編者アパサミー博士はインドの聖公会の監督であるが、英国に留学中サンダーシングに親しく接触し、その師ストリーター博士と共著で「サドゥー、サンダーシングのメッセージ」を著し信仰及び思想に深い感化を受けた。それ以来彼との親交をつづけまたその生涯と発表された文書等に注意を払って来たが、サンダーシングがチベット伝道を目指してヒマラヤの嶮を越えようとして単身出発して以来杳としてその消息を聞かず三十年以上を経た時に、彼は、もう今こそ彼の完結した伝記を書くべき時であると思うようになり資料を求め出した。その時日本からのものは殆んどないから有ったら知らせてほしいとのことで自分の知っている部分を送っておいた。この様にして成った伝記が「サドゥー、サンダーシングの生涯」である。
彼は生涯を成るべく順序立てて書こうとしたが、その思想方面では止むを得ず省略したと思われる面があるので、それを補足する意味を以てこの著を連続(シリーズ)の中に加えたのだと思う。従って私が日本語に訳したサンダーシング自身の著書の中に出ている引例と重複する個所が数ヶ所あることも理解して頂きたい。願うところは彼に与えられた福音の理解に対して公平にして同情的な見解をもたれることである。
この書は「世界基督教書類」の中の第十三番として出版されたものである。
一九六三年四月四日 池袋西教会にて
金井為一郎