エステル記

第一章

1アハシュエロスすなわちインドからエチオピヤまで百二十七(しゅう)(おさ)めたアハシュエロスの()2アハシュエロス(おう)首都(しゅと)スサで、その(くに)(くらい)()していたころ、 3その治世(ちせい)(だい)(ねん)に、(かれ)はその大臣(だいじん)および侍臣(じしん)たちのために酒宴(しゅえん)(もう)けた。ペルシャとメデアの将軍(しょうぐん)および貴族(きぞく)ならびに(しょ)(しゅう)大臣(だいじん)たちがその(まえ)にいた。 4その(とき)(おう)はその(さか)んな(くに)(とみ)と、その王威(おうい)(かがや)きと、はなやかさを(しめ)して(おお)くの()(かさ)ね、百八十(にち)(およ)んだ。 5これらの()(おわ)った(とき)(おう)(おう)宮殿(きゅうでん)(その)(にわ)で、首都(しゅと)スサにいる大小(だいしょう)のすべての(たみ)のために七日(なぬか)(あいだ)酒宴(しゅえん)(もう)けた。 6そこには(しろ)綿布(めんぷ)垂幕(たれまく)青色(あおいろ)のとばりとがあって、紫色(むらさきいろ)(ほそ)(ぬの)のひもで(ぎん)()および大理石(だいりせき)(はしら)につながれていた。また(なが)いすは金銀(きんぎん)(つく)られ、石膏(せっこう)大理石(だいりせき)真珠貝(しんじゅがい)および宝石(ほうせき)()りはめ細工(ざいく)(ゆか)(うえ)()かれていた。 7(さけ)(きん)(さかずき)(たま)わり、その(さかずき)はそれぞれ(ちが)ったもので、(おう)(おお)きな度量(どりょう)にふさわしく、(おう)(もち)いる(さけ)()しみなく(たま)わった。 8その()むことは(ほう)にかない、だれもしいられることはなかった。これは(おう)人々(ひとびと)におのおの自分(じぶん)(この)むようにさせよと宮廷(きゅうてい)のすべての役人(やくにん)(めい)じておいたからである。 9王妃(おうひ)ワシテもまたアハシュエロス(おう)(ぞく)する王宮(おうきゅう)(うち)(おんな)たちのために酒宴(しゅえん)(もう)けた。
10七日(なぬか)()にアハシュエロス(おう)(さけ)のために(こころ)(たの)しくなり、(おう)(まえ)(つか)える七(にん)侍従(じじゅう)メホマン、ビズタ、ハルボナ、ビグタ、アバグタ、ゼタルおよびカルカスに(めい)じて、 11王妃(おうひ)ワシテに王妃(おうひ)(かんむり)をかぶらせて(おう)(まえ)にこさせよと()った。これは彼女(かのじょ)(うつく)しかったので、その(うつく)しさを(たみ)らと大臣(だいじん)たちに()せるためであった。 12ところが、王妃(おうひ)ワシテは侍従(じじゅう)(つた)えた(おう)命令(めいれい)(したが)って()ることを(こば)んだので、(おう)(おお)いに(いきどお)り、その(いか)りが(かれ)(うち)()えた。
13そこで(おう)(とき)()っている知者(ちしゃ)()った、——(おう)はすべて法律(ほうりつ)審判(しんぱん)(つう)じている(もの)相談(そうだん)するのを(つね)とした。 14(とき)(おう)(つぎ)にいた人々(ひとびと)はペルシャおよびメデアの七(にん)大臣(だいじん)カルシナ、セタル、アデマタ、タルシシ、メレス、マルセナ、メムカンであった。(かれ)らは(みな)(おう)(かお)()(もの)で、(くに)首位(しゅい)()する人々(ひとびと)であった—— 15王妃(おうひ)ワシテは、アハシュエロス(おう)侍従(じじゅう)をもって(つた)えた命令(めいれい)(おこな)わないゆえ、法律(ほうりつ)(したが)って彼女(かのじょ)にどうしたらよかろうか」。 16メムカンは(おう)大臣(だいじん)たちの(まえ)()った、「王妃(おうひ)ワシテはただ(おう)にむかって(わる)(こと)をしたばかりでなく、すべての大臣(だいじん)およびアハシュエロス(おう)各州(かくしゅう)のすべての(たみ)にむかってもしたのです。 17王妃(おうひ)のこの(おこな)いはあまねくすべての(おんな)たちに(きこ)えて、(かれ)らはついにその()(おっと)(いや)しめ、『アハシュエロス(おう)王妃(おうひ)ワシテに、(かれ)(まえ)()るように(めい)じたがこなかった』と()うでしょう。 18王妃(おうひ)のこの(おこな)いを()いたペルシャとメデアの大臣(だいじん)夫人(ふじん)たちもまた、今日(こんにち)(おう)のすべての大臣(だいじん)たちにこのように()うでしょう。そうすれば(かなら)(いや)しめと(いか)りが(おお)(おこ)ります。 19もし(おう)がよしとされるならば、ワシテはこの(のち)(ふたた)びアハシュエロス(おう)(まえ)にきてはならないという(おう)命令(めいれい)(くだ)し、これをペルシャとメデアの法律(ほうりつ)(なか)()きいれて(かわ)ることのないようにし、そして王妃(おうひ)(くらい)彼女(かのじょ)にまさる()(もの)(あた)えなさい。 20(おう)(くだ)される(みことのり)がこの(おお)きな(くに)にあまねく()(しめ)されるとき、(つま)たる(もの)はことごとく、その(おっと)高下(こうげ)(べつ)なく(とも)(うやま)うようになるでしょう」。 21(おう)大臣(だいじん)たちはこの言葉(ことば)をよしとしたので、(おう)はメムカンの言葉(ことば)のとおりに(おこな)った。 22(おう)(おう)(しょ)(しゅう)にあまねく(しょ)(おく)り、各州(かくしゅう)にはその文字(もんじ)にしたがい、(かく)民族(みんぞく)にはその言語(げんご)にしたがって()(おく)り、すべて男子(だんし)たる(もの)はその(いえ)(しゅ)となるべきこと、また自分(じぶん)(たみ)言語(げんご)(もち)いて(かた)るべきことをさとした。

