列王紀下

第一章

1アハブが()んだ(のち)、モアブはイスラエルにそむいた。
2さてアハジヤはサマリヤにある高殿(たかどの)のらんかんから()ちて病気(びょうき)になったので、使者(ししゃ)をつかわし、「()ってエクロンの(かみ)バアル・ゼブブに、この病気(びょうき)がなおるかどうかを(たず)ねよ」と(めい)じた。 3(とき)に、(しゅ)使(つかい)はテシベびとエリヤに()った、「()って、(のぼ)って()き、サマリヤの(おう)使者(ししゃ)()って()いなさい、『あなたがたがエクロンの(かみ)バアル・ゼブブに(たず)ねようとして()くのは、イスラエルに(かみ)がないためか』。 4それゆえ(しゅ)はこう(おお)せられる、『あなたは、(のぼ)った寝台(しんだい)から()りることなく、(かなら)()ぬであろう』」。そこでエリヤは(のぼ)って()った。
5使者(ししゃ)たちがアハジヤのもとに(かえ)ってきたので、アハジヤは(かれ)らに()った、「なぜ(かえ)ってきたのか」。 6(かれ)らは()った、「ひとりの(ひと)(のぼ)ってきて、われわれに()って()いました、『おまえたちをつかわした(おう)(ところ)(かえ)って()いなさい。(しゅ)はこう(おお)せられる、あなたがエクロンの(かみ)バアル・ゼブブに(たず)ねようとして(ひと)をつかわすのは、イスラエルに(かみ)がないためなのか。それゆえあなたは、(のぼ)った寝台(しんだい)から()りることなく、(かなら)()ぬであろう』」。 7アハジヤは(かれ)らに()った、「(のぼ)ってきて、あなたがたに()って、これらの(こと)()げた(ひと)はどんな(ひと)であったか」。 8(かれ)らは(こた)えた、「その(ひと)()ごろもを()て、(こし)(かわ)(おび)()めていました」。(かれ)()った、「その(ひと)はテシべびとエリヤだ」。
9そこで(おう)は五十(にん)(ちょう)を、部下(ぶか)の五十(にん)(とも)にエリヤの(ところ)へつかわした。(かれ)がエリヤの(ところ)(のぼ)っていくと、エリヤは(やま)(いただき)にすわっていたので、エリヤに()った、「(かみ)(ひと)よ、(おう)があなたに、(くだ)って()るようにと()われます」。 10しかしエリヤは五十(にん)(ちょう)(こた)えた、「わたしがもし(かみ)(ひと)であるならば、()(てん)から(くだ)って、あなたと部下(ぶか)の五十(にん)とを()(つく)すでしょう」。そのように()(てん)から(くだ)って、(かれ)部下(ぶか)の五十(にん)とを()(つく)した。
11(おう)はまた()の五十(にん)(ちょう)を、部下(ぶか)の五十(にん)(とも)にエリヤにつかわした。(かれ)(のぼ)っていってエリヤに()った、「(かみ)(ひと)よ、(おう)がこう(めい)じられます、『すみやかに(くだ)ってきなさい』」。 12しかしエリヤは(かれ)らに(こた)えた、「わたしがもし(かみ)(ひと)であるならば、()(てん)から(くだ)って、あなたと部下(ぶか)の五十(にん)とを()(つく)すでしょう」。そのように(かみ)()(てん)から(くだ)って、(かれ)部下(ぶか)の五十(にん)とを()(つく)した。
13(おう)はまた(だい)三の五十(にん)(ちょう)部下(ぶか)の五十(にん)(とも)につかわした。(だい)三の五十(にん)(ちょう)(のぼ)っていって、エリヤの(まえ)にひざまずき、(かれ)(ねが)って()った、「(かみ)(ひと)よ、どうぞ、わたしの(いのち)と、あなたのしもべであるこの五十(にん)(いのち)をあなたの()(たっと)いものとみなしてください。 14ごらんなさい、()(てん)からくだって、さきの五十(にん)(ちょう)ふたりと、その部下(ぶか)の五十(にん)ずつとを()(つく)しました。しかし(いま)わたしの(いのち)をあなたの()(たっと)いものとみなしてください」。 15その(とき)(しゅ)使(つかい)はエリヤに()った、「(かれ)(とも)(くだ)りなさい。(かれ)(おそ)れてはならない」。そこでエリヤは()って、(かれ)(とも)(くだ)り、(おう)のもとへ()って、 16(おう)()った、「(しゅ)はこう(おお)せられます、『あなたはエクロンの(かみ)バアル・ゼブブに(たず)ねようと使者(ししゃ)をつかわしたが、それはイスラエルに、その言葉(ことば)(もと)むべき(かみ)がないためであるか。それゆえあなたは、(のぼ)った寝台(しんだい)から()りることなく、(かなら)()ぬであろう』」。
17(かれ)はエリヤが()った(しゅ)言葉(ことば)のとおりに()んだが、(かれ)()がなかったので、その兄弟(きょうだい)ヨラムが(かれ)(かわ)って(おう)となった。これはユダの(おう)ヨシャパテの()ヨラムの(だい)(ねん)である。 18アハジヤのその()事績(じせき)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。

第二章

1(しゅ)がつむじ(かぜ)をもってエリヤを(てん)(のぼ)らせようとされた(とき)、エリヤはエリシャと(とも)にギルガルを()()った。 2エリヤはエリシャに()った、「どうぞ、ここにとどまってください。(しゅ)はわたしをベテルにつかわされるのですから」。しかしエリシャは()った、「(しゅ)()きておられます。またあなたも()きておられます。わたしはあなたを(はな)れません」。そして(かれ)らはベテルへ(くだ)った。 3ベテルにいる預言者(よげんしゃ)のともがらが、エリシャのもとに()てきて(かれ)()った、「(しゅ)がきょう、あなたの師事(しじ)する主人(しゅじん)をあなたから()られるのを()っていますか」。(かれ)()った、「はい、()っています。あなたがたは(だま)っていてください」。
4エリヤは(かれ)()った、「エリシャよ、どうぞ、ここにとどまってください。(しゅ)はわたしをエリコにつかわされるのですから」。しかしエリシャは()った、「(しゅ)()きておられます。またあなたも()きておられます。わたしはあなたを(はな)れません」。そして(かれ)らはエリコへ()った。 5エリコにいた預言者(よげんしゃ)のともがらが、エリシャのもとにきて(かれ)()った、「(しゅ)がきょう、あなたの師事(しじ)する主人(しゅじん)をあなたから()られるのを()っていますか」。(かれ)()った、「はい、()っています。あなたがたは(だま)っていてください」。
6エリヤはまた(かれ)()った、「どうぞ、ここにとどまってください。(しゅ)はわたしをヨルダンにつかわされるのですから」。しかし(かれ)()った、「(しゅ)()きておられます。またあなたも()きておられます。わたしはあなたを(はな)れません」。そしてふたりは(すす)んで()った。 7預言者(よげんしゃ)のともがら五十(にん)()って、(かれ)らにむかって、はるかに(はな)れて()っていた。(かれ)らふたりは、ヨルダンのほとりに()ったが、 8エリヤは外套(がいとう)()り、それを()いて(みず)()つと、(みず)左右(さゆう)(わか)れたので、ふたりはかわいた(つち)(うえ)(わた)ることができた。
9(かれ)らが(わた)ったとき、エリヤはエリシャに()った、「わたしが()られて、あなたを(はな)れる(まえ)に、あなたのしてほしい(こと)(もと)めなさい」。エリシャは()った、「どうぞ、あなたの(れい)の二つの(ぶん)をわたしに()がせてください」。 10エリヤは()った、「あなたはむずかしい(こと)(もと)める。あなたがもし、わたしが()られて、あなたを(はな)れるのを()るならば、そのようになるであろう。しかし()ないならば、そのようにはならない」。 11(かれ)らが(すす)みながら(かた)っていた(とき)()(くるま)()(うま)があらわれて、ふたりを(へだ)てた。そしてエリヤはつむじ(かぜ)()って(てん)にのぼった。 12エリシャはこれを()て「わが(ちち)よ、わが(ちち)よ、イスラエルの戦車(せんしゃ)よ、その騎兵(きへい)よ」と(さけ)んだが、(ふたた)(かれ)()なかった。
そこでエリシャは自分(じぶん)着物(きもの)をつかんで、それを二つに()き、 13またエリヤの()から()ちた外套(がいとう)()()げ、(かえ)ってきてヨルダンの(きし)()った。 14そしてエリヤの()から()ちたその外套(がいとう)()って(みず)()ち、「エリヤの(かみ)(しゅ)はどこにおられますか」と()い、(かれ)(みず)()つと、(みず)左右(さゆう)(わか)れたので、エリシャは(わた)った。
15エリコにいる預言者(よげんしゃ)のともがらは(かれ)(ちか)づいて()るのを()て、「エリヤの(れい)がエリシャの(うえ)にとどまっている」と()った。そして(かれ)らは()(かれ)(むか)え、その(まえ)()()して、 16(かれ)()った、「しもべらの(ところ)(ちから)(つよ)(もの)が五十(にん)います。どうぞ(かれ)らをつかわして、あなたの主人(しゅじん)(たず)ねさせてください。(しゅ)(れい)(かれ)()きあげて、(かれ)(やま)(たに)()げたのかも()れません」。エリシャは「つかわしてはならない」と()ったが、 17(かれ)()じるまで、しいたので、(かれ)は「つかわしなさい」と()った。それで(かれ)らは五十(にん)(もの)をつかわし、三()(あいだ)(たず)ねたが、(かれ)()いださなかった。 18エリシャのなおエリコにとどまっている(とき)(かれ)らが(かえ)ってきたので、エリシャは(かれ)らに()った、「わたしは、あなたがたに、()ってはならないと()げたではないか」。
19(まち)人々(ひとびと)はエリシャに()った、「()られるとおり、この(まち)場所(ばしょ)()いが(みず)(わる)いので、この()流産(りゅうざん)(おこ)すのです」。 20エリシャは()った、「(あたら)しい(さら)(しお)()って、わたしに()ってきなさい」。(かれ)らは()ってきた。 21エリシャは(みず)(みなもと)()()って、(しお)をそこに()()れて()った、「(しゅ)はこう(おお)せられる、『わたしはこの(みず)()(みず)にした。もはやここには()流産(りゅうざん)(おこ)らないであろう』」。 22こうしてその(みず)はエリシャの()ったとおりに()(みず)になって今日(こんにち)(いた)っている。
23(かれ)はそこからベテルへ(のぼ)ったが、(のぼ)って()途中(とちゅう)(ちい)さい子供(こども)らが(まち)から()てきて(かれ)をあざけり、(かれ)にむかって「はげ(あたま)よ、のぼれ。はげ(あたま)よ、のぼれ」と()ったので、 24(かれ)はふり(かえ)って(かれ)らを()(しゅ)()をもって(かれ)らをのろった。すると(はやし)(なか)から二(とう)()ぐまが()てきて、その()(とも)らのうち四十二(にん)()いた。 25(かれ)はそこからカルメル(やま)()き、そこからサマリヤに(かえ)った。

第三章

1ユダの(おう)ヨシャパテの(だい)十八(ねん)にアハブの()ヨラムはサマリヤでイスラエルの(おう)となり、十二(ねん)()(おさ)めた。 2(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)をおこなったが、その父母(ふぼ)のようではなかった。(かれ)がその(ちち)(つく)ったバアルの石柱(せきちゅう)(のぞ)いたからである。 3しかし(かれ)はイスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムの(つみ)につき(したが)って、それを(はな)れなかった。
4モアブの(おう)メシャは(ひつじ)飼育(しいく)(もの)で、十万の小羊(こひつじ)と、十万の雄羊(おひつじ)()とを年々(ねんねん)イスラエルの(おう)(おさ)めていたが、 5アハブが()んだ(のち)、モアブの(おう)はイスラエルの(おう)にそむいた。 6そこでヨラム(おう)はその(とき)サマリヤを()て、イスラエルびとをことごとく(あつ)め、 7また、(ひと)をユダの(おう)ヨシャパテにつかわし、「モアブの(おう)はわたしにそむきました。あなたはモアブと(たたか)うために、わたしと一緒(いっしょ)()かれませんか」と()わせた。(かれ)()った、「()きましょう。わたしはあなたと一つです。わたしの(たみ)はあなたの(たみ)と一つです。わたしの(うま)はあなたの(うま)と一つです」。 8(かれ)はまた()った、「われわれはどの(みち)(のぼ)るのですか」。ヨラムは(こた)えた、「エドムの荒野(あらの)(みち)(のぼ)りましょう」。
9こうしてイスラエルの(おう)はユダの(おう)およびエドムの(おう)(とも)()()った。しかし(かれ)らは(まわ)(みち)をして、七日(なぬか)(あいだ)(すす)んだが、軍勢(ぐんぜい)とそれに(したが)家畜(かちく)()(みず)がなかったので、 10イスラエルの(おう)()った、「ああ、(しゅ)は、この三(にん)(おう)をモアブの()(わた)そうとして()(あつ)められたのだ」。 11ヨシャパテは()った、「われわれが(しゅ)()うことのできる(しゅ)預言者(よげんしゃ)はここにいませんか」。イスラエルの(おう)のひとりの家来(けらい)(こた)えた、「エリヤの()(みず)(そそ)いだシャパテの()エリシャがここにいます」。 12ヨシャパテは()った、「(しゅ)言葉(ことば)(かれ)にあります」。そこでイスラエルの(おう)とヨシャパテとエドムの(おう)とは(かれ)のもとへ(くだ)っていった。
13エリシャはイスラエルの(おう)()った、「わたしはあなたとなんのかかわりがありますか。あなたの父上(ちちうえ)預言者(よげんしゃ)たちと母上(ははうえ)預言者(よげんしゃ)たちの(ところ)()きなさい」。イスラエルの(おう)(かれ)()った、「いいえ、(しゅ)がこの三(にん)(おう)をモアブの()(わた)そうとして()(あつ)められたのです」。 14エリシャは()った、「わたしの(つか)える万軍(ばんぐん)(しゅ)()きておられます。わたしはユダの(おう)ヨシャパテのためにするのでなければ、あなたを(かえり)み、あなたに()うことはしないのだが、 15いま楽人(がくじん)をわたしの(ところ)()れてきなさい」。そこで楽人(がくじん)(がく)(そう)すると、(しゅ)()(かれ)(のぞ)んで、 16(かれ)()った、「(しゅ)はこう(おお)せられる、『わたしはこの(たに)(みず)たまりで()たそう』。 17これは(しゅ)がこう(おお)せられるからである、『あなたがたは(かぜ)(あめ)()ないのに、この(たに)(みず)()ちて、あなたがたと、その家畜(かちく)および(けもの)()むであろう』。 18これは(しゅ)()には(ちい)さい(こと)である。(しゅ)はモアブびとをも、あなたがたの()(わた)される。 19そしてあなたがたはすべての堅固(けんご)(まち)と、すべての()(まち)()ち、すべての()()()(たお)し、すべての(みず)井戸(いど)をふさぎ、(いし)をもって()のすべての()(ところ)(あら)すであろう」。 20あくる(あさ)になって、(そな)(もの)をささげる(とき)に、(みず)がエドムの(ほう)から(なが)れてきて、(みず)(くに)()ちた。
21さてモアブびとは(みな)(おう)たちが自分(じぶん)たちを()めるために(のぼ)ってきたのを()いたので、よろいを()ることのできる(もの)を、()いも(わか)きもことごとく召集(しょうしゅう)して、国境(こっきょう)配置(はいち)したが、 22(あさ)はやく()きて、太陽(たいよう)がのぼって(みず)(てら)したとき、モアブびとは()(まえ)()のように(あか)(みず)()たので、 23(かれ)らは()った、「これは()だ、きっと(おう)たちが(たがい)(たたか)って(ころ)()ったのだ。だから、モアブよ、ぶんどりに()きなさい」。 24しかしモアブびとがイスラエルの陣営(じんえい)()くと、イスラエルびとは()ちあがってモアブびとを()ったので、(かれ)らはイスラエルの(まえ)から()()った。イスラエルびとは(すす)んで、モアブびとを()ち、その(くに)にはいって、 25町々(まちまち)(ほろ)ぼし、おのおの(いし)を一つずつ、()のすべての()(ところ)()げて、これに()たし、(みず)井戸(いど)をことごとくふさぎ、()()をことごとく()(たお)して、ただキル・ハラセテはその()(のこ)すのみとなったが、(いし)()げる(もの)がこれを(かこ)んで()(ほろ)ぼした。 26モアブの(おう)(たたか)いがあまりに(はげ)しく、(あた)りがたいのを()て、つるぎを()(もの)七百(にん)(ひき)い、エドムの(おう)(ところ)()(はい)ろうとしたが、(はた)さなかったので、 27自分(じぶん)(くらい)()ぐべきその長子(ちょうし)をとって城壁(じょうへき)(うえ)燔祭(はんさい)としてささげた。その(とき)イスラエルに(おお)いなる(いきどお)りが(のぞ)んだので、(かれ)らは(かれ)をすてて自分(じぶん)(くに)(かえ)った。

