再刊行にあたり

サンダー・シング

金井為一郎 訳

オリーブ園 編集版

サンダー・シングがチベット伝道に向ったのは一九二九年であって、未だに全く消息がなく、様々な方面を尋ねたが不思議にも何の手がかりもない。彼は死を見ぬように移されたのかも知れぬという噂もたった程である。兎に角もう地上に生存してはいないだろう。彼の著作で纒まったものはたいがい日本訳にしたが、戦争その他の事情で絶版になって幾年、この度森渓川牧師の御奨めによって既に四冊再刊行したが、今またここに一冊を加えることを喜ぶものである。この書は深い瞑想の中から生まれ出た霊魂の妙曲であるから続者は急ぎ読過せず、和歌か俳句を読むような態度を以って、心の共鳴を得るように味わって頂きたい。通訳を通して外国人の説教を聞くような不便はあるがそれにもかかわらず献げられた心の共鳴を把えることが出来るだろうと思う。

一九六三年二月九月

訳者