第二章

1これらのことの(のち)、アハシュエロス(おう)(いか)りがとけ、(おう)はワシテおよび彼女(かのじょ)のしたこと、また彼女(かのじょ)(たい)して(さだ)めたことを(おも)(おこ)した。 2(とき)(おう)(つか)える侍臣(じしん)たちは()った、「(うつく)しい(わか)処女(しょじょ)たちを(おう)のために(たず)(もと)めましょう。 3どうぞ(おう)はこの(くに)各州(かくしゅう)において役人(やくにん)(えら)び、(うつく)しい(わか)処女(しょじょ)をことごとく首都(しゅと)スサにある婦人(ふじん)居室(きょしつ)(あつ)めさせ、婦人(ふじん)をつかさどる(おう)侍従(じじゅう)ヘガイの管理(かんり)のもとにおいて、化粧(けしょう)のための品々(しなじな)(かれ)らに(あた)えてください。 4こうして御意(ぎょい)にかなうおとめをとって、ワシテの(かわ)りに王妃(おうひ)としてください」。(おう)はこの(こと)をよしとし、そのように()った。
5さて首都(しゅと)スサにひとりのユダヤ(じん)がいた。()をモルデカイといい、キシのひこ、シメイの(まご)、ヤイルの()で、ベニヤミンびとであった。 6(かれ)はバビロンの(おう)ネブカデネザルが(とら)えていったユダの(おう)エコニヤと(とも)(とら)えられていった捕虜(ほりょ)のひとりで、エルサレムから(とら)(うつ)された(もの)である。 7(かれ)はそのおじの(むすめ)ハダッサすなわちエステルを(やしな)(そだ)てた。彼女(かのじょ)には(ちち)(はは)もなかったからである。このおとめは(うつく)しく、かわいらしかったが、その父母(ふぼ)死後(しご)、モルデカイは彼女(かのじょ)()きとって自分(じぶん)(むすめ)としたのである。 8(おう)命令(めいれい)(みことのり)(つた)えられ、(おお)くのおとめが首都(しゅと)スサに(あつ)められて、ヘガイの管理(かんり)のもとにおかれたとき、エステルもまた王宮(おうきゅう)(たずさ)()かれ、婦人(ふじん)をつかさどるヘガイの管理(かんり)のもとにおかれた。 9このおとめはヘガイの(こころ)にかなって、そのいつくしみを()た。すなわちヘガイはすみやかに彼女(かのじょ)化粧(けしょう)品々(しなじな)および食物(しょくもつ)()(まえ)(あた)え、また宮中(きゅうちゅう)から七(にん)のすぐれた侍女(じじょ)(えら)んで彼女(かのじょ)()()わせ、彼女(かのじょ)とその侍女(じじょ)たちを婦人(ふじん)居室(きょしつ)のうちの(もっと)()(ところ)(うつ)した。 10エステルは自分(じぶん)(たみ)のことをも、自分(じぶん)同族(どうぞく)のことをも(ひと)()らせなかった。モルデカイがこれを()らすなと彼女(かのじょ)(めい)じたからである。 11モルデカイはエステルの様子(ようす)および彼女(かのじょ)がどうしているかを()ろうと、毎日(まいにち)婦人(ふじん)居室(きょしつ)(にわ)(まえ)(ある)いた。
12おとめたちはおのおの婦人(ふじん)のための規定(きてい)にしたがって十二か(げつ)()(のち)順番(じゅんばん)にアハシュエロス(おう)(ところ)()くのであった。これは(かれ)らの化粧(けしょう)期間(きかん)として、没薬(もつやく)(あぶら)(もち)いること六か(げつ)香料(こうりょう)および婦人(ふじん)化粧(けしょう)使(つか)品々(しなじな)(もち)いること六か(げつ)(さだ)められていたからである。 13こうしておとめは(おう)(ところ)()くのであった。そしておとめが婦人(ふじん)居室(きょしつ)()王宮(おうきゅう)()(とき)には、すべてその(のぞ)(もの)(あた)えられた。 14そして夕方(ゆうがた)()って、あくる(あさ)(だい)二の婦人(ふじん)居室(きょしつ)(かえ)り、そばめたちをつかさどる(おう)侍従(じじゅう)シャシガズの管理(かんり)(うつ)された。(おう)がその(おんな)(よろこ)び、()ざして()すのでなければ、(ふたた)(おう)(ところ)()くことはなかった。
15さてモルデカイのおじアビハイルの(むすめ)、すなわちモルデカイが()きとって自分(じぶん)(むすめ)としたエステルが(おう)(ところ)()順番(じゅんばん)となったが、彼女(かのじょ)婦人(ふじん)をつかさどる(おう)侍従(じじゅう)ヘガイが(すす)めた(もの)のほか(なに)をも(もと)めなかった。エステルはすべて彼女(かのじょ)()(もの)(よろこ)ばれた。 16エステルがアハシュエロス(おう)()されて王宮(おうきゅう)()ったのは、その治世(ちせい)(だい)(ねん)の十(がつ)、すなわちテベテの(つき)であった。 17(おう)はすべての婦人(ふじん)にまさってエステルを(あい)したので、彼女(かのじょ)はすべての処女(しょじょ)にまさって(おう)(まえ)(めぐ)みといつくしみとを()た。(おう)はついに王妃(おうひ)(かんむり)彼女(かのじょ)(あたま)にいただかせ、ワシテに(かわ)って王妃(おうひ)とした。 18そして(おう)(おお)いなる酒宴(しゅえん)(もよお)して、すべての大臣(だいじん)侍臣(じしん)をもてなした。エステルの酒宴(しゅえん)がこれである。また(しょ)(しゅう)免税(めんぜい)(おこな)い、(おう)(おお)きな度量(どりょう)にしたがって(おく)(もの)(あた)えた。
19度目(どめ)処女(しょじょ)たちが(あつ)められたとき、モルデカイは(おう)(もん)にすわっていた。 20エステルはモルデカイが(めい)じたように、まだ自分(じぶん)同族(どうぞく)のことをも自分(じぶん)(たみ)のことをも(ひと)()らせなかった。エステルはモルデカイの言葉(ことば)(したが)うこと、(かれ)(やしな)(そだ)てられた(とき)(すこ)しも(かわ)らなかった。 21そのころ、モルデカイが(おう)(もん)にすわっていた(とき)(おう)侍従(じじゅう)で、(おう)のへやの()(まも)(もの)のうちのビグタンとテレシのふたりが(いか)りのあまりアハシュエロス(おう)(ころ)そうとねらっていたが、 22その(こと)がモルデカイに()れたので、(かれ)はこれを王妃(おうひ)エステルに()げ、エステルはこれをモルデカイの()をもって(おう)()げた。 23その(こと)調(しら)べられて、それに相違(そうい)ないことがあらわれたので、(かれ)らふたりは()にかけられた。この(こと)(おう)(まえ)日誌(にっし)(しょ)にかきしるされた。

