35それから、あなたがたは(かれ)(したが)って(のぼ)ってきなさい。(かれ)はきて、わたしの(くらい)()し、わたしに(かわ)って(おう)となるであろう。わたしは(かれ)()ててイスラエルとユダの(うえ)主君(しゅくん)とする」。 36エホヤダの()ベナヤは(おう)(こた)えて()った、「アァメン、(ねが)わくは、(おう)わが主君(しゅくん)(かみ)(しゅ)もまたそう(おお)せられますように。 37(ねが)わくは、(しゅ)(おう)わが主君(しゅくん)(とも)におられたように、ソロモンと(とも)におられて、その(くらい)をわが主君(しゅくん)ダビデ(おう)(くらい)よりも(おお)きくせられますように」。
38そこで祭司(さいし)ザドクと預言者(よげんしゃ)ナタンおよびエホヤダの()ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとは(くだ)って()って、ソロモンをダビデ(おう)騾馬(らば)()せ、(かれ)をギホンに(みちび)いて()った。 39祭司(さいし)ザドクは幕屋(まくや)から(あぶら)(つの)()ってきて、ソロモンに(あぶら)(そそ)いだ。そしてラッパを()()らし、(たみ)(みな)「ソロモン(おう)万歳(ばんざい)」と()った。 40(たみ)はみな(かれ)(したが)って(のぼ)り、(ふえ)()いて(おお)いに(よろこ)(いわ)った。()(かれ)らの(こえ)()けるばかりであった。
41アドニヤおよび(かれ)(とも)にいた(きゃく)たちは(みな)食事(しょくじ)(おわ)ったとき、これを()いた。ヨアブはラッパの(おと)()いて()った、「(まち)(なか)のあの(さわ)ぎは(なに)か」。 42(かれ)言葉(ことば)のなお(おわ)らないうちに、そこへ祭司(さいし)アビヤタルの()ヨナタンがきたので、アドニヤは(かれ)()った、「はいりなさい。あなたは勇敢(ゆうかん)(ひと)で、よい()らせを()ってきたのでしょう」。 43ヨナタンは(こた)えてアドニヤに()った、「いいえ、主君(しゅくん)ダビデ(おう)はソロモンを(おう)とせられました。 44(おう)祭司(さいし)ザドクと預言者(よげんしゃ)ナタンおよびエホヤダの()ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとをソロモンと(とも)につかわされたので、(かれ)らはソロモンを(おう)騾馬(らば)()せて()き、 45祭司(さいし)ザドクと預言者(よげんしゃ)ナタンはギホンで(かれ)(あぶら)(そそ)いで(おう)としました。そして(かれ)らがそこから(よろこ)んで(のぼ)って()るので、(まち)(さわ)がしいのです。あなたが()いた(こえ)はそれなのです。 46こうしてソロモンは(おう)(くらい)()し、 47かつ(おう)家来(けらい)たちがきて、主君(しゅくん)ダビデ(おう)(いわ)いを()べて、『(ねが)わくは、あなたの(かみ)がソロモンの()をあなたの()よりも(たか)くし、(かれ)(くらい)をあなたの(くらい)よりも(おお)きくされますように』と()いました。そして(おう)(ゆか)(うえ)(はい)されました。 48(おう)はまたこう()われました、『イスラエルの(かみ)(しゅ)はほむべきかな。(しゅ)はきょう、わたしの(くらい)()するひとりの()(あた)えて、これをわたしに()せてくださった』と」。
49その(とき)アドニヤと(とも)にいた(きゃく)はみな(おどろ)き、()っておのおの自分(じぶん)(みち)()って()った。 50そしてアドニヤはソロモンを(おそ)れ、()って()って祭壇(さいだん)(つの)をつかんだ。 51ある(ひと)がこれをソロモンに()げて()った、「アドニヤはソロモンを(おそ)れ、(いま)(かれ)祭壇(さいだん)(つの)をつかんで、『どうぞ、ソロモン(おう)がきょう、つるぎをもってしもべを(ころ)さないとわたしに(ちか)ってくださるように』と()っています」。 52ソロモンは()った、「もし(かれ)がよい(ひと)となるならば、その(かみ)()ひとすじも()()ちることはなかろう。しかし(かれ)のうちに(あく)のあることがわかるならば、(かれ)()ななければならない」。 53ソロモンは(ひと)をつかわして(かれ)祭壇(さいだん)からつれて(くだ)らせた。(かれ)がきてソロモンを(はい)したので、ソロモンは(かれ)に「(いえ)(かえ)りなさい」と()った。

第二章

1ダビデの()()(ちか)づいたので、(かれ)はその()ソロモンに(めい)じて()った、 2「わたしは()のすべての(ひと)()(みち)()こうとしている。あなたは(つよ)く、(おとこ)らしくなければならない。 3あなたの(かみ)(しゅ)のさとしを(まも)り、その(みち)(あゆ)み、その(さだ)めと(いまし)めと、おきてとあかしとを、モーセの律法(りっぽう)にしるされているとおりに(まも)らなければならない。そうすれば、あなたがするすべての(こと)と、あなたの()かうすべての(ところ)で、あなたは(さか)えるであろう。 4また(しゅ)がさきにわたしについて(かた)って『もしおまえの()たちが、その(みち)(つつし)み、(こころ)をつくし、精神(せいしん)をつくして真実(しんじつ)をもって、わたしの(まえ)(あゆ)むならば、おまえに()いでイスラエルの(くらい)にのぼる(ひと)が、()けることはなかろう』と()われた言葉(ことば)確実(かくじつ)にされるであろう。
5またあなたはゼルヤの()ヨアブがわたしにした(こと)、すなわち(かれ)がイスラエルのふたりの(ぐん)(ちょう)ネルの()アブネルと、エテルの()アマサにした(こと)()っている。(かれ)はこのふたりを(ころ)して、戦争(せんそう)(なが)した()太平(たいへい)(とき)(むく)い、(つみ)のない(もの)()をわたしの(こし)のまわりの(おび)と、わたしの(あし)のくつにつけた。 6それゆえ、あなたの知恵(ちえ)にしたがって(こと)(おこな)い、(かれ)のしらがを(やす)らかに陰府(よみ)(くだ)らせてはならない。 7ただしギレアデびとバルジライの()らには(めぐ)みを(ほどこ)し、(かれ)らをあなたの食卓(しょくたく)食事(しょくじ)する人々(ひとびと)のうちに(くわ)えなさい。(かれ)らはわたしがあなたの兄弟(きょうだい)アブサロムを()けて()げた(とき)、わたしを(むか)えてくれたからである。 8またバホリムのベニヤミンびとゲラの()シメイがあなたと(とも)にいる。(かれ)はわたしがマハナイムへ()った(とき)(はげ)しいのろいの言葉(ことば)をもってわたしをのろった。しかし(かれ)がヨルダンへ(くだ)ってきて、わたしを(むか)えたので、わたしは(しゅ)をさして(かれ)(ちか)い、『わたしはつるぎをもってあなたを(ころ)さない』と()った。 9しかし(かれ)(つみ)のない(もの)としてはならない。あなたは知恵(ちえ)のある(ひと)であるから、(かれ)になすべき(こと)()っている。あなたは(かれ)のしらがを()()めて陰府(よみ)(くだ)らせなければならない」。
10ダビデはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、ダビデの(まち)(ほうむ)られた。 11ダビデがイスラエルを(おさ)めた日数(にっすう)は四十(ねん)であった。すなわちヘブロンで七(ねん)、エルサレムで三十三(ねん)(おう)であった。 12このようにしてソロモンは(ちち)ダビデの(くらい)()し、(くに)(かた)(さだ)まった。
13さて、ハギテの()アドニヤがソロモンの(はは)バテシバのところへきたので、バテシバは()った、「あなたは(おだ)やかな(こと)のためにきたのですか」。(かれ)()った、「(おだ)やかな(こと)のためです」。 14(かれ)はまた()った、「あなたに(もう)しあげる(こと)があります」。バテシバは()った、「()いなさい」。 15(かれ)()った、「ごぞんじのように、(くに)はわたしのもので、イスラエルの(ひと)(みな)わたしが(おう)になるものと期待(きたい)していました。しかし(くに)(てん)じて、わたしの兄弟(きょうだい)のものとなりました。(かれ)のものとなったのは、(しゅ)から()たことです。 16(いま)わたしはあなたに一つのお(ねが)いがあります。(ことわ)らないでください」。バテシバは(かれ)()った、「()いなさい」。 17(かれ)()った、「どうかソロモン(おう)()うて、——(おう)はあなたに(ことわ)るようなことはないでしょうから——シュナミびとアビシャグをわたしに(あた)えて(つま)にさせてください」。 18バテシバは()った、「よろしい。わたしはあなたのために(おう)(はな)しましょう」。
19バテシバはアドニヤのためにソロモン(おう)(はな)すため、(おう)のもとへ()った。(おう)()って(むか)え、彼女(かのじょ)(はい)して王座(おうざ)()き、(おう)(はは)のために()(もう)けさせたので、彼女(かのじょ)(おう)(みぎ)()した。 20そこでバテシバは()った、「あなたに一つの(ちい)さいお(ねが)いがあります。お(ことわ)りにならないでください」。(おう)彼女(かのじょ)()った、「母上(ははうえ)よ、あなたの(ねが)いを()ってください。わたしは(ことわ)らないでしょう」。 21彼女(かのじょ)()った、「どうぞ、シュナミびとアビシャグをあなたの兄弟(きょうだい)アドニヤに(あた)えて、(つま)にさせてください」。 22ソロモン(おう)(こた)えて(はは)()った、「どうしてアドニヤのためにシュナミびとアビシャグを(もと)められるのですか。(かれ)のためには(くに)をも(もと)めなさい。(かれ)はわたしの(あに)で、(かれ)味方(みかた)には祭司(さいし)アビヤタルとゼルヤの()ヨアブがいるのですから」。 23そしてソロモン(おう)(しゅ)をさして(ちか)って()った、「もしアドニヤがこの言葉(ことば)によって自分(じぶん)(いのち)(うしな)うのでなければ、どんなにでもわたしを(ばっ)してください。 24わたしを()てて、(ちち)ダビデの(くらい)にのぼらせ、(しゅ)約束(やくそく)されたように、わたしに一家(いっか)(あた)えてくださった(しゅ)()きておられる。アドニヤはきょう(さつ)されなければならない」。 25ソロモン(おう)はエホヤダの()ベナヤをつかわしたので、(かれ)はアドニヤを()って(ころ)した。
26(おう)はまた祭司(さいし)アビヤタルに()った、「あなたの領地(りょうち)アナトテへ()きなさい。あなたは()(あた)(もの)ですが、さきにわたしの(ちち)ダビデの(まえ)(かみ)(しゅ)(はこ)をかつぎ、またすべてわたしの(ちち)()けた(くる)しみを、あなたも(とも)(くる)しんだので、わたしは、きょうは、あなたを(ころ)しません」。 27そしてソロモンはアビヤタルを(しゅ)祭司(さいし)(しょく)から追放(ついほう)した。こうして(しゅ)がシロでエリの(いえ)について()われた(しゅ)言葉(ことば)成就(じょうじゅ)した。
28さてこの()らせがヨアブに(たっ)したので、ヨアブは(しゅ)幕屋(まくや)にのがれて、祭壇(さいだん)(つの)をつかんだ。ヨアブはアブサロムを支持(しじ)しなかったけれども、アドニヤを支持(しじ)したからである。 29ヨアブが(しゅ)幕屋(まくや)にのがれて、祭壇(さいだん)のかたわらにいることを、ソロモン(おう)()げる(もの)があったので、ソロモン(おう)はエホヤダの()ベナヤをつかわし、「()って(かれ)()て」と()った。 30ベナヤは(しゅ)幕屋(まくや)()って(かれ)()った、「(おう)はあなたに、()()るようにと(もう)されます」。しかし(かれ)()った、「いや、わたしはここで()にます」。ベナヤは(おう)復命(ふくめい)して()った、「ヨアブはこう(もう)しました。またわたしにこう(こた)えました」。 31そこで(おう)はベナヤに()った、「(かれ)()うようにし、(かれ)()(ころ)して(ほうむ)り、ヨアブがゆえなく(なが)した()のとがをわたしと、わたしの(ちち)(いえ)から(のぞ)()りなさい。 32(しゅ)はまたヨアブが()(なが)した行為(こうい)を、(かれ)自身(じしん)のこうべに(むく)いられるであろう。これは(かれ)自分(じぶん)よりも(ただ)しいすぐれたふたりの(ひと)、すなわちイスラエルの(ぐん)(ちょう)ネルの()アブネルと、ユダの(ぐん)(ちょう)エテルの()アマサを、つるぎをもって()(ころ)し、わたしの(ちち)ダビデのあずかり()らない(こと)をしたからである。 33それゆえ、(かれ)らの()永遠(えいえん)にヨアブのこうべと、その子孫(しそん)のこうべに()すであろう。しかしダビデと、その子孫(しそん)と、その(いえ)と、その(くらい)とには、(しゅ)から(たま)わる平安(へいあん)永久(えいきゅう)にあるであろう」。 34そこでエホヤダの()ベナヤは(のぼ)っていって、(かれ)()(ころ)した。(かれ)荒野(あらの)にある自分(じぶん)(いえ)(ほうむ)られた。 35(おう)はエホヤダの()ベナヤを、ヨアブに(かわ)って(ぐん)(ちょう)とした。(おう)はまた祭司(さいし)ザドクをアビヤタルに(かわ)らせた。
36また(おう)(ひと)をつかわし、シメイを()して()った、「あなたはエルサレムのうちに、自分(じぶん)のために(いえ)()てて、そこに()み、そこからどこへも()てはならない。 37あなたが()て、キデロン(かわ)(わた)()には(かなら)(ころ)されることを、しかと()らなければならない。あなたの()はあなたのこうべに()すであろう」。 38シメイは(おう)()った、「お言葉(ことば)結構(けっこう)です。(おう)、わが(しゅ)(おお)せられるとおりに、しもべはいたしましょう」。こうしてシメイは(ひさ)しくエルサレムに()んだ。
39ところが三(ねん)(のち)、シメイのふたりの奴隷(どれい)が、ガテの(おう)マアカの()アキシのところへ()()った。人々(ひとびと)がシメイに()げて、「ごらんなさい、あなたの奴隷(どれい)はガテにいます」と()ったので、 40シメイは()って、ろばにくらを()き、ガテのアキシのところへ()って、その奴隷(どれい)(たず)ねた。すなわちシメイは()ってその奴隷(どれい)をガテから()れてきたが、 41シメイがエルサレムからガテへ()って(かえ)ったことがソロモン(おう)(きこ)えたので、 42(おう)(ひと)をつかわし、シメイを()して()った、「わたしはあなたに(しゅ)をさして(ちか)わせ、かつおごそかにあなたを(いまし)めて、『あなたが()て、どこかへ()()には、(かなら)(ころ)されることを、しかと()らなければならない』と()ったではないか。そしてあなたは、わたしに『お言葉(ことば)結構(けっこう)です。(したが)います』と()った。 43ところで、あなたはなぜ(しゅ)(たい)する(ちか)いと、わたしが(めい)じた命令(めいれい)(まも)らなかったのか」。 44(おう)はまたシメイに()った、「あなたは自分(じぶん)(こころ)に、あなたがわたしの(ちち)ダビデにしたもろもろの(あく)()っている。(しゅ)はあなたの(あく)をあなたのこうべに(むく)いられるであろう。 45しかしソロモン(おう)祝福(しゅくふく)をうけ、ダビデの(くらい)永久(えいきゅう)(しゅ)(まえ)(かた)()つであろう」。 46(おう)がエホヤダの()ベナヤに(めい)じたので、(かれ)()ていってシメイを()(ころ)した。こうして(くに)はソロモンの()(かた)()った。

第三章

1ソロモン(おう)はエジプトの(おう)パロと(ふち)(むす)び、パロの(むすめ)をめとってダビデの(まち)()れてきて、自分(じぶん)(いえ)と、(しゅ)(みや)と、エルサレムの周囲(しゅうい)城壁(じょうへき)()(おわ)るまでそこにおらせた。 2そのころまで(しゅ)()のために()てた(みや)がなかったので、(たみ)(たか)(ところ)犠牲(ぎせい)をささげていた。
3ソロモンは(しゅ)(あい)し、(ちち)ダビデの(さだ)めに(あゆ)んだが、ただ(かれ)(たか)(ところ)犠牲(ぎせい)をささげ、(こう)をたいた。 4ある()(おう)はギベオンへ()って、そこで犠牲(ぎせい)をささげようとした。それが主要(しゅよう)(たか)(ところ)であったからである。ソロモンは一千の燔祭(はんさい)をその祭壇(さいだん)にささげた。 5ギベオンで(しゅ)()(ゆめ)にソロモンに(あらわ)れて()われた、「あなたに(なに)(あた)えようか、(もと)めなさい」。 6ソロモンは()った、「あなたのしもべであるわたしの(ちち)ダビデがあなたに(たい)して誠実(せいじつ)公義(こうぎ)真心(まごころ)とをもって、あなたの(まえ)(あゆ)んだので、あなたは(おお)いなるいつくしみを(かれ)(しめ)されました。またあなたは(かれ)のために、この(おお)いなるいつくしみをたくわえて、今日(こんにち)(かれ)(くらい)()する()(さづ)けられました。 7わが(かみ)(しゅ)よ、あなたはこのしもべを、わたしの(ちち)ダビデに(かわ)って(おう)とならせられました。しかし、わたしは(ちい)さい子供(こども)であって、出入(でい)りすることを()りません。 8かつ、しもべはあなたが(えら)ばれた、あなたの(たみ)、すなわちその(かず)(おお)くて、(かぞ)えることも、調(しら)べることもできないほどのおびただしい(たみ)(なか)におります。 9それゆえ、()きわける(こころ)をしもべに(あた)えて、あなたの(たみ)をさばかせ、わたしに善悪(ぜんあく)をわきまえることを()させてください。だれが、あなたのこの(おお)いなる(たみ)をさばくことができましょう」。
10ソロモンはこの(こと)(もと)めたので、そのことが(しゅ)のみこころにかなった。 11そこで(かみ)(かれ)()われた、「あなたはこの(こと)(もと)めて、自分(じぶん)のために長命(ちょうめい)(もと)めず、また自分(じぶん)のために(とみ)(もと)めず、また自分(じぶん)(てき)(いのち)をも(もと)めず、ただ(うった)えをききわける知恵(ちえ)(もと)めたゆえに、 12()よ、わたしはあなたの言葉(ことば)にしたがって、(かしこ)い、英明(えいめい)(こころ)(あた)える。あなたの(さき)にはあなたに(なら)(もの)がなく、あなたの(のち)にもあなたに(なら)(もの)(おこ)らないであろう。 13わたしはまたあなたの(もと)めないもの、すなわち(とみ)(ほまれ)をもあなたに(あた)える。あなたの()きているかぎり、(おう)たちのうちにあなたに(なら)(もの)はないであろう。 14もしあなたが、あなたの(ちち)ダビデの(あゆ)んだように、わたしの(みち)(あゆ)んで、わたしの(さだ)めと命令(めいれい)とを(まも)るならば、わたしはあなたの()(なが)くするであろう」。
15ソロモンが()をさましてみると、それは(ゆめ)であった。そこで(かれ)はエルサレムへ()き、(しゅ)契約(けいやく)(はこ)(まえ)()って燔祭(はんさい)酬恩祭(しゅうおんさい)をささげ、すべての家来(けらい)のために祝宴(しゅくえん)(もう)けた。
16さて、ふたりの遊女(ゆうじょ)(おう)のところにきて、(おう)(まえ)()った。 17ひとりの(おんな)()った、「ああ、わが(しゅ)よ、この(おんな)とわたしとはひとつの(いえ)()んでいますが、わたしはこの(おんな)一緒(いっしょ)(いえ)にいる(とき)()()みました。 18ところがわたしの()んだ(のち)、三()()にこの(おんな)もまた()()みました。そしてわたしたちは一緒(いっしょ)にいましたが、(いえ)にはほかにだれもわたしたちと(とも)にいた(もの)はなく、ただわたしたちふたりだけでした。 19ところがこの(おんな)自分(じぶん)()(うえ)()したので、(よる)のうちにその()()にました。 20彼女(かのじょ)夜中(よなか)()きて、はしための(ねむ)っている(あいだ)に、わたしの()をわたしのかたわらから()って、自分(じぶん)のふところに()かせ、自分(じぶん)()んだ()をわたしのふところに()かせました。 21わたしは(あさ)()(ちち)()ませようとして()きて()ると()んでいました。しかし(あさ)になってよく()ると、それはわたしが()んだ()ではありませんでした」。 22ほかの(おんな)()った、「いいえ、()きているのがわたしの()です。()んだのはあなたの()です」。(はじ)めの(おんな)()った、「いいえ、()んだのがあなたの()です。()きているのはわたしの()です」。(かれ)らはこのように(おう)(まえ)()()った。
23この(とき)(おう)()った、「ひとりは『この()きているのがわたしの()で、()んだのがあなたの()だ』と()い、またひとりは『いいえ、()んだのがあなたの()で、()きているのはわたしの()だ』と()う」。 24そこで(おう)は「(かたな)()ってきなさい」と()ったので、(かたな)(おう)(まえ)()ってきた。 25(おう)()った、「()きている()を二つに()けて、半分(はんぶん)をこちらに、半分(はんぶん)をあちらに(あた)えよ」。 26すると()きている()(はは)である(おんな)は、その()のために(こころ)がやけるようになって、(おう)()った、「ああ、わが(しゅ)よ、()きている()彼女(かのじょ)(あた)えてください。(けっ)してそれを(ころ)さないでください」。しかしほかのひとりは()った、「それをわたしのものにも、あなたのものにもしないで、()けてください」。 27すると(おう)(こた)えて()った、「()きている()(はじ)めの(おんな)(あた)えよ。(けっ)して(ころ)してはならない。彼女(かのじょ)はその(はは)なのだ」。 28イスラエルは(みな)(おう)(あた)えた判決(はんけつ)()いて(おう)(おそ)れた。(かみ)知恵(ちえ)(かれ)のうちにあって、さばきをするのを()たからである。