第四章

1預言者(よげんしゃ)のともがらの、ひとりの(つま)がエリシャに()ばわって()った、「あなたのしもべであるわたしの(おっと)()にました。ごぞんじのように、あなたのしもべは(しゅ)(おそ)れる(もの)でありましたが、(いま)(さい)(しゅ)がきて、わたしのふたりの子供(こども)()って奴隷(どれい)にしようとしているのです」。 2エリシャは彼女(かのじょ)()った、「あなたのために(なに)をしましょうか。あなたの(いえ)にどんな(もの)があるか、()いなさい」。彼女(かのじょ)()った、「一びんの(あぶら)のほかは、はしための(いえ)(なに)もありません」。 3(かれ)()った、「ほかへ()って、(となり)人々(ひとびと)から(うつわ)()りなさい。あいた(うつわ)()りなさい。(すこ)しばかりではいけません。 4そして(うち)にはいって、あなたの子供(こども)たちと一緒(いっしょ)()(うち)()じこもり、そのすべての(うつわ)(あぶら)をついで、いっぱいになったとき、一つずつそれを()りのけておきなさい」。 5彼女(かのじょ)(かれ)(はな)れて()り、子供(こども)たちと一緒(いっしょ)()(うち)()じこもり、子供(こども)たちの()って()(うつわ)(あぶら)をついだ。 6(あぶら)()ちたとき、彼女(かのじょ)子供(こども)に「もっと(うつわ)()ってきなさい」と()ったが、子供(こども)が「(うつわ)はもうありません」と()ったので、(あぶら)はとまった。 7そこで彼女(かのじょ)(かみ)(ひと)のところにきて()げたので、(かれ)()った、「()って、その(あぶら)()って負債(ふさい)(はら)いなさい。あなたと、あなたの子供(こども)たちはその(のこ)りで(くら)すことができます」。
8ある()エリシャはシュネムへ()ったが、そこにひとりの裕福(ゆうふく)婦人(ふじん)がいて、しきりに(かれ)食事(しょくじ)をすすめたので、(かれ)はそこを(とお)るごとに、そこに()って食事(しょくじ)をした。 9その(おんな)(おっと)()った、「いつもわたしたちの(ところ)(とお)るあの(ひと)(たし)かに(かみ)(せい)なる(ひと)です。 10わたしたちは屋上(おくじょう)(かべ)のある一つの(ちい)さいへやを(つく)り、そこに寝台(しんだい)(つくえ)といすと燭台(しょくだい)とを(かれ)のために(そな)えましょう。そうすれば(かれ)がわたしたちの(ところ)()るとき、そこに、はいることができます」。
11さて、ある()エリシャはそこにきて、そのへやにはいり、そこに(やす)んだが、 12(かれ)はそのしもべゲハジに「このシュネムの(おんな)()んできなさい」と()った。(かれ)がその(おんな)()ぶと、彼女(かのじょ)はきてエリシャの(まえ)()ったので、 13エリシャはゲハジに()った、「彼女(かのじょ)()いなさい、『あなたはこんなにねんごろに、わたしたちのために(こころ)(もち)いられたが、あなたのためには(なに)をしたらよいでしょうか。(おう)または軍勢(ぐんぜい)(ちょう)にあなたの(こと)をよろしく(たの)むことをお(のぞ)みですか』」。彼女(かのじょ)(こた)えて()った、「わたしは自分(じぶん)(たみ)のうちに()んでいます」。 14エリシャは()った、「それでは彼女(かのじょ)のために(なに)をしようか」。ゲハジは()った、「彼女(かのじょ)には子供(こども)がなく、その(おっと)()いています」。 15するとエリシャが「彼女(かのじょ)()びなさい」と()ったので、彼女(かのじょ)()ぶと、()戸口(とぐち)()った。 16エリシャは()った、「来年(らいねん)(いま)ごろ、あなたはひとりの()()くでしょう」。彼女(かのじょ)()った、「いいえ、わが(しゅ)よ、(かみ)(ひと)よ、はしためを(あざむ)かないでください」。 17しかし(おんな)はついに()ごもって、エリシャが彼女(かのじょ)()ったように、(つぎ)(ねん)のそのころに()()んだ。
18その()成長(せいちょう)して、ある()刈入(かりい)れびとの(ところ)()ていって、(ちち)のもとへ()ったが、 19(ちち)にむかって「(あたま)が、(あたま)が」と()ったので、(ちち)はしもべに「(かれ)(はは)のもとへ背負(せお)っていきなさい」と()った。 20(かれ)背負(せお)って(はは)のもとへ()くと、(ひる)まで(はは)のひざの(うえ)にすわっていたが、ついに()んだ。 21(はは)()がっていって、これを(かみ)(ひと)寝台(しんだい)(うえ)()き、()()じて()てきた。 22そして(おっと)()んで()った、「どうぞ、しもべひとりと、ろば一(とう)をわたしにかしてください。(いそ)いで(かみ)(ひと)(ところ)()って、また(かえ)ってきます」。 23(おっと)()った、「どうしてきょう(かれ)(ところ)()こうとするのか。きょうは、ついたちでもなく、安息日(あんそくにち)でもない」。彼女(かのじょ)()った、「よろしいのです」。 24そして彼女(かのじょ)はろばにくらを()いて、しもべに()った、「(はや)()けさせなさい。わたしが(めい)じる(とき)でなければ、歩調(ほちょう)をゆるめてはなりません」。 25こうして彼女(かのじょ)出発(しゅっぱつ)してカルメル(やま)()き、(かみ)(ひと)(ところ)()った。
(かみ)(ひと)彼女(かのじょ)(ちか)づいてくるのを()て、しもべゲハジに()った、「()こうから、あのシュネムの(おんな)()る。 26すぐ(はし)って()って、彼女(かのじょ)(むか)えて()いなさい、『あなたは無事(ぶじ)ですか。あなたの(おっと)無事(ぶじ)ですか。あなたの子供(こども)無事(ぶじ)ですか』」。彼女(かのじょ)(こた)えた、「無事(ぶじ)です」。 27ところが彼女(かのじょ)(やま)にきて、(かみ)(ひと)(ところ)へくるとエリシャの(あし)にすがりついた。ゲハジが彼女(かのじょ)()いのけようと(ちか)よった(とき)(かみ)(ひと)()った、「かまわずにおきなさい。彼女(かのじょ)(こころ)(くる)しみがあるのだから。(しゅ)はそれを(かく)して、まだわたしにお()げにならないのだ」。 28そこで彼女(かのじょ)()った、「わたしがあなたに()(もと)めましたか。わたしを(あざむ)かないでくださいと()ったではありませんか」。 29エリシャはゲハジに()った、「(こし)をひきからげ、わたしのつえを()()って()きなさい。だれに()っても、あいさつしてはならない。またあなたにあいさつする(もの)があっても、それに(こた)えてはならない。わたしのつえを子供(こども)(かお)(うえ)()きなさい」。 30子供(こども)(はは)()った、「(しゅ)()きておられます。あなたも()きておられます。わたしはあなたを(はな)れません」。そこでエリシャはついに()ちあがって彼女(かのじょ)のあとについて()った。 31ゲハジは(かれ)らの(さき)()って、つえを子供(こども)(かお)(うえ)()いたが、なんの(こえ)もなく、()きかえったしるしもなかったので、(かえ)ってきてエリシャに()い、(かれ)()げて「子供(こども)はまだ()をさましません」と()った。
32エリシャが(いえ)にはいって()ると、子供(こども)()んで、寝台(しんだい)(うえ)(よこ)たわっていたので、 33(かれ)ははいって()()じ、(かれ)らふたりだけ(うち)にいて(しゅ)(いの)った。 34そしてエリシャが()がって子供(こども)(うえ)()し、自分(じぶん)(くち)子供(こども)(くち)(うえ)に、自分(じぶん)()子供(こども)()(うえ)に、自分(じぶん)両手(りょうて)子供(こども)両手(りょうて)(うえ)にあて、その()子供(こども)(うえ)()ばしたとき、子供(こども)のからだは(あたた)かになった。 35こうしてエリシャは(ふたた)()きあがって、(いえ)(なか)をあちらこちらと(あゆ)み、また(うえ)がって、その()子供(こども)(うえ)()ばすと、子供(こども)は七たびくしゃみをして()(ひら)いた。 36エリシャはただちにゲハジを()んで、「あのシュネムの(おんな)()べ」と()ったので、彼女(かのじょ)()んだ。彼女(かのじょ)がはいってくるとエリシャは()った、「あなたの子供(こども)をつれて()きなさい」。 37彼女(かのじょ)ははいってきて、エリシャの(あし)もとに()し、()()をかがめた。そしてその()(とも)()りあげて()ていった。
38エリシャはギルガルに(かえ)ったが、その()にききんがあった。預言者(よげんしゃ)のともがらが(かれ)(まえ)()していたので、エリシャはそのしもべに()った、「(おお)きなかまをすえて、預言者(よげんしゃ)のともがらのために野菜(やさい)煮物(にもの)をつくりなさい」。 39(かれ)らのうちのひとりが(はたけ)()ていって青物(あおもの)をつんだが、つる(くさ)のあるのを()て、その()うりを一(つつみ)つんできて、煮物(にもの)のかまの(なか)()()んだ。(かれ)らはそれが(なに)であるかを()らなかったからである。 40やがてこれを()って人々(ひとびと)()べさせようとしたが、(かれ)らがその煮物(にもの)()べようとした(とき)(さけ)んで、「ああ(かみ)(ひと)よ、かまの(なか)に、たべると()ぬものがはいっています」と()って、()べることができなかったので、 41エリシャは「それでは(こな)()って()なさい」と()って、それをかまに()()れ、「()って人々(ひとびと)()べさせなさい」と()った。かまの(なか)には、なんの毒物(どくぶつ)もなくなった。
42その(とき)、バアル・シャリシャから(ひと)がきて、初穂(はつほ)のパンと、大麦(おおむぎ)のパン二十()と、新穀(しんこく)(ふくろ)とを(かみ)(ひと)のもとに()ってきたので、エリシャは「人々(ひとびと)(あた)えて()べさせなさい」と()ったが、 43その召使(めしつかい)()った、「どうしてこれを百(にん)(まえ)(そな)えるのですか」。しかし(かれ)()った、「人々(ひとびと)(あた)えて()べさせなさい。(しゅ)はこう()われる、『(かれ)らは()べてなお(あま)すであろう』」。 44そこで(かれ)はそれを(かれ)らの(まえ)(そな)えたので、(かれ)らは()べてなお(あま)した。(しゅ)言葉(ことば)のとおりであった。

第五章

1スリヤ(おう)軍勢(ぐんぜい)(ちょう)ナアマンはその主君(しゅくん)(おも)んじられた有力(ゆうりょく)(ひと)であった。(しゅ)がかつて(かれ)(もち)いてスリヤに勝利(しょうり)()させられたからである。(かれ)(だい)勇士(ゆうし)であったが、らい(びょう)をわずらっていた。 2さきにスリヤびとが略奪(りゃくだつ)(たい)()んで()てきたとき、イスラエルの()からひとりの少女(しょうじょ)(とら)えて()った。彼女(かのじょ)はナアマンの(つま)(つか)えたが、 3その(おんな)主人(しゅじん)にむかって、「ああ、()主人(しゅじん)がサマリヤにいる預言者(よげんしゃ)(とも)におられたらよかったでしょうに。(かれ)はそのらい(びょう)をいやしたことでしょう」と()ったので、 4ナアマンは()って、その主君(しゅくん)に、「イスラエルの()からきた(むすめ)がこういう(こと)()いました」と()げると、 5スリヤ(おう)()った、「それでは()きなさい。わたしはイスラエルの(おう)手紙(てがみ)()きましょう」。
そこで(かれ)(ぎん)十タラントと、(きん)六千シケルと、()()(ちゃく)(たずさ)えて()った。 6(かれ)がイスラエルの(おう)()って()った手紙(てがみ)には、「この手紙(てがみ)があなたにとどいたならば、わたしの家来(けらい)ナアマンを、あなたにつかわしたことと()承知(しょうち)ください。あなたに(かれ)のらい(びょう)をいやしていただくためです」とあった。 7イスラエルの(おう)はその手紙(てがみ)()んだ(とき)(ころも)()いて()った、「わたしは(ころ)したり、()かしたりすることのできる(かみ)であろうか。どうしてこの(ひと)は、らい病人(びょうにん)をわたしにつかわして、それをいやせと()うのか。あなたがたは、(かれ)がわたしに(あらそ)いをしかけているのを()って警戒(けいかい)するがよい」。
8(かみ)(ひと)エリシャは、イスラエルの(おう)がその(ころも)()いたことを()き、(おう)(ひと)をつかわして()った、「どうしてあなたは(ころも)()いたのですか。(かれ)をわたしのもとにこさせなさい。そうすれば(かれ)はイスラエルに預言者(よげんしゃ)のあることを()るようになるでしょう」。 9そこでナアマンは(うま)(くるま)とを(したが)えてきて、エリシャの(いえ)入口(いりぐち)()った。 10するとエリシャは(かれ)使者(ししゃ)をつかわして()った、「あなたはヨルダンへ()って七たび()(あら)いなさい。そうすれば、あなたの(にく)はもとにかえって(きよ)くなるでしょう」。 11しかしナアマンは(いか)って()り、そして()った、「わたしは、(かれ)がきっとわたしのもとに()てきて()ち、その(かみ)(しゅ)()()んで、その箇所(かしょ)(うえ)()(うご)かして、らい(びょう)をいやすのだろうと(おも)った。 12ダマスコの(かわ)アバナとパルパルはイスラエルのすべての(かわ)(みず)にまさるではないか。わたしはこれらの(かわ)()(あら)って(きよ)まることができないのであろうか」。こうして(かれ)()をめぐらし、(いか)って()った。 13その(とき)、しもべたちは(かれ)(ちか)よって()った、「わが(ちち)よ、預言者(よげんしゃ)があなたに、(なに)(おお)きな(こと)をせよと(めい)じても、あなたはそれをなさらなかったでしょうか。まして(かれ)はあなたに『()(あら)って(きよ)くなれ』と()うだけではありませんか」。 14そこでナアマンは(くだ)って()って、(かみ)(ひと)言葉(ことば)のように七たびヨルダンに()(ひた)すと、その(にく)がもとにかえって(おさ)()(にく)のようになり、(きよ)くなった。
15(かれ)はすべての従者(じゅうしゃ)()れて(かみ)(ひと)のもとに(かえ)ってきて、その(まえ)()って()った、「わたしは(いま)、イスラエルのほか、(ぜん)()のどこにも(かみ)のおられないことを()りました。それゆえ、どうぞ、しもべの(おく)(もの)()けてください」。 16エリシャは()った、「わたしの(つか)える(しゅ)()きておられる。わたしは(なに)()けません」。(かれ)はしいて()けさせようとしたが、それを(こば)んだ。 17そこでナアマンは()った、「もしお()けにならないのであれば、どうぞ騾馬(らば)に二()(つち)をしもべにください。これから(のち)しもべは、()(かみ)には燔祭(はんさい)犠牲(ぎせい)もささげず、ただ(しゅ)にのみささげます。 18どうぞ(しゅ)がこの(こと)を、しもべにおゆるしくださるように。すなわち、わたしの主君(しゅくん)がリンモンの(みや)にはいって、そこで(れい)(はい)するとき、わたしの()によりかかることがあり、またわたしもリンモンの(みや)()をかがめることがありましょう。わたしがリンモンの(みや)()をかがめる(とき)、どうぞ(しゅ)がその(こと)を、しもべにおゆるしくださるように」。 19エリシャは(かれ)()った、「(やす)んじて()きなさい」。
ナアマンがエリシャを(はな)れて(すこ)()ったとき、 20(かみ)(ひと)エリシャのしもべゲハジは()った、「主人(しゅじん)はこのスリヤびとナアマンをいたわって、(かれ)(たずさ)えてきた(もの)()けなかった。(しゅ)()きておられる。わたしは(かれ)のあとを()いかけて、(かれ)から(すこ)し、(もの)()けよう」。 21そしてゲハジはナアマンのあとを()ったが、ナアマンは自分(じぶん)のあとから(かれ)(はし)ってくるのを()て、(くるま)から()り、(かれ)(むか)えて、「(かわ)った(こと)があるのですか」と()うと、 22(かれ)()った、「無事(ぶじ)です。主人(しゅじん)がわたしをつかわして()わせます、『ただいまエフライムの山地(さんち)から、預言者(よげんしゃ)のともがらのふたりの若者(わかもの)が、わたしのもとに()ましたので、どうぞ(かれ)らに(ぎん)一タラントと()()(ちゃく)(あた)えてください』」。 23ナアマンは、「どうぞ二タラントを()けてください」と()って(かれ)にしい、(ぎん)二タラントを二つの(ふくろ)()れ、()()(ちゃく)()えて、自分(じぶん)のふたりのしもべに(わた)したので、(かれ)らはそれを()ってゲハジの(さき)()って(すす)んだが、 24(かれ)(おか)にきたとき、それを(かれ)らの()から()()って(いえ)のうちにおさめ、人々(ひとびと)(おく)りかえしたので、(かれ)らは()った。 25(かれ)がはいって主人(しゅじん)(まえ)()つと、エリシャは(かれ)()った、「ゲハジよ、どこへ()ってきたのか」。(かれ)()った、「しもべはどこへも()きません」。 26エリシャは()った、「あの(ひと)(くるま)をはなれて、あなたを(むか)えたとき、わたしの(こころ)はあなたと一緒(いっしょ)にそこにいたではないか。(いま)(きん)()け、着物(きもの)()け、オリブ(はたけ)、ぶどう(はたけ)(ひつじ)(うし)、しもべ、はしためを()ける(とき)であろうか。 27それゆえ、ナアマンのらい(びょう)はあなたに()き、ながくあなたの子孫(しそん)(およ)ぶであろう」。(かれ)がエリシャの(まえ)()ていくとき、らい(びょう)(はっ)して(ゆき)のように(しろ)くなっていた。

第六章

1さて預言者(よげんしゃ)のともがらはエリシャに()った、「わたしたちがあなたと(とも)()んでいる(ところ)(せま)くなりましたので、 2わたしたちをヨルダンに()かせ、そこからめいめい一(ぽん)ずつ材木(ざいもく)()ってきて、わたしたちの()場所(ばしょ)(つく)らせてください」。エリシャは()った、「()きなさい」。 3(とき)にそのひとりが、「どうぞあなたも、しもべらと一緒(いっしょ)()ってください」と()ったので、エリシャは「()きましょう」と(こた)えた。 4そしてエリシャは(かれ)らと一緒(いっしょ)()った。(かれ)らはヨルダンへ()って()()(たお)したが、 5ひとりが材木(ざいもく)()(たお)しているとき、おのの(あたま)(みず)(なか)()ちたので、(かれ)(さけ)んで()った。「ああ、わが(しゅ)よ。これは()りたものです」。 6(かみ)(ひと)()った、「それはどこに()ちたのか」。(かれ)がその場所(ばしょ)()らせると、エリシャは一(ぽん)(えだ)()(おと)し、そこに()()れて、そのおのの(あたま)(うか)ばせ、 7「それを()りあげよ」と()ったので、その(ひと)()()べてそれを()った。
8かつてスリヤの(おう)がイスラエルと(たたか)っていたとき、家来(けらい)たちと評議(ひょうぎ)して「しかじかの(ところ)にわたしの(じん)()ろう」と()うと、 9(かみ)(ひと)はイスラエルの(おう)に「あなたは用心(ようじん)して、この(ところ)をとおってはなりません。スリヤびとがそこに(くだ)ってきますから」と()(おく)った。 10それでイスラエルの(おう)(かみ)(ひと)自分(じぶん)()げてくれた(ところ)(ひと)をつかわし、警戒(けいかい)したので、その(ところ)でみずからを(ふせ)ぎえたことは一、二(かい)にとどまらなかった。
11スリヤの(おう)はこの(こと)のために(こころ)(なや)まし、家来(けらい)たちを()して()った、「われわれのうち、だれがイスラエルの(おう)(つう)じているのか、わたしに()げる(もの)はないか」。 12ひとりの家来(けらい)()った、「(おう)、わが(しゅ)よ、だれも(つう)じている(もの)はいません。ただイスラエルの預言者(よげんしゃ)エリシャが、あなたが寝室(しんしつ)(かた)られる言葉(ことば)でもイスラエルの(おう)()げるのです」。 13(おう)()った、「(かれ)がどこにいるか()って(さが)しなさい。わたしは(ひと)をやって(かれ)(とら)えよう」。(とき)に「(かれ)はドタンにいる」と(おう)()げる(もの)があったので、 14(おう)はそこに(うま)戦車(せんしゃ)および大軍(たいぐん)をつかわした。(かれ)らは(よる)のうちに()て、その(まち)(かこ)んだ。
15(かみ)(ひと)召使(めしつかい)(あさ)(はや)()きて()()ると、軍勢(ぐんぜい)(うま)戦車(せんしゃ)をもって(まち)(かこ)んでいたので、その若者(わかもの)はエリシャに()った、「ああ、わが(しゅ)よ、わたしたちはどうしましょうか」。 16エリシャは()った、「(おそ)れることはない。われわれと(とも)にいる(もの)(かれ)らと(とも)にいる(もの)よりも(おお)いのだから」。 17そしてエリシャが(いの)って「(しゅ)よ、どうぞ、(かれ)()(ひら)いて()させてください」と()うと、(しゅ)はその若者(わかもの)()(ひら)かれたので、(かれ)()ると、()(うま)()戦車(せんしゃ)(やま)()ちてエリシャのまわりにあった。 18スリヤびとがエリシャの(ところ)(くだ)ってきた(とき)、エリシャは(しゅ)(いの)って()った、「どうぞ、この人々(ひとびと)()をくらましてください」。するとエリシャの言葉(ことば)のとおりに(かれ)らの()をくらまされた。 19そこでエリシャは(かれ)らに「これはその(みち)ではない。これはその(まち)でもない。わたしについてきなさい。わたしはあなたがたを、あなたがたの(たず)ねる(ひと)(ところ)()れて()きましょう」と()って、(かれ)らをサマリヤへ()れて()った。
20(かれ)らがサマリヤにはいったとき、エリシャは()った、「(しゅ)よ、この人々(ひとびと)()(ひら)いて()させてください」。(しゅ)(かれ)らの()(ひら)かれたので、(かれ)らが()ると、()よ、(かれ)らはサマリヤのうちに()ていた。 21イスラエルの(おう)(かれ)らを()て、エリシャに()った、「わが(ちち)よ、(かれ)らを()(ころ)しましょうか。(かれ)らを()(ころ)しましょうか」。 22エリシャは(こた)えた、「()(ころ)してはならない。あなたはつるぎと(ゆみ)をもって、捕虜(ほりょ)にした(もの)どもを()(ころ)すでしょうか。パンと(みず)(かれ)らの(まえ)(そな)えて()()みさせ、その主君(しゅくん)のもとへ()かせなさい」。 23そこで(おう)(かれ)らのために(さか)んなふるまいを(もう)けた。(かれ)らが()()みを(おわ)ると(かれ)らを()らせたので、その主君(しゅくん)(ところ)(かえ)った。スリヤの略奪(りゃくだつ)(たい)(ふたた)びイスラエルの()にこなかった。
24この(のち)スリヤの(おう)ベネハダデはその(ぜん)(ぐん)(あつ)め、(のぼ)ってきてサマリヤを()(かこ)んだので、 25サマリヤに(はげ)しいききんが()った。すなわち(かれ)らがこれを()(かこ)んだので、ついに、ろばの(あたま)一つが(ぎん)八十シケルで()られ、はとのふん一カブの四(ぶん)の一が(ぎん)五シケルで()られるようになった。 26イスラエルの(おう)城壁(じょうへき)(うえ)をとおっていた(とき)、ひとりの(おんな)(かれ)()ばわって、「わが(しゅ)(おう)よ、(たす)けてください」と()ったので、 27(かれ)()った、「もし(しゅ)があなたを(たす)けられないならば、(なに)をもってわたしがあなたを(たす)けることができよう。()()(もの)をもってか、(さか)ぶねの(もの)をもってか」。 28そして(おう)(おんな)(たず)ねた、「何事(なにごと)なのですか」。彼女(かのじょ)(こた)えた、「この(おんな)はわたしにむかって『あなたの()をください。わたしたちは、きょうそれを()べ、あす、わたしの()()べましょう』と()いました。 29それでわたしたちは、まずわたしの()()()べましたが、(つぎ)()わたしが彼女(かのじょ)にむかって『あなたの()をください。わたしたちはそれを()べましょう』と()いますと、彼女(かのじょ)はその()(かく)しました」。 30(おう)はその(おんな)言葉(ことば)()いて、(ころも)()き、——(おう)城壁(じょうへき)(うえ)をとおっていたが、(たみ)()ると、その()荒布(あらぬの)()けていた—— 31そして(おう)()った「きょう、シャパテの()エリシャの(くび)がその(かた)(うえ)にすわっているならば、(かみ)がどんなにでもわたしを(ばっ)してくださるように」。
32さてエリシャはその(いえ)()していたが、長老(ちょうろう)たちもきて(かれ)(とも)()した。(おう)自分(じぶん)(ところ)から(ひと)をつかわしたが、エリシャはその使者(ししゃ)がまだ()かないうちに長老(ちょうろう)たちに()った、「あなたがたは、この(ひと)(ころ)(もの)がわたしの(くび)()るために、(ひと)をつかわすのを()ますか。その使者(ししゃ)がきたならば、()()じて、(うち)()れてはなりません。(かれ)のうしろに、その主君(しゅくん)足音(あしおと)がするではありませんか」。 33(かれ)がなお(かれ)らと(かた)っているうちに、(おう)(かれ)のもとに(くだ)ってきて()った、「この(わざわい)(しゅ)から()たのです。わたしはどうしてこの(うえ)(しゅ)()たなければならないでしょうか」。