第三章

1これらの(こと)(のち)、アハシュエロス(おう)はアガグびとハンメダタの()ハマンを(おも)んじ、これを昇進(しょうしん)させて、自分(じぶん)(とも)にいるすべての大臣(だいじん)たちの(うえ)にその(せき)(さだ)めさせた。 2(おう)(もん)(うち)にいる(おう)侍臣(じしん)たちは(みな)ひざまずいてハマンに敬礼(けいれい)した。これは(おう)(かれ)についてこうすることを(めい)じたからである。しかしモルデカイはひざまずかず、また敬礼(けいれい)しなかった。 3そこで(おう)(もん)にいる(おう)侍臣(じしん)たちはモルデカイにむかって、「あなたはどうして(おう)命令(めいれい)にそむくのか」と()った。 4(かれ)らは毎日(まいにち)モルデカイにこう()うけれども()きいれなかったので、その(こと)がゆるされるかどうかを()ようと、これをハマンに()げた。なぜならモルデカイはすでに自分(じぶん)のユダヤ(じん)であることを(かれ)らに(かた)ったからである。 5ハマンはモルデカイのひざまずかず、また自分(じぶん)敬礼(けいれい)しないのを()(いか)りに()たされたが、 6ただモルデカイだけを(ころ)すことを(いさぎよ)しとしなかった。(かれ)らがモルデカイの(ぞく)する(たみ)をハマンに()らせたので、ハマンはアハシュエロスの(くに)のうちにいるすべてのユダヤ(じん)、すなわちモルデカイの(ぞく)する(たみ)をことごとく(ほろ)ぼそうと(はか)った。
7アハシュエロス(おう)(だい)十二(ねん)正月(しょうがつ)すなわちニサンの(つき)に、ハマンの(まえ)で、十二(がつ)すなわちアダルの(つき)まで、一(にち)(にち)のため、一(つき)(つき)のために、プルすなわちくじを()げさせた。 8そしてハマンはアハシュエロス(おう)()った、「お(くに)各州(かくしゅう)にいる諸民(しょみん)のうちに、()らされて、(わか)(わか)れになっている一つの(たみ)がいます。その法律(ほうりつ)()のすべての(たみ)のものと(こと)なり、また(かれ)らは(おう)法律(ほうりつ)(まも)りません。それゆえ(かれ)らを(ゆる)しておくことは(おう)のためになりません。 9もし(おう)がよしとされるならば、(かれ)らを(ほろ)ぼせと(みことのり)をお()きください。そうすればわたしは(おう)(こと)をつかさどる(もの)たちの()(ぎん)一万タラントを(はか)りわたして、(おう)金庫(きんこ)()れさせましょう」。 10そこで(おう)()から指輪(ゆびわ)をはずし、アガグびとハンメダタの()で、ユダヤ(ひと)(てき)であるハマンにわたした。 11そして(おう)はハマンに()った、「その(ぎん)はあなたに(あた)える。その(たみ)もまたあなたに(あた)えるから、よいと(おも)うようにしなさい」。
12そこで正月(しょうがつ)の十三(にち)(おう)書記官(しょきかん)()(あつ)められ、(おう)総督(そうとく)各州(かくしゅう)知事(ちじ)および諸民(しょみん)のつかさたちにハマンが(めい)じたことをことごとく()きしるした。すなわち各州(かくしゅう)(おく)るものにはその文字(もんじ)(もち)い、諸民(しょみん)(おく)るものにはその言語(げんご)(もち)い、おのおのアハシュエロス(おう)()をもってそれを()き、(おう)指輪(ゆびわ)をもってそれに(いん)()した。 13そして急使(きゅうし)をもってその(しょ)(おう)(しょ)(しゅう)(おく)り、十二(がつ)すなわちアダルの(つき)の十三(にち)に、一(にち)のうちにすべてのユダヤ(ひと)を、(わか)(もの)()いた(もの)子供(こども)(おんな)(べつ)なく、ことごとく(ほろ)ぼし、(ころ)し、()やし、かつその()(ざい)(うば)()れと(めい)じた。 14この文書(ぶんしょ)(うつ)しを(みことのり)として各州(かくしゅう)(つた)え、すべての(たみ)公示(こうじ)して、その()のために(そな)えさせようとした。 15急使(きゅうし)(おう)命令(めいれい)により(いそ)いで()ていった。この(みことのり)首都(しゅと)スサで発布(はっぷ)された。(とき)(おう)とハマンは()して(さけ)()んでいたが、スサの(みやこ)はあわて(まど)った。