第四章

1ソロモン(おう)はイスラエルの(ぜん)()(おう)であった。 2(かれ)高官(こうかん)たちは(つぎ)のとおりである。ザドクの()アザリヤは祭司(さいし)3シシャの()エリホレフとアヒヤは書記官(しょきかん)。アヒルデの()ヨシャバテは史官(しかん)4エホヤダの()ベナヤは(ぐん)(ちょう)。ザドクとアビヤタルは祭司(さいし)5ナタンの()アザリヤは代官(だいかん)(ちょう)。ナタンの()ザブデは祭司(さいし)で、(おう)(とも)であった。 6アヒシャルは宮内卿(くないきょう)。アブダの()アドニラムは徴募(ちょうぼ)(ちょう)であった。
7ソロモンはまたイスラエルの(ぜん)()に十二(にん)代官(だいかん)()いた。その人々(ひとびと)(おう)とその(いえ)のために食物(しょくもつ)(そな)えた。すなわちおのおの一(ねん)に一(つき)ずつ食物(しょくもつ)(そな)えるのであった。 8その()(つぎ)のとおりである。エフライムの山地(さんち)にはベンホル。 9マカヅと、シャラビムと、ベテシメシと、エロン・ベテハナンにはベンデケル。 10アルボテにはベンヘセデ、((かれ)はソコとヘペルの(ぜん)()担当(たんとう)した)。 11ドルの高地(こうち)全部(ぜんぶ)にはベン・アビナダブ、((かれ)はソロモンの(むすめ)タパテを(つま)とした)。 12アヒルデの()バアナはタアナクとメギドと、エズレルの(した)、ザレタンのかたわらにあるベテシャンの(ぜん)()担当(たんとう)して、ベテシャンからアベル・メホラに(いた)り、ヨクメアムの()こうにまで(およ)んだ。 13ラモテ・ギレアデにはベンゲベル、((かれ)はギレアデにあるマナセの()ヤイルの村々(むらむら)担当(たんとう)し、またバシャンにあるアルゴブの地方(ちほう)城壁(じょうへき)青銅(せいどう)(かん)()のある(おお)きな(まち)六十を担当(たんとう)した)。 14マハナイムにはイドの()アヒナダブ。 15ナフタリにはアヒマアズ、((かれ)もソロモンの(むすめ)バスマテを(つま)にめとった)。 16アセルとベアロテにはホシャイの()バアナ。 17イッサカルにはパルアの()ヨシャパテ。 18ベニヤミンにはエラの()シメイ。 19アモリびとの(おう)シホンの()およびバシャンの(おう)オグの()なるギレアデの()にはウリの()ゲベル。(かれ)はその()のただひとりの代官(だいかん)であった。
20ユダとイスラエルの人々(ひとびと)(おお)くて、(うみ)べの(すな)のようであったが、(かれ)らは()()いして(たの)しんだ。 21ソロモンはユフラテ(かわ)からペリシテびとの()と、エジプトの(さかい)(いた)るまでの諸国(しょこく)(おさ)めたので、(みな)みつぎ(もの)(たずさ)えてきて、ソロモンの一生(いっしょう)のあいだ(つか)えた。
22さてソロモンの一(にち)食物(しょくもつ)(こま)かい麦粉(むぎこ)三十コル、(あら)麦粉(むぎこ)六十コル、 23()えた(うし)(とう)牧場(まきば)(うし)二十(とう)(ひつじ)(とう)で、そのほかに()じか、かもしか、こじか、および()えた(とり)があった。 24これはソロモンがユフラテ(かわ)西(にし)地方(ちほう)をテフサからガザまで、ことごとく(おさ)めたからである。すなわち(かれ)はユフラテ(かわ)西(にし)諸王(しょおう)をことごとく(おさ)め、周囲(しゅうい)(いた)(ところ)平安(へいあん)()た。 25ソロモンの一生(いっしょう)(あいだ)、ユダとイスラエルはダンからベエルシバに(いた)るまで、(やす)らかにおのおの自分(じぶん)たちのぶどうの()(した)と、いちじくの()(した)()んだ。 26ソロモンはまた戦車(せんしゃ)(うま)の、うまや四千と、騎兵(きへい)一万二千を()っていた。 27そしてそれらの代官(だいかん)たちはおのおの当番(とうばん)(つき)にソロモン(おう)のため、およびすべてソロモン(おう)食卓(しょくたく)(つら)なる(もの)のために、食物(しょくもつ)(そな)えて()けることのないようにした。 28また(かれ)らはおのおのその割当(わりあて)にしたがって(うま)および早馬(はやうま)()わせる大麦(おおむぎ)とわらを、その(うま)のいる(ところ)()ってきた。
29(かみ)はソロモンに非常(ひじょう)(おお)くの知恵(ちえ)(さと)りを(さづ)け、また(うみ)べの砂原(すなはら)のように(ひろ)(こころ)(さづ)けられた。 30ソロモンの知恵(ちえ)(ひがし)人々(ひとびと)知恵(ちえ)とエジプトのすべての知恵(ちえ)にまさった。 31(かれ)はすべての(ひと)よりも(かしこ)く、エズラびとエタンよりも、またマホルの()ヘマン、カルコル、ダルダよりも(かしこ)く、その名声(めいせい)周囲(しゅうい)のすべての国々(くにぐに)(きこ)えた。 32(かれ)はまた箴言(しんげん)三千を()いた。またその(うた)は一千五(しゅ)あった。 33(かれ)はまた草木(くさき)のことを(ろん)じてレバノンの香柏(こうはく)から(いし)がきにはえるヒソプにまで(およ)んだ。(かれ)はまた(けもの)(とり)()うものと(うお)のことを(ろん)じた。 34諸国(しょこく)人々(ひとびと)はソロモンの知恵(ちえ)()くためにきた。()諸王(しょおう)はソロモンの知恵(ちえ)()いて(ひと)をつかわした。

第五章

1さてツロの(おう)ヒラムは、ソロモンが(あぶら)(そそ)がれ、その(ちち)(かわ)って、(おう)となったのを()いて、家来(けらい)をソロモンにつかわした。ヒラムは(つね)にダビデを(あい)したからである。 2そこでソロモンはヒラムに(ひと)をつかわして()った、 3「あなたの()られるとおり、(ちち)ダビデはその周囲(しゅうい)にあった(てき)との(たたか)いのゆえに、(かれ)(かみ)(しゅ)()のために(みや)()てることができず、(しゅ)(かれ)らをその(あし)(うら)(した)()かれるのを()ちました。 4ところが(いま)わが(かみ)(しゅ)はわたしに四方(しほう)太平(たいへい)(たま)わって、(てき)もなく、(わざわい)もなくなったので、 5(しゅ)(ちち)ダビデに『おまえに(かわ)って、おまえの(くらい)に、わたしがつかせるおまえの()、その(ひと)がわが()のために(みや)()てるであろう』と()われたように、わが(かみ)(しゅ)()のために(みや)()てようと(おも)います。 6それゆえ、あなたは命令(めいれい)(くだ)して、レバノンの香柏(こうはく)をわたしのために()()させてください。わたしのしもべたちをあなたのしもべたちと一緒(いっしょ)(はたら)かせます。またわたしはすべてあなたのおっしゃるとおり、あなたのしもべたちの賃銀(ちんぎん)をあなたに(はら)います。あなたの()られるとおり、わたしたちのうちにはシドンびとのように()()るに(たく)みな(ひと)がないからです」。
7ヒラムはソロモンの言葉(ことば)()いて(おお)いに(よろこ)び、「きょう、(しゅ)はあがむべきかな。(しゅ)はこのおびただしい(たみ)(おさ)める(かしこ)()をダビデに(たま)わった」と()った。 8そしてヒラムはソロモンに(ひと)をつかわして()った、「わたしはあなたが(もう)しおくられたことを()きました。香柏(こうはく)材木(ざいもく)と、いとすぎの材木(ざいもく)については、すべてお(のぞ)みのようにいたします。 9わたしのしもべどもにそれをレバノンから(うみ)(はこ)びおろさせましょう。わたしはそれをいかだに()んで、海路(かいろ)、あなたの指示(しじ)される場所(ばしょ)まで(おく)り、そこでそれをくずしましょう。あなたはそれを()()ってください。また、あなたはわたしの(いえ)のために食物(しょくもつ)供給(きょうきゅう)して、わたしの(のぞ)みをかなえてください」。 10こうしてヒラムはソロモンにすべて(のぞ)みのように香柏(こうはく)材木(ざいもく)と、いとすぎの材木(ざいもく)(あた)えた。 11またソロモンはヒラムにその(いえ)食物(しょくもつ)として小麦(こむぎ)二万コルを(あた)え、またオリブをつぶして()った(あぶら)二万コルを(あた)えた。このようにソロモンは年々(ねんねん)ヒラムに(あた)えた。 12(しゅ)約束(やくそく)されたようにソロモンに知恵(ちえ)(たま)わった。またヒラムとソロモンの(あいだ)平和(へいわ)であって、(かれ)らふたりは条約(じょうやく)(むす)んだ。
13ソロモン(おう)はイスラエルの(ぜん)()から強制的(きょうせいてき)労働者(ろうどうしゃ)徴募(ちょうぼ)した。その徴募(ちょうぼ)人員(じんいん)は三万(にん)であった。 14ソロモンは(かれ)らを一か(げつ)交代(こうたい)に一万(にん)ずつレバノンにつかわした。すなわち一か(げつ)レバノンに、二か(げつ)(いえ)にあり、アドニラムは徴募(ちょうぼ)監督(かんとく)であった。 15ソロモンにはまた()()(もの)が七万(にん)(やま)(いし)()(もの)が八万(にん)あった。 16ほかにソロモンには工事(こうじ)監督(かんとく)する上役(うわやく)官吏(かんり)が三千三百(にん)あって、工事(こうじ)(はたら)(たみ)監督(かんとく)した。 17(おう)(めい)じて(おお)きい高価(こうか)(いし)()()させ、()(いし)をもって(みや)(もとい)をすえさせた。 18こうしてソロモンの建築者(けんちくしゃ)と、ヒラムの建築者(けんちくしゃ)およびゲバルびとは(いし)()り、材木(ざいもく)(いし)とを(みや)()てるために(そな)えた。

第六章

1イスラエルの人々(ひとびと)がエジプトの()()(のち)四百八十(ねん)、ソロモンがイスラエルの(おう)となって(だい)(ねん)のジフの(つき)すなわち二(がつ)に、ソロモンは(しゅ)のために(みや)()てることを(はじ)めた。 2ソロモン(おう)(しゅ)のために()てた(みや)(なが)さ六十キュビト、(はば)二十キュビト、(たか)さ三十キュビトであった。 3(みや)拝殿(はいでん)(まえ)(ろう)(みや)(はば)にしたがって(なが)さ二十キュビト、その(はば)(みや)(まえ)で十キュビトであった。 4(かれ)(みや)に、内側(うちがわ)(ひろ)(わく)(まど)(つく)った。 5また(みや)(かべ)につけて周囲(しゅうい)脇屋(わきや)(もう)け、(みや)(かべ)すなわち拝殿(はいでん)本殿(ほんでん)(かべ)周囲(しゅうい)()てめぐらし、(みや)周囲(しゅうい)脇間(わきま)があるようにした。 6(した)脇間(わきま)(ひろ)さ五キュビト、(なか)(ひろ)さ六キュビト、(だい)三のは(ひろ)さ七キュビトであった。(みや)外側(そとがわ)には(かべ)(だん)(つく)って、(はり)(みや)(かべ)(なか)()()まないようにした。
7(みや)()てる(とき)に、(いし)()()()(ととの)えた(いし)をもって(つく)ったので、()てている(あいだ)(みや)のうちには、つちも、おのも、その()鉄器(てっき)もその(おと)(きこ)えなかった。
8(した)脇間(わきま)入口(いりぐち)(みや)右側(みぎがわ)にあり、(まわ)階段(かいだん)によって(なか)脇間(わきま)に、(なか)脇間(わきま)から(だい)三の脇間(わきま)にのぼった。 9こうして(かれ)(みや)()(おわ)り、香柏(こうはく)のたるきと(いた)をもって(みや)天井(てんじょう)(つく)った。 10また(みや)につけて、おのおの(たか)さ五キュビトの脇間(わきま)のある脇屋(わきや)()てめぐらし、香柏(こうはく)材木(ざいもく)をもって(みや)接続(せつぞく)させた。
11そこで(しゅ)言葉(ことば)がソロモンに(のぞ)んだ、 12「あなたが()てるこの(みや)については、もしあなたがわたしの(さだ)めに(あゆ)み、おきてを(おこな)い、すべての(いまし)めを(まも)り、それに(したが)って(あゆ)むならば、わたしはあなたの(ちち)ダビデに約束(やくそく)したことを成就(じょうじゅ)する。 13そしてわたしはイスラエルの人々(ひとびと)のうちに()み、わたしの(たみ)イスラエルを()てることはない」。
14こうしてソロモンは(みや)()(おわ)った。 15(かれ)香柏(こうはく)(いた)をもって(みや)(かべ)内側(うちがわ)()った。すなわち(みや)(ゆか)から天井(てんじょう)のたるきまで香柏(こうはく)(いた)()った。また、いとすぎの(いた)をもって(みや)(ゆか)()った。 16また(みや)(おく)に二十キュビトの(しつ)(ゆか)から天井(てんじょう)のたるきまで香柏(こうはく)(いた)をもって(つく)った。すなわち(みや)(うち)至聖所(しせいじょ)としての本堂(ほんどう)(つく)った。 17(みや)すなわち本殿(ほんでん)(まえ)にある拝殿(はいでん)(なが)さ四十キュビトであった。 18(みや)(うち)(がわ)香柏(こうはく)(いた)は、ひさごの(かたち)と、()いた(はな)浮彫(うきぼり)りにしたもので、みな香柏(こうはく)(いた)で、(いし)()えなかった。 19そして(しゅ)契約(けいやく)(はこ)()くために、(みや)(うち)(おく)本殿(ほんでん)(もう)けた。 20本殿(ほんでん)(なが)さ二十キュビト、(はば)二十キュビト、(たか)さ二十キュビトであって、純金(じゅんきん)でこれをおおった。また香柏(こうはく)祭壇(さいだん)(つく)った。 21ソロモンは純金(じゅんきん)をもって(みや)(うち)(がわ)をおおい、本殿(ほんでん)(まえ)(きん)(くさり)をもって(へだ)てを(つく)り、(きん)をもってこれをおおった。 22また(きん)をもって(のこ)らず(みや)をおおい、ついに(みや)(かざ)ることをことごとく()えた。また本殿(ほんでん)(ぞく)する祭壇(さいだん)をことごとく(きん)でおおった。
23本殿(ほんでん)のうちにオリブの()をもって二つのケルビムを(つく)った。その(たか)さはおのおの十キュビト。 24そのケルブの一つの(つばさ)(なが)さは五キュビト、またそのケルブの()(つばさ)(なが)さも五キュビトであった。一つの(つばさ)(はし)から()(つばさ)(はし)までは十キュビトあった。 25()のケルブも十キュビトであって、二つのケルビムは(おな)寸法(すんぽう)(おな)(かたち)であった。 26このケルブの(たか)さは十キュビト、かのケルブの(たか)さも(おな)じであった。 27ソロモンは(みや)のうちの(おく)にケルビムをすえた。ケルビムの(つばさ)()ばしたところ、このケルブの(つばさ)はこの(かべ)(たっ)し、かのケルブの(つばさ)はかの(かべ)(たっ)し、()の二つの(つばさ)(みや)(なか)(たがい)()()った。 28(かれ)(きん)をもってそのケルビムをおおった。
29(かれ)(みや)周囲(しゅうい)(かべ)に、内外(ないがい)(しつ)とも(みな)ケルビムと、しゅろの()と、()いた(はな)(かたち)()(もの)(きざ)み、 30(みや)(ゆか)は、内外(ないがい)(しつ)とも(きん)でおおった。
31本殿(ほんでん)入口(いりぐち)にはオリブの()のとびらを(つく)った。そのとびらの(うえ)のかまちと(わき)(ばしら)とで五(へん)(けい)をなしていた。 32その二つのとびらもオリブの()であって、ソロモンはその(うえ)にケルビムと、しゅろの()と、()いた(はな)(かたち)(きざ)み、(きん)をもっておおった。すなわちケルビムと、しゅろの()(うえ)(きん)()せた。
33こうしてソロモンはまた拝殿(はいでん)入口(いりぐち)のためにオリブの()四角(しかく)(かたち)(わき)(ばしら)(つく)った。 34その二つのとびらはいとすぎであって、一つのとびらは二つにたたむ()()であり、()のとびらも二つにたたむ()()であった。 35ソロモンはその(うえ)にケルビムと、しゅろの()と、()いた(はな)(きざ)み、(きん)をもって()(もの)(うえ)(かたち)どおりにおおった。 36また()(いし)三かさねと、香柏(こうはく)角材(かくざい)ひとかさねとをもって内庭(うちにわ)(つく)った。
37(だい)(ねん)のジフの(つき)(しゅ)(みや)(もとい)をすえ、 38(だい)十一(ねん)のブルの(つき)すなわち八(がつ)に、(みや)のすべての部分(ぶぶん)設計(せっけい)どおりに完成(かんせい)した。ソロモンはこれを()てるのに七(ねん)(よう)した。