第七章

1エリシャは()った、「(しゅ)言葉(ことば)()きなさい。(しゅ)はこう(おお)せられる、『あすの(いま)ごろサマリヤの(もん)で、麦粉(むぎこ)一セアを一シケルで()り、大麦(おおむぎ)二セアを一シケルで()るようになるであろう』」。 2(とき)にひとりの副官(ふくかん)すなわち(おう)がその(ひと)()によりかかっていた(もの)(かみ)(ひと)(こた)えて()った、「たとい(しゅ)(てん)(まど)(ひら)かれても、そんな(こと)がありえましょうか」。エリシャは()った、「あなたは自分(じぶん)()をもってそれを()るであろう。しかしそれを()べることはなかろう」。
3さて(まち)(もん)入口(いりぐち)に四(にん)のらい病人(びょうにん)がいたが、(かれ)らは(たがい)()った、「われわれはどうしてここに()して()()たねばならないのか。 4われわれがもし(まち)にはいろうといえば、(まち)には食物(しょくもつ)()きているから、われわれはそこで()ぬであろう。しかしここに()していても()ぬのだ。いっその(こと)、われわれはスリヤびとの陣営(じんえい)()げて()こう。もし(かれ)らがわれわれを()かしておいてくれるならば、(たす)かるが、たといわれわれを(ころ)しても()ぬばかりだ」。 5そこで(かれ)らはスリヤびとの陣営(じんえい)()こうと、たそがれに()ちあがったが、スリヤびとの陣営(じんえい)のほとりに()って()ると、そこにはだれもいなかった。 6これは(しゅ)がスリヤびとの軍勢(ぐんぜい)戦車(せんしゃ)(おと)(うま)(おと)大軍(たいぐん)(おと)()かせられたので、(かれ)らは(たがい)に「()よ、イスラエルの(おう)がわれわれを()めるために、ヘテびとの(おう)たちおよびエジプトの(おう)たちを(やと)ってきて、われわれを(おそ)うのだ」と()って、 7たそがれに()って()げ、その天幕(てんまく)と、(うま)と、ろばを()て、陣営(じんえい)をそのままにしておいて、(いのち)(まっと)うしようと()げたからである。 8そこでらい病人(びょうにん)たちは陣営(じんえい)のほとりに()き、一つの天幕(てんまく)にはいって()()みし、そこから金銀(きんぎん)衣服(いふく)()()してそれを(かく)し、また()て、()天幕(てんまく)(はい)り、そこからも()()してそれを(かく)した。
9そして(かれ)らは(たがい)()った、「われわれのしている(こと)はよくない。きょうは()いおとずれのある()であるのに、(だま)っていて、夜明(よあ)けまで()つならば、われわれは(ばつ)をこうむるであろう。さあ、われわれは()って(おう)家族(かぞく)()げよう」。 10そこで(かれ)らは()て、(まち)(もん)(まも)(もの)()んで()った、「わたしたちがスリヤびとの陣営(じんえい)()って()ると、そこにはだれの姿(すがた)()えず、また人声(ひとごえ)もなく、ただ、(うま)とろばがつないであり、天幕(てんまく)はそのままでした」。 11そこで(もん)(まも)(もの)()ばわって、それを(おう)家族(かぞく)のうちに()らせた。 12(おう)(よる)のうちに()きて、家来(けらい)たちに()った、「スリヤびとがわれわれに(たい)して(はか)っている(こと)をあなたがたに()げよう。(かれ)らは、われわれの()えているのを()って、陣営(じんえい)()()(かく)れ、『イスラエルびとが(まち)()たら、いけどりにして、(まち)()()ろう』と(かんが)えているのだ」。 13家来(けらい)のひとりが(こた)えて()った、「人々(ひとびと)に、ここに(のこ)っている(うま)のうち五(とう)()れてこさせてください。ここに(のこ)っているこれらの人々(ひとびと)は、すでに(ほろ)びうせたイスラエルの(ぜん)群衆(ぐんしゅう)(おな)運命(うんめい)にあうのですから。わたしたちは(ひと)をやってうかがわせましょう」。 14そこで(かれ)らはふたりの騎兵(きへい)(えら)んだ。(おう)はそれをつかわし、「()って()よ」と()って、スリヤびとの軍勢(ぐんぜい)のあとをつけさせたので、 15(かれ)らはそのあとを()ってヨルダンまで()ったが、(みち)にはすべて、スリヤびとがあわてて()げる(とき)()てていった衣服(いふく)武器(ぶき)()らばっていた。その使者(ししゃ)(かえ)ってきて、これを(おう)()げた。
16そこで(たみ)()ていって、スリヤびとの陣営(じんえい)をかすめたので、麦粉(むぎこ)一セアは一シケルで()られ、大麦(おおむぎ)二セアは一シケルで()られ、(しゅ)言葉(ことば)のとおりになった。 17(おう)自分(じぶん)がその(ひと)()によりかかっていた、あの副官(ふくかん)()てて(もん)管理(かんり)させたが、(たみ)(もん)(かれ)()みつけたので、(かれ)()んだ。すなわち、(おう)(かみ)(ひと)のところに(くだ)ってきた(とき)(かみ)(ひと)()ったとおりであった。 18これは(かみ)(ひと)(おう)にむかって、「あすの(いま)ごろ、サマリヤの(もん)大麦(おおむぎ)二セアを一シケルで()り、麦粉(むぎこ)一セアを一シケルで()るようになるであろう」と()ったときに、 19その副官(ふくかん)(かみ)(ひと)(こた)えて、「たとい(しゅ)(てん)(まど)(ひら)かれても、そんな(こと)がありえようか」と()ったからである。そのとき(かみ)(ひと)は「あなたは自分(じぶん)()をもってそれを()るであろう。しかしそれを()べることはなかろう」と()ったが、 20これはそのとおり(かれ)(のぞ)んだ。すなわち(たみ)(もん)(かれ)()みつけたので(かれ)()んだ。

第八章

1エリシャはかつて、その()()きかえらせてやった(おんな)()ったことがある。「あなたは、ここを()って、あなたの家族(かぞく)(とも)()き、寄留(きりゅう)しようと(おも)(ところ)寄留(きりゅう)しなさい。(しゅ)がききんを()(くだ)されたので、七(ねん)(あいだ)それがこの()(のぞ)むから」。 2そこで(おんな)()って(かみ)(ひと)言葉(ことば)のようにし、その家族(かぞく)(とも)()ってペリシテびとの()に七(ねん)寄留(きりゅう)した。 3(ねん)たって(のち)(おんな)はペリシテびとの()から(かえ)ってきて、自分(じぶん)(いえ)(はたけ)のために(おう)(うった)えようと()ていった。 4(とき)(おう)(かみ)(ひと)のしもべゲハジにむかって「エリシャがしたもろもろの(おお)きな(こと)をわたしに(はな)してください」と()って、(かれ)物語(ものがた)っていた。 5すなわちエリシャが死人(しにん)()きかえらせた(こと)を、ゲハジが(おう)物語(ものがた)っていたとき、その()()きかえらせてもらった(おんな)が、自分(じぶん)(いえ)(はたけ)のために(おう)(うった)えてきたので、ゲハジは()った、「わが(しゅ)(おう)よ、これがその(おんな)です。またこれがその()で、エリシャが()きかえらせたのです」。 6(おう)がその(おんな)(たず)ねると、彼女(かのじょ)(おう)(はな)したので、(おう)彼女(かのじょ)のためにひとりの役人(やくにん)(めい)じて()った、「すべて彼女(かのじょ)(ぞく)する(もの)、ならびに彼女(かのじょ)がこの()()った()から(いま)までのその(はたけ)産物(さんぶつ)をことごとく彼女(かのじょ)(かえ)しなさい」。
7さてエリシャはダマスコに()た。(とき)にスリヤの(おう)ベネハダデは病気(びょうき)であったが、「(かみ)(ひと)がここに()た」と()げる(もの)があったので、 8(おう)はハザエルに()った、「(おく)(もの)(たずさ)えて()って(かみ)(ひと)(むか)え、(かれ)によって(しゅ)に『わたしのこの病気(びょうき)はなおりましょうか』と()って(たず)ねなさい」。 9そこでハザエルは(かれ)(むか)えようと、ダマスコのもろもろの()(もの)をらくだ四十(とう)()せ、(おく)(もの)として(たずさ)()き、エリシャの(まえ)()って()った、「あなたの()、スリヤの(おう)ベネハダデがわたしをあなたにつかわして、『わたしのこの病気(びょうき)はなおりましょうか』と()わせています」。 10エリシャは(かれ)()った、「()って(かれ)に『あなたは(かなら)ずなおります』と()げなさい。ただし(しゅ)はわたしに、(かれ)(かなら)()ぬことを(しめ)されました」。 11そして(かみ)(ひと)がひとみを(さだ)めて(かれ)()じるまでに()つめ、やがて()()したので、 12ハザエルは()った、「わが(しゅ)よ、どうして()かれるのですか」。エリシャは(こた)えた、「わたしはあなたがイスラエルの人々(ひとびと)にしようとする害悪(がいあく)()っているからです。すなわち、あなたは(かれ)らの(しろ)()をかけ、つるぎをもって若者(わかもの)(ころ)し、(おさ)()()げうち、妊娠(にんしん)(おんな)()()くでしょう」。 13ハザエルは()った、「しもべは一(ぴき)(いぬ)にすぎないのに、どうしてそんな(おお)きな(こと)をすることができましょう」。エリシャは()った、「(しゅ)がわたしに(しめ)されました。あなたはスリヤの(おう)となるでしょう」。 14(かれ)がエリシャのもとを()って、主君(しゅくん)のところへ()くと、「エリシャはあなたになんと()ったか」と(たず)ねられたので、「あなたが(かなら)ずなおるでしょうと、(かれ)はわたしに()げました」と(こた)えた。 15しかし翌日(よくじつ)になってハザエルは(ぬの)()って(みず)(ひた)し、それをもって(おう)(かお)をおおったので、(おう)()んだ。ハザエルは(かれ)(かわ)って(おう)となった。
16イスラエルの(おう)アハブの()ヨラムの(だい)(ねん)に、ユダの(おう)ヨシャパテの()ヨラムが(くらい)についた。 17(かれ)(おう)となったとき三十二(さい)で、八(ねん)(あいだ)エルサレムで()(おさ)めた。 18(かれ)はアハブの(いえ)がしたようにイスラエルの(おう)たちの(みち)(あゆ)んだ。アハブの(むすめ)(かれ)(つま)であったからである。(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)をおこなったが、 19(しゅ)はしもべダビデのためにユダを(ほろ)ぼすことを(この)まれなかった。すなわち(しゅ)(かれ)とその子孫(しそん)(つね)にともしびを(あた)えると、(かれ)約束(やくそく)されたからである。
20ヨラムの()にエドムがそむいてユダの支配(しはい)(だっ)し、みずから(おう)()てたので、 21ヨラムはすべての戦車(せんしゃ)(したが)えてザイルにわたって()き、その戦車(せんしゃ)指揮(しき)(かん)たちと(とも)に、()のうちに()ちあがって、(かれ)包囲(ほうい)しているエドムびとを()った。しかしヨラムの軍隊(ぐんたい)天幕(てんまく)()(かえ)った。 22エドムはこのようにそむいてユダの支配(しはい)(だっ)し、今日(こんにち)(いた)っている。リブナもまた同時(どうじ)にそむいた。 23ヨラムのその()事績(じせき)および(かれ)がしたすべての(こと)は、ユダの歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 24ヨラムはその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)って、ダビデの(まち)にその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ほうむ)られ、その()アハジヤが(かわ)って(おう)となった。
25イスラエルの(おう)アハブの()ヨラムの(だい)十二(ねん)にユダの(おう)ヨラムの()アハジヤが(くらい)についた。 26アハジヤは(おう)となったとき二十二(さい)で、エルサレムで一(ねん)()(おさ)めた。その(はは)()をアタリヤと()って、イスラエルの(おう)オムリの孫娘(まごむすめ)であった。 27アハジヤはまたアハブの(いえ)(みち)(あゆ)み、アハブの(いえ)がしたように(しゅ)()(まえ)(あく)をおこなった。(かれ)はアハブの(いえ)婿(むこ)であったからである。
28(かれ)はアハブの()ヨラムと(とも)()って、スリヤの(おう)ハザエルとラモテ・ギレアデで(たたか)ったが、スリヤびとらはヨラムに(きず)()わせた。 29ヨラム(おう)はそのスリヤの(おう)ハザエルと(たたか)うときにラマでスリヤびとに()わされた(きず)をいやすため、エズレルに(かえ)ったが、ユダの(おう)ヨラムの()アハジヤはアハブの()ヨラムが()んでいたので、エズレルに(くだ)って(かれ)をおとずれた。

第九章

1(とき)預言者(よげんしゃ)エリシャは預言者(よげんしゃ)のともがらのひとりを()んで()った、「(こし)をひきからげ、この(あぶら)のびんを(たずさ)えて、ラモテ・ギレアデへ()きなさい。 2そこに()いたならば、ニムシの()ヨシャパテの()であるエヒウを(たず)()し、(うち)にはいって(かれ)をその同僚(どうりょう)たちのうちから()たせて、(おく)(あいだ)()れて()き、 3(あぶら)のびんを()って、その(あたま)(そそ)ぎ、『(しゅ)はこう(おお)せられる、わたしはあなたに(あぶら)(そそ)いでイスラエルの(おう)とする』と()い、そして()をあけて()()りなさい。とどまってはならない」。
4そこで預言者(よげんしゃ)であるその若者(わかもの)はラモテ・ギレアデへ()ったが、 5()()ると、軍勢(ぐんぜい)(ちょう)たちが会議(かいぎ)(ちゅう)であったので、(かれ)は「将軍(しょうぐん)よ、わたしはあなたに(もう)しあげる(こと)があります」と()うと、エヒウが(こた)えて、「われわれすべてのうちの、だれにですか」と()ったので、(かれ)は「将軍(しょうぐん)よ、あなたにです」と()った。 6するとエヒウが()ちあがって(いえ)にはいったので、若者(わかもの)はその(あたま)(あぶら)(そそ)いで(かれ)()った、「イスラエルの(かみ)(しゅ)はこう(おお)せられます、『わたしはあなたに(あぶら)(そそ)いで、(しゅ)(たみ)イスラエルの(おう)とする。 7あなたは主君(しゅくん)アハブの(いえ)()(ほろ)ぼさなければならない。それによってわたしは、わたしのしもべである預言者(よげんしゃ)たちの()と、(しゅ)のすべてのしもべたちの()をイゼベルに(むく)いる。 8アハブの全家(ぜんか)(ほろ)びるであろう。アハブに(ぞく)する(おとこ)は、イスラエルにいて、つながれた(もの)も、自由(じゆう)(もの)も、ことごとくわたしは()ち、 9アハブの(いえ)をネバテの()ヤラベアムのようにし、アヒヤの()バアシャの(いえ)のようにする。 10(いぬ)がイズレルの地域(ちいき)でイゼベルを()い、彼女(かのじょ)(ほうむ)(もの)はないであろう』」。そして(かれ)()をあけて()()った。
11やがてエヒウが主君(しゅくん)家来(けらい)たちの(ところ)()()ると、(かれ)らはエヒウに()った、「(かわ)った(こと)はありませんか。あの気違(きちが)いは、なんのためにあなたの(ところ)にきたのですか」。エヒウは(かれ)らに()った、「あなたがたは、あの(ひと)()っています。またその()(こと)()っています」。 12(かれ)らは()った、「それは(ちが)います。どうぞわれわれに(はな)してください」。そこでエヒウは()った、「(かれ)はこうこう、わたしに()げて()いました、『(しゅ)はこう(おお)せられる、わたしはあなたに(あぶら)(そそ)いで、イスラエルの(おう)とする』」。 13すると(かれ)らは(いそ)いで、おのおの衣服(いふく)をとり、それを階段(かいだん)(うえ)のエヒウの(した)()き、ラッパを()いて「エヒウは(おう)である」と()った。
14こうしてニムシの()であるヨシャパテの()エヒウはヨラムにそむいた。(ヨラムはイスラエルをことごとく(ひき)いて、ラモテ・ギレアデでスリヤの(おう)ハザエルを(ふせ)いだが、 15ヨラム(おう)はスリヤの(おう)ハザエルと(たたか)った(とき)に、スリヤびとに()わされた(きず)をいやすため、エズレルに(かえ)っていた。)エヒウは()った、「もしこれがあなたがたの本心(ほんしん)であるならば、ひとりもこの(まち)から(しの)()て、これをエズレルに()げてはならない」。 16そしてエヒウは(くるま)()ってエズレルへ()った。ヨラムがそこに()していたからである。またユダの(おう)アハジヤはヨラムを見舞(みま)うために(くだ)っていた。
17さてエズレルのやぐらに、ひとりの物見(ものみ)()っていたが、エヒウの群衆(ぐんしゅう)()るのを()て、「群衆(ぐんしゅう)()える」と()ったので、ヨラムは()った、「ひとりを(うま)()せてつかわし、それに()わせて『平安(へいあん)ですか』と()わせなさい」。 18そこでひとりが(うま)()って()き、(かれ)()って()った、「(おう)はこう(おお)せられます、『平安(へいあん)ですか』」。エヒウ()った、「あなたは平安(へいあん)となんの関係(かんけい)がありますか。わたしのあとについてきなさい」。物見(ものみ)はまた()げて()った、「使者(ししゃ)(かれ)らの(ところ)()きましたが、(かえ)ってきません」。 19そこで(ふたた)(ひと)(うま)でつかわしたので、(かれ)らの(ところ)()って()った、「(おう)はこう(おお)せられます、『平安(へいあん)ですか』」。エヒウは(こた)えて()った、「あなたは平安(へいあん)となんの関係(かんけい)がありますか。わたしのあとについてきなさい」。 20物見(ものみ)はまた()げて()った、「(かれ)も、(かれ)らの(ところ)()きましたが(かえ)ってきません。あの(くるま)操縦(そうじゅう)はニムシの()エヒウの操縦(そうじゅう)するのに()て、猛烈(もうれつ)(いきお)いで操縦(そうじゅう)して()ます」。
21そこでヨラムが「(くるま)用意(ようい)せよ」と()ったので、(くるま)用意(ようい)すると、イスラエルの(おう)ヨラムと、ユダの(おう)アハジヤは、おのおのその(くるま)()()った。すなわちエヒウに()うために()ていって、エズレルびとナボテの地所(じしょ)(かれ)()った。 22ヨラムはエヒウを()()った、「エヒウよ、平安(へいあん)ですか」。エヒウは(こた)えた、「あなたの(はは)イゼベルの姦淫(かんいん)魔術(まじゅつ)とが、こんなに(おお)いのに、どうして平安(へいあん)でありえましょうか」。 23その(とき)ヨラムは(くるま)をめぐらして()げ、アハジヤにむかって、「アハジヤよ、反逆(はんぎゃく)です」と()うと、 24エヒウは()(ゆみ)をひきしぼって、ヨラムの(りょう)(かた)(あいだ)()たので、()(かれ)心臓(しんぞう)(つらぬ)き、(かれ)(くるま)(なか)(たお)れた。 25エヒウはその副官(ふくかん)ビデカルに()った、「(かれ)()りあげて、エズレルびとナボテの(はたけ)()()てなさい。かつて、わたしとあなたと、ふたり(とも)()って、(かれ)(ちち)アハブに(したが)ったとき、(しゅ)(かれ)について、この預言(よげん)をされたことを記憶(きおく)しなさい。 26すなわち(しゅ)()われた、『まことに、わたしはきのうナボテの()と、その()らの()()た』。また(しゅ)()われた、『わたしはこの地所(じしょ)であなたに報復(ほうふく)する』と。それゆえ(かれ)()りあげて、その地所(じしょ)()げすて、(しゅ)言葉(ことば)のようにしなさい」。
27ユダの(おう)アハジヤはこれを()てベテハガンの(ほう)()げたが、エヒウはそのあとを()い、「(かれ)をも()て」と()ったので、イブレアムのほとりのグルの(さか)(くるま)(なか)(かれ)()った。(かれ)はメギドまで()げていって、そこで()んだ。 28その家来(けらい)たちは(かれ)(くるま)()せてエルサレムに(はこ)び、ダビデの(まち)(かれ)(はか)にその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ほうむ)った。
29アハブの()ヨラムの(だい)十一(ねん)にアハジヤはユダの(おう)となったのである。
30エヒウがエズレルにきた(とき)、イゼベルはそれを()いて、その()()り、(かみ)(かざ)って(まど)から(のぞ)()たが、 31エヒウが(もん)にはいってきたので、「主君(しゅくん)(ころ)したジムリよ、無事(ぶじ)ですか」と()った。 32するとエヒウは(かお)をあげて(まど)にむかい、「だれか、わたしに味方(みかた)する(もの)があるか。だれかあるか」と()うと、二、三(にん)宦官(かんがん)がエヒウを(のぞ)()たので、 33エヒウは「彼女(かのじょ)()(おと)せ」と()った。(かれ)らは彼女(かのじょ)()(おと)したので、その()(かべ)(うま)とにはねかかった。そして(うま)彼女(かのじょ)()みつけた。 34エヒウは(うち)にはいって()()みし、そして()った、「あののろわれた(おんな)()彼女(かのじょ)(ほうむ)りなさい。彼女(かのじょ)(おう)(むすめ)なのだ」。 35しかし(かれ)らが彼女(かのじょ)(ほうむ)ろうとして()って()ると、頭蓋骨(ずがいこつ)と、(あし)と、たなごころのほか(なに)もなかったので、 36(かえ)って、(かれ)()げると、(かれ)()った、「これは(しゅ)が、そのしもべ、テシベびとエリヤによってお()げになった言葉(ことば)である。すなわち『エズレルの()(いぬ)がイゼベルの(にく)()うであろう。 37イゼベルの死体(したい)はエズレルの()で、糞土(ふんど)のように()のおもてに()てられて、だれも、これはイゼベルだ、と()うことができないであろう』」。

