六.「切り抜けよ!」

ジェシー・ペン-ルイス

ある福音伝道者がかつて、攻撃的戦いに関してある経験をしました。その経験は、今日の人々に対する十字架のメッセージを「通して祈る」方法に関して、多くの光を投じるものです。この十字架の使者は、伝道を始めるにあたって、まず、人々の間から一つの祈りのグループを招集してくださるよう、主に求めることを慣わしとしています。そのグループは、集会の中にいる救われていない人のために、彼と共に祈りの中で立てる人々です。そのために、伝道の最初の数日は、信者に向けてメッセージがなされ、彼らに十字架が告げられます。その十字架は、ガラテヤ二・二〇を体現しているクリスチャン、そして、復活・昇天したキリストと結合されていて、御座でとりなすクリスチャンのためのものです。その間、彼は朝の時間のすべてを、一人で神に祈ることにあてます。戦いのために「祈りの戦士」のこの一団が召し出されるよう、神を待ち望むのです。通常、集会に参加しているクリスチャンたちの間に「突破口」が開かれるのは、四日目の晩のあたりです。そして、聖霊により、勝利の祈りの領域の中にもたらされる人々もいます。伝道でこの段階に達すると、この伝道者は次に、このようにキリストと共にとりなしの地位につくことを経験的に学んだすべての人々に、一緒にまとまって前列席に座って、続く集会の間、祈りに打ち込むよう求めます。彼らは、どんな出来事にも注意を払わないよう求められます。そして、サタンに対するカルバリの勝利を要求し、集会中の悪魔のすべての働きを滅ぼすことによって、祈りの中で勝利を握るよう求められます。

ある特別な機会に、祈りの中で特別な教訓が与えられました。その教訓は、サタンに対する勝利の道を、さいわいな実証によって教えてくれるものでした。神の霊が二十人から三十人の「祈りの戦士」の一団を召し出された段階に、伝道が達した時のことです。祈りの戦士たちは、みな一緒に集会所の中央に座っていました。しかし、戦いはとても困難でした。その町は醸造貿易と関わっており、その「雰囲気」は堅苦しさと重苦しさで阻まれているように思われました。それを取り除くのは不可能のように見えました。その晩の集会所は人々でいっぱいでした。暗闇の勢力が集会の上に下って、大いなる暗闇が厚く覆ったので、だれも祈れませんでした。祈りの戦士の一団は押し黙っていました。伝道者自身も大きな圧力を感じたので、言葉は彼の口で止まってしまいました。また、人々は麻痺しているかのように見えました。彼自身もその中の一人でした。この苦境の中、彼は「主に向かって叫」んで言いました、「主よ、勝利の道を私に示してください」。主は直ちに彼に答えられました、「御霊の剣を取って、切り抜けなさい……」。「主よ、どの御霊の剣を取るべきでしょうか?」。すると主は、黙示録十二・十一だと仰せられました。するとすぐに伝道者はひざまずいて、あえぐような息で、大声で繰り返しました、「彼らは小羊の血のゆえに、そして彼らの証しの言葉のゆえに、彼に打ち勝った。彼らは死に至るまでも自分の命を愛さなかった」。何度も何度も彼はこう言って、ついに、突然、人々の中央に座っていた祈りのグループ全体が一斉に勝利の祈りを同時に始めました。彼らはまるで黙示録十二・十一という「剣」によって黒雲を切り開いて切り抜け、勝利の御座に達したかのようでした――すると次に、開かれた天を通して、会衆全体の上に聖霊の力が押し寄せたのです。四方からキリストを求める人々が進み出ました。そして、働き人たちは不安気な人々の列に午前一時すぎまで対応しなければなりませんでした――集会所を去ることができなかったのです。

「切り抜けよ」!「戦い」と勝利の道を、私たちはなんと少ししか理解していなかったことでしょう。大気の濃さと、その結果である人々の頑なさを、私たちは何度も何度も感じてきました。しかし、私たちは「肉や血」を見て、「これこれの場所はとても困難でした」と言って立ち去ってきました。そして、そのまま放っておいたのです。今、主が自ら私たちに、天での戦いの秘訣を教えてくださっています。彼は「戦いに力ある」主です。御霊の剣によって「切り抜ける」ことを、祈りの戦士たちは、十字架のメッセージのための道を世界中に造るにあたって、理解する必要があります。十字架の勝利のメッセージを宣言する人はみな、この真理を受け手の心に届けるための道を「切り」開くために、御座で祈る祈りの部隊を必要とします。

祈りが今こそ必要です。大気中に充満しているすべての悪の勢力を「切り抜ける」祈りが必要です。悪の勢力はこのメッセージを妨げようとします。そして、このメッセージが神の力によって働き始めているすべての人の中で、それに大反対します。「主の道」は、彼の民の「切り抜ける」祈りによって「備え」られなければなりません。

黙示録十二・十一が、このメッセージを示すのに用いられる御霊の剣にちがいありません。「主よ、私たちに祈ることを教えてください!」。