第七章

1またソロモンは自分(じぶん)(いえ)()てたが、十三(ねん)かかってその(いえ)全部(ぜんぶ)()(おわ)った。
2(かれ)はレバノンの(もり)(いえ)()てた。(なが)さ百キュビト、(はば)五十キュビト、(たか)さ三十キュビトで、三(れつ)香柏(こうはく)(はしら)があり、その(はしら)(うえ)香柏(こうはく)(はり)があった。 3四十五(ほん)(はしら)(うえ)にある(しつ)香柏(こうはく)(いた)でおおった。(はしら)(かく)(れつ)十五(ほん)あった。 4また(まど)わくが三(れつ)あって、(まど)(まど)と三(だん)()かい()っていた。 5戸口(とぐち)(まど)はみな四角(しかく)(わく)をもち、(まど)(まど)と三(だん)()かい()った。
6また(はしら)広間(ひろま)(つく)った。(なが)さ五十キュビト、(はば)三十キュビトであった。(はしら)(まえ)に一つの広間(ひろま)があり、その玄関(げんかん)(はしら)とひさしがあった。
7またソロモンはみずから審判(しんぱん)をするために玉座(ぎょくざ)広間(ひろま)、すなわち審判(しんぱん)広間(ひろま)(つく)った。(ゆか)からたるきまで香柏(こうはく)をもっておおった。
8ソロモンが()んだ宮殿(きゅうでん)はその広間(ひろま)のうしろの()(にわ)にあって、その造作(ぞうさ)(おな)じであった。ソロモンはまた(かれ)がめとったパロの(むすめ)のために(いえ)()てたが、その広間(ひろま)(おな)じであった。
9これらはみな内外(ないがい)とも、土台(どだい)から(のき)まで、また(しゅ)(みや)(にわ)から大庭(おおにわ)まで、寸法(すんぽう)()わせて()った(いし)、すなわち、のこぎりでひいた高価(こうか)(いし)(つく)られた。 10また土台(どだい)高価(こうか)(いし)(おお)きな(いし)、すなわち八キュビトの(いし)、十キュビトの(いし)であった。 11その(うえ)には寸法(すんぽう)()わせて()った高価(こうか)(いし)香柏(こうはく)とがあった。 12また大庭(おおにわ)周囲(しゅうい)には三かさねの()(いし)と、一かさねの香柏(こうはく)角材(かくざい)があった。(しゅ)(みや)(うち)(にわ)宮殿(きゅうでん)広間(ひろま)(にわ)場合(ばあい)(おな)じである。
13ソロモン(おう)(ひと)をつかわしてツロからヒラムを()んできた。 14(かれ)はナフタリの部族(ぶぞく)寡婦(かふ)()であって、その(ちち)はツロの(ひと)で、青銅(せいどう)細工人(さいくにん)であった。ヒラムは青銅(せいどう)のいろいろな細工(さいく)をする知恵(ちえ)(さと)りと知識(ちしき)()ちた(もの)であったが、ソロモン(おう)のところにきて、そのすべての細工(さいく)をした。
15(かれ)青銅(せいどう)(はしら)(ほん)()た。一(ぽん)(はしら)(たか)さは十八キュビト、そのまわりは(つな)をもって(はか)ると十二キュビトあり、(ゆび)(ほん)(あつ)さで空洞(くうどう)であった。()(はしら)(おな)じである。 16また青銅(せいどう)()かして柱頭(ちゅうとう)二つを(つく)り、(はしら)(いただき)にすえた。その一つの柱頭(ちゅうとう)(たか)さは五キュビト、()柱頭(ちゅうとう)(たか)さも五キュビトであった。 17(はしら)(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)のために(くさり)()んだ(かざ)りひもで市松(いちまつ)模様(もよう)(あみ)細工(ざいく)二つを(つく)った。すなわちこの柱頭(ちゅうとう)のために一つ、かの柱頭(ちゅうとう)のために一つを(つく)った。 18またざくろを(つく)った。すなわち二(なら)びのざくろを一つの(あみ)細工(ざいく)(うえ)のまわりに(つく)って、(はしら)(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)()いた。()柱頭(ちゅうとう)にも(おな)じようにした。 19この(ろう)(はしら)(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)(うえ)に四キュビトのゆりの(はな)細工(さいく)があった。 20二つの(はしら)上端(じょうたん)(まる)突出(とっしゅつ)()(うえ)にある(あみ)細工(ざいく)柱頭(ちゅうとう)周囲(しゅうい)には、おのおの二百のざくろが二(なら)びになっていた。 21この(はしら)神殿(しんでん)(ろう)()てた。すなわち(みなみ)(はしら)()てて、その()をヤキンと()づけ、(きた)(はしら)()てて、その()をボアズと()づけた。 22その(はしら)(いただき)にはゆりの(はな)細工(さいく)があった。こうしてその(はしら)造作(ぞうさ)ができあがった。
23また(うみ)()(つく)った。(ふち)から(ふち)まで十キュビトであって、周囲(しゅうい)円形(えんけい)をなし、(たか)さ五キュビトで、その周囲(しゅうい)(つな)をもって(はか)ると三十キュビトであった。 24その(ふち)(した)には三十キュビトの周囲(しゅうい)をめぐるひさごがあって、(うみ)周囲(しゅうい)(かこ)んでいた。そのひさごは二(なら)びで、(うみ)()(とき)()たものである。 25その(うみ)は十二の(うし)(うえ)()かれ、その三つは(きた)()かい、三つは西(にし)()かい、三つは(みなみ)()かい、三つは(ひがし)()かっていた。(うみ)はその(うえ)()かれ、(うし)のうしろは(みな)(うち)()かっていた。 26(うみ)(あつ)さは()(はば)で、その(ふち)(はい)(ふち)のように、ゆりの(はな)()せて(つく)られた。(うみ)には(みず)が二千バテはいった。
27また青銅(せいどう)(だい)を十()(つく)った。(だい)(なが)さ四キュビト、(はば)四キュビト、(たか)さ三キュビトであった。 28その(だい)構造(こうぞう)(つぎ)のとおりである。(だい)には鏡板(かがみいた)があり、鏡板(かがみいた)(わく)(なか)にあった。 29(わく)(なか)にある鏡板(かがみいた)には、ししと(うし)とケルビムとがあり、また、ししと(うし)(うえ)(した)にある(わく)斜面(しゃめん)には(はな)(かざ)りが細工(さいく)してあった。 30また(だい)にはおのおの四つの青銅(せいどう)車輪(しゃりん)と、青銅(せいどう)車軸(しゃじく)があり、その四すみには洗盤(せんばん)のささえがあった。そのささえは、おのおの(はな)(かざ)りのかたわらに()(つく)りつけてあった。 31その(くち)は一キュビト(うえ)()()て、(だい)(いただき)(うち)にあり、その(くち)(まる)く、台座(だいざ)のように(つく)られ、(ふか)さ一キュビト(はん)であった。またその(くち)には()(もの)があった。その鏡板(かがみいた)四角(しかく)で、(まる)くなかった。 32四つの車輪(しゃりん)鏡板(かがみいた)(した)にあり、車軸(しゃじく)(だい)()()けてあり、車輪(しゃりん)(たか)さはおのおの一キュビト(はん)であった。 33車輪(しゃりん)構造(こうぞう)戦車(せんしゃ)車輪(しゃりん)構造(こうぞう)(おな)じで、その車軸(しゃじく)(ふち)()(こしき)とはみな鋳物(いもの)であった。 34おのおのの(だい)の四すみに四つのささえがあり、そのささえは(だい)一部(いちぶ)をなしていた。 35(だい)(うえ)には(たか)(はん)キュビトの(まる)(おび)()があった。そして(だい)(うえ)にあるその支柱(しちゅう)鏡板(かがみいた)とはその一部(いちぶ)をなしていた。 36その支柱(しちゅう)表面(ひょうめん)鏡板(かがみいた)にはそれぞれの場所(ばしょ)に、ケルビムと、ししと、しゅろを(きざ)み、またその周囲(しゅうい)(はな)(かざ)りを(ほどこ)した。 37このようにして十()(だい)(つく)った。それはみな(おな)鋳方(いかた)(おな)寸法(すんぽう)(おな)(かたち)であった。
38また青銅(せいどう)洗盤(せんばん)を十()(つく)った。洗盤(せんばん)はおのおの四十バテの(みず)がはいり、洗盤(せんばん)はおのおの四キュビトであった。十()(だい)(うえ)にはおのおの一つずつの洗盤(せんばん)があった。 39その(だい)の五()(みや)(みなみ)(ほう)に、五()(みや)(きた)(ほう)()き、(みや)東南(とうなん)(ほう)(うみ)をすえた。
40ヒラムはまたつぼと十能(じゅうのう)(はち)(つく)った。こうしてヒラムはソロモン(おう)のために(しゅ)(みや)のすべての細工(さいく)をなし()えた。 41すなわち二(ほん)(はしら)と、その(はしら)(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)の二つの(たま)と、(はしら)(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)の二つの(たま)をおおう二つの(あみ)細工(ざいく)と、 42その二つの(あみ)細工(ざいく)のためのざくろ四百。このざくろは一つの(あみ)細工(ざいく)に、二(なら)びにつけて、(はしら)(いただき)にある柱頭(ちゅうとう)の二つの(たま)()いた。 43また十()(だい)と、その(だい)(うえ)の十()洗盤(せんばん)と、 44一つの(うみ)と、その(うみ)(した)の十二の(うし)とであった。
45さてつぼと十能(じゅうのう)(はち)、すなわちヒラムがソロモン(おう)のために(つく)った(しゅ)(みや)のこれらの(うつわ)はみな(ひかり)のある青銅(せいどう)であった。 46(おう)はヨルダンの低地(ていち)で、スコテとザレタンの(あいだ)粘土(ねんど)()でこれらを()た。 47ソロモンはその(うつわ)非常(ひじょう)(おお)かったので、(みな)それをはからずにおいた。その青銅(せいどう)(おも)さは、はかり()なかった。
48またソロモンは(しゅ)(みや)にあるもろもろの(うつわ)(つく)った。すなわち(きん)祭壇(さいだん)と、(そな)えのパンを()せる(きん)(つくえ)49および純金(じゅんきん)燭台(しょくだい)。この燭台(しょくだい)本殿(ほんでん)(まえ)に、五つは(みなみ)に、五つは(きた)にあった。また(きん)(はな)と、ともしび(さら)と、(こころ)かきと、 50純金(じゅんきん)(さら)と、心切(しんき)りばさみと、(はち)と、(こう)(はい)と、心取(しんと)(ざら)と、至聖所(しせいじょ)である(みや)(おく)のとびらのためおよび、(みや)拝殿(はいでん)のとびらのために、(きん)のひじつぼを(つく)った。
51こうしてソロモン(おう)(しゅ)(みや)のために(つく)るすべての細工(さいく)(おわ)った。そしてソロモンは(ちち)ダビデがささげた(もの)、すなわち金銀(きんぎん)および器物(うつわもの)(たずさ)(はい)り、(しゅ)(みや)宝蔵(ほうぞう)(なか)にたくわえた。

第八章

1ソロモンは(しゅ)契約(けいやく)(はこ)をダビデの(まち)、すなわちシオンからかつぎ(のぼ)ろうとして、イスラエルの長老(ちょうろう)たちと、すべての部族(ぶぞく)のかしらたちと、イスラエルの人々(ひとびと)氏族(しぞく)(ちょう)たちをエルサレムでソロモン(おう)のもとに()(あつ)めた。 2イスラエルの(ひと)(みな)エタニムの(つき)すなわち七(がつ)(まつり)にソロモン(おう)のもとに(あつ)まった。 3イスラエルの長老(ちょうろう)たちが(みな)()たので、祭司(さいし)たちは(はこ)()りあげた。 4そして(かれ)らは(しゅ)(はこ)と、会見(かいけん)幕屋(まくや)と、幕屋(まくや)にあるすべての(せい)なる(うつわ)をかつぎ(のぼ)った。すなわち祭司(さいし)とレビびとがこれらの(もの)をかつぎ(のぼ)った。 5ソロモン(おう)および(かれ)のもとに(あつ)まったイスラエルの会衆(かいしゅう)(みな)(かれ)(とも)(はこ)(まえ)で、(ひつじ)(うし)をささげたが、その(かず)(おお)くて調(しら)べることも(かぞ)えることもできなかった。 6祭司(さいし)たちは(しゅ)契約(けいやく)(はこ)をその場所(ばしょ)にかつぎ()れた。すなわち(みや)本殿(ほんでん)である至聖所(しせいじょ)のうちのケルビムの(つばさ)(した)()いた。 7ケルビムは(つばさ)(はこ)(ところ)()べていたので、ケルビムは(うえ)から(はこ)とそのさおをおおった。 8さおは(なが)かったので、さおの(はし)本殿(ほんでん)(まえ)聖所(せいじょ)から()えた。しかし(そと)には()えなかった。そのさおは今日(こんにち)までそこにある。 9(はこ)(うち)には二つの(いし)(いた)のほか(なに)もなかった。これはイスラエルの人々(ひとびと)がエジプトの()から()たとき、(しゅ)(かれ)らと契約(けいやく)(むす)ばれたときに、モーセがホレブで、それに(おさ)めたものである。 10そして祭司(さいし)たちが聖所(せいじょ)から()たとき、(くも)(しゅ)(みや)()ちたので、 11祭司(さいし)たちは(くも)のために()って(つか)えることができなかった。(しゅ)栄光(えいこう)(しゅ)(みや)()ちたからである。
12そこでソロモンは()った、
(しゅ)()(てん)()かれた。
しかも(しゅ)(みずか)()(くも)(なか)()まおうと()われた。
13わたしはあなたのために(たか)(いえ)
とこしえのみすまいを()てた」。
14(おう)()をめぐらして、イスラエルのすべての会衆(かいしゅう)祝福(しゅくふく)した。その(とき)イスラエルのすべての会衆(かいしゅう)()っていた。 15(かれ)()った、「イスラエルの(かみ)(しゅ)はほむべきかな。(しゅ)はその(くち)をもってわたしの(ちち)ダビデに約束(やくそく)されたことを、その()をもってなし()げられた。(しゅ)()われた、 16『わが(たみ)イスラエルをエジプトから(みちび)()した()から、わたしはわたしの()()くべき(みや)()てるために、イスラエルのもろもろの部族(ぶぞく)のうちから、どの(まち)をも(えら)んだことがなかった。ただダビデを(えら)んで、わが(たみ)イスラエルの(うえ)()たせた』と。 17イスラエルの(かみ)(しゅ)()のために(みや)()てることは、わたしの(ちち)ダビデの(こころ)にあった。 18しかし(しゅ)はわたしの(ちち)ダビデに()われた、『わたしの()のために(みや)()てることはあなたの(こころ)にあった。あなたの(こころ)にこの(こと)のあったのは結構(けっこう)である。 19けれどもあなたはその(みや)()ててはならない。あなたの()から()るあなたの()がわたしの()のために(みや)()てるであろう』と。 20そして(しゅ)はその()われた言葉(ことば)(おこな)われた。すなわちわたしは(ちち)ダビデに(かわ)って()ち、(しゅ)()われたように、イスラエルの(くらい)()し、イスラエルの(かみ)(しゅ)()のために(みや)()てた。 21わたしはまたそこに(しゅ)契約(けいやく)(おさ)めた(はこ)のために一つの場所(ばしょ)(もう)けた。その契約(けいやく)(しゅ)がわれわれの先祖(せんぞ)をエジプトの()から(みちび)()された(とき)に、(かれ)らと(むす)ばれたものである」。
22ソロモンはイスラエルの(ぜん)会衆(かいしゅう)(まえ)で、(しゅ)祭壇(さいだん)(まえ)()ち、()(てん)()べて、 23()った、「イスラエルの(かみ)(しゅ)よ、(うえ)(てん)にも、(した)()にも、あなたのような(かみ)はありません。あなたは契約(けいやく)(まも)られ、(こころ)をつくしてあなたの(まえ)(あゆ)むあなたのしもべらに、いつくしみを(ほどこ)し、 24あなたのしもべであるわたしの(ちち)ダビデに約束(やくそく)されたことを(まも)られました。あなたが(くち)をもって約束(やくそく)されたことを、()をもってなし()げられたことは、今日(こんにち)()るとおりであります。 25それゆえ、イスラエルの(かみ)(しゅ)よ、あなたのしもべであるわたしの(ちち)ダビデに、あなたが約束(やくそく)して『おまえがわたしの(まえ)(あゆ)んだように、おまえの子孫(しそん)が、その(みち)(つつし)んで、わたしの(まえ)(あゆ)むならば、おまえにはイスラエルの(くらい)()する(ひと)が、わたしの(まえ)()けることはないであろう』と()われたことを、ダビデのために(まも)ってください。 26イスラエルの(かみ)よ、どうぞ、あなたのしもべであるわたしの(ちち)ダビデに()われた言葉(ことば)確認(かくにん)してください。
27しかし(かみ)は、はたして地上(ちじょう)()まわれるでしょうか。()よ、(てん)も、いと(たか)(てん)もあなたをいれることはできません。ましてわたしの()てたこの(みや)はなおさらです。 28しかしわが(かみ)(しゅ)よ、しもべの(いのり)(ねが)いを(かえり)みて、しもべがきょう、あなたの(まえ)にささげる(さけ)びと(いのり)をお()きください。 29あなたが『わたしの()をそこに()く』と()われた(ところ)、すなわち、この(みや)()かって夜昼(よるひる)あなたの()をお(ひら)きください。しもべがこの(ところ)()かって(いの)(いのり)をお()きください。 30しもべと、あなたの(たみ)イスラエルがこの(ところ)()かって(いの)(とき)に、その(ねが)いをお()きください。あなたのすみかである(てん)()き、()いておゆるしください。
31もし(ひと)がその(とな)(びと)(たい)して(つみ)(おか)し、(ちか)いをすることを(もと)められる(とき)()てこの(みや)であなたの祭壇(さいだん)(まえ)(ちか)うならば、 32あなたは(てん)()いて(おこな)い、あなたのしもべらをさばき、悪人(あくにん)(ばっ)して、そのおこないの(むく)いをそのこうべに()し、義人(ぎじん)()として、その()にしたがって、その(ひと)(むく)いてください。
33もしあなたの(たみ)イスラエルが、あなたに(たい)して(つみ)(おか)したために(てき)(まえ)(やぶ)れた(とき)、あなたに()(かえ)って、あなたの()をあがめ、この(みや)であなたに(いの)(ねが)うならば、 34あなたは(てん)にあって()き、あなたの(たみ)イスラエルの(つみ)をゆるして、あなたが(かれ)らの先祖(せんぞ)(たま)わった()(かれ)らを(かえ)らせてください。
35もし(かれ)らがあなたに(つみ)(おか)したために、(てん)()ざされて(あめ)がなく、あなたが(かれ)らを(くる)しめられる(とき)(かれ)らがこの(ところ)()かって(いの)り、あなたの()をあがめ、その(つみ)(はな)れるならば、 36あなたは(てん)()き、あなたのしもべ、あなたの(たみ)イスラエルの(つみ)をゆるし、(かれ)らに(あゆ)むべき()(みち)(おし)えて、あなたが、あなたの(たみ)()(ぎょう)として(あた)えられた()(あめ)()らせてください。
37もし(くに)にききんがあるか、もしくは疫病(えきびょう)()()れ、(くさ)()、いなご、青虫(あおむし)があるか、もしくは(てき)のために(まち)(なか)()(かこ)まれることがあるか、どんな災害(さいがい)、どんな病気(びょうき)があっても、 38もし、だれでも、あなたの(たみ)イスラエルがみな、おのおのその(こころ)(なや)みを()って、この(みや)()かい、()()べるならば、どんな(いのり)、どんな(ねが)いでも、 39あなたは、あなたのすみかである(てん)()いてゆるし、かつ(おこな)い、おのおのの(ひと)に、その(こころ)()っておられるゆえ、そのすべての(みち)にしたがって(むく)いてください。ただ、あなただけ、すべての(ひと)(こころ)()っておられるからです。 40あなたが、われわれの先祖(せんぞ)(たま)わった()に、(かれ)らの()きながらえる()(あいだ)(つね)にあなたを(おそ)れさせてください。
41またあなたの(たみ)イスラエルの(もの)でなく、あなたの()のために(とお)(くに)から()異邦人(いほうじん)が、 42——それは(かれ)らがあなたの(おお)いなる()と、(つよ)()と、()べた(うで)とについて()(およ)ぶからです、——もしきて、この(みや)()かって(いの)るならば、 43あなたは、あなたのすみかである(てん)()き、すべて異邦人(いほうじん)があなたに()(もと)めることをかなえさせてください。そうすれば、()のすべての(たみ)は、あなたの(たみ)イスラエルのように、あなたの()()り、あなたを(おそ)れ、またわたしが()てたこの(みや)があなたの()によって()ばれることを()るにいたるでしょう。
44あなたの(たみ)(てき)(たたか)うために、あなたがつかわされる(みち)(とお)って()()くとき、もし(かれ)らがあなたの(えら)ばれた(まち)、わたしがあなたの()のために()てた(みや)(ほう)()かって、(しゅ)(いの)るならば、 45あなたは(てん)で、(かれ)らの(いのり)(ねが)いを()いて(かれ)らをお(たす)けください。
46(かれ)らがあなたに(たい)して(つみ)(おか)すことがあって、——(ひと)(つみ)(おか)さない(もの)はないのです、——あなたが(かれ)らを(いか)り、(かれ)らを(てき)にわたし、(てき)(かれ)らを捕虜(ほりょ)として遠近(えんきん)にかかわらず、(てき)()()いて()(とき)47もし(かれ)らが(とら)われていった()で、みずから(かえり)みて()い、自分(じぶん)(とら)えていった(もの)()で、あなたに(ねが)い、『われわれは(つみ)(おか)しました、そむいて(あく)(おこな)いました』と()い、 48自分(じぶん)(とら)えていった(てき)()で、(こころ)をつくし、精神(せいしん)をつくしてあなたに()(かえ)り、あなたが(かれ)らの先祖(せんぞ)(あた)えられた()、あなたが(えら)ばれた(まち)、わたしがあなたの()のために()てた(みや)(ほう)()かって、あなたに(いの)るならば、 49あなたのすみかである(てん)で、(かれ)らの(いのり)(ねが)いを()いて、(かれ)らを(たす)け、 50あなたの(たみ)が、あなたに(たい)して(おか)した(つみ)と、あなたに(たい)して()ったすべてのあやまちをゆるし、(かれ)らを(とら)えていった(もの)(まえ)で、(かれ)らにあわれみを()させ、その人々(ひとびと)(かれ)らをあわれむようにしてください。 51(かれ)らはあなたがエジプトから、(てつ)のかまどの(なか)から(みちび)()されたあなたの(たみ)、あなたの()(ぎょう)であるからです)。 52どうぞ、しもべの(ねが)いと、あなたの(たみ)イスラエルの(ねが)いに、あなたの()(ひら)き、すべてあなたに()(もと)める(とき)(かれ)らの(ねが)いをお()きください。 53あなたは(かれ)らを()のすべての(たみ)のうちから()(べっ)して、あなたの()(ぎょう)とされたからです。(しゅ)なる(かみ)よ、あなたがわれわれの先祖(せんぞ)をエジプトから(みちび)()された(とき)、モーセによって()われたとおりです」。
54ソロモンはこの(いのり)(ねが)いをことごとく(しゅ)にささげ(おわ)ると、それまで(てん)()かって()()べ、ひざまずいていた(しゅ)祭壇(さいだん)(まえ)から()ちあがり、 55()って大声(おおごえ)でイスラエルの(ぜん)会衆(かいしゅう)祝福(しゅくふく)して()った、 56(しゅ)はほむべきかな。(しゅ)はすべて約束(やくそく)されたように、その(たみ)イスラエルに太平(たいへい)(たま)わった。そのしもべモーセによって(おお)せられたその()約束(やくそく)(みな)一つもたがわなかった。 57われわれの(かみ)がわれわれの先祖(せんぞ)(とも)におられたように、われわれと(とも)におられるように。われわれを(はな)れず、またわれわれを見捨(みす)てられないように。 58われわれの(こころ)(しゅ)(かたむ)けて、(しゅ)のすべての(みち)(あゆ)ませ、われわれの先祖(せんぞ)(めい)じられた(いまし)めと(さだ)めと、おきてとを(まも)らせられるように。 59(しゅ)(まえ)にわたしが()べたこれらの(ねが)いの言葉(ことば)が、日夜(にちや)われわれの(かみ)(しゅ)(おぼ)えられるように。そして(しゅ)日々(ひび)(こと)に、しもべを(たす)け、(しゅ)(たみ)イスラエルを(たす)けられるように。 60そうすれば、()のすべての(たみ)(しゅ)(かみ)であることと、(ほか)(かみ)のないことを()るに(いた)るであろう。 61それゆえ、あなたがたは、今日(こんにち)のようにわれわれの(かみ)(しゅ)(たい)して、(こころ)(まった)真実(しんじつ)であり、(しゅ)(さだ)めに(あゆ)み、(しゅ)(いまし)めを(まも)らなければならない」。
62そして(おう)および(おう)(とも)にいるすべてのイスラエルびとは(しゅ)(まえ)犠牲(ぎせい)をささげた。 63ソロモンは酬恩祭(しゅうおんさい)として(うし)二万二千(とう)(ひつじ)十二万(とう)(しゅ)にささげた。こうして(おう)とイスラエルの人々(ひとびと)(みな)(しゅ)(みや)奉献(ほうけん)した。 64その()(おう)(しゅ)(みや)(まえ)にある(にわ)(なか)聖別(せいべつ)し、その(ところ)燔祭(はんさい)素祭(そさい)酬恩祭(しゅうおんさい)脂肪(しぼう)をささげた。これは(しゅ)(まえ)にある青銅(せいどう)祭壇(さいだん)素祭(そさい)酬恩祭(しゅうおんさい)脂肪(しぼう)とを()けるに()りなかったからである。
65その(とき)ソロモンは七日(なぬか)(あいだ)われわれの(かみ)(しゅ)(まえ)(まつり)(おこな)った。ハマテの入口(いりぐち)からエジプトの(かわ)(いた)るまでのすべてのイスラエルびとの(おお)いなる会衆(かいしゅう)(かれ)(とも)にいた。 66()()にソロモンは(たみ)(かえ)らせた。(たみ)(おう)祝福(しゅくふく)し、(しゅ)がそのしもべダビデと、その(たみ)イスラエルとに(ほどこ)されたもろもろの(めぐ)みを(よろこ)び、(こころ)(たの)しんでその天幕(てんまく)(かえ)って()った。