第十章

1アハブはサマリヤに七十(にん)子供(こども)があった。エヒウは手紙(てがみ)をしたためてサマリヤに(おく)り、(まち)のつかさたちと、長老(ちょうろう)たちと、アハブの子供(こども)守役(もりやく)たちとに(つた)えて()った、 2「あなたがたの主君(しゅくん)子供(こども)たちがあなたがたと(とも)におり、また戦車(せんしゃ)(うま)も、堅固(けんご)(まち)武器(ぶき)もあるのだから、この手紙(てがみ)があなたがたのもとに(とど)いたならば、すぐ、 3あなたがたは主君(しゅくん)子供(こども)たちのうち(もっと)もすぐれた、(もっと)適当(てきとう)(もの)(えら)んで、その(ちち)(くらい)にすえ、主君(しゅくん)(いえ)のために(たたか)いなさい」。 4(かれ)らは(おお)いに(おそ)れて()った、「ふたりの(おう)たちがすでに(かれ)(あた)ることができなかったのに、われわれがどうして(あた)ることができよう」。 5そこで宮廷(きゅうてい)のつかさ、(まち)のつかさ、長老(ちょうろう)たちと守役(もりやく)たちはエヒウに(ひと)をつかわして()った、「わたしたちは、あなたのしもべです。すべてあなたが(めい)じられる(こと)をいたします。わたしたちは(おう)()てることを(この)みません。あなたがよいと(おも)われることをしてください」。 6そこでエヒウは(ふたた)(かれ)らに手紙(てがみ)()(おく)って()った、「もしあなたがたが、わたしに味方(みかた)し、わたしに(したが)おうとするならば、あなたがたの主君(しゅくん)子供(こども)たちの(くび)()って、あすの(いま)ごろエズレルにいるわたしのもとに()ってきなさい」。そのころ、(おう)子供(こども)たち七十(にん)(かれ)らを(そだ)てていた(まち)のおもだった人々(ひとびと)(とも)にいた。 7(かれ)らはその手紙(てがみ)()()ると、(おう)子供(こども)たちを(とら)えて、その七十(にん)をことごとく(ころ)し、その(くび)をかごにつめて、エズレルにいるエヒウのもとに(おく)った。 8使者(ししゃ)()て、エヒウに()げ、「人々(ひとびと)(おう)子供(こども)たちの(くび)()ってきました」と()うと、「あくる(あさ)までそれを(もん)入口(いりぐち)に、ふた(やま)()んでおけ」と()った。 9(あさ)になると、(かれ)()()って()ち、すべての(たみ)()った、「あなたがたは(ただ)しい。主君(しゅくん)にそむいて(かれ)(ころ)したのはわたしです。しかしこのすべての(もの)どもを(ころ)したのはだれですか。 10これであなたがたは、(しゅ)がアハブの(いえ)について()げられた(しゅ)言葉(ことば)(ひと)つも()()ちないことを()りなさい。(しゅ)は、そのしもべエリヤによってお()げになった(こと)をなし()げられたのです」。 11こうしてエヒウは、アハブの(いえ)(ぞく)する(もの)でエズレルに(のこ)っている(もの)をことごとく(ころ)し、またそのすべてのおもだった(もの)、その(した)しい(もの)およびその祭司(さいし)たちを(ころ)して、(かれ)(ぞく)する(もの)はひとりも(のこ)さなかった。
12さてエヒウは()ってサマリヤへ()ったが、途中(とちゅう)牧者(ぼくしゃ)(あつ)まり()で、 13ユダの(おう)アハジヤの身内(みうち)人々(ひとびと)()い、「あなたがたはどなたですか」と()うと、「わたしたちはアハジヤの身内(みうち)(もの)ですが、(おう)子供(こども)たちと、(おう)(はは)子供(こども)たちの安否(あんぴ)()うために(くだ)ってきたのです」と(こた)えたので、 14エヒウは「(かれ)らをいけどれ」と(めい)じた。そこで(かれ)らをいけどって、(あつ)まり()(あな)のかたわらで(かれ)ら四十二(にん)をことごとく(ころ)し、ひとりをも(のこ)さなかった。
15エヒウはそこを()って()ったが、自分(じぶん)(むか)えにきたレカブの()ヨナダブに()ったので、(かれ)にあいさつして、「あなたの(こころ)は、わたしがあなたに(たい)するように真実(しんじつ)ですか」と()うと、ヨナダブは「真実(しんじつ)です」と(こた)えた。するとエヒウは「それならば、あなたの()をわたしに()べなさい」と()ったので、その()()べると、(かれ)()いて自分(じぶん)(くるま)(のぼ)らせ、 16「わたしと一緒(いっしょ)にきて、わたしが(しゅ)熱心(ねっしん)なのを()なさい」と()った。そして(かれ)自分(じぶん)(くるま)()せ、 17サマリヤへ()って、アハブに(ぞく)する(もの)で、サマリヤに(のこ)っている(もの)をことごとく(ころ)して、その一族(いちぞく)(ほろ)ぼした。(しゅ)がエリヤにお()げになった言葉(ことば)のとおりである。
18()いでエヒウは(たみ)をことごとく(あつ)めて(かれ)らに()った、「アハブは(すこ)しばかりバアルに(つか)えたが、エヒウは(おお)いにこれに(つか)えるであろう。 19それゆえ、(いま)バアルのすべての預言者(よげんしゃ)、すべての礼拝者(れいはいしゃ)、すべての祭司(さいし)をわたしのもとに()しなさい。ひとりもこない(もの)のないようにしなさい。わたしは(おお)いなる犠牲(ぎせい)をバアルにささげようとしている。すべてこない(もの)()かしておかない」。しかしエヒウはバアルの礼拝者(れいはいしゃ)たちを(ほろ)ぼすために(いつわ)ってこうしたのである。 20そしてエヒウは「バアルのために(せい)(かい)(もよお)しなさい」と(めい)じたので、(かれ)らはこれを布告(ふこく)した。 21エヒウはあまねくイスラエルに(ひと)をつかわしたので、バアルの礼拝者(れいはいしゃ)たちはことごとく()た。こないで(のこ)った(もの)はひとりもなかった。(かれ)らはバアルの(みや)にはいったので、バアルの(みや)(たん)から(たん)までいっぱいになった。 22その(とき)エヒウは衣装(いしょう)をつかさどる(もの)に「祭服(さいふく)()()してバアルのすべての礼拝者(れいはいしゃ)(あた)えよ」と()ったので、(かれ)らのために祭服(さいふく)()()した。 23そしてエヒウはレカブの()ヨナダブと(とも)にバアルの(みや)(はい)り、バアルの礼拝者(れいはいしゃ)たちに()った、「調(しら)べてみて、ここにはただバアルの礼拝者(れいはいしゃ)のみで、(しゅ)のしもべはひとりも、あなたがたのうちにいないようにしなさい」。 24こうして(かれ)犠牲(ぎせい)燔祭(はんさい)とをささげるためにはいった。
さてエヒウは八十(にん)(もの)(そと)()いて()った、「わたしがあなたがたの()(わた)(もの)をひとりでも(のが)(もの)は、自分(じぶん)(いのち)をもってその(ひと)(いのち)()えなければならない」。 25こうして燔祭(はんさい)をささげることが(おわ)ったとき、エヒウはその侍衛(じえい)将校(しょうこう)たちに()った、「はいって(かれ)らを(ころ)せ。ひとりも()がしてはならない」。侍衛(じえい)将校(しょうこう)たちはつるぎをもって(かれ)らを()(ころ)し、それを()()して、バアルの(みや)本殿(ほんでん)(はい)り、 26バアルの(みや)にある(はしら)(ぞう)()()して、それを()いた。 27また(かれ)らはバアルの石柱(せきちゅう)をこわし、バアルの(みや)をこわして、かわやとしたが今日(こんにち)まで(のこ)っている。
28このようにエヒウはイスラエルのうちからバアルを一掃(いっそう)した。 29しかしエヒウはイスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムの(つみ)、すなわちベテルとダンにある(きん)()(うし)(つか)えることをやめなかった。 30(しゅ)はエヒウに()われた、「あなたはわたしの()にかなう(こと)(おこな)うにあたって、よくそれを(おこな)い、またわたしの(こころ)にあるすべての(こと)をアハブの(いえ)にしたので、あなたの子孫(しそん)は四(だい)までイスラエルの(くらい)()するであろう」。 31しかしエヒウはイスラエルの(かみ)(しゅ)律法(りっぽう)(こころ)をつくして(まも)(おこな)おうとはせず、イスラエルに(つみ)(おか)させたヤラベアムの(つみ)(はな)れなかった。
32この(とき)にあたって、(しゅ)はイスラエルの領地(りょうち)()()ることを(はじ)められた。すなわちハザエルはイスラエルのすべての領域(りょういき)(おか)し、 33ヨルダンの(ひがし)で、ギレアデの(ぜん)()、カドびと、ルベンびと、マナセびとの()(おか)し、アルノン(かわ)のほとりにあるアロエルからギレアデとバシャンに(およ)んだ。 34エヒウのその()事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)およびその武勇(ぶゆう)は、ことごとくイスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 35エヒウはその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)ったので、(かれ)をサマリヤに(ほうむ)った。その()エホアハズが(かわ)って(おう)となった。 36エヒウがサマリヤでイスラエルを(おさ)めたのは二十八(ねん)であった。

第十一章

1さてアハジヤの(はは)アタリヤはその()()んだのを()て、()って(おう)一族(いちぞく)をことごとく(ほろ)ぼしたが、 2ヨラム(おう)(むすめ)で、アハジヤの姉妹(しまい)であるエホシバはアハジヤの()ヨアシを、(ころ)されようとしている(おう)()たちのうちから(ぬす)()り、(かれ)とそのうばとを寝室(しんしつ)()れて、アタリヤに(かく)したので、(かれ)はついに(ころ)されなかった。 3ヨアシはうばと(とも)に六(ねん)(あいだ)(しゅ)(みや)(かく)れていたが、その(かん)アタリヤが(くに)(おさ)めた。
4(だい)(ねん)になってエホヤダは(ひと)をつかわして、カリびとと近衛(このえ)(へい)との大将(たいしょう)たちを(まね)きよせ、(しゅ)(みや)にいる自分(じぶん)のもとにこさせ、(かれ)らと契約(けいやく)(むす)び、(しゅ)(みや)(かれ)らに(ちか)いをさせて(おう)()()せ、 5(めい)じて()った、「あなたがたのする(こと)はこれです、すなわち、安息日(あんそくにち)非番(ひばん)となって(おう)(いえ)(まも)るあなたがたの三(ぶん)の一は、 6宮殿(きゅうでん)(まも)らなければならない。(()の三(ぶん)の一はスルの(もん)におり、三(ぶん)の一は近衛(このえ)(へい)のうしろの(もん)におる)。 7すべて安息日(あんそくにち)当番(とうばん)(しゅ)(みや)(まも)るあなたがたの二つの部隊(ぶたい)は、 8おのおのの武器(ぶき)()()って(おう)のまわりに()たなければならない。すべて(れつ)(ちか)よる(もの)(ころ)されなければならない。あなたがたは(おう)()(とき)にも、はいる(とき)にも(おう)(とも)にいなければならない」。
9そこでその大将(たいしょう)たちは祭司(さいし)エホヤダがすべて(めい)じたとおりにおこなった。すなわち(かれ)らはおのおの安息日(あんそくにち)非番(ひばん)となる(もの)と、安息日(あんそくにち)当番(とうばん)となる(もの)とを(ひき)いて祭司(さいし)エホヤダのもとにきたので、 10祭司(さいし)(しゅ)(みや)にあるダビデ(おう)のやりと(たて)大将(たいしょう)たちに(わた)した。 11近衛(このえ)(へい)はおのおの()武器(ぶき)をとって(しゅ)(みや)南側(みなみがわ)から北側(きたがわ)まで、祭壇(さいだん)(みや)()()いて()った。 12そこでエホヤダは(おう)()をつれ()して(かんむり)をいただかせ、律法(りっぽう)(しょ)(わた)し、(かれ)(おう)宣言(せんげん)して(あぶら)(そそ)いだので、人々(ひとびと)()()って「(おう)万歳(ばんざい)」と()った。
13アタリヤは近衛(このえ)(へい)(たみ)(こえ)()いて、(しゅ)(みや)(はい)り、(たみ)のところへ()って、 14()ると、(おう)慣例(かんれい)にしたがって(はしら)のかたわらに()ち、(おう)のかたわらには大将(たいしょう)たちとラッパ()たちが()ち、また(くに)(たみ)(みな)(よろこ)んでラッパを()いていたので、アタリヤはその(ころも)()いて、「反逆(はんぎゃく)です、反逆(はんぎゃく)です」と(さけ)んだ。 15その(とき)祭司(さいし)エホヤダは軍勢(ぐんぜい)指揮(しき)していた大将(たいしょう)たちに(めい)じて、「彼女(かのじょ)(れつ)(あいだ)をとおって()()かせ、彼女(かのじょ)(したが)(もの)をつるぎをもって(ころ)しなさい」と()った。これは祭司(さいし)がさきに「彼女(かのじょ)(しゅ)(みや)(ころ)してはならない」と()ったからである。 16そこで(かれ)らは彼女(かのじょ)(とら)え、(おう)(いえ)馬道(うまみち)()れて()ったが、彼女(かのじょ)はついにそこで(ころ)された。
17かくてエホヤダは(しゅ)(おう)および(たみ)との(あいだ)に、(みな)(しゅ)(たみ)となるという契約(けいやく)()てさせ、また(おう)(たみ)との(あいだ)にもそれを()てさせた。 18そこで(くに)(たみ)(みな)バアルの(みや)()って、これをこわし、その祭壇(さいだん)とその(ぞう)()(くだ)き、バアルの祭司(さいし)マッタンをその祭壇(さいだん)(まえ)(ころ)した。そして祭司(さいし)(しゅ)(みや)管理(かんり)(ひと)()いた。 19()いでエホヤダは大将(たいしょう)たちと、カリびとと、近衛(このえ)(へい)(くに)のすべての(たみ)(ひき)いて、(しゅ)(みや)から(おう)(みちび)(くだ)り、近衛(このえ)(へい)(もん)(みち)から(おう)(いえ)(はい)り、(おう)(くらい)()せしめた。 20こうして(くに)(たみ)(みな)(よろこ)び、(まち)はアタリヤが(おう)(いえ)でつるぎをもって(ころ)されてのち、おだやかになった。 21ヨアシは(くらい)についた(とき)(さい)であった。

第十二章

1ヨアシはエヒウの(だい)(ねん)(くらい)につき、エルサレムで四十(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。その(はは)はベエルシバの出身(しゅっしん)で、()をヂビアといった。 2ヨアシは一生(いっしょう)(あいだ)(しゅ)()にかなう(こと)をおこなった。祭司(さいし)エホヤダが(かれ)(おし)えたからである。 3しかし(たか)(ところ)(のぞ)かなかったので、(たみ)はなおその(たか)(ところ)犠牲(ぎせい)をささげ、(こう)をたいた。
4ヨアシは祭司(さいし)たちに()った、「すべて(しゅ)(みや)聖別(せいべつ)してささげる(ぎん)、すなわちおのおのが()せられて、割当(わりあて)にしたがって人々(ひとびと)()(ぎん)、および人々(ひとびと)(こころ)から(ねが)って(しゅ)(みや)()ってくる(ぎん)は、 5これを祭司(さいし)たちがおのおのその()(ひと)から()()り、どこでも(しゅ)(みや)(やぶ)れの()える(とき)は、それをもってその(やぶ)れを(つくろ)わなければならない」。 6ところがヨアシ(おう)の二十三(ねん)(いた)るまで、祭司(さいし)たちは(しゅ)(みや)(やぶ)れを(つくろ)わなかった。 7それで、ヨアシ(おう)祭司(さいし)エホヤダおよび()祭司(さいし)たちを()して()った、「なぜ、あなたがたは(しゅ)(みや)(やぶ)れを(つくろ)わないのか。あなたがたはもはや知人(ちじん)から(ぎん)()けてはならない。(しゅ)(みや)(やぶ)れを(つくろ)うためにそれを(わた)しなさい」。 8祭司(さいし)たちは(かさ)ねて(たみ)から(ぎん)()けない(こと)と、(しゅ)(みや)(やぶ)れを(つくろ)わない(こと)とに同意(どうい)した。
9そこで祭司(さいし)エホヤダは一つの(はこ)()り、そのふたに(あな)をあけて、それを(しゅ)(みや)入口(いりぐち)右側(みぎがわ)祭壇(さいだん)のかたわらに()いた。そして(もん)(まも)祭司(さいし)たちは(しゅ)(みや)にはいってくる(ぎん)をことごとくその(なか)()れた。 10こうしてその(はこ)(なか)(ぎん)(おお)くなったのを()ると、(おう)書記官(しょきかん)(だい)祭司(さいし)(のぼ)ってきて、(しゅ)(みや)にある(ぎん)(かぞ)えて(ふくろ)()めた。 11そしてその(かぞ)えた(ぎん)を、工事(こうじ)をつかさどる(しゅ)(みや)監督(かんとく)(もの)()にわたしたので、(かれ)らはそれを(しゅ)(みや)(はたら)木工(もっこう)建築(けんちく)()(はら)い、 12石工(いしく)および(いし)()りに(はら)い、またそれをもって(しゅ)(みや)(やぶ)れを(つくろ)材木(ざいもく)()(いし)()い、(しゅ)(みや)(つくろ)うために(もち)いるすべての(もの)のために(ついや)した。 13ただし、(しゅ)(みや)にはいってくるその(ぎん)をもって(しゅ)(みや)のために(ぎん)のたらい、心切(しんき)りばさみ、(はち)、ラッパ、(きん)(うつわ)(ぎん)(うつわ)などを(つく)ることはしなかった。 14ただこれを工事(こうじ)をする(もの)(わた)して、それで(しゅ)(みや)(つくろ)わせた。 15またその(ぎん)(わた)して工事(こうじ)をする(もの)(はら)わせた人々(ひとびと)計算(けいさん)することはしなかった。(かれ)らは正直(しょうじき)(こと)をおこなったからである。 16愆祭(けんさい)(ぎん)罪祭(ざいさい)(ぎん)(しゅ)(みや)に、はいらないで、祭司(さいし)()した。
17そのころ、スリヤの(おう)ハザエルが(のぼ)ってきて、ガテを()めてこれを()った。そしてハザエルがエルサレムに()(のぼ)ろうとして、その(かお)()けたとき、 18ユダの(おう)ヨアシはその先祖(せんぞ)、ユダの(おう)ヨシャパテ、ヨラム、アハジヤが聖別(せいべつ)してささげたすべての(もの)、およびヨアシ自身(じしん)聖別(せいべつ)してささげた(もの)、ならびに(しゅ)(みや)(くら)と、(しゅ)(みや)にある(きん)をことごとく()って、スリヤ(おう)のハザエルに(おく)ったので、ハザエルはエルサレムを(はな)()った。
19ヨアシのその()事績(じせき)および(かれ)がしたすべての(こと)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 20ヨアシの家来(けらい)たちは()って徒党(ととう)(むす)び、シラに(くだ)(みち)にあるミロの(いえ)でヨアシを(ころ)した。 21すなわちその家来(けらい)シメアテの()ヨザカルと、ショメルの()ヨザバデが(かれ)()って(ころ)し、(かれ)をその先祖(せんぞ)(おな)じく、ダビデの(まち)(ほうむ)った。その()アマジヤが(かわ)って(おう)となった。

