序文

A. B. シンプソン

「現在の真理」(二ペテロ一・十二)。

霊感された真理はすべて必要であり重要ですが、神がある時に強調されるある真理があります。神は常に時代と世代に語りかけておられますが、決して闇雲に語るのではなく、常に的を射たことを時代に即して語られます。

時代の思潮が一人の人間の至高性になびいて、主権者たる法王を天の総督また地上におけるキリストの直接的代理人と認めよという教えがなされた時、神はジャン・カルヴァンを起こして、神の主権を強調させ、当時の人に、神だけが人の心を支配する権利を持つことを教えさせました。

形式主義がキリスト教圏の人々の心をまどろませる影響を及ぼした時、神はウェスレー兄弟、ジョージ・ホイットフィールド、フレッチャー、その世代の福音的指導者たちを起こして、新生の必要性を教えさせ、聖霊の働きを強調させました。

その後、福音的運動によって、信仰による義認とキリストの千年王国前の再臨という教理が、当時の名ばかりの教会の教えに対して、明確かつ大胆に浮き彫りにされるようになりました。

一世代前、神はチャールズ・フィニーの務めとその信奉者たちの証しを、当時の世俗性と妥協の精神に対する解毒剤として用いて、より深いクリスチャン生活の教理を際立たせました。

このように、時代ごとに、神は最も必要とされている特別なメッセージを語られます。そのため、現在の真理、すなわちその時代に対する神のメッセージと呼ぶのにふさわしい、神のなんらかの真理が常に存在するのです。神は、ご自身を理解して、ご自分が命じたことを説く使者を常に望んでおられます。そして、そのような僕たちが見つかると、神は常に彼らを用いて、彼らの務めを祝福されます。

現在の真理であると最も思われる、真理の一つの系統があります。それは超自然についての真理です。

人間は人間を溺愛するようになっています。そのため、神を見過ごすおそれがあります。現代は進歩を誇りとしており、私たちはその二次光に眩惑されるあまり、神の天の大空に輝く明るい太陽を見られなくなっています。悪魔は超自然的なものを、聖書の中から、教会の中から、そして私たちの個人的クリスチャン生活の中から、排除しようとしています。そして、宗教を人の科学にまで矮小化して、合理的原理や自然的要因から説明できないものをすべて抹消しようとしています。そのため、来るべき王国に対する私たちのさいわいな希望すら笑い飛ばされているのです。また、人は、自分自身の使命を果たして、人類を最高に発達させるには、自分自身だけで十分である、と考えているのです。

超自然に関する神の啓示はこれに立ち向かいます。それにより私たち人間の驕りが無に帰して、無限の神――「この方のために、この方によって万物は存在します」――の光の中で私たち自身と私たちの時代に関する適切な見解が与えられるまで、それを見続けようではありませんか。