第九章

1ソロモンが(しゅ)(みや)(おう)宮殿(きゅうでん)およびソロモンが()てようと(のぞ)んだすべてのものを()(おわ)った(とき)2(しゅ)はかつてギベオンでソロモンに(あらわ)れられたように(ふたた)(あらわ)れて、 3(かれ)()われた、「あなたが、わたしの(まえ)(ねが)った(いのり)(ねが)いとを()いた。わたしはあなたが()てたこの(みや)聖別(せいべつ)して、わたしの()永久(えいきゅう)にそこに()く。わたしの()と、わたしの(こころ)(つね)にそこにあるであろう。 4あなたがもし、あなたの(ちち)ダビデが(あゆ)んだように(まった)(こころ)をもって(ただ)しくわたしの(まえ)(あゆ)み、すべてわたしが(めい)じたようにおこなって、わたしの(さだ)めと、おきてとを(まも)るならば、 5わたしは、あなたの(ちち)ダビデに約束(やくそく)して『イスラエルの王位(おうい)にのぼる(ひと)があなたに()けることはないであろう』と()ったように、あなたのイスラエルに(おう)たる(くらい)をながく確保(かくほ)するであろう。 6しかし、あなたがた、またはあなたがたの子孫(しそん)がそむいてわたしに(したが)わず、わたしがあなたがたの(まえ)()いた(いまし)めと(さだ)めとを(まも)らず、()神々(かみがみ)()って、それに(つか)え、それを(おが)むならば、 7わたしはイスラエルを、わたしが(あた)えた()のおもてから()つであろう。またわたしの()のために聖別(せいべつ)した(みや)をわたしの(まえ)から()げすてるであろう。そしてイスラエルはもろもろの(たみ)のうちにことわざとなり、(わら)(ぐさ)となるであろう。 8かつ、この(みや)荒塚(あらつか)となり、そのかたわらを()ぎる(もの)(みな)(おどろ)き、うそぶいて『なにゆえ、(しゅ)はこの()と、この(みや)とにこのようにされたのか』と()うであろう。 9その(とき)人々(ひとびと)(こた)えて『(かれ)らは自分(じぶん)先祖(せんぞ)をエジプトの()から(みちび)()した(かれ)らの(かみ)(しゅ)()てて、()神々(かみがみ)につき(したが)い、それを(おが)み、それに(つか)えたために、(しゅ)はこのすべての(わざわい)(かれ)らの(うえ)(くだ)したのである』と()うであろう」。
10ソロモンは二十(ねん)()て二つの(いえ)すなわち(しゅ)(みや)(おう)宮殿(きゅうでん)とを()(おわ)った(とき)11ツロの(おう)ヒラムがソロモンの(のぞ)みに(まか)せて香柏(こうはく)と、いとすぎと、(きん)とを供給(きょうきゅう)したので、ソロモン(おう)はガリラヤの()(まち)二十をヒラムに(あた)えた。 12しかしヒラムがツロから()て、ソロモンが(かれ)(あた)えた町々(まちまち)()たとき、それらは(かれ)()にいらなかったので、 13(かれ)は、「兄弟(きょうだい)よ、あなたがくださったこれらの町々(まちまち)は、いったいなんですか」と()った。それで、そこは今日(こんにち)までカブルの()()ばれている。 14ヒラムはかつて(きん)百二十タラントを(おう)(おく)った。
15ソロモン(おう)強制的(きょうせいてき)労働者(ろうどうしゃ)徴募(ちょうぼ)したのはこうである。すなわち(しゅ)(みや)自分(じぶん)宮殿(きゅうでん)と、ミロとエルサレムの城壁(じょうへき)と、ハゾルとメギドとゲゼルを()てるためであった。 16(エジプトの(おう)パロはかつて(のぼ)ってきて、ゲゼルを()り、()でこれを()き、その(まち)()んでいたカナンびとを(ころ)し、これをソロモンの(つま)である自分(じぶん)(むすめ)(あた)えて婚姻(こんいん)(おく)(もの)としたので、 17ソロモンはそのゲゼルを()(なお)した)。また(また)(した)ベテホロンと、 18バアラテとユダの(くに)荒野(あらの)にあるタマル、 19およびソロモンが()っていた倉庫(そうこ)町々(まちまち)戦車(せんしゃ)町々(まちまち)騎兵(きへい)町々(まちまち)ならびにソロモンがエルサレム、レバノンおよびそのすべての領地(りょうち)において()てようと(のぞ)んだものをことごとく()てるためであった。 20すべてイスラエルの子孫(しそん)でないアモリびと、ヘテびと、ペリジびと、ヒビびと、エブスびとの(のこ)った(もの)21その()にあって(かれ)らのあとに(のこ)った子孫(しそん)すなわちイスラエルの人々(ひとびと)(ほろ)ぼしつくすことのできなかった(もの)を、ソロモンは強制的(きょうせいてき)奴隷(どれい)として徴募(ちょうぼ)をおこない、今日(こんにち)(いた)っている。 22しかしイスラエルの人々(ひとびと)をソロモンはひとりも奴隷(どれい)としなかった。(かれ)らは軍人(ぐんじん)、また(かれ)役人(やくにん)司令(しれい)(かん)指揮(しき)(かん)戦車(せんしゃ)隊長(たいちょう)騎兵隊(きへいたい)(ちょう)であったからである。
23ソロモンの工事(こうじ)監督(かんとく)する上役(うわやく)官吏(かんり)は五百五十(にん)であって、工事(こうじ)(はたら)(たみ)(おさ)めた。
24パロの(むすめ)はダビデの(まち)から(のぼ)って、ソロモンが彼女(かのじょ)のために()てた(いえ)()んだ。その(とき)ソロモンはミロを()てた。
25ソロモンは(しゅ)のために(きず)いた祭壇(さいだん)(うえ)(ねん)に三()燔祭(はんさい)酬恩祭(しゅうおんさい)をささげ、また(しゅ)(まえ)(こう)をたいた。こうしてソロモンは(みや)完成(かんせい)した。
26ソロモン(おう)はエドムの()紅海(こうかい)(きし)のエラテに(ちか)いエジオン・ゲベルで数隻(すうせき)(ふね)(つく)った。 27ヒラムは(うみ)(こと)()っている船員(せんいん)であるそのしもべをソロモンのしもべと(とも)にその(ふね)でつかわした。 28(かれ)らはオフルへ()って、そこから(きん)四百二十タラントを()って、ソロモン(おう)(ところ)にもってきた。

第十章

1シバの女王(じょおう)(しゅ)()にかかわるソロモンの名声(めいせい)()いたので、難問(なんもん)をもってソロモンを(こころ)みようとたずねてきた。 2彼女(かのじょ)(おお)くの従者(じゅうしゃ)()れ、香料(こうりょう)と、たくさんの(きん)宝石(ほうせき)とをらくだに()わせてエルサレムにきた。彼女(かのじょ)はソロモンのもとにきて、その(こころ)にあることをことごとく(かれ)()げたが、 3ソロモンはそのすべての(とい)(こた)えた。(おう)()らないで彼女(かのじょ)説明(せつめい)のできないことは一つもなかった。 4シバの女王(じょおう)はソロモンのもろもろの知恵(ちえ)と、ソロモンが()てた宮殿(きゅうでん)5その食卓(しょくたく)食物(しょくもつ)と、列座(れつざ)家来(けらい)たちと、その侍臣(じしん)たちの伺候(しこう)ぶり、(かれ)らの服装(ふくそう)と、(かれ)給仕(きゅうじ)たち、および(かれ)(しゅ)(みや)でささげる燔祭(はんさい)()て、(まった)()(うば)われてしまった。
6彼女(かのじょ)(おう)()った、「わたしが(くに)であなたの(こと)と、あなたの知恵(ちえ)について()いたことは真実(しんじつ)でありました。 7しかしわたしがきて、()()るまでは、その言葉(ことば)(しん)じませんでしたが、今見(いまみ)るとその半分(はんぶん)もわたしは()らされていなかったのです。あなたの知恵(ちえ)繁栄(はんえい)はわたしが()いたうわさにまさっています。 8あなたの奥方(おくがた)たちはさいわいです。(つね)にあなたの(まえ)()って、あなたの知恵(ちえ)()家来(けらい)たちはさいわいです。 9あなたの(かみ)(しゅ)はほむべきかな。(しゅ)はあなたを(よろこ)び、あなたをイスラエルの(くらい)にのぼらせられました。(しゅ)永久(えいきゅう)にイスラエルを(あい)せられるゆえ、あなたを(おう)として公道(こうどう)正義(せいぎ)とを(おこな)わせられるのです」。 10そして彼女(かのじょ)(きん)百二十タラントおよび(おお)くの香料(こうりょう)宝石(ほうせき)とを(おう)(おく)った。シバの女王(じょおう)がソロモン(おう)(おく)ったような(おお)くの香料(こうりょう)(ふたた)びこなかった。
11オフルから(きん)()せてきたヒラムの(ふね)は、またオフルからたくさんのびゃくだんの()宝石(ほうせき)とを(はこ)んできたので、 12(おう)はびゃくだんの()をもって(しゅ)(みや)(おう)宮殿(きゅうでん)のために(へき)(ちゅう)(つく)り、また(うた)人々(ひとびと)のために(こと)立琴(たてごと)とを(つく)った。このようなびゃくだんの()は、かつてきたこともなく、また今日(こんにち)まで()たこともなかった。
13ソロモン(おう)はその(ゆた)かなのにしたがってシバの女王(じょおう)(おく)(もの)をしたほかに、彼女(かのじょ)(のぞ)みにまかせて、すべてその(もと)める(もの)(おく)った。そして彼女(かのじょ)はその家来(けらい)たちと(とも)自分(じぶん)(くに)(かえ)っていった。
14さて一(ねん)(あいだ)にソロモンのところに、はいってきた(きん)目方(めかた)は六百六十六タラントであった。 15そのほかに貿易(ぼうえき)(しょう)および商人(しょうにん)取引(とりひき)、ならびにアラビヤの諸王(しょおう)(くに)代官(だいかん)たちからも、はいってきた。 16ソロモン(おう)延金(のべきん)大盾(おおだて)二百を(つく)った。その大盾(おおだて)にはおのおの六百シケルの(きん)(もち)いた。 17また延金(のべきん)小盾(こだて)三百を(つく)った。その小盾(こだて)にはおのおの三ミナの(きん)(もち)いた。(おう)はこれらをレバノンの(もり)(いえ)()いた。 18(おう)はまた(おお)きな象牙(ぞうげ)玉座(ぎょくざ)(つく)り、純金(じゅんきん)をもってこれをおおった。 19その玉座(ぎょくざ)に六つの(だん)があり、玉座(ぎょくざ)(のち)()(うし)(あたま)があり、座席(ざせき)両側(りょうがわ)にひじ()けがあって、ひじ()けのわきに二つのししが()っていた。 20また六つの(だん)のおのおのの両側(りょうがわ)に十二のししが()っていた。このような(もの)はどこの(くに)でも(つく)られたことがなかった。 21ソロモン(おう)()むときに(もち)いた(うつわ)(みな)(きん)であった。またレバノンの(もり)(いえ)(うつわ)(みな)純金(じゅんきん)であって、(ぎん)のものはなかった。(ぎん)はソロモンの()には(かえり)みられなかった。 22これは(おう)(うみ)にタルシシの船隊(せんたい)所有(しょゆう)して、ヒラムの船隊(せんたい)一緒(いっしょ)航海(こうかい)させ、タルシシの船隊(せんたい)に三(ねん)に一()(きん)(ぎん)象牙(ぞうげ)、さる、くじゃくを()せてこさせたからである。
23このようにソロモン(おう)(とみ)知恵(ちえ)も、()のすべての(おう)にまさっていたので、 24(ぜん)()人々(ひとびと)(かみ)がソロモンの(こころ)(さづ)けられた知恵(ちえ)()こうとしてソロモンに謁見(えっけん)(もと)めた。 25人々(ひとびと)はおのおの(おく)(もの)(たずさ)えてきた。すなわち(ぎん)(うつわ)(きん)(うつわ)衣服(いふく)没薬(もつやく)香料(こうりょう)(うま)騾馬(らば)など年々(ねんねん)(さだ)まっていた。
26ソロモンは戦車(せんしゃ)騎兵(きへい)とを(あつ)めたが、戦車(せんしゃ)一千四百(りょう)騎兵(きへい)一万二千あった。ソロモンはこれを戦車(せんしゃ)(まち)とエルサレムの(おう)のもとに()いた。 27(おう)はエルサレムで、(ぎん)(いし)のように(もち)い、香柏(こうはく)平地(へいち)にあるいちじく(くわ)のように(おお)(もち)いた。 28ソロモンが(うま)輸入(ゆにゅう)したのはエジプトとクエからであった。すなわち(おう)貿易(ぼうえき)(しょう)はクエから代価(だいか)(はら)って()()ってきた。 29エジプトから輸入(ゆにゅう)される戦車(せんしゃ)(りょう)(ぎん)六百シケル、(うま)は百五十シケルであった。このようにして、これらのものが(おう)貿易(ぼうえき)(しょう)によって、ヘテびとのすべての(おう)たちおよびスリヤの(おう)たちに輸出(ゆしゅつ)された。

第十一章

1ソロモン(おう)(おお)くの外国(がいこく)(おんな)(あい)した。すなわちパロの(むすめ)、モアブびと、アンモンびと、エドムびと、シドンびと、ヘテびとの(おんな)(あい)した。 2(しゅ)はかつてこれらの国民(こくみん)について、イスラエルの人々(ひとびと)()われた、「あなたがたは(かれ)らと(まじ)わってはならない。(かれ)らもまたあなたがたと(まじ)わってはならない。(かれ)らは(かなら)ずあなたがたの(こころ)(てん)じて(かれ)らの神々(かみがみ)(したが)わせるからである」。しかしソロモンは(かれ)らを(あい)して(はな)れなかった。 3(かれ)には王妃(おうひ)としての(つま)七百(にん)、そばめ三百(にん)があった。その(つま)たちが(かれ)(こころ)(てん)じたのである。 4ソロモンが年老(としお)いた(とき)、その(つま)たちが(かれ)(こころ)(てん)じて()神々(かみがみ)(したが)わせたので、(かれ)(こころ)(ちち)ダビデの(こころ)のようには、その(かみ)(しゅ)真実(しんじつ)でなかった。 5これはソロモンがシドンびとの女神(めがみ)アシタロテに(したが)い、アンモンびとの(かみ)である(にく)むべき(もの)ミルコムに(したが)ったからである。 6このようにソロモンは(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、(ちち)ダビデのように(まった)くは(しゅ)(したが)わなかった。 7そしてソロモンはモアブの(かみ)である(にく)むべき(もの)ケモシのために、またアンモンの人々(ひとびと)(かみ)である(にく)むべき(もの)モレクのためにエルサレムの(ひがし)(やま)(たか)(ところ)(きず)いた。 8(かれ)はまた外国(がいこく)のすべての(つま)たちのためにもそうしたので、彼女(かのじょ)たちはその神々(かみがみ)(こう)をたき、犠牲(ぎせい)をささげた。
9このようにソロモンの(こころ)(てん)じて、イスラエルの(かみ)(しゅ)(はな)れたため、(しゅ)(かれ)(いか)られた。すなわち(しゅ)がかつて二()(かれ)(あらわ)れ、 10この(こと)について(かれ)に、()神々(かみがみ)(したが)ってはならないと(めい)じられたのに、(かれ)(しゅ)(めい)じられたことを(まも)らなかったからである。 11それゆえ、(しゅ)はソロモンに()われた、「これがあなたの本心(ほんしん)であり、わたしが(めい)じた契約(けいやく)(さだ)めとを(まも)らなかったので、わたしは(かなら)ずあなたから(くに)()(はな)して、それをあなたの家来(けらい)(あた)える。 12しかしあなたの(ちち)ダビデのために、あなたの()にはそれをしないが、あなたの()()からそれを()(はな)す。 13ただし、わたしは(くに)をことごとくは()(はな)さず、わたしのしもべダビデのために、またわたしが(えら)んだエルサレムのために一つの部族(ぶぞく)をあなたの()(あた)えるであろう」。
14こうして(しゅ)はエドムびとハダデを(おこ)して、ソロモンの(てき)とされた。(かれ)はエドムの(おう)(いえ)(もの)であった。 15さきにダビデはエドムにいたが、(ぐん)(ちょう)ヨアブが(のぼ)っていって、戦死(せんし)した(もの)(ほうむ)り、エドムの男子(だんし)をことごとく()(ころ)した(とき)16(ヨアブはイスラエルの人々(ひとびと)(とも)に六か(げつ)そこにとどまって、エドムの男子(だんし)をことごとく()った)。 17ハダデはその(ちち)のしもべである数人(すうにん)のエドムびとと(とも)()げてエジプトへ()こうとした。その(とき)ハダデはまだ少年(しょうねん)であった。 18(かれ)らがミデアンを()ってパランへ()き、パランから人々(ひとびと)(ともな)ってエジプトへ()き、エジプトの(おう)パロのところへ()くと、パロは(かれ)(いえ)(あた)え、食糧(しょくりょう)(さだ)め、かつ土地(とち)(あた)えた。 19ハダデは(おお)いにパロの(こころ)にかなったので、パロは自分(じぶん)(つま)(いもうと)すなわち王妃(おうひ)タペネスの(いもうと)(つま)として(かれ)(あた)えた。 20タペネスの(いもうと)(かれ)(おとこ)()ゲヌバテを()んだので、タペネスはその()をパロの(いえ)のうちで乳離(ちばな)れさせた。ゲヌバテはパロの(いえ)で、パロの()どもたちと一緒(いっしょ)にいた。 21さてハダデはエジプトで、ダビデがその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)ったことと、(ぐん)(ちょう)ヨアブが()んだことを()いたので、ハダデはパロに()った、「わたしを()らせて、(くに)(かえ)らせてください」。 22パロは(かれ)()った、「わたしと(とも)にいて、なんの不足(ふそく)があって(くに)(かえ)ることを(もと)めるのですか」。(かれ)()った、「ただ、わたしを(かえ)らせてください」。
23(かみ)はまたエリアダの()レゾンを(おこ)してソロモンの(てき)とされた。(かれ)はその主人(しゅじん)ゾバの(おう)ハダデゼルのもとを()()った(もの)であった。 24ダビデがゾバの人々(ひとびと)(ころ)した(のち)(かれ)人々(ひとびと)自分(じぶん)のまわりに(あつ)めて略奪(りゃくだつ)(たい)首領(しゅりょう)となった。(かれ)らはダマスコへ()って、そこに()み、ダマスコで(かれ)(おう)とした。 25(かれ)はソロモンの一生(いっしょう)(あいだ)、イスラエルの(てき)となって、ハダデがしたように(がい)をなし、イスラエルを(にく)んでスリヤを(おさ)めた。
26ゼレダのエフライムびとネバテの()ヤラベアムはソロモンの家来(けらい)であったが、その(はは)()はゼルヤといって寡婦(かふ)であった。(かれ)もまたその()をあげて(おう)(てき)した。 27(かれ)()をあげて、(おう)(てき)した事情(じじょう)はこうである。ソロモンはミロを(きず)き、(ちち)ダビデの(まち)(やぶ)(くち)をふさいでいた。 28ヤラベアムは非常(ひじょう)手腕(しゅわん)のある(ひと)であったが、ソロモンはこの若者(わかもの)がよく(はたら)くのを()て、(かれ)にヨセフの(いえ)のすべての強制(きょうせい)労働(ろうどう)監督(かんとく)をさせた。 29そのころ、ヤラベアムがエルサレムを()たとき、シロびとである預言者(よげんしゃ)アヒヤが(みち)(かれ)()った。アヒヤは(あたら)しい着物(きもの)()ていた。そして(かれ)らふたりだけが()にいた。 30アヒヤは()ている着物(きもの)をつかんで、それを十二()れに()き、 31ヤラベアムに()った、「あなたは十()れを()りなさい。イスラエルの(かみ)(しゅ)はこう()われる、『()よ、わたしは(くに)をソロモンの()から()(はな)して、あなたに十部族(ぶぞく)(あた)えよう。 32(ただし(かれ)はわたしのしもべダビデのために、またわたしがイスラエルのすべての部族(ぶぞく)のうちから(えら)んだ(まち)エルサレムのために、一つの部族(ぶぞく)をもつであろう)。 33それは(かれ)がわたしを()てて、シドンびとの女神(めがみ)アシタロテと、モアブの(かみ)ケモシと、アンモンの人々(ひとびと)(かみ)ミルコムを(おが)み、(ちち)ダビデのように、わたしの(みち)(あゆ)んで、わたしの()にかなう(こと)(おこな)い、わたしの(さだ)めと、おきてを(まも)ることをしなかったからである。 34しかし、わたしは(くに)をことごとくは(かれ)()から()らない。わたしが(えら)んだ、わたしのしもべダビデが、わたしの命令(めいれい)(さだ)めとを(まも)ったので、わたしは(かれ)のためにソロモンを一生(いっしょう)(あいだ)(きみ)としよう。 35そして、わたしはその()()から(くに)()って、その十部族(ぶぞく)をあなたに(あた)える。 36その()には一つの部族(ぶぞく)(あた)えて、わたしの()()くために(えら)んだ(まち)エルサレムで、わたしのしもべダビデに、わたしの(まえ)(つね)に一つのともしびを(たも)たせるであろう。 37わたしがあなたを(えら)び、あなたはすべて(こころ)(のぞ)むところを(おさ)めて、イスラエルの(うえ)(おう)となるであろう。 38もし、あなたが、わたしの(めい)じるすべての(こと)()いて、わたしの(みち)(あゆ)み、わたしの()にかなう(こと)(おこな)い、わたしのしもべダビデがしたように、わたしの(さだ)めと(いまし)めとを(まも)るならば、わたしはあなたと(とも)にいて、わたしがダビデのために()てたように、あなたのために堅固(けんご)(いえ)()てて、イスラエルをあなたに(あた)えよう。 39わたしはこのためにダビデの子孫(しそん)(くる)しめる。しかし永久(えいきゅう)にではない』」。 40ソロモンはヤラベアムを(ころ)そうとしたが、ヤラベアムは()ってエジプトにのがれ、エジプト(おう)シシャクのところへ()って、ソロモンの()ぬまでエジプトにいた。
41ソロモンのそのほかの事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)およびその知恵(ちえ)は、ソロモンの事績(じせき)(しょ)にしるされているではないか。 42ソロモンがエルサレムでイスラエルの(ぜん)()(おさ)めた()は四十(ねん)であった。 43ソロモンはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、(ちち)ダビデの(まち)(ほうむ)られ、その()レハベアムが(かわ)って(おう)となった。