第十三章

1ユダの(おう)アハジヤの()ヨアシの(だい)二十三(ねん)にエヒウの()エホアハズはサマリヤでイスラエルの(おう)となり、十七(ねん)()(おさ)めた。 2(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、イスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムの(つみ)(おこな)いつづけて、それを(はな)れなかった。 3そこで(しゅ)はイスラエルに(たい)して(いか)りを(はっ)し、エホアハズの治世(ちせい)(あいだ)()えずイスラエルをスリヤの(おう)ハザエルの()にわたし、またハザエルの()ベネハダデの()にわたされた。 4しかしエホアハズが(しゅ)(ねが)(もと)めたので、(しゅ)はついにこれを()きいれられた。スリヤの(おう)によって(なや)まされたイスラエルの(なや)みを()られたからである。 5それで(しゅ)がひとりの救助者(きゅうじょしゃ)をイスラエルに(たま)わったので、イスラエルの人々(ひとびと)はスリヤびとの()をのがれ、(まえ)のように自分(じぶん)たちの天幕(てんまく)()むようになった。 6それにもかかわらず、(かれ)らはイスラエルに(つみ)(おか)させたヤラベアムの(いえ)(つみ)(はな)れず、それを(おこな)いつづけた。またアシラの(ぞう)もサマリヤに()ったままであった。 7さきにスリヤの(おう)(かれ)らを(ほろ)ぼし、()(くだ)くちりのようにしたのでエホアハズの軍勢(ぐんぜい)(のこ)ったものは、ただ騎兵(きへい)五十(にん)戦車(せんしゃ)(りょう)歩兵(ほへい)一万(にん)のみであった。 8エホアハズその()事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)およびその武勇(ぶゆう)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 9エホアハズは先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)ったので、(かれ)をサマリヤに(ほうむ)った。その()ヨアシが(かわ)って(おう)となった。
10ユダの(おう)ヨアシの(だい)三十七(ねん)に、エホアハズの()ヨアシはサマリヤでイスラエルの(おう)となり、十六(ねん)()(おさ)めた。 11(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、イスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムのもろもろの(つみ)(はな)れず、それに(あゆ)んだ。 12ヨアシのその()事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)およびユダの(おう)アマジヤと(たたか)ったその武勇(ぶゆう)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 13ヨアシは先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)って、ヤラベアムがその(くらい)()した。そしてヨアシはイスラエルの(おう)たちと(おな)じくサマリヤに(ほうむ)られた。
14さてエリシャは()病気(びょうき)にかかっていたが、イスラエルの(おう)ヨアシは(くだ)ってきて(かれ)(かお)(うえ)(なみだ)(なが)し、「わが(ちち)よ、わが(ちち)よ、イスラエルの戦車(せんしゃ)よ、その騎兵(きへい)よ」と()った。 15エリシャは(かれ)に「(ゆみ)()()りなさい」と()ったので、(ゆみ)()()った。 16エリシャはまたイスラエルの(おう)に「(ゆみ)()をかけなさい」と()ったので、()をかけた。するとエリシャは自分(じぶん)()(おう)()(うえ)におき、 17(ひがし)()きの(まど)をあけなさい」と()ったので、それをあけると、エリシャはまた「()なさい」と()った。(かれ)()ると、エリシャは()った、「(しゅ)(すくい)()、スリヤに(たい)する(すくい)()。あなたはアペクでスリヤびとを()(やぶ)り、(かれ)らを(ほろ)ぼしつくすであろう」。 18エリシャはまた「()()りなさい」と()ったので、それを()った。エリシャはまたイスラエルの(おう)に「それをもって()()なさい」と()ったので、三()()てやめた。 19すると(かみ)(ひと)(いか)って()った、「あなたは五()も六()()るべきであった。そうしたならば、あなたはスリヤを()(やぶ)り、それを(ほろ)ぼしつくすことができたであろう。しかし(いま)あなたはそうしなかったので、スリヤを()(やぶ)ることはただ三()だけであろう」。
20こうしてエリシャは()んで(ほうむ)られた。さてモアブの略奪(りゃくだつ)(たい)(とし)(あらた)まるごとに、(くに)にはいって()るのを(つね)とした。 21(とき)に、ひとりの(ひと)(ほうむ)ろうとする(もの)があったが、略奪(りゃくだつ)(たい)()たので、その(ひと)をエリシャの(はか)()()れて()った。その(ひと)はエリシャの(ほね)()れるとすぐ()きかえって()ちあがった。
22スリヤの(おう)ハザエルはエホアハズの一生(いっしょう)(あいだ)、イスラエルを(なや)ましたが、 23(しゅ)はアブラハム、イサク、ヤコブと(むす)ばれた契約(けいやく)のゆえにイスラエルを(めぐ)み、これをあわれみ、これを(かえり)みて(ほろ)ぼすことを(この)まず、なおこれをみ(まえ)から()てられなかった。
24スリヤの(おう)ハザエルはついに()んで、その()ベネハダデが(かわ)って(おう)となった。 25そこでエホアハズの()ヨアシは、(ちち)エホアハズがハザエルに()()られた町々(まちまち)を、ハザエルの()ベネハダデの()から()(かえ)した。すなわちヨアシは三()(かれ)()(やぶ)って、イスラエルの町々(まちまち)()(かえ)した。

第十四章

1イスラエルの(おう)エホアハズの()ヨアシの(だい)(ねん)に、ユダの(おう)ヨアシの()アマジヤが(おう)となった。 2(かれ)(おう)となった(とき)二十五(さい)で、二十九(ねん)(あいだ)エルサレムで()(おさ)めた。その(はは)はエルサレムの出身(しゅっしん)で、()をエホアダンといった。 3アマジヤは(しゅ)()にかなう(こと)をおこなったが、先祖(せんぞ)ダビデのようではなかった。(かれ)はすべての(こと)(ちち)ヨアシがおこなったようにおこなった。 4ただし(たか)(ところ)(のぞ)かなかったので、(たみ)はなおその(たか)(ところ)犠牲(ぎせい)をささげ、(こう)をたいた。 5(かれ)(くに)(かれ)()のうちに(つよ)くなった(とき)(ちち)ヨアシ(おう)殺害(さつがい)した家来(けらい)たちを(ころ)したが、 6その殺害者(さつがいしゃ)子供(こども)たちは(ころ)さなかった。これはモーセの律法(りっぽう)(しょ)にしるされている(ところ)(したが)ったのであって、そこに(しゅ)(めい)じて「(ちち)()のゆえに(ころ)さるべきではない。()(ちち)のゆえに(ころ)さるべきではない。おのおの自分(じぶん)(つみ)のゆえに(ころ)さるべきである」と()われている。
7アマジヤはまた(しお)(たに)でエドムびと一万(にん)(ころ)した。またセラを()()って、その()をヨクテルと()づけたが、今日(こんにち)までそのとおりである。
8そこでアマジヤがエヒウの()エホアハズの()であるイスラエルの(おう)ヨアシに使者(ししゃ)をつかわして、「さあ、われわれは(たがい)(かお)()わせよう」と()わせたので、 9イスラエルの(おう)ヨアシはユダの(おう)アマジヤに()(おく)った、「かつてレバノンのいばらがレバノンの香柏(こうはく)に、『あなたの(むすめ)をわたしのむすこの(つま)にください』と()(おく)ったことがあったが、レバノンの野獣(やじゅう)がとおって、そのいばらを()(たお)した。 10あなたは(おお)いにエドムを()って、(こころ)にたかぶっているが、その栄誉(えいよ)満足(まんぞく)して(いえ)にとどまりなさい。(なに)ゆえ、あなたは(わざわい)をひき(おこ)して、自分(じぶん)もユダも(とも)(ほろ)びるような(こと)をするのですか」。
11しかしアマジヤが()きいれなかったので、イスラエルの(おう)ヨアシは(のぼ)ってきた。そこで(かれ)とユダの(おう)アマジヤはユダのベテシメシで(たがい)(かお)をあわせたが、 12ユダはイスラエルに(やぶ)られて、おのおのその天幕(てんまく)()(かえ)った。 13イスラエルの(おう)ヨアシはアハジヤの()ヨアシの()であるユダの(おう)アマジヤをベテシメシで(とら)え、エルサレムにきて、エルサレムの城壁(じょうへき)をエフライムの(もん)から(すみ)(もん)まで、おおよそ四百キュビトにわたってこわし、 14また(しゅ)(みや)(おう)(いえ)(くら)にある金銀(きんぎん)およびもろもろの(うつわ)をことごとく()り、かつ人質(ひとじち)をとってサマリヤに(かえ)った。
15ヨアシのその()事績(じせき)と、その武勇(ぶゆう)および(かれ)がユダの(おう)アマジヤと(たたか)った(こと)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 16ヨアシはその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)って、イスラエルの(おう)たちと(とも)にサマリヤに(ほうむ)られ、その()ヤラベアムが(かわ)って(おう)となった。
17ヨアシの()であるユダの(おう)アマジヤは、エホアハズの()であるイスラエルの(おう)ヨアシが()んで(のち)、なお十五(ねん)()きながらえた。 18アマジヤのその()事績(じせき)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 19(とき)人々(ひとびと)がエルサレムで徒党(ととう)(むす)び、(かれ)敵対(てきたい)したので、(かれ)はラキシに()げていったが、その人々(ひとびと)はラキシに(ひと)をつかわして(かれ)をそこで(ころ)させた。 20人々(ひとびと)(かれ)(うま)()せて(はこ)んできて、エルサレムで(かれ)先祖(せんぞ)たちと(とも)にダビデの(まち)(ほうむ)った。 21そしてユダの(たみ)(みな)アザリヤを(ちち)アマジヤの(かわ)りに(おう)とした。(とき)(ねん)十六(さい)であった。 22(かれ)はエラテの(まち)()てて、これをユダに復帰(ふっき)させた。これはかの(おう)がその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)った(のち)であった。
23ユダの(おう)ヨアシの()アマジヤの(だい)十五(ねん)に、イスラエルの(おう)ヨアシの()ヤラべアムがサマリヤで(おう)となって四十一(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。 24(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、イスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムの(つみ)(はな)れなかった。 25(かれ)はハマテの入口(いりぐち)からアラバの(うみ)まで、イスラエルの領域(りょういき)回復(かいふく)した。イスラエルの(かみ)(しゅ)がガテヘペルのアミッタイの()である、そのしもべ預言者(よげんしゃ)ヨナによって()われた言葉(ことば)のとおりである。 26(しゅ)はイスラエルの(なや)みの非常(ひじょう)(はげ)しいのを()られた。そこにはつながれた(もの)も、自由(じゆう)(もの)もいなくなり、またイスラエルを(たす)ける(もの)もいなかった。 27しかし(しゅ)はイスラエルの()(あめ)(した)から()()ろうとは()われなかった。そして(かれ)らをヨアシの()ヤラベアムの()によって(すく)われた。
28ヤラベアムのその()事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)およびその武勇(ぶゆう)、すなわち(かれ)戦争(せんそう)をした(こと)および、かつてユダに(ぞく)していたダマスコとハマテを、イスラエルに復帰(ふっき)させた(こと)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 29ヤラベアムはその先祖(せんぞ)であるイスラエルの(おう)たちと(とも)(ねむ)って、その()ゼカリヤが(かわ)って(おう)となった。

第十五章

1イスラエルの(おう)ヤラベアムの(だい)二十七(ねん)に、ユダの(おう)アマジヤの()アザリヤが(おう)となった。 2(かれ)(おう)となった(とき)は十六(さい)で、五十二(ねん)(あいだ)エルサレムで()(おさ)めた。その(はは)はエルサレムの出身(しゅっしん)で、()をエコリアといった。 3(かれ)(しゅ)()にかなう(こと)(おこな)い、すべての(こと)(ちち)アマジヤが()ったようにおこなった。 4ただし(たか)(ところ)(のぞ)かなかったので、(たみ)はなおその(たか)(ところ)犠牲(ぎせい)をささげ、(こう)をたいた。 5(しゅ)(おう)()たれたので、その()()まで、らい病人(びょうにん)となって、(はな)()()んだ。(おう)()ヨタムが(いえ)(こと)管理(かんり)し、(くに)(たみ)をさばいた。 6アザリヤのその()事績(じせき)と、(かれ)がしたすべての(こと)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 7アザリヤはその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)ったので、(かれ)をダビデの(まち)にその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ほうむ)った。その()ヨタムが(かわ)って(おう)となった。
8ユダの(おう)アザリヤの(だい)三十八(ねん)にヤラベアムの()ゼカリヤがサマリヤでイスラエルの(おう)となり、六か(げつ)()(おさ)めた。 9(かれ)はその先祖(せんぞ)たちがおこなったように(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、イスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムの(つみ)(はな)れなかった。 10ヤベシの()シャルムが徒党(ととう)(むす)んで(かれ)(てき)し、イブレアムで(かれ)()(ころ)し、(かれ)(かわ)って(おう)となった。 11ゼカリヤのその()事績(じせき)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされている。 12(しゅ)はかつてエヒウに、「あなたの子孫(しそん)は四(だい)までイスラエルの(くらい)()するであろう」と()げられたが、はたしてそのとおりになった。
13ヤベシの()シャルムはユダの(おう)ウジヤの(だい)三十九(ねん)(おう)となり、サマリヤで一か(げつ)()(おさ)めた。 14(とき)にガデの()メナヘムがテルザからサマリヤに(のぼ)ってきて、ヤベシの()シャルムをサマリヤで()(ころ)し、(かれ)(かわ)って(おう)となった。 15シャルムのその()事績(じせき)と、(かれ)徒党(ととう)(むす)んだ(こと)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされている。 16その(とき)メナヘムはテルザから(すす)んでいって、タップアと、そのうちにいるすべての(もの)、およびその領域(りょういき)()った。すなわち(かれ)らが(かれ)のために(ひら)かなかったので、これを()って、そのうちの妊娠(にんしん)(おんな)をことごとく()()いた。
17ユダの(おう)アザリヤの(だい)三十九(ねん)に、ガデの()メナヘムはイスラエルの(おう)となり、サマリヤで十(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。 18(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、イスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムの(つみ)一生(いっしょう)(あいだ)(はな)れなかった。 19(とき)にアッスリヤの(おう)プルが(くに)()めてきたので、メナヘムは(ぎん)一千タラントをプルに(あた)えた。これは(かれ)がプルの(たす)けを()て、(くに)自分(じぶん)()のうちに(つよ)くするためであった。 20すなわちメナヘムはその(ぎん)をイスラエルのすべての()める(もの)()し、その人々(ひとびと)におのおの(ぎん)五十シケルを()させてアッスリヤの(おう)(あた)えた。こうしてアッスリヤの(おう)(くに)にとどまらないで(かえ)っていった。 21メナヘムのその()事績(じせき)(かれ)がしたすべての(こと)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 22メナヘムは先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)り、その()ペカヒヤが(かわ)って(おう)となった。
23メナヘムの()ペカヒヤはユダの(おう)アザリヤの(だい)五十(ねん)に、サマリヤでイスラエルの(おう)となり、二(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。 24(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)い、イスラエルに(つみ)(おか)せたネバテの()ヤラベアムの(つみ)(はな)れなかった。 25(とき)(かれ)副官(ふくかん)であったレマリヤのペカが、ギレアデびと五十(にん)(とも)徒党(ととう)(むす)んで(かれ)(てき)し、サマリヤの、(おう)宮殿(きゅうでん)天守(てんしゅ)(かれ)()(ころ)した。すなわちペカは(かれ)(ころ)し、(かれ)(かわ)って(おう)となった。 26ペカヒヤのその()事績(じせき)(かれ)がしたすべての(こと)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされている。
27レマリヤの()ペカはユダの(おう)アザリヤの(だい)五十二(ねん)に、サマリヤでイスラエルの(おう)となり、二十(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。 28(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)をおこない、イスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムの(つみ)(はな)れなかった。
29イスラエルの(おう)ペカの()に、アッスリヤの(おう)テグラテピレセルが()て、イヨン、アベル・ベテマアカ、ヤノア、ケデシ、ハゾル、ギレアデ、ガリラヤ、ナフタリの(ぜん)()()り、人々(ひとびと)をアッスリヤへ(とら)(うつ)した。 30(とき)にエラの()ホセアは徒党(ととう)(むす)んで、レマリヤの()ペカに(てき)し、(かれ)()(ころ)し、(かれ)(かわ)って(おう)となった。これはウジヤの()ヨタムの(だい)二十(ねん)であった。 31ペカのその()事績(じせき)(かれ)がしたすべての(こと)は、イスラエルの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされている。
32レマリヤの()イスラエルの(おう)ペカの(だい)(ねん)に、ユダの(おう)ウジヤの()ヨタムが(おう)となった。 33(かれ)(おう)となった(とき)二十五(さい)であったが、エルサレムで十六(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。(はは)はザドクの(むすめ)で、()をエルシャといった。 34(かれ)(しゅ)()にかなう(こと)(おこな)い、すべて(ちち)ウジヤの()ったようにおこなった。 35ただし(たか)(ところ)(のぞ)かなかったので、(たみ)はなおその(たか)(ところ)犠牲(ぎせい)をささげ、(こう)をたいた。(かれ)(しゅ)(みや)(うえ)(もん)()てた。 36ヨタムのその()事績(じせき)(かれ)がしたすべての(こと)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 37そのころ、(しゅ)はスリヤの(おう)レヂンとレマリヤの()ペカをユダに()めこさせられた。 38ヨタムは先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)って、その先祖(せんぞ)ダビデの(まち)先祖(せんぞ)たちと(とも)(ほうむ)られ、その()アハズが(かわ)って(おう)となった。

第十六章

1レマリヤの()ペカの(だい)十七(ねん)にユダの(おう)ヨタムの()アハズが(おう)となった。 2アハズは(おう)となった(とき)二十(さい)で、エルサレムで十六(ねん)(あいだ)()(おさ)めたが、その(かみ)(しゅ)()にかなう(こと)先祖(せんぞ)ダビデのようには(おこな)わなかった。 3(かれ)はイスラエルの(おう)たちの(みち)(あゆ)み、また(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)(まえ)から()(はら)われた異邦人(いほうじん)(にく)むべきおこないにしたがって、自分(じぶん)()()()いてささげ(もの)とした。 4かつ(かれ)(たか)(ところ)、また(おか)(うえ)、すべての(あお)()(した)犠牲(ぎせい)をささげ、(こう)をたいた。
5そのころ、スリヤの(おう)レヂンおよびレマリヤの()であるイスラエルの(おう)ペカがエルサレムに()(のぼ)って、アハズを(かこ)んだが、()つことができなかった。 6その(とき)エドムの(おう)はエラテを回復(かいふく)してエドムの所領(しょりょう)とし、ユダの人々(ひとびと)をエラテから()()した。そしてエドムびとがエラテにきて、そこに()み、今日(こんにち)(いた)っている。 7そこでアハズは使者(ししゃ)をアッスリヤの(おう)テグラテピレセルにつかわして()わせた、「わたしはあなたのしもべ、あなたの()です。スリヤの(おう)とイスラエルの(おう)がわたしを()(かこ)んでいます。どうぞ(のぼ)ってきて、(かれ)らの()からわたしを(すく)()してください」。 8そしてアハズは(しゅ)(みや)(おう)(いえ)(くら)にある(きん)(ぎん)をとり、これを(おく)(もの)としてアッスリヤの(おう)におくったので、 9アッスリヤの(おう)(かれ)(ねが)いを()きいれた。すなわちアッスリヤの(おう)はダマスコに()(のぼ)って、これを()り、その(たみ)をキルに(とら)(うつ)し、またレヂンを(ころ)した。
10アハズ(おう)はアッスリヤの(おう)テグラテピレセルに()おうとダマスコへ()ったが、ダマスコにある祭壇(さいだん)()たので、アハズ(おう)はその祭壇(さいだん)(つく)りにしたがって、その(くわ)しい図面(ずめん)と、ひな(がた)とを(つく)って、祭司(さいし)ウリヤに(おく)った。 11そこで祭司(さいし)ウリヤはアハズ(おう)がダマスコから(おく)ったものにしたがって祭壇(さいだん)()てた。すなわち祭司(さいし)ウリヤはアハズ(おう)がダマスコから(かえ)るまでにそのとおりに(つく)った。 12(おう)はダマスコから(かえ)ってきて、その祭壇(さいだん)()祭壇(さいだん)(ちか)づいてその(うえ)(のぼ)り、 13燔祭(はんさい)素祭(そさい)()き、灌祭(かんさい)(そそ)ぎ、酬恩祭(しゅうおんさい)()祭壇(さいだん)にそそぎかけた。 14(かれ)はまた(しゅ)(まえ)にあった青銅(せいどう)祭壇(さいだん)(みや)(まえ)から(うつ)した。すなわちそれを(あたら)しい祭壇(さいだん)(しゅ)(みや)(あいだ)から(うつ)して、(あたら)しい祭壇(さいだん)(きた)(ほう)にすえた。 15そしてアハズ(おう)祭司(さいし)ウリヤに(めい)じて()った、「(あさ)燔祭(はんさい)(ゆう)素祭(そさい)および(おう)燔祭(はんさい)とその素祭(そさい)、ならびに国中(くにぢゅう)(たみ)燔祭(はんさい)とその素祭(そさい)および灌祭(かんさい)は、この(おお)きな祭壇(さいだん)(うえ)()きなさい。また燔祭(はんさい)()犠牲(ぎせい)()はすべてこれにそそぎかけなさい。あの青銅(せいどう)祭壇(さいだん)をわたしは(うかが)いを()てるのに(もち)いよう」。 16祭司(さいし)ウリヤはアハズ(おう)がすべて(めい)じたとおりにおこなった。
17またアハズ(おう)(だい)鏡板(かがみいた)()()って、洗盤(せんばん)をその(うえ)から(うつ)し、また(うみ)をその(した)にある青銅(せいどう)(うし)(うえ)からおろして、(いし)()(うえ)にすえ、 18また(みや)のうちに(つく)られていた安息日(あんそくにち)(よう)のおおいのある(みち)、および(おう)(もち)いる(そと)入口(いりぐち)をアッスリヤの(おう)のために(しゅ)(みや)から(のぞ)いた。 19アハズのその()事績(じせき)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 20アハズは先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)って、ダビデの(まち)にその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ほうむ)られ、その()ヒゼキヤが(かわ)って(おう)となった。

