日毎の十字架

エバン・ロバーツ

「勝利者」誌 1909年 第1巻 4月号 初出

カルバリの十字架だけが私たちの救い主にとって唯一の十字架だったわけではありません。彼はまた、彼の十字架を日毎に負われたのです。彼についてこう記されています、「悲しみの人で、苦悩を知っていた」。どうしてこの聖なる方は悲しみと苦悩を知っていたのでしょう?それは、彼は苦難を通して完成されなければならなかったからです(ヘブル2:10)。もし私たちが完成を求めるなら、私たちも苦しまなければなりません。十字架を拒否することなく、日毎に十字架を負おうではありませんか。十字架の道は冠の道です――命の冠、完成の冠の道です。なぜなら、ヤコブは信者について、「試みられる時、命の冠を受けます」(ヤコブ1:12)と言っているからです。この冠は試みを受けた者たちのためなのです!

「ああ、私の父よ、もしできることなら……この杯を私から過ぎ去らせて下さい」――これは神の御子にとってゲッセマネの園の十字架でした。裁きの間では彼の十字架はどこに立っていたのでしょう?今、兵士たちに打たれ、茨の冠で王にされます!今、大祭司は民衆と共に「十字架につけよ!」と叫びます。次に、偏見を持つピラトがやって来て、「私はこの人に何の咎も見いだせない」と言います。しかし、それにもかかわらず、彼をユダヤ人の手に渡したのです!ああ、役立たずの男よ!ああ、偽善者よ!ピラト、ピラトよ!あなたの名前は朽ち果てよ!あなたの上に、義なる裁き主の混じりけのない罪定めが降りかかれ!ローマ、ローマよ。あなたはあなたの大使が不義を働くのを認めるのか?それなら、あなたの滅亡は正しいことである!

不義は重い十字架です。苦しむ信者よ、あなたの十字架を持ち上げて、向こうの丘まで歩いて行きなさい。なぜなら、善と善良さは依然として十字架につけられるからです。

イザヤ書53章はキリストの「十字架(複数)」について描写しています。彼の生涯における十字架、彼の死の十字架を描写しています。彼のさげすまれた生涯における十字架と、彼の拒絶された死における十字架です。ベツレヘムへ行き、ヘロデが新しい王を嫌って、流血をもって自分の王座を守るのを見ましょう。エジプトに向かうヨセフと共に一歩ずつ歩んで、夜間異国に向かうこの逃避行がどういうことか彼とマリアに尋ねましょう。彼らはこう答えたのではないでしょうか、「ヘロデがユダヤ人の幼い王を嫌ったのです・・・。私たちは、羊飼いたちと賢人たちが贈り物で新しい王に敬意を表すのを見ましたし、彼らが新しい王の神格を認めて彼を礼拝するのを見ました」。これは十字架でしょうか?いいえ、そうではなく、ヨセフとマリアが自分たちの十字架を負うための大きな助けでした。ここで、偉大な十字架の担い手は、素朴な誉れ高い夫婦に一つの「十字架」をお与えになります。

人にはそれぞれ生涯担うべき十字架がありますし、その十字架を日毎に負わなければなりません。私たちは十字架に降伏しなければなりません。十字架を放り出したり、他の人に渡してはなりません。私たちがその下で死ぬまで、日毎にその十字架を担わなければなりません。飼い葉桶から十字架まで、キリストはさげすまれました。彼は御父の愛する御子だったにもかかわらず、彼は悲しみの人で苦悩を知っていたことがわかります。しかし、あらゆる苦難のまっただ中にもかかわらず、彼は御父に受け入れられる実を結んだのです。

「私の義なる僕は高くされ、とても高くされる」。これはエホバの御言葉です。しかし、人がキリストを高くしたのは、キリストを十字架に上げることによってだったのです。キリストは釘づけられ、あざけられ、そこで死に、捨てられたのです。

「わが神、わが神、どうして私を見捨てられたのですか?」。これは主の十字架の孤独であり、十字架につけられた一人一人の信者の孤独です。もし私たちが彼の苦難の交わりを知ることを願うなら、私たちは孤独の苦痛を知らなければなりません。「私は孤独で困窮している」――今日、これが多くの人の心からの叫びです―――孤独、孤独、孤独!霊的格闘で「わが神、わが神、どうして私を見捨てられたのですか?」と死に際に叫ぶことがどれほどあることか。

信者をして「日毎に」自分の十字架を負わせなさい!たとえ十字架は重く、試みは厳しくとも、「元気を出しなさい。私は世に打ち勝ったからです」と言われたキリストに耳を傾けなさい。私たちの信仰、これこそ世に打ち勝つ勝利です。

一粒の麦
(道ばたで見つかった空の麦穂について)

「納屋への途上、
自分は死に、他者の命となる――
喜んで死に、喜んで去る、
決して『嫌だ』とつぶやかない。
畑を離れ、他者のために『死ぬ』。
『あなたに忠実でありたい』が、その心からの叫び。
それゆえ、私を取り、私を用い、私を塵に下してください――
あなたの御手とあなたの御心に、私は心から信頼します」。

エバン・ロバーツ