第十二章

1レハベアムはシケムへ()った。すべてのイスラエルびとが(かれ)(おう)にしようとシケムへ()ったからである。 2ネバテの()ヤラベアムはソロモンを()けてエジプトにのがれ、なおそこにいたが、これを()いてエジプトから(かえ)ったので、 3人々(ひとびと)(ひと)をつかわして(かれ)(まね)いた。そしてヤラベアムとイスラエルの会衆(かいしゅう)(みな)レハベアムの(ところ)にきて()った、 4父上(ちちうえ)はわれわれのくびきを(おも)くされましたが、(いま)父上(ちちうえ)のきびしい使役(しえき)と、父上(ちちうえ)がわれわれに()わせられた(おも)いくびきとを(かる)くしてください。そうすればわれわれはあなたに(つか)えます」。 5レハベアムは(かれ)らに()った、「()って、三()()ぎてから、またわたしのところにきなさい」。それで(たみ)()()った。
6レハベアム(おう)(ちち)ソロモンの存命(ぞんめい)(なか)ソロモンに(つか)えた老人(ろうじん)たちに相談(そうだん)して()った、「この(たみ)にどう返答(へんとう)すればよいと(おも)いますか」。 7(かれ)らはレハベアムに()った、「もし、あなたが、きょう、この(たみ)のしもべとなって(かれ)らに(つか)え、(かれ)らに(こた)えるとき、ねんごろに(かた)られるならば、(かれ)らは永久(えいきゅう)にあなたのしもべとなるでしょう」。 8しかし(かれ)老人(ろうじん)たちが(あた)えた(すす)めを()てて、自分(じぶん)一緒(いっしょ)(おお)きくなって自分(じぶん)(つか)えている若者(わかもの)たちに相談(そうだん)して、 9(かれ)らに()った、「この(たみ)がわたしにむかって『あなたの(ちち)がわれわれに()わせたくびきを(かる)くしてください』というのに、われわれはなんと返答(へんとう)すればよいと(おも)いますか」。 10(かれ)一緒(いっしょ)(おお)きくなった若者(わかもの)たちは(かれ)()った、「あなたにむかって『父上(ちちうえ)はわれわれのくびきを(おも)くされましたが、あなたは、それをわれわれのために(かる)くしてください』と()うこの(たみ)に、こう()いなさい、『わたしの小指(こゆび)(ちち)(こし)よりも(ふと)い。 11(ちち)はあなたがたに(おも)いくびきを()わせたが、わたしはさらに、あなたがたのくびきを(おも)くしよう。(ちち)はむちであなたがたを()らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを()らそう』と」。
12さてヤラベアムと(たみ)(みな)(おう)が「三()()(ふたた)びわたしのところに()るように」と()ったとおりに、三()()にレハベアムのところにきた。 13(おう)荒々(あらあら)しく(たみ)(こた)え、老人(ろうじん)たちが(あた)えた(すす)めを()てて、 14若者(わかもの)たちの(すす)めに(したが)い、(かれ)らに()げて()った、「(ちち)はあなたがたのくびきを(おも)くしたが、わたしはあなたがたのくびきを、さらに(おも)くしよう。(ちち)はむちであなたがたを()らしたが、わたしはさそりをもってあなたがたを()らそう」。 15このように(おう)(たみ)()うことを()きいれなかった。これはかつて(しゅ)がシロびとアヒヤによって、ネバテの()ヤラベアムに()われた言葉(ことば)成就(じょうじゅ)するために、(しゅ)仕向(しむ)けられた(こと)であった。
16イスラエルの人々(ひとびと)(みな)(おう)自分(じぶん)たちの()うことを()きいれないのを()たので、(たみ)(おう)(こた)えて()った、
「われわれはダビデのうちに(なに)(ぶん)があろうか、
エッサイの()のうちに()(ぎょう)がない。
イスラエルよ、あなたがたの天幕(てんまく)(かえ)れ。
ダビデよ、(いま)自分(じぶん)(いえ)(こと)()よ」。
そしてイスラエルはその天幕(てんまく)()っていった。 17しかしレハベアムはユダの町々(まちまち)()んでいるイスラエルの人々(ひとびと)(おさ)めた。 18レハベアム(おう)徴募(ちょうぼ)監督(かんとく)であったアドラムをつかわしたが、イスラエルが(みな)(かれ)(いし)()(ころ)したので、レハベアム(おう)(いそ)いで(くるま)()り、エルサレムへ()げた。 19こうしてイスラエルはダビデの(いえ)にそむいて今日(こんにち)(いた)った。 20イスラエルは(みな)ヤラベアムの(かえ)ってきたのを()き、(ひと)をつかわして(かれ)集会(しゅうかい)(まね)き、イスラエルの全家(ぜんか)(うえ)(おう)とした。ユダの部族(ぶぞく)のほかはダビデの(いえ)(したが)(もの)がなかった。
21ソロモンの()レハベアムはエルサレムに()て、ユダの全家(ぜんか)とベニヤミンの部族(ぶぞく)(もの)、すなわちえり()きの軍人(ぐんじん)十八万を(あつ)め、(くに)()りもどすために、イスラエルの(いえ)(たたか)おうとしたが、 22(かみ)言葉(ことば)(かみ)(ひと)シマヤに(のぞ)んだ、 23「ソロモンの()であるユダの(おう)レハベアム、およびユダとベニヤミンの全家(ぜんか)、ならびにそのほかの(たみ)()いなさい、 24(しゅ)はこう(おお)せられる。あなたがたは(のぼ)っていってはならない。あなたがたの兄弟(きょうだい)であるイスラエルの人々(ひとびと)(たたか)ってはならない。おのおの(いえ)(かえ)りなさい。この(こと)はわたしから()たのである』」。それで(かれ)らは(しゅ)言葉(ことば)をきき、(しゅ)言葉(ことば)(したが)って(かえ)っていった。
25ヤラベアムはエフライムの山地(さんち)にシケムを()てて、そこに()んだ。(かれ)はまたそこから()てペヌエルを()てた。 26しかしヤラベアムはその(こころ)のうちに()った、「(くに)(いま)ダビデの(いえ)にもどるであろう。 27もしこの(たみ)がエルサレムにある(しゅ)(みや)犠牲(ぎせい)をささげるために(のぼ)るならば、この(たみ)(こころ)はユダの(おう)である(かれ)らの主君(しゅくん)レハベアムに(かえ)り、わたしを(ころ)して、ユダの(おう)レハベアムに(かえ)るであろう」。 28そこで(おう)相談(そうだん)して、二つの(きん)()(うし)(つく)り、(たみ)()った、「あなたがたはもはやエルサレムに(のぼ)るには、およばない。イスラエルよ、あなたがたをエジプトの(くに)から(みちび)(のぼ)ったあなたがたの(かみ)()よ」。 29そして(かれ)は一つをベテルにすえ、一つをダンに()いた。 30この(こと)(つみ)となった。(たみ)がベテルへ()って一つを礼拝(れいはい)し、ダンへ()って一つを礼拝(れいはい)したからである。 31(かれ)はまた(たか)(ところ)(いえ)(つく)り、レビの子孫(しそん)でない一般(いっぱん)(たみ)祭司(さいし)任命(にんめい)した。 32またヤラベアムはユダで(おこな)(まつり)(おな)(まつり)を八(がつ)の十五(にち)(さだ)め、そして祭壇(さいだん)(のぼ)った。(かれ)はベテルでそのように(おこな)い、(かれ)(つく)った()(うし)犠牲(ぎせい)をささげた。また自分(じぶん)(つく)った(たか)(ところ)祭司(さいし)をベテルに()てた。 33こうして(かれ)はベテルに(つく)った祭壇(さいだん)に八(がつ)の十五(にち)(のぼ)った。これは(かれ)自分(じぶん)勝手(かって)(かんが)えついた(つき)であった。そして(かれ)はイスラエルの人々(ひとびと)のために(まつり)(さだ)め、祭壇(さいだん)(のぼ)って(こう)をたいた。

第十三章

1()よ、(かみ)(ひと)(しゅ)(いのち)によってユダからベテルにきた。その(とき)ヤラベアムは祭壇(さいだん)(うえ)()って(こう)をたいていた。 2(かみ)(ひと)祭壇(さいだん)にむかい(しゅ)(いのち)によって()ばわって()った、「祭壇(さいだん)よ、祭壇(さいだん)よ、(しゅ)はこう(おお)せられる、『()よ、ダビデの(いえ)にひとりの()(うま)れる。その()をヨシヤという。(かれ)はおまえの(うえ)(こう)をたく(たか)(ところ)祭司(さいし)らを、おまえの(うえ)にささげる。また(ひと)(ほね)がおまえの(うえ)()かれる』」。 3その()(かれ)はまた一つのしるしを(しめ)して()った、「(しゅ)()われたしるしはこれである、『()よ、祭壇(さいだん)()け、その(うえ)にある(はい)はこぼれ()るであろう』」。 4ヤラベアム(おう)は、(かみ)(ひと)がベテルにある祭壇(さいだん)にむかって()ばわる言葉(ことば)()いた(とき)祭壇(さいだん)から()()ばして、「(かれ)(とら)えよ」と()ったが、(かれ)にむかって()ばした()()れて、ひっ()めることができなかった。 5そして(かみ)(ひと)(しゅ)言葉(ことば)をもって(しめ)したしるしのように祭壇(さいだん)()け、(はい)祭壇(さいだん)からこぼれ()た。 6(おう)(かみ)(ひと)()った、「あなたの(かみ)(しゅ)(ねが)い、わたしのために(いの)って、わたしの()をもとに(かえ)らせてください」。(かみ)(ひと)(しゅ)(ねが)ったので、(おう)()はもとに(かえ)って、(まえ)のようになった。 7そこで(おう)(かみ)(ひと)()った、「わたしと一緒(いっしょ)(いえ)にきて、()(やす)めなさい。あなたに謝礼(しゃれい)をさしあげましょう」。 8(かみ)(ひと)(おう)()った、「たとい、あなたの(いえ)(なか)ばをくださっても、わたしはあなたと一緒(いっしょ)にまいりません。またこの(ところ)では、パンも()べず(みず)()みません。 9(しゅ)言葉(ことば)によってわたしは、『パンを()べてはならない、(みず)()んではならない。また()(みち)から(かえ)ってはならない』と(めい)じられているからです」。 10こうして(かれ)はほかの(みち)()き、ベテルに()(みち)からは(かえ)らなかった。
11さてベテルにひとりの年老(としお)いた預言者(よげんしゃ)()んでいたが、そのむすこたちがきて、その()(かみ)(ひと)がベテルでした(こと)どもを(かれ)(はな)した。また(かみ)(ひと)(おう)()った言葉(ことば)をもその(ちち)(はな)した。 12(ちち)(かれ)らに「その(ひと)はどの(みち)()ったか」と()いたので、むすこたちはユダからきた(かみ)(ひと)()った(みち)(ちち)(しめ)した。 13(ちち)はむすこたちに()った、「わたしのためにろばにくらを()きなさい」。(かれ)らがろばにくらを()いたので、(かれ)はそれに()り、 14(かみ)(ひと)のあとを()って()き、かしの()(した)にすわっているのを()て、その(ひと)()った、「あなたはユダからこられた(かみ)(ひと)ですか」。その(ひと)()った、「そうです」。 15そこで(かれ)はその(ひと)()った、「わたしと一緒(いっしょ)(いえ)にきてパンを()べてください」。 16その(ひと)()った、「わたしはあなたと一緒(いっしょ)()(かえ)すことはできません。あなたと一緒(いっしょ)()くことはできません。またわたしはこの(ところ)であなたと一緒(いっしょ)にパンも()べず(みず)()みません。 17(しゅ)言葉(ことば)によってわたしは、『その(ところ)でパンを()べてはならない、(みず)()んではならない。また()(みち)から(かえ)ってはならない』と()われているからです」。 18(かれ)はその(ひと)()った、「わたしもあなたと(おな)預言者(よげんしゃ)ですが、(てん)使(つかい)(しゅ)(いのち)によってわたしに()げて、『その(ひと)一緒(いっしょ)(いえ)につれ(かえ)り、パンを()べさせ、(みず)()ませよ』と()いました」。これは(かれ)がその(ひと)(あざむ)いたのである。 19そこでその(ひと)(かれ)一緒(いっしょ)()(かえ)し、その(いえ)でパンを()べ、(みず)()んだ。
20(かれ)らが食卓(しょくたく)についていたとき、(しゅ)言葉(ことば)が、その(ひと)をつれて(かえ)った預言者(よげんしゃ)(のぞ)んだので、 21(かれ)はユダからきた(かみ)(ひと)にむかい()ばわって()った、「(しゅ)はこう(おお)せられます、『あなたが(しゅ)言葉(ことば)にそむき、あなたの(かみ)(しゅ)がお(めい)じになった命令(めいれい)(まも)らず、 22()(かえ)して、(しゅ)があなたに、パンを()べてはならない、(みず)()んではならない、と()われた場所(ばしょ)でパンを()べ、(みず)()んだゆえ、あなたの死体(したい)はあなたの先祖(せんぞ)(はか)()かないであろう』」。 23そしてその(ひと)がパンを()べ、(みず)()んだ(のち)(かれ)はその(ひと)のため、すなわちつれ(かえ)った預言者(よげんしゃ)のためにろばにくらを()いた。 24こうしてその(ひと)()()ったが、(みち)でししが(かれ)()って(かれ)(ころ)した。そしてその死体(したい)(みち)()てられ、ろばはそのかたわらに()ち、ししもまた死体(したい)のかたわらに()っていた。 25人々(ひとびと)はそこをとおって、(みち)()てられている死体(したい)と、死体(したい)のかたわらに()っているししを()て、かの(ろう)預言者(よげんしゃ)()んでいる(まち)にきてそれを(はな)した。
26その(ひと)(みち)からつれて(かえ)った預言者(よげんしゃ)はそれを()いて()った、「それは(しゅ)言葉(ことば)にそむいた(かみ)(ひと)だ。(しゅ)(かれ)()われた言葉(ことば)のように、(しゅ)(かれ)をししにわたされ、ししが(かれ)()(ころ)したのだ」。 27そしてむすこたちに()った、「わたしのためにろばにくらを()きなさい」。(かれ)らがくらを()いたので、 28(かれ)()って、死体(したい)(みち)()てられ、ろばとししが死体(したい)のかたわらに()っているのを()た。ししはその死体(したい)()べず、ろばも()いていなかった。 29そこで預言者(よげんしゃ)(かみ)(ひと)死体(したい)()りあげ、それをろばに()せて(まち)()(かえ)り、(かな)しんでそれを(ほうむ)った。 30すなわちその死体(したい)自分(じぶん)(はか)(おさ)め、(みな)これがために「ああ、わが兄弟(きょうだい)よ」と()って(かな)しんだ。 31(かれ)はそれを(ほうむ)って(のち)、むすこたちに()った、「わたしが()んだ(とき)は、(かみ)(ひと)(ほうむ)った(はか)(ほうむ)り、わたしの(ほね)(かれ)(ほね)のかたわらに(おさ)めなさい。 32(かれ)(しゅ)(いのち)によって、ベテルにある祭壇(さいだん)にむかい、またサマリヤの町々(まちまち)にある(たか)(ところ)のすべての(いえ)にむかって()ばわった言葉(ことば)(かなら)成就(じょうじゅ)するのです」。
33この(こと)(のち)も、ヤラベアムはその(わる)(みち)(はな)れて()(かえ)ることをせず、また一般(いっぱん)(たみ)を、(たか)(ところ)祭司(さいし)任命(にんめい)した。すなわち、だれでも(この)(もの)は、それを()てて(たか)(ところ)祭司(さいし)とした。 34この(こと)はヤラベアムの(いえ)(つみ)となって、ついにこれを()のおもてから()(ほろ)ぼすようになった。

第十四章

1そのころヤラベアムの()アビヤが病気(びょうき)になったので、 2ヤラベアムは(つま)()った、「()って姿(すがた)()え、ヤラベアムの(つま)であることの()られないようにしてシロへ()きなさい。わたしがこの(たみ)(おう)となることを、わたしに()げた預言者(よげんしゃ)アヒヤがそこにいます。 3パン十()菓子(かし)数個(すうこ)および、みつ一びんを(たずさ)えて(かれ)のところへ()きなさい。(かれ)はこの()がどうなるかをあなたに()げるでしょう」。
4ヤラベアムの(つま)はそのようにして、()ってシロへ()き、アヒヤの(いえ)()いたが、アヒヤは年老(としお)いたため、()がかすんで()ることができなかった。 5しかし(しゅ)はアヒヤに()われた、「ヤラベアムの(つま)子供(こども)(こと)をあなたに(たず)ねるために()る。子供(こども)病気(びょうき)だ。あなたは彼女(かのじょ)にこうこう()わなければならない」。
彼女(かのじょ)()るとき、他人(たにん)(よそお)っていた。 6しかし彼女(かのじょ)戸口(とぐち)にはいってきたとき、アヒヤはその足音(あしおと)()いて()った、「ヤラベアムの(つま)よ、はいりなさい。なぜ、他人(たにん)(よそお)うのですか。わたしはあなたにきびしい(こと)()げるよう、(めい)じられています。 7()ってヤラベアムに()いなさい、『イスラエルの(かみ)(しゅ)はこう(おお)せられる、「わたしはあなたを(たみ)のうちからあげ、わたしの(たみ)イスラエルの(うえ)()てて(きみ)とし、 8(くに)をダビデの(いえ)から()(はな)して、それをあなたに(あた)えたのに、あなたはわたしのしもべダビデが、わたしの命令(めいれい)(まも)って一心(いっしん)にわたしに(したが)い、ただわたしの()にかなった(こと)のみを(おこな)ったようにではなく、 9あなたよりも(さき)にいたすべての(もの)にまさって(あく)をなし、()って自分(じぶん)のために()神々(かみがみ)()(ぞう)(つく)り、わたしを(いか)らせ、わたしをうしろに()()った。 10それゆえ、()よ、わたしはヤラベアムの(いえ)(わざわい)(くだ)し、ヤラベアムに(ぞく)する(おとこ)は、イスラエルについて、つながれた(もの)も、自由(じゆう)(もの)もことごとく()ち、(ひと)があくたを(のこ)りなく()きつくすように、ヤラベアムの(いえ)(まった)()(ほろ)ぼすであろう。 11ヤラベアムに(ぞく)する(もの)は、(まち)()(もの)(いぬ)()べ、()()(もの)(そら)(とり)()べるであろう。(しゅ)がこれを()われるのである」』。 12あなたは()って、(いえ)(かえ)りなさい。あなたの(あし)(まち)にはいる(とき)に、()どもは()にます。 13そしてイスラエルは(みな)(かれ)のために(かな)しんで(かれ)(ほうむ)るでしょう。ヤラベアムに(ぞく)する(もの)は、ただ(かれ)だけ(はか)(ほうむ)られるでしょう。ヤラベアムの(いえ)のうちで、(かれ)はイスラエルの(かみ)(しゅ)にむかって()(おも)いをいだいていたからです。 14(しゅ)はイスラエルの(うえ)にひとりの(おう)(おこ)されます。(かれ)はその()ヤラベアムの(いえ)()つでしょう。 15その(のち)(しゅ)はイスラエルを()って、(みず)()らぐ(あし)のようにし、イスラエルを、その先祖(せんぞ)(たま)わったこの()()から()()って、ユフラテ(かわ)()こうに()らされるでしょう。(かれ)らがアシラ(ぞう)(つく)って(しゅ)(いか)らせたからです。 16(しゅ)はヤラベアムの(つみ)のゆえに、すなわち(かれ)がみずから(おか)し、またイスラエルに(おか)させたその(つみ)のゆえにイスラエルを()てられるでしょう」。
17ヤラベアムの(つま)()って()り、テルザへ()って、(いえ)敷居(しきい)をまたいだ(とき)()どもは()んだ。 18イスラエルは(みな)(かれ)(ほうむ)り、(かれ)のために(かな)しんだ。(しゅ)がそのしもべ預言者(よげんしゃ)アヒヤによって()われた言葉(ことば)のとおりである。 19ヤラベアムのその()事績(じせき)(かれ)がどのように(たたか)い、どのように()(おさ)めたかは、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされている。 20ヤラベアムが()(おさ)めた()は二十二(ねん)であった。(かれ)はその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、その()ナダブが(かわ)って(おう)となった。
21ソロモンの()レハベアムはユダで()(おさ)めた。レハベアムは(おう)となったとき四十一(さい)であったが、(しゅ)がその()()くために、イスラエルのすべての部族(ぶぞく)のうちから(えら)ばれた(まち)エルサレムで、十七(ねん)()(おさ)めた。その(はは)()はナアマといってアンモンびとであった。 22ユダの人々(ひとびと)はその先祖(せんぞ)(おこな)ったすべての(こと)にまさって、(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、その(おか)した(つみ)によって(しゅ)(いか)りを()(おこ)した。 23(かれ)らもすべての(たか)(おか)(うえ)と、すべての(あお)()(した)に、(たか)(ところ)(いし)(はしら)とアシラ(ぞう)とを()てたからである。 24その(くに)にはまた神殿(しんでん)男娼(だんしょう)たちがいた。(かれ)らは(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)(まえ)から()(はら)われた国民(こくみん)のすべての(にく)むべき(こと)をならい()った。
25レハベアムの(おう)(だい)(ねん)にエジプトの(おう)シシャクがエルサレムに()(のぼ)ってきて、 26(しゅ)(みや)宝物(ほうもつ)と、(おう)宮殿(きゅうでん)宝物(ほうもつ)(うば)()った。(かれ)はそれをことごとく(うば)()り、またソロモンの(つく)った(きん)(たて)をみな(うば)()った。 27レハベアムはその(かわ)りに青銅(せいどう)(たて)(つく)って、(おう)宮殿(きゅうでん)(もん)(まも)侍衛(じえい)(ちょう)()にわたした。 28(おう)(しゅ)(みや)にはいるごとに、侍衛(じえい)はそれを(たずさ)え、また、それを侍衛(じえい)のへやへ()(かえ)った。
29レハベアムのその()事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 30レハベアムとヤラベアムの(あいだ)には()えず戦争(せんそう)があった。 31レハベアムはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って先祖(せんぞ)(とも)にダビデの(まち)(ほうむ)られた。その(はは)()はナアマといってアンモンびとであった。その()アビヤムが(かわ)って(おう)となった。