第十七章

1ユダの(おう)アハズの(だい)十二(ねん)にエラの()ホセアが(おう)となり、サマリヤで九(ねん)(あいだ)、イスラエルを(おさ)めた。 2(かれ)(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)ったが、(かれ)以前(いぜん)のイスラエルの(おう)たちのようではなかった。 3アッスリヤの(おう)シャルマネセルが()(のぼ)ったので、ホセアは(かれ)隷属(れいぞく)して、みつぎを(おさ)めたが、 4アッスリヤの(おう)はホセアがついに自分(じぶん)にそむいたのを()った。それはホセアが使者(ししゃ)をエジプトの(おう)ソにつかわし、また年々(ねんねん)(おさ)めていたみつぎを、アッスリヤの(おう)(おさ)めなかったからである。そこでアッスリヤの(おう)(かれ)監禁(かんきん)し、獄屋(ごくや)につないだ。 5そしてアッスリヤの(おう)()(のぼ)って国中(くにぢゅう)(おか)し、サマリヤに(のぼ)ってきて三(ねん)(あいだ)、これを()(かこ)んだ。 6ホセアの(だい)(ねん)になって、アッスリヤの(おう)はついにサマリヤを()り、イスラエルの人々(ひとびと)をアッスリヤに(とら)えていって、ハラと、ゴザンの(かわ)ハボルのほとりと、メデアの町々(まちまち)においた。
7この(こと)()ったのは、イスラエルの人々(ひとびと)が、自分(じぶん)たちをエジプトの()から(みちび)(のぼ)って、エジプトの(おう)パロの()をのがれさせられたその(かみ)(しゅ)にむかって(つみ)(おか)し、()神々(かみがみ)(うやま)い、 8(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)(まえ)から()(はら)われた異邦人(いほうじん)のならわしに(したが)って(あゆ)み、またイスラエルの(おう)たちが(さだ)めたならわしに(したが)って(あゆ)んだからである。 9イスラエルの人々(ひとびと)はその(かみ)(しゅ)にむかって(ただしか)らぬ(こと)をひそかに(おこな)い、見張(みはり)(だい)から堅固(けんご)(まち)(いた)るまで、すべての町々(まちまち)(たか)(ところ)()て、 10またすべての(たか)(おか)(うえ)、すべての(あお)()(した)(いし)(はしら)とアシラ(ぞう)()て、 11(しゅ)(かれ)らの(まえ)から(とら)(うつ)された異邦人(いほうじん)がしたように、すべての(たか)(ところ)(こう)をたき、悪事(あくじ)()って、(しゅ)(いか)らせた。 12また(しゅ)(かれ)らに「あなたがたはこの(こと)をしてはならない」と()われたのに偶像(ぐうぞう)(つか)えた。 13(しゅ)はすべての預言者(よげんしゃ)、すべての先見者(せんけんしゃ)によってイスラエルとユダを(いまし)め、「(ひるがえ)って、あなたがたの(わる)(みち)(はな)れ、わたしがあなたがたの先祖(せんぞ)たちに(めい)じ、またわたしのしもべである預言者(よげんしゃ)たちによってあなたがたに(つた)えたすべての律法(りっぽう)のとおりに、わたしの(いまし)めと(さだ)めとを(まも)れ」と(おお)せられたが、 14(かれ)らは()きいれず、(かれ)らの先祖(せんぞ)たちがその(かみ)(しゅ)(しん)じないで、強情(ごうじょう)であったように、(かれ)らは強情(ごうじょう)であった。 15そして(かれ)らは(しゅ)(さだ)めを()て、(しゅ)(かれ)らの先祖(せんぞ)たちと(むす)ばれた契約(けいやく)(やぶ)り、また(かれ)らに(あた)えられた警告(けいこく)(かる)んじ、かつむなしい偶像(ぐうぞう)(したが)ってむなしくなり、また周囲(しゅうい)異邦人(いほうじん)(したが)った。これは(しゅ)が、(かれ)らのようにおこなってはならないと(かれ)らに(めい)じられたものである。 16(かれ)らはその(かみ)(しゅ)のすべての(いまし)めを()て、自分(じぶん)のために二つの()(うし)(ぞう)()(つく)り、またアシラ(ぞう)(つく)り、(てん)万象(ばんしょう)(おが)み、かつバアルに(つか)え、 17またそのむすこ、(むすめ)()()いてささげ(もの)とし、(うらな)いおよびまじないをなし、(しゅ)()(まえ)(あく)をおこなうことに()をゆだねて、(しゅ)(いか)らせた。 18それゆえ、(しゅ)(おお)いにイスラエルを(いか)り、(かれ)らをみ(まえ)から(のぞ)かれたので、ユダの部族(ぶぞく)のほか(のこ)った(もの)はなかった。
19ところがユダもまたその(かみ)(しゅ)(いまし)めを(まも)らず、イスラエルが(さだ)めたならわしに(あゆ)んだので、 20(しゅ)はイスラエルの子孫(しそん)をことごとく()て、(かれ)らを(くる)しめ、(かれ)らを略奪者(りゃくだつしゃ)()にわたして、ついに(かれ)らをみ(まえ)から()ちすてられた。
21(しゅ)はイスラエルをダビデの(いえ)から()(はな)されたので、イスラエルはネバテの()ヤラベアムを(おう)としたが、ヤラベアムはイスラエルに、(しゅ)(したが)うことをやめさせ、(おお)きな(つみ)(おか)させた。 22イスラエルの人々(ひとびと)がヤラベアムのおこなったすべての(つみ)をおこない(つづ)けて、それを(はな)れなかったので、 23ついに(しゅ)はそのしもべである預言者(よげんしゃ)たちによって()われたように、イスラエルをみ(まえ)から(のぞ)()られた。こうしてイスラエルは自分(じぶん)(くに)からアッスリヤに(うつ)されて今日(こんにち)(いた)っている。
24かくてアッスリヤの(おう)はバビロン、クタ、アワ、ハマテおよびセパルワイムから人々(ひとびと)をつれてきて、これをイスラエルの人々(ひとびと)(かわ)りにサマリヤの町々(まちまち)におらせたので、その人々(ひとびと)はサマリヤを領有(りょうゆう)して、その町々(まちまち)()んだ。 25(かれ)らがそこに()(はじ)めた(とき)(しゅ)(うやま)うことをしなかったので、(しゅ)(かれ)らのうちにししを(おく)り、ししは(かれ)らのうちの数人(すうにん)(ころ)した。 26そこで人々(ひとびと)はアッスリヤの(おう)()げて()った、「あなたが(うつ)してサマリヤの町々(まちまち)におらせられたあの国々(くにぐに)(たみ)は、その()(かみ)のおきてを()らないゆえに、その(かみ)(かれ)らのうちにししを(おく)り、ししは(かれ)らを(ころ)した。これは(かれ)らが、その()(かみ)のおきてを()らないためです」。 27アッスリヤの(おう)(めい)じて()った、「あなたがたがあそこから(うつ)した祭司(さいし)のひとりをあそこへ()れて()きなさい。(かれ)をあそこへやって()まわせ、その(くに)(かみ)のおきてをその人々(ひとびと)(おし)えさせなさい」。
28そこでサマリヤから(うつ)された祭司(さいし)のひとりが()てベテルに()み、どのように(しゅ)(うやま)うべきかを(かれ)らに(おし)えた。 29しかしその(たみ)はおのおの自分(じぶん)神々(かみがみ)(つく)って、それをサマリヤびとが(つく)った(たか)(ところ)(いえ)安置(あんち)した。(たみ)(みな)()んでいる町々(まちまち)でそのようにおこなった。 30すなわちバビロンの人々(ひとびと)はスコテ・ベノテを(つく)り、クタの人々(ひとびと)はネルガルを(つく)り、ハマテの人々(ひとびと)はアシマを(つく)り、 31アワの人々(ひとびと)はニブハズとタルタクを(つく)り、セパルワイムびとはその()()()いて、セパルワイムの(かみ)アデランメレクおよびアナンメレクにささげた。 32(かれ)はまた(しゅ)(うやま)い、自分(じぶん)たちのうちから一般(いっぱん)(たみ)()てて(たか)(ところ)祭司(さいし)としたので、その人々(ひとびと)(たか)(ところ)(いえ)(つと)めをした。 33このように(かれ)らは(しゅ)(うやま)ったが、また(かれ)らが()てきた国々(くにぐに)のならわしにしたがって、自分(じぶん)たちの神々(かみがみ)にも(つか)えた。 34今日(こんにち)(いた)るまで(かれ)らは(さき)のならわしにしたがっておこなっている。
(かれ)らは(しゅ)(うやま)わず、また(しゅ)がイスラエルと()づけられたヤコブの子孫(しそん)(めい)じられた(さだ)めにも、おきてにも、律法(りっぽう)にも、(いまし)めにも(したが)わない。 35(しゅ)はかつて(かれ)らと契約(けいやく)(むす)び、(かれ)らに(めい)じて()われた、「あなたがたは()神々(かみがみ)(うやま)ってはならない。また(かれ)らを(おが)み、(かれ)らに(つか)え、(かれ)らに犠牲(ぎせい)をささげてはならない。 36ただ(おお)きな(ちから)()べた(うで)とをもって、あなたがたをエジプトの()から(みちび)(のぼ)った(しゅ)をのみ(うやま)い、これを(おが)み、これに犠牲(ぎせい)をささげなければならない。 37またあなたがたのために()きしるされた(さだ)めと、おきてと、律法(りっぽう)と、(いまし)めとを、(つつし)んで(つね)(まも)らなければならない。()神々(かみがみ)(うやま)ってはならない。 38わたしがあなたがたと(むす)んだ契約(けいやく)(わす)れてはならない。また()神々(かみがみ)(うやま)ってはならない。 39ただあなたがたの(かみ)(しゅ)(うやま)わなければならない。(しゅ)はあなたがたをそのすべての(てき)()から(すく)()されるであろう」。 40しかし(かれ)らは()きいれず、かえって(さき)のならわしにしたがっておこなった。
41このように、これらの(たみ)(しゅ)(うやま)い、またその(きざ)んだ(ぞう)にも(つか)えたが、その()たちも、(まご)たちも同様(どうよう)であって、(かれ)らはその先祖(せんぞ)がおこなったように今日(こんにち)までおこなっている。

第十八章

1イスラエルの(おう)エラの()ホセアの(だい)(ねん)にユダの(おう)アハズの()ヒゼキヤが(おう)となった。 2(かれ)(おう)となった(とき)二十五(さい)で、エルサレムで二十九(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。その(はは)はゼカリヤの(むすめ)で、()をアビといった。 3ヒゼキヤはすべて先祖(せんぞ)ダビデがおこなったように(しゅ)()にかなう(こと)(おこな)い、 4(たか)(ところ)(のぞ)き、石柱(せきちゅう)をこわし、アシラ(ぞう)()(たお)し、モーセの(つく)った青銅(せいどう)のへびを()(くだ)いた。イスラエルの人々(ひとびと)はこの(とき)までそのへびに()かって(こう)をたいていたからである。人々(ひとびと)はこれをネホシタンと()んだ。 5ヒゼキヤはイスラエルの(かみ)(しゅ)信頼(しんらい)した。そのために(かれ)のあとにも(かれ)(さき)にも、ユダのすべての(おう)のうちに(かれ)(およ)(もの)はなかった。 6すなわち(かれ)(かた)(しゅ)(したが)って(はな)れることなく、(しゅ)がモーセに(めい)じられた命令(めいれい)(まも)った。 7(しゅ)(かれ)(とも)におられたので、すべて(かれ)()(たたか)うところで(こう)をあらわした。(かれ)はアッスリヤの(おう)にそむいて、(かれ)(つか)えなかった。 8(かれ)はペリシテびとを()(はい)って、ガザとその領域(りょういき)にまで(たっ)し、見張(みはり)(だい)から堅固(けんご)(まち)にまで(およ)んだ。
9ヒゼキヤ(おう)(だい)(ねん)すなわちイスラエルの(おう)エラの()ホセアの(だい)(ねん)に、アッスリヤの(おう)シャルマネセルはサマリヤに()(のぼ)って、これを(かこ)んだが、 10(ねん)(のち)ついにこれを()った。サマリヤが()られたのはヒゼキヤの(だい)(ねん)で、それはイスラエルの(おう)ホセアの(だい)(ねん)であった。 11アッスリヤの(おう)はイスラエルの人々(ひとびと)をアッスリヤに(とら)えていって、ハラと、ゴザンの(かわ)ハボルのほとりと、メデアの町々(まちまち)()いた。 12これは(かれ)らがその(かみ)(しゅ)言葉(ことば)にしたがわず、その契約(けいやく)(やぶ)り、(しゅ)のしもべモーセの(めい)じたすべての(こと)(みみ)(かたむ)けず、また(おこな)わなかったからである。
13ヒゼキヤ(おう)(だい)十四(ねん)にアッスリヤの(おう)セナケリブが()(のぼ)ってユダのすべての堅固(けんご)町々(まちまち)()ったので、 14ユダの(おう)ヒゼキヤは(ひと)をラキシにつかわしてアッスリヤの(おう)()った、「わたしは(つみ)(おか)しました。どうぞ()()げてください。わたしに()せられることはなんでもいたします」。アッスリヤの(おう)(ぎん)三百タラントと(きん)三十タラントをユダの(おう)ヒゼキヤに()した。 15ヒゼキヤは(しゅ)(みや)(おう)(いえ)(くら)とにある(ぎん)をことごとく(かれ)(あた)えた。 16この(とき)ユダの(おう)ヒゼキヤはまた(しゅ)神殿(しんでん)()および(はしら)から自分(じぶん)()せた(きん)をはぎ()って、アッスリヤの(おう)(あた)えた。 17アッスリヤの(おう)はまたタルタン、ラブサリスおよびラブシャケを、ラキシから大軍(たいぐん)(ひき)いてエルサレムにいるヒゼキヤ(おう)のもとにつかわした。(かれ)らは(のぼ)ってエルサレムに()た。(かれ)らはエルサレムに()くと、(ぬの)さらし()()大路(おおじ)沿()っている(うえ)(いけ)水道(すいどう)のかたわらへ()って、そこに()った。 18そして(かれ)らが(おう)()んだので、ヒルキヤの()である宮内卿(くないきょう)エリアキム、書記官(しょきかん)セブナ、およびアサフの()である史官(しかん)ヨアが(かれ)らのところに()てきた。
19ラブシャケは(かれ)らに()った、「ヒゼキヤに()いなさい、『大王(だいおう)、アッスリヤの(おう)はこう(おお)せられる。あなたが(たの)みとする(もの)(なに)か。 20口先(くちさき)だけの言葉(ことば)戦争(せんそう)をする計略(けいりゃく)(ちから)だと(かんが)えるのか。あなたは(いま)だれにたよって、わたしにそむいたのか。 21(いま)あなたは、あの()れかけている(あし)のつえ、エジプトを(たの)みとしているが、それは(ひと)がよりかかる(とき)、その(ひと)()()(とお)すであろう。エジプトの(おう)パロはすべて()(たの)(もの)にそのようにする。 22しかしあなたがもし「われわれは、われわれの(かみ)(しゅ)(たの)む」とわたしに()うのであれば、その(かみ)はヒゼキヤがユダとエルサレムに()げて、「あなたがたはエルサレムで、この祭壇(さいだん)(まえ)礼拝(れいはい)しなければならない」と()って、その(たか)(ところ)祭壇(さいだん)とを(のぞ)いた(もの)ではないか。 23さあ、わたしの主君(しゅくん)アッスリヤの(おう)とかけをせよ。もしあなたの(ほう)()(ひと)があるならば、わたしは(うま)二千(とう)(あた)えよう。 24あなたはエジプトを(たの)み、戦車(せんしゃ)騎兵(きへい)()(もと)めているが、わたしの主君(しゅくん)家来(けらい)のうちの(もっと)(ちい)さい一隊長(たいちょう)でさえ、どうして撃退(げきたい)することができようか。 25わたしがこの(ところ)(ほろ)ぼすために(のぼ)ってきたのは、(しゅ)(ゆる)しなしにしたことであろうか。(しゅ)がわたしにこの()()(のぼ)ってこれを(ほろ)ぼせと()われたのだ』」。
26その(とき)ヒルキヤの()エリアキムおよびセブナとヨアはラブシャケに()った、「どうぞ、アラム()でしもべどもに(はな)してください。わたしたちは、それがわかるからです。城壁(じょうへき)(うえ)にいる(たみ)()いているところで、わたしたちにユダヤの言葉(ことば)(はな)さないでください」。 27しかしラブシャケは(かれ)らに()った、「わたしの主君(しゅくん)は、あなたの主君(しゅくん)とあなたにだけでなく、城壁(じょうへき)(うえ)()している人々(ひとびと)にも、この言葉(ことば)()げるためにわたしをつかわしたのではないか。(かれ)らも、あなたがたと(とも)自分(じぶん)糞尿(ふんにょう)()()みするに(いた)るであろう」。
28そしてラブシャケは()ちあがり、ユダヤの言葉(ことば)大声(おおごえ)()ばわって()った。「大王(だいおう)、アッスリヤの(おう)言葉(ことば)()け。 29(おう)はこう(おお)せられる、『あなたがたはヒゼキヤに(あざむ)かれてはならない。(かれ)はあなたがたをわたしの()から(すく)いだすことはできない。 30ヒゼキヤが「(しゅ)(かなら)ずわれわれを(すく)()される。この(まち)はアッスリヤ(おう)()(おちい)ることはない」と()っても、あなたがたは(しゅ)(たの)みとしてはならない』。 31あなたがたはヒゼキヤの言葉(ことば)()いてはならない。アッスリヤの(おう)はこう(おお)せられる、『あなたがたはわたしと和解(わかい)して、わたしに降服(こうふく)せよ。そうすればあなたがたはおのおの自分(じぶん)のぶどうの()()べ、おのおの自分(じぶん)のいちじくの()()べ、おのおの自分(じぶん)井戸(いど)(みず)()むことができるであろう。 32やがてわたしが()て、あなたがたを一つの(くに)()れて()く。それはあなたがたの(くに)のように穀物(こくもつ)とぶどう(しゅ)のある()、パンとぶどう(はたけ)のある()、オリブの()(みつ)のある()である。あなたがたは()きながらえることができ、()ぬことはない。ヒゼキヤが「(しゅ)はわれわれを(すく)われる」と()って、あなたがたを(まど)わしても(かれ)()いてはならない。 33(しょ)国民(こくみん)神々(かみがみ)のうち、どの(かみ)がその(くに)をアッスリヤの(おう)()から(すく)ったか。 34ハマテやアルパデの神々(かみがみ)はどこにいるのか。セパルワイム、ヘナおよびイワの神々(かみがみ)はどこにいるのか。(かれ)らはサマリヤをわたしの()から(すく)()したか。 35国々(くにぐに)のすべての神々(かみがみ)のうち、その(くに)をわたしの()から(すく)()した(もの)があったか。(しゅ)がどうしてエルサレムをわたしの()から(すく)()すことができよう』」。
36しかし(たみ)(もく)して、ひと(こと)(かれ)(こた)えなかった。(おう)(めい)じて「(かれ)(こた)えてはならない」と()っておいたからである。 37こうしてヒルキヤの()である宮内卿(くないきょう)エリアキム、書記官(しょきかん)セブナ、およびアサフの()である史官(しかん)ヨアは(ころも)()き、ヒゼキヤのもとに()て、ラブシャケの言葉(ことば)(かれ)()げた。