第四章

1モルデカイはすべてこのなされたことを()ったとき、その(ころも)()き、荒布(あらぬの)をまとい、(はい)をかぶり、(まち)(なか)()って大声(おおごえ)をあげ、(はげ)しく(さけ)んで、 2(おう)(もん)入口(いりぐち)まで()った。荒布(あらぬの)をまとっては(おう)(もん)(うち)にはいることができないからである。 3すべて(おう)命令(めいれい)(みことのり)をうけ()った各州(かくしゅう)ではユダヤ(ひと)のうちに(おお)いなる(かな)しみがあり、断食(だんじき)(なげ)き、(さけ)びが(おこ)り、また荒布(あらぬの)をまとい、(はい)(うえ)()する(もの)(おお)かった。
4エステルの侍女(じじょ)たちおよび侍従(じじゅう)たちがきて、この(こと)()げたので、王妃(おうひ)非常(ひじょう)(かな)しみ、モルデカイに着物(きもの)(おく)り、それを()せて、荒布(あらぬの)()がせようとしたが()けなかった。 5そこでエステルは(おう)侍従(じじゅう)のひとりで、(おう)自分(じぶん)にはべらせたハタクを()し、モルデカイのもとへ()って、それは何事(なにごと)であるか、(なに)ゆえであるかを(たず)ねて()るようにと(めい)じた。 6ハタクは()て、(おう)(もん)(まえ)にある(まち)広場(ひろば)にいるモルデカイのもとへ()くと、 7モルデカイは自分(じぶん)()(おこ)ったすべての(こと)(かれ)()げ、かつハマンがユダヤ(ひと)(ほろ)ぼすことのために(おう)金庫(きんこ)(はか)()れると約束(やくそく)した(ぎん)正確(せいかく)(がく)()げた。 8また(かれ)らを(ほろ)ぼさせるために、スサで発布(はっぷ)された詔書(しょうしょ)(うつ)しを(かれ)にわたし、それをエステルに()せ、かつ()きあかし、彼女(かのじょ)(おう)のもとへ()ってその(たみ)のために(おう)のあわれみを()い、(おう)(まえ)(ねが)(もと)めるように彼女(かのじょ)()(つた)えよと()った。 9ハタクが(かえ)ってきてモルデカイの言葉(ことば)をエステルに()げたので、 10エステルはハタクに(めい)じ、モルデカイに言葉(ことば)(つた)えさせて()った、 11(おう)侍臣(じしん)および(おう)(しょ)(しゅう)(たみ)(みな)(おとこ)でも(おんな)でも、すべて()されないのに内庭(うちにわ)にはいって(おう)のもとへ()(もの)は、(かなら)(ころ)されなければならないという一つの法律(ほうりつ)のあることを()っています。ただし(おう)がその(もの)(きん)(しゃく)()べれば()きることができるのです。しかしわたしはこの三十(にち)(あいだ)(おう)のもとへ()くべき(めし)をこうむらないのです」。 12エステルの言葉(ことば)をモルデカイに()げたので、 13モルデカイは(めい)じてエステルに(こた)えさせて()った、「あなたは王宮(おうきゅう)にいるゆえ、すべてのユダヤ(ひと)(こと)なり、(なん)(まぬか)れるだろうと(おも)ってはならない。 14あなたがもし、このような(とき)(だま)っているならば、ほかの(ところ)から、(たす)けと(すくい)がユダヤ(ひと)のために(おこ)るでしょう。しかし、あなたとあなたの(ちち)(いえ)とは(ほろ)びるでしょう。あなたがこの(くに)(むか)えられたのは、このような(とき)のためでなかったとだれが()りましょう」。 15そこでエステルは(めい)じてモルデカイに(こた)えさせた、 16「あなたは()ってスサにいるすべてのユダヤ(ひと)(あつ)め、わたしのために断食(だんじき)してください。三()のあいだ(よる)(ひる)()()みしてはなりません。わたしとわたしの侍女(じじょ)たちも同様(どうよう)断食(だんじき)しましょう。そしてわたしは法律(ほうりつ)にそむくことですが(おう)のもとへ()きます。わたしがもし()なねばならないのなら、()にます」。 17モルデカイは()って、エステルがすべて自分(じぶん)(めい)じたとおりに(おこな)った。