第十五章

1ネバテの()ヤラベアム(おう)(だい)十八(ねん)にアビヤムがユダの(おう)となり、 2エルサレムで三(ねん)()(おさ)めた。その(はは)()はマアカといって、アブサロムの(むすめ)であった。 3(かれ)はその(ちち)(さき)(おこな)ったもろもろの(つみ)をおこない、その(こころ)(ちち)ダビデの(こころ)のようにその(かみ)(しゅ)(たい)して(まった)真実(しんじつ)ではなかった。 4それにもかかわらず、その(かみ)(しゅ)はダビデのために、エルサレムにおいて(かれ)に一つのともしびを(あた)え、その()(かれ)のあとに()てて、エルサレムを(かた)められた。 5それはダビデがヘテびとウリヤの(こと)のほか、一生(いっしょう)(あいだ)(しゅ)()にかなう(こと)(おこな)い、(しゅ)(めい)じられたすべての(こと)に、そむかなかったからである。 6レハベアムとヤラベアムの(あいだ)には一生(いっしょう)(あいだ)戦争(せんそう)があった。 7アビヤムのその()行為(こうい)と、(かれ)がしたすべての(こと)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。アビヤムとヤラベアムの(あいだ)にも戦争(せんそう)があった。 8アビヤムはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、ダビデの(まち)(ほうむ)られ、その()アサが(かわ)って(おう)となった。
9イスラエルの(おう)ヤラベアムの(だい)二十(ねん)にアサはユダの(おう)となり、 10エルサレムで四十一(ねん)()(おさ)めた。その(はは)()はマアカといってアブサロムの(むすめ)であった。 11アサはその(ちち)ダビデがしたように(しゅ)()にかなう(こと)をし、 12神殿(しんでん)男娼(だんしょう)(くに)から()()し、先祖(せんぞ)たちの(つく)ったもろもろの偶像(ぐうぞう)(のぞ)いた。 13(かれ)はまたその(はは)マアカが、アシラのために(にく)むべき(ぞう)(つく)らせたので、彼女(かのじょ)太后(たいこう)(くらい)から退(しりぞ)けた。そしてアサはその(にく)むべき(ぞう)()(たお)してキデロンの(たに)()()てた。 14ただし(たか)(ところ)(のぞ)かなかった。けれどもアサの(こころ)一生(いっしょう)(あいだ)(しゅ)(たい)して(まった)真実(しんじつ)であった。 15(かれ)(ちち)献納(けんのう)した(もの)自分(じぶん)献納(けんのう)した(もの)金銀(きんぎん)および器物(うつわもの)(しゅ)(みや)(たずさ)()れた。
16アサとイスラエルの(おう)バアシャの(あいだ)には一生(いっしょう)(あいだ)戦争(せんそう)があった。 17イスラエルの(おう)バアシャはユダに()(のぼ)り、ユダの(おう)アサの(ところ)に、だれをも出入(でい)りさせないためにラマを(きず)いた。 18そこでアサは(しゅ)(みや)宝蔵(ほうぞう)と、(おう)宮殿(きゅうでん)宝蔵(ほうぞう)(のこ)っている金銀(きんぎん)をことごとく()って、これを家来(けらい)たちの()にわたし、そしてアサ(おう)(かれ)らをダマスコに()んでいるスリヤの(おう)、ヘジョンの()タブリモンの()であるベネハダデにつかわして()わせた、 19「わたしの(ちち)とあなたの(ちち)との(あいだ)(むす)ばれていたように、わたしとあなたの(あいだ)同盟(どうめい)(むす)びましょう。わたしはあなたに金銀(きんぎん)(おく)(もの)をさしあげます。()って、あなたとイスラエルの(おう)バアシャとの同盟(どうめい)破棄(はき)し、(かれ)をわたしの(ところ)から撤退(てったい)させてください」。 20ベネハダデはアサ(おう)()うことを()き、自分(じぶん)軍勢(ぐんぜい)(ちょう)たちをつかわしてイスラエルの町々(まちまち)()め、イヨンとダンとアベル・ベテ・マアカおよびキンネレテの(ぜん)()と、ナフタリの(ぜん)()()った。 21バアシャはこれを()き、ラマを(きず)くことをやめて、テルザにとどまった。 22そこでアサ(おう)はユダ全国(ぜんこく)布告(ふこく)(はっ)した。ひとりも(まぬか)れる(もの)はなかった。すなわちバアシャがラマを(きず)くために(もち)いた(いし)材木(ざいもく)(はこ)びこさせ、アサ(おう)はそれを(もち)いて、ベニヤミンのゲバとミヅパを(きず)いた。 23アサのその()事績(じせき)とそのすべての勲功(くんこう)と、(かれ)がしたすべての(こと)および(かれ)()てた町々(まちまち)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。(かれ)老年(ろうねん)になって(あし)()んだ。 24アサはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、(ちち)ダビデの(まち)先祖(せんぞ)(とも)(ほうむ)られ、その()ヨシャパテが(かわ)って(おう)となった。
25ユダの(おう)アサの(だい)(ねん)にヤラベアムの()ナダブがイスラエルの(おう)となって、二(ねん)イスラエルを(おさ)めた。 26(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、その(ちち)(みち)(あゆ)み、(ちち)がイスラエルに(おか)させた(つみ)をおこなった。
27イッサカルの(いえ)のアヒヤの()バアシャは(かれ)(たい)してむほんを(くわだ)て、ペリシテびとに(ぞく)するギベトンで(かれ)()った。これはナダブとイスラエルが(みな)ギベトンを(かこ)んでいたからである。 28こうしてユダの(おう)アサの(だい)(ねん)にバアシャは(かれ)(ころ)し、(かれ)(かわ)って(おう)となった。 29(かれ)(おう)となるとすぐヤラベアムの全家(ぜんか)()ち、(いき)のある(もの)をひとりもヤラベアムの(いえ)(のこ)さず、ことごとく(ほろ)ぼした。(しゅ)がそのしもべシロびとアヒヤによって()われた言葉(ことば)のとおりであって、 30これはヤラベアムがみずから(おか)し、またイスラエルに(おか)させた(つみ)のため、また(かれ)がイスラエルの(かみ)(しゅ)(いか)らせたその(いか)りによるのであった。
31ナダブのその()事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 32アサとイスラエルの(おう)バアシャの(あいだ)には一生(いっしょう)(あいだ)戦争(せんそう)があった。
33ユダの(おう)アサの(だい)(ねん)にアヒヤの()バアシャはテルザでイスラエルの(ぜん)()(おう)となって、二十四(ねん)()(おさ)めた。 34(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、ヤラベアムの(みち)(あゆ)み、ヤラベアムがイスラエルに(おか)させた(つみ)をおこなった。

第十六章

1そこで(しゅ)言葉(ことば)がハナニの()エヒウに(のぞ)み、バアシャを()めて()った、 2「わたしはあなたをちりの(なか)からあげて、わたしの(たみ)イスラエルの(うえ)(きみ)としたが、あなたはヤラベアムの(みち)(あゆ)み、わたしの(たみ)イスラエルに(つみ)(おか)させ、その(つみ)をもってわたしを(いか)らせた。 3それでわたしは、バアシャとその(いえ)(まった)(ほろ)ぼし()り、あなたの(いえ)をネバテの()ヤラベアムの(いえ)のようにする。 4バアシャに(ぞく)する(もの)で、(まち)()(もの)(いぬ)()べ、(かれ)(ぞく)する(もの)で、()()(もの)(そら)(とり)()べるであろう」。
5バアシャのその()事績(じせき)と、(かれ)がした(こと)と、その勲功(くんこう)とは、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 6バアシャはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、テルザに(ほうむ)られ、その()エラが(かわ)って(おう)となった。 7(しゅ)言葉(ことば)はまたハナニの()預言者(よげんしゃ)エヒウによって(のぞ)み、バアシャとその(いえ)()めた。これは(かれ)(しゅ)()(まえ)に、もろもろの(あく)(おこな)い、その()のわざをもって(しゅ)(いか)らせ、ヤラベアムの(いえ)にならったためであり、また(かれ)がヤラベアムの(いえ)(ほろ)ぼしたためであった。
8ユダの(おう)アサの(だい)二十六(ねん)にバアシャの()エラはテルザでイスラエルの(おう)となり、二(ねん)()(おさ)めた。 9(かれ)がテルザにいて、テルザの宮殿(きゅうでん)のつかさアルザの(いえ)(さけ)()んで()った(とき)、その家来(けらい)戦車(せんしゃ)(たい)(なか)ばを指揮(しき)していたジムリが、(かれ)にそむいた。 10そしてユダの(おう)アサの(だい)二十七(ねん)にジムリは、はいってきて(かれ)()(ころ)し、(かれ)(かわ)って(おう)となった。
11ジムリは(おう)となって、(くらい)についた(とき)、バアシャの全家(ぜんか)(ころ)し、その親族(しんぞく)または(とも)だちの男子(だんし)は、ひとりも(のこ)さなかった。 12こうしてジムリはバアシャの全家(ぜんか)(ほろ)ぼした。(しゅ)預言者(よげんしゃ)エヒウによってバアシャを()めて()われた言葉(ことば)のとおりである。 13これはバアシャのもろもろの(つみ)と、その()エラの(つみ)のためであって、(かれ)らが(つみ)(おか)し、またイスラエルに(つみ)(おか)させ、(かれ)らの偶像(ぐうぞう)をもってイスラエルの(かみ)(しゅ)(いか)らせたからである。 14エラのその()事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。
15ユダの(おう)アサの(だい)二十七(ねん)にジムリはテルザで七日(なぬか)(あいだ)()(おさ)めた。(たみ)はペリシテびとに(ぞく)するギベトンにむかって陣取(じんど)っていたが、 16その陣取(じんど)っていた(たみ)が「ジムリはむほんを(おこ)して(おう)(ころ)した」と(ひと)のいうのを()いたので、イスラエルは(みな)その()陣営(じんえい)で、(ぐん)(ちょう)オムリをイスラエルの(おう)とした。 17そこでオムリはイスラエルの人々(ひとびと)(とも)にギベトンから(のぼ)ってテルザを(かこ)んだ。 18ジムリはその(まち)(おちい)るのを()て、(おう)宮殿(きゅうでん)天守(てんしゅ)にはいり、(おう)宮殿(きゅうでん)()をかけてその(なか)()んだ。 19これは(かれ)(おか)した(つみ)のためであって、(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、ヤラベアムの(みち)(あゆ)み、ヤラベアムがイスラエルに(おか)させたその(つみ)(おこな)ったからである。 20ジムリのその()事績(じせき)と、(かれ)(くわだ)てた陰謀(いんぼう)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。
21その(とき)イスラエルの(たみ)は二つに(わか)れ、(たみ)(なか)ばはギナテの()テブニに(したが)って、これを(おう)としようとし、(なか)ばはオムリに(したが)った。 22しかしオムリに(したが)った(たみ)はギナテの()テブニに(したが)った(たみ)()って、テブニは()に、オムリが(おう)となった。 23ユダの(おう)アサの(だい)三十一(ねん)にオムリはイスラエルの(おう)となって十二(ねん)()(おさ)めた。(かれ)はテルザで六(ねん)(おう)であった。 24(かれ)(ぎん)二タラントでセメルからサマリヤの(やま)()い、その(うえ)(まち)()て、その()てた(まち)()をその(やま)()(ぬし)であったセメルの()(したが)ってサマリヤと()んだ。
25オムリは(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、(かれ)よりも(さき)にいたすべての(もの)にまさって(わる)(こと)をした。 26(かれ)はネバテの()ヤラベアムのすべての(みち)(あゆ)み、ヤラベアムがイスラエルに(つみ)(おか)させ、(かれ)らの偶像(ぐうぞう)をもってイスラエルの(かみ)(しゅ)(いか)らせたその(つみ)(おこな)った。 27オムリが()ったその()事績(じせき)と、(かれ)があらわした勲功(くんこう)とは、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 28オムリはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、サマリヤに(ほうむ)られ、その()アハブが(かわ)って(おう)となった。
29ユダの(おう)アサの(だい)三十八(ねん)にオムリの()アハブがイスラエルの(おう)となった。オムリの()アハブはサマリヤで二十二(ねん)イスラエルを(おさ)めた。 30オムリの()アハブは(かれ)よりも(さき)にいたすべての(もの)にまさって、(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)った。 31(かれ)はネバテの()ヤラベアムの(つみ)(おこな)うことを、(かる)(こと)とし、シドンびとの(おう)エテバアルの(むすめ)イゼベルを(つま)にめとり、()ってバアルに(つか)え、これを(おが)んだ。 32(かれ)はサマリヤに()てたバアルの(みや)に、バアルのために祭壇(さいだん)(きず)いた。 33アハブはまたアシラ(ぞう)(つく)った。アハブは(かれ)よりも(さき)にいたイスラエルのすべての(おう)にまさってイスラエルの(かみ)(しゅ)(いか)らせることを(おこな)った。 34(かれ)()にベテルびとヒエルはエリコを()てた。(かれ)はその(もとい)をすえる(とき)長子(ちょうし)アビラムを(うしな)い、その(もん)()てる(とき)(すえ)()セグブを(うしな)った。(しゅ)がヌンの()ヨシュアによって()われた言葉(ことば)のとおりである。

第十七章

1ギレアデのテシベに()むテシベびとエリヤはアハブに()った、「わたしの(つか)えているイスラエルの(かみ)(しゅ)()きておられます。わたしの言葉(ことば)のないうちは、数年(すうねん)(あめ)(つゆ)もないでしょう」。 2(しゅ)言葉(ことば)がエリヤに(のぞ)んだ、 3「ここを()って(ひがし)におもむき、ヨルダンの(ひがし)にあるケリテ(かわ)のほとりに()(かく)しなさい。 4そしてその(かわ)(みず)()みなさい。わたしはからすに(めい)じて、そこであなたを(やしな)わせよう」。 5エリヤは()って、(しゅ)言葉(ことば)のとおりにした。すなわち()って、ヨルダンの(ひがし)にあるケリテ(かわ)のほとりに()んだ。 6すると、からすが(あさ)ごとに(かれ)(ところ)にパンと(にく)(はこ)び、また(ゆう)ごとにパンと(にく)(はこ)んできた。そして(かれ)はその(かわ)(みず)()んだ。 7しかし(くに)(あめ)がなかったので、しばらくしてその(かわ)はかれた。
8その(とき)(しゅ)言葉(ことば)(かれ)(のぞ)んで()った、 9()ってシドンに(ぞく)するザレパテへ()って、そこに()みなさい。わたしはそのところのやもめ(おんな)(めい)じてあなたを(やしな)わせよう」。 10そこで(かれ)()ってザレパテへ()ったが、(まち)(もん)()いたとき、ひとりのやもめ(おんな)が、その(ところ)でたきぎを(ひろ)っていた。(かれ)はその(おんな)(こえ)をかけて()った、「(うつわ)(みず)(すこ)()ってきて、わたしに()ませてください」。 11彼女(かのじょ)()って、それを()ってこようとした(とき)(かれ)彼女(かのじょ)()んで()った、「()一口(ひとくち)のパンを()ってきてください」。 12彼女(かのじょ)()った、「あなたの(かみ)(しゅ)()きておられます。わたしにはパンはありません。ただ、かめに一握(ひとにぎ)りの(こな)と、びんに(すこ)しの(あぶら)があるだけです。(いま)わたしはたきぎ二、三(ぼん)(ひろ)い、うちへ(かえ)って、わたしと子供(こども)のためにそれを調理(ちょうり)し、それを()べて()のうとしているのです」。 13エリヤは彼女(かのじょ)()った、「(おそ)れるにはおよばない。()って、あなたが()ったとおりにしなさい。しかしまず、それでわたしのために(ちい)さいパンを、一つ(つく)って()ってきなさい。その(のち)、あなたと、あなたの子供(こども)のために(つく)りなさい。 14(しゅ)(あめ)()のおもてに()らす()まで、かめの(こな)()きず、びんの(あぶら)()えない』とイスラエルの(かみ)(しゅ)()われるからです」。 15彼女(かのじょ)()って、エリヤが()ったとおりにした。彼女(かのじょ)(かれ)および彼女(かのじょ)家族(かぞく)(ひさ)しく()べた。 16(しゅ)がエリヤによって()われた言葉(ことば)のように、かめの(こな)()きず、びんの(あぶら)()えなかった。
17これらの(こと)(のち)、その(いえ)主婦(しゅふ)であるこの(おんな)(おとこ)()病気(びょうき)になった。その病気(びょうき)はたいそう(おも)く、(いき)()えたので、 18彼女(かのじょ)はエリヤに()った、「(かみ)(ひと)よ、あなたはわたしに、(なに)(うら)みがあるのですか。あなたはわたしの(つみ)(おも)()させるため、またわたしの()()なせるためにおいでになったのですか」。 19エリヤは彼女(かのじょ)()った、「()をわたしによこしなさい」。そして彼女(かのじょ)のふところから子供(こども)()り、自分(じぶん)のいる屋上(おくじょう)のへやへかかえて(のぼ)り、自分(じぶん)寝台(しんだい)()かせ、 20(しゅ)()ばわって()った、「わが(かみ)(しゅ)よ、あなたはわたしが宿(やど)っている(いえ)のやもめにさえ(わざわい)をくだして、子供(こども)(ころ)されるのですか」。 21そして三()その()(とも)(うえ)()()ばし、(しゅ)()ばわって()った、「わが(かみ)(しゅ)よ、この子供(こども)(たましい)をもとに(かえ)らせてください」。 22(しゅ)はエリヤの(こえ)()きいれられたので、その()(とも)(たましい)はもとに(かえ)って、(かれ)()きかえった。 23エリヤはその()(とも)()って屋上(おくじょう)のへやから(いえ)(なか)につれて()り、その(はは)にわたして()った、「ごらんなさい。あなたの()()きかえりました」。 24(おんな)はエリヤに()った、「(いま)わたしはあなたが(かみ)(ひと)であることと、あなたの(くち)にある(しゅ)言葉(ことば)真実(しんじつ)であることを()りました」。