第十九章

1ヒゼキヤ(おう)はこれを()いて、(ころも)()き、荒布(あらぬの)()にまとって(しゅ)(みや)(はい)り、 2宮内卿(くないきょう)エリアキムと書記官(しょきかん)セブナおよび祭司(さいし)のうちの年長者(ねんちょうしゃ)たちに荒布(あらぬの)をまとわせて、アモツの()預言者(よげんしゃ)イザヤのもとにつかわした。 3(かれ)らはイザヤに()った、「ヒゼキヤはこう(もう)されます、『きょうは(なや)みと、(こら)しめと、はずかしめの()です。胎児(たいじ)がまさに(うま)れようとして、これを()()(ちから)がないのです。 4あなたの(かみ)(しゅ)はラブシャケがその主君(しゅくん)アッスリヤの(おう)につかわされて、()ける(かみ)をそしったもろもろの言葉(ことば)()かれたかもしれません。そしてあなたの(かみ)(しゅ)はその()いた言葉(ことば)をとがめられるかもしれません。それゆえ、この(のこ)っている(もの)のために(いのり)をささげてください』」。 5ヒゼキヤ(おう)家来(けらい)たちがイザヤのもとに()たとき、 6イザヤは(かれ)らに()った、「あなたがたの主君(しゅくん)にこう()いなさい、『(しゅ)はこう(おお)せられる、アッスリヤの(おう)家来(けらい)たちが、わたしをそしった言葉(ことば)()いて(おそ)れるには(およ)ばない。 7()よ、わたしは一つの(れい)(かれ)らのうちに(おく)って、一つのうわさを()かせ、(かれ)自分(じぶん)(くに)(かえ)らせて、自分(じぶん)(くに)でつるぎに(たお)れさせるであろう』」。
8ラブシャケは()(かえ)して、アッスリヤの(おう)がリブナを()めているところへ()った。(かれ)(おう)のラキシを()ったことを()いたからである。 9この(とき)アッスリヤの(おう)はエチオピヤの(おう)テルハカについて、「(かれ)はあなたと(たたか)うために()てきた」と人々(ひとびと)がいうのを()いたので、(ふたた)使者(ししゃ)をヒゼキヤにつかわして()った、 10「ユダの(おう)ヒゼキヤにこう()いなさい、『あなたは、エルサレムはアッスリヤの(おう)()(おちい)ることはない、と()うあなたの信頼(しんらい)する(かみ)(あざむ)かれてはならない。 11あなたはアッスリヤの(おう)たちがもろもろの国々(くにぐに)にした(こと)(かれ)らを(まった)(ほろ)ぼした(こと)()いている。どうしてあなたが(すく)われることができようか。 12わたしの(ちち)たちはゴザン、ハラン、レゼフ、およびテラサルにいたエデンの人々(ひとびと)(ほろ)ぼしたが、その国々(くにぐに)神々(かみがみ)(かれ)らを(すく)ったか。 13ハマテの(おう)、アルパデの(おう)、セパルワイムの(まち)(おう)、ヘナの(おう)およびイワの(おう)はどこにいるのか』」。
14ヒゼキヤは使者(ししゃ)()から手紙(てがみ)()()ってそれを()み、(しゅ)(みや)にのぼっていって、(しゅ)(まえ)にそれをひろげ、 15そしてヒゼキヤは(しゅ)(まえ)(いの)って()った、「ケルビムの(うえ)()しておられるイスラエルの(かみ)(しゅ)よ、()のすべての(くに)のうちで、ただあなただけが(かみ)でいらせられます。あなたは(てん)()(つく)られました。 16(しゅ)よ、(みみ)(かたむ)けて()いてください。(しゅ)よ、()(ひら)いてごらんください。セナケリブが()ける(かみ)をそしるために()(おく)った言葉(ことば)をお()きください。 17(しゅ)よ、まことにアッスリヤの(おう)たちはもろもろの(たみ)とその国々(くにぐに)(ほろ)ぼし、 18またその神々(かみがみ)()()()れました。それらは(かみ)ではなく、(ひと)()(つく)ったもので、()(いし)だから(ほろ)ぼされたのです。 19われわれの(かみ)(しゅ)よ、どうぞ、(いま)われわれを(かれ)()から(すく)()してください。そうすれば()国々(くにぐに)(みな)(しゅ)であるあなただけが(かみ)でいらせられることを()るようになるでしょう」。 20その(とき)アモツの()イザヤは(ひと)をつかわしてヒゼキヤに()った、「イスラエルの(かみ)(しゅ)はこう(おお)せられる、『アッスリヤの(おう)セナケリブについてあなたがわたしに(いの)ったことは()いた』。 21(しゅ)(かれ)について(かた)られた言葉(ことば)はこうである、
処女(しょじょ)であるシオンの(むすめ)
あなたを(あなど)り、あなたをあざける。
エルサレムの(むすめ)
あなたのうしろで(あたま)()る。
22あなたはだれをそしり、だれをののしったのか。
あなたはだれにむかって(こえ)をあげ、
()(たか)くあげたのか。
イスラエルの聖者(せいじゃ)にむかってしたのだ。
23あなたは使者(ししゃ)をもって(しゅ)をそしって()った、
「わたしは(おお)くの戦車(せんしゃ)をひきいて山々(やまやま)(いただき)にのぼり、
レバノンの(おく)()き、
たけの(たか)香柏(こうはく)(もっと)()いいとすぎを()(たお)し、
またその(はて)野営(やえい)()()き、
その密林(みつりん)にはいった。
24わたしは井戸(いど)()って外国(がいこく)(みず)()んだ。
わたしは(あし)(うら)で、
エジプトのすべての(かわ)()みからした」。
25あなたは()かなかったか、
(むかし)わたしがこれを(さだ)めたことを。
堅固(けんご)町々(まちまち)をあなたが荒塚(あらつか)とすることも、
いにしえの()からわたしが計画(けいかく)して
(いま)これをおこなうのだ。
26そのうちに()(たみ)(ちから)(よわ)くおののき、(はじ)をいだいて、
()(くさ)のように、青菜(あおな)のようになり、
(そだ)たないで()れる屋根(やね)(くさ)のようになった。
27わたしはあなたのすわること、出入(でい)りすること、
わたしにむかって(いか)(さけ)んだことをも()っている。
28あなたがわたしにむかって(いか)(さけ)んだことと、
あなたの高慢(こうまん)がわたしの(みみ)にはいったため、
わたしはあなたの(はな)()をつけ、
あなたの(くち)にくつわをはめて、
あなたをもときた(みち)()きもどすであろう』。
29『あなたに(あた)えるしるしはこれである。すなわち、ことしは()()からはえたものを()べ、二(ねん)()にはまたその()()からはえたものを()べ、三(ねん)()には(たね)をまき、()()れ、ぶどう(はたけ)(つく)ってその()()べるであろう。 30ユダの(いえ)ののがれて(のこ)(もの)(ふたた)(した)()()り、(うえ)()(むす)ぶであろう。 31すなわち(のこ)(もの)がエルサレムから()てき、のがれた(もの)がシオンの(やま)から()()るであろう。(しゅ)熱心(ねっしん)がこれをされるであろう』。
32それゆえ、(しゅ)はアッスリヤの(おう)について、こう(おお)せられる、『(かれ)はこの(まち)にこない、またここに()(はな)たない、(たて)をもってその(まえ)()ることなく、また(るい)(きず)いてこれを()めることはない。 33(かれ)()(みち)(かえ)って、この(まち)に、はいることはない。(しゅ)がこれを()う。 34わたしは自分(じぶん)のため、またわたしのしもべダビデのためにこの(まち)(まも)って、これを(すく)うであろう』」。
35その(よる)(しゅ)使(つかい)()て、アッスリヤの陣営(じんえい)で十八万五千(にん)()(ころ)した。人々(ひとびと)(あさ)(はや)()きて()ると、(かれ)らは(みな)死体(したい)となっていた。 36アッスリヤの(おう)セナケリブは()()り、(かえ)って()ってニネベにいたが、 37その(かみ)ニスロクの神殿(しんでん)礼拝(れいはい)していた(とき)、その()アデランメレクとシャレゼルが、つるぎをもって(かれ)(ころ)し、ともにアララテの()()げて()った。そこでその()エサルハドンが(かわ)って(おう)となった。

第二十章

1そのころ、ヒゼキヤは病気(びょうき)になって()にかかっていた。アモツの()預言者(よげんしゃ)イザヤは(かれ)のところにきて()った、「(しゅ)はこう(おお)せられます、『(いえ)(ひと)遺言(ゆいごん)をなさい。あなたは()にます。()きながらえることはできません』」。 2そこでヒゼキヤは(かお)(かべ)()けて(しゅ)(いの)って()った、 3「ああ(しゅ)よ、わたしが真実(しんじつ)真心(まごころ)をもってあなたの(まえ)(あゆ)み、あなたの()にかなうことをおこなったのをどうぞ(おも)(おこ)してください」。そしてヒゼキヤは(はげ)しく()いた。 4イザヤがまだ中庭(なかにわ)()ないうちに(しゅ)言葉(ことば)(かれ)(のぞ)んだ、 5()(かえ)して、わたしの(たみ)(きみ)ヒゼキヤに()いなさい、『あなたの(ちち)ダビデの(かみ)(しゅ)はこう(おお)せられる、わたしはあなたの(いのり)()き、あなたの(なみだ)()た。()よ、わたしはあなたをいやす。三()()にはあなたは(しゅ)(みや)(のぼ)るであろう。 6かつ、わたしはあなたのよわいを十五(ねん)()す。わたしはあなたと、この(まち)とをアッスリヤの(おう)()から(すく)い、わたしの()のため、またわたしのしもべダビデのためにこの(まち)(まも)るであろう』」。 7そしてイザヤは()った、「()しいちじくのひとかたまりを()ってきて、それを腫物(はれもの)につけさせなさい。そうすれば(なお)るでしょう」。
8ヒゼキヤはイザヤに()った、「(しゅ)がわたしをいやされる(こと)と、三()()にわたしが(しゅ)(いえ)(のぼ)ることについて、どんなしるしがありましょうか」。 9イザヤは()った、「(しゅ)約束(やくそく)されたことを(おこな)われることについては、(しゅ)からこのしるしを()られるでしょう。すなわち日影(ひかげ)が十()(すす)むか、あるいは十()退(しりぞ)くかです」。 10ヒゼキヤは(こた)えた、「日影(ひかげ)が十()(すす)むことはたやすい(こと)です。むしろ日影(ひかげ)を十()退(しりぞ)かせてください」。 11そこで預言者(よげんしゃ)イザヤが(しゅ)()ばわると、アハズの()(とき)計の(うえ)(すす)んだ日影(ひかげ)を、十()退(しりぞ)かせられた。
12そのころ、バラダンの()であるバビロンの(おう)メロダクバラダンは、手紙(てがみ)(おく)(もの)()たせて使節(しせつ)をヒゼキヤにつかわした。これはヒゼキヤが()んでいることを()いたからである。 13ヒゼキヤは(かれ)らを(よろこ)(むか)えて、宝物(ほうもつ)(くら)金銀(きんぎん)香料(こうりょう)貴重(きちょう)(あぶら)および武器(ぶき)(くら)、ならびにその倉庫(そうこ)にあるすべての(もの)(かれ)らに()せた。(いえ)にある(もの)も、(くに)にある(もの)も、ヒゼキヤが(かれ)らに()せない(もの)は一つもなかった。 14その(とき)預言者(よげんしゃ)イザヤはヒゼキヤ(おう)のもとにきて()った、「あの人々(ひとびと)(なに)()いましたか。どこからきたのですか」。ヒゼキヤは()った、「(かれ)らは(とお)(くに)から、バビロンからきたのです」。 15イザヤは()った、「(かれ)らはあなたの(いえ)(なに)()ましたか」。ヒゼキヤは(こた)えて()った、「わたしの(いえ)にある(もの)(みな)()ました。わたしの倉庫(そうこ)のうちには、わたしが(かれ)らに()せない(もの)は一つもありません」。
16そこでイザヤはヒゼキヤに()った、「(しゅ)言葉(ことば)()きなさい、 17(しゅ)()われる、()よ、すべてあなたの(いえ)にある(もの)、および、あなたの先祖(せんぞ)たちが今日(こんにち)までに()みたくわえた(もの)の、バビロンに(はこ)()られる()()る。(なに)(のこ)るものはないであろう。 18また、あなたの()から()るあなたの()たちも()()られ、バビロンの(おう)宮殿(きゅうでん)宦官(かんがん)となるであろう』」。 19ヒゼキヤはイザヤに()った、「あなたが()われた(しゅ)言葉(ことば)結構(けっこう)です」。(かれ)は「せめて自分(じぶん)()にあるあいだ、平和(へいわ)安全(あんぜん)があれば()いことではなかろうか」と(おも)ったからである。
20ヒゼキヤのその()事績(じせき)とその武勇(ぶゆう)および、(かれ)貯水池(ちょすいち)水道(すいどう)(つく)って、(まち)(みず)()いた(こと)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 21ヒゼキヤはその先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)って、その()マナセが(かわ)って(おう)となった。

第二十一章

1マナセは十二(さい)(おう)となり、五十五(ねん)(あいだ)、エルサレムで()(おさ)めた。(はは)()はヘフジバといった。 2マナセは(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)(まえ)から()(はら)われた国々(くにぐに)(たみ)(にく)むべきおこないにならって、(しゅ)()(まえ)(あく)をおこなった。 3(かれ)(ちち)ヒゼキヤがこわした(たか)(ところ)()(なお)し、またイスラエルの(おう)アハブがしたようにバアルのために祭壇(さいだん)(きず)き、アシラ(ぞう)(つく)り、かつ(てん)万象(ばんしょう)(おが)んで、これに(つか)えた。 4また(しゅ)(みや)のうちに数個(すうこ)祭壇(さいだん)(きず)いた。これは(しゅ)が「わたしの()をエルサレムに()こう」と()われたその(みや)である。 5(かれ)はまた(しゅ)(みや)の二つの(にわ)(てん)万象(ばんしょう)のために祭壇(さいだん)(きず)いた。 6またその()()()いてささげ(もの)とし、(うらな)いをし、魔術(まじゅつ)(おこな)い、口寄(くちよ)せと魔法使(まほうつかい)(もち)い、(しゅ)()(まえ)(おお)くの(あく)()って、(しゅ)(いか)りを()(おこ)した。 7(かれ)はまたアシラの彫像(ちょうぞう)(つく)って(しゅ)(みや)()いた。(しゅ)はこの(みや)についてダビデとその()ソロモンに()われたことがある、「わたしはこの(みや)と、わたしがイスラエルのすべての部族(ぶぞく)のうちから(えら)んだエルサレムとに、わたしの()永遠(えいえん)()く。 8もし、(かれ)らがわたしが(めい)じたすべての(こと)、およびわたしのしもべモーセが(めい)じたすべての律法(りっぽう)(まも)(おこな)うならば、イスラエルの(あし)を、わたしが(かれ)らの先祖(せんぞ)たちに(あた)えた()から、(かさ)ねて(まよ)()させないであろう」。 9しかし(かれ)らは()きいれなかった。マナセが人々(ひとびと)をいざなって(あく)(おこな)ったことは、(しゅ)がイスラエルの人々(ひとびと)(まえ)(ほろ)ぼされた国々(くにぐに)(たみ)よりもはなはだしかった。
10そこで(しゅ)はそのしもべである預言者(よげんしゃ)たちによって()われた、 11「ユダの(おう)マナセがこれらの(にく)むべき(こと)(おこな)い、(かれ)(さき)にあったアモリびとの()ったすべての(こと)よりも(わる)(こと)(おこな)い、またその偶像(ぐうぞう)をもってユダに(つみ)(おか)させたので、 12イスラエルの(かみ)(しゅ)はこう(おお)せられる、()よ、わたしはエルサレムとユダに(わざわい)をくだそうとしている。これを()(もの)は、その(みみ)が二つながら()るであろう。 13わたしはサマリヤをはかった(はか)りなわと、アハブの(いえ)(もち)いた()()りをエルサレムにほどこし、(ひと)(さら)をぬぐい、これをぬぐって()せるように、エルサレムをぬぐい()る。 14わたしは、わたしの()(ぎょう)(たみ)(のこ)りを()て、(かれ)らを(てき)()(わた)す。(かれ)らはもろもろの(てき)のえじきとなり、略奪(りゃくだつ)にあうであろう。 15これは(かれ)らの先祖(せんぞ)たちがエジプトを()()から今日(こんにち)(いた)るまで、(かれ)らがわたしの()(まえ)(あく)()って、わたしを(いか)らせたためである」。
16マナセはまた(しゅ)()(まえ)(あく)()って、ユダに(つみ)(おか)させたその(つみ)のほかに、(つみ)なき(もの)()(おお)(なが)して、エルサレムのこの(はて)から、かの(はて)にまで()たした。
17マナセのその()事績(じせき)と、(かれ)がおこなったすべての(こと)およびその(おか)した(つみ)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 18マナセは先祖(せんぞ)たちと(とも)(ねむ)って、その(いえ)(その)すなわちウザの(その)(ほうむ)られ、その()アモンが(かわ)って(おう)となった。
19アモンは(おう)となった(とき)二十二(さい)であって、エルサレムで二(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。(はは)はヨテバのハルツの(むすめ)で、()をメシュレメテといった。 20アモンはその(ちち)マナセのおこなったように、(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)った。 21すなわち(かれ)はすべてその(ちち)(あゆ)んだ(みち)(あゆ)み、(ちち)(つか)えた偶像(ぐうぞう)(つか)えて、これを(おが)み、 22先祖(せんぞ)たちの(かみ)(しゅ)()てて、(しゅ)(みち)(あゆ)まなかった。 23アモンの家来(けらい)たちはついに(かれ)(てき)して徒党(ととう)(むす)び、(おう)をその(いえ)(ころ)したが、 24(くに)(たみ)は、アモン(おう)(てき)して徒党(ととう)(むす)んだ(もの)をことごとく()(ころ)した。そして(くに)(たみ)はアモンの()ヨシヤを(おう)としてアモンに(かわ)らせた。 25アモンのその()事績(じせき)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 26アモンはウザの(その)にある(はか)(ほうむ)られ、その()ヨシヤが(かわ)って(おう)となった。

第二十二章

1ヨシヤは八(さい)(おう)となり、エルサレムで三十一(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。(はは)はボヅカテのアダヤの(むすめ)で、()をエデダといった。 2ヨシヤは(しゅ)()にかなう(こと)(おこな)い、先祖(せんぞ)ダビデの(みち)(あゆ)んで(みぎ)にも(ひだり)にも(まが)らなかった。
3ヨシヤ(おう)(だい)十八(ねん)(おう)はメシュラムの()アザリヤの()である書記官(しょきかん)シャパンを(しゅ)(みや)につかわして()った、 4(だい)祭司(さいし)ヒルキヤのもとへのぼって()って、(しゅ)(みや)にはいってきた(ぎん)、すなわち(もん)(まも)(もの)(たみ)から(あつ)めたものの総額(そうがく)(かれ)(かぞ)えさせ、 5それを工事(こうじ)をつかさどる(しゅ)(みや)監督(かんとく)(もの)()(わた)させ、(かれ)らから(しゅ)(みや)工事(こうじ)をする(もの)にそれを(わた)して、(みや)(やぶ)れを(つくろ)わせなさい。 6すなわち木工(もっこう)建築(けんちく)()石工(いしく)にそれを(わた)し、また(みや)(つくろ)材木(ざいもく)()(いし)()わせなさい。 7ただし(かれ)らは正直(しょうじき)(こと)(おこな)うから、(かれ)らに(わた)した(ぎん)については(かれ)らと計算(けいさん)するに(およ)ばない」。
8その(とき)(だい)祭司(さいし)ヒルキヤは書記官(しょきかん)シャパンに()った、「わたしは(しゅ)(みや)律法(りっぽう)(しょ)()つけました」。そしてヒルキヤがその書物(しょもつ)をシャパンに(わた)したので、(かれ)はそれを()んだ。 9書記官(しょきかん)シャパンは(おう)のもとへ()き、(おう)報告(ほうこく)して()った、「しもべどもは(みや)にあった(ぎん)(みな)()して、それを工事(こうじ)をつかさどる(しゅ)(みや)監督(かんとく)(もの)()(わた)しました」。 10書記官(しょきかん)シャパンはまた(おう)()げて「祭司(さいし)ヒルキヤはわたしに一つの書物(しょもつ)(わた)しました」と()い、それを(おう)(まえ)()んだ。
11(おう)はその律法(りっぽう)(しょ)言葉(ことば)()くと、その(ころも)()いた。 12そして(おう)祭司(さいし)ヒルキヤと、シャパンの()アヒカムと、ミカヤの()アクボルと、書記官(しょきかん)シャパンと、(おう)大臣(だいじん)アサヤとに(めい)じて()った、 13「あなたがたは()って、この()つかった書物(しょもつ)言葉(ことば)について、わたしのため、(たみ)のため、またユダ全国(ぜんこく)のために(しゅ)(たず)ねなさい。われわれの先祖(せんぞ)たちがこの書物(しょもつ)言葉(ことば)()(したが)わず、すべてわれわれについてしるされている(こと)(おこな)わなかったために、(しゅ)はわれわれにむかって、(おお)いなる(いか)りを(はっ)しておられるからです」。
14そこで祭司(さいし)ヒルキヤ、アヒカム、アクボル、シャパンおよびアサヤはシャルムの(つま)である(おんな)預言者(よげんしゃ)ホルダのもとへ()った。シャルムはハルハスの()であるテクワの()で、衣装(いしょう)べやを(まも)(もの)であった。その(とき)ホルダはエルサレムの下町(したまち)()んでいた。(かれ)らがホルダに()げたので、 15ホルダは(かれ)らに()った、「イスラエルの(かみ)(しゅ)はこう(おお)せられます、『あなたがたをわたしにつかわした(ひと)()いなさい。 16(しゅ)はこう()われます、()よ、わたしはユダの(おう)()んだあの書物(しょもつ)のすべての言葉(ことば)にしたがって、(わざわい)をこの(ところ)と、ここに()んでいる(たみ)(くだ)そうとしている。 17(かれ)らがわたしを()てて()神々(かみがみ)(こう)をたき、自分(じぶん)たちの()(つく)ったもろもろの(もの)をもって、わたしを(いか)らせたからである。それゆえ、わたしはこの(ところ)にむかって(いか)りの()(はっ)する。これは()えることがないであろう』。 18ただし(しゅ)(たず)ねるために、あなたがたをつかわしたユダの(おう)にはこう()いなさい、『あなたが()いた言葉(ことば)についてイスラエルの(かみ)(しゅ)はこう(おお)せられます、 19あなたは、わたしがこの(ところ)と、ここに()んでいる(たみ)にむかって、これは()()となり、のろいとなるであろうと()うのを()いた(とき)(こころ)()い、(しゅ)(まえ)にへりくだり、(ころも)()いてわたしの(まえ)()いたゆえ、わたしもまたあなたの()うことを()いたのであると(しゅ)()われる。 20それゆえ、()よ、わたしはあなたを先祖(せんぞ)たちのもとに(あつ)める。あなたは(やす)らかに(はか)(あつ)められ、わたしがこの(ところ)(くだ)すもろもろの(わざわい)()()ることはないであろう』」。(かれ)らはこの言葉(ことば)(おう)()(かえ)った。