第五章

1()()にエステルは王妃(おうひ)(ふく)()王宮(おうきゅう)内庭(うちにわ)(はい)り、(おう)広間(ひろま)にむかって()った。(おう)王宮(おうきゅう)玉座(ぎょくざ)()して王宮(おうきゅう)入口(いりぐち)にむかっていたが、 2王妃(おうひ)エステルが(にわ)()っているのを()彼女(かのじょ)(めぐ)みを(しめ)し、その()にある(きん)(しゃく)をエステルの(ほう)()ばしたので、エステルは(すす)みよってその(しゃく)(あたま)にさわった。 3(おう)彼女(かのじょ)()った、「王妃(おうひ)エステルよ、(なに)(もと)めるのか。あなたの(ねが)いは(なに)か。(くに)(なか)ばでもあなたに(あた)えよう」。 4エステルは()った、「もし(おう)がよしとされるならば、きょうわたしが(おう)のために(もう)けた酒宴(しゅえん)に、ハマンとご一緒(いっしょ)にお(のぞ)みください」。 5そこで(おう)は「ハマンを(はや)()れてきて、エステルの()うようにせよ」と()い、やがて(おう)とハマンはエステルの(もう)けた酒宴(しゅえん)(のぞ)んだ。 6酒宴(しゅえん)(とき)(おう)はエステルに()った、「あなたの(もと)めることは(なに)か。(かなら)()かれる。あなたの(ねが)いは(なに)か。(くに)(なか)ばでも()きとどけられる」。 7エステルは(こた)えて()った、「わたしの(もと)め、わたしの(ねが)いはこれです。 8もしわたしが(おう)()(まえ)(めぐ)みを()、また(おう)がもしわたしの(もと)めを(ゆる)し、わたしの(ねが)いを()きとどけるのをよしとされるならば、ハマンとご一緒(いっしょ)に、あすまた、わたしが(もう)けようとする酒宴(しゅえん)に、お(のぞ)みください。わたしはあす(おう)のお言葉(ことば)どおりにいたしましょう」。
9こうしてハマンはその()(こころ)(よろこ)(たの)しんで()てきたが、ハマンはモルデカイが(おう)(もん)にいて、自分(じぶん)にむかって()ちあがりもせず、また身動(みうご)きもしないのを()たので、モルデカイに(たい)(いか)りに()たされた。 10しかしハマンは()(しの)んで(いえ)(かえ)り、(ひと)をやってその(とも)だちおよび(つま)ゼレシを()んでこさせ、 11そしてハマンはその(とみ)栄華(えいが)と、そのむすこたちの(おお)いことと、すべて(おう)自分(じぶん)(おも)んじられたこと、また(おう)大臣(だいじん)および侍臣(じしん)たちにまさって自分(じぶん)昇進(しょうしん)させられたことを(かれ)らに(かた)った。 12ハマンはまた()った、「王妃(おうひ)エステルは酒宴(しゅえん)(もう)けたが、わたしのほかはだれも(おう)(とも)にこれに(のぞ)ませなかった。あすもまたわたしは(おう)(とも)王妃(おうひ)(まね)かれている。 13しかしユダヤ(ひと)モルデカイが(おう)(もん)()しているのを()(あいだ)は、これらの(こと)もわたしには(たの)しくない」。 14その(とき)(つま)ゼレシとすべての(とも)(かれ)()った、「(たか)さ五十キュビトの()()てさせ、あすの(あさ)、モルデカイをその(うえ)()けるように(おう)(もう)()げなさい。そして(おう)一緒(いっしょ)(たの)しんでその酒宴(しゅえん)においでなさい」。ハマンはこの(こと)をよしとして、その()()てさせた。

第六章

1その(よる)(おう)(ねむ)ることができなかったので、(めい)じて日々(ひび)(こと)をしるした記録(きろく)(しょ)()ってこさせ、(おう)(まえ)()ませたが、 2その(なか)に、モルデカイがかつて(おう)侍従(じじゅう)で、(おう)のへやの()(まも)(もの)のうちのビグタナとテレシのふたりが、アハシュエロス(おう)(ころ)そうとねらっていることを()げた、としるされているのを()いだした。 3そこで(おう)()った、「この(こと)のために、どんな栄誉(えいよ)爵位(しゃくい)をモルデカイに(あた)えたか」。(おう)(つか)える侍臣(じしん)たちは()った、「(なに)(かれ)(あた)えていません」。 4(おう)()った、「(にわ)にいるのはだれか」。この(とき)ハマンはモルデカイのために(もう)けた()にモルデカイを()けることを(おう)(もう)()げようと王宮(おうきゅう)(そと)(にわ)にはいってきていた。 5(おう)侍臣(じしん)たちが「ハマンが(にわ)()っています」と(おう)()ったので、(おう)は「ここへ、はいらせよ」と()った。 6やがてハマンがはいって()ると(おう)()った、「(おう)栄誉(えいよ)(あた)えようと(おも)(ひと)にはどうしたらよかろうか」。ハマンは(こころ)のうちに()った、「(おう)はわたし以外(いがい)にだれに栄誉(えいよ)(あた)えようと(おも)われるだろうか」。 7ハマンは(おう)()った、「(おう)栄誉(えいよ)(あた)えようと(おも)われる(ひと)のためには、 8(おう)()られた衣服(いふく)()ってこさせ、また(おう)()られた(うま)、すなわちその(あたま)王冠(おうかん)をいただいた(うま)をひいてこさせ、 9その衣服(いふく)(うま)とを(おう)(もっと)(たっと)大臣(だいじん)のひとりの()にわたして、(おう)栄誉(えいよ)(あた)えようと(おも)われる(ひと)にその衣服(いふく)()させ、またその(ひと)(うま)()せ、(まち)広場(ひろば)(みちび)いて(とお)らせ、『(おう)栄誉(えいよ)(あた)えようと(おも)(ひと)にはこうするのだ』とその(まえ)()ばわらせなさい」。 10それで(おう)はハマンに()った、「(いそ)いであなたが()ったように、その衣服(いふく)(うま)とを()()せ、(おう)(もん)()しているユダヤ(ひと)モルデカイにそうしなさい。あなたが()ったことを一つも()いてはならない」。 11そこでハマンは衣服(いふく)(うま)とを()()せ、モルデカイにその衣服(いふく)()せ、(かれ)(うま)()せて(まち)広場(ひろば)(とお)らせ、その(まえ)()ばわって、「(おう)栄誉(えいよ)(あた)えようと(おも)(ひと)にはこうするのだ」と()った。
12こうしてモルデカイは(おう)(もん)(かえ)ってきたが、ハマンは(うれ)(なや)み、(とう)をおおって(いそ)いで(いえ)(かえ)った。 13そしてハマンは自分(じぶん)()()った(こと)をことごとくその(つま)ゼレシと(とも)だちに()げた。するとその知者(ちしゃ)たちおよび(つま)ゼレシは(かれ)()った、「あのモルデカイ、すなわちあなたがその(ひと)(まえ)(やぶ)(はじ)めた(もの)が、もしユダヤ(じん)子孫(しそん)であるならば、あなたは(かれ)()つことはできない。(かなら)(かれ)(まえ)(やぶ)れるでしょう」。
14(かれ)らがなおハマンと(はな)している(とき)(おう)侍従(じじゅう)たちがきてハマンを(うなが)し、エステルが(もう)けた酒宴(しゅえん)(のぞ)ませた。

