訳者の序言

エーリッヒ・ザウアー

この卓越した書物と、同様に卓越した姉妹書である「十字架のキリストの勝利」は、一冊の書物として書かれた。

私の尊敬すべき友である著者は、元原稿を読む特権を私に与えてくれた。これらの本に相当する英語の本を私は知らない。そこで、これらの本を英語読者にも読めるようにすべきだと私は感じたのである。この考えにザウアー氏は喜んで同意してくれた。戦争によって仕事が遅れてしまったが、遂に、神の助けと、数名の友人たちの温かい協力により、いま両書を神の御言葉と道を探求するすべての人に送る。

いま述べた友人たちの中で私が特に感謝しているのは、外務機関で最近上級通訳官を務めていたR.C.トムソン氏である。氏は両書の訳文を注意深く精査して、多くの貴重な提案をしてくれた。

しかし、私が特に嬉しく思っているのは、ザウアー氏とその奥方が私と一緒に両書の訳文を仔細に読んでくれたことである。夫妻の堪能な英語知識のおかげで、そうでなければほとんど達成できなかったであろう水準で著者の意図を正確に訳出することができた。

私は少しばかり注を追加したが、その箇所は[訳者]と記してある。画括弧の所は私の文章である。

聖書からの引用は、英語改訂訳かアメリカ標準訳による。しかし、著者の思考がドイツ語独特の流れを辿っている箇所もしばしばあり、そのような箇所ではより逐語的な英訳をしている。

これらの書物は戦前、戦中、戦後、ドイツで驚くほど出回った。両書はスウェーデン語とノルウェー語に訳されており、一つの書物はオランダ語に訳されている。スペイン語の翻訳も準備中である。どうか真理の御霊が英語の本書を照らしてくださいますように。

G.H.ラング