第二十三章

1そこで(おう)(ひと)をつかわしてユダとエルサレムの長老(ちょうろう)たちをことごとく(あつ)めた。 2そして(おう)はユダのもろもろの人々(ひとびと)と、エルサレムのすべての住民(じゅうみん)および祭司(さいし)預言者(よげんしゃ)ならびに大小(だいしょう)のすべての(たみ)(したが)えて(しゅ)(みや)にのぼり、(しゅ)(みや)()つかった契約(けいやく)(しょ)言葉(ことば)をことごとく(かれ)らに()()かせた。 3()いで(おう)(はしら)のかたわらに()って、(しゅ)(まえ)契約(けいやく)()て、(しゅ)(したが)って(あゆ)み、(こころ)をつくし精神(せいしん)をつくして、(しゅ)(いまし)めと、あかしと、(さだ)めとを(まも)り、この書物(しょもつ)にしるされているこの契約(けいやく)言葉(ことば)(おこな)うことを(ちか)った。(たみ)(みな)その契約(けいやく)(くわ)わった。
4こうして(おう)(だい)祭司(さいし)ヒルキヤと、それに()祭司(さいし)たちおよび(もん)(まも)(もの)どもに(めい)じて、(しゅ)神殿(しんでん)からバアルとアシラと(てん)万象(ばんしょう)とのために(つく)ったもろもろの(うつわ)()()させ、エルサレムの(そと)のキデロンの()でそれを()き、その(はい)をベテルに()って()かせた。 5また、ユダの町々(まちまち)とエルサレムの周囲(しゅうい)にある(たか)(ところ)(こう)をたくためにユダの(おう)たちが任命(にんめい)した祭司(さいし)たちを(はい)し、またバアルと()(つき)星宿(せいしゅく)(てん)万象(ばんしょう)とに(こう)をたく(もの)どもをも(はい)した。 6(かれ)はまた(しゅ)(みや)からアシラ(ぞう)()()し、エルサレムの(そと)のキデロン(かわ)()って()って、キデロン(かわ)でそれを()き、それを()(くだ)いて(こな)とし、その(こな)(たみ)(はか)()げすてた。 7また(しゅ)(みや)にあった神殿(しんでん)男娼(だんしょう)(いえ)をこわした。そこは(おんな)たちがアシラ(ぞう)のために()(まく)()(ところ)であった。 8(かれ)はまたユダの町々(まちまち)から祭司(さいし)をことごとく()しよせ、また祭司(さいし)(こう)をたいたゲバからベエルシバまでの(たか)(ところ)(けが)し、また(もん)にある(たか)(ところ)をこわした。これらの(たか)(ところ)(まち)のつかさヨシュアの(もん)入口(いりぐち)にあり、(まち)(もん)にはいる(ひと)(ひだり)にあった。 9(たか)(ところ)祭司(さいし)たちはエルサレムで(しゅ)祭壇(さいだん)にのぼることをしなかったが、その兄弟(きょうだい)たちのうちにあって(たね)()れぬパンを()べた。 10(おう)はまた、だれもそのむすこ(むすめ)()()いて、モレクにささげ(もの)とすることのないように、ベンヒンノムの(たに)にあるトペテを(けが)した。 11またユダの(おう)たちが太陽(たいよう)にささげて(しゅ)(みや)(もん)()いた(うま)を、境内(けいだい)にある侍従(じじゅう)ナタンメレクのへやのかたわらに(うつ)し、太陽(たいよう)(くるま)()()いた。 12また(おう)はユダの(おう)たちがアハズの高殿(たかどの)屋上(おくじょう)(つく)った祭壇(さいだん)と、マナセが(しゅ)(みや)の二つの(にわ)(つく)った祭壇(さいだん)とをこわして、それを()(くだ)き、(くだ)けたものをキデロン(かわ)()げすてた。 13また(おう)はイスラエルの(おう)ソロモンが(むかし)シドンびとの(にく)むべき(もの)アシタロテと、モアブびとの(にく)むべき(もの)ケモシと、アンモンの人々(ひとびと)(にく)むべき(もの)ミルコムのためにエルサレムの(ひがし)滅亡(めつぼう)(やま)(みなみ)(きず)いた(たか)(ところ)(けが)した。 14またもろもろの石柱(せきちゅう)()(くだ)き、アシラ(ぞう)()(たお)し、(ひと)(ほね)をもってその(ところ)()たした。
15また、ベテルにある祭壇(さいだん)と、イスラエルに(つみ)(おか)させたネバテの()ヤラベアムが(つく)った(たか)(ところ)、すなわちその祭壇(さいだん)(たか)(ところ)とを(かれ)はこわし、その(いし)()(くだ)いて(こな)とし、かつアシラ(ぞう)()いた。 16そしてヨシヤは()をめぐらして(やま)(はか)のあるのを()(ひと)をつかわしてその(はか)から(ほね)()らせ、それをその祭壇(さいだん)(うえ)()いて、それを(けが)した。(むかし)(かみ)(ひと)(しゅ)言葉(ことば)としてこの(こと)()ばわり()げたが、そのとおりになった。 17その(とき)ヨシヤは「あそこに()える石碑(せきひ)(なに)か」と(たず)ねた。(まち)人々(ひとびと)(かれ)に「あれはあなたがベテルの祭壇(さいだん)(たい)して(おこな)われたこれらの(こと)を、ユダからきて預言(よげん)した(かみ)(ひと)(はか)です」と()ったので、 18(かれ)()った、「そのままにして()きなさい。だれもその(ほね)(うつ)してはならない」。それでその(ほね)と、サマリヤからきた預言者(よげんしゃ)(ほね)には()をつけなかった。 19またイスラエルの(おう)たちがサマリヤの町々(まちまち)(つく)って、(しゅ)(いか)らせた(たか)(ところ)(いえ)(みな)ヨシヤは()(のぞ)いて、(かれ)がすべてベテルに()ったようにこれに()った。 20(かれ)はまた、そこにあった(たか)(ところ)祭司(さいし)たちを(みな)祭壇(さいだん)(うえ)(ころ)し、(ひと)(ほね)祭壇(さいだん)(うえ)()いた。こうして(かれ)はエルサレムに(かえ)った。
21そして(おう)はすべての(たみ)(めい)じて、「あなたがたはこの契約(けいやく)(しょ)にしるされているように、あなたがたの(かみ)(しゅ)過越(すぎこし)(まつり)()(おこな)いなさい」と()った。 22さばきづかさがイスラエルをさばいた()からこのかた、またイスラエルの(おう)たちとユダの(おう)たちの()にも、このような過越(すぎこし)(まつり)()(おこな)ったことはなかったが、 23ヨシヤ(おう)(だい)十八(ねん)に、エルサレムでこの過越(すぎこし)(まつり)(しゅ)()(おこな)ったのである。
24ヨシヤはまた祭司(さいし)ヒルキヤが(しゅ)(みや)()つけた書物(しょもつ)にしるされている律法(りっぽう)言葉(ことば)確実(かくじつ)(おこな)うために、口寄(くちよ)せと(うらな)()と、テラピムと偶像(ぐうぞう)およびユダの()とエルサレムに()られるもろもろの(にく)むべき(もの)()(のぞ)いた。 25ヨシヤのように(こころ)をつくし、精神(せいしん)をつくし、(ちから)をつくしてモーセのすべての律法(りっぽう)にしたがい、(しゅ)()(たよ)んだ(おう)はヨシヤの(さき)にはなく、またその(のち)にも(かれ)のような(もの)(おこ)らなかった。
26けれども(しゅ)はなおユダにむかって(はっ)せられた(はげ)しい(おお)いなる(いか)りをやめられなかった。これはマナセがもろもろの(はら)だたしい(おこな)いをもって(しゅ)(いか)らせたためである。 27それゆえ(しゅ)()われた、「わたしはイスラエルを(うつ)したように、ユダをもわたしの()(まえ)から(うつ)し、わたしが(えら)んだこのエルサレムの(まち)と、わたしの()をそこに()こうと()ったこの(みや)とを()てるであろう」。
28ヨシヤのその()事績(じせき)と、(かれ)()ったすべての(こと)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 29ヨシヤの()にエジプトの(おう)パロ・ネコが、アッスリヤの(おう)のところへ()こうと、ユフラテ(かわ)をさして(のぼ)ってきたので、ヨシヤ(おう)(かれ)(むか)()とうと()()ったが、パロ・ネコは(かれ)()るや、メギドにおいて(かれ)(ころ)した。 30その家来(けらい)たちは(かれ)死体(したい)(くるま)()せ、メギドからエルサレムに(はこ)んで(かれ)(はか)(ほうむ)った。(くに)(たみ)はヨシヤの()エホアハズを()て、(かれ)(あぶら)(そそ)ぎ、(おう)として(ちち)(かわ)らせた。
31エホアハズは(おう)となった(とき)二十三(さい)で、エルサレムで三か(げつ)(あいだ)()(おさ)めた。(はは)はリブナのエレミヤの(むすめ)で、()をハムタルといった。 32エホアハズは先祖(せんぞ)たちがすべて()ったように(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)ったが、 33パロ・ネコは(かれ)をハマテの()のリブラにつないで()いて、エルサレムで()(おさ)めることができないようにした。また(ぎん)百タラントと(きん)一タラントのみつぎを(くに)()した。 34そしてパロ・ネコはヨシヤの()エリアキムを(ちち)ヨシヤに(かわ)って(おう)とならせ、()をエホヤキムと(あらた)め、エホアハズをエジプトへ()いて()った。エホアハズはエジプトへ()ってそこで()んだ。 35エホヤキムは金銀(きんぎん)をパロに(おく)った。しかし(かれ)はパロの(いのち)(したが)って(かね)(おく)るために(くに)(ぜい)()し、(くに)(たみ)おのおのからその課税(かぜい)にしたがって金銀(きんぎん)をきびしく()()てて、それをパロ・ネコに(おく)った。
36エホヤキムは二十五(さい)(おう)となり、エルサレムで十一(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。(はは)はルマのペダヤの(むすめ)で、()をゼビダといった。 37エホヤキムは先祖(せんぞ)たちがすべて()ったように(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)った。

第二十四章

1エホヤキムの()にバビロンの(おう)ネブカデネザルが(のぼ)ってきたので、エホヤキムは(かれ)隷属(れいぞく)して三(ねん)()たが、ついに(ひるがえ)って(かれ)にそむいた。 2(しゅ)はカルデヤびとの略奪(りゃくだつ)(たい)、スリヤびとの略奪(りゃくだつ)(たい)、モアブびとの略奪(りゃくだつ)(たい)、アンモンびとの略奪(りゃくだつ)(たい)をつかわしてエホヤキムを()められた。すなわちユダを()め、これを(ほろ)ぼすために(かれ)らをつかわされた。(しゅ)がそのしもべである預言者(よげんしゃ)たちによって(かた)られた言葉(ことば)のとおりである。 3これは(まった)(しゅ)(いのち)によってユダに(のぞ)んだもので、ユダを(しゅ)()(まえ)から(はら)(のぞ)くためであった。すなわちマナセがすべておこなったその(つみ)のため、 4また(かれ)(つみ)なき(ひと)()(なが)し、(つみ)なき(ひと)()をエルサレムに()たしたためであって、(しゅ)はその(つみ)をゆるそうとはされなかった。 5エホヤキムのその()事績(じせき)と、(かれ)がおこなったすべての(こと)は、ユダの(おう)歴代志(れきだいし)(しょ)にしるされているではないか。 6エホヤキムは先祖(せんぞ)たちとともに(ねむ)り、その()エホヤキンが(かわ)って(おう)となった。 7エジプトの(おう)(ふたた)びその(くに)から()てこなかった。バビロンの(おう)がエジプトの(かわ)からユフラテ(かわ)まで、すべてエジプトの(おう)(ぞく)するものを()ったからである。
8エホヤキンは(おう)となった(とき)十八(さい)で、エルサレムで三か(げつ)(あいだ)()(おさ)めた。(はは)はエルサレムのエルナタンの(むすめ)で、()をネホシタといった。 9エホヤキンはすべてその(ちち)がおこなったように(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)った。
10そのころ、バビロンの(おう)ネブカデネザルの家来(けらい)たちはエルサレムに()(のぼ)って、(まち)(かこ)んだ。 11その家来(けらい)たちが(まち)(かこ)んでいたとき、バビロンの(おう)ネブカデネザルもまた(まち)()めてきた。 12ユダの(おう)エホヤキンはその(はは)、その家来(けらい)、そのつかさたち、および侍従(じじゅう)たちと(とも)()て、バビロンの(おう)降服(こうふく)したので、バビロンの(おう)(かれ)捕虜(ほりょ)とした。これはネブカデネザルの治世(ちせい)(だい)(ねん)であった。 13(かれ)はまた(しゅ)(みや)のもろもろの宝物(ほうもつ)および(おう)(いえ)宝物(ほうもつ)をことごとく()()し、イスラエルの(おう)ソロモンが(つく)って(しゅ)神殿(しんでん)()いたもろもろの(きん)(うつわ)()りこわした。(しゅ)()われたとおりである。 14(かれ)はまたエルサレムのすべての市民(しみん)、およびすべてのつかさとすべての勇士(ゆうし)、ならびにすべての木工(もっこう)鍛冶(かじ)一万(にん)(とら)えて()った。(のこ)った(もの)(くに)(たみ)(まず)しい(もの)のみであった。 15さらに(かれ)はエホヤキンをバビロンに(とら)えて()き、また(おう)(はは)(おう)(つま)たち、および侍従(じじゅう)(くに)のうちのおもな人々(ひとびと)をも、エルサレムからバビロンへ(とら)えて()った。 16またバビロンの(おう)はすべて勇敢(ゆうかん)(もの)七千(にん)木工(もっこう)鍛冶(かじ)一千(にん)ならびに(つよ)くて()(たたか)(もの)をみな(とら)えてバビロンへ()れて()った。 17そしてバビロンの(おう)はエホヤキンの(ちち)兄弟(きょうだい)マッタニヤを(おう)としてエホヤキンに()え、()をゼデキヤと(あらた)めた。
18ゼデキヤは二十一(さい)(おう)となり、エルサレムで十一(ねん)(あいだ)()(おさ)めた。(はは)はリブナのエレミヤの(むすめ)で、()をハムタルといった。 19ゼデキヤはすべてエホヤキムがおこなったように(しゅ)()(まえ)(あく)(おこな)った。 20エルサレムとユダにこのような(こと)()ったのは(しゅ)(いか)りによるので、(しゅ)はついに(かれ)らをみ(まえ)から(はら)いすてられた。
さてゼデキヤはバビロンの(おう)にそむいた。

第二十五章

1そこでゼデキヤの治世(ちせい)(だい)(ねん)の十(がつ)()に、バビロンの(おう)ネブカデネザルはもろもろの軍勢(ぐんぜい)(ひき)い、エルサレムにきて、これにむかって(じん)()り、周囲(しゅうい)にとりでを(きず)いてこれを()めた。 2こうして(まち)(かこ)まれて、ゼデキヤ(おう)(だい)十一(ねん)にまで(およ)んだが、 3その四(がつ)()になって、(まち)のうちにききんが(はげ)しくなり、その()(たみ)食物(しょくもつ)がなくなった。 4(まち)一角(いっかく)がついに(やぶ)れたので、(おう)はすべての兵士(へいし)とともに、(おう)(その)のかたわらにある二つの城壁(じょうへき)のあいだの(もん)(みち)から(よる)のうちに()()して、カルデヤびとが(まち)(かこ)んでいる(あいだ)に、アラバの(ほう)()()びた。 5しかしカルデヤびとの軍勢(ぐんぜい)(おう)()い、エリコの平地(へいち)(かれ)()いついた。(かれ)軍勢(ぐんぜい)はみな(かれ)(はな)れて()()ったので、 6カルデヤびとは(おう)(とら)え、(かれ)をリブラにいるバビロンの(おう)のもとへ()いていって(かれ)(つみ)(さだ)め、 7ゼデキヤの()たちをゼデキヤの()(まえ)(ころ)し、ゼデキヤの()をえぐり、(あし)かせをかけてバビロンへ()れて()った。
8バビロンの(おう)ネブカデネザルの(だい)十九(ねん)の五(ごがつ)七日(なぬか)に、バビロンの(おう)(しん)侍衛(じえい)(ちょう)ネブザラダンがエルサレムにきて、 9(しゅ)(みや)(おう)(いえ)とエルサレムのすべての(いえ)()いた。すなわち()をもってすべての(おお)きな(いえ)()いた。 10また侍衛(じえい)(ちょう)(とも)にいたカルデヤびとのすべての軍勢(ぐんぜい)はエルサレムの周囲(しゅうい)城壁(じょうへき)破壊(はかい)した。 11そして侍衛(じえい)(ちょう)ネブザラダンは、(まち)(のこ)された(たみ)およびバビロン(おう)降服(こうふく)した(もの)(のこ)りの群衆(ぐんしゅう)(とら)(うつ)した。 12ただし侍衛(じえい)(ちょう)はその()(まず)しい(もの)(のこ)して、ぶどうを(つく)(もの)とし、農夫(のうふ)とした。
13カルデヤびとはまた(しゅ)(みや)青銅(せいどう)(はしら)と、(しゅ)(みや)洗盤(せんばん)(だい)と、青銅(せいどう)(うみ)(くだ)いて、その青銅(せいどう)をバビロンに(はこ)び、 14またつぼと、十能(じゅうのう)と、心切(しんき)りばさみと、(こう)()(さら)およびすべて神殿(しんでん)(つとめ)(もち)いる青銅(せいどう)(うつわ)15また心取(しんと)(ざら)(はち)()()った。侍衛(じえい)(ちょう)はまた(きん)(つく)った(もの)(ぎん)(つく)った(もの)()()った。 16ソロモンが(しゅ)(みや)のために(つく)った二つの(はしら)と、一つの(うみ)洗盤(せんばん)(だい)など、これらのもろもろの(うつわ)青銅(せいどう)(おも)さは(はか)ることができなかった。 17一つの(はしら)(たか)さは十八キュビトで、その(うえ)青銅(せいどう)柱頭(ちゅうとう)があり、柱頭(ちゅうとう)(たか)さは三キュビトで、柱頭(ちゅうとう)周囲(しゅうい)(あみ)細工(さいく)とざくろがあって、みな青銅(せいどう)であった。()(はしら)もその(あみ)細工(さいく)もこれと(おな)じであった。
18侍衛(じえい)(ちょう)祭司(さいし)(ちょう)セラヤと次席(じせき)祭司(さいし)ゼパニヤと三(にん)(もん)(まも)(もの)(とら)え、 19また兵士(へいし)をつかさどるひとりの役人(やくにん)と、(おう)(まえ)にはべる(もの)のうち、(まち)()つかった(もの)(にん)と、その()(たみ)(つの)った軍勢(ぐんぜい)(ちょう)書記官(しょきかん)と、(まち)()つかったその()(たみ)六十(にん)(まち)から(とら)()った。 20侍衛(じえい)(ちょう)ネブザラダンは(かれ)らを(とら)えて、リブラにいるバビロンの(おう)のもとへ()れて()ったので、 21バビロンの(おう)はハマテの()のリブラで(かれ)らを()(ころ)した。このようにしてユダはその()から(とら)(うつ)された。
22さてバビロンの(おう)ネブカデネザルはユダの()(のこ)してとどまらせた(たみ)(うえ)に、シャパンの()アヒカムの()であるゲダリヤを()てて総督(そうとく)とした。 23(とき)軍勢(ぐんぜい)(ちょう)たちおよびその部下(ぶか)人々(ひとびと)は、バビロンの(おう)がゲダリヤを総督(そうとく)としたことを()いて、ミヅパにいるゲダリヤのもとにきた。すなわちネタニヤの()イシマエル、カレヤの()ヨハナン、ネトパびとタンホメテの()セラヤ、マアカびとの()ヤザニヤおよびその部下(ぶか)人々(ひとびと)がゲダリヤのもとにきた。 24ゲダリヤは(かれ)らとその部下(ぶか)人々(ひとびと)(ちか)って()った、「あなたがたはカルデヤびとのしもべとなることを(おそ)れてはならない。この()()んで、バビロンの(おう)(つか)えなさい。そうすればあなたがたは幸福(こうふく)()るでしょう」。 25ところが七(がつ)になって、(おう)血統(けっとう)のエリシャマの()であるネタニヤの()イシマエルは十(にん)(もの)(とも)にきて、ゲダリヤを()(ころ)し、また(かれ)(とも)にミヅパにいたユダヤ(ひと)と、カルデヤびとを(ころ)した。 26そのため、大小(だいしょう)(たみ)および軍勢(ぐんぜい)(ちょう)たちは、みな()ってエジプトへ()った。(かれ)らはカルデヤびとを(おそ)れたからである。
27ユダの(おう)エホヤキンが(とら)(うつ)されて(のち)三十七(ねん)の十二(がつ)二十七(にち)、すなわちバビロンの(おう)エビルメロダクの治世(ちせい)(だい)(ねん)に、(おう)はユダの(おう)エホヤキンを獄屋(ごくや)から()して 28ねんごろに(かれ)(なぐさ)め、その(くらい)(かれ)(とも)にバビロンにいる(おう)たちの(くらい)よりも(たか)くした。 29こうしてエホヤキンはその獄屋(ごくや)(ころも)()ぎ、一生(いっしょう)(あいだ)(つね)(おう)(まえ)食事(しょくじ)した。 30(かれ)一生(いっしょう)(あいだ)、たえず日々(ひび)(ぶん)(おう)から(たま)わって、その食物(しょくもつ)とした。