第十八章

1(おお)くの()()て、三(ねん)()(しゅ)言葉(ことば)がエリヤに(のぞ)んだ、「()って、あなたの()をアハブに(しめ)しなさい。わたしは(あめ)()()らせる」。 2エリヤはその()をアハブに(しめ)そうとして()った。その(とき)、サマリヤにききんが(はげ)しかった。 3アハブは(いえ)づかさオバデヤを()した。(オバデヤは(ふか)(しゅ)(おそ)れる(ひと)で、 4イゼベルが(しゅ)預言者(よげんしゃ)()(ほろ)ぼした(とき)、オバデヤは百(にん)預言者(よげんしゃ)(すく)()して五十(にん)ずつほら(あな)(かく)し、パンと(みず)をもって(かれ)らを(やしな)った)。 5アハブはオバデヤに()った、「国中(くにぢゅう)のすべての(みず)(みなもと)と、すべての(かわ)()ってみるがよい。(うま)騾馬(らば)()かしておくための(くさ)があるかもしれない。そうすれば、われわれは家畜(かちく)をいくぶんでも(うしな)わずにすむであろう」。 6(かれ)らは()(めぐ)()をふたりで()け、アハブはひとりでこの(みち)()き、オバデヤはひとりで()(みち)(おこな)った。
7オバデヤが(みち)(すす)んでいた(とき)、エリヤが(かれ)()った。(かれ)はエリヤを(みと)めて()して()った、「わが(しゅ)エリヤよ、あなたはここにおられるのですか」。 8エリヤは(かれ)()った、「そうです。()って、あなたの主人(しゅじん)に、エリヤはここにいると()げなさい」。 9(かれ)()った、「わたしにどんな(つみ)があって、あなたはしもべをアハブの()にわたして(ころ)そうとされるのですか。 10あなたの(かみ)(しゅ)()きておられます。わたしの主人(しゅじん)があなたを(たず)ねるために、(ひと)をつかわさない(たみ)はなく、(くに)もありません。そしてエリヤはいないと()(とき)は、その(くに)、その(たみ)に、あなたが()つからないという(ちか)いをさせるのです。 11あなたは(いま)()って、エリヤはここにいると主人(しゅじん)()げよ』と()われます。 12しかしわたしがあなたを(はな)れて()くと、(しゅ)(れい)はあなたを、わたしの()らない(ところ)()れて()くでしょう。わたしが()ってアハブに()げ、(かれ)があなたを()つけることができなければ、(かれ)はわたしを(ころ)すでしょう。しかし、しもべは(おさな)(とき)から(しゅ)(おそ)れている(もの)です。 13イゼベルが(しゅ)預言者(よげんしゃ)(ころ)した(とき)に、わたしがした(こと)、すなわち、わたしが(しゅ)預言者(よげんしゃ)のうち百(にん)を五十(にん)ずつほら(あな)(かく)して、パンと(みず)をもって(やしな)った(こと)を、わが(しゅ)()かれませんでしたか。 14ところが(いま)あなたは『()って、エリヤはここにいると主人(しゅじん)()げよ』と()われます。そのようなことをすれば(かれ)はわたしを(ころ)すでしょう」。 15エリヤは()った、「わたしの(つか)える万軍(ばんぐん)(しゅ)()きておられる。わたしは(かなら)ず、きょう、わたしの()(かれ)(しめ)すであろう」。 16オバデヤは()ってアハブに()い、(かれ)()げたので、アハブはエリヤに()おうとして()った。
17アハブはエリヤを()たとき、(かれ)()った、「イスラエルを(なや)ます(もの)よ、あなたはここにいるのですか」。 18(かれ)(こた)えた、「わたしがイスラエルを(なや)ますのではありません。あなたと、あなたの(ちち)(いえ)(なや)ましたのです。あなたがたが(しゅ)命令(めいれい)()て、バアルに(したが)ったためです。 19それで(いま)(ひと)をつかわしてイスラエルのすべての(ひと)およびバアルの預言者(よげんしゃ)四百五十(にん)、ならびにアシラの預言者(よげんしゃ)四百(にん)、イゼベルの食卓(しょくたく)食事(しょくじ)する(もの)たちをカルメル(やま)(あつ)めて、わたしの(ところ)にこさせなさい」。
20そこでアハブはイスラエルのすべての(ひと)(ひと)をつかわして、預言者(よげんしゃ)たちをカルメル(やま)(あつ)めた。 21そのときエリヤはすべての(たみ)(ちか)づいて()った、「あなたがたはいつまで二つのものの(あいだ)(まよ)っているのですか。(しゅ)(かみ)ならばそれに(したが)いなさい。しかしバアルが(かみ)ならば、それに(したが)いなさい」。(たみ)はひと(こと)(かれ)(こた)えなかった。 22エリヤは(たみ)()った、「わたしはただひとり(のこ)った(しゅ)預言者(よげんしゃ)です。しかしバアルの預言者(よげんしゃ)は四百五十(にん)あります。 23われわれに二(とう)(うし)をください。そして一(とう)(うし)(かれ)らに(えら)ばせ、それを()()いて、たきぎの(うえ)()せ、それに()をつけずにおかせなさい。わたしも一(とう)(うし)(ととの)え、それをたきぎの(うえ)()せて()をつけずにおきましょう。 24こうしてあなたがたはあなたがたの(かみ)()()びなさい。わたしは(しゅ)()()びましょう。そして()をもって(こた)える(かみ)(かみ)としましょう」。(たみ)(みな)(こた)えて「それがよかろう」と()った。 25そこでエリヤはバアルの預言者(よげんしゃ)たちに()った、「あなたがたは(だい)ぜいだから(はじ)めに一(とう)(うし)(えら)んで、それを(ととの)え、あなたがたの(かみ)()()びなさい。ただし()をつけてはなりません」。 26(かれ)らは(あた)えられた(うし)()って(ととの)え、(あさ)から(ひる)までバアルの()()んで「バアルよ、(こた)えてください」と()った。しかしなんの(こえ)もなく、また(こた)える(もの)もなかったので、(かれ)らは自分(じぶん)たちの(つく)った祭壇(さいだん)のまわりに(おど)った。 27(ひる)になってエリヤは(かれ)らをあざけって()った、「(かれ)(かみ)だから、大声(おおごえ)をあげて()びなさい。(かれ)(かんが)えにふけっているのか、よそへ()ったのか、(たび)()たのか、または(ねむ)っていて(おこ)されなければならないのか」。 28そこで(かれ)らは大声(おおごえ)()ばわり、(かれ)らのならわしに(したが)って、(かたな)とやりで()(きず)つけ、()をその()(なが)すに(いた)った。 29こうして(ひる)()ぎても(かれ)らはなお(さけ)(つづ)けて、(ゆう)(そな)(もの)をささげる(とき)にまで(およ)んだ。しかしなんの(こえ)もなく、(こた)える(もの)もなく、また(かえり)みる(もの)もなかった。
30その(とき)エリヤはすべての(たみ)にむかって「わたしに近寄(ちかよ)りなさい」と()ったので、(たみ)(みな)(かれ)近寄(ちかよ)った。(かれ)はこわれている(しゅ)祭壇(さいだん)(つくろ)った。 31そしてエリヤは(むかし)(しゅ)言葉(ことば)がヤコブに(のぞ)んで、「イスラエルをあなたの()とせよ」と()われたヤコブの()らの部族(ぶぞく)(かず)にしたがって十二の(いし)()り、 32その(いし)(しゅ)()によって祭壇(さいだん)(きず)き、祭壇(さいだん)周囲(しゅうい)(たね)二セヤをいれるほどの(おお)きさの、みぞを(つく)った。 33また、たきぎを(なら)べ、(うし)()()いてたきぎの(うえ)()せて()った、「四つのかめに(みず)()たし、それを燔祭(はんさい)とたきぎの(うえ)(そそ)げ」。 34また()った、「それを二()せよ」。二()それをすると、また()った、「三()それをせよ」。三()それをした。 35(みず)祭壇(さいだん)周囲(しゅうい)(なが)れた。またみぞにも(みず)()たした。
36(ゆう)(そな)(もの)をささげる(とき)になって、預言者(よげんしゃ)エリヤは近寄(ちかよ)って()った、「アブラハム、イサク、ヤコブの(かみ)(しゅ)よ、イスラエルでは、あなたが(かみ)であること、わたしがあなたのしもべであって、あなたの言葉(ことば)(したが)ってこのすべての(こと)(おこな)ったことを、今日(こんにち)()らせてください。 37(しゅ)よ、わたしに(こた)えてください、わたしに(こた)えてください。(しゅ)よ、この(たみ)にあなたが(かみ)であること、またあなたが(かれ)らの(こころ)(ひるがえ)されたのであることを()らせてください」。 38そのとき(しゅ)()(くだ)って燔祭(はんさい)と、たきぎと、(いし)と、ちりとを()きつくし、またみぞの(みず)をなめつくした。 39(たみ)(みな)()て、ひれ()して()った、「(しゅ)(かみ)である。(しゅ)(かみ)である」。 40エリヤは(かれ)らに()った、「バアルの預言者(よげんしゃ)(とら)えよ。そのひとりも()がしてはならない」。そこで(かれ)らを(とら)えたので、エリヤは(かれ)らをキション(かわ)()れくだって、そこで(かれ)らを(ころ)した。
41エリヤはアハブに()った、「大雨(おおあめ)(おと)がするから、(のぼ)って()って、()()みしなさい」。 42アハブは()()みするために(のぼ)っていった。しかしエリヤはカルメルの(いただき)(のぼ)り、()()して(かお)をひざの(あいだ)()れていたが、 43(かれ)はしもべに()った、「(のぼ)っていって(うみ)(ほう)()なさい」。(かれ)(のぼ)っていって、()て、「(なに)もありません」と()ったので、エリヤは「もう一()()きなさい」と()って七()(およ)んだ。 44度目(どめ)にしもべは()った、「(うみ)から(ひと)()ほどの(ちい)さな(くも)()っています」。エリヤは()った、「(のぼ)っていって、『(あめ)にとどめられないように(くるま)(ととの)えて(くだ)れ』とアハブに()いなさい」。 45すると()もなく、(くも)(かぜ)(おこ)り、(そら)(くろ)くなって大雨(おおあめ)()ってきた。アハブは(くるま)()ってエズレルへ()った。 46また(しゅ)()がエリヤに(のぞ)んだので、(かれ)(こし)をからげ、エズレルの入口(いりぐち)までアハブの(まえ)(はし)っていった。

第十九章

1アハブはエリヤのしたすべての(こと)、また(かれ)がすべての預言者(よげんしゃ)(かたな)(ころ)したことをイゼベルに()げたので、 2イゼベルは使者(ししゃ)をエリヤにつかわして()った、「もしわたしが、あすの(いま)ごろ、あなたの(いのち)をあの人々(ひとびと)のひとりの(いのち)のようにしていないならば、神々(かみがみ)がどんなにでも、わたしを(ばっ)してくださるように」。 3そこでエリヤは(おそ)れて、自分(じぶん)(いのち)(すく)うために()って()げ、ユダに(ぞく)するベエルシバへ()って、しもべをそこに(のこ)し、 4自分(じぶん)は一(にち)(みち)のりほど荒野(あらの)にはいって()って、れだまの()(した)()し、自分(じぶん)()(もと)めて()った、「(しゅ)よ、もはや、じゅうぶんです。(いま)わたしの(いのち)()ってください。わたしは先祖(せんぞ)にまさる(もの)ではありません」。 5(かれ)はれだまの()(した)()して(ねむ)ったが、(てん)使(つかい)(かれ)にさわり、「()きて()べなさい」と()ったので、 6()きて()ると、(とう)のそばに、()(いし)(うえ)()いたパン一()と、一びんの(みず)があった。(かれ)()べ、かつ()んでまた()た。 7(しゅ)使(つかい)(ふたた)びきて、(かれ)にさわって()った、「()きて()べなさい。(みち)(とお)くて()えられないでしょうから」。 8(かれ)()きて()べ、かつ()み、その食物(しょくもつ)(ちから)づいて四十(にち)四十()()って、(かみ)(やま)ホレブに()いた。
9その(ところ)(かれ)はほら(あな)にはいって、そこに宿(やど)ったが、(しゅ)言葉(ことば)(かれ)(のぞ)んで、(かれ)()われた、「エリヤよ、あなたはここで(なに)をしているのか」。 10(かれ)()った、「わたしは万軍(ばんぐん)(かみ)(しゅ)のために非常(ひじょう)熱心(ねっしん)でありました。イスラエルの人々(ひとびと)はあなたの契約(けいやく)()て、あなたの祭壇(さいだん)をこわし、(かたな)をもってあなたの預言者(よげんしゃ)たちを(ころ)したのです。ただわたしだけ(のこ)りましたが、(かれ)らはわたしの(いのち)()ろうとしています」。 11(しゅ)()われた、「()て、(やま)(うえ)(しゅ)(まえ)に、()ちなさい」。その(とき)(しゅ)(とお)()ぎられ、(しゅ)(まえ)(おお)きな(つよ)(かぜ)()き、(やま)()き、(いわ)(くだ)いた。しかし(しゅ)(かぜ)(なか)におられなかった。(かぜ)(のち)地震(じしん)があったが、地震(じしん)(なか)にも(しゅ)はおられなかった。 12地震(じしん)(のち)()があったが、()(なか)にも(しゅ)はおられなかった。()(のち)(しず)かな(ほそ)(こえ)(きこ)えた。 13エリヤはそれを()いて(かお)外套(がいとう)(つつ)み、()てほら(あな)(くち)()つと、(かれ)(かた)(こえ)(きこ)えた、「エリヤよ、あなたはここで(なに)をしているのか」。 14(かれ)()った、「わたしは万軍(ばんぐん)(かみ)(しゅ)のために非常(ひじょう)熱心(ねっしん)でありました。イスラエルの人々(ひとびと)はあなたの契約(けいやく)()て、あなたの祭壇(さいだん)をこわし、(かたな)であなたの預言者(よげんしゃ)たちを(ころ)したからです。ただわたしだけ(のこ)りましたが、(かれ)らはわたしの(いのち)()ろうとしています」。 15(しゅ)(かれ)()われた、「あなたの(みち)(かえ)って()って、ダマスコの荒野(あらの)におもむき、ダマスコに()いて、ハザエルに(あぶら)(そそ)ぎ、スリヤの(おう)としなさい。 16またニムシの()エヒウに(あぶら)(そそ)いでイスラエルの(おう)としなさい。またアベルメホラのシャパテの()エリシャに(あぶら)(そそ)いで、あなたに(かわ)って預言者(よげんしゃ)としなさい。 17ハザエルのつるぎをのがれる(もの)をエヒウが(ころ)し、エヒウのつるぎをのがれる(もの)をエリシャが(ころ)すであろう。 18また、わたしはイスラエルのうちに七千(にん)(のこ)すであろう。(みな)バアルにひざをかがめず、それに(くち)づけしない(もの)である」。
19さてエリヤはそこを()って()って、シャパテの()エリシャに()った。(かれ)は十二くびきの(うし)(まえ)()かせ、自分(じぶん)は十二番目(ばんめ)のくびきと(とも)にいて(たがや)していた。エリヤは(かれ)のかたわらを(とお)()ぎて外套(がいとう)(かれ)(うえ)にかけた。 20エリシャは(うし)()て、エリヤのあとに(はし)ってきて()った、「わたしの父母(ふぼ)(くち)づけさせてください。そして(のち)あなたに(したが)いましょう」。エリヤは(かれ)()った、「()ってきなさい。わたしはあなたに(なに)をしましたか」。 21エリシャは(かれ)(はな)れて(かえ)り、ひとくびきの(うし)()って(ころ)し、(うし)のくびきを()やしてその(にく)()、それを(たみ)(あた)えて()べさせ、()って()ってエリヤに(したが)い、(かれ)(つか)えた。

第二十章

1スリヤの(おう)ベネハダデはその軍勢(ぐんぜい)をことごとく(あつ)めた。三十二(にん)(おう)(かれ)(とも)におり、また(うま)戦車(せんしゃ)もあった。(かれ)(のぼ)ってサマリヤを(かこ)み、これを()めた。 2また(かれ)(まち)使者(ししゃ)をつかわし、イスラエルの(おう)アハブに()った、「ベネハダデはこう(もう)します、 3『あなたの金銀(きんぎん)はわたしのもの、またあなたの(つま)たちと子供(こども)たちの(もっと)(うつく)しい(もの)もわたしのものです』」。 4イスラエルの(おう)(こた)えた、「(おう)、わが(しゅ)よ、(おお)せのとおり、わたしと、わたしの()(もの)(みな)あなたのものです」。 5使者(ししゃ)(ふたた)びきて()った、「ベネハダデはこう(もう)します、『わたしはさきに(ひと)をつかわして、あなたの金銀(きんぎん)妻子(さいし)()きわたせと()いました。 6しかし、あすの(いま)ごろ、しもべたちをあなたにつかわします。(かれ)らはあなたの(いえ)と、あなたの家来(けらい)(いえ)(さぐ)って、すべて(かれ)らの()にいる(もの)()()れて(うば)()るでしょう』」。
7そこでイスラエルの(おう)(くに)長老(ちょうろう)をことごとく()して()った、「よく注意(ちゅうい)して、この(ひと)無理(むり)(こと)(もと)めているのを()りなさい。(かれ)(ひと)をつかわして、わたしの妻子(さいし)金銀(きんぎん)(もと)めたが、わたしはそれを(こば)まなかった」。 8すべての長老(ちょうろう)および(たみ)(みな)(かれ)()った、「()いてはなりません。承諾(しょうだく)してはなりません」。 9それで(かれ)はベネハダデの使者(ししゃ)()った、「(おう)、わが(しゅ)()げなさい。『あなたが(はじ)めに要求(ようきゅう)されたことは(みな)いたしましょう。しかし今度(こんど)(こと)はできません』」。使者(ししゃ)()って復命(ふくめい)した。 10ベネハダデは(かれ)(ひと)をつかわして()った、「もしサマリヤのちりが、わたしに(したが)うすべての(たみ)()()たすに()りるならば、神々(かみがみ)がどんなにでも、わたしを(ばっ)してくださるように」。 11イスラエルの(おう)(こた)えた、「『武具(ぶぐ)()びる(もの)は、それを()(もの)のように(ほこ)ってはならない』と()げなさい」。 12ベネハダデは(かり)小屋(ごや)で、(おう)たちと(さけ)()んでいたが、この(こと)()いて、その家来(けらい)たちに()った、「(たたか)いの(そな)えをせよ」。(かれ)らは(まち)にむかって(たたか)いの(そな)えをした。
13この(とき)ひとりの預言者(よげんしゃ)がイスラエルの(おう)アハブのもとにきて()った、「(しゅ)はこう(おお)せられる、『あなたはこの大軍(たいぐん)()たか。わたしはきょう、これをあなたの()にわたす。あなたは、わたしが(しゅ)であることを、()るようになるであろう』」。 14アハブは()った、「だれにさせましょうか」。(かれ)()った、「(しゅ)はこう(おお)せられる、『地方(ちほう)代官(だいかん)家来(けらい)たちにさせよ』」。アハブは()った、「だれが(たたか)いを(はじ)めましょうか」。(かれ)(こた)えた、「あなたです」。 15そこでアハブは地方(ちほう)代官(だいかん)家来(けらい)たちを調(しら)べたところ二百三十二(にん)あった。(つぎ)にすべての(たみ)、すなわちイスラエルのすべての(ひと)調(しら)べたところ七千(にん)あった。
16(かれ)らは(ひる)ごろ()ていったが、ベネハダデは(かり)小屋(ごや)で、味方(みかた)の三十二(にん)(おう)たちと(とも)(さけ)()んで()っていた。 17地方(ちほう)代官(だいかん)家来(けらい)たちが(さき)()ていった。ベネハダデは斥候(せっこう)をつかわしたが、(かれ)らは「サマリヤから人々(ひとびと)()てきた」と報告(ほうこく)したので、 18(かれ)()った、「和解(わかい)のために()てきたのであっても、(いけ)どりにせよ。また(たたか)いのために()てきたのであっても、(いけ)どりにせよ」。
19地方(ちほう)代官(だいかん)家来(けらい)たちと、それに(したが)軍勢(ぐんぜい)(まち)から()ていって、 20おのおのその相手(あいて)()(ころ)したので、スリヤびとは()げた。イスラエルはこれを()ったが、スリヤの(おう)ベネハダデは(うま)()り、騎兵(きへい)(したが)えてのがれた。 21イスラエルの(おう)()ていって、(うま)戦車(せんしゃ)をぶんどり、また(おお)いにスリヤびとを()(ころ)した。
22(とき)に、かの預言者(よげんしゃ)がイスラエルの(おう)のもとにきて()った、「()って、(ちから)(やしな)い、なすべき(こと)をよく(かんが)えなさい。来年(らいねん)(はる)にはスリヤの(おう)が、あなたのところに()(のぼ)ってくるからです」。
23スリヤの(おう)家来(けらい)たちは(おう)()った、「(かれ)らの神々(かみがみ)(やま)(かみ)ですから(かれ)らがわれわれよりも(つよ)かったのです。もしわれわれが平地(へいち)(たたか)うならば、(かなら)(かれ)らよりも(つよ)いでしょう。 24それでこうしなさい。(おう)たちをおのおのその地位(ちい)から退(しりぞ)かせ、総督(そうとく)()いてそれに(かわ)らせなさい。 25またあなたが(うしな)った軍勢(ぐんぜい)(ひと)しい軍勢(ぐんぜい)(あつ)め、(うま)(うま)戦車(せんしゃ)戦車(せんしゃ)をもって(おぎな)いなさい。こうしてわれわれが平地(へいち)(たたか)うならば(かなら)(かれ)らよりも(つよ)いでしょう」。(かれ)はその言葉(ことば)()きいれて、そのようにした。
26(はる)になって、ベネハダデはスリヤびとを(あつ)めて、イスラエルと(たたか)うために、アペクに(のぼ)ってきた。 27イスラエルの人々(ひとびと)召集(しょうしゅう)され、糧食(りょうしょく)()けて(かれ)らを(むか)()つために()かけた。イスラエルの人々(ひとびと)はやぎの二つの(ちい)さい()れのように(かれ)らの(まえ)陣取(じんど)ったが、スリヤびとはその()()ちていた。 28その(とき)(かみ)(ひと)がきて、イスラエルの(おう)()った、「(しゅ)はこう(おお)せられる、『スリヤびとが、(しゅ)(やま)(かみ)であって、(たに)(かみ)ではないと()っているから、わたしはこのすべての大軍(たいぐん)をあなたの()にわたす。あなたは、わたしが(しゅ)であることを()るようになるであろう』」。 29(かれ)らは七日(なぬか)(あいだ)(たがい)にむかいあって陣取(じんど)り、七日(なぬか)()になって(たたか)いを(まじ)えたが、イスラエルの人々(ひとびと)は一(にち)にスリヤびとの歩兵(ほへい)十万(にん)(ころ)した。 30そのほかの(もの)はアペクの(まち)()げこんだが、城壁(じょうへき)がくずれて、その(のこ)った二万七千(にん)(うえ)(たお)れた。
ベネハダデは()げて(まち)(はい)り、(おく)(あいだ)にはいった。 31家来(けらい)たちは(かれ)()った、「イスラエルの(いえ)(おう)たちはあわれみ(ふか)(おう)であると()いています。それでわれわれの(こし)荒布(あらぬの)をつけ、くびになわをかけて、イスラエルの(おう)(ところ)()かせてください。たぶん(かれ)はあなたの(いのち)(たす)けるでしょう」。 32そこで(かれ)らは荒布(あらぬの)(こし)にまき、なわをくびにかけてイスラエルの(おう)(ところ)()って()った、「あなたのしもべベネハダデが『どうぞ、わたしの(いのち)(たす)けてください』と(もう)しています」。アハブは()った、「(かれ)はまだ()きているのですか。(かれ)はわたしの兄弟(きょうだい)です」。 33その人々(ひとびと)はこれを吉兆(きっちょう)としてすみやかに(かれ)言葉(ことば)をうけ、「そうです。ベネハダデはあなたの兄弟(きょうだい)です」と()ったので、(かれ)()った、「()って(かれ)をつれてきなさい」。それでベネハダデは(かれ)(ところ)()てきたので、(かれ)はこれを自分(じぶん)(くるま)()せた。 34ベネハダデは(かれ)()った、「わたしの(ちち)が、あなたの父上(ちちうえ)から()った町々(まちまち)(かえ)します。またわたしの(ちち)がサマリヤに(つく)ったように、あなたはダマスコに、あなたのために市場(しじょう)(もう)けなさい」。アハブは()った、「わたしはこの契約(けいやく)をもってあなたを(かえ)らせましょう」。こうしてアハブは(かれ)契約(けいやく)(むす)び、(かれ)(かえ)らせた。
35さて預言者(よげんしゃ)のともがらのひとりが(しゅ)言葉(ことば)(したが)ってその仲間(なかま)()った、「どうぞ、わたしを()ってください」。しかしその(ひと)()つことを(こば)んだので、 36(かれ)はその(ひと)()った、「あなたは(しゅ)言葉(ことば)()(したが)わないゆえ、わたしを(はな)れて()くとすぐ、ししがあなたを(ころ)すでしょう」。その(ひと)(かれ)のそばを(はな)れて()くとすぐ、ししが(かれ)()って(かれ)(ころ)した。 37(かれ)はまたほかの(ひと)()って()った、「どうぞ、わたしを()ってください」。するとその(ひと)(かれ)()ち、()って(きず)つけた。 38こうしてその預言者(よげんしゃ)()って、(みち)のかたわらで(おう)()ち、()にほうたいを()てて姿(すがた)()えていた。 39(おう)(とお)()ぎる(とき)(おう)()ばわって()った、「しもべはいくさの(なか)()()きましたが、ある軍人(ぐんじん)が、ひとりの(ひと)をわたしの(ところ)につれてきて()いました、『この(ひと)(まも)っていなさい。もし(かれ)がいなくなれば、あなたの(いのち)(かれ)(いのち)()えるか、または(ぎん)一タラントを(はら)わなければならない』。 40ところが、しもべはあちらこちらと(いそが)しくしていたので、ついに(かれ)はいなくなりました」。イスラエルの(おう)(かれ)()った、「あなたはそのとおりにさばかれなければならない。あなたが自分(じぶん)でそれを(さだ)めたのです」。 41そこで(かれ)(いそ)いで()のほうたいを()(のぞ)いたので、イスラエルの(おう)はそれが預言者(よげんしゃ)のひとりであることを()った。 42(かれ)(おう)()った、「(しゅ)はこう(おお)せられる、『わたしが(ほろ)ぼそうと(さだ)めた(ひと)を、あなたは自分(じぶん)()から(はな)して()かせたので、あなたの(いのち)(かれ)(いのち)(かわ)り、あなたの(たみ)(かれ)(たみ)(かわ)るであろう』と」。 43イスラエルの(おう)(かな)しみ、かつ(いか)って自分(じぶん)(いえ)におもむき、サマリヤに(かえ)った。

