第一八章 バビロンの審判

笹尾鉄三郎

分解

一 天使の叫び 13

二 神の民に対する天からの声 4

三 バビロンの審判 58

四 地の諸王の悲嘆 9

五 地の商人の悲嘆 1016

六 航海者の悲嘆 1719

七 聖徒たちの喜悦 20

八 天使の宣言 2123

九 殉教者の血の報い 24

略解

1〕「一人の天使」キリストである。この栄光は、再臨のキリストの栄光に似ているがゆえに、このように信ぜられるのである。

2〕「大なるバビロン倒れたり」これまで天使がバビロンが倒れたと叫んでいたが(一六19)、今は主イエスご自身から宣言された。「さまざまの汚れた霊」偶像を礼拝し、世と親しみ、淫行をなすような悪人の霊をもって満ちていたバビロンは、金銀宝石などをもって装飾して美しくあるが、ここにおいては、神の目から見られたバビロンの様子が示されている。「憎むべき鳥」空中の諸権を司る者の意。

4〕「声」先の声をキリストの声であるとすれば、これは父なる神のみ声であろう。「わが民」イスラエルの民、すなわち神の選民である。「汝らかれの罪にあずかり、また彼の災に共にあうことを免れんがため、その中を出ずべし」イスラエルの民がバビロンの罪によって、そのわざわいに陥ることなく、滅びないために、神は愛をもってこのように叫び給うたのである。霊的に神は、今も私たちに叫んでおられる(コリント後六17、エレミヤ五一645)。

5〕「神その不義を心にとめ給えり」神はバビロンの罪を記憶されておられるお方である。しかし、キリストにある者の罪を神は心にとめないと宣べておられる(へブル八12)。

6〕そのとき神は刑罰を執行する者に対して、すなわち聖徒および天使に対してこのように言われたのである。(イザヤ四○12)。「くみ与えし杯」聖徒に対して偽の教会がなした迫害である。

7〕バビロンの特色は、高慢、華奢である。「われは女王の位に座す。我は寡婦にあらず、我かならず悲しみにあわじと」この世での幸福は、永続するものと思って自らを欺いているが、やがて悲しむときがくるのである。バビロンの滅亡の預言(イザヤ四七78)。

8〕「このゆえにもろもろの災一日の間に彼の身に来らん」にわかにわざわいのくることを示す。「主たる神は、能力ある者なればなり」バビロンの敵は、全能の神であって神は種々なものを用いてバビロンを苦しめられるのである。

9〕バビロンに依り頼んでいた地の諸王である。バビロンが滅びるのを見て悲しんだ。この世に属する者に頼るならば、悲しみ、悔いる時が必ずくるのである。

14〕「バビロン汝が心のたしめる果穀の実り時すでに過ぎ去り」楽しい時のすぎ去ったことを意味している。「すべて奢れる華美のものすでに滅ぶ。またこれを見ざるべし」華美のものが皆滅んで、再びこれを見ることができないようになる。

1516〕驚くばかりに激しく、かつすみやかに神の審判が一時の間にやってくるのである。

20〕「汝らこれを喜ぶべし」罪人の審判されることは、天にある聖徒や預言者たちの喜びである。それは神が、私たちのために復讐をなされたからである(ロマ一二19)。

21〕「臼の如き大いなる石を取られて海に投げて」石を海水に沈めるように、全く滅ぼされて再び出てくる望みのないことを意味する(出一五5)。

22〕偽教会の全く滅された状態をいう。

23〕「魔術に惑わされたればなり」さまざまな罪悪をもって、世を眩惑したことを意味するのである。

24〕「血はこの町に見えたり」偽教会のために、殺された聖徒の血である。