第七章

1(おう)とハマンは王妃(おうひ)エステルの酒宴(しゅえん)(のぞ)んだ。 2このふつか()酒宴(しゅえん)(おう)はまたエステルに()った、「王妃(おうひ)エステルよ、あなたの(もと)めることは(なに)か。(かなら)()かれる。あなたの(ねが)いは(なに)か。(くに)(なか)ばでも()きとどけられる」。 3王妃(おうひ)エステルは(こた)えて()った、「(おう)よ、もしわたしが(おう)()(まえ)(めぐ)みを()、また(おう)がもしよしとされるならば、わたしの(もと)めにしたがってわたしの(いのち)をわたしに(あた)え、またわたしの(ねが)いにしたがってわたしの(たみ)をわたしに(あた)えてください。 4わたしとわたしの(たみ)()られて(ほろ)ぼされ、(ころ)され、()やされようとしています。もしわたしたちが男女(だんじょ)奴隷(どれい)として()られただけなら、わたしは(だま)っていたでしょう。わたしたちの難儀(なんぎ)(おう)損失(そんしつ)とは比較(ひかく)にならないからです」。 5アハシュエロス(おう)王妃(おうひ)エステルに()った、「そんな(こと)をしようと(こころ)にたくらんでいる(もの)はだれか。またどこにいるのか」。 6エステルは()った、「そのあだ、その(てき)はこの(わる)いハマンです」。そこでハマンは(おう)王妃(おうひ)(まえ)(おそ)れおののいた。 7(おう)(いか)って酒宴(しゅえん)(せき)()ち、宮殿(きゅうでん)(その)()ったが、ハマンは(のこ)って王妃(おうひ)エステルに(いのち)ごいをした。(かれ)(おう)自分(じぶん)(がい)(くわ)えようと(さだ)めたのを()たからである。 8(おう)宮殿(きゅうでん)(その)から酒宴(しゅえん)場所(ばしょ)(かえ)ってみると、エステルのいた(なが)いすの(うえ)にハマンが()していたので、(おう)()った、「(かれ)はまたわたしの(いえ)で、しかもわたしの(まえ)王妃(おうひ)をはずかしめようとするのか」。この言葉(ことば)(おう)(くち)から()たとき、人々(ひとびと)は、ハマンの(かお)をおおった。 9その(とき)(おう)()()っていたひとりの侍従(じじゅう)ハルボナが「(おう)のためによい(こと)()げたあのモルデカイのためにハマンが用意(ようい)した(たか)さ五十キュビトの()がハマンの(いえ)()っています」と()ったので、(おう)は「(かれ)をそれに()けよ」と()った。 10そこで人々(ひとびと)はハマンをモルデカイのために(そな)えてあったその()()けた。こうして(おう)(いか)りは(やわ)らいだ。