第二十一章

1さてエズレルびとナボテはエズレルにぶどう(はたけ)をもっていたが、サマリヤの(おう)アハブの宮殿(きゅうでん)のかたわらにあったので、 2アハブはナボテに()った、「あなたのぶどう(はたけ)はわたしの(いえ)(ちか)くにあるので、わたしに(ゆず)って青物(あおもの)(はたけ)にさせてください。その(かわ)り、わたしはそれよりも()いぶどう(はたけ)をあなたにあげましょう。もしお(のぞ)みならば、その(あたい)(きん)でさしあげましょう」。 3ナボテはアハブに()った、「わたしは先祖(せんぞ)()(ぎょう)をあなたに(ゆず)ることを(だん)じていたしません」。 4アハブはエズレルびとナボテが()った言葉(ことば)()いて、(かな)しみ、かつ(いか)って(いえ)にはいった。ナボテが「わたしは先祖(せんぞ)()(ぎょう)をあなたに(ゆず)りません」と()ったからである。アハブは(とこ)()し、(かお)をそむけて食事(しょくじ)をしなかった。
5(つま)イゼベルは(かれ)(ところ)にきて、()った、「あなたは(なに)をそんなに(かな)しんで、食事(しょくじ)をなさらないのですか」。 6(かれ)彼女(かのじょ)()った、「わたしはエズレルびとナボテに『あなたのぶどう(はたけ)(かね)(ゆず)ってください。もし(のぞ)むならば、その(かわ)りに、ほかのぶどう(はたけ)をあげよう』と()ったが、(かれ)(こた)えて『わたしはぶどう(はたけ)(ゆず)りません』と()ったからだ」。 7(つま)イゼベルは(かれ)()った、「あなたが(いま)イスラエルを(おさ)めているのですか。()きて食事(しょくじ)をし、元気(げんき)()してください。わたしがエズレルびとナボテのぶどう(はたけ)をあなたにあげます」。
8彼女(かのじょ)はアハブの()手紙(てがみ)()き、(かれ)(しるし)をおして、ナボテと(おな)じように、その(まち)()んでいる長老(ちょうろう)たちと身分(みぶん)(たっと)人々(ひとびと)に、その手紙(てがみ)(おく)った。 9彼女(かのじょ)はその手紙(てがみ)()きしるした、「断食(だんじき)布告(ふこく)して、ナボテを(たみ)のうちの(たか)(ところ)にすわらせ、 10またふたりのよこしまな(もの)(かれ)(まえ)にすわらせ、そして(かれ)(うった)えて、『あなたは(かみ)(おう)とをのろった』と()わせなさい。こうして(かれ)()()し、(いし)()(ころ)しなさい」。 11その(まち)人々(ひとびと)、すなわち、その(まち)()んでいる長老(ちょうろう)たちおよび身分(みぶん)(たっと)人々(ひとびと)は、イゼベルが()いつかわしたようにした。彼女(かのじょ)(かれ)らに(おく)った手紙(てがみ)()きしるされていたように、 12(かれ)らは断食(だんじき)布告(ふこく)して、ナボテを(たみ)のうちの(たか)(ところ)にすわらせた。 13そしてふたりのよこしまな(もの)がはいってきて、その(まえ)にすわり、そのよこしまな(もの)たちが(たみ)(まえ)でナボテを(うった)えて、「ナボテは(かみ)(おう)とをのろった」と()った。そこで人々(ひとびと)(かれ)(まち)(そと)()()し、(いし)()(ころ)した。 14そして人々(ひとびと)はイゼベルに「ナボテは(いし)()(ころ)された」と()(おく)った。
15イゼベルはナボテが(いし)()(ころ)されたのを()くとすぐ、アハブに()った、「()って、あのエズレルびとナボテが、あなたに(かね)(ゆず)ることを(こば)んだぶどう(はたけ)()りなさい。ナボテは()きていません。()んだのです」。 16アハブはナボテの()んだのを()くとすぐ、()って、エズレルびとナボテのぶどう(はたけ)()るために、そこへ(くだ)っていった。
17そのとき、(しゅ)言葉(ことば)がテシベびとエリヤに(のぞ)んだ、 18()って、(くだ)って()き、サマリヤにいるイスラエルの(おう)アハブに()いなさい。(かれ)はナボテのぶどう(はたけ)()ろうとしてそこへ(くだ)っている。 19あなたは(かれ)()わなければならない、『(しゅ)はこう(おお)せられる、あなたは(ころ)したのか、また()ったのか』と。また(かれ)()いなさい、『(しゅ)はこう(おお)せられる、(いぬ)がナボテの()をなめた場所(ばしょ)で、(いぬ)があなたの()をなめるであろう』」。
20アハブはエリヤに()った、「わが(てき)よ、ついに、わたしを()つけたのか」。(かれ)()った、「()つけました。あなたが(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)うことに()をゆだねたゆえ、 21わたしはあなたに(わざわい)(くだ)し、あなたを(まった)(ほろ)ぼし、アハブに(ぞく)する(おとこ)は、イスラエルにいてつながれた(もの)も、自由(じゆう)(もの)もことごとく()ち、 22またあなたの(いえ)をネバテの()ヤラベアムの(いえ)のようにし、アヒヤの()バアシャの(いえ)のようにするでしょう。これはあなたがわたしを(いか)らせた(いか)りのゆえ、またイスラエルに(つみ)(おか)させたゆえです。 23イゼベルについて、(しゅ)はまた()われました、『(いぬ)がエズレルの地域(ちいき)でイゼベルを()うであろう』と。 24アハブに(ぞく)する(もの)は、(まち)()(もの)(いぬ)()い、()()(もの)(そら)(とり)()うでしょう」。
25アハブのように(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)うことに()をゆだねた(もの)はなかった。その(つま)イゼベルが(かれ)をそそのかしたのである。 26(かれ)(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)(まえ)から()(はら)われたアモリびとがしたように偶像(ぐうぞう)(したが)って、はなはだ(にく)むべき(こと)(おこな)った。
27アハブはこれらの言葉(ことば)()いた(とき)(ころも)()き、荒布(あらぬの)()にまとい、(しょく)()ち、荒布(あらぬの)()し、()ちしおれて(ある)いた。 28この(とき)(しゅ)言葉(ことば)がテシベびとエリヤに(のぞ)んだ、 29「アハブがわたしの(まえ)にへりくだっているのを()たか。(かれ)がわたしの(まえ)にへりくだっているゆえ、わたしは()()には(わざわい)(くだ)さない。その()()(わざわい)をその(いえ)(くだ)すであろう」。

第二十二章

1スリヤとイスラエルの(あいだ)戦争(せんそう)がなくて三(ねん)()た。 2しかし三(ねん)()にユダの(おう)ヨシャパテがイスラエルの(おう)(ところ)(くだ)っていったので、 3イスラエルの(おう)はその家来(けらい)たちに()った、「あなたがたは、ラモテ・ギレアデがわれわれの所有(しょゆう)であることを()っていますか。しかもなおわれわれはスリヤの(おう)()からそれを()らずに(だま)っているのです」。 4(かれ)はヨシャパテに()った、「ラモテ・ギレアデで(たたか)うためにわたしと一緒(いっしょ)()かれませんか」。ヨシャパテはイスラエルの(おう)()った、「わたしはあなたと一つです。わたしの(たみ)はあなたの(たみ)と一つです。わたしの(うま)はあなたの(うま)と一つです」。
5ヨシャパテはまたイスラエルの(おう)()った、「まず、(しゅ)言葉(ことば)(うかが)いなさい」。 6そこでイスラエルの(おう)預言者(よげんしゃ)四百(にん)ばかりを(あつ)めて、(かれ)らに()った、「わたしはラモテ・ギレアデに(たたか)いに()くべきでしょうか、あるいは(ひか)えるべきでしょうか」。(かれ)らは()った、「(のぼ)っていきなさい。(しゅ)はそれを(おう)()にわたされるでしょう」。 7ヨシャパテは()った、「ここには、われわれの()うべき(しゅ)預言者(よげんしゃ)がほかにいませんか」。 8イスラエルの(おう)はヨシャパテに()った、「われわれが(しゅ)()うことのできる(ひと)が、まだひとりいます。イムラの()ミカヤです。(かれ)はわたしについて()(こと)預言(よげん)せず、ただ(わる)(こと)だけを預言(よげん)するので、わたしは(かれ)(にく)んでいます」。ヨシャパテは()った、「(おう)よ、そう()わないでください」。 9そこでイスラエルの(おう)役人(やくにん)()んで、「(いそ)いでイムラの()ミカヤを()れてきなさい」と()った。 10さてイスラエルの(おう)およびユダの(おう)ヨシャパテは(おう)(ふく)()て、サマリヤの(もん)入口(いりぐち)広場(ひろば)に、おのおのその王座(おうざ)にすわり、預言者(よげんしゃ)たちは(みな)その(まえ)預言(よげん)していた。 11ケナアナの()ゼデキヤは(てつ)(つの)(つく)って()った、「(しゅ)はこう(おお)せられます、『あなたはこれらの(つの)をもってスリヤびとを()いて(かれ)らを(ほろ)ぼしなさい』」。 12預言者(よげんしゃ)たちは(みな)そのように預言(よげん)して()った、「ラモテ・ギレアデに(のぼ)っていって勝利(しょうり)()なさい。(しゅ)はそれを(おう)()にわたされるでしょう」。
13さてミカヤを()びにいった使者(ししゃ)(かれ)()った、「預言者(よげんしゃ)たちは一致(いっち)して(おう)()(こと)()いました。どうぞ、あなたも、(かれ)らのひとりの言葉(ことば)のようにして、()(こと)()ってください」。 14ミカヤは()った、「(しゅ)()きておられます。(しゅ)がわたしに()われる(こと)(もう)しましょう」。 15(かれ)(おう)(ところ)()くと、(おう)(かれ)()った、「ミカヤよ、われわれはラモテ・ギレアデに(たたか)いに()くべきでしょうか、あるいは(ひか)えるべきでしょうか」。(かれ)(おう)()った、「(のぼ)っていって勝利(しょうり)()なさい。(しゅ)はそれを(おう)()にわたされるでしょう」。 16しかし(おう)(かれ)()った、「(いく)たびあなたを(ちか)わせたら、あなたは(しゅ)()をもって、ただ真実(しんじつ)のみをわたしに()げるでしょうか」。 17(かれ)()った、「わたしはイスラエルが(みな)牧者(ぼくしゃ)のない(ひつじ)のように、(やま)()っているのを()ました。すると(しゅ)は『これらの(もの)飼主(かいぬし)がいない。(かれ)らをそれぞれ(やす)らかに、その(いえ)(かえ)らせよ』と()われました」。 18イスラエルの(おう)はヨシャパテに()った、「(かれ)がわたしについて()(こと)預言(よげん)せず、ただ(わる)(こと)だけを預言(よげん)すると、あなたに()げたではありませんか」。 19ミカヤは()った、「それゆえ(しゅ)言葉(ことば)()きなさい。わたしは(しゅ)がその玉座(ぎょくざ)にすわり、(てん)万軍(ばんぐん)がそのかたわらに、右左(みぎひだり)()っているのを()たが、 20(しゅ)は『だれがアハブをいざなってラモテ・ギレアデに(のぼ)らせ、(かれ)(たお)れさせるであろうか』と()われました。するとひとりはこの(こと)()い、ひとりはほかの(こと)()いました。 21その(とき)一つの(れい)(すす)()て、(しゅ)(まえ)()ち、『わたしが(かれ)をいざないましょう』と()いました。 22(しゅ)は『どのような方法(ほうほう)でするのか』と()われたので、(かれ)は『わたしが()()って、(いつわ)りを()(れい)となって、すべての預言者(よげんしゃ)(くち)宿(やど)りましょう』と()いました。そこで(しゅ)は『おまえは(かれ)をいざなって、それを()()げるであろう。()()って、そうしなさい』と()われました。 23それで(しゅ)(いつわ)りを()(れい)をあなたのすべての預言者(よげんしゃ)(くち)()れ、また(しゅ)はあなたの()(おこ)(わざわい)()げられたのです」。 24するとケナアナの()ゼデキヤは近寄(ちかよ)って、ミカヤのほおを()って()った、「どのようにして(しゅ)(れい)がわたしを(はな)れて、あなたに(かた)りましたか」。 25ミカヤは()った、「あなたが(おく)(あいだ)にはいって()(かく)すその()に、わかるでしょう」。 26イスラエルの(おう)()った、「ミカヤを(とら)え、(まち)のつかさアモンと、(おう)()ヨアシの(ところ)()いて(かえ)って、 27()いなさい、『(おう)がこう()います、この(もの)獄屋(ごくや)()れ、わずかのパンと(みず)をもって(かれ)(やしな)い、わたしが勝利(しょうり)()(かえ)ってくるのを()て』」。 28ミカヤは()った、「もしあなたが勝利(しょうり)()(かえ)ってこられるならば、(しゅ)がわたしによって(かた)られなかったのです」。また(かれ)()った、「あなたがた、すべての(たみ)よ、()きなさい」。
29こうしてイスラエルの(おう)とユダの(おう)ヨシャパテはラモテ・ギレアデに(のぼ)っていった。 30イスラエルの(おう)はヨシャパテに()った、「わたしは姿(すがた)()えて、(たたか)いに()きます。あなたは(おう)(ふく)()けなさい」。イスラエルの(おう)姿(すがた)()えて(たたか)いに()った。 31さて、スリヤの(おう)は、その戦車(せんしゃ)(ちょう)三十二(にん)(めい)じて()った、「あなたがたは、(ちい)さい(もの)とも(おお)きい(もの)とも(たたか)わないで、ただイスラエルの(おう)とだけ(たたか)いなさい」。 32戦車(せんしゃ)(ちょう)らはヨシャパテを()たとき、これはきっとイスラエルの(おう)だと(おも)ったので、()をめぐらして、これと(たたか)おうとすると、ヨシャパテは()ばわった。 33戦車(せんしゃ)(ちょう)らは(かれ)がイスラエルの(おう)でないのを()たので、(かれ)()うことをやめて()(かえ)した。 34しかし、ひとりの(ひと)(なに)(こころ)なく(ゆみ)をひいて、イスラエルの(おう)胸当(むねあて)草摺(くさずり)(あいだ)()たので、(かれ)はその戦車(せんしゃ)御者(ぎょしゃ)()った、「わたしは(きず)()けた。戦車(せんしゃ)をめぐらして、わたしを戦場(せんじょう)から(はこ)()せ」。 35その()(たたか)いは(はげ)しくなった。(おう)戦車(せんしゃ)(なか)にささえられて()ち、スリヤびとにむかっていたが、ついに、夕暮(ゆうぐれ)になって()んだ。(きず)()戦車(せんしゃ)(そこ)(なが)れた。 36()(ぼっ)するころ、軍勢(ぐんぜい)(なか)()ばわる(こえ)がした、「めいめいその(まち)へ、めいめいその(くに)(かえ)れ」。
37(おう)()んで、サマリヤへ(たずさ)()かれた。人々(ひとびと)(おう)をサマリヤに(ほうむ)った。 38またその戦車(せんしゃ)をサマリヤの(いけ)(あら)ったが、(いぬ)がその()をなめた。また遊女(ゆうじょ)がそこで()(あら)った。(しゅ)()われた言葉(ことば)のとおりである。 39アハブのそのほかの事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)と、その()てた象牙(ぞうげ)(いえ)と、その()てたすべての(まち)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 40こうしてアハブはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、その()アハジヤが(かわ)って(おう)となった。
41アサの()ヨシャパテはイスラエルの(おう)アハブの(だい)(ねん)にユダの(おう)となった。 42ヨシャパテは(おう)となった(とき)、三十五(さい)であったが、エルサレムで二十五(ねん)()(おさ)めた。その(はは)()はアズバといい、シルヒの(むすめ)であった。 43ヨシャパテは(ちち)アサのすべての(みち)(あゆ)み、それを(はな)れることなく、(しゅ)()にかなう(こと)をした。ただし(たか)(ところ)(のぞ)かなかったので、(たみ)はなお(たか)(ところ)犠牲(ぎせい)をささげ、(こう)をたいた。 44ヨシャパテはまたイスラエルの(おう)と、よしみを(むす)んだ。
45ヨシャパテのその()事績(じせき)と、(かれ)があらわした勲功(くんこう)およびその戦争(せんそう)については、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 46(かれ)(ちち)アサの()になお(のこ)っていた神殿(しんでん)男娼(だんしょう)たちを(くに)のうちから()(はら)った。
47そのころエドムには(おう)がなく、代官(だいかん)(おう)であった。 48ヨシャパテはタルシシの(ふね)(つく)って、(きん)()るためにオフルに()かせようとしたが、その(ふね)はエジオン・ゲベルで難破(なんぱ)したため、ついに()かなかった。 49そこでアハブの()アハジヤはヨシャパテに「わたしの家来(けらい)をあなたの家来(けらい)一緒(いっしょ)(ふね)()かせなさい」と()ったが、ヨシャパテは承知(しょうち)しなかった。 50ヨシャパテはその先祖(せんぞ)(とも)(ねむ)って、(ちち)ダビデの(まち)先祖(せんぞ)(とも)(ほうむ)られ、その()ヨラムが(かわ)って(おう)となった。
51アハブの()アハジヤはユダの(おう)ヨシャパテの(だい)十七(ねん)にサマリヤでイスラエルの(おう)となり、二(ねん)イスラエルを(おさ)めた。 52(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、その(ちち)(みち)と、その(はは)(みち)、およびかのイスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムの(みち)(あゆ)み、 53バアルに(つか)えて、それを(おが)み、イスラエルの(かみ)(しゅ)(いか)らせた。すべて(かれ)(ちち)がしたとおりであった。