第八章

1その()アハシュエロス(おう)は、ユダヤ(じん)(てき)ハマンの(いえ)王妃(おうひ)エステルに(あた)えた。モルデカイは(おう)(まえ)にきた。これはエステルが自分(じぶん)とモルデカイがどんな関係(かんけい)(もの)であるかを()げたからである。 2(おう)はハマンから()(かえ)した自分(じぶん)指輪(ゆびわ)をはずして、モルデカイに(あた)えた。エステルはモルデカイにハマンの(いえ)管理(かんり)させた。
3エステルは(ふたた)(おう)(まえ)(そう)し、その(あし)もとにひれ()して、アガグびとハマンの陰謀(いんぼう)すなわち(かれ)がユダヤ(じん)(たい)して(くわだ)てたその計画(けいかく)(のぞ)くことを(なみだ)ながらに()(もと)めた。 4(おう)はエステルにむかって(きん)(しゃく)()べたので、エステルは()(おこ)して(おう)(まえ)()ち、 5そして()った、「もし(おう)がよしとされ、わたしが(おう)(まえ)(めぐ)みを()、またこの(こと)(おう)(まえ)(ただ)しいと()え、かつわたしが(おう)()にかなうならば、アガグびとハンメダタの()ハマンが(おう)(しょ)(しゅう)にいるユダヤ(じん)(ほろ)ぼそうとはかって()(おく)った(しょ)()()(むね)()かせてください。 6どうしてわたしは、わたしの(たみ)(のぞ)もうとする(わざわい)を、だまって()ていることができましょうか。どうしてわたしの同族(どうぞく)(ほろ)びるのを、だまって()ていることができましょうか」。 7アハシュエロス(おう)王妃(おうひ)エステルとユダヤ(じん)モルデカイに()った、「ハマンがユダヤ(じん)(ころ)そうとしたので、わたしはハマンの(いえ)をエステルに(あた)え、またハマンを()()けさせた。 8あなたがたは自分(じぶん)たちの(おも)うままに(おう)()をもってユダヤ(じん)についての(しょ)をつくり、(おう)指輪(ゆびわ)をもってそれに(いん)()すがよい。(おう)()をもって()き、(おう)指輪(ゆびわ)をもって(いん)()した(しょ)はだれも()()すことができない」。
9その(とき)(おう)書記官(しょきかん)()(あつ)められた。それは三(がつ)すなわちシワンの(つき)の二十三(にち)であった。そしてインドからエチオピヤまでの百二十七(しゅう)にいる総督(そうとく)(しょ)(しゅう)知事(ちじ)および大臣(だいじん)たちに、モルデカイがユダヤ(じん)について(めい)じたとおりに()(おく)った。すなわち各州(かくしゅう)にはその文字(もじ)(もち)い、(かく)民族(みんぞく)にはその言語(げんご)(もち)いて()(おく)り、ユダヤ(じん)(おく)るものにはその文字(もじ)言語(げんご)とを(もち)いた。 10その(しょ)はアハシュエロス(おう)()をもって()かれ、(おう)指輪(ゆびわ)をもって(いん)()し、(おう)御用(ごよう)(うま)として、そのうまやに(そだ)った早馬(はやうま)()急使(きゅうし)によって(おく)られた。 11その(なか)で、(おう)はすべての(まち)にいるユダヤ(じん)に、(かれ)らが(あい)(あつ)まって自分(じぶん)たちの生命(せいめい)保護(ほご)し、自分(じぶん)たちを(おそ)おうとする諸国(しょこく)(しょ)(しゅう)のすべての武装(ぶそう)した(たみ)を、その妻子(さいし)もろともに(ほろ)ぼし、(ころ)し、()やし、かつその()(ざい)(うば)()ることを(ゆる)した。 12ただしこの(こと)をアハシュエロス(おう)(しょ)(しゅう)において、十二(がつ)すなわちアダルの(つき)の十三(にち)に、一(にち)のうちに(おこな)うことを(めい)じた。 13この()いた(もの)(うつ)しを(みことのり)として各州(かくしゅう)(つた)え、すべての(たみ)公示(こうじ)して、ユダヤ(じん)に、その()のために(そな)えして、その(てき)にあだをかえさせようとした。 14(おう)御用(ごよう)(うま)である早馬(はやうま)()った急使(きゅうし)は、(おう)(めい)によって(いそ)がされ、せきたてられて()()った。この(みことのり)首都(しゅと)スサで()された。
15モルデカイは(あお)(しろ)(ちょう)(ふく)()(おお)きな(きん)(かんむり)をいただき、紫色(むらさきいろ)(ほそ)(ぬの)上着(うわぎ)をまとって(おう)(まえ)から()()った。スサの町中(まちぢゅう)(こえ)をあげて(よろこ)んだ。 16ユダヤ(じん)には(ひかり)(よろこ)びと(たの)しみと(ほまれ)があった。 17いずれの(しゅう)でも、いずれの(まち)でも、すべて(おう)命令(めいれい)(みことのり)伝達(でんたつ)された(ところ)では、ユダヤ(じん)(よろこ)(たの)しみ、酒宴(しゅえん)(ひら)いてこの()祝日(しゅくじつ)とした。そしてこの(くに)(たみ)のうち(おお)くの(もの)がユダヤ(じん)となった。これはユダヤ(じん)(おそ)れる(こころ)(かれ)らのうちに()ったからである。

第九章

1十二(がつ)すなわちアダルの(つき)の十三(にち)(おう)命令(めいれい)(みことのり)(おこな)われる(とき)(ちか)づいたとき、すなわちユダヤ(じん)(てき)が、ユダヤ(じん)()()せようと(のぞ)んでいたのに、かえってユダヤ(じん)自分(じぶん)たちを(にく)(もの)()()せることとなったその()に、 2ユダヤ(じん)はアハシュエロス(おう)各州(かくしゅう)にある自分(じぶん)たちの町々(まちまち)(あつ)まり、自分(じぶん)たちに(がい)(くわ)えようとする(もの)(ころ)そうとしたが、だれもユダヤ(じん)(さか)らうことのできるものはなかった。すべての(たみ)がユダヤ(じん)(おそ)れたからである。 3(しょ)(しゅう)大臣(だいじん)総督(そうとく)知事(ちじ)および(おう)(こと)をつかさどる(もの)(みな)ユダヤ(じん)(たす)けた。(かれ)らはモルデカイを(おそ)れたからである。 4モルデカイは(おう)(いえ)(おお)いなる(もの)となり、その名声(めいせい)各州(かくしゅう)(きこ)えわたった。この(ひと)モルデカイがますます勢力(せいりょく)ある(もの)となったからである。 5そこでユダヤ(じん)はつるぎをもってすべての(てき)()って(ころ)し、(ほろ)ぼし、自分(じぶん)たちを(にく)(もの)(たい)(こころ)のままに()った。 6ユダヤ(じん)はまた首都(しゅと)スサにおいても五百(にん)(ころ)し、(ほろ)ぼした。 7またパルシャンダタ、ダルポン、アスパタ、 8ポラタ、アダリヤ、アリダタ、 9パルマシタ、アリサイ、アリダイ、ワエザタ、 10すなわちハンメダタの()で、ユダヤ(じん)(てき)であるハマンの十(にん)()をも(ころ)した。しかし、そのぶんどり(もの)には()をかけなかった。
11その()首都(しゅと)スサで(ころ)された(もの)(かず)(おう)報告(ほうこく)されると、 12(おう)王妃(おうひ)エステルに()った、「ユダヤ(じん)首都(しゅと)スサで五百(にん)(ころ)し、またハマンの十(にん)()(ころ)した。(おう)のその()(しょ)(しゅう)ではどんなに(かれ)らは(ころ)したことであろう。さてあなたの(もと)めることは(なに)か。(かなら)()かれる。(さら)にあなたの(ねが)いは(なに)か。(かなら)()きとどけられる」。 13エステルは()った、「もし(おう)がよしとされるならば、どうぞスサにいるユダヤ(じん)にあすも、きょうの(みことのり)のように(おこな)うことをゆるしてください。かつハマンの十(にん)()()()けさせてください」。 14(おう)はそうせよと(めい)じたので、スサにおいて(みことのり)()て、ハマンの十(にん)()()()けられた。 15アダルの(つき)の十四()にまたスサにいるユダヤ(じん)(あつ)まり、スサで三百(にん)(ころ)した。しかし、そのぶんどり(もの)には()をかけなかった。
16(おう)(しょ)(しゅう)にいる()のユダヤ(じん)もまた(あつ)まって、自分(じぶん)たちの生命(せいめい)保護(ほご)し、その(てき)()って平安(へいあん)()自分(じぶん)たちを(にく)(もの)七万五千(にん)(ころ)した。しかし、そのぶんどり(もの)には()をかけなかった。 17これはアダルの(つき)の十三(にち)であって、その十四()(やす)んで、その()酒宴(しゅえん)(よろこ)びの()とした。 18しかしスサにいるユダヤ(じん)は十三(にち)と十四()(あつ)まり、十五(にち)(やす)んで、その()酒宴(しゅえん)(よろこ)びの()とした。 19それゆえ村々(むらむら)のユダヤ(じん)すなわち城壁(じょうへき)のない町々(まちまち)()(もの)はアダルの(つき)の十四()(よろこ)びの()酒宴(しゅえん)()祝日(しゅくじつ)とし、(たがい)()(もの)(おく)()とした。
20モルデカイはこれらのことを()きしるしてアハシュエロス(おう)(しょ)(しゅう)にいるすべてのユダヤ(じん)に、(ちか)(もの)にも(とお)(もの)にも(しょ)(おく)り、 21アダルの(つき)の十四()と十五(にち)とを年々(ねんねん)(いわ)うことを(めい)じた。 22すなわちこの両日(りょうじつ)にユダヤ(じん)がその(てき)()って平安(へいあん)()、またこの(つき)(かれ)らのために(うれ)いから(よろこ)びに(かわ)り、(かな)しみから祝日(しゅくじつ)(かわ)ったので、これらを酒宴(しゅえん)(よろこ)びの()として、(たがい)()(もの)(おく)り、(まず)しい(もの)(ほどこ)しをする()とせよとさとした。
23そこでユダヤ(じん)(かれ)らがすでに(はじ)めたように、またモルデカイが(かれ)らに()(おく)ったように、(おこな)うことを約束(やくそく)した。 24これはアガグびとハンメダタの()ハマン、すなわちすべてのユダヤ(じん)(てき)がユダヤ(じん)(ほろ)ぼそうとはかり、プルすなわちくじを()げて(かれ)らを()やし、(ほろ)ぼそうとしたが、 25エステルが(おう)(まえ)にきたとき、(おう)(しょ)(おく)って(めい)じ、ハマンがユダヤ(じん)(たい)して(くわだ)てたその(わる)計画(けいかく)をハマンの頭上(ずじょう)(のぞ)ませ、(かれ)とその()らを()()けさせたからである。 26このゆえに、この両日(りょうじつ)をプルの()にしたがってプリムと()づけた。そしてこの(しょ)のすべての言葉(ことば)により、またこの(こと)について()たところ、自分(じぶん)たちの()ったところによって、 27ユダヤ(じん)(あい)(さだ)め、年々(ねんねん)その()かれているところにしたがい、その(さだ)められた(とき)にしたがって、この両日(りょうじつ)(まも)り、自分(じぶん)たちと、その子孫(しそん)およびすべて自分(じぶん)たちにつらなる(もの)はこれを(おこな)(つづ)けて(はい)することなく、 28この両日(りょうじつ)を、代々(よよ)家々(いえいえ)州々(しゅうじゅう)町々(まちまち)において(かなら)(おぼ)えて(まも)るべきものとし、これらのプリムの()がユダヤ(じん)のうちに(はい)せられることのないようにし、またこの記念(きねん)がその子孫(しそん)(なか)()えることのないようにした。
29さらにアビハイルの(むすめ)である王妃(おうひ)エステルとユダヤ(じん)モルデカイは、権威(けんい)をもってこのプリムの(だい)二の(しょ)()き、それを(たし)かめた。 30そしてアハシュエロスの(くに)の百二十七(しゅう)にいるすべてのユダヤ(じん)に、平和(へいわ)真実(しんじつ)言葉(ことば)をもって(しょ)(おく)り、 31断食(だんじき)(かな)しみのことについて、ユダヤ(じん)モルデカイと王妃(おうひ)エステルが、かつてユダヤ(じん)(めい)じたように、またユダヤ(じん)たちが、かつて自分(じぶん)たちとその子孫(しそん)のために(さだ)めたように、プリムのこれらの()をその(さだ)めた(とき)(まも)らせた。 32エステルの命令(めいれい)はプリムに(かん)するこれらの(こと)確定(かくてい)した。またこれは(しょ)にしるされた。

第十章

1アハシュエロス(おう)はその(くに)および(うみ)沿()った国々(くにぐに)にみつぎを()した。 2(かれ)権力(けんりょく)勢力(せいりょく)によるすべての事業(じぎょう)、および(おう)がモルデカイを(たか)地位(ちい)にのぼらせた(こと)(くわ)しい(はなし)はメデアとペルシャの(おう)たちの日誌(にっし)(しょ)にしるされているではないか。 3ユダヤ(じん)モルデカイはアハシュエロス(おう)()(もの)となり、ユダヤ(じん)(なか)にあって(おお)いなる(もの)となり、その(おお)くの兄弟(きょうだい)(よろこ)ばれた。(かれ)はその(たみ)幸福(こうふく)(もと)め、すべての国民(こくみん)平和(へいわ)()べたからである。